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特許7015586吸光断熱一体化光熱蒸発材料及びその調製方法と応用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】吸光断熱一体化光熱蒸発材料及びその調製方法と応用
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/194 20170101AFI20220207BHJP
   B01D 1/00 20060101ALI20220207BHJP
   B01D 5/00 20060101ALI20220207BHJP
   C02F 1/04 20060101ALI20220207BHJP
   C02F 1/14 20060101ALI20220207BHJP
   A61L 2/07 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
C01B32/194
B01D1/00 Z
B01D5/00 Z
C02F1/04 A
C02F1/14 A
A61L2/07
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020534177
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 CN2019126848
(87)【国際公開番号】W WO2020224267
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2020-06-19
(31)【優先権主張番号】201910370638.7
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910370640.4
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910370668.8
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブォ ヂォン
(72)【発明者】
【氏名】ウー シォンハオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ファチャオ
(72)【発明者】
【氏名】イェン ジィェンファ
(72)【発明者】
【氏名】ツェン クェーファ
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/116657(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/053089(WO,A1)
【文献】REN, H. et al.,Adv. Mater.,2017年,29,1702590 (1-7) & Supporting Information,DOI:10.1002/adma.201702590
【文献】LI, Y. et al.,Nano Energy,2017年,pp.201-209,DOI:10.1016/j.nanoen.2017.09.034
【文献】YANG, Y. et al.,ACS Nano,2018年01月04日,12,pp.829-835,DOI:10.1021/acsnano.7b08196
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00
F24S
JSTPlus/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法であって、
前記吸光断熱一体化光熱蒸発材料は、断熱体と前記断熱体の外表面に被覆された吸光体とを含み、前記吸光体は垂直配向グラフェンであり、前記断熱体はグラフェン発泡体であり、前記垂直配向グラフェンと前記グラフェン発泡体は共有結合形式で連結されており、前記吸光体は親水官能基で修飾された垂直配向グラフェンであり、
次のステップを含むことを特徴とする吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法。
(1)酸化グラフェン水溶液を調製する。
(2)ステップ(1)で得られた酸化グラフェン水溶液を高温高圧反応釜に移して水熱反応を行い、冷却してグラフェンヒドロゲルを得る。
(3)エタノール水溶液で、ステップ(2)で得られたグラフェンヒドロゲルを浸漬する。
(4)前記グラフェンヒドロゲルを冷凍キャビティに移して冷凍し、その後、乾燥キャビティに移して真空乾燥し、グラフェン発泡体を得る。
(5)得られたグラフェン発泡体をプラズマ増強化学蒸着反応キャビティ内に置き、メタンまたは水素とメタンとの混合ガスを通して化学蒸着反応を行った後、不活性ガスを通して冷却し、垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体を得る。
(6)ステップ(5)で得られた垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体をオゾン環境に曝露し、垂直配向グラフェンの表面に修飾親水官能基を生成し、吸光断熱一体化光熱蒸発材料を得る。
【請求項2】
請求項に記載の吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法であって、前記ステップ(1)における酸化グラフェン水溶液は添加剤を含み、前記添加剤は、四ホウ酸二ナトリウム・十水和物、アミン基化合物またはその混合物を含み、前記酸化グラフェンの濃度は1-10g・L-1であり、前記四ホウ酸二ナトリウム・十水和物の濃度は0-10mmol・L-1であり、前記アミン基化合物の濃度は0-100mmol・L-1であり、前記四ホウ酸二ナトリウム・十水和物と前記アミン基化合物の濃度が同時に0ではないことを特徴とする吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法。
【請求項3】
請求項に記載の吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法であって、前記ステップ(2)における水熱反応の条件は、反応温度が90~180℃であり、反応時間が6~18hであることを特徴とする吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法。
【請求項4】
請求項に記載の吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法であって、前記ステップ(5)における水素とメタンの混合ガスの流量比は0-20:1であることを特徴とする吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法。
【請求項5】
請求項に記載の吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法であって、前記ステップ(5)における化学蒸着反応の反応条件は、合成温度が500-1000℃であり、合成気圧が10-1000Paであることを特徴とする吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法であって、前記親水官能基は酸素含有官能基であることを特徴とする吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法。
【請求項7】
請求項1に記載の吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法であって、前記吸光体の吸光率は90-99%であり、前記断熱体の熱伝導率は0.02-0.2W・m -1 ・K -1 であることを特徴とする吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法であって、前記吸光断熱一体化光熱蒸発材料は海水淡水化、汚水浄化、高温蒸気滅菌に用いられることを特徴とする吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法
【請求項9】
