(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】電源ソケット用給電器
(51)【国際特許分類】
H01R 24/38 20110101AFI20220127BHJP
H01R 31/06 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
H01R24/38
H01R31/06 A
H01R31/06 P
(21)【出願番号】P 2018017077
(22)【出願日】2018-02-02
【審査請求日】2020-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】393010318
【氏名又は名称】エレコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田邉 明寛
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0084660(US,A1)
【文献】実開昭53-160696(JP,U)
【文献】特開平09-092394(JP,A)
【文献】実開昭53-7684(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38
H01R 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源ソケットに挿入することで該電源ソケットに収納又は略収納可能であると共に、前記電源ソケットへの挿入方向における後端に端子挿入孔が形成された対向面を有する給電器本体と、
前記電源ソケットへの前記給電器本体の挿抜方向に沿って延びると共に、該挿抜方向に沿って前記対向面から進退可能な進退部材と、を備え
、
前記対向面は、前記進退部材が最も後退した位置において該進退部材の進出方向の先端部が嵌まり込む嵌合部を有し、
前記先端部は、その周縁部に、該先端部が前記嵌合部に嵌まり込んだ状態において前記端子挿入孔に臨む挿入孔側端部を含む、電源ソケット用給電器。
【請求項2】
電源ソケットに挿入することで該電源ソケットに収納又は略収納可能であると共に、前記電源ソケットへの挿入方向における後端に端子挿入孔が形成された対向面を有する給電器本体と、
前記電源ソケットへの前記給電器本体の挿抜方向に沿って延びると共に、該挿抜方向に沿って前記対向面から進退可能な進退部材と、を備え
、
前記対向面は、前記進退部材が最も後退した位置において該進退部材の進出方向の先端部が嵌まり込む嵌合部を有し、
前記先端部は、その周縁部に、該先端部が前記嵌合部に嵌まり込んだ状態において前記対向面の周縁側から該対向面の外側に臨む外側端部を含む、電源ソケット用給電器。
【請求項3】
電源ソケットに挿入することで該電源ソケットに収納又は略収納可能であると共に、前記電源ソケットへの挿入方向における後端に端子挿入孔が形成された対向面を有する給電器本体と、
前記電源ソケットへの前記給電器本体の挿抜方向に沿って延びると共に、該挿抜方向に沿って前記対向面から進退可能な進退部材と、を備え
、
前記対向面は、前記進退部材が最も後退した位置において該進退部材の進出方向の先端部が嵌まり込む嵌合部を有し、
前記先端部は、該先端部が前記嵌合部に嵌まり込んだときの前記対向面における前記先端部と隣接する領域よりも前記進出方向に突出する突出部を有し、
前記突出部は、前記先端部が前記嵌合部に嵌まり込んだ状態において前記進出方向における前記対向面の最も先端側に位置する部位と同じ又は前記進退部材の後退方向側に位置する、電源ソケット用給電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車(乗用車や自動二輪車、大型トラック等)の電源ソケットに挿入して電子製品等に自動車や自動二輪車からの電力を供給する電源ソケット用給電器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電源ソケットに挿入して電子製品等に自動車からの電力を供給することができる電源ソケット用給電器が知られている(特許文献1参照)。この電源ソケット用給電器は、
