(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】懸濁体の製造装置及びこれに用いられる開閉バルブ
(51)【国際特許分類】
B01F 35/75 20220101AFI20220207BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20220207BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20220207BHJP
B01F 23/50 20220101ALI20220207BHJP
B01F 27/90 20220101ALI20220207BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20220207BHJP
F16K 31/122 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
B01F15/02 C
H01M4/04 A
H01M4/139
B01F3/12
B01F7/18 B
F16K27/00 B
F16K31/122
(21)【出願番号】P 2020087246
(22)【出願日】2020-05-19
【審査請求日】2020-08-28
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517454697
【氏名又は名称】中村 洋輝
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100221006
【氏名又は名称】金澤 一磨
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋輝
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】実開昭47-011418(JP,U)
【文献】登録実用新案第3115178(JP,U)
【文献】実開昭52-105118(JP,U)
【文献】実開昭54-008729(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 15/00-15/06
B01F 1/00-5/26
B01F 7/00-7/32
B01F 9/00-13/10
B01J 4/00-7/02
B01J 3/00-3/08
F16K 3/00-3/36
F16K 27/00-27/12
F16K 31/12-31/165,31/36-31/42
H01M 4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の材料をタンク内で混ぜ合わせて懸濁体を製造する懸濁体の製造装置であって、 前記タンクは、回転により前記懸濁体である被撹拌物を半径方向外方に移動させる回転ブレードを内部に有し、前記タンク内に開口する接続穴が底部に形成され、
前記接続穴と前記タンクの内底面とは、前記タンクの内底面を前記タンク外まで延長した場合に、前記タンクの内底面に前記接続穴の外周縁が接する位置関係であり、
前記接続穴に、前記懸濁体を排出する際に用いられる開閉バルブが設けられ、
前記開閉バルブは、バルブケース内に、前記接続穴を開閉する弁体部を先端部に有するバルブシャフトがスライド可能に設けられたものであり、
前記バルブケースは、前記タンクの接続穴に接続される接続路と、前記接続路と連通可能である排出路とを有し、
前記弁体部は、前記接続穴を開閉する前側部分と、前記前側部分より大径で前記接続路
に接して該接続路内を進退する後側部分とを有し、
前記バルブシャフトの弁体部が、前記接続路を開放し前記接続路と前記排出路とを連通させる連通許可位置と、前記接続路と前記の連通を遮断する連通遮断位置とを選択的に取り得るものであり、
前記バルブシャフトの弁体部が前記連通許可位置にあるとき、前記回転ブレードを回転させながら前記被撹拌物を前記接続穴から、前記接続路及び前記排出路を通じて外部に排出させるものである、
ことを特徴とする懸濁体の製造装置。
【請求項2】
前記接続穴は、タンクの底部側面に形成され、
前記接続穴と前記タンクの内底面とは、前記タンクの内底面を前記タンク外まで延長した場合に、前記タンクの内底面に前記接続穴の外周縁が接する位置関係であり、
前記バルブケースの排出路は、軸線が下流側になるほど前記タンクから離れるように傾斜している傾斜排出路である、
請求項1記載の懸濁体の製造装置。
【請求項3】
