(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】汚物流しユニット
(51)【国際特許分類】
A47K 17/00 20060101AFI20220127BHJP
E03D 11/00 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D11/00 Z
(21)【出願番号】P 2017206273
(22)【出願日】2017-10-25
【審査請求日】2020-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】金子 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】高塩 康洋
(72)【発明者】
【氏名】荒川 智明
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】土江 剛一
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-057685(JP,A)
【文献】特開2009-178460(JP,A)
【文献】米国特許第04995410(US,A)
【文献】特開2016-77594(JP,A)
【文献】特開2010-125295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00-17/02
E03D 1/00- 7/00
E03D 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を排出する供給口を有する給水源を内部に収納可能とし、前記給水源の少なくとも一部の前方を覆う前面板を有するライニングと、
前記ライニングの前面に設けられ、凹状のボウル面と、前記洗浄水の供給を受ける給水口と、前記給水口に供給された前記洗浄水を前記ボウル面に吐出する吐出口と、を有するボウル部と、
前記給水源の前記供給口と前記ボウル部の前記給水口とを接続する通水部材と、
を備え、
前記給水口は、前記ボウル部の左右方向の中央位置に対して右側又は左側に設けられ、
前記吐出口は、前記ボウル面を旋回する旋回流となるように前記洗浄水を前記ボウル面に吐出し、
前記供給口の左右方向の中央位置は、前記ボウル部の左右方向の中央位置に対して、左右方向にずれており、
前記給水口の左右方向の中央位置は、前記供給口の左右方向の中央位置からみて、前記ボウル部の左右方向の中央位置から前記給水口の左右方向の中央位置に向かう方向にずれていることを特徴とする汚物流しユニット。
【請求項2】
前記給水口は、後方を向いて設けられ、
前記通水部材は、前記供給口に接続される第1接続部と、前記給水口に接続される第2接続部と、を有し、
前記第2接続部は、前記給水口に対して前後方向に差し込まれる差し込み部を有し、
前記差し込み部の前後方向の長さは、前記供給口に接続された状態における前記第1接続部の後端から前記ライニングの後端までの前後方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項1記載の汚物流しユニット。
【請求項3】
前記第1接続部を支持する支持部材を、さらに備え、
前記ボウル部は、前記ライニングの前面の右側に寄せて設けられ、前記ライニングの前面の左側に点検口を配置可能とする第1取付状態と、前記ライニングの前面の左側に寄せて設けられ、前記ライニングの前面の右側に点検口を配置可能とする第2取付状態と、を有し、
前記第1接続部は、前記ボウル部の前記第1取付状態及び前記第2取付状態に対して共通に用いられ、
前記支持部材は、前記第1取付状態において前記第1接続部の被係合部と係合する第1係合部と、前記第2取付状態において前記第1接続部の被係合部と係合する第2係合部と、を有することを特徴とする請求項2記載の汚物流しユニット。
【請求項4】
洗浄水を排出する供給口を有する給水源を内部に収納可能とし、前記給水源の少なくとも一部の前方を覆う前面板を有するライニングと、
前記ライニングの前面に設けられ、凹状のボウル面と、前記洗浄水の供給を受ける給水口と、前記給水口に供給された前記洗浄水を前記ボウル面に吐出する吐出口と、を有するボウル部と、
前記給水源の前記供給口と前記ボウル部の前記給水口とを接続する通水部材と、
を備え、
前記給水口は、前記ボウル部の左右方向の中央位置に対して右側又は左側に設けられ、
前記吐出口は、前記ボウル面を旋回する旋回流となるように前記洗浄水を前記ボウル面に吐出し、
前記給水口の左右方向の中央位置は、前記供給口の左右方向の中央位置からみて、前記ボウル部の左右方向の中央位置から前記給水口の左右方向の中央位置に向かう方向にずれており、
前記給水口は、後方を向いて設けられ、
前記通水部材は、前記供給口に接続される第1接続部と、前記給水口に接続される第2接続部と、を有し、
前記第2接続部は、前記給水口に対して前後方向に差し込まれる差し込み部を有し、
前記差し込み部の前後方向の長さは、前記供給口に接続された状態における前記第1接続部の後端から前記ライニングの後端までの前後方向の長さよりも短く、
前記第1接続部を支持する支持部材を、さらに備え、
前記ボウル部は、前記ライニングの前面の右側に寄せて設けられ、前記ライニングの前面の左側に点検口を配置可能とする第1取付状態と、前記ライニングの前面の左側に寄せて設けられ、前記ライニングの前面の右側に点検口を配置可能とする第2取付状態と、を有し、