太陽光熱海水淡水化装置の製造方法であって、前記太陽光熱海水淡水化装置は、上から順に透光凝縮板、蒸発室、収集室を含み、前記蒸発室内には光熱蒸発材料があり、前記透光凝縮板は前記蒸発室を覆い、凝縮水を前記収集室に導き、前記光熱蒸発材料は請求項1~のいずれか一項に記載の吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法によって調製された吸光断熱一体化光熱蒸発材料であることを特徴とする太陽光熱海水淡水化装置の製造方法
【請求項10】
請求項に記載の太陽光熱海水淡水化装置の製造方法であって、前記太陽光熱海水淡水化装置は、更に抽気通路と蒸気ガイド管を備え、前記抽気通路の片側は前記蒸発室に接続され、もう片側は前記蒸気ガイド管を介して前記収集室に接続され、前記抽気通路と前記蒸気ガイド管は前記蒸発室の側壁に設置されていることを特徴とする太陽光熱海水淡水化装置の製造方法
【請求項11】
請求項に記載の太陽光熱海水淡水化装置の製造方法であって、前記透光凝縮板の傾斜角度が10°-60°であることを特徴とする太陽光熱海水淡水化装置の製造方法
【請求項12】
高温蒸気滅菌装置の製造方法であって、前記高温蒸気滅菌装置は、蒸気室、前記蒸気室に覆われた集光板、前記蒸気室の内部に装着されたキャリアと貯水コップ、及び前記貯水コップに位置する光熱蒸発材料を含み、前記光熱蒸発材料は請求項1~7のいずれか一項に記載の吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法によって調製された吸光断熱一体化光熱蒸発材料であることを特徴とする高温蒸気滅菌装置の製造方法
【請求項13】
請求項12に記載の高温蒸気滅菌装置の製造方法であって、前記キャリアの縦方向にはいくつかの通孔があり、前記集光板はビームを前記貯水コップに集め、前記集光板の断面形状は前記貯水コップの断面形状と同じであり、断面積比は10-100:1であり、前記集光板は前記貯水コップと同心に組立てられていることを特徴とする高温蒸気滅菌装置の製造方法
【請求項14】
請求項12に記載の高温蒸気滅菌装置の製造方法であって、前記蒸気室の内部には、前記キャリアを取り付ける台が設けられていることを特徴とする高温蒸気滅菌装置の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽光熱利用分野に属し、特に吸光断熱一体化光熱蒸発材料及びその調製方法及び応用に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギーは地球上で最も広く分布し、埋蔵量が最大であるエネルギーであり、クリーン、再生可能性などの特徴から、エネルギー危機と環境問題が深刻化している21世紀において最も注目されている。光熱変換は太陽エネルギーの最も主要な利用形態の一つであり、どのように効率的に、低コストで太陽エネルギーの光熱変換を実現し、変換された熱エネルギーを有効に利用するかは、現在の国際的な研究ホットスポットとなっている[V. H. Dalvi1 et al. Nat, Clim. Change 2015, 5: 1007-1013]。
【0003】
2014年、米マサチューセッツ工科大学のGang Chen課題チームは二層構造(吸光体と断熱体からなる)の局所加熱システムを提案し、太陽エネルギーを効率的に利用して蒸気を発生させることができ、液体全体を加熱する従来の方法に対して、液体の環境への放熱などのエネルギー損失を低減し、太陽エネルギーの光熱変換効率を向上させた[H. Ghasemi et al. Nat. Commun. 2014, 5: 4449]。その後の関連研究は、高光吸収率を有する吸光体と良好な断熱性能を有する断熱体[L. Zhou et al. Sci. Adv. 2016, 2: e1501227;Q. Jiang et al. Adv. Mater. 2016, 28: 9400-9407]を提案するなど、局所加熱システムの二層構造をさらに最適化した。
【0004】
しかし、報告された局所加熱システムでは、(1)局所加熱システムは、吸光体から断熱体の表面に直接積層された二層構造であり、実際の蒸発過程では、上層吸光体が下層断熱体から容易に逸脱し、両者の隙間が蒸発する液体で満たされ、システムの断熱性能が低下する。そして吸光体と断熱体の離脱はシステムの機械的安定性を低下させ、システムの長期運行に不利である。(2)蒸発する液体は、下層の断熱体内部を通じて上層の吸光体表面に伝送され、熱交換を行うものであり、高熱伝導率の液体(例えば水、その熱伝導率は0.6W・m-1・K-1)が断熱材内部に入ると断熱性能が低下し、さらに運行中の放熱損失が増加し、光熱変換効率が低下する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】V. H. Dalvi1 et al. Nat, Clim. Change 2015, 5: 1007-1013
【文献】H. Ghasemi et al. Nat. Commun. 2014, 5: 4449
【文献】L. Zhou et al. Sci. Adv. 2016, 2: e1501227
【文献】Q. Jiang et al. Adv. Mater. 2016, 28: 9400-9407
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、一種の吸光断熱一体化光熱蒸発材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、吸光断熱一体化光熱蒸発材料であって、断熱体と前記断熱体の外表面に被覆された吸光体とを含み、前記吸光体は垂直配向グラフェンであり、前記断熱体はグラフェン発泡体であり、前記垂直配向グラフェンと前記グラフェン発泡体は共有結合形式で連結されており、前記吸光体は親水官能基で修飾された垂直配向グラフェンである、吸光断熱一体化光熱蒸発材料である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明によって提供される吸光断熱一体化光熱蒸発材料の構成図である。
図2】本発明によって提供される吸光断熱一体化光熱蒸発材料の調製フロー図である。
図3】実施例1によって提供される吸光断熱一体化光熱蒸発材料の光学図及び浸潤性の特性評価結果である。
図4】実施例1によって提供される吸光断熱一体化光熱蒸発材料の走査電子顕微鏡図である。
図5】実施例1によって提供される吸光断熱一体化光熱蒸発材料の光吸収率曲線を示す図である。
図6】実施例1によって提供される吸光断熱一体化光蒸発材料のX線光電子C1s分光図である。
図7】実施例1によって提供される吸光断熱一体化光熱蒸発材料の光熱蒸発応用効果図である。
図8】実施例11-20から提供される太陽熱海水淡水化装置の構成図である。
図9】実施例11-20から提供される太陽熱海水淡水化装置の分解構造を示す図である。
図10】実施例11-20から提供される太陽熱海水淡水化装置の断面構成図である。
図11】実施例11-20から提供される太陽熱海水淡水化装置及び実施例21-30から提供される高温蒸気滅菌装置の光熱蒸発原理を示す図である。
図12】実施例21-30から提供される高温蒸気滅菌装置の構成図である。
図13】実施例21-30から提供される高温蒸気滅菌装置の分解構造を示す図である。
図14】実施例21-30から提供される高温蒸気滅菌装置の断面構成図である。
図15】実施例21によって提供される高温蒸気滅菌装置の殺菌中の蒸気温度である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明が提供する吸光断熱一体化光熱蒸発材料は吸光体と断熱体の離脱しやすい問題を克服し、液体が断熱体の内部に浸透することによる熱損失の問題を克服し、局所加熱システムの安定性と光熱変換効率を向上させ、急速で効率的な光熱蒸発を実現し、製造プロセスは簡単で、大量生産が容易であり、海水淡水化、汚水処理と浄化と高温蒸気滅菌に用いることができる。
【0010】
一種の吸光断熱一体化光熱蒸発材料であり、同吸光断熱一体化光熱蒸発材料は断熱体と断熱体の外表面に被覆された吸光体を含み、同吸光体は垂直配向グラフェンであり、同断熱体はグラフェン発泡体であり、垂直配向グラフェンとグラフェン発泡体は共有結合形式で連結されている。同吸光体は表面が親水官能基で修飾された垂直配向グラフェンである。
【0011】
吸光体は太陽エネルギーを捉え、光を熱エネルギーに変換し、局部的な高温を発生する。同断熱体により熱の伝達を停滞させ、熱損失を減少する。
