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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】バリアボックス
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20220127BHJP
   B65G 49/00 20060101ALI20220127BHJP
   E04H 5/02 20060101ALI20220127BHJP
   F24F 9/00 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
F24F7/06 C
B65G49/00 A
E04H5/02 B
F24F9/00 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021109490
(22)【出願日】2021-06-30
【審査請求日】2021-08-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521289467
【氏名又は名称】株式会社テック
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松澤 靖夫
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-257700(JP,A)
【文献】特開2002-333182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
B65G 49/00
E04H 5/02
F24F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧室と高圧室を仕切る仕切り壁に沿って配置される筐体を備え、
前記筐体は、前記仕切り壁の壁孔を貫通するコンベアが通る通路部と、前記通路部を陰圧または陽圧に制御する空気流形成部と、前記空気流形成部の空気流量を調整する空気流量調整部と、を備え、前記空気流量調整部は、前記通路部の圧力が、低圧室側から高圧室側に向けて高くなるように、空気流量を調整し、
前記空気流量調整部は、前記通路部の一端の圧力が前記低圧室の圧力と略等しく、他端の圧力が前記高圧室の圧力と略等しくなるように、空気流量を調整する
ことを特徴とするバリアボックス。
【請求項2】
前記空気流量調整部は、複数のセルを備え、複数のセルは前記通路部に並べて配置され、各セルの風路に風量調整ダンパーを備えることを特徴とする請求項1に記載のバリアボックス。
【請求項3】
前記空気流量調整部は、各セルの風路入口に整流体を備えることを特徴とする請求項2に記載のバリアボックス。
【請求項4】
前記空気流量調整部は、前記通路部の下方にダクトを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のバリアボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリアボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、医薬品の製造ラインにおいては、充填室(低圧室)で薬剤を充填し、充填済みの薬品を包装室(高圧室)にコンベア搬送し、包装室で薬品を包装することが行われる(例えば、特許文献1参照)。
充填室と包装室は仕切り壁で仕切られ、各室は適切な環境に制御される。充填室と包装室の間には、例えば30Pa程度の差圧がある。薬品のコンベア搬送は、仕切り壁の壁孔を貫通して行われる。壁孔の近傍にはバリアボックスが配置され、バリアボックスにより、各室の適切な環境が維持される。
【0003】
バリアボックスは、コンベアが通過する通路部を備え、例えば通路部を陰圧に制御することで、包装室から充填室への空気流入を抑制し、或いは通路部を陽圧に制御することで、充填室や包装室に適切に外気導入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-106904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のバリアボックスの構成では、通路部を陰圧に制御しても、包装室から充填室へと空気流入してしまう、或いは、陽圧に制御しても、充填室や包装室への外気導入が適切に行われない、などの問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、包装室から充填室への空気流入を十分に抑制することができ、或いは充填室や包装室に適切に外気導入することができるバリアボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、低圧室と高圧室を仕切る仕切り壁に沿って配置される筐体を備え、前記筐体は、前記仕切り壁の壁孔を貫通するコンベアが通る通路部と、前記通路部を陰圧または陽圧に制御する空気流形成部と、前記空気流形成部の空気流量を調整する空気流量調整部と、を備え、前記空気流量調整部は、前記通路部の圧力が、低圧室側から高圧室側に向けて高くなるように、空気流量を調整し、前記空気流量調整部は、前記通路部の一端の圧力が前記低圧室の圧力と略等しく、他端の圧力が前記高圧室の圧力と略等しくなるように、空気流量を調整することを特徴とする。
