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特許7015654検査システムおよび検査システムの起動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】検査システムおよび検査システムの起動方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/28 20060101AFI20220127BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20220127BHJP
   G01N 1/30 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
G01N1/28 U
G01N35/04 E
G01N1/30
G01N1/28 V
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2017156089
(22)【出願日】2017-08-10
(65)【公開番号】P2019035624
(43)【公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】西川 健
(72)【発明者】
【氏名】小田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】巴山 幸賢
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-049201(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0178776(US,A1)
【文献】特開2017-075867(JP,A)
【文献】国際公開第2016/047561(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106777009(CN,A)
【文献】特開2007-178251(JP,A)
【文献】特開2002-267942(JP,A)
【文献】特開2020-094843(JP,A)
【文献】特開2011-158303(JP,A)
【文献】特開2013-205193(JP,A)
【文献】特開2017-041008(JP,A)
【文献】特開2012-159480(JP,A)
【文献】特開2003-254980(JP,A)
【文献】特開2003-215130(JP,A)
【文献】特開2017-015544(JP,A)
【文献】特開2014-070938(JP,A)
【文献】特開2016-067353(JP,A)
【文献】特開平10-062426(JP,A)
【文献】特開平11-142411(JP,A)
【文献】特開平11-223634(JP,A)
【文献】特開平04-313932(JP,A)
【文献】特開平06-222830(JP,A)
【文献】特開平03-279813(JP,A)
【文献】特開平03-251901(JP,A)
【文献】国際公開第2012/070557(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/033598(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/112259(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N1/00-1/44
G01N35/00-35/10
G01N33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体をスライドに塗抹して塗抹標本スライドを作製する塗抹標本作製装置と、
塗抹標本スライドを搬送する標本搬送装置と、
制御部と、
表示部と、を備え、
前記制御部は、複数の装置を一括起動するための第1のボタンと、前記塗抹標本作製装置又は前記標本搬送装置を単独で起動する第2のボタンとを選択可能に表示する選択画面を前記表示部に表示させ、
前記制御部は、前記第1のボタンが選択されたことに応じて前記複数の装置を一括起動し、前記第2のボタンが選択されたことに応じて前記塗抹標本作製装置又は前記標本搬送装置を起動する、検査システム。
【請求項2】
前記塗抹標本作製装置は、検体を塗抹する塗抹部および流体を通す流体回路を含み、
前記塗抹標本作製装置は、起動に関する動作として、前記塗抹部および前記流体回路の少なくとも一方を洗浄する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記塗抹標本作製装置は、起動に関する動作として、駆動機構を初期化する、請求項1または2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記塗抹標本作製装置は、検体が塗抹された塗抹標本スライドを染色する染色部を含み、
前記塗抹標本作製装置は、起動に関する動作として、前記染色部に染色液を導入する、請求項1~3のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項5】
起動スイッチを備え、
前記塗抹標本作製装置および前記標本搬送装置の各々は、主電源スイッチを有し、
前記制御部は、前記塗抹標本作製装置および前記標本搬送装置の前記主電源スイッチの各々がONされている場合に、前記起動スイッチがONされたことに基づいて、前記選択画面を前記表示部に表示させる制御を行う、請求項1~4のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記塗抹標本作製装置の前記主電源スイッチがONされ、前記標本搬送装置の前記主電源スイッチがONされている場合に、前記起動スイッチがONされたことに基づいて、前記選択画面を前記表示部に表示させる制御を行う、請求項5に記載の検査システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記塗抹標本作製装置の前記主電源スイッチがONされ、前記標本搬送装置の前記主電源スイッチがOFFされている場合に、前記起動スイッチがONされたことに基づいて、エラー通知を前記表示部に表示させる制御を行う、請求項6に記載の検査システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記標本搬送装置を選択する選択画面を前記表示部に表示させ、
前記標本搬送装置は、前記選択画面による選択に基づいて起動に関する動作を開始する、請求項1~7のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記塗抹標本作製装置に設けられているとともに、前記塗抹標本作製装置および前記標本搬送装置の動作の制御を行い、前記表示部の前記選択画面による選択に基づいて、前記塗抹標本作製装置および前記標本搬送装置の起動に関する動作を開始するように制御する、請求項1~8のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項10】
塗抹標本スライドを撮像する標本画像撮像装置を備え、
前記標本搬送装置は、撮像前の塗抹標本スライドを前記標本画像撮像装置に受け渡し、撮像後の塗抹標本スライドを前記標本画像撮像装置から受け取るように構成され、
前記制御部は、前記表示部の前記選択画面による選択に基づいて、前記塗抹標本作製装置および前記標本搬送装置の起動に関する動作を開始する制御と、前記標本搬送装置の起動に関する動作を開始する制御とを、選択的に行う、請求項1~9のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項11】
前記標本画像撮像装置は、制御部を含み、
前記制御部および前記標本画像撮像装置の制御部は、通信可能に構成されており、複数の装置を連携して制御する、請求項10に記載の検査システム。
【請求項12】
前記標本搬送装置は、塗抹標本スライドが保持されたスライドマガジンを搬送するマガジン搬送部と、前記マガジン搬送部に前記スライドマガジンがセットされたことを検知するセンサとを含み、
前記標本搬送装置は、前記センサにより前記スライドマガジンを検知したことに基づいて、前記マガジン搬送部により前記スライドマガジンを搬送する、請求項1~11のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項13】
前記制御部は、稼働の終了を選択するための終了選択画面を前記表示部に表示させ、
前記塗抹標本作製装置および前記標本搬送装置は、前記終了選択画面による選択に基づいて、装置の動作終了後に稼働を終了する、請求項1~12のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記塗抹標本作製装置および前記標本搬送装置の稼働を終了する場合に、前記塗抹標本作製装置の動作終了後に、前記塗抹標本作製装置の稼働を終了する制御を行い、その後、前記標本搬送装置の稼働を終了する制御を行う、請求項13に記載の検査システム。
【請求項15】
前記塗抹標本作製装置は、検体が塗抹された塗抹標本スライドを染色する染色部を含み、
前記塗抹標本作製装置は、稼働を終了する場合に、前記染色部から染色液を排出する、請求項13または14に記載の検査システム。
【請求項16】
前記塗抹標本作製装置は、検体を塗抹する塗抹部および流体を通す流体回路を含み、
前記塗抹標本作製装置は、稼働を終了する場合に、前記塗抹部および前記流体回路の少なくとも一方を洗浄する、請求項13~15のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項17】
前記塗抹標本作製装置は、稼働を終了する場合に、駆動機構を初期化する、請求項13~16のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項18】
制御部と、
表示部と、
起動スイッチと、
主電源スイッチを有した複数の装置と、を備え、
前記制御部は、前記複数の装置の前記主電源スイッチの各々がONされている場合に、前記起動スイッチがONされたことに基づいて、複数の装置を一括起動するための第1のボタンと、複数の装置のうち特定の装置を単独で起動するための第2のボタンとを選択可能に表示する選択画面を前記表示部に表示させる制御を行い、
前記複数の装置のうち一部または全部の装置は、前記選択画面において所定時間内に前記第1のボタンおよび前記第2のボタンのいずれかが選択された場合は、選択に基づいて起動に関する動作を開始し、前記所定時間内に前記選択画面において前記第1のボタンおよび前記第2のボタンのいずれも選択されなかった場合は、前記複数の装置の全部が起動に関する動作を開始する、検査システム。
【請求項19】
前記複数の装置は、検体をスライドに塗抹して塗抹標本スライドを作製する塗抹標本作製装置と、塗抹標本スライドを標本画像撮像装置に搬送する標本搬送装置と、を含み、
前記制御部は、検体をスライドに塗抹して塗抹標本スライドを作製する塗抹標本作製装置および塗抹標本スライドを搬送する標本搬送装置の前記主電源スイッチの少なくとも1つがOFFされている場合に、前記起動スイッチがONされた場合、エラー通知を前記表示部に表示させる制御を行う、請求項18に記載の検査システム。
【請求項20】
