(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】廃棄物収容容器
(51)【国際特許分類】
B65F 1/16 20060101AFI20220127BHJP
B65F 1/00 20060101ALI20220127BHJP
E05B 3/04 20060101ALI20220127BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
B65F1/16
B65F1/00 A
E05B3/04 Z
E05B65/00 D
(21)【出願番号】P 2017151499
(22)【出願日】2017-08-04
【審査請求日】2020-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 彩央里
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-180504(JP,A)
【文献】登録実用新案第3197123(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 1/16
B65F 1/00
E05B 3/04
E05B 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口部となっており内部に廃棄物を収容する容器本体と,前記容器本体の開口部を上方で塞ぐ開閉可能な蓋とを有する廃棄物収容容器であって,
前記容器本体の開口部の縁辺の少なくとも一部に対し外向きに張り出した形状の上縁部と,
前記上縁部の外側から下向きに形成された折り返し壁部
と,
前記蓋に
備えられた,開閉動作を許容する解錠状態と開閉動作を禁止する施錠状態とを取る施錠部材
とを有し,
前記上縁部
から前記折り返し壁部に及んで,前記蓋の開閉動作に際して,解錠状態での前記施錠部材の通過を許容し施錠状態での前記施錠部材の通過を禁止する挿入口が形成されて
おり,
前記蓋は,閉じた状態では前記挿入口を,そのうち前記折り返し壁部を開口した部分である縦部をも含めて覆うものであり,
前記施錠部材は,
前記蓋を閉じた状態ではその全部が,前記上縁部より下側かつ前記折り返し壁部より内側の空間内に位置するように,
前記蓋のうち,閉じた状態で前記挿入口の縦部を覆う部分に取り付けられていることを特徴とする廃棄物収容容器。
【請求項2】
上部が開口部となっており内部に廃棄物を収容する容器本体と,前記容器本体の開口部を上方で塞ぐ開閉可能な蓋とを有する廃棄物収容容器であって,
前記容器本体の開口部の縁辺の少なくとも一部に対し外向きに張り出した形状の上縁部と,
前記上縁部の外側から下向きに形成された折り返し壁部
と,
前記蓋に
備えられた,開閉動作を許容する解錠状態と開閉動作を禁止する施錠状態とを取る施錠部材
とを有し,
前記上縁部
から前記折り返し壁部に及んで,前記蓋の開閉動作に際して,解錠状態での前記施錠部材の通過を許容し施錠状態での前記施錠部材の通過を禁止する挿入口が形成されて
おり,
前記蓋には,外部からの解錠状態と施錠状態との切替操作により前記施錠部材を揺動動作させる施錠軸が,側方から見て横方向に設けられており,
前記施錠部材は,
前記蓋を閉じた状態ではその全部が,前記上縁部より下側かつ前記折り返し壁部より内側の空間内に位置するとともに,
前記施錠軸に対して角度を付けて設けられた部材であり,
解錠状態にて前記施錠軸から下向きとなり,
施錠状態にて前方から見て前記施錠軸から横向きであり前記蓋を開く動作をすると前記上縁部の裏面と干渉する配置となるものであることを特徴とする廃棄物収容容器。
【請求項3】
上部が開口部となっており内部に廃棄物を収容する容器本体と,前記容器本体の開口部を上方で塞ぐ開閉可能な蓋とを有する廃棄物収容容器であって,
前記容器本体の開口部の縁辺の少なくとも一部に対し外向きに張り出した形状の上縁部と,
前記上縁部の外側から下向きに形成された折り返し壁部
と,
前記蓋に
備えられた,開閉動作を許容する解錠状態と開閉動作を禁止する施錠状態とを取る施錠部材
とを有し,
前記上縁部
から前記折り返し壁部に及んで,前記蓋の開閉動作に際して,解錠状態での前記施錠部材の通過を許容し施錠状態での前記施錠部材の通過を禁止する挿入口が形成されて
おり,
前記蓋には,外部からの解錠状態と施錠状態との切替操作により前記施錠部材を揺動動作させる施錠軸が,側方から見て横方向に設けられており,
前記施錠部材は,
前記施錠軸に対して角度を付けて設けられた部材であるとともに,