【0008】
本発明は、前記空気流量調整部は、複数のセルを備え、複数のセルは前記通路部に並べて配置され、各セルの風路に風量調整ダンパーを備えてもよい。
【0009】
本発明は、前記空気流量調整部は、各セルの風路入口に整流体を備えてもよい。
【0010】
本発明は、前記空気流量調整部は、前記通路部の下方にダクトを備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、空気流量調整部は、通路部の圧力が、低圧室側から高圧室側に向けて高くなるように、空気流量を調整することから、通路部内を陰圧に制御した場合、包装室から充填室への空気流入を十分に抑制でき、通路部内を陽圧に制御した場合、充填室や包装室に適切に外気導入できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態によるバリアボックスを示す斜視図である。
図2】同側面断面図である。
図3】同正面図である。
図4図2のIV-IV断面図である。
図5】整流体を示す図である。
図6】各セルを組み合わせた上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1図3は、本実施形態によるバリアボックス1を示す。
バリアボックス1は陰圧・陽圧の兼用であり、筐体3を備える。
筐体3は、図2に示すように、充填室(低圧室)5と包装室7(高圧室)の仕切り壁9に沿って配置される。
充填室5は圧力が低く、包装室7は圧力が高く、充填室5と包装室7との間には、例えば30Pa程度の差圧がある。筐体3は、圧力が高い包装室7側に配置されるが、充填室5側に配置されてもよい。
【0014】
医薬品の製造ラインなどにおいては、充填室5で薬剤を充填し、充填済みの薬品を包装室7にコンベア11で搬送し、包装室7で薬品を包装する。
コンベア11は、仕切り壁9の壁孔9Aを貫通する。
【0015】
筐体3は、コンベア11が通過する通路部13を備える。通路部13は、筐体3の下方域に配置される。
筐体3の通路部13の上方域には、通路部13の空気を吸引することにより、通路部13を陰圧に制御する空気流形成部15が配置される。
【0016】
空気流形成部15は、五つのセル17A~17Eを備える。
各セル17A~17Eは、角筒形の中空体である。各セル17A~17Eの中空体内には、それぞれ風路20が形成される。
各セル17A~17Eは、互いに接して配置される。
各セル17A~17Eの短手幅MWは等しく設定され、五つの短手幅MWの合計は、筐体3の奥行き幅W1とほぼ等しい。本構成では、短手幅MWが等しく設定されたが、短手幅MWは異なってもよい。
【0017】
図4は、図2のIV-IV断面図である。
各セル17A~17Eは底板51を備える。各底板51の中央部には、底板51の略1/3の面積で、斜線で示すように、風路入口16が形成される。風路入口16は、コンベア11で搬送される薬品の真上に開口する。
【0018】
各セル17A~17Eの風路入口16には、整流体19を備える。
整流体19は、図5に示すように、複数の縦桟19Aを有する枠体であり、図4に示すように、各風路入口16に跨って配置される。
整流体19の幅W2は、風路入口16のW3よりも若干広く形成される。整流体19は、風路入口16に乱流を形成する。
整流体19は、メンテナンスの便宜のため、一体物として配置されるが、各セル17A~17Eの風路入口16に、五つの別体物で配置されてもよい。この場合には、五つの整流体19の形態を異ならせてもよい。
【0019】
通路部13の下方には、図2に示すように、空気ダクト25が配置される。空気ダクト25には、2本のダクトホース27が接続され、2本のダクトホース27は、図3に示すように、セル17Fに接続される。
【0020】
セル17Fの風路20は上方に延出し、セル17Fの風路20の上部は、図6に示すように、各セル17A~17Eの風路20に合流する。合流ダクト29は、図示は省略したが、建屋内を上方に延び、建屋外に導出される。
バリアボックス1が陰圧で用いられる場合、合流ダクト29に、通路部13から空気を吸引するための送風機(不図示)が接続される。
送風機(不図示)は、任意の位置に配置が可能であり、建屋外に配置してもよく、筐体3の内側に配置してもよい。
合流ダクト29には、図2に示すように、フィルター30が配置される。
【0021】
図6に示すように、セル17Fの短手幅W4と、各セル17A~17Eの長手幅NWの合計値は、筐体3の幅W5とほぼ等しく設定される。
セル17Fの長手幅W6は、各セル17A~17Eの短手幅MWの合計値、すなわち筐体3の奥行き幅W1とほぼ等しく設定される。
【0022】
各セル17A~17Eおよびセル17Fの風路出口18には、それぞれ風量調整ダンパー21A~21Fが配置される。
五つの風量調整ダンパー21A~21Fは、空気流形成部15の空気流量を調整する空気流量調整部を構成する。
【0023】
風量調整ダンパー21A~21Fは、各風路20の開口面積を調整可能である。風量調整ダンパー21は、バタフライ式ダンパーであり、ハンドル31を回転させて風量を調整する。開閉機構は電動式であってもよい。
