(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】マルチキャストスイッチ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/313 20060101AFI20220127BHJP
G02B 6/35 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
G02F1/313
G02B6/35
(21)【出願番号】P 2018065693
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2020-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】591230295
【氏名又は名称】NTTエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永野 充
(72)【発明者】
【氏名】吉井 達也
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】中橋 樹紀
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-038897(JP,A)
【文献】特開2003-005231(JP,A)
【文献】米国特許第05729642(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0337731(US,A1)
【文献】特開平09-297230(JP,A)
【文献】Himeno et al.,Silica-based low loss and high extinction ratio 8X8 thermo-optic matrix switch with path-independent loss arrangement using double Mach-Zehnder interferometer switching units,Proceedings of 22nd European Conference on Optical Communication(ECOC96),IEEE,1996年09月19日,ThD.2.2,pp.4. 149-4. 152
【文献】Nakamura et al.,Wavelength selective switching with one-chip silicon photonic circuit including 8 x 8 matrix switch,2011 Optical Fiber Communication Conference and Exposition and the National Fiber Optic Engineers Conference,IEEE,2011年03月06日,OTuM2,pp. 1-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の番号1,…,Mのうちの異なるいずれかがそれぞれ関連付けられた、光信号を入力するM個の入力ポートと、
第2の番号1,…,Nのうちの異なるいずれかがそれぞれ関連付けられた、前記光信号が出力されるN個の出力ポートと、
それぞれ異なる番号の組[m,n]が関連付けられたM×N個の光スイッチユニットであって、前記mは1≦m≦Mの整数であって前記第1の番号に対応し、前記nは1≦n≦Nの整数であって前記第2の番号に対応する、光スイッチユニットと、
前記M個の入力ポート、前記M×N個の光スイッチユニット及び前記N個の出力ポート間を光接続する光導波路と、
前記光スイッチユニットをオンオフ制御するために前記M×N個の光スイッチユニットにそれぞれ接続された引き出し線と、
が高屈折率導波路基板上に形成されて構成され、前記M×N個の光スイッチユニットのうちの1の光スイッチユニットをオン状態にすることにより、前記オン状態の光スイッチユニットに関連付けられた前記第1の番号に関連付けられた前記入力ポートに入力された光信号が、前記オン状態の光スイッチユニットに関連付けられた前記第2の番号に関連付けられた前記出力ポートから出力されるマルチキャストスイッチであって、
前記M×N個の光スイッチユニットは、少なくとも、1×1スイッチであるゲートスイッチと、前記ゲートスイッチの後段に設けられた2×1スイッチであるメインスイッチとを含み、
個々の前記光スイッチユニットにおける前記ゲートスイッチ及び前記メインスイッチに接続される前記引き出し線は、共通であ
り、
前記光スイッチユニットは、前段に1×2スプリッタを備える第1の光スイッチユニットと前記1×2スプリッタを備えない第2の光スイッチユニットを含み、
前記出力ポートに接続される光スイッチユニットは、前記第2の光スイッチユニットであることを特徴とするマルチキャストスイッチ。
【請求項2】
複数の前記光スイッチユニットが少なくとも直線状に配列されることを特徴とする請求項1に記載のマルチキャストスイッチ。
【請求項3】
複数の前記光スイッチユニットは、格子状に配列されることを特徴とする請求項2に記載のマルチキャストスイッチ。
【請求項4】
