(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】クレーンブーム、そのクレーンブームを備えるクレーン、及びガイ支持部のクレーンブームへの取付方法
(51)【国際特許分類】
B66C 23/66 20060101AFI20220127BHJP
B66C 23/42 20060101ALI20220127BHJP
B66C 23/26 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
B66C23/66 Z
B66C23/42 A
B66C23/26 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018000446
(22)【出願日】2018-01-05
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】10 2017 000 389.0
(32)【優先日】2017-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597120075
【氏名又は名称】リープヘル-ヴェルク エーインゲン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Liebherr-Werk EhingenGmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハブ エンゲルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ロイツェ ノルベルト
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-145569(JP,A)
【文献】中国実用新案第202575775(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0000531(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105460807(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/66
B66C 23/42
B66C 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンブーム(10)であって、
長手方向に直線状又は略直線状に延びるブーム本体と、
前記クレーンブーム(10)のガイ支持部(30)を配置するための少なくとも1つのトレイ部材(20)とを備え、
前記トレイ部材(20)は、前記ブーム本体から突出した配置位置を取り
、さらに前記ブーム本体に近接する解除位置を取るように構成される
ことを特徴とするクレーンブーム。
【請求項2】
請求項
1に記載のクレーンブーム(10)において、
前記トレイ部材(20)は、長手方向において前記ガイ支持部(30)
の中央部分に位置付けられる
ことを特徴とするクレーンブーム。
【請求項3】
クレーンブーム(10)であって、
長手方向に直線状又は略直線状に延びるブーム本体と、
前記クレーンブーム(10)のガイ支持部(30)を配置するための少なくとも1つのトレイ部材(20)とを備え、
前記トレイ部材(20)は、前記ブーム本体から突出した配置位置を取るように構成され、
前記トレイ部材(20)は、前記ブーム本体に回動可能に設けられ、
前記回動可能なトレイ部材(20)における回動軸(21)は
、ブーム本体の長手軸に平行に延びている
ことを特徴とするクレーンブーム。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1つに記載のクレーンブーム(10)において、
前記トレイ部材(20)は、ガイ支持部(30)における位置決め手段(31)
としてのセンタリングピ
ンを収容するための凹部(22)
を含む
ことを特徴とするクレーンブーム。
【請求項5】
クレーンブーム(10)であって、
長手方向に直線状又は略直線状に延びるブーム本体と、
前記クレーンブーム(10)のガイ支持部(30)を配置するための少なくとも1つのトレイ部材(20)とを備え、
前記トレイ部材(20)は、前記ブーム本体から突出した配置位置を取るように構成され、
前記ブーム本体は
、それぞれブーム本体の長手方向に平行に延びる回動軸(21)を中心に回動可能な2つのトレイ部材(20)を備える
ことを特徴とするクレーンブーム。
【請求項6】
請求項
5に記載のクレーンブーム(10)において、
前記2つのトレイ部材(20)は、前記ブーム本体における互いに対向する長手方向の辺にそれぞれ設けられる