【0024】
図1に示すように、バリアボックス1の各面には、点検口を閉塞するための、複数のパネル35~40が配置される。
側面の最上位のパネル35を開けると、風量調整ダンパー21A~21Eの点検が可能であり、パネル36を開けると、セル17A~17Eの点検が可能であり、パネル37を開けると、コンベア11の点検が可能である。また、パネル38を開けると、ダクトホース27の点検が可能である。
【0025】
正面のパネル39を開けると、風量調整ダンパー21Fの点検が可能であり、パネル40を開けると、整流体19の点検が可能である。
整流体19は、パネル40を開けて、引き出し式にスライドさせて、各セル17A~17Eの風路入口16に配置される。
【0026】
本実施形態では、空気流形成部15の作用により、通路部13が陰圧に制御され、充填室5および包装室7から通路部13に空気が吸引される。該空気は、通路部13の上方より各セル17A~17Eを介して、また、通路部13の下方よりセル17Fを介して、合流ダクト29に合流し、建屋外に排出される。これによれば、包装室7から充填室5への空気の流入が抑制される。
【0027】
本実施形態では、風量調整ダンパー21A~21Fを個別に調整することにより、通路部13の圧力が、充填室5(低圧室)側から包装室7(高圧室)側に向けて、圧力が高くなるように、空気流量が調整可能とされる。したがって、包装室7から充填室5への空気の流入が十分に抑制される。
【0028】
本実施形態では、通路部13の一端13Aの圧力が充填室5(低圧室)の圧力と略等しく、他端13Bの圧力が包装室7(高圧室)の圧力と略等しくなるように、空気流量を調整することが望ましい。
このとき、通路部13の一端13Aの圧力が、充填室5の圧力より僅かに低く、通路部13の他端13Bの圧力が、包装室7の圧力より僅かに低く設定されれば、充填室5と包装室7との間に、例えば30Pa程度の差圧があったとしても、充填室5への空気の流入が十分に抑制される。
【0029】
本実施形態では、複数のセル17A~17Eを備え、各セル17A~17Eは、通路部13に並べて配置され、各セル17A~17Eの風路20には、風量調整ダンパー21A~21Eが個別に配置される。
したがって、風量調整ダンパー21A~21Eの調整により、通路部13の圧力を、充填室5から包装室7に向けて、徐々に高くなるように、或いは、段階的に高くなるように、空気流量を簡単に調整できる。
【0030】
本実施形態では、各セル17A~17Eの風路入口16に、整流体19を備えるため、風路入口16には、乱流が形成される。
乱流の形成により、通路部13に進入する空気が、送風機により吸引され易くなるため、充填室5への逆流が抑制される。
【0031】
本実施形態では、通路部13の下方に空気ダクト25を備える。
上記空気ダクト25は、上記セル17Fに接続され、セル17Fには、風量調整ダンパー21Fが配置される。
これによれば、通路部13の空気は下方の空気ダクト25からも吸引され、充填室5への逆流が更に抑制される。
【0032】
本実施形態では、バリアボックス1が陰圧・陽圧兼用の筐体3を備える。バリアボックス1が陽圧で用いられる場合、合流ダクト29には、通路部13に空気を供給する送風機(不図示)が接続される。
【0033】
陽圧式では、フィルター30で浄化された外気が、各セル17A~17Eを介して、上方より通路部13に供給される。また、フィルター30で浄化された外気が、セル17Fを介して、下方より通路部13に供給される。
そして、外気は、通路部13を介して、充填室5および包装室7へ流出する。
このとき、風量調整ダンパー21A~21Eの調整により、通路部13の一端13Aの圧力が、充填室5の圧力より僅かに高く、他端13Bの圧力が、包装室7の圧力より僅かに高くなるように、設定することが望ましい。
【0034】
この場合、包装室7へ流出する空気流量に比べて、充填室5への空気流量を多めに調整すれば、充填室5と包装室7の間に、例えば30Pa程度の差圧があったとしても、充填室5や包装室7に適切に外気導入できる。
【符号の説明】
【0035】
1 バリアボックス
3 筐体
5 充填室(低圧室)
7 包装室(高圧室)
9 仕切り壁
11 コンベア
13 通路部
13A 一端
13B 他端
15 空気流形成部
16 風路入口
17A~17E セル
17F セル
18 風路出口
19 整流体
20 風路
21A~21F 風量調整ダンパー(空気流量調整部)
25 空気ダクト
27 ダクトホース
30 フィルター
【要約】
【課題】包装室から充填室への空気流入を十分に抑制でき、または、充填室や包装室に適切に外気導入できるバリアボックスを提供する。
【解決手段】低圧室5と高圧室7を仕切る仕切り壁9に沿って配置される筐体3を備え、筐体3は、仕切り壁9の壁孔9Aを貫通するコンベア11が通る通路部13と、通路部13を陰圧または陽圧に制御する空気流形成部15と、空気流形成部の空気流量を調整する空気流量調整部21と、を備え、空気流量調整部21は、通路部13の圧力が、低圧室5側から高圧室7側に向けて高くなるように、空気流量を調整する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6