前記第1接続部は、前記ボウル部の前記第1取付状態及び前記第2取付状態に対して共通に用いられ、
前記支持部材は、前記第1取付状態において前記第1接続部の被係合部と係合する第1係合部と、前記第2取付状態において前記第1接続部の被係合部と係合する第2係合部と、を有することを特徴とする汚物流しユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、汚物流しユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
人工肛門などを造設した人は、一般にオストメイトと呼ばれている。こうしたオストメイトの方が排泄物などの汚物を処理し易いようにする汚物流しユニットが知られている(例えば、特許文献1)。汚物流しユニットは、給水源を内部に収納するライニングと、ライニングの前面に設けられたボウル部と、を有する。ボウル部は、汚物を受け、給水源から供給される洗浄水により、汚物を排水管などに流す。
【0003】
また、ボウル部は、給水口を左右方向の中央位置に対して右側又は左側に寄せて配置し、ボウル面に沿うように内部に洗浄水を流すことにより、内部に旋回流を形成することを行っている。これにより、ボウル面に付着した汚物を洗い流し易くすることができる。
【0004】
汚物流しユニットは、例えば、比較的広いスペースを有する多機能トイレに設けられる。多機能トイレは、車いすの方の利用を考慮していたり、乳幼児用のおむつ替えシートを備えていたりし、オストメイトの方以外にも様々な人に広く利用されている。この際、オストメイトの方は、健常者との見分けが付き難いため、多機能トイレの利用において、気まずい思いをさせてしまう場合がある。
【0005】
例えば、オストメイトの方が多機能トイレから出てきた際に、車いすの方が順番待ちをしている場合がある。こうした場合に、一見すると多機能トイレを特に利用する必要の無い人が、多機能トイレを利用していたかのように誤解され、オストメイトの方に気まずい思いをさせてしまう可能性がある。
【0006】
こうした思いをオストメイトの方にさせてしまうことを減らすため、一般のトイレブースの中にも汚物流しユニットを設置することが望まれている。しかしながら、汚物流しユニットのサイズは、一般のトイレブースのサイズと比べて大きく、汚物流しユニットは、一般のトイレブースには導入し難い。
【0007】
特に、上記のように、旋回流の形成のためにボウル部の給水口を左右方向にずらして配置した場合、給水源の供給口とボウル部の給水口とを直線状に結ぶために、ボウル部を給水源に対して左右方向にずらして配置しなければならず、ライニングなどの大型化の要因となっていた。
【0008】
一方で、ボウル部の給水口を左右方向の中央に配置した場合には、旋回流を形成し難くなり、ボウル面の洗浄性能を低下させてしまう。このように、汚物流しユニットでは、ボウル面の高い洗浄性能とコンパクト化との両立が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、ボウル面の高い洗浄性能とコンパクト化とを両立可能な汚物流しユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明は、洗浄水を排出する供給口を有する給水源を内部に収納可能とし、前記給水源の少なくとも一部の前方を覆う前面板を有するライニングと、前記ライニングの前面に設けられ、凹状のボウル面と、前記洗浄水の供給を受ける給水口と、前記給水口に供給された前記洗浄水を前記ボウル面に吐出する吐出口と、を有するボウル部と、前記給水源の前記供給口と前記ボウル部の前記給水口とを接続する通水部材と、を備え、前記給水口は、前記ボウル部の左右方向の中央位置に対して右側又は左側に設けられ、前記吐出口は、前記ボウル面を旋回する旋回流となるように前記洗浄水を前記ボウル面に吐出し、前記給水口の左右方向の中央位置は、前記供給口の左右方向の中央位置からみて、前記ボウル部の左右方向の中央位置から前記給水口の左右方向の中央位置に向かう方向にずれていることを特徴とする汚物流しユニットである。
【0012】
この汚物流しユニットによれば、給水口が、ボウル部の左右方向の中央位置に対して右側又は左側に設けられ、吐出口はボウル面を旋回する旋回流となるように洗浄水をボウル面に吐出することにより、ボウル面の高い洗浄性能を得ることができる。そして、給水口の左右方向の中央位置は、供給口の左右方向の中央位置からみて、ボウル部の左右方向の中央位置から給水口の左右方向の中央位置に向かう方向にずれていることにより、給水口の左右方向の中央位置が供給口の左右方向の中央位置と同じである場合と比べて、ライニングの左右方向の幅を狭くすることができる。従って、ボウル面の高い洗浄性能とコンパクト化とを両立可能な汚物流しユニットを提供することができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、前記給水口は、後方を向いて設けられ、前記通水部材は、前記供給口に接続される第1接続部と、前記給水口に接続される第2接続部と、を有し、前記第2接続部は、前記給水口に対して前後方向に差し込まれる差し込み部を有し、前記差し込み部の前後方向の長さは、前記供給口に接続された状態における前記第1接続部の後端から前記ライニングの後端までの前後方向の長さよりも短いことを特徴とする汚物流しユニットである。