前記複数の装置は、検体をスライドに塗抹して塗抹標本スライドを作製する塗抹標本作製装置と、塗抹標本スライドを撮像する標本画像撮像装置と、塗抹標本スライドを前記標本画像撮像装置に搬送する標本搬送装置と、を含む、請求項18または19に記載の検査システム。
【請求項21】
複数の装置を一括起動するための第1のボタンと、複数の装置のうち特定の装置を単独で起動するための第2のボタンとを選択可能に表示する選択画面を表示し、
所定時間内に前記第1のボタンが選択されたことに応じて、前記複数の装置に起動に関する動作を開始させ、
前記所定時間内に前記第2のボタンが選択されたことに応じて、前記特定の装置に起動に関する動作を開始させ
前記所定時間内に前記第1のボタンおよび前記第2のボタンのいずれもが選択されなかった場合、前記複数の装置に起動に関する動作を開始させる、検査システムの起動方法。
【請求項22】
前記複数の装置は、検体をスライドに塗抹して塗抹標本スライドを作製する塗抹標本作製装置を含み、
前記塗抹標本作製装置は、起動に関する動作として、検体を塗抹する塗抹部および流体を通す流体回路の少なくとも一方を洗浄する、請求項21に記載の検査システムの起動方法。
【請求項23】
前記複数の装置は、検体をスライドに塗抹して塗抹標本スライドを作製する塗抹標本作製装置を含み、
前記塗抹標本作製装置は、起動に関する動作として、駆動機構を初期化する、請求項21または22に記載の検査システムの起動方法。
【請求項24】
前記複数の装置は、検体をスライドに塗抹して塗抹標本スライドを作製する塗抹標本作製装置を含み、
前記塗抹標本作製装置は、起動に関する動作として、検体が塗抹された塗抹標本スライドを染色する染色部に染色液を導入する、請求項21~23のいずれか1項に記載の検査システムの起動方法。
【請求項25】
検査システムは、起動スイッチを備え、
複数の装置の各々は、主電源スイッチを有し、
複数の装置の前記主電源スイッチの各々がONされている場合に、前記起動スイッチがONされたことに基づいて、前記選択画面を表示する、請求項21~24のいずれか1項に記載の検査システムの起動方法。
【請求項26】
複数の装置の前記主電源スイッチの少なくとも1つがOFFされている場合に、前記起動スイッチがONされた場合、エラー通知を表示する、請求項25に記載の検査システムの起動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査システムおよび検査システムの起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図12に示すように、検体をスライドに塗抹して塗抹標本スライド901を作製する塗抹標本作製装置902と、塗抹標本スライド901を撮像する標本画像撮像装置903と、塗抹標本スライド901を標本画像撮像装置903に搬送する標本搬送装置904と、を備える検査システム900が開示されている。
【0003】
また、従来、複数の装置を備える検査システムでは、それぞれ装置に各々起動ボタンが設けられ、各起動ボタンの操作により各装置が起動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-070938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の検査システムは、各起動ボタンの操作により各装置が起動されるため、装置の起動時の操作が煩雑である。また、塗抹標本作製装置のように、使用前に、染色液を準備したり、塗抹部や流体回路を洗浄したりする必要がある装置の起動操作を忘れた場合、起動操作を行った状態からさらに準備を待つ必要があり、効率よく検査システムを開始することができない。このため、効率よく検査システムを開始するために、検査システムの起動時の操作性を向上させることが可能な検査システムおよび検査システムの起動方法が望まれている。
【0006】
本発明は、検査システムの起動時の操作性を向上させることに向けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による検査システム(100)は、検体をスライドに塗抹して塗抹標本スライド(10)を作製する塗抹標本作製装置(20)と、塗抹標本スライド(10)を搬送する標本搬送装置(30)と、制御部(50)と、表示部(60)と、を備え、制御部(50)は、複数の装置を一括起動するための第1のボタンと、塗抹標本作製装置又は標本搬送装置を単独で起動する第2のボタンとを選択可能に表示する選択画面を表示部(60)に表示させ、制御部は、第1のボタンが選択されたことに応じて複数の装置を一括起動し、第2のボタンが選択されたことに応じて塗抹標本作製装置又は標本搬送装置を起動する。
【0008】
この発明の第1の局面による検査システム(100)では、上記のように、複数の装置または単独の装置を選択する選択画面を表示部(60)に表示させる制御部(50)を設け、塗抹標本作製装置(20)および標本搬送装置(30)を、選択画面による選択に基づいて起動に関する動作を開始するように構成する。これにより、表示部(60)の選択画面に基づいて操作することができるので、起動操作を忘れることを抑制することができる。これにより、塗抹標本作製装置(20)のように、使用前に、染色液を準備したり、塗抹部や流体回路を洗浄したりする必要がある装置の起動操作を忘れることを抑制することができるので、効率よく検査システムを開始することができる。その結果、検査システム(100)の起動時の操作性を向上させることができる。また、複数の装置に起動に関する動作を開始させる(起動する)場合と、単独の装置に起動に関する動作を開始させる(起動する)場合とで、同じ表示部(60)の選択画面に基づいて操作することができるので、これによっても、検査システム(100)の起動時の操作性を向上させることができる。また、塗抹標本作製装置(20)と、標本搬送装置(30)とのうち、複数の装置または単独の装置に起動に関する動作を開始させることができるので、たとえば、塗抹標本作製装置(20)を使用しない場合に、塗抹標本を作製するための染色液などの消耗品を準備する必要がない。このため、消耗品が無駄に消費されるのを抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面による検査システム(100)において、好ましくは、塗抹標本作製装置(20)は、検体を塗抹する塗抹部(230)および流体を通す流体回路(270)を含み、塗抹標本作製装置(20)は、起動に関する動作として、塗抹部(230)および流体回路(270)の少なくとも一方を洗浄する。このように構成すれば、稼働停止中に塗抹部(230)に異物が付着した場合でも、塗抹部(230)が洗浄されるので、塗抹部(230)から異物を除去することができる。これにより、良好な状態の塗抹を行うことができる。また、塗抹標本作製装置(20)を使用しない場合に、流体回路(270)に洗浄剤が導入されることがないので、洗浄剤が無駄に消費されるのを効果的に抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による検査システム(100)において、好ましくは、塗抹標本作製装置(20)は、起動に関する動作として、駆動機構(90)を初期化する。このように構成すれば、塗抹標本作製装置(20)を使用する場合に、駆動機構(90)が初期化されるので、駆動機構(90)を精度よく稼働させることができる。
【0011】
上記第1の局面による検査システム(100)において、好ましくは、塗抹標本作製装置(20)は、検体が塗抹された塗抹標本スライド(10)を染色する染色部(250)を含み、塗抹標本作製装置(20)は、起動に関する動作として、染色部(250)に染色液を導入する。このように構成すれば、塗抹標本作製装置(20)を使用しない場合に、染色部(250)に染色液が導入されることがないので、染色液が無駄に消費されるのを効果的に抑制することができる。
【0012】
上記第1の局面による検査システム(100)において、好ましくは、起動スイッチ(80)を備え、塗抹標本作製装置(20)および標本搬送装置(30)の各々は、主電源スイッチ(22、36)を有し、制御部(50)は、塗抹標本作製装置(20)および標本搬送装置(30)の主電源スイッチ(22、36)の各々がONされている場合に、起動スイッチ(80)がONされたことに基づいて、選択画面を表示部(60)に表示させる制御を行う。このように構成すれば、起動スイッチ(80)を操作することにより、使用する装置を選択することができるので、使用する装置の起動に関する動作を所望のタイミングで開始することができる。
【0013】
上記起動スイッチ(80)を備える構成において、好ましくは、制御部(50)は、塗抹標本作製装置(20)の主電源スイッチ(22)がONされ、標本搬送装置(30)の主電源スイッチ(36)がONされている場合に、起動スイッチ(80)がONされたことに基づいて、選択画面を表示部(60)に表示させる制御を行う。このように構成すれば、塗抹標本作製装置(20)の主電源スイッチ(22)および標本搬送装置(30)の主電源スイッチ(36)の両方がONされている状態で、選択画面を表示部(60)に表示させることができる。
【0014】
上記起動スイッチ(80)を備える構成において、好ましくは、制御部(50)は、塗抹標本作製装置(20)の主電源スイッチ(22)がONされ、標本搬送装置(30)の主電源スイッチ(36)がOFFされている場合に、起動スイッチ(80)がONされたことに基づいて、エラー通知を表示部(60)に表示させる制御を行う。このように構成すれば、主電源スイッチ(22、36)をONし忘れた場合でも、エラー通知が表示されるので、起動操作を忘れることを抑制することができる。
【0015】
上記第1の局面による検査システム(100)において、好ましくは、制御部(50)は、標本搬送装置(30)を選択する選択画面を表示部(60)に表示させ、標本搬送装置(30)は、選択画面による選択に基づいて起動に関する動作を開始する。このように構成すれば、選択画面によるユーザの選択に基づいて、標本搬送装置(30)を容易に起動することができる。
【0016】
上記第1の局面による検査システム(100)において、好ましくは、制御部(50)は、塗抹標本作製装置(20)に設けられているとともに、塗抹標本作製装置(20)および標本搬送装置(30)の動作の制御を行い、表示部(60)の選択画面による選択に基づいて、塗抹標本作製装置(20)および標本搬送装置(30)の起動に関する動作を開始するように制御する。このように構成すれば、標本搬送装置(30)に制御部を設ける必要がないので、その分、装置構成を簡素化することができるとともに、部品点数を減少させることができる。また、塗抹標本作製装置(20)に設けられた制御部(50)により、塗抹標本作製装置(20)および標本搬送装置(30)を容易に起動することができる。
【0017】
上記第1の局面による検査システム(100)において、好ましくは、塗抹標本スライド(10)を撮像する標本画像撮像装置(40)を備え、標本搬送装置(30)は、撮像前の塗抹標本スライド(10)を標本画像撮像装置(40)に受け渡し、撮像後の塗抹標本スライド(10)を標本画像撮像装置(40)から受け取るように構成され、制御部(50)は、表示部(60)の選択画面による選択に基づいて、塗抹標本作製装置(20)および標本搬送装置(30)の起動に関する動作を開始する制御と、標本搬送装置(30)の起動に関する動作を開始する制御とを、選択的に行う。このように構成すれば、塗抹標本スライド(10)の作製を行い搬送する動作と、塗抹標本スライド(10)の搬送を行い撮像を行う動作との両方に対応して、単独の装置または複数の装置に起動に関する動作を行わせることができる。