図12に示すように、使用時に自動車の電源ソケットに差し込まれる挿入部501と、挿入部501と連接し且つ挿入部501が電源ソケットに差し込まれた状態で該電源ソケットの開口から外側(挿入方向と反対側)に突出する突出部502と、を有する。
【0003】
電源ソケット用給電器500では、挿入部501が電源ソケットに差し込まれた状態で突出部502にUBS等の端子が差し込まれることによってスマートフォン等の電子機器等が接続され、これにより、自動車からの電力が前記電子機器等に供給される。
【0004】
この電源ソケット用給電器500では、電源ソケットから引き抜く際に、電源ソケットの開口から外側に大きく突出している部位(突出部502)を把持できるため、該部位を把持して引っ張ることで、容易に引き抜くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の電源ソケット用給電器500が電源ソケットに差し込まれた状態では、電源ソケットの開口から突出部502が大きく突出しているため、電源ソケットの設けられたパネル周りの機器を操作等する際に、突出部502が邪魔になる場合があった。
【0007】
そこで、例えば電源ソケット用給電器500において突出部502をなくし、電源ソケット505に差し込んだときに該電源ソケット505の開口から外側にその一部が突出しない構成(即ち、電源ソケット505に電源ソケット用給電器500Aが収納される構成:
図13参照)や、僅かしか突出しない構成(即ち、電源ソケット505に電源ソケット用給電器500Bが略収納される構成:
図14参照)が考えられる。
【0008】
しかし、この電源ソケット505に収納又は略収納される構成の電源ソケット用給電器500A、500Bでは、電源ソケット505から引き抜く際にしっかりと把持できる部位がないため、電源ソケット505から引き抜き難くなる。
【0009】
そこで、本発明は、電源ソケットに収納又は略収納された状態から引き抜き易い電源ソケット用給電器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電源ソケット用給電器は、電源ソケットに挿入することで該電源ソケットに収納又は略収納可能であると共に、前記電源ソケットへの挿入方向における後端に端子挿入孔が形成された対向面を有する給電器本体と、前記電源ソケットへの前記給電器本体の挿抜方向に沿って延びると共に、該挿抜方向に沿って前記対向面から進退可能な進退部材と、を備える。
【0011】
かかる構成によれば、給電器本体が電源ソケットに収納又は略収納されることで電源ソケットの開口から外側に出ている部位(給電器本体の部位)が無い又はほぼ無くても、進退部材を対向面に対して進出させる(引き出す)ことで電源ソケットの外側において把持できる部位が十分に確保される。これにより、進退部材を把持(保持)して給電器本体を引っ張ることで電源ソケットから電源ソケット用給電器を容易に引き抜くことができる。
【0012】
前記電源ソケット用給電器では、前記対向面は、前記進退部材が最も後退した位置において該進退部材の進出方向の先端部が嵌まり込む嵌合部を有し、前記先端部は、その周縁部に、該先端部が前記嵌合部に嵌まり込んだ状態において前記端子挿入孔に臨む挿入孔側端部を含んでもよい。
【0013】
電源ソケット用給電器を電源ソケットから引き抜くために進退部材を対向面に対して引き出す(進出させる)際には、対向面側から進退部材を操作することになるが、かかる構成によれば、対向面の嵌合部に嵌まり込んでいる先端部がその周縁部に端子挿入孔に臨んでいる挿入孔側端部を含んでいるため、端子挿入孔側から先端部の周縁部(挿入孔側端部)に指を掛けやすく、これにより、先端部が嵌合部に嵌り込んでいても進退部材が引き出し(進出させ)易い。
【0014】
また、前記電源ソケット用給電器では、前記対向面は、前記進退部材が最も後退した位置において該進退部材の進出方向の先端部が嵌まり込む嵌合部を有し、前記先端部は、その周縁部に、該先端部が前記嵌合部に嵌まり込んだ状態において前記対向面の周縁側から該対向面の外側に臨む外側端部を含んでもよい。
【0015】
