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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】作業爪
(51)【国際特許分類】
   A01B 33/10 20060101AFI20220127BHJP
   A01B 15/06 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
A01B33/10 C
A01B15/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018011746
(22)【出願日】2018-01-26
(65)【公開番号】P2019126321
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】中谷 公紀
(72)【発明者】
【氏名】海田 健児
(72)【発明者】
【氏名】川上 真一
(72)【発明者】
【氏名】木村 和正
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503093(JP,A)
【文献】登録実用新案第3198032(JP,U)
【文献】実開昭53-005401(JP,U)
【文献】特開2011-189795(JP,A)
【文献】特開2007-040705(JP,A)
【文献】特開2015-065903(JP,A)
【文献】実開昭57-119602(JP,U)
【文献】実開昭53-154802(JP,U)
【文献】実開昭57-011902(JP,U)
【文献】実開平03-102627(JP,U)
【文献】特開2006-329884(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0229572(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/10
A01B 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作業機に取り付けられ、少なくとも加速度センサ又はジャイロセンサを含むセンサを備えた作業爪であって、
前記作業爪には、前記作業爪を貫通する貫通孔が設けられ、
前記センサは前記貫通孔の内部に配置されている作業爪。
【請求項2】
前記貫通孔の側壁は、前記貫通孔の内部から開口端部に向かって前記貫通孔の幅が広がるテーパ形状部を有する、請求項に記載の作業爪。
【請求項3】
前記センサを包み、前記貫通孔に配置された充填物をさらに有する、請求項に記載の作業爪。
【請求項4】
前記充填物の側壁は、前記テーパ形状部に沿った形状を有する、請求項に記載の作業爪。
【請求項5】
前記充填物は樹脂である、請求項又はに記載の作業爪。
【請求項6】
前記貫通孔の側壁は、前記テーパ形状部とは異なる位置に、前記作業爪の板厚方向における前記貫通孔の幅が同じ直線形状部を有し、
前記テーパ形状部の前記側壁の表面凹凸は、前記直線形状部の前記側壁の表面凹凸より大きい、請求項乃至のいずれか一に記載の作業爪。
【請求項7】
農作業機に取り付けられ、少なくとも加速度センサ又はジャイロセンサを含むセンサを備えた作業爪と、
前記センサに接続され、前記作業爪と電気的に絶縁された配線と、
前記配線を覆う保護層と、を有し、
前記作業爪は、平板状の取付け基部及び前記取付け基部から連続して延びた刃部を有し、
前記作業爪には凹部が設けられ、
前記配線は、前記刃部を横切るように前記凹部の内部に配置されている作業爪。
【請求項8】
前記保護層は、前記凹部の内部に設けられ、前記凹部の内部において前記センサを覆う、請求項に記載の作業爪。
【請求項9】
農作業機に取り付けられ、少なくとも加速度センサ又はジャイロセンサを含むセンサを備えた作業爪と、
前記センサに接続され、前記作業爪と電気的に絶縁された配線と、
前記配線を覆う保護層と、
外部配線に接続される端子部と、を有し、
前記端子部は、前記作業爪の、第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を備える平板状の取付け基部に設けられ、
前記端子部は、前記配線を介して前記センサに接続されている作業爪。
【請求項10】
農作業機に取り付けられ、少なくとも加速度センサ又はジャイロセンサを含むセンサを備えた作業爪であって、
前記作業爪は、第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を備える平板状の取付け基部と、前記取付け基部から連続して延びた刃部とを有し、
前記刃部は、前記第1面から前記第2面に向かう方向に湾曲し、
前記センサは、前記第1面側に配置される作業爪。
【請求項11】
農作業機に取り付けられ、少なくとも加速度センサ又はジャイロセンサを含むセンサを備えた作業爪であって、
前記作業爪は、第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を備える平板状の取付け基部と、前記取付け基部から連続して延びた刃部とを有し、
前記刃部は、前記刃部の端部に向かって徐々に板厚が小さくなる刃縁部と、前記刃縁部の反対側の峰縁部とを有し、
前記センサは前記峰縁部に配置される作業爪。
【請求項12】
前記センサは、前記峰縁部から前記作業爪の外側に向かって突出している、請求項11に記載の作業爪。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業爪に関する。
【背景技術】
【0002】
農作業機用の作業爪として、ロータリー作業機に装着される耕耘爪や代かき機に装着される代かき爪などがある。これらの作業爪は、耕耘作業又は代かき作業の際に圃場と接触し、徐々に摩耗が進行する。作業爪の摩耗が進行するに伴い、作業爪の放擲能力、反転能力、又は攪拌能力が低下し、最終的には耕耘性能又は代かき性能が低下して、適切な作業が行えない状態となる。そのため、農作業者は、定期的に作業爪の摩耗の度合いを確認し、ある程度まで摩耗が進行したら速やかに交換することで対応している。
【0003】
このような作業爪の交換時期を判断するために、例えば特許文献1には、作業爪の交換の目安となる摩耗後のラインに沿う位置に、両面から視認できるリブを設ける技術が記載されている。
【0004】
また、農作業者は、農作業機による作業中に、目視又は作業爪が圃場に作用する音や振動などの情報に基づいて、耕深などの作業状態を推定していたが、この推定は農作業者の経験や勘に基づくものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3198032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術の場合、結局、作業爪の摩耗の度合いは農作業者が目視で確認しなければならず、確認を忘れてしまったり、面倒で確認を怠ったりした場合には、作業爪の交換時期を逸してしまう可能性があるという問題があった。
【0007】
また、例えばロータリー作業機や代かき機で耕耘作業を行う際に、耕耘爪に土や泥が付着する場合がある。そのような場合、特許文献1に記載された技術では、土や泥の影響でリブが視認できず、摩耗の度合いを判断することができない場合があるという問題があった。
【0008】
また、農作業機による作業中の作業状態は、農作業者の経験や勘に頼らざるを得ず、農作業者に依存しない定量的な評価をすることは困難であった。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、農作業者の目視によらず、作業爪の摩耗の度合いを評価することができる作業爪を提供することを課題とする。又は、農作業者の経験や勘に頼ることなく、圃場に対する作業状態を評価することができる作業爪を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態における作業爪は、農作業機に取り付けられる、センサを備えた作業爪である。
【0011】
前記センサによって取得されたデータを、外部機器に送信する通信制御装置をさらに有してもよい。
【0012】
前記センサによって取得されたデータを解析する演算処理装置をさらに有し、前記通信制御装置は、前記演算処理装置によって解析されたデータを前記外部機器に送信してもよい。
【0013】
固有の識別子が記憶された記憶装置をさらに有し、前記通信制御装置は、前記識別子を前記外部機器に送信してもよい。
【0014】
外部から供給された電力を前記センサに供給する給電装置をさらに有してもよい。
【0015】
給電装置と、前記給電装置に接続されたバッテリと、をさらに有し、前記給電装置は、外部から供給された電力を前記バッテリに供給し、前記バッテリは、供給された前記電力を蓄え、蓄えた前記電力を前記センサに供給してもよい。
【0016】
前記作業爪には凹部が設けられ、前記センサは前記凹部の内部に配置されていてもよい。
【0017】
前記凹部の深さは、前記センサの高さよりも大きくてもよい。
【0018】
前記凹部の側壁は、前記凹部の底部から開口端部に向かって前記凹部の幅が広がるテーパ形状部を有してもよい。
【0019】
前記側壁と前記凹部以外の前記作業爪の表面との間は湾曲していてもよい。
【0020】
前記作業爪には、前記作業爪を貫通する貫通孔が設けられ、前記センサは前記貫通孔の内部に配置されていてもよい。
【0021】
前記貫通孔の側壁は、前記貫通孔の内部から開口端部に向かって前記貫通孔の幅が広がるテーパ形状部を有してもよい。
【0022】
前記センサを包み、前記貫通孔に配置された充填物をさらに有してもよい。
【0023】
前記充填物の側壁は、前記テーパ形状部に沿った形状を有してもよい。
【0024】
前記充填物は樹脂であってもよい。
【0025】