【0018】
上記第1の局面による検査システム(100)において、好ましくは、標本画像撮像装置(40)は、制御部(42)を含み、制御部(50)および標本画像撮像装置(40)の制御部(42)は、通信可能に構成されており、複数の装置を連携して制御する。このように構成すれば、複数の装置を連携させて塗抹標本スライド(10)に対する処理をスムーズに行うことができる。
【0019】
上記第1の局面による検査システム(100)において、好ましくは、標本搬送装置(30)は、塗抹標本スライド(10)が保持されたスライドマガジン(11)を搬送するマガジン搬送部(32)と、マガジン搬送部(32)にスライドマガジン(11)がセットされたことを検知するセンサ(32d)とを含み、標本搬送装置(30)は、センサ(32d)によりスライドマガジン(11)を検知したことに基づいて、マガジン搬送部(32)によりスライドマガジン(11)を搬送する。このように構成すれば、塗抹標本作製装置(20)を使用しない場合でも、標本搬送装置(30)にスライドマガジン(11)をセットすることにより、塗抹標本スライド(10)を標本画像撮像装置(40)により撮像することができる。
【0020】
上記第1の局面による検査システム(100)において、好ましくは、制御部(50)は、稼働の終了を選択する終了選択画面を表示部(60)に表示させ、塗抹標本作製装置(20)、標本画像撮像装置(40)、および標本搬送装置(30)は、終了選択画面による選択に基づいて、装置の動作終了後に稼働を終了する。このように構成すれば、動作中の装置に対して終了の操作が行われた場合でも、動作終了を待って稼働を終了させることができる。また、複数の装置の稼働の終了を表示部(60)の終了選択画面に基づいて一括して操作することができるので、検査システム(100)の装置の稼働終了時の操作性を向上させることができる。
【0021】
上記制御部(50)が稼働の終了を選択する終了選択画面を表示部(60)に表示させる構成において、好ましくは、制御部(50)は、塗抹標本作製装置(20)および標本搬送装置(30)の稼働を終了する場合に、塗抹標本作製装置(20)の動作終了後に、塗抹標本作製装置(20)の稼働を終了する制御を行い、その後、標本搬送装置(30)の稼働を終了する制御を行う。このように構成すれば、塗抹標本作製装置(20)が動作中に稼働が終了するのを抑制することができる。これにより、塗抹標本スライド(10)を完成させた後、塗抹標本作製装置(20)の稼働を終了させることができる。また、塗抹標本作製装置(20)の稼働中に標本搬送装置(30)の稼働が終了するのを抑制することができるので、完成した塗抹標本スライド(10)を確実に標本搬送装置(30)に受け渡すことができる。
【0022】
上記制御部(50)が稼働の終了を選択する終了選択画面を表示部(60)に表示させる構成において、好ましくは、塗抹標本作製装置(20)は、検体が塗抹された塗抹標本スライド(10)を染色する染色部(250)を含み、塗抹標本作製装置(20)は、稼働を終了する場合に、染色部(250)から染色液を排出する。このように構成すれば、塗抹標本作製装置(20)の稼働を終了する場合に、染色部(250)から染色液を抜くことができるので、染色部(250)に染色液が溜められた状態で、長期間放置されるのを抑制することができる。
【0023】
上記制御部(50)が稼働の終了を選択する終了選択画面を表示部(60)に表示させる構成において、好ましくは、塗抹標本作製装置(20)は、検体を塗抹する塗抹部(230)および流体を通す流体回路(270)を含み、塗抹標本作製装置(20)は、稼働を終了する場合に、塗抹部(230)および流体回路(270)の少なくとも一方を洗浄する。このように構成すれば、塗抹部(230)に異物が付着した場合でも、塗抹部(230)が洗浄されるので、塗抹部(230)から異物を除去することができる。これにより、稼働停止中に塗抹部(230)に異物が固着するのを抑制することができる。また、流体回路(270)に異物が付着した場合でも、流体回路(270)が洗浄されるので、流体回路(270)から異物を除去することができる。これにより、稼働停止中に流体回路(270)に異物が固着するのを抑制することができる。
【0024】
上記制御部(50)が稼働の終了を選択する終了選択画面を表示部(60)に表示させる構成において、好ましくは、塗抹標本作製装置(20)は、稼働を終了する場合に、駆動機構(90)を初期化する。このように構成すれば、塗抹標本作製装置(20)の稼働を終了する場合に、駆動機構(90)が初期化されるので、駆動機構(90)の駆動精度を維持することができる。
【0025】
この発明の第2の局面による検査システム(100)は、制御部(50)と、表示部(60)と、起動スイッチ(80)と、主電源スイッチ(22、36、45)を有した複数の装置(20、30、40)と、を備え、制御部(50)は、複数の装置(20、30、40)の主電源スイッチ(22、36、45)の各々がONされている場合に、起動スイッチ(80)がONされたことに基づいて、複数の装置を一括起動するための第1のボタンと、複数の装置のうち特定の装置を単独で起動するための第2のボタンとを選択可能に表示する選択画面を表示部(60)に表示させる制御を行い、複数の装置のうち一部または全部の装置は、選択画面において所定時間内に第1のボタンおよび第2のボタンのいずれかが選択された場合は、選択に基づいて起動に関する動作を開始し、所定時間内に選択画面において第1のボタンおよび第2のボタンのいずれも選択されなかった場合は、複数の装置の全部が起動に関する動作を開始する。ここで、「起動に関する動作」とは、装置が塗抹標本スライドに対して作業を行うために機構をスタンバイ状態にすることを意味する。
【0026】
この発明の第2の局面による検査システム(100)では、上記のように、複数の装置または単独の装置を選択する選択画面を表示部(60)に表示させる制御部(50)を設け、複数の装置または単独の装置を選択する選択画面による選択に基づいて起動に関する動作を開始するように構成する。これにより、表示部(60)の選択画面に基づいて操作することができるので、起動操作を忘れることを抑制することができる。これにより、塗抹標本作製装置(20)のように、使用前に、染色液を準備したり、塗抹部や流体回路を洗浄したりする必要がある装置の起動操作を忘れることを抑制することができるので、効率よく検査システムを開始することができる。その結果、検査システム(100)の起動時の操作性を向上させることができる。また、複数の装置に起動に関する動作を開始させる(起動する)場合と、単独の装置に起動に関する動作を開始させる(起動する)場合とで、同じ表示部(60)の選択画面に基づいて操作することができるので、これによっても、検査システム(100)の起動時の操作性を向上させることができる。また、複数の装置または単独の装置に起動に関する動作を開始させることができるので、たとえば、塗抹標本作製装置(20)を使用しない場合に、塗抹標本を作製するための染色液などの消耗品を準備する必要がない。このため、消耗品が無駄に消費されるのを抑制することができる。また、主電源スイッチ(22、36)の各々がONされている場合に、起動スイッチ(80)がONされたことに基づいて、選択画面を表示部(60)に表示させる制御を行う。これにより、起動スイッチ(80)を操作することにより、使用する装置を選択することができるので、使用する装置の起動に関する動作を所望のタイミングで開始することができる。
【0027】
上記第2の局面による検査システム(100)において、好ましくは、制御部(50)は、検体をスライドに塗抹して塗抹標本スライド(10)を作製する塗抹標本作製装置(20)および塗抹標本スライド(10)を搬送する標本搬送装置(30)の主電源スイッチ(22、36、45)の少なくとも1つがOFFされている場合に、起動スイッチ(80)がONされた場合、エラー通知を表示部(60)に表示させる制御を行う。このように構成すれば、主電源スイッチ(22、36、45)をONし忘れた場合でも、エラー通知が表示されるので、起動操作を忘れることを抑制することができる。
【0028】
上記第2の局面による検査システム(100)において、好ましくは、複数の装置は、検体をスライドに塗抹して塗抹標本スライド(10)を作製する塗抹標本作製装置(20)と、塗抹標本スライド(10)を撮像する標本画像撮像装置(40)と、塗抹標本スライド(10)を標本画像撮像装置(40)に搬送する標本搬送装置(30)と、を含む。このように構成すれば、塗抹標本作製装置(20)と標本搬送装置(30)と標本画像撮像装置(40)とを含む検査システム(100)の起動時の操作性を向上させることができる。
【0029】
この発明の第3の局面による検査システム(100)の起動方法は、複数の装置を一括起動するための第1のボタンと、複数の装置のうち特定の装置を単独で起動するための第2のボタンとを選択可能に表示する選択画面を表示し、所定時間内に第1のボタンが選択されたことに応じて、複数の装置に起動に関する動作を開始させ、所定時間内に第2のボタンが選択されたことに応じて、特定の装置に起動に関する動作を開始させ、所定時間内に第1のボタンおよび第2のボタンのいずれもが選択されなかった場合、複数の装置に起動に関する動作を開始させる。ここで、「起動に関する動作」とは、装置が塗抹標本スライドに対して作業を行うために機構をスタンバイ状態にすることを意味する。
【0030】
この発明の第3の局面による検査システム(100)の起動方法では、上記のように構成することによって、塗抹標本作製装置(20)のように、使用前に、染色液を準備したり、塗抹部や流体回路を洗浄したりする必要がある装置の起動操作を忘れることを抑制することができるので、効率よく検査システムを開始することができる。その結果、検査システム(100)の起動時の操作性を向上させることができる。また、複数の装置が起動に関する動作を開始する(起動する)場合と、単独の装置が起動に関する動作を開始する(起動する)場合とで、同じ選択画面に基づいて操作することができるので、これによっても、検査システム(100)の起動時の操作性を向上させることができる。また、複数の装置または単独の装置が起動に関する動作を開始することができるので、たとえば、塗抹標本作製装置(20)を使用しない場合に、塗抹標本を作製するための染色液などの消耗品を準備する必要がない。このため、消耗品が無駄に消費されるのを抑制することができる。
【0031】
上記第3の局面による検査システム(100)の起動方法において、好ましくは、複数の装置は、検体をスライドに塗抹して塗抹標本スライドを作製する塗抹標本作製装置を含み、塗抹標本作製装置(20)は、起動に関する動作として、検体を塗抹する塗抹部(230)および流体を通す流体回路(270)の少なくとも一方を洗浄する。このように構成すれば、稼働停止中に塗抹部(230)に異物が付着した場合でも、塗抹部(230)が洗浄されるので、塗抹部(230)から異物を除去することができる。これにより、良好な状態の塗抹を行うことができる。また、塗抹標本作製装置(20)を使用しない場合に、流体回路(270)に洗浄剤が導入されることがないので、洗浄剤が無駄に消費されるのを効果的に抑制することができる。
