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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】荷重変換器
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/22 20060101AFI20220127BHJP
【FI】
G01L1/22 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017221769
(22)【出願日】2017-11-17
(65)【公開番号】P2019095201
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591156799
【氏名又は名称】ユニパルス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 璋好
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-300908(JP,A)
【文献】特開平10-185711(JP,A)
【文献】実開平6-74942(JP,U)
【文献】米国特許第5247837(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00- 1/26
G01L 5/00- 5/28
G01G 1/00-23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の荷重に対して軸方向に剛性大なる柱状の荷重受け部と、
前記荷重受け部の側面と所定間隔にて前記荷重受け部を囲うように配置され前記軸方向に剛性大なる固定部と、
前記荷重受け部と前記固定部とを、前記荷重受け部から前記固定部へ向かう放射方向にて連結して、前記荷重受け部が受ける荷重に応じて弾性変形する連結部と、
前記連結部に設けられて前記連結部に加わる荷重を検出する荷重検出部と、
を備えた荷重変換器であって、
前記連結部は、
前記軸方向には厚肉で、前記放射方向には等角度間隔でそれぞれ設けられる複数の第1の連結部と、
前記軸方向には前記第1の連結部よりも薄肉で、前記放射方向には隣り合う前記第1の連結部の中間位置に等角度間隔でそれぞれ設けられる複数の第2の連結部とを有し、前記荷重検出部は、前記各第2の連結部の前記放射方向における伸縮歪みを検出するように設けられていることを特徴とする荷重変換器。
【請求項2】
前記第2の連結部は、前記荷重受け部及び前記固定部から徐々に前記軸方向の肉厚が減少して前記第2の連結部の前記放射方向の略中央部で最薄肉部を有することを特徴とする請求項1に記載の荷重変換器。
【請求項3】
前記荷重受け部と前記固定部と前記連結部は同一部材から形成され、前記連結部は前記軸方向のみからの穿設によって形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の荷重変換器。
【請求項4】
前記連結部は、前記荷重受け部と前記固定部との前記所定間隔以下の直径の円による穿設によって形成されることを特徴とする請求項3に記載の荷重変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重を電気信号に変換する荷重変換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の荷重変換器(ロードセル)において、荷重の出力を得る方法として、圧縮引張、曲げ、剪断のいずれかによる歪みを歪みゲージで検出する方法が用いられている。その中で剪断歪みを用いる方法は、出力の直線性に優れ、小型化にも有利であって広く用いられている。その際、剪断歪みを検出するために、例えば中央に荷重を直接受ける荷重受け部を設け、その外周に所定の間隔を有して設けた固定部との間に比較的容易には変形しない連結部を設けて、その連結部の側面に剪断歪みを検出するように歪みゲージを貼るという構成が一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭60-249025号公報
【文献】特開昭60-20133号公報