前記開閉バルブは、前記
排出路の上流端が前記タンク近傍に位置するように前記タンクに取り付けられている、請求項1または2記載の懸濁体の製造装置。
【請求項4】
前記タンクは、前記接続穴に連通する連通穴が形成されたフランジを有し、
前記開閉バルブは、前記フランジを介して前記タンクに取り付けられている、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の懸濁体の製造装置。
【請求項5】
前記バルブケースは、先端部に前記接続路及び前記排出路を形成する空間部を有し、
前記空間部の前記接続路内を前記弁体部が進退して、前記連通許可位置と連通遮断位置とを選択的に取り得る、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の懸濁体の製造装置。
【請求項6】
前記バルブケースは、前記タンクに取り付けられる固定部と、この固定部に回転可能にねじ込まれ手動操作用のハンドルが設けられている可動部とを有し、
前記バルブシャフトの後端部は、前記可動部に連結されている、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の懸濁体の製造装置。
【請求項7】
前記バルブシャフトは、後端部に、前記バルブシャフトを進退させ前記連通許可位置と前記連通遮断位置とを切り替える空気式アクチュエータが連係されている、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の懸濁体の製造装置。
【請求項8】
前記バルブケースは、前記タンクに取り付けられる固定部と、この固定部に回転可能にねじ込まれている可動部とを有し、
前記可動部に、前記可動部を回転させ前記連通許可位置と前記連通遮断位置とを切り替える電気式アクチュエータが連係されている、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の懸濁体の製造装置。
【請求項9】
複数の材料をタンク内で混ぜ合わせて懸濁体を製造する懸濁体の製造装置に用いられ、前記懸濁体を排出する際に用いられ、
前記タンクは、回転により前記懸濁体である被撹拌物を半径方向外方に移動させる回転ブレードを内部に有し、底部に前記タンク内に開口する接続穴が形成され、前記接続穴と前記タンクの内底面とは、前記タンクの内底面を前記タンク外まで延長した場合に、前記タンクの内底面に前記接続穴の外周縁が接する位置関係であり、
前記接続穴に接続される開閉バルブであって、
前記接続穴を開閉する弁体部を先端部に有するバルブシャフトが、バルブケース内にスライド可能に設けられたものであり、
前記バルブケースは、前記タンクの接続穴に接続される接続路と、前記接続路と連通可能である排出路とを有し、
前記弁体部は、前記接続穴を開閉する前側部分と、前記前側部分より大径で前記接続路
に接して該接続路内を進退する後側部分とを有し、
前記バルブシャフトの弁体部が、前記接続路を開放し前記接続路と前記排出路とを連通させる連通許可位置と、前記接続路と前記排出路の連通を遮断する連通遮断位置とを選択的に取り得るものであり、
前記バルブシャフトの弁体部が前記連通許可位置にあるとき、前記回転ブレードを回転させながら前記被撹拌物を前記接続穴から、前記接続路及び前記排出路を通じて外部に排出させるものである、
ことを特徴とする、開閉バルブ。
【請求項10】
前記接続穴は、タンクの底部側面に形成され、
前記接続穴と前記タンクの内底面とは、前記タンクの内底面を前記タンク外まで延長した場合に、前記タンクの内底面に前記接続穴の外周縁が接する位置関係であり、
前記バルブケースの排出路は、軸線が下流側になるほど前記タンクから離れるように傾斜している傾斜排出路である、
請求項9記載の
開閉バルブ。
【請求項11】
前記排出路の上流端が前記タンク近傍に位置するように前記タンクに取り付けられている、
請求項9または10記載の開閉バルブ。
【請求項12】
前記タンクは、前記接続穴に連通する連通穴が形成されたフランジを有し、
前記フランジを介して前記タンクに取り付けられている、
請求項9または10記載の開閉バルブ。
【請求項13】
前記バルブケースは、先端部に前記接続路及び前記排出路を形成する空間部を有し、
前記空間部の前記接続路内を前記弁体部が進退して、前記連通許可位置と連通遮断位置とを選択的に取り得る、
請求項9乃至12のいずれか1項に記載の開閉バルブ。
【請求項14】