【0032】
上記第3の局面による検査システム(100)の起動方法において、好ましくは、複数の装置は、検体をスライドに塗抹して塗抹標本スライドを作製する塗抹標本作製装置を含み、塗抹標本作製装置(20)は、起動に関する動作として、駆動機構(90)を初期化する。このように構成すれば、塗抹標本作製装置(20)を使用する場合に、駆動機構(90)が初期化されるので、駆動機構(90)を精度よく稼働させることができる。
【0033】
上記第3の局面による検査システム(100)の起動方法において、好ましくは、複数の装置は、検体をスライドに塗抹して塗抹標本スライドを作製する塗抹標本作製装置を含み、塗抹標本作製装置(20)は、起動に関する動作として、検体が塗抹された塗抹標本スライドを染色する染色部(250)に染色液を導入する。このように構成すれば、塗抹標本作製装置(20)を使用しない場合に、染色部(250)に染色液が導入されることがないので、染色液が無駄に消費されるのを効果的に抑制することができる。
【0034】
上記第3の局面による検査システム(100)の起動方法において、好ましくは、検査システム(100)は、起動スイッチ(80)を備え、複数の装置(20、30)の各々は、主電源スイッチ(22、36)を有し、複数の装置(20、30)の主電源スイッチ(22、36)の各々がONされている場合に、起動スイッチ(80)がONされたことに基づいて、選択画面を表示する。このように構成すれば、各装置の起動時に、主電源スイッチ(22、36)がONされている場合に、起動に関する動作の開始をユーザが選択画面により選択することができるので、使用する装置を容易に起動することができる。また、起動スイッチ(80)を操作することにより、使用する装置を選択することができるので、使用する装置の起動に関する動作を所望のタイミングで開始することができる。
【0035】
上記起動スイッチ(80)を備える構成において、好ましくは、複数の装置(20、30)の主電源スイッチ(22、36)の少なくとも1つがOFFされている場合に、起動スイッチ(80)がONされた場合、エラー通知を表示する。このように構成すれば、主電源スイッチ(22、36)をONし忘れた場合でも、エラー通知が表示されるので、起動操作を忘れることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、検査システムの起動時の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】一実施形態による検査システムの概略を示した模式図である。
図2】検査システムを示した平面図である。
図3】検査システムの概略を示した斜視図である。
図4】検査システムの制御的な構成を示したブロック図である。
図5】表示部の第1表示例を示した図である。
図6】表示部の第2表示例を示した図である。
図7】表示部の第3表示例を示した図である。
図8】表示部の第4表示例を示した図である。
図9】塗抹標本作製装置および標本搬送装置の終了動作例を説明するための表である。
図10】装置の起動処理を説明するためのフローチャートである。
図11】装置の終了処理を説明するためのフローチャートである。
図12】従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
[検査システムの概要]
まず、図1を参照して、一実施形態による検査システム100の概要について説明する。
【0039】
検査システム100は、被検体の検体を検査するシステムである。検査システム100は、塗抹標本スライド10を作製し、搬送し、撮像するシステムである。
【0040】
被検体は、主としてヒトであるが、ヒト以外の他の動物であってもよい。検査システム100は、たとえば患者から採取された検体の臨床検査または医学的研究のための分析を行う。検体は、生体由来の検体である。生体由来の検体は、たとえば、被検体から採取された血液(全血、血清または血漿)、尿、またはその他の体液などの液体、あるいは、採取された体液や血液に所定の前処理を施して得られた液体などである。また、検体は、たとえば、液体以外の、被検体の組織の一部や細胞などであってもよい。検査システム100は、検体をスライドに塗抹して塗抹標本スライド10を作製する。また、検査システム100は、作製した塗抹標本スライド10を搬送して、撮像する。
【0041】
図1に示すように、検査システム100は、複数の装置として、塗抹標本作製装置20と、標本搬送装置30と、標本画像撮像装置40とを備える。また、検査システム100は、制御部50と、表示部60とを備える。
【0042】
塗抹標本作製装置20は、スライドに対して検体を塗抹する塗抹処理を行い、検体が塗抹された塗抹標本スライド10に対して、検体の染色処理を施すための装置である。塗抹標本作製装置20は、検体としての試料を吸引し、スライド上に滴下・塗抹し、染色することにより塗抹標本スライド10を作製する。
【0043】
標本搬送装置30は、塗抹標本作製装置20により作製された塗抹標本スライド10を受け取り、標本画像撮像装置40に搬送する。また、標本搬送装置30は、標本画像撮像装置40により撮像後の塗抹標本スライド10を受け取り、貯留する。
【0044】
標本画像撮像装置40は、標本搬送装置30により搬送された塗抹標本スライド10の画像を撮像する。標本画像撮像装置40は、顕微鏡とカメラとを含む撮像部を含んでいる。撮像部により撮像された画像は、解析部により解析される。解析部は、たとえば、コンピュータを含む。解析部は、撮像部により撮像された画像に対して、画像処理や分類処理などを実行する。
【0045】
制御部50は、たとえば、CPUおよびメモリを含む。また、制御部50は、塗抹標本作製装置20、標本搬送装置30および標本画像撮像装置40と通信可能である。制御部50は、たとえば、塗抹標本作製装置20に設けられている。また、制御部50は、塗抹標本作製装置20の動作を制御する。また、制御部50は、標本搬送装置30の動作を制御する。制御部50は、制御プログラムにより、塗抹標本作製装置20と、標本搬送装置30とのそれぞれ制御する。
【0046】
表示部60は、検査システム100の操作のための表示、検査システム100の状態の表示などを表示する。表示部60は、たとえば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイなどを含む。また、表示部60は、タッチパネルが設けられており、ユーザの操作を受け付けることが可能である。表示部60は、たとえば、塗抹標本作製装置20に設けられている。
【0047】
ここで、制御部50は、起動に関する動作を開始する複数の装置または単独の装置を選択する選択画面を表示部60に表示させる。そして、塗抹標本作製装置20、標本画像撮像装置40、および標本搬送装置30は、選択画面による選択に基づいて起動に関する動作を開始する。制御部50は、選択に基づいて、複数の装置または単独の装置の起動に関する動作を開始する制御を行う。これにより、複数の装置を準備する(起動する)場合と、単独の装置を準備する(起動する)場合とで、同じ表示部60の選択画面に基づいて操作することができるので、検査システム100の起動時の操作性を向上させることができる。
【0048】
たとえば、図1に示す例のように、制御部50は、表示部60に、塗抹標本作製装置20、標本搬送装置30および標本画像撮像装置40の起動に関する動作を開始する選択肢と、塗抹標本作製装置20のみの起動に関する動作を開始する選択肢と、標本搬送装置30および標本画像撮像装置40の起動に関する動作を開始する選択肢と、標本画像撮像装置40のみの起動に関する動作を開始する選択肢と、を表示させる。そして、制御部50は、表示部60の選択画面からユーザにより選択された選択肢に基づいて、選択された装置の起動に関する動作を開始する。なお、複数の装置のうち、一部の装置は、他の装置の稼働に関わらず起動された状態とされていてもよい。たとえば、標本画像撮像装置40は、起動された状態としていてもよい。この場合、標本画像撮像装置40は、稼働可能な状態であるため、表示部60に表示される選択画面には、選択肢として表示しなくてもよい。
【0049】
なお、検査システム100は、他の装置を含んでいてもよい。たとえば、検査システム100は、検体の分析を行う分析装置や、検体が収容された容器を搬送する搬送装置を含んでいてもよい。
【0050】
(検査システムの構成の説明)
図2図11を参照して、検査システム100の具体的な構成例について説明する。
【0051】
検査システム100は、図2に示すように、塗抹標本作製装置20と、標本搬送装置30と、標本画像撮像装置40とを備えている。塗抹標本作製装置20は、スライド供給部210と、印刷部220と、塗抹部230と、乾燥部240と、染色部250と、マガジン搬送部260と、流体回路270と、通信部21(図4参照)と、主電源スイッチ22(図3図4参照)と、起動スイッチ80(図3図4参照)とを含む。標本搬送装置30は、搬送機構31と、マガジン搬送部32と、マガジン搬送部33と、カメラ34(図4参照)と、通信部35aおよび35b(図4参照)と、主電源スイッチ36(図3図4参照)と、I/O基板37(図4参照)とを含む。標本画像撮像装置40は、撮像部41と、制御部42(図4参照)と、通信部43(図4参照)と、主電源スイッチ44(図3図4参照)と、起動スイッチ45(図3図4参照)と、I/O基板46(図4参照)と、表示部47(図4参照)とを含む。検査システム100は、たとえば、臨床検査に用いられる。検査システム100は、病院や検査機関に設けられている。
【0052】
検査システム100では、塗抹標本スライド10が塗抹標本作製装置20により作製される。塗抹標本スライド10は、標本搬送装置30により標本画像撮像装置40に供給される。そして、塗抹標本スライド10は、標本画像撮像装置40により撮像されて、分析が行われる。撮像後の塗抹標本スライド10は、標本搬送装置30に戻されて、貯留される。検査システム100では、塗抹標本作製装置20、標本搬送装置30および標本画像撮像装置40により、血液等の検体が塗抹された塗抹標本スライド10の作製から検体の撮像までの一連の動作を自動的に行うことができる。なお、検査システム100は、塗抹標本作製装置20、標本搬送装置30および標本画像撮像装置40が、それぞれ別個の装置により構成されている例を示すが、塗抹標本作製装置20、標本搬送装置30および標本画像撮像装置40のうち一部または全部の装置を一体化した装置として構成してもよい。たとえば、共通のケーシング内に各装置の構成を収納してもよい。
【0053】
塗抹標本作製装置20は、被験者の検体である血液をスライドガラス上に塗抹し、乾燥および染色などの処理を施すことにより塗抹標本スライド10を作製する装置である。塗抹標本スライド10は、長方形状のガラス製の板材からなり、その中央部に検体が塗抹される。塗抹標本スライド10の長手方向の一端部である上部には、識別情報の印刷領域であるフロスト部が設けられている。
【0054】
塗抹標本作製装置20のスライド供給部210は、検体の塗抹前の未使用状態のスライドを多数収納している。具体的には、スライド供給部210は、処理前のスライドを複数積層した状態で保持している。つまり、スライド供給部210は、複数のスライドを上下に積み重ねて保持することができる。スライド供給部210は、塗抹前のスライドを1枚ずつ供給できる。