前記引き出し線と並行に配列する複数の前記光スイッチユニットからなる光スイッチユニット列が構成され、
前記マルチキャストスイッチは、
複数の前記光スイッチユニット列の各々に並行するようにそれぞれ配置されたグランド線とさらに備え、
前記複数のグランド線の各々は、当該グランド線と並行する光スイッチユニット列の各光スイッチユニットに接続されていることを特徴とする請求項1に記載のマルチキャストスイッチ。
【請求項5】
前記M×N個の光スイッチユニットのいずれかの間の光導波路は、前記光導波路を折り返すことにより前記M個の入力ポートと前記N個の出力ポートとを同一側に配置するための折り返し導波路部分を有し、
前記折り返し導波路部分によって折り返される前の入力ポート側の第1の光スイッチユニット列と前記折り返し導波路部分によって折り返された後の出力ポート側の前記第1の光スイッチユニット列の少なくとも1つの組は、さらに縦列に重ねて配列されて、M+N個の前記光スイッチユニットから構成される第2の光スイッチユニット列を構成し、
前記第2の光スイッチユニット列における各光スイッチユニットには、共通のグランド線が接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマルチキャストスイッチ。
【請求項6】
前記1×2スプリッタは、非対称スプリッタであることを特徴とする請求項
1乃至5いずれかに記載のマルチキャストスイッチ。
【請求項7】
前記M×N個の光スイッチユニットにおいて、少なくとも1つの前記光スイッチユニットは複数の前記ゲートスイッチを備えることを特徴とする請求項1乃至
6のいずれかに記載のマルチキャストスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチキャストスイッチに関し、より詳細には、従来の構成に比べて半分の引き出し線数で構成することができるマルチキャストスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
ROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)は、光ファイバ伝送路中の波長多重光信号を、電気信号に変換することなく波長ごとに任意に経路選択することができるため、光ネットワークの構築には必須なデバイスである。ROADMは、波長と入出力ポートとを自由に割り当てる光スイッチを必要とする。
【0003】
ROADMでは、波長選択スイッチやマトリクス光スイッチに比べ、小型な光デバイスである光スプリッタ(光カップラ)及び光スイッチを組み合わせたマルチキャストスイッチ(MCS)が一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。MCSを用いることにより、小型で経済的なROADMを実現することができるという利点がある。今後は、さらなる波長数の増加が予測され、MCSの更なる小型化が求められている。
【0004】
MCSを用いたROADMにおいて基本となる光スイッチの構成として、石英系導波路を利用したマッハツェンダ干渉計型2×2光スイッチ(MZI光スイッチ)がある。MZI光スイッチは、2本のアーム導波路近傍に熱光学位相シフタ(薄膜ヒータ)を設け、薄膜ヒータのオン/オフを制御することによって、光信号が通る経路を変更することができる。
【0005】
図1に、従来のMZI光スイッチを例示する。
図1のMZI光スイッチは、入力光導波路11a及び11bと、薄膜ヒータ12と、方向性結合器13と、2本のアーム導波路14と、薄膜ヒータ12に給電を行う駆動電気配線としての引き出し線15と、出力光導波路16a及び16bと、を備えている。
図1に示すMZI光スイッチを1×2光スイッチとして利用する場合は入力光導波路11の一方が未接続導波路となり、2×1光スイッチとして利用する場合は出力光導波路16a及び16bの一方が未接続導波路となる。
【0006】
図1に示されるMZI光スイッチでは、通常、2本のアーム導波路14は半波長の光路長差を有するように設計される。そのため、薄膜ヒータ12を駆動(給電)せずに2本のアーム導波路14間の半波長の光路長差を打ち消さない場合には光信号の経路はバー経路(入力光導波路11a→出力光導波路16a、入力光導波路11b→出力光導波路16b)となり、薄膜ヒータ12を駆動して熱光学効果により当該半波長の光路長差を打ち消した場合には光信号の経路はクロス経路(入力光導波路11a→出力光導波路16b、入力光導波路11b→出力光導波路16a)となる。2本のアーム導波路14間で半波長の光路長差を設けない場合、
図1に示されるMZI光スイッチでは上記と逆動作がなされる。従って、引き出し線15による給電を制御することにより、薄膜ヒータ12の駆動のオンオフを介してMZI光スイッチのオンオフを制御することができる。
【0007】
なお、MZIには方向性がないため、入力ポートと出力ポートという呼び方は単に区別のためであり、いずれも入力および出力の両方に使用可能である。
【0008】
図2は、MZI光スイッチを用いた従来の4入力4出力MCS(以下、4×4MCS)で構成されたMCSを例示する。
図2には、それぞれ光導波路に接続された4つの入力ポートIn
1乃至In
4及び出力ポートOut
1乃至Out