前記バルブケースは、前記タンクに取り付けられる固定部と、この固定部に回転可能にねじ込まれ手動操作用のハンドルが設けられている可動部とを有し、
前記バルブシャフトの後端部は、前記可動部に連結されている、
請求項9乃至13のいずれか1項に記載の開閉バルブ。
【請求項15】
前記バルブシャフトは、後端部に、前記バルブシャフトを進退させ前記連通許可位置と前記連通遮断位置とを切り替える空気式アクチュエータが連係されている、
請求項9乃至13のいずれか1項に記載の開閉バルブ。
【請求項16】
前記バルブケースは、前記タンクに取り付けられる固定部と、この固定部に回転可能に
ねじ込まれている可動部とを有し、
前記可動部に、前記可動部を回転させ前記連通許可位置と前記連通遮断位置とを切り替える電気式アクチュエータが連係されている、
請求項9乃至13のいずれか1項に記載の開閉バルブ。
【請求項17】
タンクに接続して内容物の排出に用いる開閉バルブであって、
前記タンクは、回転により
前記内容物を半径方向外方に移動させる回転ブレードを内部に有し、前記タンク内に開口する接続穴が底部に形成され、
前記接続穴と前記タンクの内底面とは、前記タンクの内底面を前記タンク外まで延長した場合に、前記タンクの内底面に前記接続穴の外周縁が接する位置関係であり、
前記開閉バルブは、バルブケース内に、前記接続穴を開閉する弁体部を先端部に有するバルブシャフトがスライド可能に設けられたものであり、
前記バルブケースは、前記タンクの接続穴に接続される接続路と、前記接続路と連通可能である排出路とを有し、
前記弁体部は、前記接続穴を開閉する前側部分と、前記前側部分より大径で前記接続路
に接して該接続路内を進退する後側部分とを有し、
前記バルブシャフトの弁体部が、前記接続路を開放し前記接続路と前記排出路とを連通させる連通許可位置と、前記接続路と前記排出路の連通を遮断する連通遮断位置とを選択的に取り得るものであり、
前記バルブシャフトの弁体部が前記連通許可位置にあるとき、前記回転ブレードを回転させながら
前記内容物を前記接続穴から、前記接続路及び前記排出路を通じて外部に排出させるものである、
ことを特徴とする、開閉バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク下部に被撹拌物を排出するための排出用開閉バルブを有する懸濁体の製造装置及びこれに用いられる開閉バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の正極及び負極は、電極基板の表面に電極材料を混ぜ合わせてなる懸濁体を塗布して形成されることが一般的である。例えば、リチウムイオン二次電池の正極及び負極は、金属箔の表面に懸濁体を塗布して形成される。以下、電極製造に用いる懸濁体を電極懸濁体と称する。
【0003】
この種の電極懸濁体は、電極材料である粉末材料と溶剤とを混ぜ合わせて生成されている。つまり、電極活物質粉末、導電材粉末及び結着材粉末が混合されて粉末材料とし、
図7に示すように、粉末材料と溶剤との混合物100をタンク101内に投入して、回転ブレード102を用いて混ぜ合わせることにより、電極懸濁体が形成されるようになっている。
【0004】
二次電池の電池性能は、電極懸濁体の性状が大きく影響するため、電極材料を均一に混ぜ合わせて懸濁体を製造する工程は、電極製造及び電池製造の中でも重要な工程の一つに位置づけられている。このような電極懸濁体の製造工程では、凝集物のない滑らかな懸濁体とすることが求められる。
【0005】
ところで、このような電極懸濁体の製造装置の一つとして、電池の正極の活物質層に用いられる粉末材料の粉末粒径を乾式方式によって調整する機構と、粉末粒径が調整された前記粉末材料と溶剤とを混ぜ合わせる機構とを備えるものが知られている(例えば,特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したような製造装置においては、製造された電極懸濁体を、タンク101の内部から外部に排出する場合に、タンク101内の底部にたまりを生ずることなく、タンク101の外部にスムーズに排出したいという要求がある。
【0008】
