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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】耐力壁
(51)【国際特許分類】
   E04C 1/00 20060101AFI20220127BHJP
   E04B 2/02 20060101ALI20220127BHJP
   E04C 5/08 20060101ALI20220127BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20220127BHJP
   E04B 1/98 20060101ALI20220127BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20220127BHJP
   E04B 2/28 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
E04C1/00 E
E04B2/02 135
E04B2/02 131
E04C5/08
E04B1/94 V
E04B1/98 U
E04H9/02 321C
E04B2/28
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018095204
(22)【出願日】2018-05-17
(65)【公開番号】P2019199759
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-01-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 国土交通省の「平成29年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」の公募に、本出願に係る発明を含むプロジェクトを2017年10月10日に応募し、当該応募プロジェクトが採択されて、2018年1月31日に国土交通省が報道発表及び国土交通省のウェブサイトで採択プロジェクトの概要を公開したものである。
(73)【特許権者】
【識別番号】000183428
【氏名又は名称】住友林業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096611
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 清
(72)【発明者】
【氏名】長島 泰介
(72)【発明者】
【氏名】矢野 正敬
(72)【発明者】
【氏名】熊川 佳伸
(72)【発明者】
【氏名】浅見 和宏
(72)【発明者】
【氏名】菊本 貴暁
(72)【発明者】
【氏名】山田 憲明
(72)【発明者】
【氏名】中 太郎
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-227189(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0204092(US,A1)
【文献】特表2010-500493(JP,A)
【文献】特開2002-220893(JP,A)
【文献】特開2011-214278(JP,A)
【文献】特開2013-189762(JP,A)
【文献】特開平9-302810(JP,A)
【文献】特開2018-35592(JP,A)
【文献】特開2016-8491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 1/00
E04B 2/02
E04C 5/08
E04B 1/94
E04B 1/98
E04H 9/02
E04B 2/28
E04B 2/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の基礎又は横架材の上に、木質材料からなる直方体のブロックを一方向に複数を配列して第1層のブロック列が形成され、
前記第1層のブロック列の上に、木質材料からなる直方体の複数のブロックを配列した1層又は複数層のブロック列が積み上げられて、複数のブロック列による壁状体が形成されており、
第1層のブロック列より上方に積み上げられた各ブロック列は、該ブロック列の下側に接触するブロック列の複数のブロックに架け渡して積み上げられたブロックを有し、
上下方向に配置された緊張材の緊張力によって上側のブロック列に含まれる各ブロックが下側で接触するブロックに圧接されるとともに、第1層のブロック列に含まれるブロックは前記基礎又は前記横架材の上面に圧接されていることを特徴とする耐力壁。
【請求項2】
複数の前記ブロック列の少なくとも一部で、水平方向に隣り合うブロックが間隔をおいて互いに非接触となっていることを特徴とする請求項1に記載の耐力壁。
【請求項3】
水平方向に隣り合うブロックの双方に連結され、双方のブロック間の相対的変位によって塑性的に変形するエネルギー吸収部材を有することを特徴とする請求項2に記載の耐力壁。
【請求項4】
上下に積み上げられて互いに圧接されるブロックは、上層のブロック列に含まれるブロックの下面と下層のブロック列に含まれるブロックの上面とに、それぞれ穴が形成されており、双方の穴に嵌め入れられた係止部材によって双方のブロック間の水平方向の相対的変位が制限されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の耐力壁。
