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特許7015596透明静電吸着パーティション及び透明静電吸着パーティションシステム
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  • 特許-透明静電吸着パーティション及び透明静電吸着パーティションシステム 図1
  • 特許-透明静電吸着パーティション及び透明静電吸着パーティションシステム 図2
  • 特許-透明静電吸着パーティション及び透明静電吸着パーティションシステム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】透明静電吸着パーティション及び透明静電吸着パーティションシステム
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20220127BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20220127BHJP
   F24F 8/192 20210101ALI20220127BHJP
   B03C 3/04 20060101ALI20220127BHJP
   B03C 3/47 20060101ALI20220127BHJP
   B03C 3/64 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
E04B2/74 541M
A61L9/16 Z
F24F8/192
B03C3/04
B03C3/47
B03C3/64 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021101261
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2021-06-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593046212
【氏名又は名称】エステアール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100202957
【弁理士】
【氏名又は名称】金森 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100201684
【弁理士】
【氏名又は名称】橋爪 慎哉
(74)【代理人】
【識別番号】100223985
【弁理士】
【氏名又は名称】原 美貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(72)【発明者】
【氏名】山口 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】河合 紀和
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-525113(JP,A)
【文献】特公平07-073685(JP,B2)
【文献】特開平06-254433(JP,A)
【文献】特開2007-268405(JP,A)
【文献】特開2009-172543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0303499(US,A1)
【文献】特開平3-266814(JP,A)
【文献】実開昭58-141220(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
B03C 3/00-3/88
A61L 9/16
A47B 13/00-13/16
F24F 8/192
F24F 7/003
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧源の正極と電気的に接続され導電性を有する透明な正極と、
前記電圧源の負極と電気的に接続され、導電性を有し、且つ透明な絶縁を挟んで前記正極と対向して配置された透明な負極と、を備える、
透明静電吸着パーティション
【請求項2】
請求項1に記載の透明静電吸着パーティションと、
前記電圧源と、を備え
前記電圧源は、外部電源から供給された直流電力の電圧を入力されたものよりも高い出力電圧に高める直流昇圧回路を含む
透明静電吸着パーティションシステム
【請求項3】
前記電圧源は、前記正極と前記負極との間に前記出力電圧を印加するか否かを切り替えるスイッチを含む、
請求項2に記載の透明静電吸着パーティションシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明静電吸着パーティション及び透明静電吸着パーティションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、花粉、塵、埃、微小粒子状物質、飛沫、ウイルスなどの微粒子を吸着して空気を清浄化する装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、帯電ガンが放出したマイナスイオンによって負に帯電して正に帯電している塵を集める仕切り板が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6808159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された仕切り板は、マイナスイオンを用いるものであるため、負に帯電した粒子を吸着することができない。
【0006】