前記貫通孔の側壁は、前記テーパ形状部とは異なる位置に、前記作業爪の板厚方向における前記貫通孔の幅が同じ直線形状部を有し、前記テーパ形状部の前記側壁の表面凹凸は、前記直線形状部の前記側壁の表面凹凸より大きくてもよい。
【0026】
前記センサに接続され、前記作業爪と電気的に絶縁された配線と、前記配線を覆う保護層と、をさらに有してもよい。
【0027】
前記作業爪は、平板状の取付け基部及び前記取付け基部から連続して延びた刃部を有し、前記作業爪には凹部が設けられ、前記配線は、前記刃部を横切るように前記凹部の内部に配置されていてもよい。
【0028】
前記保護層は、前記凹部の内部に設けられ、前記凹部の内部において前記センサを覆ってもよい。
【0029】
外部配線に接続される端子部をさらに有し、前記端子部は、前記作業爪の、第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を備える平板状の取付け基部に設けられ、前記端子部は、前記配線を介して前記センサに接続されていてもよい。
【0030】
前記作業爪は、第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を備える平板状の取付け基部と、前記取付け基部から連続して延びた刃部とを有し、前記刃部は、前記第1面から前記第2面に向かう方向に湾曲し、前記センサは、前記第1面側に配置されてもよい。
【0031】
前記作業爪は、第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を備える平板状の取付け基部と、前記取付け基部から連続して延びた刃部とを有し、前記刃部は、前記刃部の端部に向かって徐々に板厚が小さくなる刃縁部と、前記刃縁部の反対側の峰縁部とを有し、前記センサは前記峰縁部に配置されてもよい。
【0032】
前記センサは、前記峰縁部から前記作業爪の外側に向かって突出していてもよい。
【0033】
前記センサは、少なくとも加速度センサを含んでもよい。
【0034】
前記センサは、少なくともジャイロセンサを含んでもよい。
【0035】
前記センサは、前記センサに固有の識別子を有してもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、農作業者の目視によらず、作業爪の摩耗の度合いを評価することができる。又は、農作業者の経験や勘に頼ることなく、圃場に対する作業状態を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一実施形態に係る農作業機の構成を背面側から示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る農作業機の構成を側方から示す断面図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る作業爪を農作業機の側方から見た図である。
図3B】本発明の一実施形態に係る作業爪を図3Aの上方から見た図である。
図3C】本発明の一実施形態の変形例に係る作業爪の部分拡大図である。
図4A】本発明の一実施形態に係る作業爪を農作業機の側方から見た図である。
図4B】本発明の一実施形態に係る作業爪を図4Aの上方から見た図である。
図4C図4Bのセンサが設けられた領域の拡大図である。
図4D図4Bのセンサが設けられた領域の作業爪の凹部の形状を示す拡大図である。
図4E図4AのA-A’線の断面図を示す図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る作業爪を図4Bと同じ方向から見た図である。
図5B図5Aのセンサが設けられた領域の拡大図である。
図6A】本発明の一実施形態に係る作業爪を農作業機の側方から見た図である。
図6B】本発明の一実施形態に係る作業爪を図6Aの上方から見た図である。
図6C】本発明の一実施形態に係る作業爪にセンサを取り付ける様子を示す図である。
図6D】本発明の一実施形態の変形例に係る作業爪にセンサが取り付けられた状態を示す図である。
図7A】本発明の一実施形態に係る作業爪を農作業機の側方から見た図である。
図7B】本発明の一実施形態に係る作業爪を図7Aの矢印の方向から見た図である。
図8A】本発明の一実施形態に係る作業爪を農作業機の側方から見た図である。
図8B】本発明の一実施形態に係る作業爪を図8Aの上方から見た図である。
図9】本発明の一実施形態に係る爪ホルダを農作業機の側方から見た図である。
図10】本発明の一実施形態に係る爪ホルダを農作業機の側方から見た図である。
図11】本発明の一実施形態に係る作業爪の摩耗及び作業状態の評価方法の動作フローを示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係る作業爪の摩耗及び作業状態の評価方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して本発明の作業爪、及び作業爪が装着された作業機の実施形態について説明する。但し、本発明の作業爪、及び作業爪が装着された作業機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号又は同一の符号の後にアルファベットを付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0039】
本願の明細書及び特許請求の範囲において、「上」は圃場から垂直に遠ざかる方向を示し、「下」は圃場に向かって垂直に近づく方向を示す。また、「前」は作業機を基準として走行機体が位置する方向を示し、「後」は前とは180°反対の方向を示す。また、「左」は作業機を基準として走行機体が位置する方向に向かったときの左を示し、「右」は左とは180°反対の方向を示す。
【0040】
以下の実施形態では、作業爪として耕耘機に装着される耕耘爪について例示するが、この構成に限定されない。例えば、以下の実施形態に示す作業爪は、耕耘爪以外に、代かき機、砕土機、プラウなどに用いられる作業爪であってもよい。また、以下の実施形態では、作業爪として、作業爪を回動させる回転軸に取り付けられた爪ホルダに装着される作業爪について例示するが、この構成に限定されない。例えば、以下の実施形態に示す作業爪は、回転軸に取り付けられたフランジに装着される作業爪であってもよい。また、特に技術的な矛盾が生じない限り、異なる実施形態間の技術を組み合わせることができる。
【0041】
〈第1実施形態〉
[農作業機100の構成]
図1は、第1実施形態の農作業機100の構成を背面側から示す図である。図2は、第1実施形態の農作業機100の構成を側方から示す断面図である。具体的には、図2は、農作業機100のエプロン130(整地体とも呼ばれる)を通常位置に下降させた状態を図1の左側方から示している。
【0042】
図1及び図2に示すように、本実施形態の農作業機100は、大別して、フレーム110、シールドカバー120(図2にのみ図示)、エプロン130、サイドプレート140(図1にのみ図示)、耕耘ロータ150、制御装置170等を含む。
【0043】
図2に示すように、フレーム110は、トラクタ等の走行機体(図示せず)とトップマスト135及びロアリンク連結部136により接続される。フレーム110は、例えば円筒形であり、その内部には図1のチェーンケース105に通じる動力伝達軸(図示せず)が設けられている。この動力伝達軸は、トラクタ等の走行機体が有するPTO軸からPIC(Power Input Connection)シャフト137を経て伝達される回転動力の向きを、進行方向に対して左右方向へと切り替える役割を果たす。フレーム110内の動力伝達軸は、農作業機100の側部に配置されたチェーンケース105に接続され、このチェーンケース105内のチェーン伝達機構によって、耕耘ロータ150の回転軸152に動力が伝達される。
【0044】
耕耘ロータ150は、農作業機100の幅方向に延びる回転軸152と、この回転軸152に取り付けられた爪ホルダ153と、爪ホルダ153に装着された複数の作業爪200とで構成される。図1に示すように、農作業機100の背面側から見た場合、複数の作業爪200は、左方向に湾曲した作業爪200Lと、右方向に湾曲した作業爪200Rとで構成され、回転軸152の軸方向に間隔をおいて取り付けられる。なお、本実施形態では、作業爪200L及び作業爪200Rは回転軸152の軸方向に一定間隔で取り付けられている。以下の説明において、作業爪200L及び作業爪200Rを特に区別しない場合、単に作業爪200という。
【0045】
本実施形態では、回転軸152の軸方向において略同じ位置に、回転軸152に複数の爪ホルダ153及び作業爪200が取付けられる。なお、図2では、回転軸152の軸方向において略同じ位置に、4つの爪ホルダ153が取り付けられており、これらの爪ホルダ153には、2本の作業爪200L及び2本の作業爪200Rが装着されている。ただし、装着される作業爪の種類や本数はこの構成に限定されない。
【0046】
図1に示すように、農作業機100を背面側から見た場合、互いに向かい合って配置されている作業爪200R、作業爪200Lは、互いの爪先がオーバーラップしている。したがって、個々の作業爪200L、作業爪200Rが土を掘り起こす領域の幅は、隣接する作業爪200L、作業爪200Rの間で一部重複している。なお、本実施形態の農作業機100においては、耕耘ロータ150は、図2において矢印Rで示す方向に回転する。
【0047】
図2に示すように、シールドカバー120は、耕耘ロータ150の上方を覆うように配置される。図1に示すように、シールドカバー120の側面には、サイドプレート140が設けられる。サイドプレート140は、チェーンケースプレート、サイドフレーム、支持フレーム等と呼ばれる場合もある。図2においては、サイドプレート140の図示が省略されている。
【0048】