本発明は、タンク内の懸濁体を、たまりを生ずることなく、スムーズに排出することができる懸濁体の製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の材料をタンク内で混ぜ合わせて懸濁体を製造する懸濁体の製造装置であって、前記タンクは、回転により前記懸濁体である被撹拌物を半径方向外方に移動させる回転ブレードを内部に有し、前記タンク内に開口する接続穴が底部に形成され、前記接続穴と前記タンクの内底面とは、前記タンクの内底面を前記タンク外まで延長した場合に、前記タンクの内底面に前記接続穴の外周縁が接する位置関係であり、前記接続穴に、前記懸濁体を排出する際に用いられる開閉バルブが設けられ、前記開閉バルブは、バルブケース内に、前記接続穴を開閉する弁体部を先端部に有するバルブシャフトがスライド可能に設けられたものであり、前記バルブケースは、前記タンクの接続穴に接続される接続路と、前記接続路と連通可能である排出路とを有し、前記弁体部は、前記接続穴を開閉する前側部分と、前記前側部分より大径で前記接続路内を進退する後側部分とを有し、前記バルブシャフトの弁体部が、前記接続路を開放し前記接続路と前記排出路とを連通させる連通許可位置と、前記接続路と前記の連通を遮断する連通遮断位置とを選択的に取り得るものであり、前記バルブシャフトの弁体部が前記連通許可位置にあるとき、前記回転ブレードを回転させながら前記被撹拌物を前記接続穴から、前記接続路及び前記排出路を通じて外部に排出させるものである、ことを特徴とする。
【0010】
ここで、排出路は、傾斜している場合はもちろん、L字状の経路や直下に延びる経路も含まれる。このようにすれば、タンク内の懸濁体がタンクの底部の接続穴を通じて、接続路および排出路を通じて排出されるので、懸濁体のたまりを生ずることなくスムーズに排出される。また、回転ブレードの回転により、懸濁体の排出が促進され、懸濁体のたまりが回避される。
【0011】
この場合、前記接続穴は、タンクの底部側面に形成され、前記接続穴と前記タンクの内底面とは、前記タンクの内底面を前記タンク外まで延長した場合に、前記タンクの内底面に前記接続穴の外周縁が接する位置関係であり、前記バルブケースの排出路は、軸線が下流側になるほど前記タンクから離れるように傾斜している傾斜排出路である、ことが望ましい。
【0012】
このようにすれば、接続穴とタンクの内底面とは、タンクの内底面をタンク外まで延長した場合に、タンクの内底面に接続穴の外周縁が接する位置関係であり、排出路が、軸線が下流側になるほどタンクから離れるように傾斜しているので、接続穴及び接続路から排出路へのスムーズな流れが実現され、タンク内の懸濁体をたまりを生ずることなくスムーズに排出される。
【0013】
また、この懸濁体の製造装置は、前記開閉バルブが、前記排出路の上流端が前記タンク近傍に位置するように前記タンクに取り付けられていることが望ましい。
【0014】
このようにすれば、排出路の上流端がタンク近傍に位置するように取り付けられているので、タンクからの排出がスムーズになる。
【0015】
また、この懸濁体の製造装置は、前記タンクが、前記接続穴に連通する連通穴が形成されたフランジを有し、前記開閉バルブは、前記フランジを介して前記タンクに取り付けられていることが望ましい。
【0016】
このようにすれば、タンクに取り付けられたフランジを利用して、開閉バルブを簡単に取り付けることができる。
【0017】
また、この懸濁体の製造装置は、前記バルブケースは、先端部に前記接続路及び前記排出路を形成する空間部を有し、前記空間部の前記接続路内を前記弁体部が進退して、前記連通許可位置と連通遮断位置とを選択的に取り得ることが望ましい。
【0018】
このようにすれば、空間部の接続路内を弁体部が進退することで、連通許可位置と連通遮断位置とを選択的に簡単に取り得る。
【0019】
また、この懸濁体の製造装置は、前記バルブケースが、前記タンクに取り付けられる固定部と、この固定部に回転可能にねじ込まれ手動操作用のハンドルが設けられている可動部とを有し、前記バルブシャフトの後端部は、前記可動部に連結されていることが望ましい。
【0020】
このようにすれば、手動により可動部を回転することで、弁体部が進退し、開閉バルブの開閉を行える。
【0021】
また、この懸濁体の製造装置は、前記バルブシャフトが、後端部に前記バルブシャフトを進退させ前記連通許可位置と前記連通遮断位置とを切り替える空気式アクチュエータが連係されていることが望ましい。
【0022】
また、この懸濁体の製造装置は、前記バルブケースが、前記タンクに取り付けられる固定部と、この固定部に回転可能にねじ込まれている可動部とを有し、前記可動部に、前記可動部を回転させ、前記連通許可位置と前記連通遮断位置とを切り替える電気式アクチュエータが連係されていることが望ましい。
【0023】
このようにすれば、空気式あるいは電気式アクチュエータにて前記連通許可位置と前記連通遮断位置とを切り替えることができるので、制御により開閉バルブの開閉を自動的にできる。