【文献】特開2002-365147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1の図2及び図3のように連結部の側面に歪みゲージを設けているため、作業性に課題があった。特に小型の荷重変換器において連結部の側面の所定の位置に歪みゲージを貼るのは周りに固定部があるために非常に困難であった。また特許文献2のように外周の固定部をザグって歪みゲージを貼る面を設けた構造では荷重変換器の高さ方向が大きくなることから、薄い扁平型の荷重変換器の実現は難しい。さらに特許文献3のように荷重印加方向から歪みゲージを貼れるように工夫されたものがあるものの、連結部の形成のために外周固定部の側面からの加工を行っているので、連結部の形状も非常に複雑になって、加工性やコスト面で充分なものとは言えず改善の余地があった。
【0005】
このような問題に鑑みて、本発明は、加工性及び組立て性に優れ、しかも高精度で低コストの荷重変換器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の荷重変換器は、上記の目的を達成するために、測定対象の荷重に対し
て軸方向に剛性大なる柱状の荷重受け部と、
荷重受け部の側面と所定間隔にて荷重受け部を囲うように配置され軸方向に剛性大なる固定部と、
荷重受け部と固定部とを、荷重受け部から固定部へ向かう放射方向にて連結して、荷重受け部が受ける荷重に応じて弾性変形する連結部と、
連結部に設けられて連結部に加わる荷重を検出する荷重検出部と、
を備えた荷重変換器であって、
連結部は、
軸方向には厚肉で、放射方向には等角度間隔でそれぞれ設けられる複数の第1の連結部と、
軸方向には第1の連結部よりも薄肉で、放射方向には隣り合う第1の連結部の中間位置に等角度間隔でそれぞれ設けられる複数の第2の連結部とを有し、
荷重検出部は、各第2の連結部の放射方向における伸縮歪みを検出するように設けられて構成されている。
【0007】
請求項2に記載の荷重変換器は、上記の目的を達成するために、第2の連結部は、荷重受け部及び固定部から徐々に軸方向の肉厚が減少して第2の連結部の放射方向の略中央部で最薄肉部を有して構成されている。
【0008】
請求項3に記載の荷重変換器は、上記の目的を達成するために、荷重受け部と固定部と連結部は同一部材から形成され、連結部は軸方向のみからの穿設によって形成されている。
【0009】
請求項4に記載の荷重変換器は、上記の目的を達成するために、連結部は、荷重受け部と固定部との所定間隔以下の直径の円による穿設によって形成されている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明の荷重変換器によれば、荷重検出部が第2の連結部の放射方向の伸縮歪みを検出することで荷重を測定するように設けられているので、荷重検出部の形成が容易であって、組立て性に優れた荷重変換器を提供できる。
【0011】
請求項2に記載の発明の荷重変換器によれば上記効果に加えて、第2の連結部の放射方向の伸縮歪みを高精度に検出することが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明の荷重変換器によれば上記効果に加えて、荷重受け部と固定部と連結部は同一部材から形成されているので、連結部を均等に変形させることが可能であり、高精度な荷重変換器を提供できる。
【0013】
請求項4に記載の発明の荷重変換器によれば上記効果に加えて、連結部は軸方向から所定の直径以下の円の穿設のみによって形成することができる。このことから連結部の形成のために固定部の外側壁面からの加工を必要としないので、大幅な加工時間の短縮ができコスト低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の上面側からの斜視外観図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の平面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の底面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器のAA断面斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器のBB断面斜視図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器のCC断面斜視図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器内の荷重検出部で構成するホイートストンブリッジ回路図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