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特許7015620配管支持具用アタッチメントおよびそれを備えた配管支持具並びに配管支持具取付構造。
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  • 特許-配管支持具用アタッチメントおよびそれを備えた配管支持具並びに配管支持具取付構造。 図1
  • 特許-配管支持具用アタッチメントおよびそれを備えた配管支持具並びに配管支持具取付構造。 図2
  • 特許-配管支持具用アタッチメントおよびそれを備えた配管支持具並びに配管支持具取付構造。 図3
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  • 特許-配管支持具用アタッチメントおよびそれを備えた配管支持具並びに配管支持具取付構造。 図5
  • 特許-配管支持具用アタッチメントおよびそれを備えた配管支持具並びに配管支持具取付構造。 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】配管支持具用アタッチメントおよびそれを備えた配管支持具並びに配管支持具取付構造。
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/14 20060101AFI20220127BHJP
   F16L 3/08 20060101ALI20220127BHJP
   F16B 1/00 20060101ALI20220127BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20220127BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
F16L3/14 B
F16L3/08 C
F16B1/00 A
F16B2/10 Z
F16B7/04 301M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017147627
(22)【出願日】2017-07-31
(65)【公開番号】P2019027515
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-07-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391039302
【氏名又は名称】株式会社昭和コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】堀越 信一
(72)【発明者】
【氏名】中原 啓忠
(72)【発明者】
【氏名】津久井 慎
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-151455(JP,A)
【文献】特開2004-116617(JP,A)
【文献】米国特許第6572057(US,B1)
【文献】特開2010-223241(JP,A)
【文献】米国特許第6581884(US,B1)
【文献】特開2014-219089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/14
F16L 3/08
F16B 1/00
F16B 2/10
F16B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を支持するために垂下された吊部材に横付けで取り付ける配管支持具をその適合する寸法の吊部材以外の吊部材と取付対象である吊部材以外の部材とを含む別部材に横付けで取り付けるためのアタッチメントであって、
当該アタッチメントは、配管支持具に装着するための装着部と、
別部材に当該アタッチメントを横付けで取り付けるための取付部と、
を備え
当該アタッチメントの取付部は、別部材に対して付勢する付勢材で着脱可能に取り付けることを特徴とする配管支持具用アタッチメント。
【請求項2】
当該アタッチメントの装着部は、吊部材に取り付けるため配管支持具に設けられた取付構造部の係合孔に垂直基部を挿通させて取付構造部の付勢材による付勢を受けて係合させることで配管支持具に装着することを特徴とする請求項1記載の配管支持具用アタッチメント。
【請求項3】
当該アタッチメントの装着部は、略コ字形の板状であることを特徴とする請求項記載の配管支持具用アタッチメント。
【請求項4】
当該アタッチメントの装着部は、垂直基部の上下端を折り曲げて形成した折曲部と、配管支持具の取付構造部の上下折曲部とを係合させることで配管支持具に装着することを特徴とする請求項又は記載の配管支持具用アタッチメント。
【請求項5】