【0055】
印刷部220は、スライドの印刷領域に、検体情報などの各種情報を印刷する。印刷部220は、たとえば、検体情報として、検体番号、日付、受付番号、被験者の氏名等の検体を識別するための情報を印刷領域に印刷する。また、印刷部220は、情報として、バーコード、文字、記号等の形態でスライドの印刷領域に印刷する。また、印刷部220は、スライドの印刷領域に作製された塗抹標本スライド10を標本画像撮像装置40により撮像するか否かを示す識別子を印刷する。識別子は、標本画像撮像装置40の撮像対象となる検体であるか否かを識別するための情報である。標本画像撮像装置40の撮像対象となる検体であるか、または、顕微鏡による目視の検査対象となる検体であるかは、検査を受け付けるときに予めホストコンピュータに入力することができる。識別子は、バーコード、文字、記号等の形態でスライドの印刷領域に印刷する。
【0056】
塗抹部230は、スライドに検体を塗抹できる。具体的には、塗抹部230は、スライドの表面の塗抹領域に、検体を塗りつける。塗抹部230による塗抹処理は、引きガラスなどの塗抹部材を用いた塗抹方法(いわゆるウェッジ法)や、その他の塗抹方法が採用できる。塗抹部230は、採用される塗抹方法に応じた塗抹機構により、塗抹処理を行う。また、塗抹部230は、検体吸引機構により検体を吸引して、スライドの塗抹領域に検体を滴下して検体を塗抹する。
【0057】
乾燥部240は、検体が塗抹された塗抹標本スライド10の塗抹領域に送風する機能を有する。乾燥部240は、ファンを含む。乾燥部240は、ファンによる送風により、塗抹標本スライド10に塗抹された検体を乾燥させることができる。
【0058】
染色部250は、塗抹部230により塗抹された塗抹標本スライド10を異なる染色液により順次染色する。また、染色部250は、塗抹標本スライド10を異なる染色液により順次染色する間に洗浄する。染色部250は、染色槽251と、洗浄槽252と、乾燥槽253とを含む。染色槽251は、染色槽251a、251b、251c、251dおよび251eを有する。洗浄槽252は、洗浄槽252aおよび252bを含む。
【0059】
染色槽251および洗浄槽252は、それぞれ、複数の塗抹標本スライド10を保持することができる。また、染色槽251および洗浄槽252は、各槽間において、塗抹標本スライド10を1枚ずつ移送することができる。これにより、複数の塗抹標本スライド10を並行して染色することができるので、複数の標本を効率よく作製することができる。
【0060】
染色槽251aは、メタノールを貯留することができる。染色槽251aでは、塗抹処理済みの塗抹標本スライド10の検体が固定される。具体的には、染色槽251aでは、検体中の水分とメタノールとが置換される。
【0061】
染色槽251bは、高濃度の染色液を貯留することができる。染色槽251bでは、高濃度の染色液により、対象の標本が固定される。たとえば、メイ・ギムザ染色を行う場合は、染色槽251bでは、高濃度のメイグリュンワルド液が用いられる。ライト・ギムザ染色を行う場合は、染色槽251bでは、高濃度のライト液が用いられる。ライト単染色を行う場合は、染色槽251bでは、高濃度のライト液が用いられる。
【0062】
染色槽251cは、希釈染色液を貯留することができる。染色槽251cでは、細胞質の染色が行われる。たとえば、メイ・ギムザ染色を行う場合は、染色槽251cでは、リン酸緩衝液により希釈されたメイグリュンワルド液が用いられる。ライト・ギムザ染色を行う場合は、染色槽251cでは、リン酸緩衝液により希釈されたライト液が用いられる。ライト単染色を行う場合は、染色槽251cでは、リン酸緩衝液により希釈されたライト液が用いられる。
【0063】
洗浄槽252aは、希釈緩衝液を貯留することができる。洗浄槽252aでは、染色された塗抹標本スライド10が希釈緩衝液により洗浄される。希釈緩衝液は、たとえば、希釈リン酸緩衝液が用いられる。
【0064】
染色槽251dおよび251eは、希釈染色液を貯留することができる。また、染色槽251dおよび251eでは、核の染色が行われる。たとえば、メイ・ギムザ染色を行う場合は、染色槽251dおよび251eでは、リン酸緩衝液により希釈されたギムザ液が用いられる。ライト・ギムザ染色を行う場合は、染色槽251dおよび251eでは、リン酸緩衝液により希釈されたギムザ液が用いられる。
【0065】
洗浄槽252bは、水を貯留することができる。洗浄槽252bでは、染色された塗抹標本スライド10が洗浄される。
【0066】
乾燥槽253は、染色槽251により染色され、洗浄槽252により洗浄された塗抹標本スライド10を乾燥させる。乾燥槽253は、複数の塗抹標本スライド10を保持することができる。乾燥槽253には、送風により空気が送られて、塗抹標本スライド10を乾燥させる。
【0067】
マガジン搬送部260は、複数の塗抹標本スライド10を収容可能なスライドマガジン11を搬送する。マガジン搬送部260は、マガジン搬入路261と、マガジン搬出路262とを含む。マガジン搬入路261は、空の状態の複数のスライドマガジン11を貯留することができる。マガジン搬出路262は、塗抹標本スライド10が収納されたスライドマガジン11を貯留することができる。マガジン搬送部260では、ユーザが空のスライドマガジン11をマガジン搬入路261の投入部にセットすると、スライドマガジン11が標本収納位置の方向へ自動的に搬送される。また、マガジン搬送部260では、染色部250の乾燥槽253から塗抹標本スライド10が、標本収納位置のスライドマガジン11に収容される。また、マガジン搬送部260では、所定の枚数の塗抹標本スライド10が収容されたスライドマガジン11が、マガジン搬出路262により、搬出位置に搬送される。
【0068】
流体回路270は、染色槽251および洗浄槽252に対してそれぞれ染色液および洗浄液を供給および排出するために設けられている。また、流体回路270は、検体をスライド上に供給するために設けられている。
【0069】
標本搬送装置30は、塗抹標本スライド10を搬送する。具体的には、標本搬送装置30は、標本画像撮像装置40により撮像する塗抹標本スライド10を標本画像撮像装置40に供給する。なお、標本画像撮像装置40により撮像する塗抹標本スライド10は、塗抹標本作製装置20から標本搬送装置30に供給することができるとともに、ユーザにより標本搬送装置30に供給することができる。標本搬送装置30は、スライドマガジン11に収納された状態で塗抹標本スライド10が供給される。また、標本搬送装置30は、撮像対象の塗抹標本スライド10を、1枚ずつスライドマガジン11から取り出して、標本画像撮像装置40に供給する。また、標本搬送装置30は、標本画像撮像装置40により撮像後の塗抹標本スライド10を1枚ずつ受け取り、スライドマガジン11に収容する。
【0070】
搬送機構31は、搬送部31aと、搬送シャトル31bとを含む。搬送部31aは、スライドマガジン11から撮像前の塗抹標本スライド10を1枚ずつ取出し、搬送シャトル31bに受け渡す。また、搬送部31aは、搬送シャトル31bから撮像後の塗抹標本スライド10を受け取り、スライドマガジン11に収納する。具体的には、搬送部31aは、マガジン搬送部32により搬送されるスライドマガジン11から塗抹標本スライド10を取出す。そして、搬送部31aは、塗抹標本スライド10をカメラ34(図4参照)により撮像可能な位置に搬送する。カメラ34は、塗抹標本スライド10の印刷領域が撮像される。具体的には、カメラ34は、撮像の有無を示す識別子が撮像される。搬送部31aは、標本画像撮像装置40による撮像対象の塗抹標本スライド10を、搬送シャトル31bまで搬送する。また、搬送部31aは、標本画像撮像装置40による撮像対象ではない塗抹標本スライド10を、マガジン搬送部32のスライドマガジン11に戻す。
【0071】
また、搬送部31aは、標本画像撮像装置40による撮像後の塗抹標本スライド10を搬送シャトル31bから受け取り、マガジン搬送部33のスライドマガジン11に収納する。つまり、標本画像撮像装置40により撮像された塗抹標本スライド10は、標本画像撮像装置40により撮像前の塗抹標本スライド10または撮像対象ではない塗抹標本スライド10とは異なるスライドマガジン11に収容される。ここで、マガジン搬送部32に供給されるスライドマガジン11と、マガジン搬送部33に供給されるスライドマガジン11とは、識別可能に構成されていてもよい。たとえば、マガジン搬送部32に供給されるスライドマガジン11と、マガジン搬送部33に供給されるスライドマガジン11とは、異なる色を有していてもよいし、異なる識別子が付されていてもよい。また、異なる形状を有していてもよい。これにより、標本画像撮像装置40によりオイルを用いて撮像され、オイルが付着した塗抹標本スライド10と、オイルが付着していない塗抹標本スライド10とを分けることができる。
【0072】
搬送部31aは、スライドマガジン11の上方から近づいて、塗抹標本スライド10を上方に引き抜き、搬送することができる。また、搬送部31aは、スライドマガジン11の上方から近づいて、塗抹標本スライド10を上方から挿入して、スライドマガジン11に収容することができる。
【0073】
搬送シャトル31bは、搬送部31aから撮像前の塗抹標本スライド10を受け取り、標本画像撮像装置40に受け渡す。また、搬送シャトル31bは、標本画像撮像装置40から撮像後の塗抹標本スライド10を受け取り、搬送部31aに受け渡す。搬送シャトル31bは、撮像前の塗抹標本スライド10を保持する部分と、撮像後の塗抹標本スライド10を部分とが、別個に設けられている。これにより、標本画像撮像装置40によりオイルを用いて撮像され、オイルが付着した塗抹標本スライド10と、オイルが付着していない塗抹標本スライド10とを別個の部分で搬送することができる。
【0074】
マガジン搬送部32は、マガジン搬入部32aと、スライド受渡部32bと、マガジン搬出部32cとを有する。また、マガジン搬送部32には、センサ32dが設けられている。マガジン搬送部32は、マガジン搬入部32aにより、塗抹標本スライド10が収納されたスライドマガジン11を受け取る。マガジン搬入部32aには、塗抹標本作製装置20により作製した塗抹標本スライド10を収容したスライドマガジン11が搬入される。また、マガジン搬入部32aには、撮像対象の塗抹標本スライド10を収容したスライドマガジン11をユーザがセットすることができる。ユーザによりスライドマガジン11がセットされると、センサ32dにより検知される。センサ32dによりスライドマガジン11が検知されると、マガジン搬送部32によりスライドマガジン11が搬送される。センサ32dは、たとえば、発光部と受光部とを有する光センサにより構成されている。光センサは、透過型のセンサであってよいし、反射型のセンサであってもよい。光は、可視光であってもよいし、赤外線などの非可視光であってもよい。また、センサ32dは、光センサ以外のセンサであってもよい。たとえば、センサ32dは、機械式のセンサであってもよい。また、マガジン搬送部32は、マガジン搬入部32aからスライド受渡部32bにスライドマガジン11を搬送する。また、マガジン搬送部32は、スライド受渡部32bからマガジン搬出部32cにスライドマガジン11を搬送する。マガジン搬送部32は、スライド受渡部32bに配置されたスライドマガジン11から、標本画像撮像装置40による撮像対象の塗抹標本スライド10が全て取り出された場合に、スライドマガジン11をマガジン搬出部32cに搬送する。マガジン搬出部32cは、塗抹標本スライド10が収容された複数のスライドマガジン11を貯留することができる。
