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特許7015569誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路
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  • 特許-誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20220127BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H01M10/44 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019553612
(86)(22)【出願日】2017-11-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 CN2017113370
(87)【国際公開番号】W WO2018107963
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2019-07-30
(31)【優先権主張番号】201611154168.3
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519216910
【氏名又は名称】華南理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】康 龍云
(72)【発明者】
【氏名】盧 楚生
(72)【発明者】
【氏名】王 書彪
(72)【発明者】
【氏名】令狐 金卿
(72)【発明者】
【氏名】王 則▲フォン▼
(72)【発明者】
【氏名】馮 元彬
【審査官】寺谷 大亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-100174(JP,A)
【文献】特開2011-244680(JP,A)
【文献】特開2013-219994(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0357842(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路であって、
直列電池パックと、均衡回路と、制御回路とを含み、
前記直列電池パックは、左、右に分けられた両部分を含み、
左部分の電池セルは、左電池パックであり、右部分の電池セルは、右電池パックであり、
前記左電池パックは、前記右電池パックに直列に接続され、
前記左電池パックと前記右電池パックは、前記均衡回路を介在して接続され、
前記直列電池パックの電池セルの総数が2n(nは2以上の整数)である場合、前記左電池パックと前記右電池パックの電池セルの数は、ともにnであり、
前記直列電池パックの電池セルの総数が2n+1(nは正整数)である場合、前記左電池パックの電池セルの数がnであれば、前記右電池パックの電池セルの数は、n+1であるが、前記左電池パックの電池セルの数がn+1であれば、前記右電池パックの電池セルの数は、nであり、
前記均衡回路は、さらに前記制御回路に接続され、
前記制御回路は、前記均衡回路のTRIACのオンオフおよびエネルギー蓄積インダクタのエネルギー蓄積作用を制御することによって、前記直列電池パックの充放電過程の動的均衡を実現することを特徴とする誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路。
【請求項2】
前記直列電池パックの電池セルの総数が2nである場合、
前記左電池パックの電池セルは、上からそれぞれBl1、Bl2、Bl3、…Blnと命名され、Bl1、Bl2、Bl3、…Blnは、順に直列に接続され、
前記右電池パックの電池セルは、上からそれぞれBr1、Br2、Br3、…Brnと命名され、Br1、Br2、Br3、…Brnは、順に直列に接続され、
ここで、Bl1の正極がVCCに接続され、Br1の負極がGNDに接続され、
前記均衡回路のエネルギー蓄積インダクタLの数はnであり、上からそれぞれL、L…Lと命名され、L、L…Lは、順に直列に接続され、
前記均衡回路のTRIACの数は、3n+2であり、
n個のTRIACは、上からそれぞれS、S…Sと命名され、S、S…Sは、順に直列に接続され、S、S…Sは、それぞれエネルギー蓄積インダクタL、L…Lの両端に並列に接続され、
さらに、n+1個のTRIACは、上からそれぞれSl1、Sl2…Sl(n+1)と命名され、Sl1、Sl2…SlnのT端は、それぞれエネルギー蓄積インダクタL、L…Lの上端に接続され、Sl(n+1)のT端は、エネルギー蓄積インダクタLの下端に接続され、Sl1、Sl2…SlnのT端は、電池セルBl1、Bl2、Bl3、…Blnのプラス端に接続され、Sl(n+1)のT端は、電池セルBlnのマイナス端に接続され、
残りのn+1個のTRIACは、上からそれぞれSr1、Sr2…Sr(n+1)と命名され、Sr1、Sr2…SrnのT端は、それぞれエネルギー蓄積インダクタL、L…Lの上端に接続され、Sr(n+1)のT端は、エネルギー蓄積インダクタLの下端に接続され、Sr1、Sr2…SrnのT端は、電池セルBr1、Br、Br、…Brnのマイナス端に接続され、Sr(n+1)のT端は、電池セルBrnのプラス端に接続され、
全てのTRIACのゲートは、全てのTRIACのオンオフが制御回路によって制御されるように、前記制御回路に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路。
【請求項3】
前記直列電池パックの電池セルの総数が2n+1である場合、
前記左電池パックの電池セルの数は、nであり、上からそれぞれBl1、Bl2、Bl3、…Blnと命名され、Bl1、Bl2、Bl3、…Blnは、順に直列に接続され、