4と、1×2スプリッタSPと、1×2スイッチであるゲートスイッチGSW
1,1乃至GSW
4,4と、2×1スイッチであるメインスイッチMSW
1,1乃至MSW
4,4と、GSW及びMSWのオンオフを制御するための引き出し線15と、GSW及びMSWを接地するためのグランド線17と、を備えたMCSが示されている。GSW及びMSWとしては、
図1に示されるようなMZI光スイッチが使用される。従来のMCSでは光導波路の曲げ半径が大きく、小型化には、折り曲げる構造ではなく、長手方向を短くする構造が有利であったため、GSWとMSWが縦方向に互い違いに、すき間を埋めるような配置(入れ子配置)の構成をとる必要があった。
【0009】
1×2スプリッタSPは、非対称スプリッタであり、1列目の1×2スプリッタSPから次の列へと順番に、分波比が3:1、2:1、1:1と設定されている。これは、各出力ポートの間での光出力の差が生じないようにするためである。
【0010】
図2に示す4×4MCSにおいては、特定の入力ポートに入力された光信号を特定の出力ポートから出力する際にオンオフ制御されるGSW及びMSWの組があり、この組により光スイッチユニットSUが構成される。例えばGSW
1,1及びMSW
1,1をオンオフ制御することにより、入力ポートIn
1に入力された光信号を出力ポートOut
1から出力することができる。光スイッチユニットSUは、
図3に例示されるSUaの構成と、
図4に例示されるSUbの構成とで分けられる。
【0011】
図3は、従来のSUaの構成を例示する。
図3には、1×2スプリッタSPと、GSWと、MSWと、を含むSUaが示されている。
図3に示されるように、SUaは、第1及び第2の入力端a及びbと、第1及び第2の出力端c及びdと、を有するスプリッタを組み合わせた1×2スイッチである。
【0012】
GSW及びMSWは、それぞれ異なる引き出し線15及びグランド線17に接続されており、一方の出力端が終端導波路eに接続されている。GSW及びMSWは、クロスバー型のスイッチ機能を有し、電圧が印加されていないオフ状態ではバー状態(終端導波路eに接続)となり、引き出し線15を介して電圧が印加されたオン状態ではクロス状態(透過状態)となる。
【0013】
図3に示すように、SUaの第1の入力端aから入力した第1の光信号は、1×2スプリッタSPで2分岐され、分岐された一方の第1の光信号はSUaの第1の出力端cに結合され、他方の第1の光信号はGSWの入力端に結合される。GSWは、オフ状態の場合にはバー状態となって第1の光信号を終端導波路eに出力し、オン状態の場合にはクロス状態となって光信号をMSWに出力する。
【0014】
MSWは、SUaの第1の入力端aからGSWを介して第1の光信号を入力し、SUaの第2の入力端bから第2の光信号を入力する。MSWは、オフ状態の場合にはバー状態となって第2の光信号をSUaの第2の出力端dに出力し、オン状態の場合にはクロス状態となって第2の光信号を終端導波路eに出力するとともに第1の光信号をSUaの第2の出力端dに出力する。
【0015】
図4は、従来のSUbの構成を例示する。
図4には、ゲートスイッチGSWと、メインスイッチMSWと、引き出し線15と、を含むSUbが示されている。
図4に示されるように、SUbは、第1及び第2の入力端a及びbと、出力端dと、を有する2×1スイッチである。GSW及びMSWは、それぞれ異なる引き出し線15及びグランド線17に接続されている。
【0016】
図4に示すように、SUbの第1の入力端aから入力した第1の光信号は、GSWの入力端に結合される。GSWは、オフ状態の場合にはバー状態となって第1の光信号を終端導波路eに出力し、オン状態の場合にはクロス状態となって光信号をMSWに出力する。
【0017】
MSWは、SUbの第1の入力端aからGSWを介して第1の光信号を入力し、SUbの第2の入力端bから第2の光信号を入力する。MSWは、オフ状態の場合にはバー状態となって第2の光信号をSUbの出力端dに出力し、オン状態の場合にはクロス状態となって第2の光信号を終端導波路eに出力するとともに第1の光信号をSUbの出力端dに出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
特許5913139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
図2に示す従来の4×4MCSの場合、各GSW及びMSWにそれぞれ異なる引き出し線15を接続する必要があるため、引き出し線15だけでも(4×4)×2=32本必要となる。
図2に示す従来の4×4MCSでは、引き出し線15の引き出し方向は、引き出し線15を基板上で交差することなくレイアウトする必要があることや作業・工程の容易さの関係で、信号光の入出力方向に対して垂直な方向となるため、32本の引き出し線15が列となって、32本の引き出し線15によって大面積が専有されているという問題があった。また、M×NMCSの場合、引き出し線は(M×N)×2本必要となるため、入出力ポート数が増加するにつれて、引き出し線の本数も増加し、その専有面積がますます大きくなるという問題があった。
【0020】
また、