【請求項5】
上下に積み上げられて互いに圧接されるブロックの双方に連結され、双方のブロック間の相対的変位によって塑性的に変形するエネルギー吸収部材を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の耐力壁。
【請求項6】
水平方向に隣り合うブロック間に空間が設けられ、該空間の一つ又は複数が通気口、採光口又はケーブルもしくは配管の通過口となっていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の耐力壁。
【請求項7】
壁状に積み上げられた各層のブロック列の両端にあるブロックは、側端面が同一の鉛直面上となるように配列され、
該側端面には上下に積み上げられたブロックを連結するように鉛直方向連結部材が取り付けられており、
該鉛直方向連結部材の下端は、前記基礎又は前記横架材に固定された部材に連結されていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の耐力壁。
【請求項8】
前記鉛直方向連結部材の下端は、取り外して交換が可能な接合部材を介して前記基礎又は横架材に固定された部材と連結されており、
該接合部材は引張力の作用によって塑性変形が可能な部材であることを特徴とする請求項7に記載の耐力壁。
【請求項9】
積み上げられたブロック列の最上部には、複数のブロックにわたって連続して載せ架けられた横連結部材を有し、
前記緊張材の上端部が前記横連結部材に定着されていることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかに記載の耐力壁
【請求項10】
全てのブロック又は一部のブロックは、火炎に曝されたときに所定の時間内に表面から燃焼が進行する厚さ以上の厚さの燃えしろ層を有し、前記ブロックの本体部の壁面に沿った方向の面に該燃えしろ層が接着されており、
前記ブロックの本体部は、上下方向に木目が通るものであり、前記燃えしろ層は木目が横方向に通るものとなっていることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の耐力壁。
【請求項11】
前記ブロック列は、構造物の多層階に至る高さまで積み上げられており、
前記ブロック列のそれぞれの高さは、多層階の構造物の各階の高さより小さく設定されていることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれかに記載の耐力壁。
【請求項12】
多層階の構造物を構成する床が設けられる高さの位置にあるブロック列は、複数のブロックが接合されて一体となったもの、又は単一のブロックで形成されたものであることを特徴とする請求項11に記載の耐力壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築物又は木造構造物における耐力壁に係り、特に大規模の木造建築部又は木造構造物に好適に採用することができる耐力壁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木造の建築物は、戸建て住宅に多く採用されているが、集会所等の公共施設、体育館、集合住宅、工場等の大規模な建築物も採用される。このような大規模の木造建築物又は木造構造物の耐震性を確保するために、例えば特許文献1に開示されるような木質材料からなる耐力壁が採用されることがある。この耐力壁は、扁平な矩形断面の密実な木質部材すなわち木質の壁柱を立設し、耐力壁として機能させるものである。このような壁柱の下端部は、コンクリート等からなる基礎に対して曲げモーメントの伝達が可能に接合される。そして、平常時には壁柱の下端部の回転変位は拘束されるものとなっているが、地震時等のように大きな水平力が上部に作用したときには、塑性的な回転変位を許容する構造とすることができる。また、塑性的な変位が生じたときにも復元力を付与するものとして、壁柱に鉛直方向の緊張材を配置する空間を設け、この緊張材に導入された緊張力によって壁柱の下端面を基礎に押圧する構造とすることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2010-500493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、木質材料で大規模な耐力壁を構築するためには、次のような解決が望まれる課題がある。
木質材料からなる壁柱は、集成材等によって製作することができるが、工場等で製作して建築物等の構築現場に搬送する必要がある。このとき、部材寸法が大きくなると搬送が困難になる場合が生じる。また、重量が大きくなって、搬送及び所定の位置に建て込むときに大型のクレーンが必要となり、作業の効率が低下する。
【0005】
また、大規模の建築物等において耐力壁の幅を大きくする必要があるときに、必要な寸法の集成材を製作するのが困難となる場合がある。このようなときには、断面を複数に分割した壁柱を製作して、これらを軸線方向の接合面で接合することになる。このように複数の部材を接合して大断面の壁柱を形成する作業は、壁柱を建て込む現場で行うことになり、作業が難しくなることが考えられる。
【0006】