解錠状態にて前記施錠軸から下向きとなり,
施錠状態にて前方から見て前記施錠軸から横向きとなるものであり,
前記上縁部のうち,前記蓋を閉じてかつ施錠状態にした状態での前記施錠部材と対面する範囲内の裏面に,補強形状部が形成されていることを特徴とする廃棄物収容容器。
【請求項4】
上部が開口部となっており内部に廃棄物を収容する容器本体と,前記容器本体の開口部を上方で塞ぐ開閉可能な蓋とを有する廃棄物収容容器であって,
前記容器本体の開口部の縁辺の少なくとも一部に対し外向きに張り出した形状の上縁部と,
前記上縁部の外側から下向きに形成された折り返し壁部
と,
前記蓋に
備えられた,開閉動作を許容する解錠状態と開閉動作を禁止する施錠状態とを取る施錠部材
とを有し,
前記上縁部
から前記折り返し壁部に及んで,前記蓋の開閉動作に際して,解錠状態での前記施錠部材の通過を許容し施錠状態での前記施錠部材の通過を禁止する挿入口が形成されて
おり,
前記施錠部材は,前記蓋を閉じた状態ではその全部が,前記上縁部より下側かつ前記折り返し壁部より内側の空間内に位置するものであり,
前記折り返し壁部の下端のうち前記挿入口に対応する範囲を含む範囲,および前記蓋の縁辺のうち前記施錠部材に対応する範囲を含む範囲にそれぞれ,他の範囲よりも下向きに延長された施錠部材保護部が形成されていることを特徴とする廃棄物収容容器。
【請求項5】
上部が開口部となっており内部に廃棄物を収容する容器本体と,前記容器本体の開口部を上方で塞ぐ開閉可能な蓋とを有する廃棄物収容容器であって,
前記容器本体の開口部の縁辺の少なくとも一部に対し外向きに張り出した形状の上縁部と,
前記上縁部の外側から下向きに形成された折り返し壁部
と,
前記蓋に
備えられた,開閉動作を許容する解錠状態と開閉動作を禁止する施錠状態とを取る施錠部材
とを有し,
前記上縁部
から前記折り返し壁部に及んで,前記蓋の開閉動作に際して,解錠状態での前記施錠部材の通過を許容し施錠状態での前記施錠部材の通過を禁止する挿入口が形成され
ており,
前記蓋は,閉じた状態では前記挿入口を,そのうち前記折り返し壁部を開口した部分である縦部をも含めて覆うものであり,
前記蓋には,外部からの解錠状態と施錠状態との切替操作により前記施錠部材を揺動動作させる施錠軸が,側方から見て横方向に設けられており,
前記施錠部材と前記施錠軸とが錠前を構成しており,
前記錠前は,前記蓋のうち,閉じた状態で前記縦部を覆う部分に取り付けられており,
前記施錠部材は,
解錠状態にて前記施錠軸から下向きとなり,
施錠状態にて前方から見て前記施錠軸から横向きとなるものであり,
前記蓋における前記錠前の取り付け箇所に対して対辺である部位に,前記折り返し壁部の下端に引っ掛けられる引っ掛け爪が設けられていることを特徴とする廃棄物収容容器。
【請求項6】
請求項2から請求項5までのいずれか1つに記載の廃棄物収容容器であって,
前記蓋は,閉じた状態では前記挿入口をも覆うものであり,
前記施錠部材は,前記蓋のうち,閉じた状態で前記挿入口を覆う部分に取り付けられていることを特徴とする廃棄物収容容器。
【請求項7】
請求項1
から請求項6までのいずれか1つに記載の廃棄物収容容器であって,
前記蓋には,閉じた状態で前記折り返し壁部の外側に重なる裾壁部が形成されており, 前記裾壁部には,前記施錠部材の解錠状態と施錠状態との切替操作を外部から行うための施錠操作部が,操作面を外向きに向けて取り付けられていることを特徴とする廃棄物収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,廃棄物の投入を受け入れて,投入された廃棄物を収容する廃棄物収容容器に関する。さらに詳細には,蓋を閉じて廃棄物の投入を規制するとともに,収容した廃棄物を除去するために蓋を開くことができるようになっている廃棄物収容容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の廃棄物収容容器の一例として,特許文献1に記載されているものを挙げることができる。同文献の
図1に記載されている「ボックス本体1」には,「ダスト投入口2」が形成されている。そして「蓋体3」により,「ダスト投入口2」を閉じたり(同文献の
図4)開いたり(同文献の