図2に示すように、エプロン130は、耕耘ロータ150の後方に配置され、シールドカバー120に対して接続部160を軸として回転可能に接続されている。エプロン130の重心は、接続部160よりも後方にあるため、エプロン130は自重により下降しようとする。エプロン130の先端にはステンレスの整地板132が取付けられている。整地板132はエプロン130の内側から外側に向かってループを描くように構成されている。この整地板132が耕耘ロータ150によって掘り起こされた圃場を平坦にする。
【0049】
図1に示すように、整地板132の両端には可動式の延長整地板134が設けられている。延長整地板134を開くことによって整地板132とともに広い幅の範囲を整地することが可能になる。
【0050】
制御装置170は、図示しない中央演算処理装置(CPU)、記憶装置(メモリ)及び通信装置を含み、外部から受信した信号(例えば、リモコン信号)を処理したり、逆に、内部で生成した信号(例えば、センサによって取得されたデータ等)を外部に送信したりする機能を有する。記憶装置は、各種データ及び各種プログラムを記憶している。中央演算処理装置は、記憶装置からプログラムを読み出して実行することにより、農作業機100が備えるアクチュエータ等の駆動部の動作を制御する。
【0051】
通信装置は、有線通信又は無線通信を行うための装置である。例えば、無線通信の場合は、例えば、近距離無線通信を可能とするモジュールやWiFi等の通信規格に従う無線通信を可能とするモジュールを搭載していてもよい。つまり、制御装置170が備える通信装置は、ネットワーク上に接続されるサーバやユーザ端末等の通信端末や走行機体に搭載されるタブレットPC等の通信端末との間の通信を制御する機能を有していてもよい。
【0052】
[作業爪200の構成]
図3Aは、本発明の一実施形態に係る作業爪を農作業機の側方から見た図である。図3Bは、本発明の一実施形態に係る作業爪を図3Aの上方から見た図である。具体的には、図3A及び図3Bに示す作業爪200は、図1及び図2の作業爪200Rを農作業機100の右側方から見た図である。なお、本実施形態に示す作業爪200Rの形状は一例に過ぎず、この形状に限定されない。また、作業爪200Lについての詳細な説明は省略するが、湾曲する方向が異なる点を除いては、以下に説明する作業爪200Rと同様の特徴を有する。以下の説明において、作業爪200Rを単に作業爪200という。
【0053】
図3A及び図3Bに示すように、作業爪200にはセンサ300が設けられている。図3Bに示すように、センサ300は作業爪200の第1面201側に設けられている。図3Aにおいて、第1面201側は作業爪200の紙面奥側であるが、説明の便宜上、図3Aのセンサ300を実線で表示している。
【0054】
図3Aにおいて、作業爪200は、取付け基部210、縦刃部220、及び横刃部230を有する。取付け基部210は第1面201及び第2面203を備える平板状であり、D1方向に直線状に延びている。第2面203は第1面201とは反対側の面である。縦刃部220は取付け基部210から連続して、D2方向に湾曲しながらD1方向に延びている。図3Bに示すように、横刃部230は縦刃部220から連続して、D3方向に略一定の曲率半径で湾曲しながらD2方向(つまり、第1面201から第2面203に向かう方向)に延びている。ただし、横刃部230のD3方向への湾曲は一定の曲率半径でなくてもよい。縦刃部220及び横刃部230の下方の端部には刃縁部240が設けられている。刃縁部240は、縦刃部220及び横刃部230の下端に向かって徐々に作業爪200の板厚が小さくなる形状を有している。刃縁部240の反対側、つまり縦刃部220及び横刃部230の上方の端部を峰縁部250という。峰縁部250は、第1面201及び第2面203を主面とした場合、側面に該当する部分である。本実施形態では、縦刃部220及び横刃部230をまとめて刃部と呼ぶ場合がある。取付け基部210には、作業爪200を貫通する貫通孔215が設けられている。詳細は後述するが、取付け基部210を爪ホルダ153に挿入し、ボルトなどの締結具を貫通孔215に通すことで、作業爪200が爪ホルダ153に固定される。
【0055】
本実施形態では、図3Bにおいて、D3方向に湾曲した横刃部230の内側の面を内側湾曲面207といい、横刃部230の外側の面を外側湾曲面205という。第1面201が連続して延びた面が外側湾曲面205であり、第2面203が連続して延びた面が内側湾曲面207である。
【0056】
上記の作業爪200において、センサ300は取付け基部210の第1面201側に設けられている。センサ300は、取付け基部210において、取付け基部210と縦刃部220との境界付近に設けられている。ただし、センサ300は取付け基部210において、貫通孔215付近に設けられてもよい。また、センサ300を取付け基部210に設ける場合、センサ300を第2面203側に設けてもよい。センサ300は、作業爪200が爪ホルダ153に取り付けられた状態において、爪ホルダ153の内部に位置してもよく、爪ホルダ153の外部に位置してもよい。
【0057】
センサ300は、縦刃部220又は横刃部230に設けられていてもよい。センサ300を縦刃部220又は横刃部230に設ける場合、作業爪200が摩耗しにくい位置にセンサ300を設けることが望ましい。ここで、上記のように横刃部230がD3方向に湾曲しているため、図2に示すように耕耘ロータ150が回転すると、圃場の土等は内側湾曲面207によってすくい上げられる。この動作によって、反転、攪拌、及び放擲が行われる。つまり、主に内側湾曲面207が圃場の土等に作用するため、内側湾曲面207は摩耗しやすい。したがって、センサ300を内側湾曲面207以外の領域に設けることが好ましい。例えば、センサ300を第1面201又は外側湾曲面205に設けることが望ましい。ただし、摩耗しにくい取付け基部210であれば、センサ300を第2面203に設けてもよい。
【0058】
センサ300として、加速度センサ及びジャイロセンサを用いることができる。又は、センサ300として、これらのセンサに加えて磁気センサを用いることができる。加速度センサ及びジャイロセンサを併せて6軸センサということができ、加速度センサ、ジャイロセンサ、及び磁気センサを併せて9軸センサということができる。また、センサ300として、上記のセンサの他に、歪みセンサ、ロードセル等の圧力センサ、音センサ、及び光センサなどの物理量センサを用いることができる。センサ300として、上記のセンサ以外に土壌の水分を検出するセンサ、土壌の塩分を検出するセンサ、及び土壌の温度を検出するセンサ、土壌のpH(水素イオン指数)を検出するセンサなどの土壌センサを用いることができる。ただし、センサ300として用いられるセンサは、上記のセンサに限定されず、その他のセンサを用いることができる。
【0059】
詳細は後述するが、センサ300は電源を内蔵していてもよく、配線を介して外部から電源が供給されてもよい。また、センサ300がセンシングしたデータはセンサ300に内蔵された記憶装置に保存されてもよく、センサ300に接続され、作業爪200に設けられた記憶装置に保存されてもよい。センサ300がセンシングしたデータは、作業爪200の外部に設けられた記憶装置に配線を介して送信されてもよく、無線で送信されてもよい。
【0060】
センサ300は、センサ300に固有の識別子を有していてもよい。識別子はセンサ300によって異なるため、識別子に基づいてセンサ300を特定することができる。識別子はセンサ300に内蔵された記憶装置に記憶されていてもよく、センサ300に接続された他の記憶装置に記憶されていてもよい。識別子は、センサ300がセンシングしたデータと同様に外部機器に送信される。センサ300が識別子を有し、その識別子が外部機器に送信されることで、例えば、センサ300が取り付けられた作業爪200が農作業機100に複数装着されている場合であっても、センサ300によってセンシングされたデータがどの作業爪200に取り付けられたセンサ300のデータなのかを特定することができる。つまり、識別子に基づいて作業爪200を特定することができる。
【0061】
本実施形態では、回転軸152に取り付けられた爪ホルダ153に作業爪200が装着されたホルダ方式を例示したが、回転軸152に取り付けられたフランジに作業爪200が装着されたフランジ方式を採用することもできる。なお、フランジ方式を採用する場合、作業爪200にはフランジに取り付けるための貫通孔が設けられる。作業爪200を装着するための爪ホルダ153及びフランジを「装着部」ということができる。
【0062】
本実施形態では、刃縁部240が外側湾曲面205の片面だけに設けられた構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、刃縁部240が外側湾曲面205及び内側湾曲面207の両面に設けられていてもよい。刃縁部240が外側湾曲面205及び内側湾曲面207の両面に設けられる場合、外側湾曲面205側の斜面と内側湾曲面207側の斜面とが同じ傾斜角であってもよく、異なる傾斜角であってもよい。
【0063】
[作業爪200の摩耗及び作業状態の評価方法]
図11及び図12を用いて、作業爪200の摩耗及び作業状態の評価方法を説明する。ここでは、センサ300として6軸センサ(加速度センサ及びジャイロセンサ)が用いられ、センサ300を用いて、作業中の作業爪200の振動を検知し、その振動の情報に基づいて作業爪200の摩耗及び作業状態を評価する方法について説明する。
【0064】