また、特許文献1に記載された仕切り板は、帯電ガンがマイナスイオンを放出するものであり、仕切り板の表面に発生する電荷の量を制御することができない。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑み、正と負のどちらの電荷を帯びた粒子も吸着することができる透明静電吸着パーティション及び透明静電吸着パーティションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る透明静電吸着パーティションは、
電圧源の正極と電気的に接続され導電性を有する透明な正極と、
電圧源の負極と電気的に接続され、導電性を有し、且つ透明な絶縁を挟んで正極と対向して配置された透明な負極と、を備える。
【0009】
本発明に係る透明静電吸着パーティションシステムは、透明静電吸着パーティションと、電圧源と、を備え、電圧源は、外部電源から供給された直流電力の電圧を入力されたものよりも高い出力電圧に高める直流昇圧回路を含む
【0010】
電圧源は、正極と負極との間に出力電圧を印加するか否かを切り替えるスイッチを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、正極と負極が正負に帯電するため、正と負のどちらの電荷を帯びた粒子も吸着することができる透明静電吸着パーティション及び透明静電吸着パーティションシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る静電吸着パーティションの斜視図である。
図2図1に示した静電吸着パーティションのメインパネルを面に垂直に切断した断面図を含む回路図である。
図3】(A)は変形例に係る静電吸着パーティションのパネルの斜視図であり、(B)は(A)のAA’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態)
以下に、本発明の実施の形態に係る静電吸着パーティション1を、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、静電吸着パーティション1は、パネル10と、静電吸着パーティション1が配置される床面に対してパネル10を垂直に保持して固定する脚部50と、を含む。
【0014】
パネル10は、詳細には、中央に配置されているメインパネル20と、メインパネル20の左端に接して配置され、メインパネル20に対して折り畳み可能な左パネル30と、メインパネル20の右端に接して配置され、メインパネル20に対して折り畳み可能な右パネル40と、床面に対して左パネル30と右パネル40を補助して支える脚部51と、を備える。
【0015】
メインパネル20は、図2(A)に示すように、5層構造となっている。
5層のうちの中央は、基材としての絶縁板21であり、例えば、厚さ1mmのポリエチレンテレフタレート(PET)の透明な板である。
絶縁板21を挟んで、導電板22と導電板23が平行に配置されている。導電板22、23は、例えば、絶縁板21に、それぞれ数100nmの厚さでポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)/ポリスチレンスルホン酸(PSS)分散体を塗布して形成した導電性を有する透明な樹脂板である。導電板22と導電板23とは、絶縁板21を介して絶縁されている。
導電板22、23のさらに外側に、導電板22、23を衝撃から保護し、絶縁する保護板24が配置されている。保護板24は、例えば、厚さ100μmのPETの透明な板である。
絶縁板21は絶縁部の一例であり、導電板22は正極部の一例であり、導電板23は負極部の一例である。
【0016】
図1に示したように、脚部50には、直流昇圧回路DCが内蔵されている。直流昇圧回路DCは、脚部50に設けられたコネクタCNに接続される図示しないバッテリーから5Vの直流の電力を供給される。
【0017】
図2に示すように、直流昇圧回路DCと導電板22、23は電気的に接続されている。
具体的には、直流昇圧回路DCは、5Vで供給された入力電圧を1000V以上、例えば、1100Vの出力電圧にまで高める回路であり、例えば、発振回路、トランス、キャパシタ、抵抗及びダイオードを含む。スイッチSWがオンであるときに、配線Wを介して、直流昇圧回路DCの出力のうちの正極が導電板22と電気的に接続され、直流昇圧回路DCの出力のうちの負極が導電板23と電気的に接続される。
直流昇圧回路DCは、電圧源の一例である。
【0018】
左パネル30及び右パネル40も、メインパネル20と同様の5層構造を有する。左パネル30と右パネル40とは、図示しないヒンジを介してメインパネル20に機械的に折り畳み可能に接続されている。メインパネル20、左パネル30及び右パネル40の下部であって互いに隣接する部分には、矩形の切り欠き部分NPが形成されている。
メインパネル20、左パネル30及び右パネル40の導電板22は、切り欠き部分NPにおいてフラットケーブルFCによって相互に電気的に接続されている。メインパネル20、左パネル30及び右パネル40の導電板23も、切り欠き部分NPにおいてフラットケーブルFCによって相互に電気的に接続されている。
【0019】
(静電吸着パーティション1が有する効果)
特許文献1に記載された技術では、導電板22と導電板23を備えないため、正と負のどちらかに帯電した粒子を吸着することができない。
これに対し、静電吸着パーティション1においては、直流昇圧回路DCから供給された直流の電圧により、導電板22と導電板23がそれぞれ正と負のいずれかに帯電する。このため、静電吸着パーティション1によれば、正と負のどちらに帯電した粒子も吸着することができる。