【0014】
この汚物流しユニットによれば、差し込み部の前後方向の長さが、供給口に接続された状態における第1接続部の後端からライニングの後端までの前後方向の長さよりも短いことにより、施工時に、第1接続部の後端がライニングの後端に当接してしまうことを抑制し、差し込み部を給水口に差し込み易くすることができる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、前記第1接続部を支持する支持部材を、さらに備え、前記ボウル部は、前記ライニングの前面の右側に寄せて設けられ、前記ライニングの前面の左側に点検口を配置可能とする第1取付状態と、前記ライニングの前面の左側に寄せて設けられ、前記ライニングの前面の右側に点検口を配置可能とする第2取付状態と、を有し、前記第1接続部は、前記ボウル部の前記第1取付状態及び前記第2取付状態に対して共通に用いられ、前記支持部材は、前記第1取付状態において前記第1接続部の被係合部と係合する第1係合部と、前記第2取付状態において前記第1接続部の被係合部と係合する第2係合部と、を有することを特徴とする汚物流しユニットである。
【0016】
この汚物流しユニットによれば、第1接続部及び支持部材をボウル部の第1取付状態及び第2取付状態に対して共通に用いることができる。これにより、第1取付状態に対応する第1接続部及び支持部材と、第2取付状態に対応する第1接続部及び支持部材と、を個別に製造する場合と比べて、汚物流しユニットの製造コストを抑えることができる。また、ボウル部を第1取付状態とするか第2取付状態とするかは、トイレ空間によりまちまちであり、施工の現場で決まる場合もある。この際、第1接続部及び支持部材を第1取付状態及び第2取付状態のどちらにも対応できるようにすることにより、第1取付状態と第2取付状態との変更をし易くすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の態様によれば、ボウル面の高い洗浄性能とコンパクト化とを両立可能な汚物流しユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る汚物流しユニットを表す正面図である。
【
図2】実施形態に係る汚物流しユニットを表す正面図である。
【
図3】実施形態に係る汚物流しユニットを表す正面図である。
【
図4】実施形態に係る汚物流しユニットを表す正面図である。
【
図5】実施形態に係るボウル部を表す斜視図である。
【
図6】実施形態に係るボウル部を表す背面図である。
【
図7】実施形態に係るライニングを表す正面図である。
【
図8】実施形態に係るライニングの一部を拡大して表す拡大断面図である。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は、実施形態に係る汚物流しユニット及び参考の汚物流しユニットを表す平面図である。
【
図10】
図10(a)及び
図10(b)は、実施形態に係る汚物流しユニット及び参考の汚物流しユニットを表す平面図である。
【
図11】実施形態に係る第1通水部材を表す斜視図である。
【
図12】実施形態に係る第2通水部材を表す斜視図である。
【
図13】実施形態に係る汚物流しユニットの一部を表す平面図である。
【
図14】実施形態に係る汚物流しユニットの一部を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0020】
図1及び
図2は、実施形態に係る汚物流しユニットを表す正面図である。
図1及び
図2に表したように、汚物流しユニット10は、ライニング12と、ボウル部14と、を備える。
【0021】
ライニング12は、略矩形の中空箱状である。ライニング12は、トイレ室又はトイレブース内の壁面に取り付けられる。ここで、本願明細書においては、ライニング12の向く方向を「前方」とし、これと反対の方向を「後方」とする。換言すれば、前方は、ライニング12の取付壁面から離間する方向であり、後方は、ライニング12の取付壁面に向かう方向である。また、本願明細書においては、汚物流しユニット10(ライニング12)と対面した使用者から見た上方、下方、右側方、及び左側方を、それぞれ「上方」、「下方」、「右側方」、及び「左側方」とする。
【0022】
ライニング12は、フレーム20と、第1前面板21と、第2前面板22と、天板24と、を有する。フレーム20は、例えば、内部空間を有する略矩形の枠状である。第1前面板21及び第2前面板22は、フレーム20の前面に取り付けられ、フレーム20の内部空間の前方を覆う。天板24は、フレーム20の上面に取り付けられ、フレーム20の内部空間の上方を覆う。
【0023】
ライニング12は、例えば、トイレ室やトイレブース内において、側壁や別のライニングと隣接して設けられる。フレーム20の内部空間の側方は、トイレ室やトイレブースの側壁、又は別のライニングなどによって覆われる。また、ライニング12には、フレーム20の側面に取り付けられ、フレーム20の内部空間の側方を覆う側板が、必要に応じてさらに設けられる。
【0024】