電源ソケット用給電器を電源ソケットから引き抜くために進退部材を対向面に対して引き出す際には、対向面側から進退部材を操作することになるが、かかる構成によれば、対向面の嵌合部に嵌まり込んでいる先端部がその周縁部に対向面の周縁側から該対向面の外側に臨んでいる外側端部を含んでいるため、前記対向面の外側から先端部の周縁部(外側端部)に指を掛けやすく、これにより、先端部が嵌合部に嵌り込んでいても進退部材が引き出し(進出させ)易い。
【0016】
また、前記電源ソケット用給電器では、前記対向面は、前記進退部材が最も後退した位置において該進退部材の進出方向の先端部が嵌まり込む嵌合部を有し、前記先端部は、該先端部が前記嵌合部に嵌まり込んだときの前記対向面における前記先端部と隣接する領域よりも前記進出方向に突出する突出部を有し、前記突出部は、前記先端部が前記嵌合部に嵌まり込んだ状態において前記進出方向における前記対向面の最も先端側に位置する部位と同じ又は前記進退部材の後退方向側に位置してもよい。
【0017】
かかる構成では、先端部の突出部を対向面における最も先端側の部位と同じ又は後退方向側に位置させることで、先端部が嵌合部に嵌まり込んだ状態における対向面からの先端部の進出方向側への出っ張りを抑えて電源ソケット用給電器の挿抜方向の寸法を抑えつつ、先端部に指を掛け易い個所(対向面における先端部と隣接する領域よりも進出方向側に突出する部位)を設けて先端部が嵌合部に嵌まり込んでいる状態からの進退部材の引き出し易さも確保している。
【発明の効果】
【0018】
以上より、本発明によれば、電源ソケットに収納又は略収納された状態から引き抜き易い電源ソケット用給電器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る電源ソケット用給電器の斜視図である。
【
図2】
図2は、前記電源ソケット用給電器の斜視図である。
【
図3】
図3は、前記電源ソケット用給電器の対向面側から見た図である。
【
図5】
図5は、前記電源ソケット用給電器の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、前記電源ソケット用給電器が電源ソケットに収納された状態を示す模式図である。
【
図7】
図7は、前記電源ソケット用給電器が電源ソケットに略収納された状態を示す模式図である。
【
図8】
図8は、進退部材が進出位置まで進出した状態の前記電源ソケット用給電器の斜視図である。
【
図9】
図9は、前記進退部材の先端部のZ軸方向の一方側がケース本体に覆われた状態を示す図である。
【
図10】
図10は、他実施形態に係る電源ソケット用給電器のX軸方向の他方側の端部を示す模式図である。
【
図11】
図11は、他実施形態に係る進退部材の先端部を示す模式図である。
【
図12】
図12は、従来の電源ソケット用給電器の側面図である。
【
図13】
図13は、電源ソケット用給電器が電源ソケットに収納された状態を説明するための図である。
【
図14】
図14は、電源ソケット用給電器が電源ソケットに略収納された状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図9を参照しつつ説明する。
【0021】
本実施形態に係る電源ソケット用給電器(以下、単に「給電器」と称する。)は、自動車の車室のパネルや自動二輪車等に設けられた所謂シガーソケットやアクセサリーソケット等と称される電源ソケットに挿入され(差し込まれ)、該給電器に接続された電子機器等に自動車や自動二輪車からの電力を供給する。この給電器には、自動車や自動二輪車からの電気を該給電器に接続された電子機器等に供給のみを行うものや、電子機器等の充電に用いられるものがある。具体的に、この給電器は、
図1~
図5に示すように、電源ソケットに収納又は略収納される給電器本体2と、給電器本体2から進退(進出及び後退)する進退部材3と、を備える。尚、本実施形態において、「給電器本体2が電源ソケット6に収納」とは、給電器本体2の電源ソケット6への挿抜方向において給電器本体2が電源ソケット6の開口から外側に突出していない状態(例えば、
図6参照)をいい、「給電器本体2が電源ソケット6に略収納」とは、前記挿抜方向において給電器本体2が電源ソケット6の開口から外側に突出しているが、電源ソケット6から給電器本体2を引き抜くために把持しようとしても把持できない程度しか突出していない状態(例えば、