前記右電池パックの電池セルの数は、n+1であり、上からそれぞれBr0、Br1、Br2、Br3、…Brnと命名され、Br0、Br1、Br2、Br3、…Brnは、順に直列に接続され、
ここで、Bl1の正極がVCCに接続され、Br0の負極がGNDに接続され、
前記均衡回路のエネルギー蓄積インダクタLの数は、n+1であり、上からそれぞれL、L、L…Lと命名され、L、L、L…Lは、順に直列に接続され、
前記均衡回路のTRIACの数は、3n+5であり、
n+1個のTRIACは、上からそれぞれS、S、S…Sと命名され、S、S、S…Sは、順に直列に接続され、S、S、S…Sは、それぞれインダクタL、L、L…Lの両端に並列に接続され、
さらに、n+2個のTRIACは、上からそれぞれSl0、Sl1、Sl2…Sl(n+1)と命名され、Sl0、Sl1、Sl2…SlnのT端は、それぞれエネルギー蓄積インダクタL、L、L…Lの上端に接続され、Sl(n+1)のT端は、エネルギー蓄積インダクタLの下端に接続され、Sl1、Sl2…SlnのT端は、電池Bl1、Bl2、Bl3、…Blnのプラス端に接続され、Sl0のT端は、電池Bl1のプラス端に接続され、Sl(n+1)のT端は、電池Blnのマイナス端に接続され、
残りのn+2個のTRIACは、上からそれぞれSr0、Sr1、Sr2…Sr(n+1)と命名され、Sr0、Sr1、Sr2…SrnのT端は、それぞれエネルギー蓄積インダクタL、L、L…Lの上端に接続され、Sr(n+1)のT端は、エネルギー蓄積インダクタLの下端に接続され、Sr1、Sr2…SrnのT端は、電池Br1、Br、Br、…Brnのマイナス端に接続され、Sr0のT端は、電池Br1のマイナス端に接続され、Sr(n+1)のT端は、電池Brnのプラス端に接続され、
全てのTRIACのゲートは、全てのTRIACのオンオフが制御回路によって制御されるように、前記制御回路に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路。
【請求項4】
前記制御回路は、マイクロコントローラとすべてのTRIACの駆動回路とを含み、
前記マイクロコントローラのプログラミングによって、前記直列電池パックの各電池セルの容量を分析し、前記均衡回路の制御ポリシーを決定し、
前記駆動回路は、TRIACのゲートに適切な駆動電圧またはシャットダウン電圧を供給し、TRIACを実際の必要に応じてオン/オフさせることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路。
【請求項5】
前記直列電池パックの電池は、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、スーパーキャパシタなどの二次電池であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パック均衡の技術分野に関し、具体的には誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路に関する。
【背景技術】
【0002】
直列電池パックは、複数の充放電サイクルを経た後に、各電池セルの残存容量の分布について、一般的に、一部の電池セルの残存容量が高めである場合、一部の電池セルの残存容量が低めである場合、一部の電池セルの残存容量が高めであり一部の電池セルの残存容量が低めである場合との3つの場合がある。
【0003】
上記の3つの場合に対応して、国内外の学者は、彼ら自身の解決策を提案した。例えば、一部の電池セルの残存容量が高めである場合、対応するスイッチング装置を制御することによって、残存容量が高めである電池モジュールのエネルギーを抵抗で消費する並列抵抗分流方法を提案した研究者がいる。当該方法の場合、エネルギーを無駄に消費し、均衡プロセス中に大量の熱が発生し、電池の熱管理にかかる負荷が大きくなる。双方向DC-DC均衡方法や同軸トランス均衡方法などの均衡回路を提案する研究者もいるが、これらの回路にいずれもトランスが使用されているため、均衡回路のコストが高くなる。
【0004】
現在、リチウムイオン電池パックの均衡制御方法は、均衡プロセスにおける回路のエネルギー消費に応じて、エネルギー散逸型とエネルギー非散逸型の2種類に分類することができ、均衡機能で分類すると、充電均衡、放電均衡および動的均衡に分けられる。充電均衡とは、充電プロセスにおける均衡化を指し、一般に、電池パックのセル電圧が設定値に達すると均衡化が開始し、充電電流を減らすことで過充電を防止する。放電均衡とは、放電プロセスにおける均衡化を指し、残存エネルギーの低い電池セルにエネルギーを補充することによって過放電を防止する。動的均衡方式は、充電均衡と放電均衡の利点を組み合わせており、充放電プロセス全体における電池パックの均衡化を指す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術の上記欠点を解決するために、誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路を提供する。直列電池パックの電池管理システムに均衡回路を取り入れることによって、電池パックのセルが充電や放電プロセス中に過充電や過放電にならないように保証し、直列電池パックの非均衡現象を改善して電池パックの使用可能な容量を高め、直列電池パックの補修・交換周期を減少し、電池パックの使用寿命を延長させ、ハイブリッド自動車、電気自動車および蓄電発電所の運用コストを削減する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路の充電プロセスにおいて、電池パックの左部分のいずれか1つまたは複数の連続の電池セルのエネルギーが高すぎる(図1図3(a)において、電池Bl1と電池Bl2は、連続の電池セルであり、電池Bl1と電池Bl2と電池Bl3は、連続の電池セルである。すなわち、電池パックの左部分において、任意の連続する1つまたは複数の電池セルは、本発明で「連続の電池」と称され、均衡プロセスで適切に1つの全体として見なされる。電池パックの右部分の連続の電池の定義も同様である。)と、1つまたは複数の連続の高すぎるエネルギーのセルを1つの全体と見なし、当該全体のエネルギーを、当該全体に対応する右部分の電池からなる全体と均衡化する(図1図3(a)において、左部分の電池Bl1は、右部分の電池Br1に対応し、左部分の電池Bl1とBl2からなる全体は、右部分の電池Br1とBr2からなる全体に対応する。すなわち、左部分の任意の連続する1つまたは複数の電池セルからなる全体は、右部分のうち、当該全体と同一または複数の連続のインダクタに並列に接続する電池からなる全体に対応する。連続のインダクタの定義は、連続の電池の定義とは同じである。右部分の電池に対応する左部分の電池の定義は同様である。)。右部分の均衡化原理は、左部分とは同様である。