ことを特徴とするクレーンブーム。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか1つに記載のクレーンブーム(10)において、
前記クレーンブーム(10)は、伸縮可能なブームであり、
前記ブーム本体は、ピン結合部(11)を有し、該ピン結合部(11)から伸縮部(12,13,14,15)が伸張可能であり
、
前記ピン結合部(11)は、前記クレーンブーム(10)にガイを張るためのガイ支持部(30)に接続部(33)を有する
ことを特徴とするクレーンブーム。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか1つに記載のクレーンブーム(10)を備えるクレーン(100)において、
前記クレーンブーム(10)は、そのラフィング動作により、ラフィング面を規定し、前記トレイ部材(20)がその配置位置において前記ラフィング面に対して垂直に突出する
ことを特徴とするクレーン。
【請求項9】
請求項
8に記載のクレーン(100)において、
前記クレーンブーム(10)は、クレーンブーム(10)における、互いに対向する辺にそれぞれ設けられる2つのトレイ部材(20)を備え、
前記2つのトレイ部材(20)は
、前記ラフィング面にそれぞれ接続される
ことを特徴とするクレーン。
【請求項10】
請求項
8又は
9に記載のクレーン(100)において、
さらに、前記クレーンブーム(10)において互いに略平行に折り畳まれた位置から直立の作動位置へ回動可能、特にV字状に展開可能なように回動可能な接続部(33)を介して前記クレーンブーム(10)
、ピン結合部(11)の端部領域(16)に接続される2つのガイ支持部(30)を備え、
前記ガイ支持部(30)は、前記クレーンブーム(10)が折り畳まれた位置において、前記回動可能な接続部(33)及びそれに対応した向きのトレイ部材(20)によって前記クレーンブーム(10)に接続される
ことを特徴とするクレーン。
【請求項11】
請求項
8~1
0のいずれか1つに記載のクレーン(100)であって、
各ガイ支持部(30)は、前記ガイ支持部(30)が折り畳まれた位置にあるとき、前記クレーンブーム(10)から突出した前記トレイ部材(20)の凹部(22)に係合し、前記ガイ支持部(30)が横方向に外れるのを防止するように構成された位置決め手段(31)
として、センタリングピンを備える
ことを特徴とするクレーン。
【請求項12】
請求項
8~
11のいずれか1つに記載のクレーン(100)において、クレーンブーム(10)に前記ガイ支持部(30)を取り付ける方法であって、
前記ガイ支持部(30)には伸縮可能な搭載支持部(32)が設けられ、
前記ガイ支持部(30)は、前記クレーンブーム(10)が倒伏状態にあるとき、平行かつ、同じ高さで長手方向両側において前記クレーンブーム(10)に隣接して設けられるように、前記クレーン(100)の下部走行体(40)上に配置され、
前記ガイ支持部(30)は、それぞれ、前記ガイ支持部(30)における前記クレーンブーム(10)から突出した作動位置を実現する、回動可能な接続部(33)を介して前記クレーンブーム(10)に接続され、
前記ガイ支持部(30)の各トレイ部材(20)は、前記ガイ支持部(30)が横方向に外れるのを防ぐために前記ガイ支持部(30)の位置決め手段(31)が前記トレイ部材(20)と協働するように、前記クレーンブーム(10)から突出した配置位置へ移動
し、さらに、
前記伸縮可能な搭載支持部(32)は、前記クレーン(100)の下部走行体(40)に配置されるように延出し、
前記ガイ支持部(30)における前記クレーンブーム(10)との回動可能な接続部(33)を形成した後、前記ガイ支持部(30)は、前記回動可能な接続部(33)によって、前記クレーンブーム(10)から作動位置方向へ回動され、前記接続部を形成するために、前記クレーンブーム(10)は、倒伏位置に位置し、前記トレイ部材(20)は近接位置にあり、
延出した前記搭載支持部(32)が前記ガイ支持部(30)において摺動し、
前記ガイ支持部(30)の前記各トレイ部材(20)は、その配置位置へ移動し、
前記ガイ支持部(30)は、位置決め手段(31)が各ガイ支持部(30)において前記トレイ部材(20)と協働して、前記ガイ支持部(30)が横方向に回動するのを防ぐように、各ガイ支持部(30)を対応するトレイ部材(20)上に配置するために、前記回動可能な接続部(33)によって、前記クレーンブーム(10)からその作動位置方向へ回動した状態から戻るように回動する
ことを特徴とするガイ支持部(30)のクレーンブーム(10)への取付方法。
【請求項13】
請求項
12に記載の方法において、
前記ガイ支持部(30)における、前記クレーン(100)の前記下部走行体(40)上への配置は、下部走行体(40)上に前記ガイ支持部(30)が配置される該クレーン(100)における前記クレーンブーム(10)によって行われ