図7参照)をいう。
【0022】
給電器本体2は、内部空間Sを有するケース21と、ケース21内に配置される基板22と、基板22に取り付けられるコネクタ23と、ケース21から突出して電源ソケット6の底部61(
図6参照)と接触可能な第一接触子241を有する第一接触部24と、ケース21の対向する位置から突出して電源ソケット6の内周面62(
図6参照)と接触可能な一対の第二接触子251を有する第二接触部25と、を備える。以下では、給電器1の中心軸C方向(電源ソケット6への挿抜方向)をX軸方向とし、一対の第二接触子251が並ぶ方向をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向と直交する方向をZ軸方向とする。また、
図4における右側(電源ソケット6への給電器本体2の挿入方向)をX軸方向における一方側、
図4における左側(電源ソケット6からの給電器本体2の抜去(引き抜き)方向)をX軸方向における他方側、と称し、
図4における上側をZ軸方向における一方側、
図4における下側をZ軸方向における他方側、と称する。
【0023】
ケース21は、樹脂性である。このケース21は、X軸方向の他方側が開口したケース本体211と、ケース本体211の開口を塞ぐことでケース本体211と協同してケース21の内部空間Sを画定する閉塞部215と、を有する。また、ケース21は、ケース21の内部空間Sを仕切る仕切り板216も有する。本実施形態のケース21は、X軸方向に延びる円柱状であり、X軸方向の一方側の端部が半球状である。このケース21のX軸方向の各位置におけるY-Z面(Y軸とZ軸とを含む面)方向の大きさは、電源ソケット6の内周面62の内径より小さい。また、ケース21のX軸方向の寸法は、給電器1(給電器本体2)が電源ソケット6に挿入されたときに、X軸方向における他方側の端が電源ソケット6の開口から外側に突出しない(
図6参照)、又はX軸方向における他方側の端が電源ソケット6の開口から外側に僅かしか突出しない(
図7参照)ように設定されている。尚、この「僅かしか突出しない」とは、電源ソケット6から給電器本体2を引き抜くために把持しようとしても、しっかりと把持できない程度の突出量である。
【0024】
ケース本体211は、中心軸Cを囲む円筒状の第一部位212と、第一部位212の一方側の開口を塞ぐ半球状の第二部位213と、を有する。
【0025】
第一部位212は、周方向の対向する位置(本実施形態の例では、Y軸方向に対向する位置)に、Y軸方向に貫通する一対の貫通孔212aを有する。この一対の貫通孔212aのそれぞれは、X軸方向に長尺な矩形状である。
【0026】
第二部位213は、X軸方向の一方側に向けて膨出する半球状である。この第二部位213は、中心軸Cと交差する位置に、X軸方向に貫通する貫通孔213aを有する。
【0027】
閉塞部215は、Y-Z面方向に広がる板状であり、端子挿入孔217が形成された対向面215AをX軸方向の他方側に有する。この対向面215Aは、給電器本体2においては、電源ソケット6への挿入方向における後端(X軸方向における他端)に位置しており、給電器本体2が電源ソケット6に挿入(収納又は略収納)された状態で電源ソケット6の開口から見える(運転手等と向き合う)面である。
【0028】
具体的に、閉塞部215は、X軸方向に貫通することで端子(本実施形態の例ではUSB端子)が差し込み可能な端子挿入孔217と、進退部材3の一部が嵌合する嵌合部218と、有する。本実施形態の閉塞部215は、Y-Z面方向に広がる円盤状である。
【0029】
対向面215Aは、X軸方向の一方側に向けて凹んでいる。本実施形態の対向面215Aでは、周縁部より中央部側が凹んでいる。具体的に、対向面215Aは、X軸方向の一方側に向けて球面状に凹んでいる。即ち、対向面215Aは、中心軸Cを含む面に沿った断面形状が円弧状となるように凹んでいる。
【0030】
仕切り板216は、X-Y面(X軸とY軸とを含む面)方向に広がり、ケース21の内部空間SをZ軸方向の一方側と他方側とに仕切っている。本実施形態の仕切り板216は、X軸方向の他方側の端部が折れ曲がっている。具体的に、仕切り板216は、X―Y面方向に広がる板本体2161と、X軸方向におけるケース本体211の他方側の端縁位置からZ軸方向の他方側に延び且つY-Z面方向に広がる折れ曲がり部2162と、を有する(