【0012】
垂直配向グラフェンは炭素ナノウォールアレイから成る。グラフェン発泡体は多孔質構造である。
【0013】
親水性官能基で修飾された垂直配向グラフェンは液体流路として作用し、毛細管作用により液体を局所高温領域に伝送して急速な光熱蒸発を実現し、液体濡れから断熱体を保護することができる。
【0014】
親水官能団は酸素含有官能団である。酸素含有官能基は、ヒドロキシル基(-OH)、カルボニル基(-CHO)およびカルボキシ基(-COOH)のうちの1つまたは少なくとも2つの組合せから選択される。
【0015】
-OH、-CHO、-CHOは親水性基であり、垂直配向グラフェンの表面に上記の1つまたは少なくとも2つの親水性官能基を修飾することで、垂直配向グラフェンと水の間の親和性を強化し、垂直配向グラフェンの毛細効果を増強することができる。
【0016】
吸光体の吸光率は90-99%であり、断熱体の熱伝導率は0.02-0.2W・m-1・K-1である。
【0017】
優れたものは、吸光体の吸光率は97.0-98.2%であり、断熱体の熱伝導率は0.031-0.041W・m-1・K-1である。
【0018】
本発明はまた、上記の吸光断熱一体化光熱蒸発材料の応用を提供し、同吸光断熱一体化光熱蒸発材料は海水淡水化、汚水浄化、高温蒸気滅菌に応用される。
【0019】
本発明はまた、簡単な構造で操作しやすく、凝縮水を効率的に収集する太陽光熱海水淡水化装置を提供し、凝縮水と蒸気の防光問題を解決し、光熱海水淡水化システムの安定性と光熱変換効率はいずれも著しく向上し、海水淡水化前後の塩度は著しく低下した。
【0020】
太陽熱海水淡水化装置は、上から順に光凝縮板、光熱蒸発材料、蒸発室、収集室を含む。同透光凝縮板は蒸発室を覆っており、凝縮水を収集室に導き、同光熱蒸発材料は蒸発室内にある。同光熱蒸発材料は断熱体と断熱体の外表面を覆う吸光体を含み、吸光体は垂直配向グラフェンであり、断熱体はグラフェン発泡体であり、垂直配向グラフェンとグラフェン発泡体は共有結合形式で接続されている。同吸光体は表面が親水性官能基で修飾された垂直配向グラフェンである。同親水官能団は酸素含有官能団である。
【0021】
酸素含有官能基は、ヒドロキシル基(-OH)、カルボニル基(-CHO)およびカルボキシ基(-COOH)のうちの1つまたは少なくとも2つの組合せから選択される。-OH、-CHO、-CHOは親水性基であり、垂直配向グラフェンの表面に上記の1つまたは少なくとも2つの親水性官能基を修飾することで、垂直配向グラフェンと水の間の親和性を強化し、垂直配向グラフェンの毛細効果を増強することができる。
【0022】
吸光体の吸光率は90-99%であり、断熱体の熱伝導率は0.02-0.2W・m-1・K-1である。優れているのは、吸光体の吸光率は97.0-98.2%であり、断熱体の熱伝導率は0.031-0.041W・m-1・K-1である。
【0023】
収集室には収集口が設けられており、通光凝縮板は蒸発室を覆い、収集室の収集口に伸び、凝縮水を収集室に導く。
【0024】
優れているのは、同蒸発室と収集室は一体構造である。
【0025】
優れているのは、同太陽光熱海水淡水化装置は、抽気通路と蒸気ガイド管を含み、同抽気通路の片側は蒸発室と繋がり、もう片側は蒸気ガイド管を通じて収集室と連結している。同抽気通路と蒸気ガイド管は蒸発室の外壁に設けられている。
【0026】
優れているのは、太陽光熱海水淡水化装置は、抽気通路内に設置された抽気扇(換気扇)及び駆動装置を含み、同駆動装置は、抽気扇を駆動して蒸発室内の蒸気を吸入して蒸気管に送る。
【0027】
優れているのは、同駆動装置は太陽電池パネルである。
【0028】
同蒸発室は海水と光熱蒸発材料を貯蔵するために使用され、海水上に浮遊して光熱を蒸発させ、蒸気を発生させるために使用される。同透光凝縮板は蒸発室を覆い、蒸気が外にあふれ出るのを阻止し、透光凝縮板に蒸気を凝縮し、透光凝縮板に沿って収集室に流れる。蒸発室の側壁には抽気通路を設置し、抽気扇は、蒸発室内の蒸気を吸収するために抽気通路に設置されている。同蒸気ガイドは抽気通路と収集室を連結し、蒸気ガイドによって吸収された蒸気を抽気扇で収集室に送り、収集室内で凝縮している。太陽電池パネルは光発電に使用され、抽気扇に電気エネルギーを提供している。
【0029】
太陽光熱海水淡水化装置はまた、蒸発室の吸水口と蒸発室の排水口を含み、同蒸発室の吸水口より蒸発室に海水を補充し、蒸発室の出水口より蒸発室内の海水を排出する。太陽光熱海水淡水化装置は収集室の吸水口、収集室の出水口を含む。
【0030】
同透光凝縮板は透明である。
【0031】
同太陽電池パネルの出力電圧は抽気扇の作動電圧範囲内である。太陽電池パネルの出力電圧と抽気扇の作動電圧は、装置体積の大きさに関係があり、体積が大きいほど、電圧要求が高くなり、対応する作業電力も高くなる。
【0032】
太陽光熱海水淡水化装置が動作する間、内部の空間は密閉されており、同蒸発室の吸水口と蒸発室の出水口は閉鎖され、収集室の吸水口と収集室の出水口は閉鎖されている。蒸発室を洗浄する際に、蒸発室の吸水口と蒸発室の出水口は開放である。
【0033】
透光凝縮板の傾斜角度は10°-60°である。同傾きは、水平よりに下に傾斜している。
【0034】
優れているのは、透光凝縮板の傾斜角度は30°である。
【0035】
同蒸発室と収集室は上下に分布しており、蒸発室は収集室の上にある。
【0036】
抽気通路の位置は光熱蒸発材料より高い。海水が抽気通路を通って収集室に流れるのを防止する。
【0037】
本発明はまた、広範囲に分布されるグリーンで清潔な太陽光を駆動力とする高温蒸気滅菌装置を提供し、電気エネルギーを消費せず、応用可能な領域が広い。本発明の装置は構成が簡単で、小型で、携帯に便利であり、操作も簡単である。本発明は、光エネルギーを捉え、熱流伝達を停滞させる光熱蒸発材料を採用することにより、装置の光熱変換効率を大幅に向上させ、滅菌時間が短く、滅菌効果が良好である。
【0038】
一種の高温蒸気滅菌装置であり、蒸気室、蒸気室に覆われた集光板、蒸気室内部に装着されたキャリア、貯水コップ、及び貯水コップに位置する光熱蒸発材料を含む。光熱蒸発材料は断熱体と断熱体の外表面を覆う吸光体を含み、同吸光体は垂直配向グラフェンであり、同断熱体はグラフェン発泡体であり、垂直配向グラフェンとグラフェン発泡体は共有結合形式で接続されている。同吸光体は表面が親水性官能基で修飾された垂直配向グラフェンである。
【0039】
親水官能団は酸素含有官能団である。酸素含有官能基は、ヒドロキシル基(-OH)、カルボニル基(-CHO)およびカルボキシ基(-COOH)のうちの1つまたは少なくとも2つの組合せから選択される。-OH、-CHO、-CHOは親水性基であり、垂直配向グラフェンの表面に上記の1つまたは少なくとも2つの親水性官能基を修飾することで、垂直配向グラフェンと水の間の親和性を強化し、垂直配向グラフェンの毛細効果を増強することができる。
【0040】
同吸光体の吸光率は90-99%であり、同断熱体の熱伝導率は0.02-0.2W・m-1・K-1である。優れているのは、吸光体の吸光率は97.0-98.2%であり、断熱体の熱伝導率は0.031-0.041W・m-1・K-1である。
【0041】
優れているのは、凝縮水が滅菌対象の物体に付着するのを避け、滅菌効果に影響しないように、前記キャリアの縦方向にはいくつかの通孔があり、蒸気凝縮後は通孔を通して蒸気室の底部に流れる。
【0042】
集光板は、ビームを貯水コップに集光する。
【0043】
優れているのは、集光板は貯水コップの断面形状と同じであり、断面積比は10-100:1であり、集光板は貯水コップと同心に組立てられる。
【0044】
優れているのは、前記蒸気室の内部には、キャリアを取り付けるための台が設けられている。台はキャリアが蒸気室の底と接触しないようにすることができる。
【0045】
優れているのは、前記キャリアの中心には、貯水コップの底部のサイズに相当する溝が設けられている。同溝は貯水コップの設置位置を固定するために用いられ、貯水コップと集光板の同心組立関係を保証する。
【0046】
優れているのは、高温蒸気滅菌装置はまた、集光板を固定するためのシールリングとカチューシャを含む。
【0047】