図11は、本発明の一実施形態に係る作業爪の摩耗及び作業状態の評価方法の動作フローを示す図である。図11に示すように、まず、作業爪200を交換(S401)した後に、初期状態(摩耗する前)の作業爪200を用いた作業中(作業爪200が圃場に対して作用している状態)の初期振動データを取得する(S403)。次に、S403で取得した初期振動データに基づいて、作業中の作業爪200の振動が異常か否かを判断するためのしきい値を設定する(S405)。このしきい値は、作業者がS403で取得した振動データを解析することで設定してもよく、S403で取得した振動データに基づいて自動的に設定されてもよい。なお、しきい値を自動的に設定する場合、当該しきい値はS403で取得した振動データを統計処理することで算出される。具体的には、S403で取得した振動データから得られた標準偏差に定数を乗じた値をしきい値として設定することができる。なお、しきい値は上限及び下限の両方を設定してもよく、上限又は下限の一方のみを設定してもよい。
【0065】
S405でしきい値を設定したら、センサ300で作業爪200の振動データを取得しながら作業を開始し、経時的な作業中の振動データを取得する(S407)。S407の経時振動データ取得を行いながら、取得した振動データとしきい値とを比較する。振動データがしきい値を超えない場合、異常が発生していないと判断され(S409の「NO」)、経時振動データ取得を継続する。一方、振動データがしきい値を超えた場合、異常が発生したと判断され(S409の「YES」)、異常が発生したことを通知する(S411)。S411の異常発生通知は、アラーム音などの音で通知してもよく、警報ランプの点灯やディスプレイへの異常発生通知などの表示で通知してもよい。なお、農作業機100が自動運転されている場合は、S411の異常発生通知をトリガとして農作業機100の運転を停止してもよい。
【0066】
S403の初期振動データの取得、及びS407の経時的な振動データの取得は、上記のように作業中の振動データを取得してもよいが、空転状態(つまり、作業爪200が圃場に対して作用していない状態)の振動データを取得してもよい。
【0067】
S409の異常発生有無の判断はリアルタイムで行われてもよく、一定期間毎又はある作業をトリガとして行われてもよい。異常発生有無の判断がリアルタイムで行われる場合、振動データがしきい値を超えた場合にすぐに異常が発生したと判断してもよいが、ノイズを除去するために、振動データが連続して数回しきい値を超えた場合に異常が発生したと判断してもよい。異常発生有無の判断が一定期間毎に行われる場合、しきい値を超えた振動データが1つでも存在したら異常が発生したと判断してもよいが、ノイズを除去するために、しきい値を超えた振動データが予め設定された回数以上存在した場合に異常が発生したと判断してもよい。又は、当該一定期間の振動データの統計値がしきい値を超えた場合に異常が発生したと判断してもよい。異常発生有無の判断がある作業をトリガとして行われる場合、トリガとなる作業は作業開始時(農作業機100がオフ状態からオン状態に切り替わったタイミング)であってもよく、作業終了時(農作業機100がオン状態からオフ状態に切り替わったタイミング)であってもよい。例えば、作業開始から作業終了までの振動データを用いて上記と同様の判断を行ってもよい。
【0068】
図12は、本発明の一実施形態に係る作業爪の摩耗及び作業状態の評価方法の一例を示す図である。図12の横軸は時間であり、縦軸は振動データの振幅(つまり、振動の大きさ)である。図12において、期間421で作業爪200が交換され、農作業機100にまだ摩耗していない作業爪200が装着される。期間423で初期振動データの取得が行われる。期間423の振動データは正常な状態の作業爪200の振動データとして扱われる。期間425でしきい値の設定が行われる。そして、期間427で作業が開始される。なお、図12では、しきい値として上限及び下限の両方が設定されている。
【0069】
期間427において、期間431では振幅がしきい値の下限を下回っている。まだ作業爪200の使用時間が短いにも拘わらず振幅が下限以下の場合、農作業機100が十分に圃場に接しておらず、作業爪200の耕深が浅い可能性がある。したがって、このような場合には、作業条件が不適切である可能性を示す異常通知がなされる。つまり、センサ300によって取得されたデータだけではなく、そのデータ及び時間(例えば、作業爪200の累積使用時間)に基づいて各種評価を行ってもよい。期間433では、振幅がしきい値の上限及び下限の間にあるため、異常が発生していないと判断される。期間435では、振幅がしきい値の上限を上回っている。使用時間が一定の時間を超し、振幅が上限以上(又は、下限以下)の場合、作業爪200が摩耗又は破損して異常な振動が発生している(又は、作業爪200が十分に圃場に接していない)可能性がある。したがって、このような場合には、作業爪200の摩耗が基準値を超した又は破損した可能性を示す異常通知がなされる。
【0070】
上記の処理は、制御装置170に備えられた中央演算処理装置が記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することで行われる。当該プログラムは、制御装置170の記憶装置に格納されていてもよいが、サーバ等からダウンロードして一時的に制御装置170に格納され、実行されてもよい。
【0071】
上記の例では、作業中の作業爪200の振動データに基づいて異常発生の有無を判断する方法を例示したが、この方法に限定されない。例えば、振動データの代わりに作業爪200の歪みを測定したデータなどに基づいて、異常発生の有無を判断してもよい。
【0072】
また、このような異常発生の通知に限らず、作業爪200の耕耘性能の低下を考慮して、耕耘深さの調整、作業爪200の回転速度の調整など、一定レベルまで摩耗した作業爪200であっても圃場に対して適切な農作業を行うことができるように、農作業機100の各種調整を行うよう制御することも可能である。
【0073】
さらに、作業爪200の交換時期であるという情報は、制御装置170から事業者のサーバ等に送信してデータベースとして蓄積することができる。このような情報を利用すれば、事業者は、農作業機(特に耕耘爪)のメンテナンス管理、農作業者への耕耘爪の配送サービス、例えば、爪軸に耕耘爪が装着された、農作業機に対して脱着可能な耕耘装置の農作業者へのレンタルサービスなど、耕耘爪に関する多岐にわたるサービスに利用することができる。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る作業爪200によると、農作業機100が圃場に対して作業を行いながら、つまり農作業者が作業爪200を目視確認することなく、作業爪200と圃場との作用によって作業爪200が受ける振動や、作業爪200に発生する歪みなどの情報から、作業爪200の摩耗の度合いや、圃場に対する作業状態を評価することができる。また、作業爪200の振動の変化など、従来は作業者の経験や勘に頼っていた異常発生の有無を定量的に評価することができる。
【0075】
〈第1実施形態の変形例〉
図3Cを用いて、上記の第1実施形態の変形例について説明する。ここでは、作業爪200の外部に設けられた外部機器(例えば、外部のアンテナ装置)から無線で供給された電力によってセンサ300が動作し、センサ300によって取得されたデータが無線で外部機器に送信される形態について説明する。
【0076】
図3Cは、本発明の一実施形態の変形例に係る作業爪の部分拡大図である。図3Cに示すように、作業爪200にはセンサ300の他に、例えばマイクロコンピュータ又はCPUなどの演算処理装置510、バッテリ520、及びワイヤレス給電通信制御装置530が設けられている。これらはセンサ300に接続されている。作業爪200には、さらに記憶装置590が設けられている。記憶装置590は少なくともワイヤレス給電通信制御装置530に接続されている。
【0077】
演算処理装置510は、情報処理を行う機能を有しており、センサ300によって取得されたデータを解析し、解析したデータを一時的に保存する機能を有する。演算処理装置510は、解析したデータをワイヤレス給電通信制御装置530に送信する。データ解析の一例として、演算処理装置510は、センサ300によって取得されたデータに対して統計処理を行ってもよい。また、演算処理装置510は、バッテリ520の残量をモニタし、バッテリ520が予め設定された基準値より少なくなったら、ワイヤレス給電通信制御装置530にバッテリ520への充電を開始するよう命令を出してもよい。
【0078】
バッテリ520は、センサ300、演算処理装置510、及びワイヤレス給電通信制御装置530に電力を供給する。バッテリ520はワイヤレス給電通信制御装置530から供給された電力を蓄え、蓄えた電力をセンサ300に供給する。バッテリ520として、電池又はキャパシタを用いることができる。より具体的には、バッテリ520として、小型サイズの固体電池又は電気二重層キャパシタを用いることができる。
【0079】
記憶装置590は、固有の識別子を記憶している。識別子はワイヤレス給電通信制御装置530によって外部機器に送信される。上述したセンサ300に備えられた識別子と同様に、識別子に基づいて作業爪200を特定することができる。記憶装置590は、演算処理装置510、バッテリ520、及びワイヤレス給電通信制御装置530のいずれかに内蔵されていてもよい。記憶装置590が識別子を記憶している場合、センサ300は、識別子を有していてもよく、識別子を有していなくてもよい。なお、作業爪200を特定する必要がない、又はその他の方法で作業爪200を特定できる場合は、記憶装置590が識別子を有していなくてもよく、記憶装置590自体が省略されてもよい。
【0080】
ワイヤレス給電通信制御装置530は、外部機器からの給電に基づいてバッテリ520への充電を行い、演算処理装置510によって解析されたデータ及び上記の識別子を外部機器へ送信し、外部機器から受信した命令信号を演算処理装置510に送信する。ワイヤレス給電通信制御装置530は、外部機器と無線通信するためのアンテナを備えている。当該アンテナは、例えば電磁誘導方式で無線通信を行うコイル型であってもよく、電波方式で無線通信を行うアンテナ型であってもよい。ワイヤレス給電通信制御装置530は、例えば、外部機器から受信した高周波に基づいて電力を生成する整流回路、当該高周波に含まれる命令信号を解析する解析回路、外部機器と通信可能な電波を生成する電波生成回路、及び演算処理装置510によって解析されたデータに基づいて(解析されたデータを外部機器に送信するために)電波を変調する変調回路を有する。ワイヤレス給電通信制御装置530はこれらの回路の一部だけを有していてもよく、上記の回路以外の回路を有していてもよい。