一方、鉛直方向に緊張材を配置して壁柱の下端面を基礎に押圧するためには、壁柱に緊張材を挿通する空間を形成しておく必要がある。この空間は、集成材の製作時に形成しておくか、製作後に削孔することになる。壁柱の軸線方向の寸法が大きくなると、これら作業はいずれも困難さが増大し、作業効率が悪化する原因となる。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、木質材料を用いて効率よく構築することができる耐力壁を提供すること、もしくはこれに併せて、地震時等において運動のエネルギーを有効に吸収することができる耐力壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 構造物の基礎又は横架材の上に、木質材料からなる直方体のブロックを一方向に複数を配列して第1層のブロック列が形成され、 前記第1層のブロック列の上に、木質材料からなる直方体の複数のブロックを配列した1層又は複数層のブロック列が積み上げられて、複数のブロック列による壁状体が形成されており、 第1層のブロック列より上方に積み上げられた各ブロック列は、該ブロック列の下側に接触するブロック列の複数のブロックに架け渡して積み上げられたブロックを有し、 上下方向に配置された緊張材の緊張力によって上側のブロック列に含まれる各ブロックが下側で接触するブロックに圧接されるとともに、第1層のブロック列に含まれるブロックは前記基礎又は前記横架材の上面に圧接されている耐力壁を提供する。
【0009】
この耐力壁では、積み上げられた複数のブロックが緊張材に導入された緊張力によって上下方向に圧接され、ブロックの集合体として壁状の構造部材となる。これにより水平力に抵抗する耐力壁として機能する。そして、この耐力壁の構築時には、それぞれのブロックの重量を小さく抑えることができ、これらを順次に積み上げることによって大型の木造構造物の耐力壁を大きなクレーン等を用いることなく容易に立ち上げることができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の耐力壁において、 複数の前記ブロック列の少なくとも一部で、水平方向に隣り合うブロックが間隔をおいて互いに非接触となっているものとする。
【0011】
この耐力壁では、壁面方向の水平力が作用するときに、積み上げられたブロックのそれぞれに回転変位つまりロッキングが生じる。これにより、耐力壁の上下方向に変形が分散して生じ、復元力を保持した状態で大きな変形を許容する。これにより、靭性の高い構造物とすることができる。また、構造物の変形によってエネルギーを吸収する減衰装置を採用して地震時のように繰り返し反復して作用する水平力に対して運動のエネルギーを有効に吸収することが容易となる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の耐力壁において、 水平方向に隣り合うブロックの双方に連結され、双方のブロック間の相対的変位によって塑性的に変形するエネルギー吸収部材を有するものとする。
【0013】
この耐力壁では、同じブロック列の中で隣り合うブロックのそれぞれに回転変位つまりロッキングが生じることによって双方のブロックが相対的に変位する。これらの間にエネルギー吸収部材が介挿されており、震動エネルギーを有効に吸収して地震時等の揺れを有効に減衰させることが可能となる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の耐力壁において、 上下に積み上げられて互いに圧接されるブロックは、上層のブロック列に含まれるブロックの下面と下層のブロック列に含まれるブロックの上面とに、それぞれ穴が形成されており、双方の穴に嵌め入れられた係止部材によって双方のブロック間の水平方向の相対的変位が制限されているものとする。
【0015】
この耐力壁では、上下に圧接されているブロック間で水平方向の相対的な変位が過大になるのを、係止部材によって抑えることができる。また、係止部材とブロックとの間に大きな支圧力が作用したときに、ブロックの木質材料に微小な変形が生じ、上層のブロックと下層のブロックとの間に微小な水平方向の相対的変位が許容される。したがって、上下のブロック間で大きな変位を生じるのが抑制されるとともに、上下のブロック間の微小な相対的変位が耐力壁の上下方向に分散して生じる。これにより、地震時等における震動のエネルギーを有効に吸収することが可能となる。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の耐力壁において、 上下に積み上げられて互いに圧接されるブロックの双方に連結され、双方のブロック間の相対的変位によって塑性的に変形するエネルギー吸収部材を有するものとする。
【0017】
この耐力壁では、上下に圧接されるブロック間の相対的な変位によりエネルギー吸収部材が有効に作用して、地震時等の揺れを有効に減衰させることが可能となる。
【0018】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の耐力壁において、 水平方向に隣り合うブロック間に空間が設けられ、該空間の一つ又は複数が通気口、採光口又はケーブルもしくは配管の通過口となっているものとする。
【0019】