図1)できるようになっている。さらに,この「ボックス本体1」には,「錠前9」が設けられている。これにより,「蓋体3」を閉じたままとすることができるようになっている。不法投棄の防止のためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記した従来の技術においては,次のような問題点があった。すなわち,「錠前9」が「ボックス本体1」の外面から突出した,大変に目立つ位置にあることである。このため,「ボックス本体1」を屋外に設置した場合には「錠前9」が直接風雨にさらされることになる。したがって発錆による「錠前9」の劣化が起こりやすい。また,不審者による「錠前9」へのいたずらもなされやすい。また,「ボックス本体1」を施錠状態のまま移動させる場合など,突出している「錠前9」が「ボックス本体1」の運搬作業の邪魔になることもある。さらには,解錠状態では「錠前9」の紛失の懸念もある。
【0005】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,蓋の開閉を施錠できるとともに,施錠している状況でもその施錠部材が外部から大きく目立つことのない位置に配置される廃棄物収容容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の各態様における廃棄物収容容器では,上部が開口部となっており内部に廃棄物を収容する容器本体と,容器本体の開口部を上方で塞ぐ開閉可能な蓋とを有する廃棄物収容容器であって,容器本体の開口部の縁辺の少なくとも一部に対し外向きに張り出した形状の上縁部と,上縁部の外側から下向きに形成された折り返し壁部とを有し,蓋には,開閉動作を許容する解錠状態と開閉動作を禁止する施錠状態とを取る施錠部材が備えられており,上縁部から折り返し壁部に及んで,蓋の開閉動作に際して,解錠状態での施錠部材の通過を許容し施錠状態での施錠部材の通過を禁止する挿入口が形成されている。
【0007】
上記態様における廃棄物収容容器では,蓋を容器本体の上方に置いて,容器本体の開口部を塞いだ閉状態とすることができる。この状態では容器本体への廃棄物の投入が蓋により規制される。一方,蓋を開状態とすれば,廃棄物の投入に対する蓋による規制はない。なお,蓋または容器本体に投入口を設けておくことにより,閉状態でも投入口を経由しての廃棄物の投入のみを許容することができる。施錠部材が解錠状態になっていれば,蓋の開閉動作は自由にできる。施錠部材が挿入口を通過することが許容されているからである。施錠部材を施錠状態にすると,施錠部材が挿入口を通過することができない。このため,蓋を閉じて施錠部材を施錠状態にすることで,蓋を閉じたままとすることができる。
【0008】
ここで蓋を閉じた状態では,施錠部材は,挿入口より下方,すなわち上縁部より下方に位置する。そしてこの施錠部材よりも容器本体から見て外側の位置に折り返し壁部が位置する。つまり蓋を閉じた状態での施錠部材は,上方が上縁部により仕切られ,前方側が折り返し壁部により仕切られた空間内に位置する。このため,施錠部材が外部から目立ちにくく,雨水も掛かりにくく,外部に突出してもいない。
【0009】
本発明の一態様における廃棄物収容容器ではさらに,蓋は,閉じた状態では挿入口を,そのうち折り返し壁部を開口した部分である縦部をも含めて覆うものであり,施錠部材は,蓋を閉じた状態ではその全部が,上縁部より下側かつ折り返し壁部より内側の空間内に位置するように,蓋のうち,閉じた状態で挿入口の縦部を覆う部分に取り付けられている。このように挿入口が前方に大きく形成されていると,蓋の開閉動作が単純な垂直移動でない場合でも,施錠部材と挿入口との干渉が起こりにくい。また,容器本体にポリ袋を装着して使用する場合でも,蓋を閉じる動作や施錠動作によりポリ袋が損傷しにくい。また,このように挿入口が大きく形成されていても,蓋を閉じた状態での施錠部材は,蓋により周囲から保護されている。この場合の施錠部材も,蓋の当該部分に対して間接的に取り付けられているものであってもよい。このように挿入口が形成されていても,蓋を閉じた状態での施錠部材は,蓋により周囲から保護された状態となる。なお,施錠部材は蓋における当該部分に対して,他の部材を介して間接的に取り付けられているものであってもよい。
【0010】