【0081】
ワイヤレス給電通信制御装置530は、演算処理装置510によって解析されたデータ又はセンサ300によって取得されたデータ、及び上記の識別子を外部機器に送信するワイヤレス通信制御機能だけを有していてもよい。つまり、ワイヤレス給電通信制御装置530の代わりに通信用IC(通信制御装置)が用いられてもよい。又は、ワイヤレス給電通信制御装置530は、外部機器から供給された電力をセンサ300及びバッテリ520に供給するワイヤレス給電機能だけを有していてもよい。つまり、ワイヤレス給電通信制御装置530の代わりにワイヤレス給電用IC(給電装置)が用いられてもよい。上記の通信制御装置及び給電装置が個別に設けられてもよい。その場合、両者は配線等を介して接続され、互いに通信を行うことでワイヤレス給電通信制御装置530としての機能を果たしてもよい。なお、演算処理装置510によって解析されたデータ又はセンサ300によって取得されたデータを送信する外部機器と、電力の供給を受ける外部機器は同じ機器であってもよく、異なる機器であってもよい。
【0082】
又は、バッテリ520が設けられていなくてもよい。バッテリ520が設けられていない場合、センサ300がデータを取得する間、ワイヤレス給電通信制御装置530が外部機器から供給された電力をセンサ300に供給してもよい。
【0083】
ワイヤレス給電通信制御装置530は、演算処理装置510によって解析されたデータをリアルタイムで外部機器に送信してもよく、当該解析データを演算処理装置510の記憶部又は記憶装置590に保存し、記憶部又は記憶装置590に蓄積された解析データをまとめて外部機器に送信してもよい。
【0084】
センサ300、演算処理装置510、バッテリ520、ワイヤレス給電通信制御装置530、及び記憶装置590を含む電子機器は、個別に配置されて、配線等を介して互いに接続されてもよいが、これらの電子機器のうち2つ以上の電子機器が一体化されていてもよい。例えば、作業爪200とは異なる基板上で上記の2以上の電子機器が互いに接続され、パッケージ化された状態で作業爪200に配置されてもよい。又は、上記の2以上の電子機器がチップ化された状態で作業爪200に配置されてもよい。例えば、これらの電子機器が絶縁性フィルムによってパッケージ化され、当該絶縁性フィルムを粘着剤又は接着剤によって作業爪200に貼り付けてもよい。上記の電子機器及び各々の電子機器に備えられた機能が全て作業爪200に設けられてもよく、これらの一部が作業爪200に設けられてもよい。
【0085】
上記の変形例によると、センサ300に無線で外部機器から電力の供給を受けることができる。また、センサ300によって取得されたデータを無線で外部機器に送信することができる。また、上記の電子機器がパッケージ化されていることで、既存の作業爪200にパッケージ化された電子機器を貼り付けるだけで作業爪200にセンサ300と取り付けることができる。
【0086】
〈第2実施形態〉
[作業爪200Aの構成]
図4Aは、本発明の一実施形態に係る作業爪を農作業機の側方から見た図である。図4Bは、本発明の一実施形態に係る作業爪を図4Aの上方から見た図である。図4A及び図4Bに示す作業爪200Aは、センサ300Aが横刃部230Aに設けられており、センサ300Aに配線310Aが接続されている。作業爪200Aの取付け基部210Aには外部端子320Aが設けられており、外部端子320Aは配線310Aを介してセンサ300Aに接続されている。センサ300A、配線310A、及び外部端子320Aは、図4Bに示すように作業爪200Aの第1面201A側(又は、外側湾曲面205A側)に設けられている。図4Aにおいて、第1面201A側は作業爪200Aの紙面奥側であるが、説明の便宜上、図4Aのセンサ300A、配線310A、及び外部端子320Aを実線で表示している。詳細は後述するが、配線310Aは作業爪200Aと電気的に絶縁されている。また、配線310Aの表面は絶縁層で覆われている。つまり、配線310Aは絶縁体(後述する保護層330A)に包まれている。
【0087】
図4Aに示すように、センサ300A及び配線310Aは、D1方向において、作業爪200Aの中央よりも峰縁部250A側に設けられている。作業爪200Aは、圃場に対して作業を行う際に刃縁部240A側から圃場に作用するため、作業爪200Aは刃縁部240A側から摩耗する。作業爪200Aが摩耗して作業爪200Aの交換が必要な限界ラインを予め設定しておき、センサ300A及び配線310Aをその限界ラインよりも峰縁部250A側に設ける。配線310Aは峰縁部250Aに設けられてもよい。なお、センサ300A及び配線310Aの少なくとも一方を上記の限界ラインに相当する位置に設けてもよい。その場合、センサ300Aが動作しなくなった時点で作業爪200Aの交換が必要であることの通知をするようにしてもよい。
【0088】
取付け基部210Aにおいて、配線310Aは外部端子320AからD1方向に取付け基部210Aの形状に沿って延びている。縦刃部220Aにおいて、配線310Aは、D2方向に湾曲しながらD1方向に延びている。図4Bに示すように、横刃部230Aにおいて、配線310Aは、D3方向に湾曲しながらD2方向に延びている。上記の構成を換言すると、配線310Aは作業爪200Aの形状に沿って設けられている。外部端子320Aは、取付け基部210Aの上端付近に設けられている。外部端子320Aは、導体が表面に露出しており、後述するように爪ホルダ153Aの内側に設けられた接続端子(又は外部配線)に接続される。
【0089】
図4Bに示すように、横刃部230Aにおいて、作業爪200Aの第1面201A側(外側湾曲面205A側)には凹部260Aが設けられており、その凹部260Aの内部にセンサ300Aが配置されている。配線310Aは第1面201A側に設けられており、凹部260Aの底部においてセンサ300Aに接続されている。なお、詳細は後述するが、配線310Aと作業爪200Aとの間には絶縁層340A(図4C参照)が設けられており、配線310Aと作業爪200Aとは電気的に絶縁されている。作業爪200Aの第1面201Aには保護層330Aが設けられている。保護層330Aはセンサ300A及び配線310Aを覆う。図4Bでは、センサ300Aが設けられた以外の領域には、作業爪200Aの第1面201A側に凹部が設けられていないが、センサ300Aが設けられた以外の領域において配線310Aが設けられた領域に凹部が設けられていてもよい。保護層330Aとして、樹脂系のコーティング材を用いることができる。例えば、保護層330Aとして塗料を含む樹脂系のコーティング材を用いることで、作業爪200Aの塗装と保護層330Aの形成を兼ねることができる。
【0090】
図4Cは、図4Bのセンサが設けられた領域の拡大図である。作業爪200Aの第1面201A及び凹部260Aの底部には絶縁層340Aが設けられており、その絶縁層340Aの上に配線310Aが設けられている。配線310Aは、例えば印刷法などの方法で形成することができる。絶縁層340Aは少なくとも配線310Aが配置された領域に設けられていればよい。絶縁層340A及び配線310Aは凹部260Aの底部から側壁を介して凹部260A以外の作業爪200Aの第1面201Aに延びている。凹部260Aの底部において、配線310Aの上にセンサ300Aが設けられている。センサ300Aは、センサ300Aの回路に接続された端子部が作業爪200A側を向くように配置され、当該端子部と配線310Aとが接続される。保護層330Aは凹部260Aを覆うように設けられている。保護層330Aは、センサ300Aが設けられた空間を封止するように設けられる。つまり、凹部260A及び保護層330Aによって閉空間が形成されている。上記の構成によって、作業中に作業爪200Aに付着した土、泥、又は水分がセンサ300Aに付着し、センサ300Aが劣化することを抑制できる。
【0091】
保護層330Aが凹部260A以外の作業爪200Aの第1面201A(この例では外側湾曲面205A)に沿って設けられる場合、センサ300Aと保護層330Aとの間に間隙が形成される。つまり、少なくとも、凹部260Aの深さH1はセンサ300Aの高さH2より大きい。この例では、凹部260Aの深さは、絶縁層340Aの厚さ、配線310Aの厚さ、及びセンサ300Aの高さの合計よりも大きい。
【0092】
凹部260A及び保護層330Aによって囲まれた領域は空洞であってもよく、充填材で満たされていてもよい。当該充填材として、例えば絶縁性の樹脂を用いることができる。この場合、当該充填材を保護層330Aの一部と考えると、保護層330Aが凹部260Aの内部に設けられ、凹部260Aの内部においてセンサ300Aを覆う、ということができる。また、保護層330Aを塗装等の手法によって形成する場合、保護層330Aを凹部260Aの内部にも形成することができる。なお、センサ300Aを充填材で覆う場合、配線310Aの表面に絶縁体が設けられていれば、保護層330Aを省略してもよい。
【0093】