ボウル部14は、凹状に形成され、排泄物などの汚物を受ける。ボウル部14は、ライニング12の前面に設けられている。ボウル部14は、例えば、第1前面板21を介してフレーム20に固定される。第1前面板21は、ボウル部14を取り付けるための前面板である。第1前面板21は、例えば、ネジ止めなどにより、フレーム20に固定される。第1前面板21の左右方向の幅は、ボウル部14の左右方向の幅と同程度に設定される。
【0025】
図1及び
図2に表したように、第2前面板22は、フレーム20に着脱可能に取り付けられる。
図2は、第2前面板22を取り外した状態を表している。なお、
図2では、ライニング12内に設けられる部材の図示を、便宜的に省略している。
【0026】
第2前面板22は、例えば、上端部及び下端部をフレーム20に上方から係合させることにより、フレーム20に着脱可能に取り付けられる。第2前面板22の取付方法は、係合に限ることなく、フレーム20に対して着脱可能に取り付け可能な任意の取付方法でよい。
【0027】
第2前面板22を取り外すと、フレーム20の内部空間の一部が前方に露出する。これにより、ライニング12では、フレーム20の前方の開口のうち、第2前面板22で覆われる部分を、内部に収納した部材を点検するための点検口26として利用することができる。第2前面板22は、換言すれば、第1前面板21と並べて設けられる点検口26の前方を覆う。
【0028】
汚物流しユニット10は、例えば、吐水部30と、操作部31と、鏡32と、ソープディスペンサ33と、紙巻器34と、洗浄ボタン35と、をさらに備える。吐水部30、操作部31、鏡32、及びソープディスペンサ33は、第1前面板21の前面に設けられている。
【0029】
吐水部30は、ボウル部14に向けて水を吐出する。吐水部30は、例えば、オストメイトの方の手洗いや器具の洗浄などを可能にする。また、吐水部30は、例えば、ライニング12内に収納された可撓性のホースに接続されている。吐水部30は、ホースをライニング12から引き出すことで、シャワーのように自由な向きに水を吐出することできる。
【0030】
操作部31は、操作に応じて吐水部30の吐止水を切り替える。また、操作部31は、例えば、吐水部30から吐出される水の流量や温度を調節可能とする。鏡32は、例えば、オストメイトの方がストーマなどの器具を確認し易くする。ソープディスペンサ33は、内部に水石鹸を溜め、操作に応じて水石鹸を供給する。
【0031】
吐水部30、操作部31、鏡32、及びソープディスペンサ33は、ボウル部14の左右方向の幅内に配置される。吐水部30、操作部31、鏡32、及びソープディスペンサ33は、ボウル部14よりも側方に位置しない。これにより、第1前面板21の左右方向の幅が広くなってしまうことを抑制することができる。第1前面板21の左右方向の幅を、ボウル部14の幅と同程度に設定することができる。
【0032】
なお、第1前面板21に設けられる部材は、上記に限ることなく、任意の部材でよい。第1前面板21には、少なくとも吐水部30が設けられていればよい。操作部31は、例えば、第2前面板22の前面に設けてもよい。鏡32及びソープディスペンサ33は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0033】
紙巻器34及び洗浄ボタン35は、第2前面板22の前面に設けられている。紙巻器34は、トイレットペーパTPを着脱可能に保持する。洗浄ボタン35は、ボウル部14の洗浄を指示するための操作部材である。洗浄ボタン35を操作することにより、ボウル部14に洗浄水が供給され、ボウル部14内の汚物が外部の排水管などに排出される。
【0034】
紙巻器34及び洗浄ボタン35は、第1前面板21の前面に設けてもよい。紙巻器34は、必要に応じて設けられ、省略可能である。ボウル部14の洗浄を指示するための操作部材は、押しボタン式の洗浄ボタン35に限ることなく、例えば、光学センサや静電容量センサなどの、手を近付けることで洗浄の指示を可能にする非接触式のセンサなどでもよい。
【0035】
図3及び
図4は、実施形態に係る汚物流しユニットを表す正面図である。
図1~
図4に表したように、ボウル部14は、第1取付状態と、第2取付状態と、を有する。第1取付状態は、
図1及び
図2に表した状態である。第1取付状態のボウル部14は、ライニング12の前面の右側に寄せて設けられ、ライニング12の前面の左側に点検口26を配置可能とする。第2取付状態は、
図3及び
図4に表した状態である。第2取付状態のボウル部14は、ライニング12の前面の左側に寄せて設けられ、ライニング12の前面の右側に点検口26を配置可能とする。
【0036】
第1取付状態及び第2取付状態は、トイレ室やトイレブースなどの汚物流しユニット10の設置環境に応じて選択される。例えば、ボウル部14に対して右側からの方がアプローチし易い場合には、第1取付状態が選択され、ボウル部14に対して左側からの方がアプローチし易い場合には、第2取付状態が選択される。
【0037】
図5は、実施形態に係るボウル部を表す斜視図である。
図6は、実施形態に係るボウル部を表す背面図である。
図5及び
図6に表したように、ボウル部14は、ボウル面40と、給水口42と、吐出口44と、排出口46と、を有する。
【0038】
ボウル面40は、排泄物などの汚物を受ける凹状である。給水口42は、洗浄水の供給を受けるための開口である。吐出口44は、ボウル面40の上部に設けられ、給水口42に供給された洗浄水をボウル面40に吐出する。排出口46は、ボウル面40の底部に設けられ、吐出口44から吐出された洗浄水及び汚物などを外部に排出する。