【0007】
放電プロセスにおいて、電池パックの左部分の1つまたは複数の連続の電池セルのエネルギーが低すぎると、1つまたは複数の低すぎるエネルギーのセルを1つの全体と見なす。当該低すぎるエネルギーの全体に対応する右部分の電池エネルギーが低すぎない場合、当該低すぎるエネルギーの全体に対応する右部分の電池と、これらの電池に接続される任意の電池の組み合わせのエネルギーを、当該低すぎるエネルギーの全体と均衡化する。当該低すぎるエネルギーの全体に対応する右部分の電池のエネルギーも低すぎる場合、均衡化を実現するには2つのステップを経らなければならない。まず、左部分の高いエネルギーの1つまたは複数の連続の電池セルのエネルギーを右部分の電池と均衡化して右部分の電池の電圧を高める。それから、上記の放電均衡の方法で均衡化する。右部分の均衡化原理は、左部分とは同様である。
【0008】
当該直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路は、直列電池パックと、均衡回路と、制御回路から構成される。ここで、直列電池パックは、左、右の両部分に分けられる。左部分の電池セルは、左電池パックであり、右部分の電池セルは、右電池パックである。電池セルの総数が2n(nは正整数)である場合、左右部分の電池セルの数は、ともにnである。電池セルの総数が2n+1(nは正整数)である場合、左電池パックのセル数がn、右電池パックのセル数がn+1であるが、左電池パックのセル数がn+1、右電池パックのセル数がnであってもよい。本発明は、左電池パックのセル数がn、右電池パックのセル数がn+1であることを例として説明する(左電池パックのセル数がn+1、右電池パックのセル数がnである場合も原理は同様である。)。左電池パックの電池セルは、上からそれぞれBl1、Bl2、Bl3、…Blnと命名される。電池セルの総数が2nである場合、右電池パックの電池セルは、上からそれぞれBr1、Br2、Br3、…Brnと命名される。電池セルの総数が2n+1である場合、右電池パックの電池セルは、上からそれぞれBr0、Br1、Br2、Br3、…Brnと命名される。Bl1の正極は、VCCに接続される。電池セルの総数が2nである場合、Br1の負極は、GNDに接続される。電池セルの総数が2n+1である場合、Br0の負極は、GNDに接続される。電池の数は限定されないが、電池数が多くなるに伴い、均衡制御がそれに応じて複雑になり、TRIACのスイッチング周波数が要件を満たせない可能性があり、エネルギー蓄積インダクタに対する要件も対応して高まり、実際の状況に応じて選択すべきである。電池数が2nである場合、均衡回路のエネルギー蓄積インダクタLの数がnであり、上からそれぞれL、L…Lと命名される。電池数が2n+1である場合、均衡回路のエネルギー蓄積インダクタLの数がn+1であり、上からそれぞれL、L…Lと命名される。インダクタと同数のTRIACは、インダクタの両端に並列に接続され、残りのTRIACの一端は、エネルギー蓄積インダクタLの一端に接続され、他端が電池の一端に接続される。TRIACの制御端は、制御回路に接続されることで、TRIACのオンオフが制御回路によって制御される。電池数が2nである場合、TRIACの数は、3n+2であり、インダクタに並列に接続されるTRIACは、上からそれぞれS、S…Sと命名され、左電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSl1、Sl2…Sl(n+1)と命名され、右電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSr1、Sr2…Sr(n+1)と命名される。電池数が2n+1である場合、TRIACの数は、3n+5であり、インダクタに並列に接続されるTRIACは、上からそれぞれS、S…Sと命名され、左電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSl0、Sl1…Sl(n+1)と命名され、右電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSr0、Sr1…Sr(n+1)と命名される。電池セルBl1の正極は、VCCに接続され、電池セルBr1の負極は、GNDに接続される。図1の制御回路は、マイクロコントローラとすべてのTRIACの駆動回路とを含む。マイクロコントローラのプログラミングによって、現在の電池の容量を分析し、回路均衡化のために採用すべき制御ポリシーを算出する。制御回路の駆動回路は、TRIACのゲートに適切な駆動電圧またはシャットダウン電圧を供給し、TRIACを実際の必要に応じてオン/オフさせることによって、電池の容量均衡化の目的を達成する。
【0009】
均衡回路の作動原理は、以下である。