図2に示す従来の4×4MCSでは、引き出し線15が接続された各MZI光スイッチの列毎に一本のグランド線17が設けられているため、グランド線17を含めると、さらに電気配線の専有面積は大きくなる。
【0021】
一方、引き出し線15の線幅の細線化や引き出し線15間の間隔の狭幅化によって電気配線の専有面積の増大を抑制することも考えられるが、薄膜ヒータ12の駆動に必要な電流量を考慮すると、ヒータ駆動電流による断線やショートのリスクが増大するため限界があり、これ以上の細線化や狭幅化は困難である。
【0022】
以上のように、光回路の大規模化や多チャネル化に伴い、基板に占める引き出し線15やグランド線17などの電気配線の割合が増大し、光スイッチの小型化の障害となるという課題がある。
【0023】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、引き出し線数を従来の構成に比べて半分にした小型のマルチキャストスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の一態様に係るマルチキャストスイッチは、第1の番号1,…,Mのうちの異なるいずれかがそれぞれ関連付けられた、光信号を入力するM個の入力ポートと、第2の番号1,…,Nのうちの異なるいずれかがそれぞれ関連付けられた、前記光信号が出力されるN個の出力ポートと、それぞれ異なる番号の組[m,n]が関連付けられたM×N個の光スイッチユニットであって、前記mは1≦m≦Mの整数であって前記第1の番号に対応し、前記nは1≦n≦Nの整数であって前記第2の番号に対応する、光スイッチユニットと、前記M個の入力ポート、前記M×N個の光スイッチユニット及び前記N個の出力ポート間を光接続する光導波路と、前記光スイッチユニットをオンオフ制御するために前記M×N個の光スイッチユニットにそれぞれ接続された引き出し線と、が高屈折率導波路基板上に形成されて構成され、前記M×N個の光スイッチユニットのうちの1の光スイッチユニットをオン状態にすることにより、前記オン状態の光スイッチユニットに関連付けられた前記第1の番号に関連付けられた前記入力ポートに入力された光信号が、前記オン状態の光スイッチユニットに関連付けられた前記第2の番号に関連付けられた前記出力ポートから出力されるマルチキャストスイッチであって、前記M×N個の光スイッチユニットは、少なくとも、1×1スイッチであるゲートスイッチと、前記ゲートスイッチの後段に設けられた2×1スイッチであるメインスイッチとを含み、個々の前記光スイッチユニットにおける前記ゲートスイッチ及び前記メインスイッチに接続される前記引き出し線は、共通であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るマルチキャストスイッチによると、引き出し線数を従来の構成に比べて半分にすることができるため、MCSの小型化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】従来のMZI光スイッチを例示する図である。
【
図2】MZI光スイッチを用いた従来の4×4光スイッチで構成されたMCSを例示する図である。
【
図6】他の構成の4×4MCSの動作を説明する図である。
【
図7】本発明の実施例1に係るM×NMCSの構成を簡略化した例を示す図である。
【
図8】本発明の実施例1に係るSUの構成を例示する図である。
【
図9】本発明の実施例1に係るSUの構成を例示する図である。
【
図10】本発明の実施例1に係るSUの構成の他の例を示す図である。
【
図11】本発明の実施例1に係るSUの構成の他の例を示す図である。
【
図12】本発明の実施例1に係るSUの構成のさらに他の例を示す図である。
【
図13】本発明の実施例1に係るSUの構成のさらに他の例を示す図である。
【
図14】本発明の実施例1に係るSUの構成のまたさらに他の例を示す図である。
【
図15】本発明の実施例1に係るSUの構成のまたさらに他の例を示す図である。
【
図16】本発明の実施例2に係るM×NMCSを簡略化した例を示す図である。
【
図17】本発明の実施例3に係る4×4MCSの構成を例示する図である。
【
図18】本発明の実施例3に係る4×4MCSの構成を簡略化した例を示す図である。
【
図19】本発明の実施例4に係る4×4MCSを例示する図である。
【
図20】本発明の実施例5に係る8×16MCSの構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明者らは、光スイッチの動作状態を注意深く考察したところ、オン状態となるMZI光スイッチは、全くランダムにM×Nマトリクス上に存在するのではなく、ある制約の下に存在することを見出した。すなわち、SUにおけるGSW及びMSWのうち、一方がオンの場合、他方も同時にオンになり、同様に一方がオフの場合、他方も同時にオフになることを見出した。このような制約条件から、SUにおけるGSW及びMSWの引き出し線を共有化し集約できれば、引き出し線が専有する面積の削減が可能となる。
【0028】
図5は、4×4MCSの動作を説明する図である。
図5は、配線は省略し図示していない。
図5には、16個のSU
1,1乃至SU
4,4が示されている。4×4MCSでは、出力ポートOut1乃至Out4にそれぞれ接続されたSU