図4及び
図5参照)。この折れ曲がり部2162は、X軸方向から見て嵌合部218の一部と重なっている。
【0031】
ケース21内では、仕切り板216のZ軸方向の一方側に、進退部材3が配置され、Z軸方向の他方側に、基板22、コネクタ23、及び第二接触部25が配置されている。そして、本実施形態の仕切り板216は、ケース本体211(詳しくは、ケース本体211の仕切り板216とZ軸方向に対向する部位)と協同して、進退部材3の進退(X軸方向の往復動)のガイド(案内)も行う。また、仕切り板216は、進退部材3と基板22との間を仕切っているため、進退部材3が進退したときの進退部材3と基板22との接触を防ぎ、これにより、進退部材3の進退に起因する基板22の損傷やショート等を防いでいる。
【0032】
端子挿入孔217は、Y軸方向に長尺な矩形状であり、閉塞部215(対向面215A)の中央部に設けられている(
図3参照)。
【0033】
嵌合部218は、進退部材3が対向面215Aに対して最も後退した位置(後退位置)において該進退部材3の進出方向(X軸方向の他方側)の先端部31が嵌まり込む(
図2参照)形状を有する。本実施形態の嵌合部218は、端子挿入孔217からZ軸方向の一方側(
図3における上方側)に延びる切り欠きであり、Z軸方向の一方側において外部と連通すると共にZ軸方向の他方側において端子挿入孔217と連通する。本実施形態の嵌合部(切り欠き)218では、Z軸方向の各位置におけるY軸方向の間隔が同じである。
【0034】
基板22は、コンデンサ等を有し、第一接触部24や第二接触部25を通じて入力される電気(自動車や自動二輪車からの電気)を変圧等して該基板に接続されたコネクタ23を通じて外部に出力する。
【0035】
コネクタ23は、X軸方向から見て閉塞部215の端子挿入孔217と重なるように基板22に取り付けられている。本実施形態のコネクタ23は、USBコネクタ(雌型コネクタ)であり、閉塞部215の端子挿入孔217を通じてUSB端子が接続(挿入)される。
【0036】
第一接触部24は、給電器1(給電器本体2)が電源ソケット6に挿入されることで該電源ソケット6の底部61(
図6参照)に接触する第一接触子241と、第一接触子241をX軸方向の一方側に向けて付勢する付勢部材242と、を有する。本実施形態の第一接触部24は、導電性を有し、基板22と導通している。
【0037】
第一接触子241は、X軸方向の一方側の部位をケース本体211(第二部位213)の貫通孔213aからX軸方向に突出させた状態で配置されている。この第一接触子241は、X軸方向に往復動可能である。
【0038】
付勢部材242は、例えば、その中心軸を給電器1の中心軸Cと一致させた姿勢で配置されるつるまきバネである。
【0039】
第二接触部25は、給電器1が電源ソケット6に挿入されることで該電源ソケット6の内周面62(
図6参照)に押圧接触する一対の第二接触子251と、第二接触子251を接続する接続部252と、を有する。本実施形態の第二接触部25では、一対の第二接触子251と接続部252とが一体に形成されている。この第二接触部25は、導電性を有し、基板22と導通している。
【0040】
一対の第二接触子251のそれぞれは、帯状であり、Y軸方向の外側(ケース本体211から離れる方向)に膨出するように湾曲する。これら一対の第二接触子251のそれぞれは、長手方向の両端部を除いた部位(中央側の部位)を第一部位212の貫通孔212aからY軸方向に膨出(突出)させた状態で配置されている。これら一対の第二接触子251のそれぞれは、給電器本体2(給電器1)が電源ソケット6に挿入されることで電源ソケット6の内周面62によってケース本体211側(中心軸C側)に押されて弾性変形し、この弾性変形によって生じた弾性復帰力(元の形状に戻ろうとする力)によって、電源ソケット6の内周面62をY軸方向の外側に向けて押圧する。これにより、一対の第二接触子251と電源ソケット6の内周面62との間に十分な摩擦力が発生し、給電器本体2(給電器1)が電源ソケット6から容易に脱落することが防止される。
【0041】