図4Dは、図4Bのセンサが設けられた領域の作業爪の凹部の形状を示す拡大図である。凹部260Aは、底部261A、底隅部263A、側壁265A、及び開口端部267Aを有する。底隅部263Aは、底部261Aと側壁265Aとの間の領域である。開口端部267Aは、側壁265Aと第1面201Aとの間の領域である。側壁265Aは底部261Aに直交する向きに対して傾斜している。換言すると、側壁265Aは、凹部260Aの底部から開口端部267Aに向かって凹部260Aの幅が広がるテーパ形状を有する。さらに換言すると、凹部260Aの側壁265Aは順テーパ形状である。なお、凹部260Aの幅とは、作業爪200Aを第1面201A側から見た視野において、凹部260Aの中心を通る任意の直線を引いた場合に、底部261Aの任意の点から一定の高さにおいて上記の直線上で対向する凹部260Aの側壁間の距離である。底隅部263A及び開口端部267Aは湾曲している。つまり、底隅部263A及び開口端部267AはR形状である。又は、底隅部263A及び開口端部267Aが屈曲していてもよい。つまり、断面視において、底隅部263A及び開口端部267Aが曲線形状ではなく、複数の直線形状が屈折した形状であってもよい。
【0094】
このような形状にすることで、第1面201Aから底部261Aに延びる配線310Aが、底隅部263A及び開口端部267Aで急激に(つまり、非常に小さな曲率半径で)折り曲げられ、配線310Aに大きな応力が生じることで、配線310Aが断線することを抑制することができる。
【0095】
配線310Aが設けられない側の側壁269A、及びその上下の底隅部及び開口端部が、上記の側壁265A、底隅部263A、及び開口端部267Aの形状と同じ形状であってもよい。
【0096】
図4Bに示すように、上記の例では、センサ300Aが設けられた領域以外の配線310Aが第1面201Aに配置されているが、以下に説明するように、センサ300Aが設けられた領域以外の配線310Aが第1面201Aに形成された凹部270Aに配置されてもよい。配線310Aが凹部270Aに配置された変形例について、図4Eを用いて説明する。図4Eは、変形例における図4AのA-A’線の断面図を示す図である。配線310Aが凹部270Aに配置される場合、当該凹部270Aは配線310Aのパターンに沿って設けられる。つまり、配線310Aは縦刃部220Aを横切るように上記の凹部270Aの内部に配置されている。凹部270Aの底部には絶縁層340Aが設けられており、その絶縁層340Aの上に配線310Aが設けられている。保護層330Aは、配線310Aが設けられた空間を封止するように設けられる。つまり、凹部270A及び保護層330Aによって閉空間が形成されている。上記の構成によって、作業中に作業爪200Aに付着した土、泥、又は水分が配線310Aに付着し、配線310Aが劣化することを抑制できる。
【0097】
保護層330Aが凹部270A以外の作業爪200Aの第1面201Aに沿って設けられる場合、配線310Aと保護層330Aとの間に間隙が形成される。つまり、少なくとも、凹部270Aの深さは配線310Aの高さより大きい。この例では、凹部270Aの深さは絶縁層340A及び配線310Aの厚さの合計よりも大きい。凹部270Aの深さは凹部260Aの深さと同じでもよく、異なってもよい。
【0098】
凹部270A及び保護層330Aによって囲まれた領域は空洞であってもよく、充填材で満たされていてもよい。当該充填材として、例えば絶縁性の樹脂を用いることができる。
【0099】
図4Eにおいて、配線310Aは凹部270Aの側壁275Aを乗り上げないため、側壁275Aの傾斜角は図4Dの側壁265Aよりも急峻であり、底隅部273A及び開口端部277Aの形状は直線形状が屈曲した形状だが、これらは図4Dの側壁265A、底隅部263A、及び開口端部267Aと同様の形状であってもよい。
【0100】
配線310Aは、導体で構成されたものであればよく、電線(電気を通すワイヤ)、プリント配線(フィルム又は樹脂等の絶縁体上に導体を印刷又はインクジェット等で塗布したもの)などを用いることができる。つまり、通電可能な物体であれば、配線310Aとして用いることが可能である。なお、上記のように、作業爪200Aは、内側湾曲面207Aが土壌に作用して耕耘性能を発揮するため、内側湾曲面207Aの表面塗装は外側湾曲面205Aに比べて剥げやすい。したがって、配線310Aは外側湾曲面205Aに配置することが望ましいが、内側湾曲面207Aに配置することも可能である。
【0101】
上記のように、配線310Aは、作業爪200Aとは電気的に絶縁された状態で配置される。例えば、配線310Aとして電線を用いる場合、絶縁電線(絶縁材で電線を被覆したもの)を用いればよく、プリント配線を用いる場合は、フィルム又は樹脂材料等で導体を被覆したものを用いればよい。
【0102】
なお、配線310Aを外側湾曲面205Aに配置する際には、塗装前の作業爪200Aに配線310Aを貼り付け、その上から塗装又はコーティングを施すことが望ましい。このような構成とすることにより、作業中の作業爪200Aから配線310Aが剥がれ落ちるといった不具合を防止することができる。
【0103】
以上のように、本実施形態に係る作業爪200Aによると、取付け基部210Aに外部端子320Aが設けられているため、作業爪200Aを爪ホルダ153Aに取り付けることでセンサ300Aへの電源供給、及びセンサ300Aからの信号抽出を実現することができる。また、センサ300Aを作業爪200Aに設けられた凹部260Aに配置することで、作業中にセンサ300Aにかかる外力を小さくすることができる。また、凹部260A及び保護層330Aによってセンサ300Aが封止されることで、センサ300Aの劣化を抑制することができる。さらに、凹部260Aの側壁265Aがテーパ形状であり、底隅部263A及び開口端部267Aの形状が湾曲していることで、側壁265Aを乗り上げる配線310Aに強い応力が発生することを抑制でき、配線310Aの断線を抑制することができる。
【0104】
〈第3実施形態〉
[作業爪200Bの構成]
図5Aは、本発明の一実施形態に係る作業爪を図4Bと同じ方向から見た図である。図5Bは、図5Aのセンサが設けられた領域の拡大図である。なお、本実施形態の作業爪200Bを農作業機100Bの側方から見た図は図4Aと同じなので、省略する。図5A及び図5Bに示す作業爪200Bは、図4A図4Eに示す作業爪200Aと類似しているが、配線310Bが保護層330B側に設けられている点において、作業爪200Aと相違する。以下の説明において、主に作業爪200Aとの相違点について説明し、作業爪200Aと共通する特徴については説明を省略する場合がある。なお、本実施形態では、配線310Bとしてプリント配線が用いられた構成を例示するが、この構成に限定されない。
【0105】
図5Bに示すように、配線310Bは保護層330Bに設けられている。つまり、配線310Bは保護層330Bに接している。センサ300Bは配線310Bの下面に接続されている。凹部260Bには、保護層331Bが設けられている。保護層331Bは、センサ300Bの側壁及び下面に接し、さらに凹部260Bの側壁及び底面に接している。なお、保護層331Bはセンサ300Bと凹部260Bの側壁及び底面の少なくとも一方とに接していればよい。上記のように、保護層331Bがセンサ300Bと凹部260Bの側壁及び底面の少なくとも一方とに接していることで、作業爪200Bの振動がセンサ300Bに効率よく伝達される。保護層331Bは保護層330Bと同一の材料であってもよく、異なる材料であってもよい。両者が同一の材料の場合、両者が連続していてもよい。ただし、保護層331Bが設けられず、凹部260Bが空洞であってもよい。
【0106】
上記の構成は、凹部260Bが設けられた作業爪200Bと、センサ300B及び配線310Bが設けられた保護層330Bとをそれぞれ準備し、接着剤等を用いてこれらを接着することで形成することができる。
【0107】
以上のように、本実施形態に係る作業爪200Bによると、第2実施形態の作業爪200Aと同様の効果を得ることができる。さらに、作業爪200Bへのセンサ300Bの取付けを容易に行うことができ、製造工程の簡略化及び製造コストの低減の効果を得ることができる。
【0108】
〈第4実施形態〉
[作業爪200Cの構成]
図6Aは、本発明の一実施形態に係る作業爪を農作業機の側方から見た図である。図6Bは、本発明の一実施形態に係る作業爪を図6Aの上方から見た図である。図6Cは、本発明の一実施形態に係る作業爪にセンサを取り付ける様子を示す図である。図6A図6Cに示す作業爪200Cは、図4A図4Eに示す作業爪200Aと類似しているが、作業爪200Cに貫通孔280Cが設けられており、センサ300Cがその貫通孔280Cの内部に配置されている点において、作業爪200Aと相違する。以下の説明において、主に作業爪200Aとの相違点について説明し、作業爪200Aと共通する特徴については説明を省略する場合がある。なお、本実施形態では、配線310Cとしてプリント配線が用いられた構成を例示するが、この構成に限定されない。
【0109】
図6Aに示すように、図4Aにおいて凹部260Aが設けられていた箇所と同様の箇所に、作業爪200Cの第1面201C(外側湾曲面205C)と第2面203C(内側湾曲面207C)とを貫通する貫通孔280Cが設けられている。
【0110】
本実施形態では、貫通孔280Cが設けられた作業爪200Cと、センサ300C及び配線310Cが設けられた保護層330Cとをそれぞれ準備し、接着剤等を用いてこれらを接着することでセンサ300Cを作業爪200Cに取り付ける。図6Bでは、センサ300C及び配線310Cが設けられた保護層330Cが作業爪200Cに取り付けられる前の状態と、取り付けられた状態とが表示されている。
【0111】
