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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】飲料用演出グラス及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/22 20060101AFI20220127BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220127BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220127BHJP
   F21L 4/00 20060101ALI20220127BHJP
   F21V 35/00 20060101ALI20220127BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220127BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20220127BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20220127BHJP
   F21Y 103/00 20160101ALN20220127BHJP
【FI】
A47G19/22 B
A47G19/22 S
G09F9/00 362
G09F9/00 313
G09F9/30 398
F21L4/00 600
F21V35/00 100
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:30
F21Y103:00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020193862
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2021-10-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510286433
【氏名又は名称】株式会社ネットアプリ
(74)【代理人】
【識別番号】100154966
【弁理士】
【氏名又は名称】海野 徹
(72)【発明者】
【氏名】西田 誠
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特許第6749668(JP,B1)
【文献】特開2020-157032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 19/00-19/34
G09F 9/00
G09F 9/30
F21L 4/00
F21V 35/00
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/30
F21Y 103/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口を有する有底の筒状体であるグラス本体と、
面状に発光する板状の発光体と、
前記発光体をその発光面を前記グラス本体側に向けた状態で前記グラス本体の側面に固定する固定機構と
を備え、
前記グラス本体は光を透過させる透明な第1透過エリアを備え、
前記グラス本体は光を透過させる透明な第2透過エリアを備え、
前記第1透過エリアは結露防止処理が施されており、
前記第2透過エリアは板厚1cm以下の部材から成っており、
前記グラス本体の側面に固定された前記発光体の光は前記第1透過エリアと前記グラス本体内部の飲料を透過した後に前記第2透過エリアを透過して前記グラス本体の外部に至ることを特徴とする飲料用演出グラス。
【請求項6】
前記発光体は携帯型通信装置の映像表示装置であり、
前記映像表示装置は同一の模様又パターンの繰り返しを全画面に渡って表示可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料用演出グラス。
【請求項7】
請求項6に記載の飲料用演出グラスで用いるコンピュータプログラムを保存した記憶媒体であり、
前記コンピュータプログラムが同一の模様又パターンの繰り返しを前記発光体の全画面に渡って表示するものであることを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用容器の結露を利用した発光した文字と絵の描画が出来る飲料用演出グラスに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料を入れる機能以外に様々な機能を持ったグラスが開発されている。
例えば特許文献1にはワイングラスやビールジョッキの内部に小型の発光装置を埋め込む技術や、起振装置で飲料の表面に振動を与える技術が開示されている。これら技術によればグラス及び飲料を通過した柔らかな光や揺らいだ光によってグラスを持つ人の顔や室内の壁が照らされるのでリラックスした雰囲気を演出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10―33346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術はグラス表面に発光する絵や文字をユーザーの好みに応じて自由に描く事は出来ない。
【0005】
本発明は上記問題を鑑み、グラス表面に発光する絵や文字をユーザーの好みに応じて自由に描く事が可能な飲料用演出グラスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の飲料用演出グラスは、上部開口を有する有底の筒状体であるグラス本体と、面状に発光する板状の発光体と、前記発光体をその発光面を前記グラス本体側に向けた状態で前記グラス本体の側面に固定する固定機構とを備え、前記グラス本体は光を透過させる透明な第1透過エリアを備え、前記グラス本体は光を透過させる透明な第2透過エリアを備え、前記第1透過エリアは結露防止処理が施されており、前記第2透過エリアは板厚1cm以下の部材から成っており、前記グラス本体の側面に固定された前記発光体の光は前記第1透過エリアと前記グラス本体内部の飲料を透過した後に前記第2透過エリアを透過して前記グラス本体の外部に至ることを特徴とする。