【0075】
マガジン搬送部33は、マガジン搬入部33aと、スライド受渡部33bと、マガジン搬出部33cとを有する。マガジン搬送部33は、マガジン搬入部33aにより、空のスライドマガジン11を受け取る。つまり、ユーザによりマガジン搬入部33aに空のスライドマガジン11がセットされる。また、マガジン搬送部33は、マガジン搬入部33aからスライド受渡部33bにスライドマガジン11を搬送する。また、マガジン搬送部33は、スライド受渡部33bからマガジン搬出部33cにスライドマガジン11を搬送する。マガジン搬送部33は、スライド受渡部33bに配置されたスライドマガジン11に、標本画像撮像装置40による撮像後の塗抹標本スライド10が所定の枚数収納された場合に、スライドマガジン11をマガジン搬出部33cに搬送する。マガジン搬出部33cは、塗抹標本スライド10が収容された複数のスライドマガジン11を貯留することができる。
【0076】
マガジン搬送部32のマガジン搬出部32cには、標本画像撮像装置40による撮像を行わない塗抹標本スライド10が収容されたスライドマガジン11が搬出される。マガジン搬送部33のマガジン搬出部33cには、標本画像撮像装置40による撮像後の塗抹標本スライド10が収容されたスライドマガジン11が搬出される。
【0077】
標本画像撮像装置40は、塗抹標本スライド10を撮像部41により撮像する。具体的には、標本画像撮像装置40は、標本搬送装置30から搬送された塗抹標本スライド10について血球画像を撮像する。標本画像撮像装置40では、開口数を高めて鮮明な画像を得るためにイマージョンオイルを用いて塗抹標本スライド10が撮像される。具体的には、塗抹標本スライド10の撮像領域にイマージョンオイルが滴下されて、撮像部41により撮像領域が撮像される。
【0078】
図4を参照して、検査システム100の制御的な構成例について説明する。
【0079】
塗抹標本作製装置20には、制御部50と、I/O基板51と、表示部60とが設けられている。また、塗抹標本作製装置20には、起動スイッチ80が設けられている。また、塗抹標本作製装置20は、駆動機構90を備えている。また、塗抹標本作製装置20は、通信部21を備える。また、塗抹標本作製装置20は、主電源スイッチ22と、スイッチング電源22aとを備える。標本搬送装置30は、搬送機構31と、カメラ34と、通信部35aおよび35bとを備える。また、標本搬送装置30は、主電源スイッチ36と、スイッチング電源36aとを備える。また、標本搬送装置30は、I/O基板37を備える。標本画像撮像装置40は、撮像部41と、制御部42と、通信部43とを備える。また、標本画像撮像装置40は、主電源スイッチ44と、スイッチング電源44aと、起動スイッチ45とを備える。また、標本画像撮像装置40は、I/O基板46と、表示部47とを備える。また、標本画像撮像装置40には、解析部70が接続されている。
【0080】
塗抹標本作製装置20の制御部50および通信部21は、たとえば、CPUボードおよびI/Oボードに搭載されている。
【0081】
塗抹標本作製装置20には、モータ、センサ、バルブなどを含む駆動機構90がI/Oボードに接続されている。標本搬送装置30には、モータ、センサなどを含む駆動機構90がI/Oボードに接続される。
【0082】
制御部50は、標本搬送装置30の起動に関する動作を制御することができる。具体的には、塗抹標本作製装置20の通信部21と、標本搬送装置30の通信部35aおよび35bとが通信可能に接続されている。通信部21と、通信部35aおよび35bとは、有線により接続されている。通信部21と、通信部35aおよび35bとは、たとえば、USB規格により接続されている。なお、通信部21と、通信部35aおよび35bとは、無線により通信可能に接続されていてもよい。また、塗抹標本作製装置20の制御部50は、標本画像撮像装置40の制御部42と通信することができる。具体的には、塗抹標本作製装置20の通信部21と、標本画像撮像装置40の通信部43とが通信可能に接続されている。通信部21と、通信部43とは、有線により接続されている。通信部21と、通信部43とは、たとえば、LANにより接続されている。なお、通信部21と、通信部43とは、無線により通信可能に接続されていてもよい。
【0083】
また、塗抹標本作製装置20の制御部50は、標本搬送装置30に設けられた搬送制御部と通信することができる。具体的には、塗抹標本作製装置20の通信部21と、標本搬送装置30の通信部35bとが通信可能に接続されている。
【0084】
主電源スイッチ22は、塗抹標本作製装置20に対する通電をONにするためのスイッチである。主電源スイッチ22は、たとえば、ユーザが操作することが可能な物理的なスイッチである。主電源スイッチ22は、たとえば、押しボタン式スイッチ、トグルスイッチ、ロッカースイッチなどである。
【0085】
主電源スイッチ22がONされると、汎用電源から電力がI/O基板51に供給される。この場合、I/O基板51には、最大電力の一部の電力が供給される。スイッチング電源22aは、汎用電源から供給される交流電力を直流電力に変換して、I/O基板51に電力を供給する。具体的には、スイッチング電源22aは、主電源スイッチ22がONされると、起動する。また、スイッチング電源22aは。起動した後に、汎用電源から供給される交流電力を直流電力に変換してI/O基板51に供給する。主電源スイッチ22がOFFにされると、I/O基板51への電力の供給がOFFにされる。
【0086】
I/O基板51は、制御部50、表示部60、駆動機構90、通信部21と、接続されている。I/O基板51は、制御部50、駆動機構90、通信部21に電力を供給可能である。また、I/O基板51は、制御部50、表示部60、駆動機構90、通信部21と、信号を通信可能である。
【0087】
起動スイッチ80は、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30の起動に関する動作を開始させる場合に操作される。起動スイッチ80は、たとえば、ユーザが操作することが可能な物理的なスイッチである。起動スイッチ80は、たとえば、押しボタン式スイッチ、トグルスイッチ、ロッカースイッチなどである。
【0088】
主電源スイッチ22がON状態において、起動スイッチ80がONされると、制御部50を介してI/O基板51に起動信号が送信される。また、制御部50が起動される。制御部50は、通信部21および35bを介して、標本搬送装置30の主電源スイッチ36がONされているか否かを判断する。制御部50は、主電源スイッチ36がONであれば、表示部60に選択画面(図5および図6参照)を表示させる。また、制御部50は、主電源スイッチ36がOFFであれば、表示部60にエラー通知(図7参照)を表示させる。
【0089】
標本搬送装置30の通信部35aおよび35bは、たとえば、I/Oボードに搭載されている。
【0090】
標本搬送装置30のカメラ34は、通信部35aおよび21を介して塗抹標本作製装置20の制御部50に接続されている。カメラ34は、制御部50により制御されて、撮像動作を行う。また、撮像した画像は、制御部50に送信されて、制御部50により処理が行われる。
【0091】
主電源スイッチ36は、標本搬送装置30に対する通電をONにするためのスイッチである。主電源スイッチ36は、たとえば、ユーザが操作することが可能な物理的なスイッチである。主電源スイッチ36は、たとえば、押しボタン式スイッチ、トグルスイッチ、ロッカースイッチなどである。
【0092】
主電源スイッチ36がONされると、汎用電源から電力がI/O基板37に供給される。この場合、I/O基板37には、最大電力の一部の電力が供給される。スイッチング電源36aは、汎用電源から供給される交流電力を直流電力に変換して、I/O基板37に電力を供給する。具体的には、スイッチング電源36aは、主電源スイッチ36がONされると、起動する。また、スイッチング電源36aは。起動した後に、汎用電源から供給される交流電力を直流電力に変換してI/O基板37に供給する。主電源スイッチ36がOFFにされると、I/O基板37への電力の供給がOFFにされる。
【0093】
I/O基板37は、搬送機構31、通信部35bと、接続されている。I/O基板37は、搬送機構31、通信部35bに電力を供給可能である。また、I/O基板37は、搬送機構31、通信部35bと、信号を通信可能である。また、I/O基板37は、通信部35bおよび21を介して塗抹標本作製装置20の制御部50に接続されている。制御部50は、I/O基板37を介して、搬送機構31の動作を制御する。
【0094】
標本画像撮像装置40の制御部42は、たとえば、CPUおよびメモリを含む。また、通信部43は、たとえば、I/Oボードに設けられている。撮像部41は、顕微鏡とカメラとを含む。また、解析部70は、撮像部41で撮像された画像に対して画像処理や分類処理などを実行する。解析部70は、標本画像撮像装置40の撮像と並行して画像の解析を行う。解析部70により、所定のデータを得られると、標本画像撮像装置40による撮像が終了される。
【0095】
主電源スイッチ44は、標本画像撮像装置40に対する通電をONにするためのスイッチである。主電源スイッチ44は、たとえば、ユーザが操作することが可能な物理的なスイッチである。主電源スイッチ44は、たとえば、押しボタン式スイッチ、トグルスイッチ、ロッカースイッチなどである。
【0096】
主電源スイッチ44がONされると、汎用電源から電力がI/O基板46に供給される。この場合、I/O基板46には、最大電力の一部の電力が供給される。スイッチング電源44aは、汎用電源から供給される交流電力を直流電力に変換して、I/O基板46に電力を供給する。具体的には、スイッチング電源44aは、主電源スイッチ44がONされると、起動する。また、スイッチング電源44aは。起動した後に、汎用電源から供給される交流電力を直流電力に変換してI/O基板46に供給する。主電源スイッチ44がOFFにされると、I/O基板46への電力の供給がOFFにされる。
【0097】
起動スイッチ45は、標本画像撮像装置40の起動に関する動作を開始させる場合に操作される。起動スイッチ45は、たとえば、ユーザが操作することが可能な物理的なスイッチである。起動スイッチ45は、たとえば、押しボタン式スイッチ、トグルスイッチ、ロッカースイッチなどである。
【0098】
主電源スイッチ44がON状態において、起動スイッチ45がONされると、制御部42が起動される。そして、制御部42は、標本画像撮像装置40のスタートアップ動作を制御する。
【0099】
I/O基板46は、撮像部41、制御部42、通信部43と、接続されている。I/O基板46は、撮像部41、制御部42、通信部43に電力を供給可能である。また、I/O基板46は、撮像部41、制御部42、通信部43と、信号を通信可能である。
【0100】