器の上面側からの斜視外観図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器の平面図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器の底面図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器のDD断面斜視図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器のEE断面斜視図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器のFF断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器1aについて、図面を基に詳細な説明を行う。図1は本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器1aを上方斜めから見おろした斜視外観図である。
【0016】
荷重変換器1aは、主要なものとして、Z方向から印加される測定対象の荷重に当接して荷重を受ける略円柱形状の荷重受け部2と、荷重受け部2の円柱側面を囲むように外周に配置される略円筒形状の固定部3と、荷重受け部2と固定部3とを繋ぐ連結部と、連結部に貼着されて連結部の弾性変形による歪みを検出する荷重検出部で構成されている。なお本実施形態ではZ方向を図1に示すように、荷重方向すなわち荷重受け部端面2aに垂直な方向と定義する。
【0017】
荷重受け部2は、測定する対象の荷重印加物が直接的又は間接的に当接する端部の荷重受け部端面2a、2bと、Z方向には円柱面形状の荷重受け部円柱面2cと、を有する柱状の形状である。そして荷重受け部2には例えば荷重が正負いずれかのZ方向に加わり、荷重受け部2はこの荷重方向を軸とする柱状であってこの軸方向に剛性大である。
【0018】
固定部3は、荷重受け部2の荷重受け部円柱面2cと同軸で、荷重受け部2の側面の荷重受け部円柱面2cを囲うように略円筒形状でかつ剛性大にて配置されている。固定部3は、不図示の構造物等に固定できるように設けた固定部円筒端面3a、3bと、Z方向には円筒内面形状の固定部円筒内面3cと、を有する。
【0019】
連結部は、第1の連結部4と第2の連結部5で構成されて、荷重受け部2の荷重受け部円柱面2cと、固定部3の固定部円筒内面3cとを連結している。
【0020】
第1の連結部4は複数の第1の連結部4a~4hで構成され、荷重受け部2の軸方向すなわちZ方向においては厚肉である。そして第1の連結部4の固定部円筒端面3a側の端面が第1の平面部6aである。一方図1には現れないが、第1の連結部4の固定部円筒端面3b側の端面が第1の平面部6bである。
【0021】
また第2の連結部5は複数の第2の連結部5a~5dを含んで構成され、荷重受け部2の軸方向すなわちZ方向においては第1の連結部4よりも薄肉で構成されている。第2の連結部5a~5dのZ方向における厚みは、荷重受け部円柱面2cから荷重受け部2の中心から放射方向である半径方向外側に向かって徐々に減少し、略中央部で最小となって、この中央部付近から外側に向かって徐々に増加して固定部円筒内面3cに連結する形状となっている。また第2の連結部5a~5dは、固定部円筒端面3a側には第2の平面部7aを有し、Z方向の肉厚の増減はこの第2の平面部7aと反対側である固定部円筒端面3b側の面によるものである。
【0022】
そして連結部は、荷重受け部端面2aから負のZ方向にて、第2の連結部5a~5d、第1の連結部4a~4h、第2の連結部5e~5hの順で配置されている。なお第2の連結部5e~5hは図1には現れないので詳細は後述する。
【0023】
図2は本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器1aの平面図である。第2の連結部5bと第2の連結部5dは、X方向に設けられ、第2の連結部5aと第2の連結部5cは、Y方向に設けられている。すなわち荷重受け部2を中心として、第2の連結部5a~5dは同一形状で放射状に配置されている。本実施形態では荷重受け部2は円筒形であるから、第2の連結部5a~5dは荷重受け部2の円周方向に90度の等角度間隔でそれぞれ配置されている。
【0024】