キャリアを蒸発室の台に置き、棚の中心の溝に貯水コップをセットし、貯水コップに一定量の水を加え、光熱蒸発材料を上から貯水コップを入れて水面に浮かせる;殺菌が必要なものを蒸発室内のキャリア台に載せる;その後、集光板を蒸発室に覆い、入射光を光熱蒸発材料の表面に収束させ、蒸気の外への溢れを阻止し、シールリング、固定リング、カチューシャで蒸発室を封じる。
【0048】
本発明はまた、吸光断熱一体化光熱蒸発材料を調製する方法を提供する。次のステップである。
(1)酸化グラフェンの水溶液を調製する。
(2)ステップ(1)で得られた酸化グラフェンの水溶液を高温高圧反応釜に移して水熱反応し、グラフェンのヒドロゲルを冷却する。
(3)エタノール水溶液で、ステップ(2)で得られたグラフェンヒドロゲルを浸漬する。
(4)グラフェンヒドロゲルを冷凍キャビティに移して冷凍し、その後乾燥キャビティに移して真空乾燥し、グラフェン発泡体を得る。
(5)得られたグラフェン発泡体をプラズマ増強化学蒸着反応キャビティに置き、メタンまたは水素とメタンの混合ガスを通して化学蒸着反応を行った後、不活性ガスを通して冷却し、垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体を得る。
(6)ステップ(5)で得られた垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体をオゾン環境に曝露し、垂直配向グラフェンの表面に修飾親水官能基を生成し、吸光断熱一体化光熱蒸発材料を得る。
【0049】
優れているのは、ステップ(1)の酸化グラフェン水溶液は、四ホウ酸二ナトリウム・十水和物、アミン基化合物またはその混合物を含む。同酸化グラフェンの濃度は1-10g・L-1であり、四ホウ酸二ナトリウム・十水和物の濃度は0-10であり、アミン基化合物の濃度は0-100であり、四ホウ酸二ナトリウム・十水和物の濃度とアミン基化合物の濃度は同時に0ではいけない。
【0050】
酸化グラフェンの濃度は、作製したグラフェン発泡体の密度、機械的強度、熱伝導率および作製コストに直接関係している。グラフェンの濃度が増加すると、グラフェン発泡体の密度が増加し、機械的強度が増強され、熱伝導率が高くなり、製造コストが高くなる。グラフェンの酸化濃度が1g・L-1未満のとき、作製したグラフェン発泡体の機械的強度が弱くなり、実用化において容易に壊れる。グラフェンの酸化濃度が10g・L-1以上である場合、調製したグラフェン発泡体の密度と熱伝導率は増加し、光熱蒸発応用における光熱変換効率を弱め、作製コストの増加は同材料の実応用にも不利である。
【0051】
四ほう酸ナトリウムをグラフェンヒドロゲル合成中の構造強化剤として用い、グラフェン発泡体の機械的強度を増強することができる。また、四ほう酸ナトリウムは熱湯反応中の凝集を促進し、さらにグラフェン発泡体の熱伝導率に影響を与える。アミン基化合物の濃度はグラフェン発泡体の熱伝導率と機械的強度にも同時に影響する。
【0052】
優れているのは、前記ステップ(1)の酸化グラフェン水溶液は、濃度がそれぞれ4-6g・L-1、1-5mmol・L-1と4-20mmol・L-1である酸化グラフェン、四ホウ酸二ナトリウム・十水和物、およびアミン基化合物を含む。
【0053】
酸化グラフェンの濃度が4-6g・L-1である場合に、作製したグラフェン発泡体は良好な機械的性質と低い密度と熱伝導率を有している。
【0054】
四ホウ酸二ナトリウム・十水和物の濃度<1mmol・L-1の場合、四ホウ酸二ナトリウム・十水和物の構造強化作用は弱く、得られたグラフェン発泡体構造は不安定で、壊れやすい;四ホウ酸二ナトリウム・十水和物の濃度>5mmol・L-1の場合、凝集現象はより深刻で、得られたグラフェン発泡体の熱伝導率はより高い。
【0055】
アミン基化合物の濃度<4mmol・L-1の場合、アミン基化合物は凝集を阻害する作用が弱く、得られたグラフェン発泡体の熱伝導率が高い;アミン基化合物の濃度>20mmol・L-1の場合、得られたグラフェン発泡体の構造はよりふわふわしており、機械的強度はより弱い。
【0056】
アミン基化合物は、エチレンジアミン、ブタジミン、ヘキサン、シクロヘキサンのうちの1つまたは少なくとも2つの組合せから選択されている。二アミン系アミン基化合物は2つのアミノ基を持ち、酸化グラフェンとの縮合反応を起こしやすく、グラフェンシート層の間に安定的に存在し、接続と支持の役割を果たし、グラフェンの凝集を阻害して、ふわふわした多孔質の構造を得る。
【0057】
優れているのは、アミン基化合物はエチレンジアミンである。エチレンジアミン、ブタジミン、ヘキサン、シクロヘキサンの4つのアミン化合物の分子サイズの順序は:エチレンジアミン<ブタジミン<ヘキサン<シクロヘキサンであり、より大きな分子間隔物は、機械強度が弱くなりまたはより多くの構造強化剤を必要とし、より高い結合温度とより長い合成時間を必要とする。エチレンジアミンは分子サイズが最も小さい二アミン系アミン基化合物として、応用要件を満たすことができる場合に、より優れたものとなる。
【0058】
ステップ(2)における水熱法の反応条件は、反応温度が90~180℃であり、反応時間は6~18hである。
【0059】
反応温度と反応時間はグラフェンヒドロゲルのグラフェン化の程度と凝集の程度に影響し、温度上昇と時間延長の両方がグラフェンヒドロゲルのグラフェン化の程度を向上させ、グラフェンの凝集とグラフェンヒドロゲルの成形を促進し、得られたグラフェン発泡体の機械的強度を増強する。
【0060】
反応温度が90℃以下または反応時間が6h未満の場合、水熱反応過程が不十分になり、グラフェンヒドロゲルが成型できないまたは最終的に得られたグラフェン発泡体の機械的強度が弱い。反応温度が180℃以上または18h以上の場合、得られたグラフェン発泡体の密度と熱伝導率が大きすぎ、厳重な凝集現象を引き起こしてしまう。
【0061】
上記ステップ(3)では、洗浄方法としては上記のグラフェンヒドロゲルをエタノール水溶液で6-24h浸漬し、同エタノール水溶液のエタノール体積率は10%-30%である。
【0062】
このステップ(4)では、冷凍キャビティの温度は-80~-10℃、冷凍時間は6-24hであり、乾燥キャビティの温度は-20~0℃、乾燥キャビティの気圧は<650Pa、乾燥時間は6-48hである。
【0063】
ステップ(5)における水素とメタンの混合ガスの流量比は0-20:1である。
【0064】
とCHの流量比は垂直配向グラフェンを合成する鍵であり、HとCHの流量比が20:1より大きい場合、得られた合成物は垂直配向グラフェンではない。HとCHの流量比は合成物の形態と化学的性質に影響を与える。
【0065】
優れているのは、前記ステップ(5)HとCHの流量比は1-5:1である。流量比が1:1より小さいと合成速度が遅くなり、流量が5:1より大きいと合成物の形態と化学的性質が不定型炭素、炭素ナノ繊維とカーボンナノチューブに近い。
【0066】
同ステップ(5)において、化学蒸着反応の反応条件は、合成温度が500-1000℃であり、合成気圧が10-1000Paである。
【0067】
温度<500℃では垂直配向のグラフェンは合成できない。温度>1000℃では垂直配向のグラフェンの合成速度を速めるのに有利であるが、装置の工程に対して要求が高く、エネルギー消費も大きく、実応用には不利である。気圧<10Paの場合、装置の工程に対して要求が高く、実現し難い。気圧>1000Paの場合、より高い温度とより高い電力が必要で、実応用には不利である。
【0068】
優れているのは、前記ステップ(5)において、化学蒸着反応の反応条件は、合成温度が600-800℃であり、合成気圧が10-500Paである。合成垂直配向グラフェンの速度は適度でエネルギー消費が小さく、性能は要求を満たし、実応用に有利である。
【0069】
このステップ(5)において、化学蒸着反応におけるプラズマ源はマイクロプラズマ、誘導結合プラズマまたは直流グロー放電プラズマから選択され、電力は200~500Wであり、1~180min維持する。
【0070】
時間<1minの場合、合成された垂直配向グラフェンの量は少なく、光吸収率はより低い;時間が>180minより大きい場合、光吸収率と光熱蒸発性能は明らかに向上せず、原料とエネルギーの浪費となる。
【0071】
優れているのは、10-20min維持する。適切な垂直配向グラフェンを合成する。
ステップ(5)において、非活性ガスは冷却ガスとして、流量は10-100mL・min-1である。