また、前記第2透過エリアは板厚5mm以下の透明な樹脂から成っていることを特徴とする。
また、前記発光面にLEDを用いられていることを特徴とする。
また、前記発光面に有機EL又は無機ELを用いられていることを特徴とする。
また、上部開口を塞ぐための蓋を備えることを特徴とする。
本発明の記録媒体は、上記飲料用演出グラスで用いるコンピュータプログラムを保存した記憶媒体であり、前記コンピュータプログラムが同一の模様又パターンの繰り返しを前記発光体の全画面に渡って表示するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の飲料用演出グラスは、グラス本体の側面に固定された面状に発光する板状の発光体の光をグラス本体の内部の飲料(冷水等)により結露状態にある第2透過エリアに当てた状態で、その第2透過エリアの表面をユーザーが指でなぞって部分的にその結露(第2透過エリア表面に付着した水滴)を除去していく事により前述の発光体の光で発光している文字をグラス本体表面に浮かび上がらせる又は描く飲料用演出グラスである。そのため本発明の飲料用演出グラスはユーザー自身で様々な形状で発光した文字や絵をグラス本体表面(厳密には第2透過エリアの表面)に描く事が可能である。
グラス本体の内部の飲料の色により第2透過エリアを透過する光の色を調整できる演出が可能である。そのためグラス表面に描く文字の色をグラス内の飲料の色により変化させる演出が可能である。
第2透過エリアの表面の結露(正確には表面に付着した水滴)が発光体の光を遮蔽又は弱めるフィルターとなるため、ユーザーが指でなぞったエリア(結露が無いエリア)とそうでないエリア(結露が有るエリア)の光のコントラストをグラス本体表面に浮かび上がらせる事が出来る。
本発明の飲料用演出グラスは、結露の除去によりグラス本体の表面に光の文字を描く方式のため発光塗料を用いてグラス本体に文字を描く方式と違って何度でもグラスに文字を描き直せる。グラスも発光塗料により汚れない。
グラスにビール等の冷たい液体(冷水)を入れる度にグラス本体表面(厳密には第2透過エリアの表面)は結露し直すため、その度にグラスに文字を描き直せる。
発光塗料を使わないので安全性が高い。
発光体として携帯型通信装置又は映像表示装置を用いて、その映像表示装置は同一の模様又パターンの繰り返しを全画面に渡って表示すれば、この模様やパターンで発光した文字をグラス表面上に描く事が出来る。
第2透過エリアの板厚の厚さを薄くすれば第2透過エリアの表面は結露し易くなるため、ユーザーは容易にグラス表面に発光体により文字や絵を描ける。
第2透過エリアの板厚の厚さを5[mm]以下にする事により、第2透過エリアの材質にアクリルやポリカーボネイト等の樹脂を用いた場合も第2透過エリアの表面は結露し易くなる。樹脂はガラスよりも軽量なため本発明の飲料用演出グラスの軽量化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態の飲料用演出グラスを示す斜視図(a)と上方断面図(b)
図2】ボトル形状の飲料用演出グラスの例を示す斜視図
図3】発光体に携帯型通信装置の映像表示装置を用いた例を示す斜視図
図4】同一の模様又パターンの繰り返しを映像表示装置に表示するプログラムのフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[飲料用演出グラスの第1の実施の形態]
以下、本発明の飲料用演出グラスの第1の実施の形態を図面を用いて示す。
図1に示すように、上部開口11を有する有底の筒状体であるグラス本体10と、面状に発光する板状の発光体30と、発光体30をその発光面31をグラス本体10側に向けた状態でグラス本体10の側面に固定する固定機構14とから概略構成される。
グラス本体10は光を透過させる透明な第1透過エリア20と第2透過エリア21を備える。グラス本体10の材質に特に制限は無いが少なくとも第1透過エリア20と第2透過エリア21は光を透過させる透明な材質から成る必要が有る。第1透過エリア20と第2透過エリア21の材質としては透明な樹脂やガラス等が挙げられる。グラス本体10の形状は図1に示す様に取っ手12を備えた通常のビールジョッキの形状(又はグラスの形状)だけでなく図2のように上部開口11を塞ぐための蓋13を備えたボトル形状でも良い。
発光体30は面状に発光する板状の発光体ならなんでも良く、発光体30の発光面31はLEDや有機EL又は無機EL等を光源(又は発光素子)として用いた面発光体を用いれば良い。発光面31の光源としては希ガスを用いた蛍光灯等を用いても良い。
固定機構14は発光体30をその発光面31をグラス本体10側に向けた状態でグラス本体10の側面に固定するための固定機構であり、固定機構14としては図1の例のように格納部15(又はポケット機構)を用いた物、マグネット機構、ネジ機構等が挙げられる。
図1に示すようにグラス本体10の側面に固定された発光体30の光は第1透過エリア20とグラス本体10内部の飲料Lを透過した後に第2透過エリア21を透過してグラス本体10の外部に至る。