接続部252は、一対の第二接触子251におけるX軸方向の他方側の端部同士を接続する。本実施形態の接続部252は、コネクタ23を避けるように延びて一対の第二接触子251同士を接続している。
【0042】
進退部材3は、給電器本体2(対向面215A)から最も進出した進出位置(
図8参照)と、最も後退した後退位置(
図2参照)と、の間でX軸方向に進退(往復動)可能である。詳しくは、進退部材3は、給電器本体2の電源ソケット6への挿抜方向に沿って対向面215Aから進退する。より詳しくは、進退部材3は、対向面215Aに対し、給電器本体2の電源ソケット6からの抜去方向に沿って進出する(
図2から
図8への状態)。また、進退部材3は、対向面215Aに対し、給電器本体2の電源ソケット6への挿入方向に沿って後退する(
図8から
図2への状態)。本実施形態の進退部材3は、X軸方向にスライドすることによって対向面215Aから進退する。この進退部材3は、後退位置において閉塞部215の嵌合部218に嵌まり込む先端部31と、先端部31からX軸方向の他方側に延びる軸部32と、軸部32のX軸方向の他方側の端部と連接する抜け止め部33と、を有する。
【0043】
先端部31は、X軸方向から見て嵌合部(切り欠き)218に対応した形状を有する。本実施形態の先端部31は、X軸方向から見て、Z軸方向に長尺な矩形状である。
【0044】
具体的に、先端部31のZ軸方向の一方側の端部(先端部31の周縁部に含まれる外側端部)31Aは、閉塞部215(対向面215A)の周縁側から該閉塞部215の外側に臨んでいる(露出している)。この先端部31のZ軸方向の一方側の端面(外側端面)311は、X軸方向から見て、ケース本体211(円筒状の第一部位212)に沿った円弧状である(
図3参照)。
【0045】
また、先端部31のZ軸方向の他方側の端部(先端部31の周縁部に含まれる挿入孔側端部)31Bは、端子挿入孔217に臨んでいる(露出している)。この先端部31のZ軸方向の他方側の端面(端子挿入孔側端面)312は、X軸方向から見て、端子挿入孔217に沿った直線状である(
図3参照)。即ち、端子挿入孔217は、閉塞部215の内周面217A(
図2及び
図3参照)と、先端部31の端子挿入孔側端面312と、によって囲まれることで規定されている。本実施形態の端子挿入孔側端面312は、X軸方向の一方側の端部に段差部312aを有する(
図4及び
図5参照)。この段差部312aは、先端部31のY軸方向の全域に亘って延びている。
【0046】
以上のように、先端部31のZ軸方向の両側(一方側と他方側と)は、閉塞部215に覆われずに解放された状態である。
【0047】
先端部31の先端面(X軸方向の他方側の端面)313は、中心軸Cと直交する方向(即ち、Y-Z面方向)に広がる。先端部31が嵌合部218に嵌まり込んだ状態では、この先端面313は、X軸方向における対向面215Aの周縁と同じ位置においてY-Z面方向に広がる。即ち、先端部31の先端面313は、X軸方向において、対向面215Aの最も他方側に位置する部位と同じ位置にある。尚、本実施形態の先端面313には、文字が刻まれているが、文字の刻まれていない構成であってもよい。
【0048】
また、先端部31は、該先端部31が嵌合部218に嵌まり込んだときの対向面215Aにおける先端部31と隣接する領域よりもX軸方向の他方側(進出方向)に突出する突出部315を有する(
図2参照)。詳しくは、以下の通りである。
【0049】
先端部31が嵌合部218に嵌まり込んだときの対向面215Aにおける先端部31と隣接する領域(本実施形態ではY軸方向に隣接する領域)の少なくとも一部は、先端部31の先端面313よりX軸方向の一方側に位置している。ここで、本実施形態の対向面215Aは、周縁部から中心部に向かうにつれてX軸方向の一方側に位置するように球面状に凹んでいる。このため、対向面215Aにおける先端部31と隣接する領域は、対向面215Aの周縁から中心(中心軸C)側に向かうにつれて先端部31の先端面313からX軸方向の一方側に離れていく。これにより、突出部315において、対向面215Aの周縁から中心(中心軸C)側に向かうにつれて、対向面215Aにおける先端部31と隣接する領域からの先端部31の突出量が増大する。本実施形態の突出部315のZ軸方向の他方側の端面(先端面313)は、先端部31が嵌合部218に嵌まり込んだ状態においてX軸方向における対向面215Aの最も他方側(進退部材3の進出方向における最も先端側)に位置する部位(本実施形態の例では周縁部)と同じ位置である。