本発明の別の一態様における廃棄物収容容器ではまた,蓋には,外部からの解錠状態と施錠状態との切替操作により施錠部材を揺動動作させる施錠軸が,側方から見て横方向に設けられており,施錠部材は,蓋を閉じた状態ではその全部が,上縁部より下側かつ折り返し壁部より内側の空間内に位置するとともに,施錠軸に対して角度を付けて設けられた部材であり,解錠状態にて施錠軸から下向きとなり,施錠状態にて前方から見て施錠軸から横向きであり蓋を開く動作をすると上縁部の裏面と干渉する配置となる。このような構成とすることで施錠部材は,操作面から見て廃棄物収容容器の前後方向やや後方よりに配置されることとなる。蓋を閉じた状態ではこの位置は,上縁部や折り返し壁部により保護される位置である。また,操作面での施錠・解錠の操作が施錠軸を経て施錠部材に伝えられ,施錠部材の姿勢が変化することになる。これにより解錠状態と施錠状態との切替がなされる。また,施錠部材は,施錠軸に対して角度を付けて設けられているとともに,解錠状態にて施錠軸から下向きとなるので,蓋の開閉動作の際,施錠部材を容器本体の挿入口に容易に挿入できる。また,解錠状態にて蓋の開閉動作をする際,施錠部材を挿入する容器本体の挿入口を比較的狭くできるので,容器本体の強度が損なわれ難い。
【0011】
本発明のさらに別の一態様における廃棄物収容容器ではさらに,上縁部のうち,蓋を閉じてかつ施錠状態にした状態での施錠部材と対面する範囲内の裏面に,補強形状部が形成されている。上縁部の当該範囲は,施錠部材を施錠状態にしたままで蓋の開閉動作をしようとした場合に,施錠部材が当たる範囲である。このため,施錠部材が当たることによるストレスを受けることがある。よって,補強形状部により補強されていることが望ましいのである。また,挿入口が形成されていること自体も容器本体の強度上不利な一面である。この点からも,当該部位が補強形状部により補強されていることが望ましい。
【0012】
本発明のさらに別の一態様における廃棄物収容容器ではまた,折り返し壁部の下端のうち挿入口に対応する範囲を含む範囲,および蓋の縁辺のうち施錠部材に対応する範囲を含む範囲にそれぞれ,他の範囲よりも下向きに延長された施錠部材保護部が形成されている。これにより,蓋の開閉を施錠できるとともに,施錠している状況でもその施錠部材が外部から大きく目立つことのない位置に配置される廃棄物収容容器となっている。また,折り返し壁部の下端や蓋の下端から手を差し込んでも施錠部材に手が届きにくいので,施錠部材へのいたずらも防止される。
【0013】
本発明のさらに別の一態様における廃棄物収容容器ではまた,施錠部材と施錠軸とが錠前を構成しており,錠前は,前記蓋のうち,閉じた状態で縦部を覆う部分に取り付けられており,蓋における前記錠前の取り付け箇所に対して対辺である部位に,前記折り返し壁部の下端に引っ掛けられる引っ掛け爪が設けられている。
【0014】
上記各態様の廃棄物収容容器では,蓋には,閉じた状態で折り返し壁部の外側に重なる裾壁部が形成されており,裾壁部には,施錠部材の解錠状態と施錠状態との切替操作を外部から行うための施錠操作部が,操作面を外向きに向けて取り付けられていることが望ましい。このようになっていれば,蓋を閉じた状態での施錠部材は,蓋の一部である裾壁部によっても,外部から覆われ保護された状態となる。また,施錠操作部の操作面が廃棄物収容容器における前面側を向くので,施錠・解錠の操作をやりやすい。
【発明の効果】
【0015】
本構成によれば,蓋の開閉を施錠できるとともに,施錠している状況でもその施錠部材が外部から大きく目立つことのない位置に配置される廃棄物収容容器が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態に係る廃棄物収容容器を示す斜視図である。
【
図2】
図1の廃棄物収容容器を,容器本体と蓋とを分離した状態で示す斜視図である。
【
図3】
図2に示される廃棄物収容容器を上下逆さにして示す斜視図である。
【
図4】蓋に取り付けられる錠前を示す斜視図である。
【
図5】施錠・解錠の操作のための鍵を示す斜視図である。
【
図6】蓋への錠前の取付状況を示す断面斜視図である。
【
図7】容器本体の前面側を下方から見て示す斜視図である。
【
図8】開状態での容器本体と蓋とを示す断面図である。
【
図9】
図8の状態の廃棄物収容容器における挿入口と施錠部材との位置関係を示す斜視図である。
【
図10】蓋を閉じきる少し前の状態を示す断面図である。
【
図12】蓋を閉じきった状態(解錠状態)での側視断面図である。
【
図13】蓋を閉じきった状態(解錠状態)での背面視断面図である。
【
図14】蓋を閉じきった状態(施錠状態)での背面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,
図1および
図2に示す廃棄物収容容器10において本発明を具体化したものである。廃棄物収容容器10は,容器本体4と蓋5とにより構成されている。蓋5は容器本体4に対して脱着可能である。
図2の開状態から明らかなように,容器本体4の上部は開口部6となっている。
図1の閉状態では当然,容器本体4の開口部6が蓋5で上方から覆われている。
【0018】