第1透過エリア20は結露防止処理が施されており発光体30の光はそのままグラス本体10へと透過する。一方、第2透過エリア21は図1(b)のように板厚dが1[cm]以下の透明な部材から出来ているため(グラス本体10の内部の飲料Lの温度を第2透過エリア21の表面に伝えやすいため)非常に結露がし易いためその結露(より正確には結露による第2透過エリア21表面に付着した水滴)により(第1透過エリア20とグラス本体10内部の飲料Lを透過した)発光体30の光が遮蔽又はマスキングされる。ユーザーはユーザーの手UHの指で第2透過エリア21表面に付着した結露による水滴(マスキング)を部分的に除去する(拭き取る)ことにより第2透過エリア21表面に様々な形状で発光する文字や絵等を浮かび上がらせる(描ける)ことが可能である。例えば図1の例ではユーザーの手UHを以って第2透過エリア21の表面にAの文字の形状に結露を拭き取った結露除去エリア22を描くことによりA文字の形状に発光する結露除去エリア22を第2透過エリア21に描いている。なお、この文字(結露除去エリア22)の色は発光体30の発光面31の色とグラス本体10内部の飲料Lの色で調整(コントロール)出来る。
本発明の飲料用演出グラス1はグラス本体10の内部の飲料Lがウィスキー等の琥珀色の時、第2透過エリア21の表面の文字(結露除去エリア22)の色を琥珀色に着色する演出が可能である。なお、グラス本体10の内部の飲料Lは冷蔵庫等で事前に冷却した方が室温との温度差により第2透過エリア21に結露が発生し易い(飲料Lの例としては冷えたビール又は冷えた清涼飲料水等が考えられる)。
【0010】
第2透過エリア21は板厚dについて補足しておく。
一般にアクリル樹脂やポリカーボネイト等の(透明な)樹脂はガラスに比して熱伝導率が約1/3以下である。ガラスの熱伝導率が約0.55~0.75[W/m・K]であり、アクリル樹脂の熱伝導率は約0.21[W/m・K]、ポリカーボネイト樹脂は約0.19[W/m・K]である。そのため第2透過エリア21の材質としてガラスではなく樹脂を用いた場合は第2透過エリア21の板厚dは1[cm]よりも更に薄くした方が良い。仮に板厚dが1[cm]の樹脂を第2透過エリア21の部材に用いた場合はグラス本体10の内部の飲料Lをどれだけ冷やそうとも第2透過エリア21の表面に飲料Lの温度が伝わり難いため第2透過エリア21表面に結露が(ガラスのように)発生し難く、本発明飲料演出グラス1が正常に機能しない。そのため第2透過エリア21の部材(又は材料)として(透明な)樹脂を用いる場合は第2透過エリア21の板厚dを5[mm]以下にすると良い(現実的な強度を考慮するとこの時の樹脂の板厚dは2[mm]~5[mm]の範囲にすると良い)。なお、樹脂はガラスに比して比重が非常に軽いため樹脂を用いればグラス本体10が軽量化出来る。
【0011】
図3に示すように発光体30として映像表示装置80を用いても良い。この時映像表示装置80には図1(a)や図2の発光体30のように単一の色で画面全体を塗潰した画像を表示させても良いが、代わりに図3のように同一の模様又パターンの繰り返しを全画面に渡って表示させても良い(なお図3の例では映像表示装置80の画像81には四角形の方眼パターンを繰り返して全画面に表示させている)。単一色の代わりに同一の模様又パターンの繰り返しを用いる事により第2透過エリア21上には図3のように模様又パターンの繰り返しを以って文字が描ける。なお、映像表示装置80は携帯型通信装置に内蔵されている映像表示装置を利用しても良い。映像表示装置80に表示する画像81の模様又パターン或いは色等のデータは映像表示装置80(又は携帯型通信装置)の内蔵コンピュータ83(又は内蔵IC)を用いて出力すれば良い。
【0012】
図4に同一の模様又パターンの繰り返しを発光体30(又は映像表示装置80)の全画面に渡って表示する際のコンピュータプログラムのフローチャートを示す。
STEP1において模様又パターンの発光体30(又は映像表示装置80)の画面のサイズのデータをコンピュータのメモリからロードする。STEP2において同一の模様又パターンを画像全体に渡って繰り返した画像81を生成する。そしてSTEP3において画像81を映像表示装置80へ出力して終了する。なお、STEP2の具体的なアルゴリズム例としては画像81の大きさはSTEP1で取得した画面のサイズを用いて算出し、その画面のサイズに応じてループ文を用いて所定の模様のパターンを繰り返し描画する方法等が考えられる。
なお、図4に示したフローチャートのコンピュータプログラムはフラッシュメモリ、DRAM、磁気記憶媒体、光記憶媒体等の既知の記憶媒体に保存しても良い。また、映像表示装置又は携帯型通信装置内のメモリにアプリケーションソフトウェアの形態でインストール(保存)しても良い。また、映像表示装置80(又は携帯型通信装置)の内蔵コンピュータ83(又は内蔵IC)のメモリに保存しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、グラス表面に発光する絵や文字をユーザーの好みに応じて自由に描く事が可能な飲料用演出グラスである。以上より本発明は産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0014】
L 飲料(液体)
UH ユーザーの手
d 厚さ
1 飲料用演出グラス
10 グラス本体
11 上部開口
12 取っ手
13 蓋
14 固定機構
15 格納部
20 第1透過エリア
21 第2透過エリア
22 結露除去エリア
30 発光体
31 発光面
80 映像表示装置
81 画像
83 内蔵コンピュータ
【要約】      (修正有)
【課題】グラス表面に発光する絵や文字をユーザーの好みに応じて自由に描く事が可能な飲料用演出グラスを提供する。
【解決手段】飲料用演出グラス1は上部開口を有する有底の筒状体であるグラス本体10と、面状に発光する板状の発光体30と、前記発光体をその発光面を前記グラス本体側に向けた状態で前記グラス本体の側面に固定する固定機構14とを備え、前記グラス本体は光を透過させる透明な第1透過エリア20を備え、前記グラス本体は光を透過させる透明な第2透過エリア21を備え、前記第1透過エリアは結露防止処理が施されており、前記第2透過エリアは板厚1cm以下の部材から成っていることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4