、
前記クレーンブーム(10)との回動可能な接続部(33)を形成するために前記クレーンブーム(10)が全倒伏位置へ倒伏するとき、前記トレイ部材(20)は、前記クレーンブーム(10)において、前記クレーンブーム(10)に近接する解除位置を取る
ことを特徴とするガイ支持部(30)のクレーンブーム(10)への取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンブーム、そのクレーンブームを備えるクレーン、及びガイ支持部のクレーンブームへの取付方法に関する。このクレーンは、例えば、水平軸を中心に起伏可能かつ垂直軸を中心に旋回可能なクレーンブームを備える移動式クレーンであってもよい。クレーンブームには、2つのガイ支持部が設けられ、これらは互いに略平行となるように折り畳まれた搬送位置から、直立の作動位置へ回動可能なように、特にV字状に展開可能なように、クレーンブームに回動可能に搭載される。本発明は、さらに、ガイ支持部のクレーンブームへの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、クレーンブームにガイを張れば、クレーンブームと協働して最大吊上荷重に関して有利になることは公知であった。そのために、クレーンブームには、クレーンブームからV字状に突出し、その反クレーンブーム側端部からガイロープをブームヘッド方向へ引っ張るガイ支持部が設けられる。これにより、ブームに力が加えられ、また真っ直ぐになり、より大きな最大荷重を吊り上げることができる。このとき、ガイ支持部がピン結合されるピン結合部から複数のブーム部が伸張可能となっている伸縮ブームがブームとしてよく使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、従来より公知である、ガイ支持部を補助クレーンなしでクレーンブームに搭載できる移動式クレーンが記載されている。そのために、ガイ支持部は、クレーンの下部走行体に固定されたブラケット上に配置され、ボルトを介して伸縮ブームに支持される。この状態で、移動式クレーンは、建設現場に移動でき、必要に応じてガイ支持部を装備できる。しかしここで問題となるのが、建設現場や路上走行中に、下部走行体における避けられない撓みがガイに伝達され、損傷に繋がるおそれがあることである。また、従来技術より公知の移動式クレーンにおいては、カーブ走行時などにガイ支持部がクレーンブームから外れるのを防止する、ガイ支持部における特有の回動安全装置が必要となる。
【0005】
本発明の目的は、自己装備能力、つまり移動式クレーンがガイ支持部を補助クレーンなしで取り付ける能力を保持しながら、前述のデメリットを克服することにある。これは、請求項1におけるすべての特徴を有するクレーンブームによって達成される。また、請求項9におけるすべての特徴を有するクレーンによっても達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために本発明におけるクレーンブームは、長手方向に直線状又は略直線状に延びるブーム本体と、前記クレーンブームのガイ支持部を配置するための少なくとも1つのトレイ部材とを備える。このクレーンブームにおいて、前記トレイ部材は、前記ブーム本体から突出した配置位置を取る、及び/又は、配置位置に導かれるように構成されることを特徴とする。
【0007】
本発明におけるクレーンブームによれば、従来技術において移動式クレーンの下部走行体に固定された搭載支持部上に設けられるガイ支持部をクレーンブーム自体に支持できる。
【0008】
好ましくは、前記トレイ部材は、さらに、前記ブーム本体に近接する解除位置を取るように構成される。トレイ部材が様々な位置を取ることができることで、このクレーンブームを備えるクレーンは、下部走行体上に配置されるガイ支持部を自ら装備でき、それでもなお、ガイ支持部を、クレーンブームに接続されたトレイ部材上に配置できる状態を達成できる。
【0009】
本発明のさらなる選択的な変形例によれば、前記トレイ部材は、ブーム本体における長手方向中央部分に位置付けられる。前記ブーム本体は、所定の延長部を備え、このとき、前記トレイ部材は、前記ガイ支持部における後側又は中央部分に設けられる。このことにより、ガイ支持部を、通常の固定部と共存するようにブーム本体に配置できる。
【0010】
本発明の一態様によれば、前記トレイ部材は、前記ブーム本体に回動可能に設けられ、好ましくは、前記回動可能なトレイ部材における回動軸は、ブーム本体の長手軸に略平行に延びている。
【0011】
このように回動できることにより、ガイ支持部が支持を行えるよう、確実に簡単かつ素早くガイ支持部をクレーンブームに搭載できる。