3,1、SU
4,2、SU
1,3、SU
2,4はSUbとなり、それ以外はSUaとなる。SUaから入力した光信号は、2つのSUaを経て出力側のSUbから出力される。
【0029】
SUのいずれにも電圧を印加しない場合、入力ポートIn1乃至In4のすべての光信号は、終端導波路eに接続されるため、出力ポートOut1乃至Out4に出力されることはない。例えば、入力ポートIn1の光信号は、SU1,3で終端導波路eに接続されるため、出力ポートOut1乃至Out4に出力されない。同様に、入力ポートIn2乃至In4はSU2,4、SU3,1、SU4,2でそれぞれ終端導波路eに接続されるため、出力ポートOut1乃至Out4に出力されない。
【0030】
例えば、入力ポートIn2の光信号を出力ポートOut3に出力する場合、SU2,3に電圧を印加すればよい。このとき、入力ポートIn2からの光信号は、バー状態のSU2,2及びSU2,1を経由し、オン状態でクロス状態となっているSU2,3からバー状態のSU1,3を経て出力ポートOut3から出力される。
【0031】
SUの機能を逆の設定とすると、すなわち電圧を印加していない通常状態ではクロス状態(終端導波路に接続)となり、電圧印加状態ではバー状態(透過状態)となる設定とすると、
図6に示すレイアウト図となる。
【0032】
M×NMCSの場合、SUは、M×(N-1)個の光スイッチユニット(SUa)と、出力ポートに接続されたM個の光スイッチユニット(SUb)と、で構成される。Inmから入力された光信号をOutnに出力する場合、SUm,nのオンオフを制御すればよい。
【0033】
(実施例1)
図7は、本発明の実施例1に係るM×NMCS100(M及びNはそれぞれ2以上の整数)の構成を簡略化した例を示す。
図7には、光信号を入力するM個の入力ポートIn
1乃至In
Mと、光信号が出力されるN個の出力ポートOut
1乃至Out
Nと、M×N個の光スイッチユニットSU110と、入力ポートIn
1乃至In
M、SU110及び出力ポートOut
1乃至Out
N間を光接続する光導波路101と、各SU110に給電を行うことにより各SU110のオンオフ制御をするように各SU110にそれぞれ接続されたM×N本の引き出し線115と、SU110を接地するためのグランド線117と、が高屈折率導波路基板上に形成されて構成されたM×NMCS100が示されている。
【0034】
SU110[m,n]と、入力ポートInm及び出力ポートOutnとはそれぞれ関連付けられており、SU110[m,n]をオン状態にすると、入力ポートInmに入力した光信号は出力ポートOutnから出力される。ここで、mは1≦m≦Mの整数であって入力ポートに係る第1の番号に対応し、nは1≦n≦Nの整数であって出力ポートに係る第2の番号に対応する。
【0035】
図7に示されるように、実施例1に係るM×NMCS100は、複数の光スイッチユニット列(以下、SU列)140から構成され、SU列140は縦列(引き出し線115、グランド117と並行)に配列された複数のSU110を含む。各SU列140に並行するようにグランド線117が配置されて、当該並行して配置されたグランド線117と各SU列140の各SU110とがそれぞれ接続されている。
【0036】
また、各SU110は、1×1スイッチであるGSWと、GSWの後段に設けられた2×1スイッチであるMSWと、を含む。各SU列140では、各SU110に含まられる複数のGSWと複数のMSWとがそれぞれ縦列に並び、GSW列120及びMSW列130を構成している。SU110に含まれるGSWとMSWとは同じ1本の引き出し線に接続している。実施例1に係るM×NMCS100では、SU110は高屈折率導波路基板上で縦横に直線状に配列されて、格子状に配置されているが、共通化された引き出し線等の電気配線のレイアウトの許容範囲内であれば、各SU110はその位置をずらしても構わない。
図7に示されるように、GSW列120及びMSW列130は入力ポートから出力ポートにかけて交互に配列されており、入力ポートIn
1乃至In
MにはGSWが接続され、出力ポートOut
1乃至Out
NにはMSWが接続されている。
【0037】
図8及び
図9は、本発明の実施例1に係るSUa及びSUbの構成をそれぞれ例示する。
図8及び
図9に示されるように、本実施例1に係るSUa及びSUbにおいては、GSW及びMSWが共通の引き出し線115及びグランド線117によって直列に接続されており、同時にオンオフ制御される。GSW及びMSWの配線は、交差せずにつながるようにレイアウトされている。本実施例1に係るSUa及びSUbは、この共通の引き出し線115及びグランド線117によって接続されている点以外は、
図3及び
図4で示したSUa及びSUbと同様である。
【0038】
図7に示す本実施例1に係るM×NMCS100では、M×N個のSUのうち、Out
1乃至Out
Nに接続されたSUは
図9に示すSUbであり、それ以外のSuは
図8に示すSUaである(SUaの前段に接続される1×2スプリッタSPは簡略化のため省略している)。以下の実施例でも、SUa及びSUbは
図8及び
図9で示したSUa及びSUbと同様の構成を有するものとする。
【0039】