【0050】
また、先端部31のY軸方向の幅(寸法)は、嵌合部(切り欠き)218のY軸方向の幅(間隔)よりごく僅かに大きい。このため、進退部材3が進出位置から後退位置まで後退するときに、先端部31は、嵌合部(切り欠き)218に押し込まれ(圧入され)、これにより、嵌合部(切り欠き)218に嵌まり込む。
【0051】
軸部32は、Z軸方向を厚さ方向とする帯板状の部位である。この軸部32のY軸方向の寸法(幅)は、嵌合部(切り欠き)218のY軸方向の寸法と同じ若しくは僅かに小さい。
【0052】
抜け止め部33は、進退部材3が進出位置からさらにX軸方向の一方側への力が加わったときに、給電器本体2から進退部材3が抜け落ちるのを防ぐ部位である。本実施形態の抜け止め部33では、Y軸方向の寸法が嵌合部(切り欠き)218のY軸方向の寸法より大きいことで前記抜け落ちを防いでいる。
【0053】
以上の給電器1によれば、給電器本体2が電源ソケット6に収納又は略収納されることで電源ソケット6の開口から外側に出ている部位(給電器本体2の部位)が無い又はほぼ無くても(
図6及び
図7参照)、進退部材3を進出させる(引き出す)ことで電源ソケット6の開口より外側において把持できる部位が十分に確保される。これにより、進退部材3を把持(保持)して給電器本体2を引っ張ることで電源ソケット6から給電器本体2(給電器1)を容易に引き抜くことができる。
【0054】
本実施形態の給電器1では、先端部31が、その周縁部に、該先端部31が嵌合部218に嵌まり込んだ状態において端子挿入孔217に臨む端部(本実施形態の例ではZ軸方向の他方側の端部(端子挿入孔側端部))31Bを含んでいる。即ち、先端部31のZ軸方向の他方側の端部31B(端子挿入孔側端面312)が、端子挿入孔217を規定する閉塞部215の内周面217A(
図3参照)から端子挿入孔217側に露出している。
【0055】
ここで、給電器1を電源ソケット6から引き抜くために進退部材3を対向面215Aに対して引き出す(進出させる)際には、対向面215A側から進退部材3を操作することになるが、本実施形態の給電器1によれば、嵌合部218に嵌まり込んでいる先端部31がその周縁部に端子挿入孔217に臨んでいるZ軸方向の他方側の端部31Bを含んでいるため、端子挿入孔217側から先端部31の周縁部(Z軸方向の他方側の端部31B)に指を掛けやすく、これにより、先端部31が嵌合部218に嵌り込んでいても進退部材3が引き出し(進出させ)易い。
【0056】
しかも、
図9に示すように、ケース本体211が先端部31のZ軸方向の一方側に隣接していると、先端部31のZ軸方向の他方側の端部31Bに指を掛けて引き出すときに、先端部31がケース本体211に押し付けられるため(
図9の矢印α参照)、引き出し難いが、本実施形態の給電器1のように、先端部31のZ軸方向の一方側が解放されていることで(
図4参照)、ケース本体211等への先端部31の押し付けがなくなるため、進退部材3が引き出し易くなる。
【0057】
また、このように、先端部31は、その周縁部に、該先端部31が嵌合部218に嵌まり込んだ状態において対向面215Aの周縁側から該対向面215Aの外側に臨む端部(本実施形態の例ではZ軸方向の一方側の端部(外側端部))31Aを含んでいることで、対向面215AのZ軸方向の外側から先端部31の周縁部(Z軸方向の一方側の端部31A)に指を掛け易くなる。このため、こちら側(Z軸方向の外側)から先端部31に指を掛けて引き出しても、進退部材3が引き出し(進出させ)易い。
【0058】
また、本実施形態の給電器1では、先端部31の突出部315(先端面313)を対向面215AにおけるX軸方向の最も他方側(進退部材3の進出方向における最も先端側)の部位と同じ位置に位置させることで、先端部31が嵌合部218に嵌まり込んだ状態での対向面215Aからの先端部31のX軸方向の他方側(進出方向側)への出っ張りを抑え、これにより、給電器1の挿抜方向(X軸方向)の寸法が抑えられている。しかも、本実施形態の給電器1では、先端部31に指を掛け易い個所(対向面215Aにおける先端部31と隣接する領域よりもX軸方向の他方側(進出方向側)に突出する突出部315)を設けることによって、先端部31が嵌合部218に嵌まり込んでいる状態からの進退部材3の引き出し易さも確保している。