【0072】
ステップ(6)において、垂直配向グラフェンの表面に修飾親水性官能基を生成する方法は、ステップ(5)で得られた垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体をオゾン濃度が200ppmである環境に暴露し、1-10min維持し、親水性官能基修飾を垂直にグラフェンの表面に取り込む。この中で、オゾンは誘電体で放電装置を阻止することにより発生し、空気が原料となっている。
【0073】
オゾン濃度が200ppmの環境に曝露し、2-4min維持するのが好ましい。この範囲では、表面修飾酸素官能基の垂直配向グラフェンに十分な親水性が得られ、同時に内部のグラフェン発泡体は超疎水性を維持できる。
【0074】
本発明は、従来技術と比較して、以下のような有益な効果を有する。
【0075】
本発明が提供する吸光断熱一体化光熱蒸発材料は、共有結合という形で吸光体と断熱体を一つの全体に連結し、光エネルギーを捉え、熱流損失を阻止する機能を同時に備え、従来の局所加熱システムにおける吸光体と断熱体の離脱問題を克服し、システムの安定性を向上させた。
【0076】
本発明によって提供される吸光断熱一体化光熱蒸発材料における吸光体は、液体通路として断熱体を保護し、浸透した液体を通して熱流が外に流れるのを回避し、従来の局所加熱システムにおける液体の断熱材内部への浸透による熱損失問題を解決し、システムの光熱変換効率を向上させる。本発明が提供する吸光断熱一体化光熱蒸発材料は、急速で効率的な光熱蒸発を実現し、製造プロセスは簡単で、大量生産が容易であり、海水淡水化、汚水浄化、高温蒸気滅菌などの分野に応用できる。
【0077】
本発明により提供される太陽光熱海水淡水化装置は、構造が簡単で操作しやすいという特徴がある。本発明は、太陽光熱海水淡水化装置を提供し、凝縮水を効率的に収集し、凝縮水と蒸気の防光問題を解決し、光熱海水淡水化システムの安定性と光熱変換効率を向上させる。
【0078】
本発明によって提供される高温蒸気滅菌装置は、広く分布されるグリーンで清潔な太陽光を駆動力として、電気エネルギーを消費せず、応用可能な領域が広い。本発明が提供する高温蒸気滅菌装置は、一体化設計に基づいて、複雑な構造がなく、加工コストが安く、大量加工生産が容易である。本発明で提供される高温蒸気滅菌装置は、小型で携帯しやすく、操作も簡単である。本発明は、光エネルギーを捉え、熱流損失を同時に阻止する光熱蒸発材料を採用することにより、装置の安定性と光熱変換効率を大幅に向上させ、急速に蒸気を発生させ、滅菌時間が短く、滅菌効果が良好である。
【0079】
本発明をより明確に分かりやすくするために、以下に添付図面と具体的な実施形態に合わせて本発明の技術案をさらに説明する。以下に説明する実施形態は、本発明を説明するためだけに使用されるものであり、本発明のいかなる形式的および実質的な制限ではない。
【0080】
図1に示すように、本発明が提供する吸光断熱一体化光蒸発材料は、断熱体2と断熱体2の外面にカバーされた吸光体1とを含み、この吸光体1は表面が親水性官能基で修飾された垂直配向グラフェンであり、断熱体2はグラフェン発泡体であり、垂直配向グラフェンとグラフェン発泡体は共有結合形式で連結されている。吸光体は親水官能基修飾の垂直配向グラフェンである。
【0081】
吸光体1は太陽エネルギーを捉え、光を熱エネルギーに変換し、局部的な高温を形成する。断熱体2は熱の流れを阻止し、放熱を低減する。また、吸光体1は液体通路3としても用いられ、毛細作用により液体4を吸入し、局所高温領域に到達させ、急速な光熱蒸発を実現する。一方、液体通路3は液体4の濡れから断熱体2を保護し、浸透した液体4を通して熱流が外に流れることを回避する。
【0082】
図2に示すように、本発明は、吸光体1の調製と断熱体2の合成を含む吸光断熱一体化光熱蒸発材料、すなわち垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体の作製プロセスを提供する。まず、水熱法と冷凍乾燥法により、三次元構造を持つグラフェン発泡体(即ち断熱体2)を合成し、その後、プラズマ増強化学蒸着技術により、上述のグラフェン発泡体の外面が垂直配向グラフェン(すなわち吸光体1)を覆い、作製過程において、垂直配向グラフェンが共有結合の形でグラフェン発泡体と連結し全体となる。
【実施例
【0083】
本発明によって提供される吸光断熱一体化光熱蒸発材料について、次のような性能試験を行う。
【0084】
1.水接触角:型番がDropMeter A-200である接触角計を利用して、吸光断熱一体化光熱蒸発材料の水接触角を測定し、材料の親水性を特徴づけ、電気ポンプを利用して、10Lの水滴を材料表面につけ、高速カメラで水滴の変化の経過を記録し、楊-ラプラス方程式を通じて、水接触角を計算する。
2.吸光体の吸光率:型番がUV-3150 UV-VISであるUV-可視光分光光度計を利用して、吸光断熱一体化光熱蒸発材料の200~2600ナノ波帯の光透過率と光反射率を測定する。光吸収率=1-光透過率-光反射率という公式を用い、平均光吸収率を計算する。
3.断熱体の熱伝導率:型番はLFA 467であるレーザー熱伝導率測定器を利用して、吸光断熱一体化光熱蒸発材料の熱伝導率を測定する。
4.表面官能団の種類:型番はVG Escalab Mark IIであるX線光電子分光計を利用して、X線エネルギースペクトル分布を測定し、官能団の種類を分析する。
【0085】
<実施例1>
1.酸化グラフェン水溶液を配置し、その中の酸化グラフェンの濃度は4g・L-1であり、四ホウ酸二ナトリウム・十水和物の濃度は1mmol・L-1であり、エチレンジアミン濃度は4mmol・L-1である。
2.配置された酸化グラフェン水溶液はテフロン(登録商標)の高温高圧反応釜に移され、90℃環境下で6h維持され、その後120℃環境下で6h維持され、最後に室温まで冷却され、グラフェンヒドロゲルが得られる。
3.得られたグラフェンヒドロゲルをエタノール水溶液で6h浸漬したところ、エタノールの体積率は10%であり、グラフェンヒドロゲル表面に残留した添加剤を洗浄するのが目的である。
4.洗浄後のグラフェンヒドロゲルを-80℃の冷凍キャビティに移し、6h冷凍し、温度0℃、気圧<650Paの乾燥キャビティに移し、6h真空乾燥し、グラフェン発泡体を得る。
5.得られたグラフェン発泡体をプラズマ増強化学蒸着反応キャビティ内に置いて、10Pa以下真空にしてから、800℃まで加熱する。
6.CHとHバルブを開け、CHとHの混合ガスを通し、Hの流量は5mL・min-1であり、CHの流量は5mL・min-1であり、気圧は100Paに調整される。
7.インダクタンス結合プラズマ源をオープンし、パワーを250Wに調整し、120min維持する。
8.プラズマ源を閉鎖し、CHとHバルブを閉じて、Arバルブを開けて、冷却ガスとしてArを通し、流量は10mL・min-1であり、室温まで冷却し、垂直配向のグラフェン/グラフェン発泡体を取り出す。
9.得られた垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体複合材料をオゾン濃度が200ppmである環境に曝露し、3min維持し、垂直配向グラフェンの表面に酸素官能基を修飾し、水流通路を構築し、酸素官能基は-OH、-CHO、-CHOを含む。ここで、オゾンは誘電体バリア放電装置により発生し、空気を原料とする。吸光断熱一体化光熱蒸発材料を得る。
【0086】
調製した吸光断熱一体化光熱蒸発材料の光学図は図3のaに示すように、外面は黒である。表面に酸素官能基を修飾した垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体の浸潤性は図3のb-dに示すように、外部の垂直配向グラフェン1は強い親水性を示し、水接触角は26.0°であり、吸光体が水流通路として毛細作用により水の透過を導くことができることを示し、内部のグラフェン発泡体2は強い疎水性を示し、水接触角は130.5°であり、断熱体は水の浸透を排除して、表層の水流通路により断熱体を水の濡れから保護することができる。
【0087】
グラフェン発泡体のマイクロ構造は、図4のaに示すように、多孔質構造、低熱伝導率、熱伝導率は0.041W・m-1・K-1である。垂直配向グラフェンは炭素ナノウォールアレイにより構成され、図4のbに示すように、グラフェン発泡体の骨格上に垂直配向グラフェンが均一に分布している。垂直方向に分布した炭素ナノウォールアレイは、入射光のエスケープを阻止することができ、極めて強い光捕獲能力を有する。