当該アタッチメントの装着部は、垂直基部に切り欠いたくびれ部を有し、配管支持具の取付構造部の上下折曲部に設けられた係合孔に係合させることで配管支持具に装着することを特徴とする請求項又は記載の配管支持具用アタッチメント。
【請求項6】
請求項1からのいずれかに記載の配管支持具用アタッチメントを備えた配管支持具。
【請求項7】
被取付部材に配管支持具を取り付けるための配管支持具取付構造であって、
配管支持具に装着するための略コ字形の装着部と、被取付部材に横付けで取り付けるための取付部としてその装着部の折曲部に被取付部材と係合する係合爪と、その装着部の垂直基部に反配管支持具側へ被取付部材を付勢する付勢材と、を備えたことを特徴とする配管支持具取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、配管を支持するために建築構造体から垂下された吊部材に取り付ける配管支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配管を支持するために建築構造体から垂下された吊部材に取り付ける配管支持具に関する先行技術文献としては、次のようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-223241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すような配管支持具は、吊部材として流通の多いサイズ(W3/8)用のものがほとんどである。そのため、サイズの異なる吊部材(例えば、W1/2)に対して配管支持具を取り付ける必要がある場合には、異径高ナット等で吊部材のサイズ切り替えが必要になる(例えば、W1/2からW3/8へ)。しかし、その場合には次のようなデメリットの起こる可能性がある。
(1)施工スペースに限りがあり、異径高ナットを継ぐことができない。
(2)吊部材端部に予め決められた取付製品があるため、異径高ナットを継ぐことができない。
【0005】
一方で、サイズの異なる吊部材専用の専用品を製造することに対しては、次のようなデメリットがある。
(1)吊部材の出荷量から推測される使用量が少なく、生産効率が悪くなる。
(2)現場での混乱を来すことがある。例えば、W3/8サイズの吊部材にW1/2サイズ用の配管支持具が使用されるような施工ミスの発生が起こりうる。
【0006】
このため、現状では流通の多いサイズ(W3/8)以外の専用品は無いため、現場では新たに適合する吊部材を吊り下げることも考えられるが、施工スペースが必要になり、またコストや時間がかかってしまう。
【0007】
そこで、本願発明者は、上記した課題を解決して、適合する寸法の吊部材以外の吊部材又は取付対象である吊部材以外の部材を含む別部材に配管支持具の取り付けを可能とすべく鋭意試験・研究を行い、本願発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、配管を支持するために垂下された吊部材に取り付ける配管支持具をその適合する寸法の吊部材以外の吊部材と取付対象である吊部材以外の部材とを含む別部材に取り付けるためのアタッチメント(付属品)であって、当該アタッチメントは、配管支持具に装着するための装着部と、別部材に当該アタッチメントを取り付けるための取付部と、を備えたことを特徴とする配管支持具用アタッチメントである。
ここで、「適合する寸法の吊部材以外の吊部材」には、適合する寸法より大きなサイズの吊部材だけでなく、小さなサイズの吊部材も含むものである。
また、「吊部材以外の部材」とは、垂下された吊部材(全ネジや丸棒など)に限らず、アングルやチャンネルや鋼材などを意味する。
第2の発明は、当該アタッチメントが、配管支持具又は/及び別部材に対して着脱可能に装着されることを特徴とする同配管支持具用アタッチメントである。
第3の発明は、当該アタッチメントが、別部材に配管支持具を脱落無く取り付けられることを特徴とする同配管支持具用アタッチメントである。
第4の発明は、当該アタッチメントの装着部が、吊部材に取り付けるため配管支持具に設けられた取付構造部に対して係合させることで配管支持具に装着することを特徴とする同配管支持具用アタッチメントである。
第5の発明は、当該アタッチメントの装着部が、吊部材に取り付けるため配管支持具に設けられた取付構造部に対して係合部材を用いて配管支持具に装着することを特徴とする同配管支持具用アタッチメントである。
第6の発明は、当該アタッチメントの取付部が、別部材に対して係合させることで別部材に当該アタッチメントを取り付けることを特徴とする同配管支持具用アタッチメントである。
第7の発明は、当該アタッチメントの取付部が、別部材に対して係合部材を用いて係合させることで別部材に当該アタッチメントを取り付けることを特徴とする同配管支持具用アタッチメントである。