【0039】
給水口42及び吐出口44は、ボウル部14の左右方向の中央位置C1に対して右側に寄せて設けられている。これにより、給水口42及び吐出口44は、ボウル面40を旋回する旋回流RFとなるように洗浄水をボウル面40に吐出する。なお、給水口42及び吐出口44は、上記とは反対に、ボウル部14の左右方向の中央位置C1に対して左側に寄せて設けてもよい。
【0040】
洗浄水は、ライニング12内を介してボウル部14に供給される。このため、給水口42は、後方を向いて設けられている。また、排出口46は、後方を向いて設けられている。排出口46から排出された洗浄水や汚物などは、ライニング12内を介して外部の排水管などに排出される。
【0041】
図7は、実施形態に係るライニングを表す正面図である。
図8は、実施形態に係るライニングの一部を拡大して表す拡大断面図である。
図7及び
図8では、ライニング12において第1前面板21及び第2前面板22を取り外した状態を表している。換言すれば、
図7及び
図8は、フレーム20の内部を表している。
図8は、
図7の破線囲み部Aの部分を拡大して表している。また、
図7及び
図8では、ボウル部14の第1取付状態に対応するライニング12を例示している。
【0042】
図7及び
図8に表したように、汚物流しユニット10は、洗浄水タンク50(給水源)と、通水部材52と、排水用配管54と、電気温水器56と、をさらに備える。洗浄水タンク50、通水部材52、排水用配管54、及び電気温水器56のそれぞれは、フレーム20の内部に設けられる。
【0043】
洗浄水タンク50は、タンク本体60と、供給口62と、駆動部64と、手動操作部66と、を有する。タンク本体60は、内部に洗浄水を貯水可能な中空箱状である。タンク本体60は、給水管と接続され、給水管から供給された洗浄水を内部に貯水する。供給口62は、タンク本体60内に貯水された洗浄水をタンク本体60の外部に排出する。供給口62は、例えば、タンク本体60の底部に下方を向いて設けられる。
【0044】
また、供給口62は、例えば、タンク本体60の左右方向の中央部に設けられる。ここで、「中央部に設けられる」とは、例えば、タンク本体60の左右方向の中央位置から供給口62の左右方向の中央位置までの距離が、タンク本体60の左端から供給口62の左右方向の中央位置までの距離、及びタンク本体60の右端から供給口62の左右方向の中央位置までの距離のそれぞれよりも短いことをいう。
【0045】
駆動部64は、電動式であり、洗浄ボタン35の操作に応じてタンク本体60内に設けられた弁機構(図示は省略)を駆動する。これにより、タンク本体60内に貯水された洗浄水が、供給口62から排出される。すなわち、タンク本体60内に貯水された洗浄水が、ボウル部14に供給される。
【0046】
手動操作部66は、操作部材66aを有する。操作部材66aは、例えば、ワイヤ状である。手動操作部66は、ワイヤ状の操作部材66aが引っ張られた際に、その操作力をタンク本体60内の弁機構に伝達することにより、手動で弁機構を操作可能とする。これにより、停電などで駆動部64が動作しない状態でも、手動操作部66の操作によってボウル部14に洗浄水を供給することが可能となる。なお、操作部材66aの形状は、ワイヤ状に限ることなく、例えば、レバー状など、操作力を弁機構に伝達可能な任意の形状でよい。
【0047】
このように、ライニング12は、洗浄水を排出する供給口62を有する給水源である洗浄水タンク50を内部に収納可能とする。第1前面板21は、フレーム20に取り付けられた状態において、洗浄水タンク50の少なくとも一部の前方を覆う。
【0048】
洗浄水タンク50は、手動操作部66を点検口26側に向けた状態でライニング12内に収納される。従って、点検口26が左側に配置される第1取付状態においては、洗浄水タンク50は、タンク本体60を右側に寄せ、手動操作部66を左側に向けた状態で、ライニング12内に収納される。そして、点検口26が右側に配置される第2取付状態においては、洗浄水タンク50は、上記と反対に、タンク本体60を左側に寄せ、手動操作部66を右側に向けた状態で、ライニング12内に収納される。
【0049】
これにより、第2前面板22を取り外すことで、点検口26から手動操作部66を容易に操作することができる。また、手動操作部66の操作部材66aは、第2前面板22を取り外した状態において、点検口26から前方に露出する。これにより、操作部材66aをより操作し易くすることができる。
【0050】
なお、ライニング12の内部に設けられる給水源は、洗浄水タンク50に限ることなく、例えば、フラッシュバルブや電磁弁などでもよい。給水源は、洗浄水を排出する供給口を有し、供給口からの洗浄水の排出、及び排出の停止を制御可能な任意の部材でよい。
【0051】
通水部材52は、洗浄水タンク50の供給口62とボウル部14の給水口42とを接続する。これにより、洗浄水タンク50の供給口62から排出された洗浄水が、通水部材52を介して給水口42に供給され、前述のように、ボウル面40を旋回する旋回流RFとなるように、洗浄水が吐出口44からボウル面40に吐出される。
【0052】