また,蓋5には,投入口7が形成されている。
図1の閉状態では,蓋5を開けることなく,投入口7を利用して廃棄物収容容器10に廃棄物を投入することができる。投入された廃棄物は,容器本体4の内部に収容される。
図3に,開状態での廃棄物収容容器10を下方から見た斜視図を示す。
【0019】
廃棄物収容容器10にはさらに,
図4で後述する錠前16が設けられている。ただし,
図1中で見えているのは,錠前16のうち施錠操作部8だけである。また,
図2,
図3中の蓋5は,錠前16を取り付ける前の状態のものであり,錠前取付穴15が見えている。施錠操作部8は,詳細は後述するが,錠前16の施錠動作および解錠動作を外部から行うための部位である。蓋5を閉じて錠前16を施錠した状態では,投入口7を経由してのみ,廃棄物収容容器10に廃棄物を投入することができる。言い替えると施錠した状態では,投入口7を通れるサイズの廃棄物(空き缶,空き瓶等)のみ投入でき,それより大きい廃棄物(家庭からの持ち込みゴミ等)を投入することはできない。
【0020】
錠前16は蓋5に設けられている。満杯になった廃棄物収容容器10から収容物を取り除くときは,錠前16を解錠した上で
図2の開状態とする。なお,
図1では施錠されているかいないかの判別はできない。なお,
図1にて施錠操作部8が設けられている位置は,廃棄物収容容器10における前面側の位置である。
【0021】
廃棄物収容容器10における施錠のための構成について説明する。廃棄物収容容器10においては,容器本体4および蓋5にそれぞれ,施錠のための構成が設けられている。
【0022】
図2に示されるように,容器本体4の上端,すなわち開口部6の縁辺には,外向きに張り出した形状の上縁部11が形成されている。上縁部11は,容器本体4の上端に外向きに水平に張り出した鍔状の部分である。そして,上縁部11のさらに外縁には,下向きに折り返し壁部12が形成されている。折り返し壁部12は,容器本体4の本来の壁部13とほぼ平行な縦向きの壁であり,上縁部11の外縁から下向きに垂れ下がるように形成されている。そして,上縁部11の一部に,挿入口14が形成されている。挿入口14は,上縁部11のみならず折り返し壁部12にも及んで形成されている。挿入口14が形成されている位置は,
図1の閉状態にしたときに施錠操作部8のすぐ内側となる位置である。
【0023】
蓋5には前述のように錠前16が取り付けられる。
図4に示されるように錠前16は,前述の施錠操作部8の他に,施錠部材17と,施錠軸18とを有している。施錠部材17は,状態(施錠状態および解錠状態)により姿勢を変える可動部材である。施錠軸18は,施錠操作部8と施錠部材17とを接続する部材であり,施錠操作部8から見て廃棄物収容容器10における奥行き方向に設けられるものである。施錠部材17は施錠軸18に対して角度を付けて設けられており,錠前16は全体として「L」字状をなしている。
【0024】
錠前16では,
図5に示す鍵19を施錠操作部8の鍵穴20に挿入しているときに限り,施錠部材17の姿勢を変更することができる。すなわち,鍵19を鍵穴20に挿入している状態で鍵19を水平軸回りに回転させると,施錠部材17も鍵19の動きと連動して施錠軸18の回りに揺動する。
図4に示されるように施錠部材17が下向きになっている状態が解錠状態である。施錠状態での施錠部材17は施錠軸18に対して横向き(右向きでも左向きでもよく,両方とも可能でもよい)となる。
【0025】
錠前16にはさらに,施錠操作部8より少し内側にワッシャー21が設けられている。錠前16は
図6に示されるようにして蓋5に取り付けられる。すなわち,蓋5に取り付けられた状態の錠前16は,蓋5の錠前取付穴15を貫通している。また,施錠操作部8とワッシャー21とで蓋5の板面を挟み付けている。なお
図6中に描かれている蓋5は,錠前取付穴15のところで鉛直面により2つに切断したものを上下逆さにして斜めに見ている状態のものである。
【0026】
なお蓋5は,キャップ部22と,縁側部23と,裾壁部24とを有している。キャップ部22は,
図1の閉状態にて容器本体4の開口部6の上方を覆うドーム状の部分である。前述の投入口7はキャップ部22に設けられている。縁側部23は,キャップ部22の下端から廃棄物収容容器10における外向きに水平に広がる部分である。
図1の閉状態では縁側部23は,容器本体4の上縁部11の上に重なっている。裾壁部24は,縁側部23の外端から下向きに垂れ下がるように形成された縦方向の壁状の部分である。
図1の閉状態では裾壁部24は,容器本体4の折り返し壁部12の外側に重なって位置する。