【0026】
本発明に係る開閉バルブは、複数の材料をタンク内で混ぜ合わせて懸濁体を製造する懸濁体の製造装置に用いられ、前記懸濁体を排出する際に用いられ、前記タンクは、回転により前記懸濁体である被撹拌物を半径方向外方に移動させる回転ブレードを内部に有し、底部に前記タンク内に開口する接続穴が形成され、前記接続穴と前記タンクの内底面とは、前記タンクの内底面を前記タンク外まで延長した場合に、前記タンクの内底面に前記接続穴の外周縁が接する位置関係であり、前記接続穴に接続される開閉バルブであって、前記接続穴を開閉する弁体部を先端部に有するバルブシャフトが、バルブケース内にスライド可能に設けられたものであり、前記バルブケースは、前記タンクの接続穴に接続される接続路と、前記接続路と連通可能である排出路とを有し、前記弁体部は、前記接続穴を開閉する前側部分と、前記前側部分より大径で前記接続路に接して該接続路内を進退する後側部分とを有し、前記バルブシャフトの弁体部が、前記接続路を開放し前記接続路と前記排出路とを連通させる連通許可位置と、前記接続路と前記排出路の連通を遮断する連通遮断位置とを選択的に取り得るものであり、前記バルブシャフトの弁体部が前記連通許可位置にあるとき、前記回転ブレードを回転させながら前記被撹拌物を前記接続穴から、前記接続路及び前記排出路を通じて外部に排出させるものである、ことを特徴とする。
【0027】
この場合、前記接続穴は、タンクの底部側面に形成され、前記接続穴と前記タンクの内底面とは、前記タンクの内底面を前記タンク外まで延長した場合に、前記タンクの内底面に前記接続穴の外周縁が接する位置関係であり、前記バルブケースの排出路は、軸線が下流側になるほど前記タンクから離れるように傾斜している傾斜排出路である、ことが望ましい。
【0028】
また、この開閉バルブは、前記排出路の上流端が前記タンク近傍に位置するように前記タンクに取り付けられていることが望ましい。
【0029】
また、この開閉バルブは、前記タンクが、前記接続穴に連通する連通穴が形成されたフランジを有し、前記フランジを介して前記タンクに取り付けられていることが望ましい。
【0030】
また、この開閉バルブは、前記バルブシャフトが、前記バルブケースは、先端部に前記接続路及び前記排出路を形成する空間部を有し、前記空間部の前記接続路内を前記弁体部が進退して、前記連通許可位置と連通遮断位置とを選択的に取り得ることが望ましい。
【0031】
また、この開閉バルブは、前記バルブケースが、前記タンクに取り付けられる固定部と、この固定部に回転可能にねじ込まれ手動操作用のハンドルが設けられている可動部とを有し、前記バルブシャフトの後端部は、前記可動部に連結されていることが望ましい。
【0032】
また、この開閉バルブは、前記バルブシャフトが、後端部に、前記バルブシャフトを進退させ前記連通許可位置と前記連通遮断位置とを切り替える空気式アクチュエータが連係されていることが望ましい。
【0033】
また、この開閉バルブは、前記バルブケースが、前記タンクに取り付けられる固定部と、この固定部に回転可能にねじ込まれている可動部とを有し、前記可動部に、前記可動部を回転させ前記連通許可位置と前記連通遮断位置とを切り替える電気式アクチュエータが連係されていることが望ましい。
【0035】
さらに、本発明に係る開閉バルブは、タンクに接続して内容物の排出に用いる開閉バルブであって、前記タンクは、回転により前記内容物を半径方向外方に移動させる回転ブレードを内部に有し、前記タンク内に開口する接続穴が底部に形成され、前記接続穴と前記タンクの内底面とは、前記タンクの内底面を前記タンク外まで延長した場合に、前記タンクの内底面に前記接続穴の外周縁が接する位置関係であり、前記開閉バルブは、バルブケース内に、前記接続穴を開閉する弁体部を先端部に有するバルブシャフトがスライド可能に設けられたものであり、前記バルブケースは、前記タンクの接続穴に接続される接続路と、前記接続路と連通可能である排出路とを有し、前記弁体部は、前記接続穴を開閉する前側部分と、前記前側部分より大径で前記接続路に接して該接続路内を進退する後側部分とを有し、前記バルブシャフトの弁体部が、前記接続路を開放し前記接続路と前記排出路とを連通させる連通許可位置と、前記接続路と前記排出路の連通を遮断する連通遮断位置とを選択的に取り得るものであり、前記バルブシャフトの弁体部が前記連通許可位置にあるとき、前記回転ブレードを回転させながら前記内容物を前記接続穴から、前記接続路及び