電池の数が2nである場合、図1に示すように、充電プロセスにおいて、左電池パックの連続の複数の電池がすべて最も高い端電圧であれば、これらの電池からなる全体に対し同時に放電均衡を行う。これらの電池をBli、Bl(i+1)…Bl(i+w)とする(これらの電池の数は、最多で左電池パックの全電池に等しい。すなわち、wの最大値がn-1であり、wが0以上である。)。Bli、Bl(i+1)…Bl(i+w)に対する過充電を避けるために、1つのPWM周期内に、TRIACSliとSl(i+w+1)を導通させると、電流は、Sli、エネルギー蓄積インダクタL、Li+1…Li+w、Sl(i+w+1)およびBl(i+w)、Bl(i+w-1)…Bliを流れる。Bli、Bl(i+1)…Bl(i+w)は、放電してインダクタL、Li+1…Li+wからなる全体にエネルギーを蓄積する。電池Bli、Bl(i+1)…Bl(i+w)に対応する電池は、Bri、Br(i+1)…Br(i+w)である。SliとSl(i+w+1)を一定期間オンにしてからオフにし、SriとSr(i+w+1)を同時にオンにする。この場合、電流は、インダクタL、Li+1…Li+w、Sr(i+w+1)、電池Br(i+w)、Br(i+w-1)…BriおよびSriを流れる。インダクタL、Li+1…Li+wは、Bri、Br(i+1)…Br(i+w)にエネルギーを放出して、エネルギーがBli、Bl(i+1)…Bl(i+w)からBri、Br(i+1)…Br(i+w)に移行される。充電プロセスにおいて、右電池パックの連続の複数の電池がすべて最も高い端電圧であるとき、均衡原理は、左電池パックと同一である。
【0010】
電池の数が2nである場合、図1に示すように、放電プロセスにおいて、左電池パックの連続の複数の電池がすべて最も低い端電圧であれば、これらの電池からなる全体に対し同時に放電均衡を行う。これらの電池をBli、Bl(i+1)…Bl(i+w)とする(これらの電池の数は、最多で左電池パックの全電池に等しい。すなわち、wの最大値がn-1であり、wが0以上である。)。電池Bli、Bl(i+1)…Bl(i+w)に対応する電池は、Bri、Br(i+1)…Br(i+w)とする。Bri、Br(i+1)…Br(i+w)からなる全体のエネルギーが低すぎない場合、一定ルールの判断によって、Bri、Br(i+1)…Br(i+w)に連続する1つの電池全体は、Bli、Bl(i+1)…Bl(i+w)にエネルギーを提供可能である。当該全体の電池をBr(i-p)、Br(i-p+1)…Br(i+q+w)(p+q+wの和の最大値がn-1であり、pが0以上であり、qが0以上である。)とすると、Sr(i-p)とSr(i+q+w+1)をオンにし、同時にSi-p、Si-p+1…Si+q+w+1のうちS、Si+1…Si+wを除いた、インダクタに並列に接続されるTRIACをオンにする。この場合、電流は、Sr(i-p)、電池Br(i-p)、Br(i-p+1)…Br(i+q+w)、Sr(i+q+w+1)、インダクタL、Li+1…Li+wおよびSi-p、Si-p+1…Si+q+w+1のうちS、Si+1…Si+wを除いた、インダクタに並列に接続されるTRIACを流れる。Br(i-p)、Br(i-p+1)…Br(i+q+w)は、放電してインダクタL、Li+1…Li+wからなる全体にエネルギーを蓄積する。Sr(i-p)、Sr(i+q+w+1)およびSi-p、Si-p+1…Si+q+w+1のうちS、Si+1…Si+wを除いた、インダクタに並列に接続されるTRIACを一定期間オンにしてからオフにし、SliとSl(i+w+1)を同時にオンにすると、電流は、エネルギー蓄積インダクタLi+w、Li+w-1…L、Sli、Bli、Bl(i+1)…Bl(i+w)およびSl(i+w+1)を流れる。インダクタL、Li+1…Li+wは、Bri、Br(i+1)…Br(i+w)にエネルギーを放出して、エネルギーがBr(i-p)、Br(i-p+1)…Br(i+q+w)からBri、Br(i+1)…Br(i+w)に移行される。Bri、Br(i+1)…Br(i+w)からなる全体のエネルギーが低すぎると、まず左電池パックの電池から右電池パック全体に充電し、Bri、Br(i+1)…Br(i+w)のエネルギーを高め、それから上記方式で放電均衡を行う。放電プロセスにおいて、右電池パックの連続の複数の電池がすべて最も低い端電圧であるとき、均衡原理は、左電池パックと同一である。
【0011】
電池の数が2n+1である場合、図2に示すように、充電または放電プロセスにおいて、電池Br0を除き、ほかの電池の均衡方法は、電池数が2nである場合と同じである。充電プロセスにおいて、電池Br0が最も高い端電圧であれば、Br0に対する過充電を避けるために、1つのPWM周期内に、TRIACSr0とSr1を導通させると、電流は、Sr1、エネルギー蓄積インダクタL、Sr0およびBr0を流れて放電し、インダクタLにエネルギーを蓄積する。Sr0とSr1を一定期間オンにしてからオフにし、Sl0とSl2を同時にオンにする。この場合、電流は、インダクタL、Sl0、電池Bl1、Sl2およびインダクタL流れる。インダクタLは、Bl1にエネルギーを放出して、エネルギーがBr0からBl1に移行される。放電プロセスにおいて、電池Br0が最も低い端電圧であれば、Br0に対する過放電を避けるために、1つのPWM周期内に、TRIACSl0とSlnを導通させ、TRIACS、S…Sを同時に導通させると、電流は、Sl0、エネルギー蓄積インダクタL、S、S…S、SlnおよびBln、Bl(n-1)……Bl1を流れ、インダクタLにエネルギーを蓄積する。Sl0とSl1を一定期間オンにしてからオフにし、Sr0とSr1を同時にオンにする。この場合、電流は、インダクタL、Sr1、電池Br0およびSを流れる。インダクタLは、Br0にエネルギーを放出して、エネルギーがBl1、Bl2…BlnからBr0移行される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、直列電池パックの電池管理システムに上記の無損失動的電池均衡技術を取り入れることによって、各セルが充電や放電プロセス中に過充電や過放電にならないように保証し、直列電池パックの非均衡現象を改善して電池パックの使用可能な容量を高め、電池パックの使用寿命を延長させ、ハイブリッド自動車、電気自動車および蓄電発電所の運用コストを削減する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】電池数が2nである場合の誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路の回路原理図である。