この耐力壁では、水平方向に隣り合うブロック間の空間を有効に利用することができ、構造物の設計の自由度が増大する。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6までのいずれかに記載の耐力壁において、 壁状に積み上げられた各層のブロック列の両端にあるブロックは、側端面が同一の鉛直面上となるように配列され、 該側端面には上下に積み上げられたブロックを連結するように鉛直方向連結部材が取り付けられており、 該鉛直方向連結部材の下端は、前記基礎又は前記横架材に固定された部材に連結されているものとする。
【0021】
この耐力壁では、大きな水平力が壁面に沿った方向に作用したときに、耐力壁の引張側の側端面付近に生じる変位が過大になるのを、鉛直方向連結部材によって抑えることができる。
【0022】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の耐力壁において、 前記鉛直方向連結部材の下端は、取り外して交換が可能な接合部材を介して前記基礎又は横架材に固定された部材と連結されており、 該接合部材は引張力の作用によって塑性変形が可能な部材とする。
【0023】
この耐力壁では、大きな水平力が壁面に沿った方向に作用したときに、鉛直方向連結部材に大きな引張力が作用し、下端付近で引張力が最大となる。この引張力で接合部材に塑性変形が生じることにより、耐力壁は水平力に対して有効に抵抗する機能を保持したまま大きな変形を許容する。これにより断面力が構造物の他の部分に分配され、構造物の終局耐力が向上する。また、接合部材の塑性変形によって地震時等の震動エネルギーが吸収される。
一方、水平力が除荷された後に接合部材の塑性変形が残留したときには、接合部材を交換することによって、大きな水平力が作用する前の状態に容易に復元することができる。
【0024】
請求項9に係る発明は、請求項1から請求項8までのいずれかに記載の耐力壁において、 積み上げられたブロック列の最上部には、複数のブロックにわたって連続して載せ架けられた横連結部材を有し、 前記緊張材の上端部が前記横連結部材に定着されているものとする。
【0025】
この耐力壁では、最上層のブロック列の複数のブロックに分布して緊張力が伝達され、これらのブロックが下層のブロック列に押し付けられる。したがって、最上部まで耐力壁として有効に機能するものとなる。
【0026】
請求項10に係る発明は、請求項1から請求項9までのいずれかに記載の耐力壁において、 全てのブロック又は一部のブロックは、火炎に曝されたときに所定の時間内に表面から燃焼が進行する厚さ以上の厚さの燃えしろ層を有し、前記ブロックの本体部の壁面に沿った方向の面に該燃えしろ層が接着されており、 前記ブロックの本体部は、上下方向に木目が通るものであり、前記燃えしろ層は木目が横方向に通るものとする。
【0027】
この耐力壁では、各ブロックの本体部では圧縮応力度が大きく作用する上下方向に木目の方向が合わせられており、木目の方向に大きな圧縮強度を有する木質部材の特性を有効に利用して十分な強度を有する構造とすることができる。そして、燃えしろ層を有することによって、火災時に要求される所定の時間は構造部材として十分な支持力を維持することができる。また、各ブロックに作用する上下方向の圧縮力がブロックの水平断面内で均等でない場合には、木目に沿って割れが生じやすくなるが、燃えしろ層の木目を横方向にして貼り合わせることにより、本体部が木目に沿った方向に割れるのを有効に抑制することができる。
【0028】
請求項11に係る発明は、請求項1から請求項10までのいずれかに記載の耐力壁において、 前記ブロック列は、構造物の多層階に至る高さまで積み上げられており、 前記ブロック列のそれぞれの高さは、多層階の構造物の各階の高さより小さく設定されているものとする。
【0029】
この耐力壁では、多層階の構造物の各階間にブロックの積層面が存在することになる。これによって、大きな水平力が作用したときにブロックの回転変位又はブロックの変形による耐力壁の変位が、すべての階間で生じる。したがって、多層階の構造物の水平力に対する剛性が各階間で大きく異なるのを回避することができ、水平力が作用したときの負荷が特定の階に集中するのを抑えることができる。
【0030】
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の耐力壁において、 多層階の構造物を構成する床が設けられる高さの位置にあるブロック列は、複数のブロックが接合されて一体となったもの、又は単一のブロックで形成されたものとする。
【0031】
この耐力壁では、床が設けられた高さの位置にあるブロック列には床を構成する部材から水平力が作用する。そして、この水平力が当該ブロック列の全体に作用し、下側のブロック列に伝達される。したがって、ブロック列の一部のブロックに力が集中することなく、安定した状態で耐力壁として機能することになる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本発明の耐力壁では、積み上げられた複数のブロックが緊張材に導入された緊張力によって上下方向に圧接され、ブロックの集合体として水平力に抵抗する耐力壁として機能する。そして、この耐力壁の構築時には、それぞれのブロックの重量を小さく抑えることができ、大型の木造構造物の耐力壁を大きなクレーン等を用いることなく容易に立ち上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態である耐力壁を用いた木造建築物の柱及び耐力壁の配置を示す概略平面図である。