第2の連結部5a~5dそれぞれは、荷重受け部2の半径方向においてその幅が、荷重受け部円柱面2cから固定部円筒内面3cに向かって徐々に減少し、固定部3と荷重受け部2との略中央部付近で最小となって、この中央部付近から固定部円筒内面3cに向かって徐々に増加して固定部円筒内面3cに連結する形状となっている。
【0025】
そして第2の連結部5a~5dの第2の平面部7aには、荷重検出部G1t~G4t、荷重検出部G1c~G4cがそれぞれ貼着されている。より詳細には、例えば荷重検出部G1tと荷重検出部G1cは第2の連結部5aの第2の平面部7a上に、第2の連結部5aのZ方向における最薄肉部9を挟むようにして、荷重受け部2の半径方向に歪みの最大感度を有し、第2の連結部5aの歪みに対して最大感度となる付近に貼着されている。そして荷重受け部端面2a側から荷重受け部端面2b側へ向かってすなわち負のZ方向に荷重変換器1aが荷重を受けた場合には、荷重検出部G1tは引張応力、荷重検出部G1cは圧縮応力を検出する。したがって荷重検出部G1t、G1cは第2の連結部5aの放射方向の伸縮歪みを検出することになる。
【0026】
第2の連結部5aと同様に、第2の連結部5bの第2の平面部7a上には、荷重検出部G2tと荷重検出部G2cが第2の連結部5bの最薄肉部9を挟むようにして、荷重受け部2の半径方向に歪みの最大感度を有し、第2の連結部5bの歪みに対して最大感度となる付近に貼着されている。第2の連結部5c、第2の連結部5dにおいても同様である。
【0027】
一方第2の連結部5e~5hが、荷重受け部2の円周方向に90度の等間隔でそれぞれ配置されている。第2の連結部5e~5hは、第2の連結部5a~5dに対して、荷重受け部2の円周方向にそれぞれ45度の角度差で配置されている。第2の連結部5e~5hは、Z方向においては第2の連結部5a~5dと反対向きに設けられていることから、図2において傾斜部8と最薄肉部9が現れる。
【0028】
第1の連結部4a~4hは8箇所あって、同一の形状であって荷重受け部2を中心として放射状に配置されている。本実施形態では荷重受け部2は円筒形であるから、第1の連結部4a~4hは荷重受け部2の円周方向に45度の等角度間隔で配置されている。そして第1の連結部4a~4hの円周方向位置は、第2の連結部5a~5hのそれぞれの円周方向の中間位置である。よって、第2の連結部5aを起点として、円周方向反時計回りに、第1の連結部4a、第2の連結部5e、第1の連結部4b、第2の連結部5b、第1の連結部4c、第2の連結部5f、第1の連結部4d、第2の連結部5c、第1の連結部4e、第2の連結部5g、第1の連結部4f、第2の連結部5d、第1の連結部4g、第2の連結部5h、第1の連結部4hの順で各連結部が配置されている。
【0029】
図3は本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器1aの底面図であって図2の荷重変換器1aを紙面裏側から見たものである。
【0030】
荷重受け部2を中心として、第2の連結部5e~5hは同一形状で、かつ荷重受け部2の円周方向に90度の等角度間隔でそれぞれ配置されている。そして第2の連結部5e~5hは、円周方向で第2の連結部5a~5dとは45度の角度差にてそれぞれ配置されている。
【0031】
そして第2の連結部5e~5hそれぞれの荷重受け部端面2b側に、同一平面で設けられた第2の平面部7bには、荷重検出部G5t~G8t、荷重検出部G5c~G8cが貼着されている。より詳細には、例えば荷重検出部G5tと荷重検出部G5cは第2の連結部5eの第2の平面部7b上に、第2の連結部5eの最薄肉部9を挟むようにして、荷重受け部2の半径方向に歪の最大感度を有し、第2の連結部5eの歪みに対して最大感度となる付近に貼着されている。そして荷重受け部端面2a側から荷重受け部端面2b側へ向かってすなわち負のZ方向に荷重変換器1aが荷重を受けた場合には、第2の連結部5eにおいて、荷重検出部G5tは引張応力、荷重検出部G5cは圧縮応力を検出する。
【0032】
第2の連結部5eと同様に、第2の連結部5fの第2の平面部7b上には、荷重検出部G6tと荷重検出部G6cが第2の連結部5fの最薄肉部9を挟むようにして、荷重受け部2の半径方向に歪の最大感度を有し、第2の連結部5fの歪みに対して最大感度となる付近に貼着されている。第2の連結部5g、第2の連結部5dにおいても同様である。
【0033】
荷重検出部G1c~G8c、荷重検出部G1t~G8tは本実施形態では歪みゲージであるが、弾性変形する第2の連結部5の変形量から荷重検出の機能を有するものであればこれに限定されるものではない。
【0034】