図2】電池数が2n+1である場合の誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路の回路原理図である。
図3】(a)は、電池数が2nである場合、4本の電池を例とする充電プロセスにおけるインダクタ充電の作動プロセス原理図である。(b)は、電池数が2nである場合、4本の電池を例とする充電プロセスにおけるインダクタ放電の作動プロセス原理図である。
図4】(a)は、電池数が2nである場合、4本の電池を例とする充電プロセスにおけるインダクタ充電の作動プロセス原理図である。(b)は、電池数が2nである場合、4本の電池を例とする充電プロセスにおけるインダクタ放電の作動プロセス原理図である。
図5】(a)は、電池数が2n+1である場合、5本の電池を例とする電池Br0の充電プロセスにおけるインダクタ充電の作動原理図である。(b)は、電池数が2n+1である場合、5本の電池を例とする電池Br0の充電プロセスにおけるインダクタ放電の作動原理図である。
図6】(a)は、電池数が2n+1である場合、5本の電池を例とする電池Br0の放電プロセスにおけるインダクタ充電の作動原理図である。(b)は、電池数が2n+1である場合、5本の電池を例とする電池Br0の放電プロセスにおけるインダクタ放電の作動原理図である。
図7】4本の電池を例とする均衡回路充電模擬試験における各電池セルの電圧波形図である。
図8】4本の電池を例とする均衡回路放電模擬試験における各電池セルの電圧波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施例の目的、技術手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例の図面を参照しながら、本発明の実施例の技術手段を明確且つ完全的に記載する。明らかに、記載されている実施例は、本発明の実施例の一部であり、全てではない。本発明の実施例に基づき、当業者が創造性のある作業を付さなくても為しえる全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属するものである。
【0015】
(実施例)
図1は、電池数が2nである場合の均衡回路原理図である。直列電池パックは、左、右の両部分に分けられる。左部分の電池セルは、左電池パックであり、右部分の電池セルは、右電池パックである。左右部分の電池セルの数は、ともにnである。左電池パックの電池セルは、上からそれぞれBl1、Bl2、Bl3、…Blnと命名される。右電池パックの電池セルは、上からそれぞれBr1、Br2、Br3、…Brnと命名される。Bl1の正極は、VCCに接続される。Br1の負極は、GNDに接続される。電池の数は限定されないが、nは、1以上の正整数である。電池数が多くなるに伴い、均衡制御がそれに応じて複雑になり、TRIACのスイッチング周波数が要件を満たせない可能性があり、エネルギー蓄積インダクタに対する要件も対応して高まり、実際の状況に応じて選択すべきである。均衡回路のエネルギー蓄積インダクタLの数がnであり、上からそれぞれL、L…Lと命名される。インダクタと同数のTRIACは、インダクタの両端に並列に接続され、残りのTRIACの一端は、エネルギー蓄積インダクタLの一端に接続され、他端が電池の一端に接続される。すべてのTRIACの制御端が制御回路に接続されることで、TRIACのオンオフが制御回路によって制御される。TRIACの数は、3n+2であり、インダクタに並列に接続されるTRIACは、上からそれぞれS、S…Sと命名され、左電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSl1、Sl2…Sl(n+1)と命名され、右電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSr1、Sr2…Sr(n+1)と命名される。電池セルBl1の正極は、VCCに接続され、電池セルBr1の負極は、GNDに接続される。図示の制御回路は、マイクロコントローラとすべてのTRIACの駆動回路とを含む。マイクロコントローラのプログラミングによって、現在の電池の容量を分析し、回路均衡化のために採用すべき制御ポリシーを算出する。制御回路の駆動回路は、TRIACのゲートに適切な駆動電圧またはシャットダウン電圧を供給し、TRIACを実際の必要に応じてオン/オフさせることによって、電池の容量均衡化の目的を達成する。
【0016】
図2は、電池数が2n+1の場合の均衡回路原理図である。直列電池パックは、左、右の両部分に分けられる。左部分の電池セルは、左電池パックであり、右部分の電池セルは、右電池パックである。左電池パックのセル数がn、右電池パックのセル数がn+1であるが、左電池パックのセル数がn+1、右電池パックのセル数がnであってもよい。本発明は、左電池パックのセル数がn、右電池パックのセル数がn+1であることを例として説明する。左電池パックの電池セルは、上からそれぞれBl1、Bl2、Bl3、…Blnと命名される。右電池パックの電池セルは、上からそれぞれBr0、Br1、Br2、Br3、…Brnと命名される。Bl1の正極は、VCCに接続される。Br0の負極は、GNDに接続される。電池の数は限定されないが、nは、1以上の正整数である。電池数が多くなるに伴い、均衡制御がそれに応じて複雑になり、TRIACのスイッチング周波数が要件を満たせない可能性があり、エネルギー蓄積インダクタに対する要件も対応して高まり、実際の状況に応じて選択すべきである。均衡回路のエネルギー蓄積インダクタLの数がn+1であり、上からそれぞれL、L…Lと命名される。