図2図1に示す木造建築物の概略構造図である。
図3】本発明の一実施形態であって、図1に示す木造建築物で用いられている耐力壁の概略側面図である。
図4図3に示す耐力壁の図3中に示すC-C線及びD-D線における平断面図である。
図5図3に示す耐力壁のE-E線における平断面図及びF-F線における矢視図である。
図6図3に示す耐力壁の下端部を示す拡大断面図である。
図7図3に示す耐力壁の高さ方向の中間部であって梁が接合される部分の拡大断面図である。
図8図3に示す耐力壁で用いられるエネルギー吸収部材の概略構造図である。
図9図3に示す耐力壁に生じる変形の概念図である。
図10】本発明の他の実施形態である耐力壁を示す概略側面図である。
図11】本発明の他の実施形態である耐力壁を示す概略側面図である。
図12】本発明の他の実施形態である耐力壁を示す概略側面図である。
図13】本発明の他の実施形態である耐力壁を示す概略側面図である。
図14図13(b)に示す耐力壁で用いることができるエネルギー吸収部材を示す概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である耐力壁を用いた木造建築物の柱及び耐力壁の配置を示す概略平面図である。図2は、図1に示す木造建築物の概略構造図であって、図1中のA-A線及びB-B線における矢視図である。
この木造建築物は、事業所として用いられる大型の木造建築物であり、地上三階建となっている。それぞれの階で広い空間を確保するために仕切り壁は少なく、地震時等の水平力には耐力壁で抵抗するものとなっている。耐力壁には、本発明の一実施形態であって、集成材からなる木製のブロックを一方向に間隔を開けて配列し、さらに複数層に積み上げて形成したブロック積の耐力壁1と、扁平な矩形断面の集成材からなる壁柱2a,2bを耐力壁として機能させるものと、が用いられている。これらの耐力壁1及び壁柱2a,2bが軸柱3とともに、図1に示すように配置され、Y方向の水平力に対しては、四隅付近に配置された壁柱2aが抵抗し、X方向の水平力に対しては、四隅付近に配置された壁柱2bと、中央付近に配置されたブロック積の耐力壁1とによって抵抗するものとなっている。
【0035】
ブロック積の耐力壁1は、図3に示すように、耐力壁として必要な強度を有する木質集成材のブロックを主要部材とし、これらを壁状に積み上げて形成されている。そして、下端が基礎4に定着されるとともに上端がブロックを積み上げた頂部に定着される緊張材31によって各ブロックが上下方向に圧接され、壁状体となったものである。
【0036】
この壁状体を形成するブロック群の最下層つまり第1層のブロック列10aは、コンクリートからなる基礎4上にモルタル層5及び鋼板6を介して配列されており、図3及び図4(a)に示すように側面の形状が正方形となった基準ブロック11aを、側面を一方向に向けて直線上に配列したものである。各ブロック間には側面の正方形の一辺より短い間隔Sが開けられている。第1層のブロック列10aの上には、第2層のブロック列10bとして第1層の隣り合う基準ブロック11a,11a間に架け渡すように同じ寸法の基準ブロック11bが積み上げられる。そして、基準ブロック11bが配列された方向の両端部には、図3及び図4(b)に示すように同じ高さで側面の幅が小さい端ブロック12が配置され、第2層のブロック列の側端面Gを第1層のブロック列の側端面Hと同一の立面上に合わせて積み上げられている。さらに、第2層のブロック列10bの上には、図3に示すように第1層のブロック列10aと同様に側面が正方形の基準ブロック11cが第3層のブロック列10cとして積み上げられている。
【0037】
第4層のブロック列10dには、図3及び図5(a)に示すように2階の床を支持するための梁7が接合されており、第3層の基準ブロック11c,11c間に架け渡すように基準ブロック11dが配列される。また、第4層のブロック列の端部には、側端面Jを他の層と同一の位置に合わせるとともに、隣り合う基準ブロック11dに当接して接着された梁連結用の端ブロック13が用いられている。さらに、複数の基準ブロック11d,11dの間には連結用ブロック14が介挿されており、両側の基準ブロック11d,11dと接着されている。したがって、梁7が接合される第4層のブロック列では、複数のブロックが一体に接合されており、梁7から水平力が伝達されたときに耐力壁の全幅に水平力が分配されるものとなっている。
【0038】
第5層より上方のブロック列は、側面の形状が正方形である基準ブロック11のみを配列したブロック列、基準ブロック11と端部ロック12を配列したブロック列が積層される。そして、3階の床を支持するための梁8が接合されるブロック列10eでは、図3に示すように連結ブロック14を用いて、複数の基準ブロック11eが一体に接合されたものとなっている。最上層のブロック列10fも、屋根を支持する梁9が接合されて基準ブロック11f、梁連結用の端ブロック13及び連結ブロック14が一体に接合されており、耐力壁1の横連結部材として機能するものとなっている。
なお、本例の耐力壁1では、各ブロック列の高さは1.2mに設定されており、耐力壁の幅は4.84mとなるように各ブロックが配列されている。
【0039】