第8の発明は、当該アタッチメントが、吊部材に取り付けるため配管支持具に設けられた取付構造部が少なくとも同一となる配管支持具に対しては、別部材ごとに1態様のアタッチメントで対応可能であることを特徴とする同配管支持具用アタッチメントである。
第9の発明は、上記第1から第8の発明に係る配管支持具用アタッチメントを備えた配管支持具である。
【発明の効果】
【0009】
上記した本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)配管支持具に装着するための装着部と、別部材に当該アタッチメントを取り付けるための取付部と、を備えた配管支持具用アタッチメントを有することで、その適合する寸法の吊部材以外の吊部材と取付対象である吊部材以外の部材とを含む別部材に配管支持具(既存・新規を問わず)を取り付けることができる。
(2)適合する寸法以外の吊部材に取り付けられるのみならず、吊部材以外の部材(例えば、アングルやチャンネルや鋼材など)にも取り付けられるので、配管支持具を取り付ける垂下された吊部材が無いときに、本来であれば新たな吊部材を施工せざるを得ないが、吊部材に代わる部材があればそれに取り付けて吊部材の代用とできる。
(3)配管支持具や別部材に対して着脱可能に装着したり、別部材に配管支持具を脱落無く取り付けられるので、作業の効率化・施工の安定化を図れる。
(4)吊部材に取り付けるため配管支持具に設けられた取付構造部を同一にする配管支持具に対しては、別部材ごとに1態様のアタッチメントで対応可能であることで、在庫を抑制できる。すなわち、製品数が(取付対象×既存製品)とはならない。また、取付対象の選択肢が増え、想定外の寸法の吊部材にも取り付け可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】配管支持具用アタッチメントを説明するための説明図。
図2】配管支持具用アタッチメントの第1実施形態を示す説明図(1)。
図3】配管支持具用アタッチメントの第1実施形態を示す説明図(2)。
図4】配管支持具用アタッチメントの第1実施形態を示す説明図(3)。
図5】配管支持具用アタッチメントの第2実施形態を示す説明図。
図6】配管支持具用アタッチメントの第3実施形態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本願発明に係る配管支持具用アタッチメントを説明するための説明図である。
図1の左図は、これまでの配管支持構造を図示している。すなわち、適合する吊部材である被取付部材Aに配管支持具を直接に取り付けている。
これに対して、図1の右図は、本願発明のよる新たな配管支持構造を図示している。すなわち、適合する吊部材である被取付部材A以外の別部材である被取付部材A’,B,C,Dに配管支持具を取り付けるために、アタッチメントを用いてその取付を実現させるものである。
ここで、被取付部材A~Cには、例えば、以下のようなものが挙げられる。
・被取付部材A :全ネジ(W3/8)
・被取付部材A’:全ネジ(W3/8以外)
・被取付部材B :L型鋼、C型鋼
・被取付部材C :チャンネル、レール、アングル
・被取付部材D :丸棒
【0012】
次に、被取付部材とアタッチメントと配管支持具との三者間は、次のような取付関係になっている。なお、(2)と(3)双方からの場合も含まれる。
(1)アタッチメントから被取付部材へ
(2)アタッチメントから支持具へ
(3)支持具からアタッチメントへ
【0013】
そして、その取付関係における取付構造を整理すると次のようになる。
(1)被取付部材の形状に合わせたアタッチメントの取付構造
その1:ボルト、締結部材(後付けワッシャを想定)を利用した機械的な締結
その2:弾性体(ゴム、バネ等)の弾性を利用した係合
その3:被取付部材の形状に合わせた嵌合(塑性変形)
その4:被取付部材の形状に合わせた係合(略円弧状、本体の弾性を利用)
(2)配管支持具の取付構造部の構成を利用したアタッチメントの取付構造
その1:ボルト、締結部材(後付けワッシャを想定)を利用した機械的な締結
その2:弾性体(ゴム、バネ等)の弾性を利用した係合
その3:被取付部材の形状に合わせた嵌合(塑性変形)
その4:被取付部材の形状に合わせた係合(略円弧状、本体の弾性を利用)
(3)配管支持具の取付構造部の構成と取付機能を利用した取付構造
その1:弾性体(ゴム、バネ等)の弾性を利用した係合
【0014】
図2図4は、本願発明に係る配管支持具用アタッチメントの第1実施形態を示す説明図である。