【0027】
そして
図6からも明らかなように,錠前取付穴15(
図2,
図3)は裾壁部24に設けられており,その位置は前述の挿入口14に重なる範囲内の位置である。この錠前取付穴15に錠前16が施錠操作部8を外向き(前向き)にして取り付けられる。また,裾壁部24のうち,錠前取付穴15の形成位置を中心とする範囲に,外前垂れ部25が形成されている。外前垂れ部25は,裾壁部24の一部分であるが,縁側部23からの垂れ下がり量を他の部分より大きくした部分である。同様に容器本体4の折り返し壁部12の一部分にも,内前垂れ部26が形成されている。内前垂れ部26は,折り返し壁部12のうち,挿入口14の形成位置を中心とする範囲に設けられている。
図1の閉状態では,外前垂れ部25と内前垂れ部26とが重なっている。
【0028】
また,
図3に示されるように蓋5には,引っ掛け爪27が設けられている。引っ掛け爪27は,裾壁部24の下端から廃棄物収容容器10における内向きに突出して設けられた部位である。引っ掛け爪27は,廃棄物収容容器10における背面側の位置に設けられている。すなわち,廃棄物収容容器10を上方から見た形状を略四角形としたとき,裾壁部24における錠前取付穴15が設けられている辺と,引っ掛け爪27が設けられている辺とは,対辺に相当する。
【0029】
また,
図7に示すように,容器本体4の上縁部11の裏面の一部には,下向きに補強リブ28が形成されている。補強リブ28が形成されているのは,廃棄物収容容器10における前面側であって,挿入口14に近接する範囲内である。すなわち補強リブ28は,蓋5を閉めて錠前16を施錠状態にしたときに,横向きとなった施錠部材17と対面する範囲内に設けられている。補強リブ28は,折り返し壁部12と壁部13とを結ぶ方向の下向きの堤部である。以上が廃棄物収容容器10の構成である。
【0030】
続いて,廃棄物収容容器10における蓋5の開閉動作を説明する。まず,閉じる動作,すなわち
図2の開状態から
図1の閉状態への動作を説明する。蓋5を閉じるときにはまず容器本体4および蓋5を,上下正立姿勢にする。すなわち,
図3や
図6のような倒立姿勢ではなく
図2の姿勢とする。錠前16は解錠状態としておく。そして,蓋5を容器本体4の上方に前後左右の方向を合わせた状態で保持する。そして,蓋5の引っ掛け爪27を,容器本体4の背面側の折り返し壁部12の下端に引っ掛ける。
【0031】
このとき
図8の断面図に示すように蓋5は,前面側(図中左側)が背面側(図中右側)よりやや高い傾斜状態にある。この状態では
図9に示すように,廃棄物収容容器10の挿入口14の上方に錠前16が位置する。そして解錠状態の施錠部材17がまさに,挿入口14の方を向いている。なお
図9では,容器本体4と蓋5とのうち蓋5のみ,
図6のように切断した状態で示している(
図11も同様)。そしてこの状態での蓋5は
図8中にて,引っ掛け爪27の位置を中心として回転できる状態にある。この状態で蓋5を,前面側が下降していくように引っ掛け爪27を中心に回転させる動作が,閉じる動作である。
【0032】
閉じる動作の途中の状態を
図10に示す。
図10に示されるのは,蓋5を閉じきる少し前の時点での容器本体4および蓋5である。
図10の状態では
図8の状態と比較して,蓋5の傾斜の程度は相当に軽くなっている。そして,施錠部材17が
図8の状態より下降しており,その先端が挿入口14に進入している。ただし施錠軸18はまだ容器本体4の上縁部11より上方にある。
【0033】
蓋5を閉じきると,
図11に示すように施錠軸18が上縁部11より下方に位置することとなる。蓋5を閉じきった状態での錠前16の周囲の断面図を
図12に示す。
図12に示されるようにこの状態では施錠部材17が,上縁部11より下側かつ折り返し壁部12より内側の空間内に位置している。上記の閉じる動作において,解錠状態にある施錠部材17は,容器本体4のどこかに当たることなく挿入口14に進入していく。したがって閉じる動作はスムーズである。
【0034】
もし,錠前16を施錠状態にして閉じる動作を行うと,途中の
図10の状態の辺りで,施錠部材17が挿入口14に進入せず,容器本体4の上縁部11に上から当たってしまう。このため,蓋5をそれ以上さらに下降させることができない。つまり,閉じる動作を完了することができない。よって閉じる動作は,錠前16を解錠状態とした上で行う必要がある。
【0035】
図12の状態での錠前16およびその周囲の状況を
図13に示す。
図13に示すのは,蓋5が閉じられかつ解錠状態にある状況における,錠前16およびその周囲を背面側から,すなわち