上記基準ブロック11、端ブロック12及び梁連結用の端ブロック13は、図4(a)及び図4(b)に示すように構造部材として機能する本体部21と、この本体部21に接着された燃えしろ層22とを有するものである。燃えしろ層22は、基準ブロック11の正方形となった両側面及び端ブロック12の幅が狭くなった両側面に接着されている。また、梁連結用の端ブロック13では、図5(a)に示すように両側面の一部に燃えしろ層22が接着されている。連結用ブロック14には燃えしろ層は形成されておらず、本体部のみとなっている。
上記本体部21は、木目が上下方向へ伸びるように小断面の木部材を貼り合わせた集成材で形成されており、上記燃えしろ層22は、木目が横方向へ伸びるように貼り合わされたものである。
本例において、これらのブロックの厚さすなわち耐力壁1の厚さ方向の寸法は、本体部21が300mmとなっており、両面にそれぞれ45mmの燃えしろ層22が形成されている。燃えしろ層は建築物又は構造物に要求される耐火時間に基づき、この耐火時間に燃焼が進行する厚さ以上に設定される。したがって、建築物又は構造物の用途等により、耐火時間が長く要求されるときには厚く、耐火時間が短く設定されるときには薄いものとなる。
【0040】
第1層のブロック列として配列された基準ブロック11aは、水平断面の中心部分に緊張材31を挿通するための上下方向の貫通孔が形成されている。そして、第2層より上方にあるブロックの直上の位置にも同様に貫通孔が形成され、下端部が基礎4内に定着された緊張材がこの耐力壁1を上下方向に貫通している。この例では緊張材としてPC鋼棒31が用いられており、図3及び図5(b)に示すように、上端が定着プレート33aを介して該耐力壁1の頂部で定着されている。また、このPC鋼棒31の下端は、基礎4の側面から横方向に形成された横穴32内で定着プレート33bを介して定着されている。したがって、PC鋼棒31は上端で緊張力を導入することができるとともに、横穴32内でPC鋼棒31の下端にジャッキ34を装着し、緊張力の導入又は緊張力を導入した後の再緊張が可能となっている。
【0041】
このPC鋼棒31は、ブロックを順次に積み上げていく工程を効率よく行うために、複数に分割されたものを用いることができ、カプラー35で接続して用いることができる。このように複数に分割されたPC鋼棒31を用いると、ブロックを積み上げていく過程において、一部の層のブロックを積み上げた時点で緊張力を導入し、仮定着が可能となる。
【0042】
ブロックを積み上げて形成された壁状体の側端面には、上下方向に連続する鉛直方向連結部材36が取り付けられている。この鉛直方向連結部材36は、溝形断面の鋼部材からなるものであり、複数に分割された鋼部材を接続して壁状体の下端から上端まで連続するものとなっている。そして、図6及び図7に示すようにビス又はラグスクリュー37等を用いて積み上げられたブロックの側端面に固定されている。この鉛直方向連結部材36は、所定の層までブロックを積み上げた後に分割された部材の一つを固定し、さらにブロックを積み上げた後に分割された他の部材を接続して順次に固定することができる。
【0043】
上記鉛直方向連結部材36の下端部には、図6に示すように鋼からなる箱状部材38が溶接で接合され、下端が基礎4のコンクリートに定着されるアンカー鋼棒39が上記箱状部材38に接続されている。したがって、上記鉛直方向連結部材36は、上記箱状部材38及びアンカー鋼棒39を介して基礎4に接続される。アンカー鋼棒39は、下端にねじり合わされたナット40が、基礎4のコンクリートに埋め込まれた定着プレート41に係止されており、定着プレート41より上部はコンクリートに埋め込まれたシース42内に挿通されている。そして、基礎4の上面より突出した部分が上記箱状部材38に連結されている。このアンカー鋼棒39は、定着部材である上記定着プレート41に下端が連結され、本発明の接合部材として機能するものであり、耐力壁1に水平方向の力が作用したときに、鉛直方向連結部材36から引張力が伝達される。これにより、アンカー鋼棒39には伸びが生じ、引張応力度が降伏点を超えると塑性変形を生じるものである。
【0044】
また、定着プレート41の下側はカバー部材43によってアンカー鋼棒39の端部が基礎4のコンクリートと隔離されている。これにより、アンカー鋼棒39は上端部を把持して軸線回りに回転させることによって抜き取ることができる。したがって、アンカー鋼棒39に塑性変形が残留したときには交換して塑性変形が生じる前の状態に復元することが可能となっている。
【0045】
上記鉛直方向連結部材36は、上層階の床を支持するための梁7,8,9が接合される部分では、梁受け金物として機能するものとなっている。鉛直方向連結部材36は断面が溝型となっており、ブロックに当接された取り付け面の両側から側板部36aが張り出している。梁8が接合される部分では、図7に示すように側板部36aの一部を延長して梁受け部36bが形成され、この梁受け部36bに円孔が形成されている。この側板部36a及び梁受け部36bは、梁8に形成された鉛直方向のスリット(図示しない)に挿入される。そして、梁8の側面から水平方向に貫通する孔44にピン又はボルトが挿入され、上記梁受け部36bの円孔に挿通されて鉛直方向連結部材36と梁8とが接合されるものとなっている。
【0046】