インダクタと同数のTRIACは、インダクタの両端に並列に接続され、残りのTRIACの一端は、エネルギー蓄積インダクタLの一端に接続され、他端が電池の一端に接続される。TRIACの制御端は、制御回路に接続されることで、TRIACのオンオフが制御回路によって制御される。TRIACの数は、3n+5であり、インダクタに並列に接続されるTRIACは、上からそれぞれS、S…Sと命名され、左電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSl0、Sl1…Sl(n+1)と命名され、右電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSr0、Sr1…Sr(n+1)と命名される。電池セルBl1の正極は、VCCに接続され、電池セルBr1の負極は、GNDに接続される。図示の制御回路は、マイクロコントローラとすべてのTRIACの駆動回路とを含む。マイクロコントローラのプログラミングによって、現在の電池の容量を分析し、回路均衡化のために採用すべき制御ポリシーを算出する。制御回路の駆動回路は、TRIACのゲートに適切な駆動電圧またはシャットダウン電圧を供給し、TRIACを実際の必要に応じてオン/オフさせることによって、電池容量の均衡化の目的を達成する。
【0017】
図3(a)は、電池数が2nである場合、4本の電池を例とする充電プロセスにおけるインダクタ充電の作動プロセス原理図である。電池セルの総数が4であり、左右部分の電池セル数がともに2である。左電池パックの電池セルは、上からそれぞれBl1、Bl2と命名され、右電池パックの電池セルは、上からそれぞれBr1、Br2と命名され、インダクタは、上からそれぞれL、Lと命名される。左電池パックのセルBl1がすべてのセルのうち最も高い端電圧であれば、Bに対する過充電を避けるために、1つのPWM周期内に、TRIACSl1とS2を導通させると、電流は、Sl1、エネルギー蓄積インダクタL、Sl2およびBl1を流れる。Bl1は、放電してインダクタLにエネルギーを蓄積する。
【0018】
図3(b)は、電池数が2nである場合、4本の電池を例とする充電プロセスにおけるインダクタ放電の作動プロセス原理図である。電池セルの総数が4であり、左右部分の電池セル数がともに2である。左電池パックの電池セルは、上からそれぞれBl1、Bl2と命名され、右電池パックの電池セルは、上からそれぞれBr1、Br2と命名され、インダクタは、上からそれぞれL、Lと命名される。図3(a)と1つのPWM周期内に、Lに蓄積されたエネルギーをBr1に放出する。Sl1とSl2を一定期間オンにしてからオフにし、Sr1とSr2を同時にオンにする。この場合、電流は、インダクタL、Sr2、電池Br1およびSr1を流れる。インダクタLは、Br1にエネルギーを放出し、エネルギーがBl1からBr1に移行される。
【0019】
図4(a)は、電池数が2nである場合、4本の電池を例とする充電プロセスにおけるインダクタ充電の作動プロセス原理図である。電池セルの総数が4であり、左右部分の電池セル数がともに2である。左電池パックの電池セルは、上からそれぞれBl1、Bl2と命名され、右電池パックの電池セルは、上からそれぞれBr1、Br2と命名され、インダクタは、上からそれぞれL、Lと命名される。左電池パックのセルBl1がすべてのセルのうち最も低い端電圧であれば、Bl1に対応する電池Br1のエネルギーが低すぎにならず、かつBr1とBr2からなる全体からBr1にエネルギーを提供するとする。Bに対する過放電を避けるために、1つのPWM周期内に、TRIACSr1とSr3を導通させ、同時にSをオンにする。すると、電流は、Sr3、S、エネルギー蓄積インダクタL、Sr1およびBr1、Br2を流れる。Br1、Br2は、放電してインダクタLにエネルギーを蓄積する。
【0020】
図4(b)は、電池数が2nである場合、4本の電池を例とする充電プロセスにおけるインダクタ充電の作動プロセス原理図である。電池セルの総数が4であり、左右部分の電池セル数がともに2である。左電池パックの電池セルは、上からそれぞれBl1、Bl2と命名され、右電池パックの電池セルは、上からそれぞれBr1、Br2と命名され、インダクタは、上からそれぞれL、Lと命名される。図4(a)と1つのPWM周期内に、Sr1、Sr3、Sを一定期間オンにしてからオフにし、Sl1とSl2を同時にオンにする。この場合、電流は、インダクタL、Sl1、電池BおよびSl2を流れる。インダクタLは、Bl1にエネルギーを放出し、エネルギーがBr1とBr2からBl1に移行される。
【0021】
図5(a)は、電池数が2n+1である場合、5本の電池を例とする電池Br0の充電プロセスにおけるインダクタ充電の作動原理図である。電池セルの総数が5であり、左部分の電池セル数がともに2であり、右部分の電池セル数がともに3である。左電池パックの電池セルは、上からそれぞれBl1、Bl2と命名され、右電池パックの電池セルは、上からそれぞれBr0、Br1、Br2と命名され、インダクタは、上からそれぞれL、L、Lと命名される。TRIACの数は、11であり、インダクタに並列に接続されるTRIACは、上からそれぞれS、S、Sと命名され、左電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSl0、Sl1、S12と命名され、右電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSr0、Sr1、Sr2と命名される。充電プロセスにおいて、電池Br0が最も高い端電圧であれば、Br0に対する過充電を避けるために、1つのPWM周期内に、TRIACSr0とSr1を導通させると、電流は、Sr1、エネルギー蓄積インダクタL、Sr0およびBr0を流れて放電し、インダクタLにエネルギーを蓄積する。
【0022】