【0088】
図5に示すように、調製した吸光断熱一体化光熱蒸発材料は200~2600ナノバンドである際に平均光吸収率が97.8%に達した。応用するとき、吸光断熱一体化光熱蒸発材料は水面に浮かみ、吸光体は太陽エネルギーを集めて、光エネルギーを熱エネルギーに変換して、局部の高温を発生することができる。断熱体は熱の流れを停滞させ、放熱を減らすことができる。吸光体は毛細作用で液体を吸い込み、局部の高温領域に到達させて、急速な光熱蒸発を実現する。
【0089】
図6に示すように、得られた吸光断熱一体化光熱蒸発材料の表面修飾は、-OH、-CHO、-COOHを含む酸素含有官能基を有する。
【0090】
図7に示すように、光照射強度が10kW・m-2の場合、34sだけで100℃以上の飽和水蒸気が検出され、水体温度はほぼ一定であり、同材料の蒸気発生速度は12.3kg・m-2・h-1であり、対応する光熱変換効率は90%を超えている。
【0091】
<実施例2>
1.酸化グラフェン水溶液を配置し、酸化グラフェンの濃度は5g・L-1であり、四ホウ酸二ナトリウム・十水和物の濃度は2mmol・L-1であり、エチレンジアミン濃度は8mmol・L-1である。
2.配置された酸化グラフェンの水溶液はテフロンの高温高圧反応釜に移され、120℃の環境下で12h維持し、室温まで冷却し、グラフェンヒドロゲルを得る。
3.得られたグラフェンヒドロゲルをエタノール水溶液で12h浸漬したところ、エタノールの体積率は20%で、グラフェンヒドロゲル表面に残留した添加剤を洗浄するのが目的である。
4.洗浄後のグラフェンヒドロゲルを温度が-60℃の冷凍キャビティに移し、12h冷凍してから温度が-10℃、気圧<650Paの乾燥キャビティに移し、12h真空乾燥し、グラフェン発泡体を得る。
5.得られたグラフェン発泡体をプラズマ増強化学蒸着反応キャビティ内に置いて、10Pa以下の真空状態にし、その後、700℃まで加熱する。
6.CHとHバルブを開け、CHとHの混合ガスを通し、Hの流量は5mL・min-1、CHの流量は5mL・min-1であり、気圧は10Paに調整する。
7.インダクタンス結合プラズマ源をオープンし、パワーを250Wに調整し、60min維持する。
8.プラズマ源を閉鎖し、CHとHバルブを閉じ、Arバルブを開けて、冷却ガスとしてArを通し、流量は10mL・min-1であり、室温まで冷却し、垂直配向のグラフェン/グラフェン発泡体を取り出す。
9.得られた垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体をオゾン濃度が200ppmである環境に4min暴露し、垂直配向グラフェンの表面に酸素官能基を修飾し、水流通路を構築し、酸素官能基は-OH、-CHO、-CHOを含む。ここで、オゾンは誘電体バリア放電装置により発生し、空気を原料とする。吸光断熱一体化光熱蒸発材料を得る。
【0092】
調製した吸光断熱一体化光熱蒸発材料の性能試験結果を表1に示した。
【0093】
<実施例3>
1.酸化グラフェン水溶液を配置し、酸化グラフェンの濃度は5g・L-1であり、四ホウ酸二ナトリウム・十水和物の濃度は3mmol・L-1であり、エチレンジアミン濃度は12mmol・L-1である。
2.配置された酸化グラフェン水溶液はテフロンの高温高圧反応釜に移され、90℃環境下で6h維持され、180℃環境下で6h維持され、最後に室温まで冷却され、グラフェンヒドロゲルが得られる。
3.得られたグラフェンヒドロゲルをエタノール水溶液で18h浸漬したところ、エタノールの体積率は20%で、グラフェンヒドロゲル表面に残留した添加剤を洗浄するのが目的である。
4.洗浄後のグラフェンヒドロゲルを温度が-40℃である冷凍キャビティに移し、18h冷凍してから温度が-10℃、気圧<650Paの乾燥キャビティに移し、24h真空乾燥し、グラフェン発泡を得る。
5.得られたグラフェン発泡体をプラズマ増強化学蒸着反応キャビティ内に置いて、真空を<10Pa、その後、650℃まで加熱する。
6.CHとHバルブを開け、CHとHの混合ガスを通す。その中、Hの流量は40mL・min-1、CHの流量は10mL・min-1で、気圧は300Paに調整される。
7.マイクロ波プラズマ源をオープンし、パワーを500Wに調整し、10min維持する。
8.プラズマ源を閉鎖し、CHとHバルブを閉じ、Nバルブを開け、冷却ガスとしてNを通して、流量は50mL・min-1で、室温まで冷却し、垂直配向のグラフェン/グラフェン発泡体を取り出す。
9.得られた垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体をオゾン濃度が200ppmである環境に2min曝露し、垂直配向グラフェンの表面に酸素官能基を修飾し、水流通路を構築し、酸素官能基は-OH、-CHO、-CHOを含む。ここで、オゾンは誘電体バリア放電装置により発生し、空気を原料とする。吸光断熱一体化光熱蒸発材料を得る。
【0094】
調製した吸光断熱一体化光熱蒸発材料の性能試験結果を表1に示した。
【0095】
<実施例4>
1.酸化グラフェン水溶液を配置し、酸化グラフェンの濃度は6g・L-1、四ホウ酸二ナトリウム・十水和物は5mmol・L-1、エチレンジアミンの濃度は20mmol・L-1である。
2.配置された酸化グラフェン水溶液はテフロンの高温高圧反応釜に移され、90℃環境下で12h維持され、180℃環境下で6h維持され、最後に室温まで冷却され、グラフェンヒドロゲルが得られる。
3.得られたグラフェンヒドロゲルをエタノール水溶液で24h浸漬したところ、エタノールの体積率は30%で、グラフェンヒドロゲル表面に残留した添加剤を洗浄するのが目的である。
4.洗浄後のグラフェンヒドロゲルを温度が-10℃である冷凍キャビティに移し、24h冷凍し、温度が-20℃、気圧<650Paの乾燥キャビティに移行し、48h真空乾燥し、グラフェン発泡体を得る。
5.得られたグラフェン発泡体をプラズマ増強化学蒸着反応キャビティ内に置いて、10Pa以下の真空状態にし、その後、600℃まで加熱する。
6.CHとHバルブを開け、CHとHの混合ガスを通す。その中、Hの流量は50mL・min-1、CHの流量は10mL・min-1で、気圧は500Paに調整される。
7.マイクロ波プラズマ源をオープンし、パワーを500Wに調整し、20min維持する。
8.プラズマ源を閉鎖し、CHとHバルブを閉鎖し、Nバルブを開け、冷却ガスとしてNを通して、流量は100mL・min-1で、室温まで冷却し、垂直配向のグラフェン/グラフェン発泡体を取り出す。
9.得られた垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体をオゾン濃度が200ppmである環境に2min曝露し、垂直配向グラフェンの表面に酸素官能基を修飾し、水流通路を構築し、酸素官能基は-OH、-CHO、-CHOを含む。ここで、オゾンは誘電体バリア放電装置により発生し、空気を原料とする。吸光断熱一体化光熱蒸発材料を得る。
【0096】
調製した吸光断熱一体化光熱蒸発材料の性能試験結果を表1に示した。
【0097】
<実施例5>
1.酸化グラフェンの水溶液を構成し、酸化グラフェンの濃度は1g・L-1である。
2.配置された酸化グラフェンの水溶液はテフロンの高温高圧反応釜に移され、120℃の環境下で6h維持し、室温まで冷却し、グラフェンヒドロゲルを得る。
3.洗浄後のグラフェンヒドロゲルを温度が-10℃の冷凍キャビティに移し、12h冷凍してから温度が-10℃、気圧<650Paの乾燥キャビティに移行し、12h真空乾燥し、グラフェン発泡体を得る。
4.得られたグラフェン発泡体をプラズマ増強化学蒸着反応キャビティ内に置いて、10Pa以下の真空状態にし、その後、500℃まで加熱する。
5.CHとHバルブを開け、CHとHの混合ガスを通す。その中、Hの流量は20mL・min-1、CHの流量は1mL・min-1で、気圧は10Paに調整される。
6.誘導結合プラズマ源をオープンし、電力を200Wに調整し、180min維持する。
7.プラズマ源を閉鎖し、CHとHバルブを閉鎖し、Arバルブを開け、冷却ガスとしてArを通して、流量は10mL・min-1で、室温まで冷却し、垂直配向のグラフェン/グラフェン発泡体を取り出す。