排水用配管54の一端は、ボウル部14の排出口46と接続される。排水用配管54の他端は、例えば、建築の排水管などに接続される。これにより、ボウル部14の排出口46から排出された洗浄水や汚物などが、排水用配管54を介して外部の排水管などに排出される。
【0053】
電気温水器56は、給水管と操作部31とに接続されている。電気温水器56は、給水管から供給された水を加熱してお湯に変換し、お湯を操作部31に供給する。操作部31は、電気温水器56と接続されるとともに、給水管と接続される。操作部31は、使用者の操作に応じて電気温水器56から供給されたお湯と給水管から供給された水とを混合し、混合後のお湯又は水を吐水部30に供給する。これにより、使用者の操作部31の操作に応じた温度のお湯又は水を吐水部30から吐出することができる。
【0054】
電気温水器56は、例えば、直方体状である。ライニング12内に取り付けられた状態において、電気温水器56の左右方向の幅は、点検口26の左右方向の幅よりも広い。また、ライニング12内に取り付けられた状態において、電気温水器56の前後方向の幅は、点検口26の左右方向の幅よりも狭い。換言すれば、電気温水器56の長手方向の幅は、点検口26の左右方向の幅よりも広く、電気温水器56の短手方向の幅は、点検口26の左右方向の幅よりも狭い。
【0055】
このため、電気温水器56の取り付けにおいては、例えば、短手側を点検口26に向けて挿入した後、90°回転させながら全体を点検口26からライニング12内に挿入する。
【0056】
このように、電気温水器56の幅及び点検口26の幅を設定することにより、例えば、電気温水器56を設けた場合にも、点検口26の左右方向の幅を電気温水器56の長手方向の幅以上に設定する場合と比べて、点検口26の左右方向の幅を狭くすることができる。すなわち、ライニング12の内部の空間を有効的に活用し、ライニング12の左右方向の幅を狭くすることができる。従って、汚物流しユニット10をコンパクト化することができる。
【0057】
なお、電気温水器56は、必要に応じて設けられ、省略可能である。吐水部30から吐出される水は、給水管などから供給されたままの冷水のみでもよい。また、建築に給湯管が設けられている場合には、給湯管から供給されたお湯を操作部31で水と混合してもよい。
【0058】
図9(a)及び
図9(b)は、実施形態に係る汚物流しユニット及び参考の汚物流しユニットを表す平面図である。
図9(a)は、実施形態に係る汚物流しユニット10を表す。
図9(b)は、参考の汚物流しユニット10aを表す。
図9(a)及び
図9(b)では、ボウル部14を第1取付状態とした場合を例示している。なお、参考の汚物流しユニット10aにおいて、各構成要素には、便宜的に実施形態に係る汚物流しユニット10と同符号を付して説明を行う。
【0059】
図9(b)に例示した参考例では、ボウル部14の給水口42が右側に寄せて設けられ、洗浄水タンク50の供給口62が中央部に設けられている。そして、給水口42の左右方向の中央位置C2と、供給口62の左右方向の中央位置C3と、が合致している。このように、給水口42の左右方向の中央位置C2を供給口62の左右方向の中央位置C3と合わせようとすると、
図9(b)に表したように、ライニング12の左右方向の幅が無駄に広くなってしまう。
【0060】
そこで、実施形態に係る汚物流しユニット10では、
図9(a)に表したように、ボウル部14が、洗浄水タンク50に対して、
図9(b)の参考例よりも右方向にずれて配置されている。そして、給水口42の左右方向の中央位置C2と、供給口62の左右方向の中央位置C3と、が異なる。すなわち、給水口42の左右方向の中央位置C2は、供給口62の左右方向の中央位置C3からずれている。ずれている方向は、ボウル部14の左右方向の中央位置C1から給水口42の左右方向の中央位置C2に向かう方向D1である。つまり、給水口42の左右方向の中央位置C2は、供給口62の左右方向の中央位置C3からみて、ボウル部14の左右方向の中央位置C1から給水口42の左右方向の中央位置C2に向かう方向D1に、ずれている。このようにボウル部14をライニング12の前面に設けることにより、ライニング12の内部に無駄な空間が生じることを抑制し、ライニング12の左右方向の幅を狭くすることができる。すなわち、給水口42の左右方向の中央位置C2を、ライニング12の左右方向の幅が狭くなる方向に、供給口62の左右方向の中央位置C3と異ならせることにより、ライニング12の内部に無駄な空間が生じることを抑制し、ライニング12の左右方向の幅を狭くすることができる。
【0061】
図10(a)及び
図10(b)は、実施形態に係る汚物流しユニット及び参考の汚物流しユニットを表す平面図である。
図10(a)は、実施形態に係る汚物流しユニット10を表す。
図10(b)は、参考の汚物流しユニット10bを表す。
図10(a)及び
図10(b)では、ボウル部14を第2取付状態とした場合を例示している。なお、参考の汚物流しユニット10bにおいて、各構成要素には、便宜的に実施形態に係る汚物流しユニット10と同符号を付して説明を行う。
【0062】
図10(b)に表したように、第2取付状態においても、第1取付状態と同様に、ボウル部14の給水口42が右側に寄せて設けられ、洗浄水タンク50の供給口62が中央部に設けられている場合に、給水口42の左右方向の中央位置C2を供給口62の左右方向の中央位置C3と合わせようとすると、ライニング12の左右方向の幅が無駄に広くなってしまう。