【0012】
ここで、前記トレイ部材は、ガイ支持部における位置決め手段、好ましくは、センタリングピンを収容するための凹部を含む。また、このとき、前記トレイ部材が位置決め手段を有し、トレイ部材の凹部がガイ支持部に設けられるように構成されてもよい。位置決め手段と凹部とが協働することにより、トレイ部材上に配置可能なガイ支持部が横方向に滑る、及び/又は回動するのを防止できる。このとき、位置決め手段と凹部との協働及び係合は、クレーンの下部走行体の耐性や撓みとは関係なく行われる。
【0013】
前記位置決め手段は、ガイ支持部及びトレイ部材に対して平行なストッパを含んでもよい。
【0014】
本発明の好適な変形例によれば、前記ブーム本体は、好ましくは、それぞれブーム本体の長手方向に平行に延びる回動軸を中心に回動可能な2つのトレイ部材を備える。2つのトレイ部材を設けることにより、TYガイに必要な2つのガイ支持部をクレーンブームに固定することができる。
【0015】
このとき、これら2つのトレイ部材は、ブーム本体における互いに対向する長手方向の辺にそれぞれ設けられてもよい。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、前記クレーンブームは、伸縮可能なブームであり、前記ブーム本体は、ピン結合部を有し、そこから伸縮部が伸張可能であり、好ましくは、前記ピン結合部は、前記クレーンブームにガイを張るためのガイ支持部に接続部を有する。
【0017】
本発明はさらに、前記の変形例のいずれか1つに記載のクレーンブームを備えるクレーンに関し、前記クレーンブームは、そのラフィング動作により、ラフィング面を規定し、前記トレイ部材がその配置位置において前記ラフィング面に対して、垂直に突出している。
【0018】
本発明の選択的な一態様によれば、前記クレーンは、前記クレーンブームにおける、互いに対向する辺にそれぞれ設けられる2つのトレイ部材を備え、前記2つのトレイ部材は、好ましくは、従来の方法でラフィング面にそれぞれ接続される。
【0019】
前記クレーンは、さらに、前記クレーンブームにおいて2つのガイ支持部を備え、これら2つのガイ支持部は、互いに略平行に折り畳まれた位置から直立の作動位置へ回動可能、特にV字状に展開可能なように、回動可能な接続部を介して前記クレーンブーム、好ましくは、ピン結合部の端部領域に接続される。前記ガイ支持部は、前記クレーンブームにおいて折り畳まれた位置において、前記回動可能な接続部及びそれに対応した向きのトレイ部材によって前記クレーンブームに接続される。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、各ガイ支持部は、前記ガイ支持部が折り畳まれた位置にあるとき、前記クレーンブームから突出した前記トレイ部材の凹部に係合し、前記ガイ支持部が横方向に外れるのを防止し、所定の位置に導くように構成された位置決め手段、好ましくは、センタリングピンを備える。
【0021】
さらに、本発明は、クレーンブームにガイ支持部を取り付ける方法に関し、該方法において、前記ガイ支持部は、前記クレーンブームが倒伏状態にあるとき、平行かつ、同じ高さで長手方向両側において前記クレーンブームに隣接して設けられるように、前記クレーンの下部走行体上に配置され、前記ガイ支持部は、それぞれ、前記ガイ支持部における前記クレーンブームから突出した作動位置を実現する、回動可能な接続部を介して前記クレーンブームに接続され、前記ガイ支持部の各トレイ部材は、前記ガイ支持部が横方向に外れるのを防ぐために前記ガイ支持部の位置決め手段が前記トレイ部材と協働するように、前記クレーンブームから突出した配置位置へ移動する。
【0022】
また、前記ガイ支持部には伸縮可能な搭載支持部が設けられ、本方法において、さらに、前記伸縮可能な搭載支持部は、前記クレーンの下部走行体に設置される際に延出し、前記ガイ支持部における前記クレーンブームとの回動可能な接続部を形成した後、前記ガイ支持部は、前記回動可能な接続部によって、前記クレーンブームから作動位置方向へ回動され、前記接続部を形成するために、前記クレーンブームは、好ましくは、倒伏位置に位置し、前記トレイ部材は近接位置にあり、前記延出した搭載支持部が前記ガイ支持部において摺動し、前記ガイ支持部の各トレイ部材は、その配置位置へ移動し、前記ガイ支持部は、好ましくは、位置決め手段が各ガイ支持部において前記トレイ部材と協働して、前記ガイ支持部が横方向に揺動するのを防ぐように、各ガイ支持部を対応するトレイ部材上に配置するために、前記回動可能な接続部によって、前記クレーンブームからその作動位置方向へ揺動した状態から戻るように揺動してもよい。
【0023】