図2に図示するように、配管支持具用アタッチメント50(アタッチメント50)は、天井(例:スラブ)や吊下げ金具(例:クランプ)等の建築構造体から垂下された吊部材としての吊ボルト90に配管支持具70を取り付けるためのアタッチメント(付属品)である。その構造は、配管支持具70を吊ボルト90に取り付けるために設けられた取付構造部71と同じになっている。すなわち、配管支持具70に装着するための略コ字形の装着部51と、吊りボルト90に取り付けるための取付部としてその装着部51の上下折曲部52,54に吊ボルト90と係合する係合孔53,55と、その装着部51の垂直基部56に係合孔53,55へ吊ボルト90を付勢する付勢材60とを備える。
【0015】
当該付勢材60は、水平断面略V字形に形成された弾性体からなり、その両先端61,62は装着部61の横幅から突出してツマミ部63を形成する。また、吊ボルト90と接する側縁64,66は吊ボルト90側へ傾斜して係合部65,67を形成する。このツマミ部63によって吊ボルト90への取り付け操作性が向上するとともに、係合部65,67によって吊ボルト90への確実な取付固定が実現できる(図4を参照)。
【0016】
図3に図示するように、このアタッチメント50を配管支持具70に装着する。詳しくは、配管支持具70の取付構造部71の上下折曲部72,74に設けられた鉤型の係合孔73,75に、装着部51の垂直基部56を挿通させて付勢材80によって係合するものである。これによって、容易且つ確実にアタッチメント50を配管支持具70に装着することができるとともに、簡易的に着脱可能に装着できる。
【0017】
そして、図4に図示するように、配管支持具70(例えば、W3/8吊ボルト用)では取り付けることができなかった別部材の異なる寸法の吊ボルト90(例えば、W1/2)にアタッチメント50を介して取り付けることができるようになる。
【0018】
図5及び図6は、本願発明に係る配管支持具用アタッチメントのその他の実施形態を示す説明図である。図2図4に図示する第1実施形態と異なるのは、吊部材以外の部材に配管支持具を取り付けるための配管支持具用アタッチメントである点である。
【0019】
まず、図5に図示する第2実施形態は、C型鋼に取り付ける配管支持具用アタッチメントを図示する。
配管支持具用アタッチメント50b(アタッチメント50b)は、水平方向に敷設された別部材としてのC型鋼91に配管支持具70を取り付けるためのアタッチメント(付属品)である。その構造は、配管支持具70に装着するための略コ字形の装着部51bと、C型鋼91に取り付けるための取付部としてその装着部51bの上下折曲部52b,54bにそれぞれC型鋼91と係合する係合爪53b,ボルト孔55bと、その装着部51bの垂直基部56bに反配管支持具70側へC型鋼91を付勢する付勢材60bとを備える。こうした構造により、アタッチメント50bをC型鋼91へ取り付けることができ、結果として配管支持具70(例えば、W3/8吊ボルト用)では取り付けることができなかった別部材のC型鋼91にアタッチメント50bを介して取り付けることができるようになる。
【0020】
次に、図6に図示する第3実施形態は、チャンネルに取り付ける配管支持具用アタッチメントを図示する。
配管支持具用アタッチメント50c(アタッチメント50c)は、壁面の上下方向に敷設された別部材としてのチャンネル92に配管支持具70を取り付けるためアタッチメント(付属品)である。その構造は、配管支持具70に装着するための略コ字形の装着部51cと、チャンネル92に取り付けるための取付部としてその装着部51cの上下折曲部52c,54cにそれぞれチャンネル92と係合する係合突起53c,55cと、その装着部51cの垂直基部56cに反配管支持具70側へチャンネル92を付勢する付勢材60cとを備える。こうした構造により、アタッチメント50cをチャンネル92へ取り付けることができ、結果として配管支持具70(例えば、W3/8吊ボルト用)では取り付けることができなかった別部材のチャンネル92にアタッチメント50cを介して取り付けることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本願発明に係る配管支持具用アタッチメントは、配管支持具の付属品として広く利用できるものであり、当該配管支持具をその適合する寸法の吊部材以外の吊部材と取付対象である吊部材以外の部材とを含む別部材に取り付けるために利用できる。
【符号の説明】
【0022】
50 配管支持具用アタッチメント(第1実施形態)
51 装着部
52 上折曲部
53 係合孔
54 下折曲部
55 係合孔
56 垂直基部
60 付勢材
61 先端
62 先端
63 ツマミ部
64 帯体側縁
65 係合部
66 帯体側縁
67 係合部
70 配管支持具
71 取付構造部
72 上折曲部
73 係合孔
74 下折曲部
75 係合孔
80 付勢材
90 吊ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6