図12中の右側から見た図である。
図13では,容器本体4および蓋5を,上縁部11および縁側部23の位置で切断した断面図として示している。
図12,
図13から分かるように,蓋5の閉状態での錠前16は,容器本体4の挿入口14のうち,折り返し壁部12を刳り抜いた部分である前挿入口30(縦部)を貫通する配置となっている。このため閉状態での錠前16は,上縁部11や縁側部23より上方に突出した部分を有しない。
【0036】
このため,
図1のように外部から見た状況では錠前16は,施錠操作部8しか見えていない。すなわちこの状態での施錠部材17はその全体が,上方が縁側部23により覆われており,前方が裾壁部24により覆われている状態にある。よって,廃棄物収容容器10を屋外に設置した場合でも,施錠部材17に雨水が直接当たるようなことはあまりない。
【0037】
また,閉じる動作の途中で施錠部材17は主として挿入口14のうち,上縁部11を刳り抜いた部分である上挿入口29を通過する。ただしこのときの施錠部材17の移動は,単純な上下移動ではない。前述のように蓋5の移動が回転移動だからである。しかしそれでも,閉じる動作の途中で施錠部材17が容器本体4のどこかに当たることはない。挿入口14が上縁部11のみならず折り返し壁部12にも及んで形成されているからである。
【0038】
続いて,蓋5の開閉動作のうち開く動作,すなわち
図1の閉状態から
図2の開状態への動作について述べる。開く動作は,前述の閉じる動作の逆の動作である。すなわち,施錠部材17を解錠状態としたままで,蓋5の前端側を上方に持ち上げればよい。これにより施錠部材17が挿入口14から脱出し,開状態となる。この開く動作においても前述の閉じる動作のときと同様に,施錠部材17が容器本体4のどこかに当たるようなことはない。
【0039】
次に,閉状態での施錠・解錠動作について説明する。閉状態で鍵19(
図5)を用いて錠前16を操作することにより,施錠部材17を
図13に示した解錠状態から
図14の施錠状態にすることができる。
図14の施錠状態では,施錠部材17が横向きとなっている点で
図13と異なっている。この施錠部材17の向きのため,
図14の施錠状態からでは上記の開く動作ができない。施錠状態から前述のように蓋5の前端側を上方に持ち上げようとしても,施錠部材17が上縁部11の裏面に干渉してしまうからである。このようにして施錠状態では,蓋5を開くことができなくされている。鍵19により施錠部材17を解錠状態(
図13)に戻せば,開く動作が再び可能となる。
【0040】
図14では,横向きの施錠部材17が実際に接触しているのは,上縁部11の裏面に形成されている補強リブ28である。この補強リブ28は,容器本体4の上縁部11を補強する効果を奏するものである。施錠部材17を施錠状態にしたまま蓋5を開こうとすると,横向きの施錠部材17が上縁部11の裏面を下から上向きに押すことになる。しかし本形態では補強リブ28により上縁部11が補強されている。このため,施錠部材17からの圧力が上縁部11に掛かっても,容器本体4の上縁部11付近が歪んでしまうことにはならない。
【0041】
また,容器本体4の上縁部11および折り返し壁部12においては,挿入口14が開けられていること自体,強度的には不利な要因である。しかしながらこの不利も,補強リブ28の存在により抑制されている。この,挿入口14が開けられていることに対する折り返し壁部12の強度面での補強という観点では,内前垂れ部26が設けられていることも貢献している。同様に蓋5の外前垂れ部25も,裾壁部24に錠前取付穴15が開けられていることによる強度面での不利を抑制している。さらに,蓋5の外前垂れ部25および容器本体4の内前垂れ部26は,錠前16を不審者の手から守ることにも貢献している。外前垂れ部25や内前垂れ部26が形成されていることで,その下から手を差し込んでも,錠前16に届きにくいからである。
【0042】
また,本形態では前述のように挿入口14を,上縁部11と折り返し壁部12との両方に跨って形成している。このことによる効果がもう1つある。すなわち,容器本体4の内部にポリ袋を設置して使用する場合に,そのポリ袋への施錠部材17によるストレスが軽くて済むのである。このポリ袋は,容器本体4に投入された廃棄物の回収を容易にするために使用されるものである。すなわち,容器本体4とほぼ同じくらいの大きさのポリ袋を,容器本体4の内部に設置してその状態で蓋5を閉じるのである。このようにすると,廃棄物収容容器10に投入された廃棄物の回収は,ポリ袋ごと行うことができる。