表示部47は、標本画像撮像装置40の操作のための表示、標本画像撮像装置40の状態を示す表示などを表示する。表示部47は、たとえば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイなどを含む。また、表示部47は、タッチパネルが設けられており、ユーザの操作を受け付けることが可能である。
【0101】
制御部50は、塗抹標本作製装置20と、標本画像撮像装置40と、標本搬送装置30とのうち複数の装置の動作の制御を行う。図4に示す構成例では、制御部50は、塗抹標本作製装置20と、標本画像撮像装置40と動作の制御を行う。なお、塗抹標本作製装置20に、共通の制御部50を設けて、標本搬送装置30には、搬送制御部を設けなくてもよい。これにより、制御部50が、複数の装置の動作を制御することができるので、装置毎に制御部を設ける必要がない。これにより、装置構成を簡素化することができるとともに、部品点数を減少させることができる。
【0102】
また、制御部50は、表示部60の選択画面(図5および図6参照)による選択に基づいて、塗抹標本作製装置20と、標本画像撮像装置40と、標本搬送装置30とのうち、複数の装置または単独の装置の起動に関する動作を開始する制御を行う。これにより、塗抹標本作製装置20と、標本画像撮像装置40と、標本搬送装置30とのうち、複数の装置または単独の装置の起動に関する動作を開始することができるので、たとえば、塗抹標本作製装置20を使用しない場合に、塗抹標本を作製するための染色液などの消耗品を準備する必要がない。これにより、消耗品が無駄に消費されるのを抑制することができる。
【0103】
つまり、制御部50は、塗抹標本作製装置20に設けられているとともに、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30の動作の制御を行い、表示部60の選択画面(図5参照)による選択に基づいて、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30をスタートアップする制御を行う。これにより、標本搬送装置30に制御部を設ける必要がないので、その分、装置構成を簡素化することができるとともに、部品点数を減少させることができる。また、塗抹標本作製装置20に設けられた制御部50により、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30の起動に関する動作を開始することができる。
【0104】
また、制御部50は、表示部60の選択画面(図6参照)による選択に基づいて、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30の起動に関する動作を開始する制御と、標本搬送装置30の起動に関する動作を開始する制御とを、選択的に行う。これにより、塗抹標本スライド10の作製を行い搬送する動作と、塗抹標本スライド10の搬送を行い撮像を行う動作との両方に対応して、単独の装置または複数の装置の起動に関する動作を開始することができる。
【0105】
また、制御部50は、表示部60の選択画面において塗抹標本作製装置20が選択されて塗抹標本作製装置20の起動に関する動作をする場合に、染色部250に染色液を導入する制御を行う。これにより、塗抹標本作製装置20を使用しない場合に、染色部250に染色液が導入されることがないので、染色液が無駄に消費されるのを効果的に抑制することができる。
【0106】
また、制御部50は、表示部60の選択画面において塗抹標本作製装置20が選択されて塗抹標本作製装置20の起動に関する動作をする場合に、塗抹部230を洗浄する制御を行う。これにより、稼働停止中に塗抹部230に異物が付着した場合でも、塗抹部230が洗浄されるので、塗抹部230から異物を除去することができる。これにより、良好な状態の塗抹を行うことができる。
【0107】
また、制御部50は、表示部60の選択画面において塗抹標本作製装置20が選択されて塗抹標本作製装置20の起動に関する動作をする場合に、流体回路270を洗浄する制御を行う。具体的には、塗抹標本作製装置20の起動に関する動作をする場合に、検体を吸引してスライド上に供給する流体回路が、洗浄剤により洗浄される。洗浄剤は、たとえば、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が用いられる。これにより、塗抹標本作製装置20を使用しない場合に、流体回路270に洗浄剤が導入されることがないので、洗浄剤が無駄に消費されるのを効果的に抑制することができる。なお、塗抹標本作製装置20は、起動に関する動作として、塗抹部230および流体回路270の少なくとも一方を洗浄してもよい。
【0108】
また、制御部50は、表示部60の選択画面において塗抹標本作製装置20が選択されて塗抹標本作製装置20の起動に関する動作をする場合に、駆動機構90を初期化する制御を行う。これにより、塗抹標本作製装置20を使用する場合に、駆動機構90が初期化されるので、駆動機構90を精度よく稼働させることができる。
【0109】
また、制御部50は、表示部60の選択画面において標本搬送装置30が選択されて標本搬送装置30の起動に関する動作をする場合に、駆動機構90を初期化する制御を行う。また、制御部50は、表示部60の選択画面において標本画像撮像装置40が選択されて標本画像撮像装置40の起動に関する動作をする場合に、制御部42により、駆動機構90を初期化させる制御を行う。つまり、制御部42は、制御部50からの起動の指令に基づいて、駆動機構90を初期化して、標本画像撮像装置40の起動に関する動作を行う。
【0110】
制御部50および制御部42は、通信可能に構成されており、複数の装置を連携して制御する。図4に示す構成例では、制御部50は、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30を制御し、制御部42は、標本画像撮像装置40を制御する。また、制御部50および制御部42は、塗抹標本作製装置20、標本搬送装置30および標本画像撮像装置40を連携して制御する。これにより、複数の装置を連携させて塗抹標本スライド10に対する処理をスムーズに行うことができる。
【0111】
制御部50、制御部42および搬送制御部は、通信可能に構成されており、複数の装置を連携して制御する。たとえば、制御部50、制御部42および搬送制御部は、塗抹標本スライド10の作製、搬送、撮像の処理を連携して行う。制御部50、制御部42および搬送制御部は、塗抹標本作製装置20、標本画像撮像装置40、および標本搬送装置30の間で塗抹標本スライド10を受け渡す場合に、塗抹標本スライド10の移送制御を連携して行う。
【0112】
また、制御部50は、稼働の終了を選択する終了選択画面(図8参照)を表示部60に表示させ、選択に基づいて、装置の動作終了後に稼働を終了する制御を行う。これにより、動作中の装置に対して終了の操作が行われた場合でも、動作終了を待って稼働を終了させることができる。また、複数の装置の稼働の終了を表示部60の終了選択画面に基づいて一括して操作することができるので、検査システム100の装置の稼働終了時の操作性を向上させることができる。
【0113】
また、制御部50は、塗抹標本作製装置20と、標本画像撮像装置40と、標本搬送装置30とのうち複数の装置の動作の制御を行うとともに、表示部60の終了選択画面による選択に基づいて、装置の動作終了後に装置の稼働を終了する制御を行う。これにより、制御部50が、複数の装置の動作を制御することができるので、装置毎に制御部を設ける必要がない。これにより、装置構成を簡素化することができるとともに、部品点数を減少させることができる。また、表示部60の終了選択画面に基づく操作により、塗抹標本作製装置20、標本画像撮像装置40および標本搬送装置30の稼働を容易に終了することができる。
【0114】
また、制御部50は、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30の稼働を終了する場合に、塗抹標本作製装置20の動作終了後に、塗抹標本作製装置20の稼働を終了する制御を行い、その後、標本搬送装置30の稼働を終了する制御を行う。これにより、塗抹標本作製装置20が動作中に稼働が終了するのを抑制することができる。これにより、塗抹標本スライド10を完成させた後、塗抹標本作製装置20の稼働を終了させることができる。また、塗抹標本作製装置20の稼働中に標本搬送装置30の稼働が終了するのを抑制することができるので、完成した塗抹標本スライド10を確実に標本搬送装置30に受け渡すことができる。
【0115】
また、制御部50は、塗抹標本作製装置20の稼働を終了する場合に、染色部250から染色液を排出する制御を行う。これにより、塗抹標本作製装置20の稼働を終了する場合に、染色部250から染色液を抜くことができるので、染色部250に染色液が溜められた状態で、長期間放置されるのを抑制することができる。
【0116】
また、制御部50は、塗抹標本作製装置20の稼働を終了する場合に、塗抹部230を洗浄する制御を行う。これにより、塗抹部230に異物が付着した場合でも、塗抹部230が洗浄されるので、塗抹部230から異物を除去することができる。これにより、稼働停止中に塗抹部230に異物が固着するのを抑制することができる。
【0117】
また、制御部50は、塗抹標本作製装置20の稼働を終了する場合に、流体回路270を洗浄する制御を行う。具体的には、塗抹標本作製装置20の稼働を終了する場合に、検体を吸引してスライド上に供給する流体回路が、洗浄剤により洗浄される。洗浄剤は、たとえば、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が用いられる。これにより、流体回路270に異物が付着した場合でも、流体回路270が洗浄されるので、流体回路270から異物を除去することができる。これにより、稼働停止中に流体回路270に異物が固着するのを抑制することができる。なお、塗抹標本作製装置20は、稼働を終了する場合に、塗抹部230および流体回路270の少なくとも一方を洗浄してもよい。
【0118】
また、制御部50は、塗抹標本作製装置20の稼働を終了する場合に、駆動機構90を初期化する制御を行う。これにより、塗抹標本作製装置20の稼働を終了する場合に、駆動機構90が初期化されるので、駆動機構90の駆動精度を維持することができる。
【0119】
また、制御部50は、標本搬送装置30の稼働を終了する場合に、駆動機構90を初期化する制御を行う。また、制御部50は、標本画像撮像装置40の稼働を終了する場合に、制御部42により、駆動機構90を初期化させる制御を行う。つまり、制御部42は、制御部50からの起動の指令に基づいて、駆動機構90を初期化してから、標本画像撮像装置40の稼働を終了させる。
【0120】
制御部50は、主電源スイッチ22、36、44がONされた装置を選択画面による選択の対象として表示部60に表示させる制御を行う。具体的には、制御部50は、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30の主電源スイッチ22、36の各々がONされている場合に、選択画面を表示部60に表示させる。これにより、各装置の起動時に、主電源スイッチ22、36がONされている場合に、起動に関する動作の開始をユーザが選択画面により選択することができるので、使用する装置を容易に起動することができる。
【0121】