図6Cに示すように、配線310Cは保護層330Cの下に配置されている。充填物350Cは保護層330Cの下に設けられている。充填物350Cは保護層330Cの下面から下方に向かって突出しており、下方に向かって充填物350Cの幅が小さくなる形状を有している。つまり、充填物350Cはテーパ形状である。なお、充填物350Cの幅とは、充填物350Cを充填物350Cの下面351Cに対して直交する方向から見た視野において、充填物350Cの中心を通る任意の直線を引いた場合に、下面351Cの任意の点から一定の高さにおいて上記の直線上で対向する充填物350Cの側壁間の距離である。充填物350Cは、例えば樹脂等のように弾性を有している。センサ300C及び配線310Cは保護層330Cの先端付近で充填物350Cに包まれている。配線310Cは、充填物350Cに包まれた領域以外では保護層330Cに接しているが、充填物350Cに包まれた領域では保護層330Cから離れている。つまり、配線310Cと保護層330Cとの間に充填物350Cが設けられている。この構成によって、センサ300Cを第1面201C(外側湾曲面205C)から遠ざけることができるため、外力によってセンサ300Cが破損することを抑制することができる。
【0112】
貫通孔280Cの側壁は、テーパ形状部281C及び直線形状部283Cを有する。テーパ形状部281Cは、貫通孔280Cの内部から第1面201Cに向かって貫通孔280Cの幅が徐々に大きくなるテーパ形状を有する。貫通孔280Cの側壁は、充填物350Cのテーパ形状部に沿った形状にすることができる。直線形状部283Cは、貫通孔280Cの内部から第2面203Cまで(開口端部285Cを除く領域)貫通孔280Cの幅がほぼ同じ形状を有する。換言すると、直線形状部283Cにおいて、対向する側壁は略平行である。なお、対向する側壁とは、作業爪200Cを第1面201C側から見た視野において、貫通孔280Cの中心を通る任意の直線を引いた場合に、当該直線上で対向する貫通孔280Cの側壁を指す。例えば貫通孔280Cの形状が真円の場合は、貫通孔280Cの直径上の側壁が対向する側壁である。また、貫通孔280Cの幅とは、貫通孔280Cが作業爪200Cを貫通する方向(つまり、作業爪200Cの板厚方向)の任意の位置において、上記の直線上で対向する貫通孔280Cの側壁間の距離である。貫通孔280Cの側壁の表面凹凸において、テーパ形状部281Cの凹凸は直線形状部283Cの凹凸よりも大きい。直線形状部283Cの側壁と第2面203Cとの間の貫通孔280Cの開口端部285Cの形状は湾曲したR形状である。
【0113】
充填物350Cが貫通孔280Cに挿入され、貫通孔280Cに充填物350Cが充填されることで、センサ300Cが作業爪200Cに取り付けられる。充填物350Cが貫通孔280Cから脱離することを抑制するために、充填前の状態において、充填物350Cは貫通孔280Cよりも大きい。したがって、充填物350Cの弾性変形を利用して、充填物350Cを貫通孔280Cに挿入する。貫通孔280Cに挿入された充填物350Cは、弾性変形した状態からの復元力によって貫通孔280Cの側壁を押す。この貫通孔280Cの側壁を押す圧力によって、充填物350Cが貫通孔280Cから脱離することを抑制する。
【0114】
以上のように、本実施形態に係る作業爪200Cによると、第3実施形態の作業爪200Bと同様の効果を得ることができる。さらに、作業爪200Cでは、充填物350C及び貫通孔280Cのテーパ形状部281Cの各々がテーパ形状を有しているため、充填物350Cを貫通孔280Cに挿入しやすく、作業性が向上するという効果を得ることができる。また、充填物350Cが貫通孔280Cの側壁を押すため、仮に接着剤等を用いない場合であっても、充填物350Cが貫通孔280Cから脱離することを抑制することができる。
【0115】
テーパ形状部281Cの表面凹凸が直線形状部283Cの表面凹凸より大きいことで、充填物350Cが貫通孔280Cから脱離しやすいテーパ形状部281Cにおいて、充填物350Cと貫通孔280C側壁との間の摩擦抵抗が大きくなり、充填物350Cが貫通孔280Cから脱離しにくくなる。なお、仮に直線形状部283Cの表面凹凸をテーパ形状部281Cの表面凹凸と同じくらいに大きくすると、充填物350Cを貫通孔280Cに挿入する際の摩擦抵抗が大きくなりすぎるため、充填物350Cを貫通孔280Cに挿入しにくくなってしまう。しかし、上記の構成によると、充填物350Cを貫通孔280Cに挿入しやすく、充填物350Cが貫通孔280Cから脱離しにくい構成を得ることができる。
【0116】
なお、本実施形態では、充填物350C及び貫通孔280Cの両方がテーパ形状を有している構成を例示したが、少なくとも一方がテーパ形状を有していればよい。また、充填物350Cの側壁と貫通孔280Cの側壁とを接着剤を用いて接着してもよい。また、充填前の状態において、充填物350Cは貫通孔280Cと同じ大きさであってもよく、充填物350Cが貫通孔280Cより小さくてもよい。仮に、充填物350Cが貫通孔280Cよりも小さい場合は、充填物350Cの側壁と貫通孔280Cの側壁との間を接着剤などで埋めてもよい。また、この場合、充填物350Cは樹脂でなく、金属やセラミックスであってもよい。
【0117】
[第4実施形態の変形例]
図6Dは、本発明の一実施形態の変形例に係る作業爪にセンサが取り付けられた状態を示す図である。図6Dに示す作業爪200C’では、センサ300C’が貫通孔280C’の側壁の直線形状部283C’に配置されている。センサ300C’は直線形状部283C’に接着剤等を用いて接着されている。配線310C’は、センサ300C’に接続され、センサ300C’から第1面201C’に延びている。保護層330C’は配線310C’の上に設けられており、貫通孔280C’の一方の開口端を覆っている。貫通孔280C’には、充填物350C’が充填されている。
【0118】
図6Dに示すセンサ300C’は、図6A図6Cに示すセンサ300Cとは異なる製造方法で作業爪200C’に取り付けられる。図6Dのセンサ300C’は、センサ300C’に配線310C’が接続された状態で貫通孔280C’の側壁(直線形状部283C’)に取り付けられる。配線310C’を第1面201C’に配置した状態で、配線310C’の上に保護層330C’を形成する。そして、保護層330C’によって覆われていない側の貫通孔280C’の開口端側から充填物350C’を貫通孔280C’内に供給する。充填物350C’は、熱硬化性又は紫外線硬化性の樹脂を用いて、液状の充填物350C’を貫通孔280C’に流し込んだ後に硬化することで形成される。
【0119】
〈第5実施形態〉
[作業爪200Dの構成]
図7Aは、本発明の一実施形態に係る作業爪を農作業機の側方から見た図である。図7Bは、本発明の一実施形態に係る作業爪を図7Aの矢印の方向から見た図である。図7A及び図7Bに示すように、取付け基部210Dの峰縁部250D側にセンサ300D、配線310D、及び保護層330Dが設けられている。また、図7Bに示すように、配線310Dは峰縁部250Dから第1面201Dに延びている。配線310Dは第1面201D側で外部端子320Dに接続されている。なお、配線310Dは、作業爪200Dとは電気的に絶縁されている。センサ300D、配線310D、及び保護層330Dが設けられた領域の作業爪200Dには、凹部又は貫通孔は設けられていない。したがって、これらの部材は、峰縁部250Dから作業爪200Dの外側に向かって突出している。ただし、峰縁部250Dに凹部又は貫通孔が設けられ、これらの内部にセンサ300D、配線310D、及び保護層330Dの少なくともいずれかが配置されてもよい。
【0120】
作業爪200Dの取付け基部210Dは摩耗しにくい。また、作業爪200Dの峰縁部250D側も摩耗しにくい。したがって、図7Aにおいて、センサ300Dが取り付けられた位置は、作業爪200Dの中でも摩耗しにくい領域である。したがって、この領域にセンサ300Dを取り付ける場合、作業爪200Dに凹部や貫通孔を設けることなくセンサ300Dを取り付けることができる。
【0121】
〈第6実施形態〉
[作業爪200Eの構成]
図8Aは、本発明の一実施形態に係る作業爪を農作業機の側方から見た図である。図8Bは、本発明の一実施形態に係る作業爪を図8Aの上方から見た図である。図8Aに示すように、作業爪200Eにはセンサ300Eの他に制御部500Eが設けられている。また、図4Aの外部端子320Aの代わりに、取付け基部210Eに通信部540Eが設けられている。
【0122】
制御部500Eは、例えばマイクロコンピュータ又はCPUなどの演算処理装置510E、バッテリ520E、ワイヤレス給電通信制御装置530E、及び記憶装置590Eを有する。これらは配線310Eを介して互いに接続されている。制御部500Eは配線310Eを介してセンサ300E及び通信部540Eに接続されている。なお、記憶装置590Eは、少なくともワイヤレス給電通信制御装置530Eに接続されていればよい。
【0123】
演算処理装置510Eは、情報処理を行う機能を有しており、センサ300Eによって取得されたデータを解析し、解析したデータを一時的に保存する機能を有する。演算処理装置510Eは、解析したデータをワイヤレス給電通信制御装置530Eに送信する。データ解析の一例として、演算処理装置510Eは、センサ300Eによって取得されたデータに対して統計処理を行ってもよい。また、演算処理装置510Eは、バッテリ520Eの残量をモニタし、バッテリ520Eが予め設定された基準値より少なくなったら、ワイヤレス給電通信制御装置530Eにバッテリ520Eへの充電を開始するよう命令を出してもよい。
【0124】
バッテリ520Eは、センサ300E、演算処理装置510E、及びワイヤレス給電通信制御装置530Eに電力を供給する。バッテリ520Eはワイヤレス給電通信制御装置530Eから供給された電力を蓄え、蓄えた電力をセンサ300Eに供給する。バッテリ520Eとして、電池又はキャパシタを用いることができる。より具体的には、バッテリ520Eとして、小型サイズの固体電池又は電気二重層キャパシタを用いることができる。
【0125】