図4は、図2において断面AAで切断したものをZ方向上側から見おろした断面斜視図である。
【0035】
断面を切断した箇所には第2の連結部5bと第2の連結部5dが該当する。第2の連結部5bは荷重受け部円柱面2cから半径外側方向に向かって、第2の平面部7aと平行に一定の肉厚を有した部分と、肉厚が減少する傾斜部8と、最薄肉部9と、次いで肉厚が増加する傾斜部8と、第2の平面部7aと平行に一定の肉厚を有した部分を有して固定部円筒内面3cに連結されている。そして第2の連結部5bの傾斜部8と対向する第2の平面部7aに、荷重検出部G2cと荷重検出部G2tが貼着されている。第2の連結部5dの傾斜部8に対向する第2の平面部7aにも同様に、荷重検出部G4cと荷重検出部G4tとが貼着されている。
【0036】
図5は、図2において断面BBで切断したものをZ方向上側から見おろした断面斜視図である。
【0037】
断面を切断した箇所には第2の連結部5eと第2の連結部5gが該当する。第2の連結部5eは荷重受け部円柱面2cから半径外側方向に向かって、第2の平面部7bと平行に一定の肉厚を有した部分と、肉厚が減少する傾斜部8と、最薄肉部9と、次いで肉厚が増加する傾斜部8と、第2の平面部7bと平行に一定の肉厚を有した部分を有して固定部円筒内面3cに連結されている。そしてこの傾斜部8と対向する第2の平面部7bに荷重検出部G5tと荷重検出部G5cが貼着されている。第2の連結部5gの傾斜部8に対向する第2の平面部7bにも同様に、荷重検出部G7cと荷重検出部G7tとが貼着されている。
【0038】
図5により荷重受け部端面2aから負のZ方向に、第2の連結部5a~5d、第1の連結部4a~4h、第2の連結部5e~5hの順にそれぞれ連結部が配置されていることがわかる。
【0039】
図6は、図3において断面CCで切断したものをZ方向上側から見おろした断面斜視図である。
【0040】
断面を切断した箇所には第1の連結部4bと第1の連結部4fが該当する。第1の連結部4は第2の連結部5と比較してZ方向の肉厚が大きく設けられている。そして第1の連結部4は、固定部円筒端面3a側には第1の平面部6aが、固定部円筒端面3b側には第1の平面部6bが、それぞれ設けられている。
【0041】
図7は本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器1a内の荷重検出部を含んで構成するホイートストンブリッジ回路図である。荷重検出部G1t~G4t、荷重検出部G5t~G8tは引張り側の検出であって、それぞれ直列に一辺で組まれて配置される。それぞれ直列に一辺で組まれた荷重検出部G1t~G4tと、荷重検出部G5t~G8tは、ホイートストンブリッジ回路では4辺のうち向かい合う辺として配置される。一方で荷重検出部G1c~G4c、荷重検出部G5c~G8cは圧縮側の検出であって、これもそれぞれ直列に一辺で組まれて配置される。それぞれ直列に一辺で組まれた荷重検出部G1c~G4cと、荷重検出部G5c~G8cも、ホイートストンブリッジ回路では4辺のうち向かい合う辺として配置される。そして電源Eを端子T1-T3間に印加すると、端子T2-T4間に出力S+、S-が電気信号である電圧に変換されて出力される。この構成は、各辺が4つの荷重検出部で構成されていることからホイートストンブリッジ回路の一辺の抵抗値が大きく、電源Eの電圧を大きくすることができて、出力S+、S-を大きくすることができる。
【0042】
図8は本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器1bを上方斜めから見た斜視外観図である。
【0043】
荷重変換器1bは、主要なものとして、印加される荷重物に当接して荷重を受ける略円柱形状の荷重受け部2と、荷重受け部2の円柱側面に配置される略円筒形状の固定部3と、荷重受け部2と固定部3とを繋ぐ連結部と、連結部に貼着されて連結部の弾性変形による歪みを検出する荷重検出部で構成されている。
【0044】
主な構成は第1の実施形態にかかわる荷重変換器1aと同じであるため、相違点のみ記述する。
【0045】
荷重変換器1bは、荷重受け部2と固定部3とを繋ぐ連結部を構成する第1の連結部4と第2の連結部5とが独立した形状ではなく、連続的に繋がった形状である。例えば、第1の連結部4aと第2の連結部5aと第1の連結部4hとは連続的に配置され、第1の連結部4aの第1の平面部6aと、第2の連結部5aの第2の平面部7aと、第1の連結部4hの第1の平面部6aとは同一平面にて設けられている。
【0046】