本実施例1に係るM×NMCS100では、M×N個のSUのうちの1をオン状態にすることにより、オン状態のSUに関連付けられた第1の番号に関連付けられた入力ポートに入力された光信号が、オン状態のSUに関連付けられた第2の番号に関連付けられた出力ポートから出力される。例えば、任意の番号[m,n]に関連付けられたSUをオン状態にすることにより、入力ポートInmに入力された光信号を出力ポートOutnから出力することができる。
【0040】
図10及び
図11は、本発明の実施例1に係るSUa及びSUbの構成の他の例をそれぞれ示す。
図10及び
図11に示されるように、SUa及びSUbにおいて、GSW及びMSWを共通の引き出し線115及びグランド線117によって並列に接続してもよい。
【0041】
また、
図12及び
図13は、本発明の実施例1に係るSUa及びSUbの構成のさらに他の例をそれぞれ示す。
図12及び
図13には、2個以上のGSW
1乃至GSW
Nを含むSUa及びSUbが示されている。
図12及び
図13に示す例においては、複数のGSW
1乃至GSW
N及びMSWが共通の引き出し線115及びグランド線117によって並列に接続されており、同時にオンオフ制御される。
【0042】
図12及び
図13に示す例によると、GSWが2個以上の場合、第1段のGSW
1がオフ動作の際に漏れ出る光を後段のGSWで遮断することができるため、ノイズを低減することが可能となる。また、
図12及び
図13に示す例によると、従来の引き出し線を共通化しない方法でGSWを増やした場合に比べ、GSWの数Nに対して、配線数をN本減らすことが可能となる。
【0043】
図14及び
図15は、本発明の実施例1に係るSUa及びSUbの構成のまたさらに他の例をそれぞれ示す。
図12及び
図13に示す例では、複数のGSW
1乃至GSW
N及びMSWを並列接続しているが、
図14及び
図15で示す例のように共通の引き出し線115及びグランド線117によって複数のGSW
1乃至GSW
N及びMSWを直列接続するように構成してもよい。
【0044】
本実施例1に係るMCSによると、各光スイッチユニットのGSWとMSWの引き出し線とを共通化することにより、引き出し線数を従来の構成に比べて半分にすることができるため、MCSの小型化を実現することが可能となる。
【0045】
(実施例2)
図16は、本発明の実施例2に係るM×NMCS200の構成を簡略化した例を示す。
図16には、光信号を入力するM個の入力ポートIn
1乃至In
Mと、光信号が出力されるN個の出力ポートOut
1乃至Out
Nと、M×N個のSU210と、入力ポートIn
1乃至In
M、SU210及び出力ポートOut
1乃至Out
N間を光接続する光導波路201と、各SU210のオンオフ制御をするように各SU210にそれぞれ接続されたM×N本の引き出し線215と、SU210を接地するためのグランド線217と、が高屈折率導波路基板上に形成されて構成されたM×NMCS200が示されている。
【0046】
図16に示されるように、本実施例2に係るM×NMCS200は、SU列240
1乃至240
xから成る複数のSU列240を含み、それぞれのSU列240は複数のSU210が縦列に配列されて構成されている。
【0047】
本実施例2に係るM×NMCS200は隣り合うSU列240間の光導波路201が折り返されて形成される折り返し導波路部分202を有する。
【0048】
実施例2では、SU列240の列数であるxは、2以上の偶数とする。さらに、本実施例2に係るM×NMCS200は、折り返されることにより、2つのSU列240が縦列に配列され、SU列250を構成する。SU列250は、折り返し導波路部分202をどこに配置するかに依るが、少なくともM+M,M+N,N+Nのいずれかの数のSU210を備える。MCSの小型化には、SU列240の中間付近で折り返すのが有利であるため、SU列250にM+N個のSU210が含まれる構成が望ましい。真中で折り返した場合は、SU列250の列数はx/2列となる。
【0049】
各SU210は、GSWと、GSWの後段に設けられたMSWと、を含み、各SU列2401乃至240xでは、GSW列220及びMSW列230がそれぞれ構成されている。GSW列220及びMSW列230は入力ポートから出力ポートにかけて交互に配列されており、入力ポートIn1乃至InMにはGSWが接続され、出力ポートOut1乃至OutNにはMSWが接続されている。
【0050】
本実施例2に係るM×NMCS200では、x/2列目のSU列240x/2と(x/2)+1列目のSU列240(x/2)+1との間に光路を180°変換するための折り返し導波路部分202が設けられている。それにより、SU列2401乃至240xの半数の列が折り返され、入力ポートIn1乃至InMと出力ポートOut1乃至OutNとが同一側に配置された構成となっている。折り返し導波路部分202は、例えば、導波路に任意の曲げ半径を有する2つの90°光路変換用の曲げ導波路部分を設けることによって光路を180°変換するように構成することができる。
【0051】
ここで、kを1≦k≦x/2の整数とすると、
図16に示されるように、出力ポート側が折り返されて、入力ポート側のSU列240
1に対し出力ポート側のSU列240