積み上げられたブロックのそれぞれは、その上に積み上げられたブロックとの当接面に水平方向の相対的な変位を制限するダボ15が介挿される。このダボ15は、本発明の係止部材として機能するものであり、図6に示すように積み上げられたときの下層のブロック11aの上面と、上層のブロック11bの下面との双方に穴を形成しておき、ダボ15を双方の穴に嵌め入れたものである。ダボ15は、硬質の木材、金属等によって形成されたものを用いることができる。ダボ15を嵌め入れる穴は、ダボの寸法に合わせて形成され、ダボとの間の隙間をできるだけ小さくして嵌め入れることができるものとなっている。
【0047】
また、図6及び図7に示すように積み上げられた下層のブロック11と上層のブロック11と間で形成される隅角部には、ブロック間の相対的な変位によって運動エネルギーを吸収するエネルギー吸収部材51,52を取り付けることができる。つまり、下層のブロックの上面とこの上に載せ掛けられた上層のブロックの側端面とによって形成される隅角部、及び水平方向の間隔を開けて配列された下層のブロックの鉛直方向の側端面と上層のブロックの下面とによって形成される隅角部に、それぞれエネルギー吸収部材51,52を取り付けることができる。
【0048】
上記エネルギー吸収部材51,52は、様々な態様のものを用いることができるが、例えば次のようなものを用いることができる。
図8(a)及び図8(b)に示すエネルギー吸収部材51は、所定幅の板状部材を側面形状がJ字状となるように曲げ加工した変形板53と、側面形状がL字状となった取り付け金物54とを有するものである。上記取り付け金物54は、鋼等の十分な剛性と強度を有する金属で形成されたものである。変形板53は、変形が生じやすく降伏点応力度が小さい材料で形成されたものを用いるのが望ましい。例えば軟鋼、低降伏点鋼、鉛、アルミニウム等によって形成されたものを用いることができる。
【0049】
このエネルギー吸収部材51は、曲折された取り付け金具54の一面を上層のブロック11bの側端面と所定の間隔をおいて対向させ、他面を下層のブロック11aの上面に当接して固定される。そして、J字状となった変形板53の一方の端部が取り付け金物54の上層のブロック11bと対向する面に固定されるとともに、他端は上層のブロック11bの側端面に固定される。これにより、下層のブロック11aと上層のブロック11bとの間に上下方向の相対的な変位が生じたときに、図8(b)に示すように変形板53の湾曲部分が移動し、この変形が塑性領域となることによって運動エネルギーが吸収される。
【0050】
また、図8(c)及び図8(d)に示すエネルギー吸収部材52は、下層のブロック11aと上層のブロック11bとの間に水平方向の相対的変位が生じたときに作用するものであり、取り付け金物54を上層のブロック11bの側端面に固定し、一面を下層のブロック11aの上面に間隔をおいて対向させる。そして変形板53の一端を、取り付け金物54のブロック11aと間隔をおいて対向する面に固定するとともに、他端は下層のブロック11aの上面に固定する。これにより、下層のブロック11aと上層のブロック11bとが水平方向へ相対的に変位することによって運動エネルギーが吸収される。
一方、下層のブロック11bの側端面と上層のブロック11cの下面との隅角部に取り付けるときには、同様のエネルギー吸収部材51,52を上下が逆となるように取り付け、同様の効果を得ることができる。
【0051】
以上に説明した耐力壁1では、複数のブロックを積み上げることによって形成することができるので、大規模建築物に用いて高さ及び幅が大きくなるときにも、大型のクレーン等を用いることなく、効率よく構築することができる。そして、積み上げられた各ブロックは、PC鋼棒31の緊張力によって下層のブロック又は基礎に押圧されており、地震時等に作用する水平力に対して抵抗するものとなる。このとき、積み上げられたブロックは鉛直方向連結部材36又はダボ15の作用によってブロック間の相対的な変位が制限されるとともに、それぞれのブロックの微小な回転変位、ブロック間の微小な水平変位が許容される。
積み上げられたブロックは、水平方向に隣り合うブロックの対向する面が接触しておらず、互いに拘束しないものとなっているので、水平方向の力によって図9に示すように微少な回転変位つまりロッキングが生じる。また、ダボ15によって大きな水平方向の相対変位は拘束されるが、ダボ15とブロックとの間の微小な隙間やダボ15の周辺におけるブロックの変形等によって微小な相対的な変位が許容される。これにより復元が可能な範囲で、耐力壁1の変形を許容するものとなり、靭性の高い構造物とすることができる。そして変形にともなってエネルギーを吸収することが可能となり、良好な減衰性能を有するものとなる。
【0052】
図10から図12までは、本発明の他の実施形態である耐力壁を示す概略側面図である。
図1から図8までに示す実施の形態では、基準ブロックとして側面の形状が正方形のブロックを用いているが、ブロックの形状は適宜に設定することができ、図10(a)に示すように、側面形状が鉛直方向の寸法より水平方向の寸法が大きい長方形のブロックを基準ブロック61として用いることができる。また、図10(b)に示すように、基準ブロック62の側面形状を、鉛直方向の寸法が水平方向の寸法より大きい長方形とすることもできる。
【0053】
また、ブロック列の高さが層によって変化するものであってもよく、例えば図11(a)に示すように、鉛直方向の寸法が大きい長方形の側面を有するブロック63を用いたブロック列と、これより高さの低い正方形の側面を有するブロック64を用いたブロック列とを交互に積み上げて複数の層にしてもよいし、図11(b)に示すように水平方向の寸法が大きい長方形の側面を有するブロック65を用いるブロック列と、これより水平方向の寸法が小さいブロック66を用いるブロック列とを、交互にも積み上げたものであってもよい。