【0063】
従って、実施形態に係る汚物流しユニット10では、
図10(a)に表したように、第2取付状態においても、ボウル部14が、ライニング12の左右方向の幅が狭くなる方向に、給水口42の左右方向の中央位置C2を、供給口62の左右方向の中央位置C3と異ならせて、ライニング12の前面に設けられている。これにより、第1取付状態と同様に、ライニング12の左右方向の幅を狭くすることができる。
【0064】
図9(a)及び
図10(a)に表したように、ボウル部14を第2取付状態とした場合の通水部材52の形状は、ボウル部14を第1取付状態とした場合の通水部材52の形状と異なる。従って、以下では、第1取付状態において用いられる通水部材52を、第1通水部材71と称し、第2取付状態において用いられる通水部材52を、第2通水部材72と称す。
【0065】
図11は、実施形態に係る第1通水部材を表す斜視図である。
図11に表したように、第1通水部材71は、第1接続部81と、第2接続部82aと、を有する。第1接続部81は、洗浄水タンク50の供給口62に接続される。第2接続部82aは、ボウル部14の給水口42に接続される。
【0066】
第1接続部81は、例えば、L字状に屈曲したパイプ状である。第1接続部81は、洗浄水タンク50の供給口62と接続される第1接続口91と、第2接続部82aと接続される第2接続口92と、を有する。第1接続口91は、供給口62を受ける凹状である。第1接続口91は、外側に向かって延びるフランジ部91fを有する。第1接続部81は、第1通水部材71の取り付けに用いられる一対の被係合部94を有する。各被係合部94は、フランジ部91fの外周に設けられ、フランジ部91fの外周から下方に突出する突起状である。
【0067】
第2接続部82aは、第1部分101と、第2部分102と、を有する。第1部分101は、第1接続部81の第2接続口92と接続される。第1部分101は、例えば、接着により、第2接続口92に固定される。第2部分102は、ボウル部14の給水口42と接続される。第2部分102の延びる方向は、第1部分101の延びる方向に対して傾斜している。すなわち、第2接続部82aは、曲げられたパイプ状である。これにより、給水口42の左右方向の中央位置が、供給口62の左右方向の中央位置と異なる場合においても、給水口42と供給口62とを接続することが可能となる。
【0068】
第1部分101と第2部分102との成す角度の劣角θ1は、90°よりも大きい。これにより、第2接続部82a内を流れる洗浄水の圧力損失を抑制することができる。第2接続部82aの形状は、上記に限ることなく、例えば、円弧状に湾曲した形状などでもよい。
【0069】
第2接続部82aは、給水口42に対して前後方向に差し込まれる差し込み部104を有する。差し込み部104は、例えば、第2部分102の先端部である。差し込み部104の前後方向の長さL11は、供給口62に接続された状態における第1接続部81の後端からライニング12の後端までの前後方向の長さL21よりも短い(
図9(a)参照)。
【0070】
図12は、実施形態に係る第2通水部材を表す斜視図である。
図12に表したように、第2通水部材72は、第1接続部81と、第2接続部82bと、を有する。第1接続部81は、第1通水部材71の第1接続部81と同じである。このように、第1接続部81は、第1通水部材71と第2通水部材72とに共通に用いられる。換言すれば、第1接続部81は、ボウル部14の第1取付状態及び第2取付状態に対して共通に用いられる。
【0071】
第2接続部82bは、第1部分111と、第2部分112と、を有する。第2接続部82bの構成は、第1部分111及び第2部分112の長さや接続角度などが異なるのみで、第1通水部材71の第2接続部82aの構成と同様であるから、詳細な説明は省略する。第2接続部82bにおいても、第1部分111と第2部分112との成す角度の劣角θ2は、90°よりも大きい。
【0072】
第2接続部82bは、給水口42に対して前後方向に差し込まれる差し込み部114を有する。差し込み部114は、例えば、第2部分112の先端部である。差し込み部114の前後方向の長さL12は、供給口62に接続された状態における第1接続部81の後端からライニング12の後端までの前後方向の長さL22よりも短い(
図10(a)参照)。
【0073】
図13及び
図14は、実施形態に係る汚物流しユニットの一部を表す平面図である。
図13は、第1取付状態を表し、
図14は、第2取付状態を表している。
図13及び
図14に表したように、汚物流しユニット10は、第1通水部材71又は第2通水部材72の第1接続部81を支持する支持部材120を、さらに備える。支持部材120は、ライニング12の内部に設けられる。支持部材120は、例えば、ライニング12の内部において、ネジ止めなどにより、フレーム20に固定される。
【0074】
支持部材120は、例えば、平板状であり、第1接続部81のフランジ部91fと係合することにより、第1接続部81を支持する。また、支持部材120は、一対の第1係合部121と、一対の第2係合部122と、を有する。一対の第1係合部121は、第1取付状態において第1接続部81の一対の被係合部94と係合する。一対の第2係合部122は、第2取付状態において第1接続部81の一対の被係合部94と係合する。各第1係合部121及び各第2係合部122は、例えば、突起状の各被係合部94と係合する貫通孔状である。