x、入力ポート側のSU列240
2に対し出力ポート側のSU列240
x-1、…、入力ポート側のSU列240
kに対し出力ポート側のSU列240
x-k+1、…、及び入力ポート側のSU列240
x/2に対し出力ポート側のSU列240
(x/2)+1は、さらに縦列に配列されてSU列250を構成している。2つのSU列240が上下に配列されてSU列250となる。そして、各SU列250の各SU210について、1本の共通のグランド線217が接続されている。
【0052】
本実施例2に係るM×NMCS200では、引き出し線215を共通化した構成に加え、SU列2401乃至240xを半数の列の箇所で光導波路201を折り返す構成を採用し、SU列250毎に1本の共通のグランド線217を使用している。そのため、本実施例2に係るM×NMCS200によると、引き出し線215の共通化により引き出し線数を従来の半分にすることができる。また、当該折り返し構造により入出力ポート間のSU列240の配列方向の長さはx列からx/2列となり、配列方向の長さは半分程度縮小できる。さらに、入力ポート側のSU列と出力ポート側のSU列とにおけるグランド線217の共通化によりグランド線の本数を削減することができる。従って、MCSの更なる小型化が実現可能となる。
【0053】
ここで、本実施例2では、SU列240が偶数列からなる例を示したが、SU240が奇数列からなる場合も同様に本実施例2に係る折り返し構造を適用可能である。この場合、SU列240の列数をy列(yは奇数)とすると、(y±1)/2列目のSU列240と{(y±1)/2}+1列目のSU列240との間の光導波路に折り返し導波路部分202を設けることが好ましい。
【0054】
また、本実施例2では、x/2列目のSU列240x/2と(x/2)+1列目のSU列240(x/2)+1との間に折り返し導波路部分202を設けた折り返し構造を示したが、これに限定されず、いずれのSU列240間に折り返し導波路部分202を設けてもよい。さらに、当該折り返し構造により折り返される前の入力ポート側のSU列240と当該折り返し構造により折り返された後の出力ポート側のSU列240は、その少なくとも1つの組がSU列250を構成してSU列250の各SU210において共通のグランド線217を用いていれば、SU列240の配列方向の長さの縮小及びグランド線の本数を削減するという本実施例に係る効果を奏することができる。
【0055】
(実施例3)
図17は、本発明の実施例3に係る4×4MCSの構成を示す。
図17には、4個の入力ポートIn
1乃至In
4と、4個の出力ポートOut
1乃至Out
4と、16個のSU310と、入力ポートIn
1乃至In
4、SU310及び出力ポートOut
1乃至Out
4間を光接続する光導波路301と、各SU310にそれぞれ接続された16本の引き出し線315と、4本のグランド線317と、が高屈折率導波路基板上に形成された4×4MCS300が示されている。
【0056】
図17に示されるように、実施例3に係る4×4MCS300は、4つのSU310が縦列に配列された4列のSU列340
1乃至340
4を含む。各SU310は、GSWと、GSWの後段に設けられたMSWと、を含み、各SU列340
1乃至340
4では、GSW列320及びMSW列330がそれぞれ構成されている。GSW列320及びMSW列330は入力ポートから出力ポートにかけて交互に配列されており、入力ポートIn
1乃至In
4にはGSWが接続され、出力ポートOut
1乃至Out
4にはMSWが接続されている。各SU310のGSW及びMSWには、共通の引き出し線315が接続されている。
【0057】
また、1列目から3列目のSU列3401乃至3403におけるSU310は、GSWの前段に1×2スプリッタSPが設けられている。1×2スプリッタSPは、非対称スプリッタであり、1列目のSU列3401から2列目、3列目のSU列3403へと順番に、分波比が3:1、2:1、1:1と設定されている。
【0058】
図18は、本実施例に係る実施例3に係る4×4MCS300の構成を簡略化した例を示す。
図18には、16個のSU
1,1乃至SU
4,4が示されている。実施例3に係る4×4MCS300では、出力ポートOut
1乃至Out
4にそれぞれ接続されたSU
4,1、SU
2,2、SU
3,3、SU
1,4はSUbとなり、それ以外はSUaとなる。
【0059】
実施例3に係る4×4MCS300において、例えば、入力ポートIn2の光信号を出力ポートOut3に出力する場合、SU2,3に電圧を印加すればよい。このとき、入力ポートIn2からの光信号は、バー状態のSU2,4を経由し、オン状態でクロス状態となっているSU2,3からバー状態のSU4,3及びSU3,3を経て出力ポートOut3から出力される。
【0060】
本実施例3に係る4×4MCS300によると、
図2に示す従来の4×4MCSと比較して、引き出し線数を従来の構成に比べて半分にすることができるため、引き出し線の専有面積を減少させることが可能となることから、MCSの小型化を実現することが可能となる。
【0061】
(実施例4)
図19は、本発明の実施例4に係る4×4MCSの構成を示す。
図19には、4個の入力ポートIn
1乃至In