【0043】
このようなポリ袋は通常,その開口部の縁辺付近が容器本体4の開口部6で外向きに折り返された状態とされる。その折り返された部分は容器本体4の上縁部11および折り返し壁部12に覆い被せられることになる。このため,挿入口14も,ポリ袋のその折り返し部分で覆われた状態となる。むろん,ポリ袋は柔軟であるため,蓋5を閉じる動作による施錠部材17の挿入口14への進入に対する障害となるものではない。
【0044】
ただし,挿入口14が上縁部11のみに形成されているような態様であると,施錠部材17によるポリ袋の変形量がかなり大きくなる。さらに施錠動作で施錠部材17が移動すると,その箇所のポリ袋が破れてしまうこともある。ポリ袋がこうして破れても大した支障はないが,廃棄物を回収する作業員としては快いものではない。これに対し本形態では,挿入口14を折り返し壁部12にも跨って形成することで,施錠部材17の進入に対してポリ袋がより容易に追従できるようにしている。このため,施錠動作を行ってもなお,ポリ袋の破れは生じにくい。
【0045】
以上詳細に説明したように本実施の形態によれば,蓋5の一部に錠前16を設けるとともに,錠前16のうち施錠操作部8のみが外面に露出して施錠部材17が内側に位置するように配置している。そして容器本体4には上縁部11および折り返し壁部12を設けるとともに,蓋5を閉じた状態では施錠部材17が上縁部11および折り返し壁部12により区画される空間内に位置するようにしている。その状態で施錠・解錠の動作がなされるようにしている。これにより,蓋5の開閉を施錠できるとともに,施錠している状況でもその施錠部材17が外部から大きく目立つことのない位置に配置されている廃棄物収容容器10が実現されている。
【0046】
このような構成にしたことで,前述の各種の効果の他に,想定外の大きさの廃棄物が投入されにくい廃棄物収容容器10となっている。施錠状態では,投入口7を通らない大きさの廃棄物の廃棄物収容容器10への投入ができないからである。また,錠前16の雨水による劣化も抑制されている。また,解錠状態でも錠前16は蓋5から分離しないので,錠前16の紛失の懸念もない。また,錠前16へのいたずらもしにくい他,施錠状態で廃棄物収容容器10ごと運搬する場合にも錠前16が邪魔になることがない。
【0047】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,蓋5や容器本体4の材質については特に述べなかったが,普通は合成樹脂である。ただし合成樹脂に限定される訳ではなく,薄金属板や陶器でもよい。また,補強リブ28の形状については,単にその箇所の上縁部11の肉厚を厚くするだけでもよい。
【0048】
また,本形態の廃棄物収容容器10では,投入口7が蓋5に設けられているが,このことは必須ではない。投入口7が容器本体4に形成されていてもよいし,閉状態で蓋5と容器本体4との合わせ目に投入口7が形成される形態であってもよい。また,投入口7の個数は2以上であってもよい。一方,投入口7がない形態であってもよい。このような形態の場合,廃棄物収容容器10への廃棄物の投入は,蓋5を一旦開いて行うこととなる。この場合,施錠状態では廃棄物収容容器10への廃棄物の投入が全くできないことになるが,そのようなものでもよい。
【0049】
また,蓋5の開閉動作の態様にも種々の変形例が考えられる。蓋5の背面側の一辺が容器本体4に対して容易には取り外せないように装着されているものであってもよい。その場合,容器本体4の上縁部11および折り返し壁部12,蓋5の縁側部23および裾壁部24といった構成は,廃棄物収容容器10の前面側にのみ設けられていれば十分である。さらにその場合,蓋5自体も,一体ものでもよいし,特許文献1に記載のもののように2つのピースを蝶番状に連結したものであってもよい。
【0050】
本形態と同様に蓋5が開状態では容器本体4から完全に分離する態様であっても,引っ掛け爪27は必須ではない。引っ掛け爪27を設ける替わりに,錠前16等による施錠機構を前後両側に設けることもできる。引っ掛け爪27がなく,かつ施錠機構は1箇所だけであっても,折り返し壁部12や裾壁部24の上下方向サイズを大きめにしておく等により,施錠状態での蓋5のこじ開け防止は可能である。
【符号の説明】
【0051】
4 容器本体
5 蓋
6 開口部
8 施錠操作部
10 廃棄物収容容器
11 上縁部
12 折り返し壁部
14 挿入口
16 錠前
17 施錠部材
18 施錠軸
24 裾壁部
25 外前垂れ部
26 内前垂れ部
28 補強リブ
30 前挿入口(縦部)