また、制御部50は、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30の主電源スイッチ22、36の各々がONされている場合に、起動スイッチ80がONされたことに基づいて、選択画面を表示部60に表示させる制御を行う。これにより、起動スイッチ80を操作することにより、使用する装置を選択することができるので、使用する装置の起動に関する動作を所望のタイミングで開始することができる。
【0122】
また、制御部50は、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30の主電源スイッチ22、36の少なくとも1つがOFFされている場合に、起動スイッチ80がONされた場合、エラー通知(図7参照)を表示部60に表示させる制御を行う。これにより、主電源スイッチ22、36をONし忘れた場合でも、エラー通知が表示されるので、起動操作を忘れることを抑制することができる。
【0123】
具体的には、制御部50は、塗抹標本作製装置20の主電源スイッチ22がONされ、標本搬送装置30の主電源スイッチ36がONされている場合に、起動スイッチ80がONされたことに基づいて、選択画面を表示部60に表示させる制御を行う。また、制御部50は、塗抹標本作製装置20の主電源スイッチ22がONされ、標本搬送装置30の主電源スイッチ36がOFFされている場合に、起動スイッチ80がONされたことに基づいて、エラー通知を表示部60に表示させる制御を行う。
【0124】
なお、制御部50は、起動スイッチ80がONされた場合に、図5および図6に示すように、選択画面を表示部60に表示させる制御を行ってもよい。具体的には、塗抹標本作製装置20の電源がONになり、制御部50が起動された場合に、制御部50は、表示部60に起動に関する動作を開始させる選択画面を表示させる。これにより、制御部50の起動時に、ユーザが選択画面により準備する装置を選択することができるので、使用する装置の起動に関する動作を開始することができる。
【0125】
また、制御部50は、起動スイッチ80がONされた場合に、表示部60の選択画面による選択に基づいて、複数の装置または単独の装置の起動に関する動作を開始する制御を行ってもよい。これにより、制御部50の起動時に、選択画面によるユーザの選択に基づいて、使用する装置の起動に関する動作を開始することができる。
【0126】
図5に示す例では、選択画面には、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30の起動を選択する選択肢と、標本搬送装置30のみの起動を選択する選択肢とが表示される。また、図6に示す例では、選択画面には、塗抹標本作製装置20、標本搬送装置30および標本画像撮像装置40の起動を選択する選択肢と、塗抹標本作製装置20のみの起動を選択する選択肢と、標本搬送装置30および標本画像撮像装置40の起動を選択する選択肢と、標本画像撮像装置40のみの起動を選択する選択肢と、が表示される。
【0127】
制御部50は、塗抹標本作製装置20に対して、組み込まれた制御プログラムによりI/Oボードを介して塗抹標本作製装置20の駆動機構90が駆動され起動に関する動作を開始する。塗抹標本作製装置20の起動に関する動作は、機構部、流体回路270などに対するセルフチェックを含む。また、塗抹標本作製装置20の起動に関する動作は、流体回路270の洗浄動作、試薬の調製および染色部250への充填動作を含む。
【0128】
制御部50は、標本搬送装置30に対して、通信部35bを介して、組み込まれた制御プログラムにより標本搬送装置30の駆動機構90が駆動され起動に関する動作を開始する。標本搬送装置30の起動に関する動作は、機構部分のセルフチェックを含む。また、標本搬送装置30のみの起動が選択されると、塗抹標本作製装置20に対しては、起動に関する動作が行われず、ログオンダイアログ画面に移行される。必要に応じてログオン操作を行えば塗抹標本作製装置20に対しても起動に関する動作を行いスタンバイ状態にすることができる。
【0129】
なお、表示部60に選択画面が表示されて所定時間内に選択肢への選択が行われなかった場合は、所定の選択肢が選択されたものとして装置に対して起動に関する動作が開始される。これにより、選択忘れにより起動に関する動作の開始が行われないことを防止することが可能である。たとえば、図5の例において、標本搬送装置30のみの起動を選択する選択肢が選択されなかった場合、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30の起動を選択する選択肢が選択されたとして、起動に関する動作が開始される。
【0130】
制御部50は、図8に示すように、検査システム100の終了を選択させる終了選択画面を表示部60に表示させる制御を行う。制御部50は、終了を選択させる操作として、シャットダウンボタンが操作されると、検査システム100をシャットダウンさせる。この場合、制御部50は、塗抹標本作製装置20、標本搬送装置30および標本画像撮像装置40をシャットダウンしてもよいし、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30をシャットダウンしてもよい。
【0131】
制御部50は、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30をシャットダウンする場合、図9に示すように、各装置に対するシャットダウン動作を制御する。制御部50は、塗抹標本作製装置20のシャットダウン動作として、洗浄動作と、機構初期化動作とを行う。また、制御部50は、標本搬送装置30のシャットダウン動作として、マガジン排出動作と、機構初期化動作とを行う。マガジン排出動作では、スライド受渡部33bにあるスライドマガジン11が、スライドマガジン11が満杯の状態でない場合でも、マガジン搬出部33cに排出される。これにより、撮像後の塗抹標本スライド10がスライド受渡部33b内に取り残されるのを抑制することが可能である。
【0132】
また、制御部50は、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30の両方の動作が終了するのを待ってから、電源をOFFにする。
【0133】
たとえば、塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30の両装置が動作しておらず待機状態にあるときは、制御部50の制御プログラムにより各装置のそれぞれのシャットダウン動作が実行される。また、塗抹標本作製装置20が待機状態にあり標本搬送装置30が動作中のときは、塗抹標本作製装置20はシャットダウン動作が開始され、標本搬送装置30は動作が終了し待機状態になるまでシャットダウン動作は開始されない。そして、標本搬送装置30が待機状態になったことが検知されると標本搬送装置30のシャットダウン動作が開始される。また、塗抹標本作製装置20が動作中で、標本搬送装置30が待機状態のときは、現時点で待機中であっても作製された標本に対して、作製後、搬送動作が開始されるので、いずれの装置も直ちにシャットダウンされない。塗抹標本作製装置20および標本搬送装置30の各装置がそれぞれ動作完了し待機状態になったのち、各装置において、それぞれシャットダウン動作が開始される。
【0134】
また、制御部50は、標本搬送装置30および標本画像撮像装置40の動作が開始された場合、センサ32dによりスライドマガジン11を検知したことに基づいて、マガジン搬送部32によりスライドマガジン11を搬送する制御を行う。このように構成すれば、塗抹標本作製装置20を使用しない場合でも、標本搬送装置30にスライドマガジン11をセットすることにより、塗抹標本スライド10を標本画像撮像装置40により撮像することができる。
【0135】
図10を参照して、制御部50による装置の起動処理について説明する。
【0136】
図10のステップS1において、塗抹標本作製装置20の電源がONにされると、ステップS2において、制御部50が起動される。制御部50は、起動されると、ステップS3において、表示部60に各装置の起動を選択する選択画面を表示する制御を行う。
【0137】
ステップS3において、塗抹標本作製装置20、標本搬送装置30および標本画像撮像装置40の起動を選択する選択肢が選択されると、ステップS4において、制御部50は、塗抹標本作製装置20のスタートアップ動作を行う。そして、ステップS5において、制御部50は、標本搬送装置30のスタートアップ動作を行う。また、ステップS6において、制御部50は、制御部42に指令を送信し、標本画像撮像装置40のスタートアップ動作を行わせる制御を行う。その後、制御部50は、装置の起動処理を終了する。
【0138】
ステップS3において、塗抹標本作製装置20の起動を選択する選択肢が選択されると、ステップS7において、制御部50は、塗抹標本作製装置20のスタートアップ動作を行う。その後、制御部50は、装置の起動処理を終了する。
【0139】
ステップS3において、標本搬送装置30および標本画像撮像装置40の起動を選択する選択肢が選択されると、ステップS8において、制御部50は、標本搬送装置30のスタートアップ動作を行う。また、ステップS9において、制御部50は、制御部42に指令を送信し、標本画像撮像装置40のスタートアップ動作を行わせる制御を行う。その後、制御部50は、装置の起動処理を終了する。
【0140】
ステップS3において、標本画像撮像装置40の起動を選択する選択肢が選択されると、ステップS10において、制御部50は、制御部42に指令を送信し、標本画像撮像装置40のスタートアップ動作を行わせる制御を行う。その後、制御部50は、装置の起動処理を終了する。
【0141】
図11を参照して、制御部50による装置の終了処理について説明する。
【0142】
図11のステップS11において、終了指示を受け付けると、制御部50は、ステップS12において、塗抹標本作製装置20が動作中であるか否かを判断する。塗抹標本作製装置20が動作中であれば、動作が終了するまで、ステップS12の判断を繰り返す。塗抹標本作製装置20の動作が終了していれば、ステップS13に進み、制御部50は、塗抹標本作製装置20のシャットダウン動作を行う。
【0143】
制御部50は、ステップS14において、標本搬送装置30が動作中であるか否かを判断する。標本搬送装置30が動作中であれば、動作が終了するまで、ステップS14の判断を繰り返す。標本搬送装置30の動作が終了していれば、ステップS15に進み、制御部50は、標本搬送装置30のシャットダウン動作を行う。なお、制御部50は、同様にして、標本画像撮像装置40のシャットダウン動作を行ってもよい。
【0144】
ステップS16において、制御部50は、塗抹標本作製装置20の電源をOFFにする。また、制御部50は、標本搬送装置30の電源をOFFにする。そして、装置の終了処理が終了する。
【符号の説明】
【0145】
10:塗抹標本スライド、11:スライドマガジン、20:塗抹標本作製装置、22:主電源スイッチ、30:標本搬送装置、32:マガジン搬送部、32d:センサ、36:主電源スイッチ、40:標本画像撮像装置、42:制御部、44:主電源スイッチ、50:制御部、60:表示部、80:起動スイッチ、90:駆動機構、230:塗抹部、270:流体回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12