図5(b)は、電池数が2n+1である場合、5本の電池を例とする電池Br0の充電プロセスにおけるインダクタ放電の作動原理図である。電池セルの総数が5であり、左部分の電池セル数がともに2であり、右部分の電池セル数がともに3である。左電池パックの電池セルは、上からそれぞれBl1、Bl2と命名され、右電池パックの電池セルは、上からそれぞれBr0、Br1、Br2と命名され、インダクタは、上からそれぞれL、L、Lと命名される。TRIACの数は、11であり、インダクタに並列に接続されるTRIACは、上からそれぞれS、S、Sと命名され、左電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSl0、Sl1、S12と命名され、右電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSr0、Sr1、Sr2と命名される。図5(a)と同じPWM周期内に、Sr0とSr1を一定期間オンにしてからオフにし、Sl0とSl2を同時にオンにすると、電流は、インダクタL、Sl0、電池Bl1、S12およびインダクタLを流れる。インダクタLからBl1にエネルギーを放出し、エネルギーがBr0からBl1に移行される。
【0023】
図6(a)は、電池数が2n+1である場合、5本の電池を例とする電池Br0の放電プロセスにおけるインダクタ充電の作動原理図である。電池セルの総数が5であり、左部分の電池セル数がともに2であり、右部分の電池セル数がともに3である。左電池パックの電池セルは、上からそれぞれBl1、Bl2と命名され、右電池パックの電池セルは、上からそれぞれBr0、Br1、Br2と命名され、インダクタは、上からそれぞれL、L、Lと命名される。TRIACの数は、11であり、インダクタに並列に接続されるTRIACは、上からそれぞれS、S、Sと命名され、左電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSl0、Sl1、S12と命名され、右電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSr0、Sr1、Sr2と命名される。放電プロセスにおいて、電池Br0が最も低い端電圧であれば、Br0に対する過放電を避けるために、1つのPWM周期内に、TRIACSl0とSl3を導通させ、同時にS、Sをオンにすると、電流は、Sl0、エネルギー蓄積インダクタL、S、S、Sl3および電池Bl2、Bl1を流れ、インダクタLにエネルギーを蓄積する。
【0024】
図6(b)は、電池数が2n+1である場合、5本の電池を例とする電池Br0の放電プロセスにおけるインダクタ放電の作動原理図である。電池セルの総数が5であり、左部分の電池セル数がともに2であり、右部分の電池セル数がともに3である。左電池パックの電池セルは、上からそれぞれBl1、Bl2と命名され、右電池パックの電池セルは、上からそれぞれBr0、Br1、Br2と命名され、インダクタは、上からそれぞれL、L、Lと命名される。TRIACの数は、11であり、インダクタに並列に接続されるTRIACは、上からそれぞれS、S、Sと命名され、左電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSl0、Sl1、S12と命名され、右電池パックに接続されるTRIACは、上からそれぞれSr0、Sr1、Sr2と命名される。図6(a)と同じPWM周期内に、Sl0、Sl3、S、Sを一定期間オンにしてからオフにし、同時にSr0、Sr1をオンにする。この場合、電流は、エネルギー蓄積インダクタL、Sr1、電池Br0およびSr0を流れて放電する。インダクタLは、Br0にエネルギーを放出し、エネルギーがB11、B12からBr0に移行される。
【0025】
図7は、4本の電池を例とする均衡回路充電模擬試験における各電池セルの電圧波形図である。一定の制御精度を設定した条件で、各電池セルは、均衡回路によって電圧均衡が実現されている。
【0026】
図8は、4本の電池を例とする均衡回路放電模擬試験における各電池セルの電圧波形図である。一定の制御精度を設定した条件で、各電池セルは、均衡回路によって電圧均衡が実現されている。
【0027】
以上の実施例は、本発明の好適な実施形態である。しかし、本発明の実施形態は、上記実施例に限定されるものではない。本発明の趣旨と原理を逸脱しない範囲で為した変更、修飾、代替、組み合わせ、簡単化などは、いずれも同等の置換手段であり、すべて本発明の保護範囲に含まれる。
【0028】
(付記)
(付記1)
誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路であって、
直列電池パックと、均衡回路と、制御回路とを含み、
前記直列電池パックは、左、右に分けられた両部分を含み、
左部分の電池セルは、左電池パックであり、右部分の電池セルは、右電池パックであり、
前記左電池パックは、前記右電池パックに直列に接続され、
前記左電池パックと前記右電池パックは、前記均衡回路を介在して接続され、
前記均衡回路は、さらに前記制御回路に接続され、
前記制御回路は、前記均衡回路のTRIACのオンオフおよびエネルギー蓄積インダクタのエネルギー蓄積作用を制御することによって、前記直列電池パックの充放電過程の動的均衡を実現することを特徴とする誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路。
【0029】
(付記2)
前記直列電池パックの電池セルの総数が2n(nは正整数)である場合、前記左電池パックと前記右電池パックの電池セルの数は、ともにnであり、
前記直列電池パックの電池セルの総数が2n+1(nは正整数)である場合、前記左電池パックの電池セルの数がnであれば、前記右電池パックの電池セルの数は、n+1であるが、前記左電池パックの電池セルの数がn+1であれば、前記右電池パックの電池セルの数は、nであることを特徴とする付記1に記載の誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路。
【0030】