本方法の選択的な変形例によれば、前記ガイ支持部における、前記クレーンの前記下部走行体上への配置は、下部走行体上に前記ガイ支持部が配置される該クレーンにおける前記クレーンブームによって行われ、好ましくは、前記クレーンブームとの回動可能な接続部を形成するために前記クレーンブームが全倒伏位置へ倒伏するとき、前記トレイ部材は、前記クレーンブームにおいて、前記クレーンブームに近接する解除位置を取る。
【0024】
近接位置において、トレイ部材は、ラフィング面に対して垂直な方向に配置位置よりも短く延びている。
【0025】
本発明のさらなる特徴、詳細及び効果は、以下に記載の図面の説明を参照することにより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明に係るクレーンを示す側面図である。
【
図2a】
図2aは、ガイ支持部が第1の状態のクレーンブームを示す側面図である。
【
図2b】
図2bは、ガイ支持部が第2の状態のクレーンブームを示す側面図である。
【
図2c】
図2cは、搬送位置及び搭載・作動位置におけるガイロッドを示すクレーンブームの側面図である。
【
図3a】
図3aは、第1の状態におけるクレーンブームの断面図である。
【
図3b】
図3bは、第2の状態におけるクレーンブームの断面図である。
【
図4】
図4は、ガイ支持部と協働する直前のクレーンブームのトレイ部材の詳細図である。
【
図5】
図5は、ガイ支持部と協働しているときのトレイ部材の詳細図である。
【
図6】
図6は、先行技術から公知の移動式クレーンの概略図である。
【
図7】
図7は、先行技術から公知の移動式クレーンの断面をそれぞれ示す2つの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図6及び
図7は先行技術を示す。
図1に記載の移動式クレーン100は、公知のように、自動車のフレームに搭載され、垂直軸を中心に旋回可能な上部旋回体50を有する。上部旋回体50には、ピン結合部11及びそこから伸張可能な伸縮部12,13,14,15を組み合わせてなり、水平軸を中心に起伏可能な伸縮ブーム10がピン結合される。ピン結合部11の端部領域(鍔部)16には、2つのガイ支持部30がピン結合可能となっている。ガイ支持部30におけるピン結合部11と反対側の端部には、ブームベッドに到達する引張ロープを導くためのプーリが設けられる。このとき、ガイ支持部30は、回動可能な接続部33を介してピン結合部11に接続される。
図6に、ガイ支持部30がブーム10によって移動式クレーン100の下部走行体40上に配置される異なる2つのブームの状態を示す。そのために、下部走行体40には、ガイ支持部30を支持するためのブラケット41が設けられる。
【0028】
図7は、両ガイ支持部30がブラケット41を介して下部走行体40に設けられる様子をそれぞれ示す断面図である。ここでは、ガイ支持部30は、倒伏状態のクレーンブーム10が両ガイ支持部30の間に位置するように、下部走行体40に設けられる。このような構成において生じる問題については、本明細書の導入部分においてすでに説明した通りである。
【0029】
図1に、本発明におけるクレーンブーム10を備える移動式クレーン100を示す。ここでは、倒伏状態のクレーンブーム10に対して横方向に隣接して設けられるガイ支持部30についても、下部走行体40に固定されたブラケット41上に配置されてもよい。クレーンブーム10は、さらに、トレイ部材20を備える。
【0030】
図2aに、ガイ支持部30が、下部走行体40に固定されたブラケット41に配置された状態を示す。ここで、ガイ支持部30とは独立してクレーンブーム10が動作可能なように、いわゆる搭載支持部32がガイ支持部30から延出している。このように、クレーンブーム10は起立する一方、ガイ支持部30は別個の低い低荷台上に配置されてもよい。このとき、クレーンブーム10に設けられるトレイ部材20は、トレイ部材20がブーム本体に近接する解除位置にある。この近接状態において、クレーンブーム10は、トレイ部材20を、倒伏状態のクレーンブーム10に対して横方向に隣接するガイ支持部30に接触させることなく、起立できる。
【0031】
図2bは、倒伏位置にあるクレーンブーム10をさらに横方向から示した図であるが、
図2aとは異なり、トレイ部材20がクレーンブーム10から突出した配置位置にあることが分かる。トレイ部材20がこの位置にあるときは、クレーンブーム10は、横方向にずれて設けられるガイ支持部30に接触せずに起立できない。さらに、搭載支持部32は、下部走行体40に設けられるブラケット41に接触しないよう、後退した状態にあることが分かる。同図においては、ガイ支持部30は、クレーンブーム10にのみ固定され、2つの頂点がクレーンブーム10の起立に合わせて動く。下部走行体40の歪みによって、下部走行体40に起因し得る荷重は、ブラケット41からガイ支持部30に伝達されない。参照符号33は、回動可能な接続部を示し、この接続部33により、ガイ支持部30がクレーンブーム10から、展開した作動位置に導かれる。そのためには、通常油圧シリンダが用いられる。