【0059】
尚、本発明の給電器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0060】
上記実施形態の給電器1では、先端部31の先端面313が、X軸方向において、対向面215Aの最も他方側に位置する部位と同じ位置であるが、この構成に限定されない。例えば
図10に示すように、先端面313は、X軸方向において、対向面215Aより他方側に位置していてもよい(
図10に示す例では、先端部31全体が対向面215AよりX軸方向の他方側に位置している)。
【0061】
また、先端面313は、X軸方向において、対向面215Aの最も他方側に位置する部位より一方側に位置していてもよい。かかる構成によっても、上記実施形態の給電器1と同様に、先端部31が嵌合部218に嵌まり込んだ状態における対向面215Aからの先端部31の他方側への出っ張りが防がれ、これにより、給電器1のX軸方向の寸法を抑えることができる。
【0062】
上記実施形態の給電器1では、対向面215Aが全体的に球面状に凹んでいるが、この構成に限定されない。対向面215Aの一部(先端部31と隣接する領域)のみが凹んでいてもよい。かかる構成によっても、先端部31の周縁部に指を掛け易い個所(先端部31の対向面215Aから突出している箇所:突出部315)が形成されるため、先端部31が嵌合部218に嵌まり込んだ状態でも進退部材3が引き出し易い。
【0063】
上記実施形態の給電器1では、先端部31の先端面313は、中心軸Cと直交する平面(Y-Z面方向に広がる面)であるが、この構成に限定されない。
図11に示すように、先端面313は、湾曲等していてもよい。また、先端面313に滑り止め加工(例えば、ローレット加工)等が施されていてもよい。
【0064】
また、上記実施形態の給電器1では、先端部31のZ軸方向の一方側の端部31A(外側端面311)が解放されている、即ち、対向面215Aの周縁側から外側に臨むが、この構成に限定されない。Z軸方向において、先端部31の一方側の端部31A(外側端面311)がケース本体211等に覆われていてもよい(
図9参照)。
【0065】
上記実施形態の給電器1では、先端部31のZ軸方向の他方側の端部31B(端子挿入孔側端面312)が、端子挿入孔217に臨んでいるが、この構成に限定されない。先端部31は、端子挿入孔217に臨んでいなくてもよい。即ち、先端部31のZ軸方向の他方側の端部31B(端子挿入孔側端面312)が、閉塞部215等によって覆われていてもよい。
【0066】
また、上記実施形態の給電器1では、進退部材3がスライドによって進退するが、この構成に限定されない。例えば、進退部材3は、雄ネジ部を有し、閉塞部215等に設けられたねじ穴に螺入される構成でもよい。かかる構成によっても、進退部材3を雄ネジ部の中心軸周りに回転させることで、進退部材3を対向面215Aに対して進退させることができる。
【符号の説明】
【0067】
1…電源ソケット用給電器、2…給電器本体、21…ケース、211…ケース本体、212…第一部位、212a…貫通孔、213…第二部位、213a…貫通孔、215…閉塞部、215A…対向面、216…仕切り板、2161…板本体、2162…折れ曲がり部、217…端子挿入孔、217A…内周面、218…嵌合部(切り欠き)、22…基板、23…コネクタ、24…第一接触部、241…第一接触子、242…付勢部材、25…第二接触部、251…第二接触子、252…接続部、3…進退部材、31…先端部、31A…Z軸方向の一方側の端部(外側端部)、31B…Z軸方向の他方側の端部(端子挿入孔側端部)、311…外側端面、312…端子挿入孔側端面、312a…段差部、313…先端面、315…突出部、32…軸部、33…抜け止め部、6…電源ソケット、61…底部、62…内周面、500、500A、500B…電源ソケット用給電器、501…挿入部、502…突出部、505…電源ソケット、C…中心軸、S…内部空間、α…矢印