(付記3)
前記直列電池パックの電池セルの総数が2nである場合、
前記左電池パックの電池セルは、上からそれぞれBl1、Bl2、Bl3、…Blnと命名され、Bl1、Bl2、Bl3、…Blnは、順に直列に接続され、
前記右電池パックの電池セルは、上からそれぞれBr1、Br2、Br3、…Brnと命名され、Br1、Br2、Br3、…Brnは、順に直列に接続され、
ここで、Bl1の正極がVCCに接続され、Br1の負極がGNDに接続され、
前記均衡の改良回路のエネルギー蓄積インダクタLの数はnであり、上からそれぞれL、L…Lと命名され、L、L…Lは、順に直列に接続され、
前記均衡回路のTRIACの数は、3n+2であり、
n個のTRIACは、上からそれぞれS、S…Sと命名され、S、S…Sは、順に直列に接続され、S、S…Sは、それぞれエネルギー蓄積インダクタL、L…Lの両端に並列に接続され、
さらに、n+1個のTRIACは、上からそれぞれSl1、Sl2…Sl(n+1)と命名され、Sl1、Sl2…SlnのT端は、それぞれエネルギー蓄積インダクタL、L…Lの上端に接続され、Sl(n+1)のT端は、エネルギー蓄積インダクタLの下端に接続され、Sl1、Sl2…SlnのT端は、電池セルBl1、Bl2、Bl3、…Blnのプラス端に接続され、Sl(n+1)のT端は、電池セルBlnのマイナス端に接続され、
残りのn+1個のTRIACは、上からそれぞれSr1、Sr2…Sr(n+1)と命名され、Sr1、Sr2…SrnのT端は、それぞれエネルギー蓄積インダクタL、L…Lの上端に接続され、Sr(n+1)のT端は、エネルギー蓄積インダクタLの下端に接続され、Sr1、Sr2…SrnのT端は、電池セルBr1、Br、Br、…Brnのマイナス端に接続され、Sr(n+1)のT端は、電池セルBrnのプラス端に接続され、
全てのTRIACのゲートは、全てのTRIACのオンオフが制御回路によって制御されるように、前記制御回路に接続されていることを特徴とする付記2に記載の誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路。
【0031】
(付記4)
前記直列電池パックの電池セルの総数が2n+1である場合、
前記左電池パックの電池セルの数は、nであり、上からそれぞれBl1、Bl2、Bl3、…Blnと命名され、Bl1、Bl2、Bl3、…Blnは、順に直列に接続され、
前記右電池パックの電池セルの数は、n+1であり、上からそれぞれBr0、Br1、Br2、Br3、…Brnと命名され、Br0、Br1、Br2、Br3、…Brnは、順に直列に接続され、
ここで、Bl1の正極がVCCに接続され、Br0の負極がGNDに接続され、
前記均衡の改良回路のエネルギー蓄積インダクタLの数は、n+1であり、上からそれぞれL、L、L…Lと命名され、L、L、L…Lは、順に直列に接続され、
前記均衡回路のTRIACの数は、3n+5であり、
n+1個のTRIACは、上からそれぞれS、S、S…Sと命名され、S、S、S…Sは、順に直列に接続され、S、S、S…Sは、それぞれインダクタL、L、L…Lの両端に並列に接続され、
さらに、n+2個のTRIACは、上からそれぞれSl0、Sl1、Sl2…Sl(n+1)と命名され、Sl0、Sl1、Sl2…SlnのT端は、それぞれエネルギー蓄積インダクタL、L、L…Lの上端に接続され、Sl(n+1)のT端は、エネルギー蓄積インダクタLの下端に接続され、Sl1、Sl2…SlnのT端は、電池Bl1、Bl2、Bl3、…Blnのプラス端に接続され、Sl0のT端は、電池Bl1のプラス端に接続され、Sl(n+1)のT端は、電池Blnのマイナス端に接続され、
残りのn+2個のTRIACは、上からそれぞれSr0、Sr1、Sr2…Sr(n+1)と命名され、Sr0、Sr1、Sr2…SrnのT端は、それぞれエネルギー蓄積インダクタL、L、L…Lの上端に接続され、Sr(n+1)のT端は、エネルギー蓄積インダクタLの下端に接続され、Sr1、Sr2…SrnのT端は、電池Br1、Br、Br、…Brnのマイナス端に接続され、Sr0のT端は、電池Br1のマイナス端に接続され、Sr(n+1)のT端は、電池Brnのプラス端に接続され、
全てのTRIACのゲートは、全てのTRIACのオンオフが制御回路によって制御されるように、前記制御回路に接続されていることを特徴とする付記2に記載の誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路。
【0032】
(付記5)
前記制御回路は、マイクロコントローラとすべてのTRIACの駆動回路とを含み、
前記マイクロコントローラのプログラミングによって、前記直列電池パックの各電池セルの容量を分析し、前記均衡回路の制御ポリシーを決定し、
前記駆動回路は、TRIACのゲートに適切な駆動電圧またはシャットダウン電圧を供給し、TRIACを実際の必要に応じてオン/オフさせることを特徴とする付記1から4のいずれか1つに記載の誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路。
【0033】
(付記6)
前記制御回路における制御信号の周波数の大きさは、制御される回路のエネルギー蓄積インダクタLのインダクタンス値、TRIACのスイッチング損失、電池セル電圧および電池セル容量に依存することを特徴とする付記1から4のいずれか1つに記載の誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路。
【0034】
(付記7)
前記直列電池パックの電池は、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、スーパーキャパシタなどの二次電池であることを特徴とする付記1から4のいずれか1つに記載の誘導性エネルギー蓄積に基づく直列電池パックの双方向無損失均衡の改良回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8