前記排出路を通じて外部に排出させるものである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、タンク内の懸濁体あるいは内容物をタンクの底部から接続穴を通じて、接続路および排出路を通じて排出するようにしているので、接続穴から、接続路及び排出路へのスムーズな流れが実現され、タンク内の懸濁体あるいは内容物を、たまりを生ずることなく、外部にスムーズに排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明に係る一実施の形態である懸濁体の製造装置の開閉バルブ取付部分を示す部分拡大図である。
【
図2】タンクと開閉バルブのバルブシャフトとの関係を示す図である。
【
図6】他の実施の形態を示す、
図4と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る実施の形態を、図面に沿って説明する。
図1は本発明に係る一実施の形態である懸濁体の製造装置の開閉バルブ取付部分を示す部分拡大図、
図2はタンクと開閉バルブのバルブシャフトとの関係を示す図である。
【0039】
図1及び
図2に示すように、1は懸濁体の製造装置で、タンク2内で複数の材料(例えば、電極材料)を混ぜ合わせて懸濁体(例えば、電極懸濁体)を製造するものである。タンク2は、円筒状で、タンク胴板2Bのタンク底面部付近に、懸濁体を排出するためにタンク2内に開口する接続穴2Aが形成されている。
【0040】
接続穴2Aとタンク2の内底面(タンク底板2Cの上面)とは、タンク2の内底面をタンク2外まで延長した場合に、タンク2の内底面に接続穴2Aの外周縁が接する位置関係となっている。この接続穴2Aに、懸濁体をタンク2外に排出する際に開放される開閉バルブ3が、タンク側フランジ4を介して取り付けられている。
【0041】
このように、接続穴2Aとタンク2の内底面(タンク底板2Cの上面)との位置関係を前述したようにして、接続穴2Aがタンク2の内底面に連続するようにしているので、タンク2内の懸濁体が、タンク2の内底面上から接続穴2Aを通じて開閉バルブ3側にスムーズに移動しやすくなり、たまりを生ずることなく排出されることになる。
【0042】
フランジ4には、接続穴2Aに連通する貫通穴4Aが形成されており、開閉バルブ3の閉状態では、開閉バルブ3のバルブシャフト3Aの先端部が、貫通穴4Aを通じて接続穴2Aに嵌挿され、接続穴2Aを通じての排出を禁止するようになっている。開閉バルブ3が取り付けられている上側にはタンクジャケット2Dが設けられている。タンク胴板2Bは円筒状であるので、平板であるフランジ4との間は、スペーサ5によって埋められている。
【0043】
開閉バルブ3は、
図3~
図5に示すように、バルブシャフト3Aが、バルブケース3B内にスライド可能に設けられたものである。
【0044】
バルブケース3Bは、タンク2に取り付けられる固定部3BAと、この固定部3BAに回転可能にねじ込まれ手動操作用のハンドル6が設けられている可動部3BBとを有する。バルブシャフト3Aの後端部は可動部3BBを貫通し、固定具7にて可動部3BBに連結されている。よって、手動操作によりハンドル6を回転すれば、可動部3BBと固定部3BAとのねじ込み関係で、可動部3BBがタンクから離れる方向や近づく方向に移動する。この可動部3BBと一緒にバルブシャフト3Aが移動し、開閉バルブ3による、接続穴2Aの開閉を行えるようにしている
【0045】
固定部3BAは、タンク2の接続穴2Aに接続される接続路3Baと、軸線が下流側になるほどタンク2から離れるように傾斜し接続路3Baと連通可能である傾斜排出路3Bbとを有する。そして、バルブシャフト3Aの弁体部3Aaは、接続路3Ba内をスライド可能で、接続路3Baを開放し接続路3Baと傾斜排出路3Bbとを連通させる連通許可位置と、接続路3Baと傾斜排出路3Bbの連通を遮断する連通遮断位置とを選択的に取り得る。
【0046】
具体的には、バルブシャフト3Aは、先端部に弁体部3Aaを有し、バルブケース3Bは、先端部に接続路3Ba及び傾斜排出路3Bbを有し、接続路3Ba内を弁体部3Aaが進退して、前記連通許可位置と連通遮断位置とを選択的に取り得るようになっている。このように、接続路3Ba内を弁体部3Aaが進退することで、連通許可位置と連通遮断位置とを選択的に簡単に取り得ることになる。
【0047】