【0020】
また、絶縁板21、導電板22、23の組合せ及び配置がキャパシタの機能を発揮するため、静電吸着パーティション1によれば、電荷が逃げにくく、安定して帯電した粒子を吸着することができる。
【0021】
前述したように、静電吸着パーティション1は、5Vの直流の電力をバッテリーから供給される。導電板22と23は、絶縁板21によって絶縁されているから、電流は導電板22、23間を流れにくい。
従って、静電吸着パーティション1の消費電力は比較的小さい。
【0022】
絶縁板21、導電板22、23及び保護板24が全て透明であるため、静電吸着パーティション1によれば、静電吸着パーティション1によって視界が遮られることがない。
【0023】
左パネル30と右パネル40をメインパネル20に向けて折り畳むことができるため、静電吸着パーティション1は、コンパクトに収納することができるという特徴を有する。
【0024】
導電板22、23が保護板24によって保護されているため、吸着された粒子を掃除しやすく、手、足、顔等が静電吸着パーティション1に接しても、電圧による不快を感じにくい。
【0025】
静電吸着パーティション1は、モータ、ファン等の稼動部を備えない。このため、静電吸着パーティション1は、動作時においても無音である。
【0026】
なお、絶縁板21、導電板22、23、保護板24の形状、材質及び厚さ等は上述したものに限られない。絶縁板21及び保護板24の材質は、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ガラス、紙、布であってもよい。導電板22、23の材質は、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛であってもよい。絶縁板21、導電板22、23及び保護板24は有色でも無色でもよく、透明でなくてもよい。絶縁板21、導電板22、23及び保護板24は、湾曲したものであってもよく、厚さが一定のものでなくてもよく、平板でない形状、例えば、波形、球形などの形状に形成されたものでもよい。絶縁板21、導電板22、23及び保護板24について、「板」は、膜、層等であってもよい。
【0027】
保護板24は、導電板22、23に比べて絶縁性の高い塗料を導電板22、23の表面に塗装することによって形成されたものであってもよい。例えば、ウレタン樹脂系塗料を30μmから40μmの厚さで塗布したものを保護板24として用いてもよい。この他に、塗料として、例えば、エナメル系、ラッカー系、アクリル系、エポキシ系、フッ素系、シリコーン系の塗料を用いてもよい。さらに、これらの塗料は、有色であってもよく、無色であってもよい。
【0028】
また、直流昇圧回路DCの構成、入力及び出力の電圧も上述したものに限られない。
【0029】
メインパネル20、左パネル30及び右パネル40の配置は上述したものに限られない。静電吸着パーティション1は、左パネル30又は右パネル40を欠いていてもよく、メインパネル20、左パネル30及び右パネル40以外のパネルを含んでいてもよい。
左パネル30及び右パネル40は、メインパネル20と、異なる構造を有していてもよい。左パネル30及び右パネル40は、メインパネル20と電気的に接続されていてもよく、絶縁されていてもよい。
【0030】
(変形例)
変形例に係る静電吸着パーティション2のパネル60は、静電吸着パーティション1のパネル10と異なる構造を有する。以下、パネル10と異なる部分を中心に説明する。
【0031】
図3(A)、(B)に示すように、パネル60には、複数の孔Hが開けられている。これらの孔Hは、パネル60を貫通している。
【0032】
図3(B)にプラス又はマイナスの記号と矢印で示したように、一面側の導電板22又は導電板23と電荷の符号が同じであって反発する微粒子であっても、孔Hを通って他面側の導電板23又は導電板22に接する保護板24の表面に吸着される。
【0033】
このため、空気中に漂っている微粒子がプラスに帯電しているかマイナスに帯電しているかにかかわらず、導電板22と導電板23のいずれかの側において、その微粒子はパネル60に吸着される。
従って、静電吸着パーティション2によれば、静電吸着パーティション1に比べて、効率よく帯電している微粒子を吸着することができる。
【0034】
以上説明したパネル10、60は、静電吸着パーティション1、2だけでなく、窓、ドア、壁等に応用することができるものである。
【0035】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0036】
1、2 静電吸着パーティション
10、60 パネル
20 メインパネル
21 絶縁板
22、23 導電板
24 保護板
30 左パネル
40 右パネル
50、51 脚部
DC 直流昇圧回路
CN コネクタ
FC フラットケーブル
H 孔
NP 切り欠き部分
SW スイッチ
W 配線
【要約】
【課題】正と負のどちらの電荷を帯びた粒子も吸着することができる静電吸着装置を提供する。
【解決手段】静電吸着パーティション1は、電圧源DCの正極と電気的に接続される導電性を有する正極板22と、電圧源DCの負極と電気的に接続され、導電性を有し、且つ絶縁板21を挟んで正極板22と対向して配置された負極板23と、を備える。絶縁板21は、樹脂板であり、正極板22及び負極板23は、導電板であり、負極板23は、正極板22と平行に配置されていてもよい。
【選択図】図2
図1
図2
図3