8.得られた垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体をオゾン濃度が200ppmである環境に10min曝露し、垂直配向グラフェンの表面に酸素官能基を修飾し、水流通路を構築し、酸素官能基は-OH、-CHO、-CHOを含む。ここで、オゾンは誘電体バリア放電装置により発生し、空気を原料とする。吸光断熱一体化光熱蒸発材料を得る。
【0098】
調製した吸光断熱一体化光熱蒸発材料の性能試験結果を表1に示した。
【0099】
<実施例6>
1.酸化グラフェン水溶液を配置し、その中で、酸化グラフェンの濃度は10g・L-1であり、四ホウ酸二ナトリウム・十水和物の濃度は10mmol・L-1、エチレンジアミン濃度は100mmol・L-1である。
2.配置された酸化グラフェン水溶液はテフロンの高温高圧反応釜に移され、120℃環境下で12h維持され、180℃環境下で6h維持され、最後に室温まで冷却され、グラフェンヒドロゲルが得られる。
3.得られたグラフェンヒドロゲルをエタノール水溶液で24h浸漬したところ、エタノールの体積率は30%で、グラフェンヒドロゲル表面に残留した添加剤を洗浄するのが目的である。
4、洗浄後のグラフェンヒドロゲルを温度が-80℃である冷凍キャビティに移し、12h冷凍し、温度が-10℃、気圧<650Paの乾燥キャビティに移行し、12h真空乾燥し、グラフェン発泡体を得る。
5.得られたグラフェン発泡体をプラズマ増強化学蒸着反応キャビティ内に置いて、10Pa以下の真空状態にし、その後、1000℃まで加熱する。
6.CHバルブを開けてCHを通す。CHの流量は1mL・min-1で、気圧は1000Paに調整される。
7.マイクロ波プラズマ源をオープンし、パワーを500Wに調整し、1min維持する。
8.プラズマ源を閉鎖し、CHバルブを閉じ、Nバルブを開け、冷却ガスとしてNを通し、流量は50mL・min-1で、室温まで冷却して、垂直配向のグラフェングラフェン発泡体を取り出す。
9.得られた垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体をオゾン濃度が200ppmである環境に1min曝露し、垂直配向グラフェンの表面に酸素官能基を修飾し、水流通路を構築し、酸素官能基は-OH、-CHO、-CHOを含む。ここで、オゾンは誘電体バリア放電装置により発生し、空気を原料とする。吸光断熱一体化光熱蒸発材料を得る。
【0100】
調製した吸光断熱一体化光熱蒸発材料の性能試験結果を表1に示した。
【0101】
<実施例7>
1.酸化グラフェン水溶液を配置し、その中で、酸化グラフェンの濃度は6g・L-1であり、四ホウ酸二ナトリウム・十水和物の濃度は1mmol・L-1、エチレンジアミン濃度は4mmol・L-1である。
2.配置された酸化グラフェン水溶液はテフロンの高温高圧反応釜に移され、90℃環境下で6h維持され、120℃環境下で6h維持され、最後に室温まで冷却され、グラフェンヒドロゲルが得られる。
3.得られたグラフェンヒドロゲルをエタノール水溶液で12h浸漬したところ、エタノールの体積率は20%で、グラフェンヒドロゲル表面に残留した添加剤を洗浄するのが目的である。
4.洗浄後のグラフェンヒドロゲルを温度が-80℃である冷凍キャビティに移し、12h冷凍し、温度が-10℃、気圧<650Paの乾燥キャビティに移行し、12h真空乾燥し、グラフェン発泡体を得る。
5.得られたグラフェン発泡体をプラズマ増強化学蒸着反応キャビティ内に置いて、10Pa以下の真空状態にし、その後、800℃まで加熱する。
6.CHとHバルブを開けてCHとHの混合ガスを通す。Hの流量は50mL・min-1で、CHの流量は50mL・min-1で、気圧は1000Paに調整される。
7.マイクロ波プラズマ源をオープンし、パワーを500Wに調整し、30min維持する。
8.プラズマ源を閉鎖し、CHとHバルブを閉じ、Nバルブを開け、冷却ガスとしてNを通し、流量は50mL・min-1で、室温まで冷却して、垂直配向のグラフェン/グラフェン発泡体を取り出す。
9.得られた垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体をオゾン濃度が200ppmである環境に5min曝露し、垂直配向グラフェンの表面に酸素官能基を修飾し、水流通路を構築し、酸素官能基は-OH、-CHO、-CHOを含む。ここで、オゾンは誘電体バリア放電装置により発生し、空気を原料とする。吸光断熱一体化光熱蒸発材料を得る。
【0102】
調製した吸光断熱一体化光熱蒸発材料の性能試験結果を表1に示した。
【0103】
<実施例8>
1.酸化グラフェン水溶液を配置し、その中で、酸化グラフェンの濃度は6g・L-1であり、四ホウ酸二ナトリウム・十水和物の濃度は2mmol・L-1、エチレンジアミン濃度は4mmol・L-1である。
2.配置された酸化グラフェン水溶液はテフロンの高温高圧反応釜に移され、120℃環境下で12h維持され、そして室温まで冷却され、グラフェンヒドロゲルが得られる。
3.得られたグラフェンヒドロゲルをエタノール水溶液で12h浸漬したところ、エタノールの体積率は20%で、グラフェンヒドロゲル表面に残留した添加剤を洗浄するのが目的である。
4.洗浄後のグラフェンヒドロゲルを温度が-80℃である冷凍キャビティに移し、12h冷凍し、温度が-10℃、気圧<650Paの乾燥キャビティに移行し、12h真空乾燥し、グラフェン発泡体を得る。
5.得られたグラフェン発泡体をプラズマ増強化学蒸着反応キャビティ内に置いて、10Pa以下の真空状態にし、その後、700℃まで加熱する。
6.CHとHバルブを開けてCHとHの混合ガスを通す。Hの流量は5mL・min-1で、CHの流量は5mL・min-1で、気圧は100Paに調整される。
7.マイクロ波プラズマ源をオープンし、パワーを250Wに調整し、1min維持する。
8.プラズマ源を閉鎖し、CHとHバルブを閉じ、Arバルブを開け、冷却ガスとしてArを通し、流量は20mL・min-1で、室温まで冷却して、垂直配向のグラフェン/グラフェン発泡体を取り出す。
9.得られた垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体をオゾン濃度が200ppmである環境に3min曝露し、垂直配向グラフェンの表面に酸素官能基を修飾し、水流通路を構築し、酸素官能基は-OH、-CHO、-CHOを含む。ここで、オゾンは誘電体バリア放電装置により発生し、空気を原料とする。吸光断熱一体化光熱蒸発材料を得る。
【0104】
調製した吸光断熱一体化光熱蒸発材料の性能試験結果を表1に示した。
【0105】
<実施例9>
1.酸化グラフェン水溶液を配置し、その中で、酸化グラフェンの濃度は6g・L-1であり、四ホウ酸二ナトリウム・十水和物の濃度は3mmol・L-1、エチレンジアミン濃度は4mmol・L-1である。
2.配置された酸化グラフェン水溶液はテフロンの高温高圧反応釜に移され、90℃環境下で6h維持され、そして180℃環境下で6h維持され、最後に室温まで冷却され、グラフェンヒドロゲルが得られる。
3.得られたグラフェンヒドロゲルをエタノール水溶液で12h浸漬したところ、エタノールの体積率は20%で、グラフェンヒドロゲル表面に残留した添加剤を洗浄するのが目的である。
4.洗浄後のグラフェンヒドロゲルを温度が-80℃である冷凍キャビティに移し、12h冷凍し、温度が-10℃、気圧<650Paの乾燥キャビティに移行し、12h真空乾燥し、グラフェン発泡体を得る。
5.得られたグラフェン発泡体をプラズマ増強化学蒸着反応キャビティ内に置いて、10Pa以下の真空状態にし、その後、700℃まで加熱する。
6.CHとHバルブを開けてCHとHの混合ガスを通す。Hの流量は5mL・min-1で、CHの流量は5mL・min-1で、気圧は100Paに調整される。
7.マイクロ波プラズマ源をオープンし、パワーを250Wに調整し、60min維持する。
8.プラズマ源を閉鎖し、CHとHバルブを閉じ、Arバルブを開け、冷却ガスとしてArを通し、流量は20mL・min-1で、室温まで冷却して、垂直配向のグラフェン/グラフェン発泡体を取り出す。