図9は本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器1bの平面図である。また図10は本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器1bの底面図である。
【0047】
第2の連結部5a~5dの傾斜部8及び最薄肉部9は正のZ方向からの穿設によって形成される。一方第2の連結部5a~5dの傾斜部8及び最薄肉部9は負のZ方向から、第2の連結部5a~5dに対して、荷重受け部2の円周方向に45度の角度差の穿設によって形成される。そしてこの正負のZ双方向からの穿設した孔の間で残存させた部分が第1の連結部4a~4hである。
【0048】
図11は、図9において断面DDで切断したものをZ方向上側から見おろした断面斜視図である。
【0049】
図11において、断面を切断した箇所には第2の連結部5bと第2の連結部5dが該当する。第2の連結部5bは荷重受け部円柱面2cから半径外側方向に向かって、肉厚が減少する傾斜部8と、最薄肉部9と、次いで肉厚が増加する傾斜部8とを有して固定部円筒内面3cに連結されている。そして第2の連結部5bの傾斜部8及び最薄肉部9に対向する第2の平面部7aに、荷重検出部G2cと荷重検出部G2tが貼着されている。第2の連結部5dの傾斜部8に対向する第2の平面部7aにも同様に、荷重検出部G4cと荷重検出部G4tとが貼着されている。
【0050】
図12は、図9において断面EEで切断したものをZ方向上側から見おろした断面斜視図である。
【0051】
図12において、断面を切断した箇所には第2の連結部5eと第2の連結部5gが該当する。第2の連結部5eは荷重受け部円柱面2cから半径外側方向に向かって、肉厚が減少する傾斜部8と、最薄肉部9と、次いで肉厚が増加する傾斜部8とを有して固定部円筒内面3cに連結されている。そして第2の連結部5eの傾斜部8及び最薄肉部9に対向する第2の平面部7bに、荷重検出部G5cと荷重検出部G5tが貼着されている。第2の連結部5gの傾斜部8に対向する第2の平面部7bにも同様に、荷重検出部G7cと荷重検出部G7tとが貼着されている。
【0052】
図13は、図9において断面FFで切断したものをZ方向上から見おろした断面斜視図である。
【0053】
断面を切断した箇所には第1の連結部4bと第1の連結部4fが該当する。第1の連結部4は第2の連結部5と比較してZ方向の肉厚が大きく設けられている。そして第1の連結部4のZ方向の端面が第1の平面部6aと第1の平面部6bであって、これは第2の平面部7aと第2の平面部7bとそれぞれ同一面である。
【0054】
ゆえに第1の実施形態及び第2の実施形態のいずれにおいても、放射方向に伸びて設けられた連結部は、放射方向に略垂直な方向からの荷重受け部2と固定部3の所定間隔以下の寸法Hの直径の円の刃物等による穿設のみによって形成することができる。このことから連結部の形成において固定部3の外側円筒壁面からの加工を必要としないので、大幅な加工時間の短縮ができコスト低減が可能となる。
【0055】
また第1の実施形態及び第2の実施形態のいずれにおいても、荷重受け部、固定部及び連結部は同一部材から切り出して製作することができるので、荷重を受けた際に連結部を均等に変形させることが可能なため高精度な荷重変換器を実現でき、例えば荷重検出部を別体にした別体型のように組み立てて調整する必要がないという利点がある。
【0056】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の活用例として、ロードセルなど荷重を測定する装置への適用が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1a、1b :荷重変換器
2 :荷重受け部
2a、2b :荷重受け部端面
2c :荷重受け部円柱面
3 :固定部
3a、3b :固定部円筒端面
3c :固定部円筒内面
4、4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h :第1の連結部
5、5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h :第2の連結部
6a、6b :第1の平面部
7a、7b :第2の平面部
8 :傾斜部
9 :最薄肉部
G1c~G8c :荷重検出部
G1t~G8t :荷重検出部
図1
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