【0032】
図2cを参照して、ガイロッドの搭載方法を説明する。搬送位置(矢印で示す位置)において、ロッド50とロッド51との接続部52が解除され、ロッド50は回動した搬送位置に位置する。ガイ支持部30をトレイ部材20上に配置した後、ロッド50とロッド51との正確な接続位置(接続部52)が同時に規定される(
図2cの搭載・作動位置b参照)。
【0033】
図3aは、
図2aのA-A線における概略断面図である。ここには、クレーンブーム10と、その片側において回動可能にピン結合されるトレイ部材20とが示されている。トレイ部材20は、この図では解除位置にある、つまり、クレーンブーム10に近接している。このように、クレーンブーム10は、ガイ支持部30とは独立して動作可能である。例えば、クレーンブーム10を用いて、ガイ支持部30を別個の低荷台上に載置してもよい。さらに、ガイ支持部30の底部には、ガイ支持部30をクレーンブーム10に対して位置決めするための位置決め手段31が示されている。ここで、この位置決め手段31は、トレイ部材20の凹部(図示しない)と係合すると同時に、ガイ支持部30が横方向に回動するのを防止する。
【0034】
図3bは、
図2bのB-B線における概略断面図である。ここには、トレイ部材20がクレーンブーム10から突出した配置位置にあることが示されている。そのために、トレイ部材20は、回動軸21を中心に上方に回動し、ガイ支持部30の位置決め手段31と協働するようになる。また、
図2bに示される搭載支持部32が後退位置へ移動するため、ガイ支持部30は、一方は回動可能な接続部33を介して、他方はトレイ部材20を介して、クレーンブーム10にのみ保持されるようになる。このとき、簡単なボルト接続によって、トレイ部材20は、回動軸21を中心として回動可能に構成されてもよい。
【0035】
図4に、ガイ支持部30の位置決め手段31と協働する直前のトレイ部材20を有するクレーンブーム10の一部を示す。ここでは、トレイ部材20が配置位置にあり、凹部22を介して、センタリングピンとして構成された位置決め手段31と協働してもよいことが示されている。互いに接近したり、ガイ支持部30が下降することにより、センタリングピンが凹部22に挿入され、ガイ支持部30が横方向に外れるのを防止する。同時に、支持部も所定の位置へ移動する。
【0036】
図5は、位置決め手段31がトレイ部材20の凹部22に挿入された、ガイ支持部30の下降状態を示している。
【0037】
以下に、ガイ支持部30をクレーンブーム10に搭載する方法を説明する。
【0038】
まず、搭載支持部32は、ガイ支持部30において延出している。さらに、ガイ支持部30は、後に搭載されるブーム10とともに、移動式クレーン100の下部走行体40のブラケット41上に配置される。両ガイ支持部30が下部走行体40において両ガイ支持部30用に設けられたブラケット上に位置する場合、クレーンブーム10のトレイ部材20が解除位置に来るよう、つまり、クレーンブーム10に近接するよう注意する必要がある。次いで、クレーンブーム10が完全に倒伏し、ガイ支持部30に対して隣接した位置へ移動する。クレーンブーム10が、クレーンブーム10に対して横方向に隣接して設けられるガイ支持部30と同一面上にあるとき、ガイ支持部30は、回動可能な接続部33を介してクレーンブーム10に接続される。すると、回動可能な接続部33が、油圧シリンダ又はその他の手段によってガイ支持部30を作動位置に導くことができるため、クレーンブーム10に対してガイ支持部30を設置できる。ガイ支持部30を少し展開させることで、搭載支持部32が摺動でき、トレイ部材20がクレーンブーム10において両側において、配置位置へ回動できるようになる。その後、ガイ支持部30は、これらがトレイ部材20上に配置されるように、トレイ部材20上へ倒伏する。位置決め手段31とトレイ部材20の位置決め手段31に対応する部材との協働により、ガイ支持部30が横方向に外れるのを防止できる。
【0039】
ここで、従来技術とは異なり、ガイ支持部30とクレーンブーム10との間に別途安全装置を追加する必要がないというメリットがある。ガイやガイ支持部30における損傷を引き起こさないために、建設現場や路上走行中における下部走行体40の撓みは、ガイを通して伝達されない。トレイ部材20は、位置決め手段と協働して、ガイロッドを搭載するための支持、横方向の輸送安全性確保、位置決め補助を統括する。これは、下部走行体40の耐性や撓みとは関係なく行われる。