9.得られた垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体をオゾン濃度が200ppmである環境に3min曝露し、垂直配向グラフェンの表面に酸素官能基を修飾し、水流通路を構築し、酸素官能基は-OH、-CHO、-CHOを含む。ここで、オゾンは誘電体バリア放電装置により発生し、空気を原料とする。吸光断熱一体化光熱蒸発材料を得る。
【0106】
調製した吸光断熱一体化光熱蒸発材料の性能試験結果を表1に示した。
【0107】
<実施例10>
1.酸化グラフェン水溶液を配置し、その中で、酸化グラフェンの濃度は6g・L-1であり、四ホウ酸二ナトリウム・十水和物の濃度は4mmol・L-1、エチレンジアミン濃度は4mmol・L-1である。
2.配置された酸化グラフェン水溶液はテフロンの高温高圧反応釜に移され、120℃環境下で6h維持され、そして180℃環境下で6h維持され、最後に室温まで冷却され、グラフェンヒドロゲルが得られる。
3.得られたグラフェンヒドロゲルをエタノール水溶液で12h浸漬したところ、エタノールの体積率は20%で、グラフェンヒドロゲル表面に残留した添加剤を洗浄するのが目的である。
4.洗浄後のグラフェンヒドロゲルを温度が-80℃である冷凍キャビティに移し、12h冷凍し、温度が-10℃、気圧<650Paの乾燥キャビティに移行し、12h真空乾燥し、グラフェン発泡体を得る。
5.得られたグラフェン発泡体をプラズマ増強化学蒸着反応キャビティ内に置いて、10Pa以下の真空状態にし、その後、700℃まで加熱する。
6.CHとHバルブを開けてCHとHの混合ガスを通す。Hの流量は5mL・min-1で、CHの流量は5mL・min-1で、気圧は100Paに調整される。
7.マイクロ波プラズマ源をオープンし、パワーを250Wに調整し、30min維持する。
8.マイクロウェイブなどプラズマ源を閉鎖し、CHとHバルブを閉じ、Arバルブを開け、冷却ガスとしてArを通し、流量は20mL・min-1で、室温まで冷却して、垂直配向のグラフェン/グラフェン発泡体を取り出す。
9.得られた垂直配向グラフェン/グラフェン発泡体をオゾン濃度が200ppmである環境に3min曝露し、垂直配向グラフェンの表面に酸素官能基を修飾し、水流通路を構築し、酸素官能基は-OH、-CHO、-CHOを含む。ここで、オゾンは誘電体バリア放電装置により発生し、空気を原料とする。吸光断熱一体化光熱蒸発材料を得る。
【0108】
実施例1~10で作成した吸光断熱一体化光熱蒸発材料の性能試験結果は表1を参照する。
【0109】
【表1】
【0110】
<実施例11-20>
図8図9及び図10に示すように、実施例11-20は、光透過凝縮板1、光熱蒸発材料2、蒸発室3、収集室4、蒸発室吸水口5、収集室吸水口6、蒸発室出水口7、収集室出水口8、蒸気疎水管9、抽気扇10、抽気通路11、太陽電池12を含む太陽光熱海水淡水化装置を提供する。
【0111】
抽気扇10は、蒸発室3側壁にある抽気通路11内に設置され、太陽電池パネル12から供給された電気エネルギーによって駆動され、継続的に作動する。蒸発室3と収集室4が上下に分布して一体構造となる。海水は蒸発室吸水口5を通して蒸発室3に注入される。光熱蒸発材料2は上から蒸発室3に入れ、海水の上に漂う。光熱蒸発材料2の上面高さは常に抽気通路11の入口の最低高さより低く、抽気通路11と蒸気ガイド9を介して海水が収集室4に流れるのを防ぐためである。透光凝縮板1は、30°の傾斜角度で蒸発室3を覆い、蒸発室3を閉鎖する役割を果たすとともに、凝縮水を収集室4に導く役割を果たし、光熱蒸発材料2は太陽光を吸収し、光エネルギーを熱エネルギーに変換し、海水を蒸発させる。抽気扇10は、蒸発室3内の蒸気を抽気通路11に吸い込み、蒸気ガイド9を介して蒸気を収集室4に導く。装置の運転中は、蒸発室吸水口5、蒸発室出水口7、収集室吸水口6、収集室出水口8はいずれも閉鎖状態となっている。装置が停止すると、収集室出水口8を介して、得られた淡水を移動、使用することができる。
【0112】
図11に示すように、光熱蒸発材料2は、断熱体22と、断熱体22の外側の表面に覆われた吸光体21を含み、吸光体21は表面が親水性官能基で修飾された垂直方向のグラフェンであり、断熱体22はグラフェン発泡体であり、垂直方向のグラフェンとグラフェン発泡体は共有結合形式で接続されている。吸光体21は表面が親水性官能基で修飾された垂直方向のグラフェンである。
【0113】
吸光体21は太陽エネルギーを捕捉し、光を熱エネルギーに変換し、局部的な高温を形成する。断熱体22は熱の流れを停滞し、放熱を低減する。また、吸光体21は、液体通路23として毛細作用により液体24を吸入し、局所的な高温領域に到達させ、急速な光熱蒸発を実現する。一方、液体流路23は、断熱体22を液体24の湿潤から保護し、浸透した液体24を介して熱流が外部に流れることを回避することができる。
【0114】
実施例11-20における光熱蒸発材料2は、実施例1-10でそれぞれ調製された吸光断熱一体化光熱蒸発材料である。
【0115】
実施例11-20から提供された太陽光熱海水淡水化装置を用いて、塩度3.25%の天然海水を蒸発凝縮処理し、得られた凝縮水の塩度は0.01%で、飲用要件を満たしている。塩度9.85%の天然海水を蒸発凝縮処理し、得られた凝縮水の塩度は0.01%であり、飲用要求を満たしている。塩度16.7%の天然海水を蒸発凝縮処理し、得られた凝縮水の塩度は0.02%で、飲用要求を満たす。
【0116】
実施例11-20で提供される太陽光熱海水淡水化装置の性能試験結果を表2に示す。
【0117】
【表2】
【0118】
<実施例21-30>
図12図13図14に示すように、実施例21~30で提供される高温蒸気滅菌装置は、カチューシャ1、固定リング2、シールリング3、集光板4、光熱蒸発材料5、貯水コップ6、キャリア7、蒸気室8を含む。
【0119】
図11に示すように、光熱蒸発材料2は、断熱体22と、断熱体22の外表面に覆われた吸光体21を含み、吸光体21は表面が親水性官能基で修飾された垂直方向のグラフェンであり、断熱体22はグラフェン発泡体であり、垂直方向のグラフェンとグラフェン発泡体は共有結合形式で接続されている。吸光体21は表面が親水性官能基で修飾された垂直方向のグラフェンである。
【0120】
吸光体21は太陽エネルギーを捕捉し、光を熱エネルギーに変換し、局部的な高温を形成する。断熱体22は熱の流れを停滞し、放熱を低減する。また、吸光体21は、液流路23として毛細作用により液体24を吸入し、局所的な高温領域に到達させ、急速な光熱蒸発を実現する。一方、液体流路23は、断熱体22を液体24の湿潤から保護し、浸透した液体24を介して熱流が外部に流れることを回避することができる。
【0121】
図12図13図14に示すように、キャリア7を蒸発室8の台に載置し、貯水コップ6をキャリア7の中心の溝に装着する。貯水コップ6に一定量の水を加え、光熱蒸発材料2を上から貯水コップ6に入れ、光熱蒸発材料2を水面に浮かせる。殺菌が必要なものを蒸発室内のキャリア7に載せる。その後、蒸発室8に集光器4を覆い、シールリング3、固定リング2、カチューシャ1を用いて蒸発室8を閉鎖する。
【0122】
実施例21~30の光熱蒸発材料2は、実施例1~10によりそれぞれ調製された吸光断熱一体化光熱蒸発材料である。
【0123】
実施例21で提供された高温蒸気滅菌装置は、自然光の下で動作し、光照射強度は1.0-1.2kW・m-2であり、標準生物指示剤を殺菌効果の検査として利用し、指示剤の色が紫色から黄色に変化した場合、滅菌失敗であり、指示剤の色が紫色に保たれた場合、殺菌成功である。図15に示すように、蒸発室内の温度は運転され11min後、予期の滅菌温度である121℃に達し、WHO規格によれば、121℃の高温蒸気の環境下で30min維持することで十分な滅菌効果が得られる。このため、41min運転後、作業を停止する。殺菌後の生物指示剤は56℃の環境に移され48h培養される。観察したところ、滅菌処理されていない指示剤は黄色と表現され、滅菌過程を経た指示剤は紫色と表現され、滅菌成功であると示される。
【0124】
実施例21-30で提供される高温蒸気滅菌装置の性能試験結果を表3に示す。
【0125】
【表3】
【0126】
上記は実施例に関連して本発明について詳細に説明したが、本発明の実施形態は上記実施形態に限定されず、他のいかなる本特許のコア思想の下で行った変更、代替、組合せ簡略化等も本発明の特許の保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15