そして、開閉バルブ3は、傾斜排出路3Bbの上流端がタンク2近傍に位置するようにタンク2に取り付けられ、傾斜排出路3Bbの上流端がタンク近傍に位置しているので、傾斜排出路3Bbの上流端がタンク2に近づくことになり、タンク2からの排出がスムーズになる。
【0048】
特に、バルブシャフト3Aが連通許可位置になると、タンク2の内底面が接続穴2Aから、接続路3Baおよび傾斜排出路3Bbを通じて排出されることになるが、接続穴2Aとタンク2の内底面とは、タンク2の内底面をタンク2外まで延長した場合に、タンク2の内底面に接続穴2Aの外周縁が接する位置関係であり、傾斜排出路3Bbは、軸線が下流側になるほどタンク2から離れるように傾斜しているので、接続穴2A及び接続路3Baから傾斜排出路3Bbへのスムーズな流れが実現される。
【0049】
このように、開閉バルブ3によって、タンク2内にたまり(溜まり)をなくし、スムーズな流れが実現されるため、タンク2内の懸濁体を従来よりも均一に攪拌できる。
【0050】
そして、タンク2は、具体的には図示していないが、回転により電極材料や電極懸濁体を半径方向外方に移動させる回転ブレードを内部に有するものである(
図7参照)。タンク2内において、前記回転ブレードが回転して電極材料を混ぜ合わせ、脱気し、電極材料が十分に混ぜ合わされて電極懸濁体となった後、電極懸濁体をタンク2内から取り出し、図示しない貯蔵タンクに電極懸濁体を回収する。
【0051】
電極懸濁体をタンク2内から取り出す際に、開閉バルブ3が連通許可状態とされ、前記回転ブレードを回転させながら電極懸濁体を接続穴2Aから、接続路3Ba及び傾斜排出路3Bbを通じて外部に排出させるようになっている。
【0052】
よって、前記回転ブレードを回転しながら懸濁体を外部に排出するので、懸濁体の排出が促進され、懸濁体のたまりを回避する上で有利となる。
【0053】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが,本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。
【0054】
(i)前記実施の形態では、手動操作のハンドル6により開閉される開閉バルブ3を用いているが、空気式アクチュエータによる空気制御により開閉される開閉バルブを用いることもできる。この場合には、例えば
図6に示すように、開閉バルブ11は、バルブケース12と、空気圧の変化によりバルブケース12内を移動するバルブシャフト13とを有する。
【0055】
そして、バルブシャフト13は、タンク2側端部に弁体部13Aが、反対側の端部にピストン部13Bがそれぞれ設けられている。バルブケース12は、弁体部13Aがスライド移動する接続路12Aa、及び傾斜排出路12Abを有する第1部分12Aと、ピストン部13Bがスライド移動する空間部12Baを有する第2部分12Bとを有する。第2部分12Bの空間部12Ba内への、空気の出し入れによりピストン部13Bがスライド移動し、それに伴い弁体部13Aも移動し、接続穴2Aを開閉するようにすればよい。
【0056】
このようにすれば、ピストン部13Bをスライド移動させる空気式アクチュエータの駆動制御により、第2部分12Bの空間部12Ba内への空気の出し入れを行うことで、弁体部13Aが接続穴2Aを閉じる閉状態と、弁体部13Aが接続穴2Aを開き、接続穴2Aを接続路12Aaを介して傾斜排出路12Abに連通する開状態とを選択的にとるようにすることができる。そして、弁体部13Aが閉状態があるときはバルブシャフト13は連通遮断位置となり、弁体部13Aが開状態にあるときはバルブシャフト13は連通許可位置となる。
【0057】
(ii)前記実施の形態では、ハンドル6によって可動部3BBを回転させるようにしているが、モータなどの電気式アクチュエータにて回転させることも可能である。このようにすれば、電気式アクチュエータの駆動を制御して、開閉バルブ3の開閉を制御することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 懸濁体の製造装置
2 タンク
2A 接続穴
2B タンク胴板
2C タンク底板
2D タンクジャケット
3 開閉バルブ
3A バルブシャフト
3Aa 弁体部
3B バルブケース
3BA 固定部
3BB 可動部
3Ba 接続路
3Bb 傾斜排出路
4 タンク側フランジ
4A 貫通穴
5 スペーサ
6 手動操作のハンドル
11 開閉バルブ
12 バルブケース
12A 第1部分
12Aa 接続路
12Ab 傾斜排出路
12B 第2部分
12Ba 空間部
13 バルブシャフト
13A 弁体部
13B ピストン部