【0054】
さらに、図3に示す耐力壁1では、ブロック列の高さが多層階となった建物の一つの階の高さより小さく設定されているが、各階の高さとほぼ同じ又は各階の高さより大きく設定することもできる。例えば図12(a)に示す耐力壁71のように、鉛直方向の寸法が各階の高さとほぼ同じブロックを積み上げ、下層のブロック72aと上層のブロック72bとの積層面73を階の床面付近に設けることができる。また、図12(b)に示す耐力壁75のように、鉛直方向の寸法が各階の高さより大きいブロックを積み上げ、下層のブロック76aと上層のブロック76bとの積層面77を階の中間位置に設けることもできる。
【0055】
なお、図1から図11までに示す実施の形態では、最上層のブロック列を耐力壁の全幅で接合されたものとし、この最上層が横連結部材として機能するものとしているが、これに代えて、図12及び図13(a)に示す耐力壁71,75,79のように最上層のブロック列の上に耐力壁の全幅に連続する鋼部材74,78,80を載置し、これを横連結部材としてもよい。これらの耐力壁71,75,79では、鉛直方向の緊張材の上端部はこれらの鋼部材74,78,80に定着されるものとなる。
【0056】
一方、図13(b)に示す実施の形態は、地震時における震動の減衰効果が大きく作用するように構成されたものである。この耐力壁81では、同じブロック列で水平方向に配列されたブロック82a,82bの間隔を小さく設定して積み上げたものである。そして、水平方向に隣り合うブロック間にエネルギー吸収部材83が介挿されている。エネルギー吸収部材83は、図14(a)に示すように、隣り合うブロック82a,82bの対向する双方の側端面に固定されたものであり、それぞれのエネルギー吸収部材83は、2つの取り付け板91a,91bと、これら取り付け板の間に保持された変形板92と、を有するものである。取り付け板91a,91bは、鋼からなる平板であり、ブロックの側端面にビス又はラグスクリュー等を用いて固定することができるものである。変形板92はU字状に曲げ加工された金属の板材であり、両端部がそれぞれ対向する取り付け板91a,91bに固定されている。
水平方向に隣り合う2つのブロック82a,82bは、水平力が作用することによってそれぞれに回転変位つまりロッキングが生じ、図14(b)に示すように対向する面には上下方向の相対的な変位が生じる。これにともない、変形板92は湾曲部分が移動するように変形し、変形板92に塑性変形が生じることによって震動のエネルギーが吸収される。これにより、地震時において構造物の震動が有効に減衰されることになる。
【0057】
この他、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜に構成を変更して実施することができるものである。
例えば、図3に示す耐力壁1では、積み上げられたブロックに端面を突き当てるように梁7,8が接合されているが、梁は耐力壁の壁面に沿って側面を対向させるように接合することもできる。そして、耐力壁と梁との間でせん断力や曲げモーメント等の力を伝達する構造も適宜に設計することができる。
また、鉛直方向連結部材の形態、緊張材の配置等についても適宜に設計することができるものである。
【符号の説明】
【0058】
1:耐力壁, 2a,2b:壁柱, 3:軸柱, 4:基礎, 5:モルタル層, 6:鋼板, 7:梁, 8:梁, 9:梁,
10a,10b,10c,10d,10e,10f:ブロック列,
11a,11b,11c,11d,11e,11f:基準ブロック, 12:端ブロック, 13:梁連結用の端ブロック, 14:連結ブロック, 15:ダボ(係止部材),
21:ブロックの本体部, 22:ブロックの燃えしろ層,
31:PC鋼棒(緊張材), 32:横穴, 33a,33b:定着プレート, 34:ジャッキ, 35:カプラー, 36:鉛直方向連結部材, 36a:鉛直方向連結部材の側板部, 36b:梁受け部, 37:ラグスクリュー, 38:箱状部材, 39:アンカー鋼棒, 40:ナット, 41:定着プレート, 42:シース, 43:カバー部材, 44:梁に設けられた孔,
51,52:エネルギー吸収部材, 53:変形板, 54:取り付け金物,
61:水平方向の寸法が大きい基準ブロック, 62:鉛直方向の寸法が大きい基準ブロック, 63:鉛直方向の寸法が大きいブロック, 64:正方形の側面を有するブロック, 65:水平方向の寸法が大きいブロック, 66:水平方向の寸法が小さいブロック,
71:耐力壁, 72a:下層のブロック, 72b:上層のブロック, 73:下層のブロックと上層のブロックとの積層面, 74:横連結部材として機能する鋼部材, 75:耐力壁, 76a:下層のブロック, 76b:上層のブロック, 77:下層のブロックと上層のブロックとの積層面, 78:横連結部材として機能する鋼部材, 79:耐力壁, 80:横連結部材として機能する鋼部材,
81:耐力壁, 82a,82b:水平方向に配列された2つのブロック, 83:エネルギー吸収部材,
91a,91b:取り付け板, 92:変形板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14