【0075】
支持部材120は、各第1係合部121を各被係合部94と係合させることにより、例えば、第1通水部材71の位置を決め易くする。同様に、支持部材120は、各第2係合部122を各被係合部94と係合させることにより、例えば、第2通水部材72の位置を決め易くする。
【0076】
このように、汚物流しユニット10では、第2接続部82aと第2接続部82bとを付け替えるだけで、第1取付状態と第2取付状態とに対応することができる。汚物流しユニット10では、第1接続部81や支持部材120などの多くの部材を第1取付状態と第2取付状態とに共通に用いることができる。これにより、第1取付状態と第2取付状態とのそれぞれに対応させて各部材を製造する場合と比べて、汚物流しユニット10の製造コストを抑えることができる。
【0077】
この例では、突起状の被係合部94と、貫通孔状の第1係合部121及び第2係合部122とを示している。これとは反対に、被係合部94を貫通孔状とし、第1係合部121及び第2係合部122を突起状としてもよい。被係合部94、第1係合部121、及び第2係合部122のそれぞれの形状は、上記に限ることなく、互いに係合が可能な任意の形状でよい。また、この例では、被係合部94、第1係合部121、及び第2係合部122をそれぞれ2つずつ設けている。被係合部94、第1係合部121、及び第2係合部122の数は、2つに限ることなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0078】
以上、説明したように、本実施形態に係る汚物流しユニット10によれば、給水口42及び吐出口44が、ボウル部14の左右方向の中央位置に対して右側又は左側に設けられ、ボウル面40を旋回する旋回流RFとなるように洗浄水をボウル面40に吐出することにより、ボウル面40の高い洗浄性能を得ることができる。そして、ボウル部14が、ライニング12の左右方向の幅が狭くなる方向に、給水口42の左右方向の中央位置を、供給口62の左右方向の中央位置と異ならせて、ライニング12の前面に設けられていることにより、給水口42の左右方向の中央位置が供給口62の左右方向の中央位置と同じである場合と比べて、ライニング12の左右方向の幅を狭くすることができる。従って、ボウル面40の高い洗浄性能とコンパクト化とを両立可能な汚物流しユニット10を提供することができる。
【0079】
汚物流しユニット10では、例えば、ライニング12の左右方向の幅を一般のトイレブースの幅に対応した550mm以下に設定することができる。これにより、一般のトイレブースに汚物流しユニット10を設置することが可能となり、オストメイトの方に気まずい思いをさせてしまうことを抑制することができる。
【0080】
汚物流しユニット10では、差し込み部104、114の前後方向の長さL11、L12が、供給口62に接続された状態における第1接続部81の後端からライニング12の後端までの前後方向の長さL21、L22よりも短いことにより、施工時に、第1接続部81の後端がライニング12の後端に当接してしまうことを抑制し、差し込み部104、114を給水口42に差し込み易くすることができる。
【0081】
汚物流しユニット10では、支持部材120が、第1取付状態において第1接続部81の被係合部94と係合する第1係合部121と、第2取付状態において第1接続部81の被係合部94と係合する第2係合部122と、を有する。これにより、第1接続部81及び支持部材120をボウル部14の第1取付状態及び第2取付状態に対して共通に用いることができる。これにより、第1取付状態に対応する第1接続部81及び支持部材120と、第2取付状態に対応する第1接続部81及び支持部材120と、を個別に製造する場合と比べて、汚物流しユニット10の製造コストを抑えることができる。また、ボウル部14を第1取付状態とするか第2取付状態とするかは、トイレ空間によりまちまちであり、施工の現場で決まる場合もある。この際、第1接続部81及び支持部材120を第1取付状態及び第2取付状態のどちらにも対応できるようにすることにより、第1取付状態と第2取付状態との変更をし易くすることができる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、汚物流しユニット10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0083】
10 汚物流しユニット、 12 ライニング、 14 ボウル部、 20 フレーム、 21 第1前面板、 22 第2前面板、 24 天板、 26 点検口、 30 吐水部、 31 操作部、 32 鏡、 33 ソープディスペンサ、 34 紙巻器、 35 洗浄ボタン、 40 ボウル面、 42 給水口、 44 吐出口、 46 排出口、 50 洗浄水タンク、 52 通水部材、 54 排水用配管、 56 電気温水器、 60 タンク本体、 62 供給口、 64 駆動部、 66 手動操作部、 71 第1通水部材、 72 第2通水部材、 81 第1接続部、 82a、82b 第2接続部、 91 第1接続口、 92 第2接続口、 94 被係合部、 101、111 第1部分、 102、112 第2部分、 104、114 差し込み部、 120 支持部材、 121 第1係合部、 122 第2係合部