記憶装置590Eは、固有の識別子を記憶している。識別子は、ワイヤレス給電通信制御装置530Eによって、通信部540Eを介して外部機器に送信される。上記のように、識別子に基づいて作業爪200Eを特定することができる。記憶装置590Eは、演算処理装置510E、バッテリ520E、及びワイヤレス給電通信制御装置530Eのいずれかに内蔵されていてもよい。記憶装置590Eが識別子を記憶している場合、センサ300Eは、識別子を有していてもよく、識別子を有していなくてもよい。なお、作業爪200Eを特定する必要がない、又はその他の方法で作業爪200Eを特定できる場合は、記憶装置590Eが識別子を有していなくてもよく、記憶装置590E自体が省略されてもよい。
【0126】
ワイヤレス給電通信制御装置530Eは、通信部540Eを介して外部機器(例えば、外部のアンテナ装置)からの給電に基づいてバッテリ520Eへの充電を行い、演算処理装置510Eによって解析されたデータ及び上記の識別子を、通信部540Eを介して外部機器へ送信し、外部機器から受信した命令信号を演算処理装置510Eに送信する。ワイヤレス給電通信制御装置530Eは、例えば、外部機器から受信した高周波に基づいて電力を生成する整流回路、当該高周波に含まれる命令信号を解析する解析回路、外部機器と通信可能な電波を生成する電波生成回路、及び演算処理装置510Eによって解析されたデータに基づいて電波を変調する変調回路を有する。ワイヤレス給電通信制御装置530Eはこれらの回路の一部だけを有していてもよく、上記の回路以外の回路を有していてもよい。ワイヤレス給電通信制御装置530Eは、演算処理装置510Eによって解析されたデータをリアルタイムで外部機器に送信してもよく、当該解析データを演算処理装置510Eの記憶部又は記憶装置590Eに保存し、記憶部又は記憶装置590Eに蓄積された解析データをまとめて外部機器に送信してもよい。
【0127】
通信部540Eは、外部機器と無線通信するためのアンテナを備えている。通信部540Eは、例えば爪ホルダ153Eに設けられたアンテナ装置と無線通信することで、アンテナ装置から電力の供給を受ける、又はアンテナ装置へデータを送信する。通信部540Eは、例えば電磁誘導方式で無線通信を行うコイル型であってもよく、電波方式で無線通信を行うアンテナ型であってもよい。通信部540Eは、導体の表面が絶縁層等で被覆されている。ただし、通信部540Eの導体が表面に露出されていてもよい。
【0128】
本実施形態では、通信部540Eは、爪ホルダ153Eに設けられたアンテナ装置と通信をするため、取付け基部210Eの上端付近(取付け基部210Eに対して縦刃部220Eの反対側)に設けられた構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、爪ホルダ153E以外の部材に設けられたアンテナ装置と通信しやすいように、作業爪200Eが爪ホルダ153Eに装着された状態において、作業爪200Eが爪ホルダ153Eの外に出ている領域に通信部540Eが設けられてもよい。通信部540Eは、シールドカバー120Eに配置された制御装置170E、ユーザの通信端末、走行機体に備えられた通信端末、又はネットワーク上のサーバ等と通信してもよい。
【0129】
本実施形態では、外部機器からの給電に基づいてバッテリ520Eへ充電を行う構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、作業爪200Eに遠心力や摩擦等を利用した発電機を備え、発電機で生成された電力をバッテリ520Eに充電してもよい。
【0130】
図8Bに示すように、取付け基部210Eにおいて、作業爪200Eの第1面201E側には凹部290Eが設けられており、その凹部290Eに制御部500E(演算処理装置510E、バッテリ520E、ワイヤレス給電通信制御装置530E、及び記憶装置590E)が配置されている。制御部500Eは、例えば図4Bの構成と同様に、作業爪200Eの上に絶縁層を介して設けられた配線310Eの上に設けられてもよく、図5Bの構成と同様に、配線310Eとしてプリント配線が用いられ、配線310E及び制御部500Eが保護層330Eに設けられた状態で、これらが作業爪200Eに取り付けられてもよい。つまり、配線310Eが制御部500Eの上に設けられていてもよい。その他の構成は図4Bと同様なので、説明を省略する。
【0131】
以上のように、本実施形態に係る作業爪200Eによると、センサ300Eで取得されたデータが演算処理装置510Eによって解析されるため、作業爪200Eでその摩耗及び作業状態を評価することができる。また、バッテリ520Eがセンサ300Eに電力を供給するため、センサ300Eに電力を供給する機構を省略又は簡略化することができる。また、外部機器からの給電や、当該アンテナ装置へのデータ送信を無線通信で行うことができるため、作業爪200Eの外部端子の導体を表面に露出する必要がない。したがって、導体表面の錆び付き等に起因するセンサ300Eの動作不良を抑制することができる。
【0132】
〈第7実施形態〉
[爪ホルダ153Fの構成]
図9は、本発明の一実施形態に係る爪ホルダを農作業機の側方から見た図である。図9に示す爪ホルダ153Fは、例えば第2実施形態~第5実施形態に示す作業爪200A~200Dに対して用いられる爪ホルダである。爪ホルダ153Fは、農作業機100Fの幅方向に延びる回転軸152Fに取り付けられており、回転軸152Fの中心からその半径方向に延びている。爪ホルダ153Fには凹部601F及び貫通孔603Fが設けられている。この凹部601Fに作業爪200Fが挿入される。作業爪200Fの貫通孔215Fと貫通孔603Fが重なった状態で、これらの貫通孔にボルト610Fを貫通させることで、作業爪200Fを爪ホルダ153Fに固定する。
【0133】
爪ホルダ153Fの凹部601Fの側壁には接続端子620Fが設けられている。この接続端子620Fは、例えば図4Aに示す外部端子320Aに対応した位置に設けられている。接続端子620Fを構成する導体は表面に露出されており、外部端子320Fと接触する。接続端子620Fは配線630Fを介して回転軸152Fに設けられた軸配線640Fに接続されている。軸配線640Fは回転軸152Fの長手方向に延びている。
【0134】
〈第8実施形態〉
[爪ホルダ153Gの構成]
図10は、本発明の一実施形態に係る爪ホルダを農作業機の側方から見た図である。図10に示す爪ホルダ153Gは、例えば第6実施形態に示す作業爪200Eに対して用いられる爪ホルダである。爪ホルダ153Gの構成は図9の爪ホルダ153Fの構成と類似しているので、共通点の説明は省略し、両者の相違点について説明する。爪ホルダ153Gの凹部601Gの側壁にはアンテナ部650Gが設けられている。このアンテナ部650Gは、例えば図8Aに示す通信部540Eに対応した位置に設けられている。アンテナ部650Gは、導体の表面が絶縁層等で被覆されている。ただし、アンテナ部650Gの導体が表面に露出されていてもよい。
【0135】
上記の本実施形態では、作業爪に取り付けられたセンサからの検出信号を、作業爪の摩耗状態、圃場の状態、農作業機の状態等を把握する情報として利用できるため、サーバ等の外部機器に送信し、外部機器のデータベースに記憶しておくことが望ましい。このような各種情報は、クラウド上に記憶されたビッグデータとして、農作業の効率化や収量の向上を図るサービス等に役立てることができる。
【0136】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、各実施形態の耕耘爪及びその摩耗判定方法を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0137】
また、上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0138】
100:農作業機、 105:チェーンケース、 110:フレーム、 120:シールドカバー、 130:エプロン、 132:整地板、 134:延長整地板、 135:トップマスト、 136:ロアリンク連結部、 137:PICシャフト、 140:サイドプレート、 150:耕耘ロータ、 152:回転軸、 153:爪ホルダ、 160:接続部、 170:制御装置、 200:作業爪、 201:第1面、 203:第2面、 205:外側湾曲面、 207:内側湾曲面、 210:取付け基部、 215:貫通孔、 220:縦刃部、 230:横刃部、 240:刃縁部、 250:峰縁部、 260A:凹部、 261A:底部、 263A:底隅部、 265A:側壁、 267A:開口端部、 269A:側壁、 270A:凹部、 273A:底隅部、 275A:側壁、 277A:開口端部、 280C:貫通孔、 281C:テーパ形状部、 283C:直線形状部、 285C:開口端部、 290E:凹部、 300:センサ、 310A:配線、 320A:外部端子、 330A、331B:保護層、 340A:絶縁層、 350C:充填物、 351:下面、 421、423、425、427、431、433、435:期間、 500E:制御部、 510:演算処理装置、 520:バッテリ、 530:ワイヤレス給電通信制御装置、 540E:通信部、 590:記憶装置、 601F:凹部、 603F:貫通孔、 610F:ボルト、 620F:接続端子、 630F:配線、 640F:軸配線、 650G:アンテナ部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
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図4C
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図4E
図5A
図5B
図6A
図6B
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図7A
図7B
図8A
図8B
図9
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図12