4と、4個の出力ポートOut
1乃至Out
4と、16個のSU410と、入力ポートIn
1乃至In
4、SU410及び出力ポートOut
1乃至Out
4間を光接続する光導波路401と、SU410にそれぞれ接続された16本の引き出し線415と、2本のグランド線417と、が高屈折率導波路基板上に形成された4×4MCS400が示されている。
【0062】
図19に示されるように、本実施例4に係る4×4MCS400は、4列のSU列440
1乃至440
4から構成され、各SU列440は4つのSU410を含む。SU列440
1乃至440
4は、SU列440
2と440
3の間の光導波路401に折り返し導波路部分402を有し、コの字型の列を構成している。本実施例4に係る4×4MCS400は、SU列440
1乃至440
4の中心にあたるSU列440
2と440
3の間に折り返し導波路部分402を有するため、2つのSU列440が縦に配列でき、2列のSU列450が構成されている。
【0063】
各SU410は、GSWと、GSWの後段に設けられたMSWと、を含み、各SU列4401乃至4404では、GSW列420及びMSW列430がそれぞれ構成されている。GSW列420及びMSW列430は入力ポートから出力ポートにかけて交互に配列されており、入力ポートIn1乃至In4にはGSWが接続され、出力ポートOut1乃至Out4にはMSWが接続されている。
【0064】
また、SU列4401乃至4403におけるSU410は、GSWの前段に1×2スプリッタSPが設けられている。1×2スプリッタSPは、非対称スプリッタであり、1列目のSU列4401からSU列4402、SU列4403へと順番に、分波比が3:1、2:1、1:1と設定されている。
【0065】
本実施例4に係る4×4MCS400では、SU列4402とSU列4403との間を接続する光導波路401に、折り返し導波路部分402が設けられている。それにより、2列目のSU列4402と3列目のSU列4403との間で光導波路401が折り返され、入力ポートIn1乃至In4と出力ポートOut1乃至Out4とが同一側に配置された構成となっている。
【0066】
図19に示されるように、入力ポート側のSU列440
1と出力ポート側のSU列440
4、及び入力ポート側のSU列440
2と出力ポート側のSU列440
3は、折り返し導波路部分402の導入により縦列に配列されてSU列450を構成している。そして、各SU列450に含まれる8つのSU410は、1本の共通のグランド線417で接続されている。
【0067】
このように、本実施例4に係る4×4MCS400では、引き出し線415を共通化した構成に加え、SU列4401乃至4404の中心にあたるSU列4402とSU列4403との間に光導波路401を折り返す構成を採用し、SU列450毎に1本の共通のグランド線417を使用している。そのため、本実施例4に係る4×4MCS400によると、引き出し線415の共通化により引き出し線数を従来の半分にすることができるとともに、当該折り返し構造により入出力ポート間のSU列440の配列方向の長さを縮小可能であり、SU列4401とSU列4404、及びSU列4402とSU列4403におけるグランド線417の共通化によりグランド線の本数を削減することができる。従って、MCSの更なる小型化が実現可能となる。
【0068】
(実施例5)
図20は、本発明の実施例5に係る8×16MCSの構成を示す。
図20には、8個の入力ポートIn
1乃至In
8と、16個の出力ポートOut
1乃至Out
16と、128個のSU510と、入力ポートIn
1乃至In
8、SU510及び出力ポートOut
1乃至Out
16間を光接続する光導波路501と、SU510にそれぞれ接続された128本の引き出し線515と、4本のグランド線517と、が高屈折率導波路基板上に形成された8×16MCS500が示されている。
【0069】
図20に示されるように、本実施例5に係る8×16MCS500は、同一数の複数のSU510が縦列に配列されて構成された8列のSU列540
1乃至540
8を含む。SU列540
1乃至540
8は、折り返し導波路部分502によってSU列間の光導波路501が折り返されることによってコの字型の列を構成している。さらに、本実施例5に係る8×16MCS500は、折り返し導波路部分を導入することにより縦に配列させた2つのSU列540から構成されるSU列550が4つ形成されている。
【0070】
各SU510は、GSWと、GSWの後段に設けられたMSWと、を含み、各SU列5401乃至5408では、GSW列520及びMSW列530がそれぞれ構成されている。
【0071】
図20に示されるように、本実施例5に係る8×16MCS500では、入力ポート側からSU列540
4とSU列540
5との間を接続する光導波路501に、折り返し導波路部分502が設けられている。これは、小型化にはSU列540
1乃至540
8の中心にあたる部分に折り返し導波路部分502を設けることが最適だからである。それにより、SU列540
4とSU列540
5との間で光導波路501が折り返され、入力ポートIn
1乃至In
8と出力ポートOut
1乃至Out
16とが同一側に配置された構成となっている。
【0072】
本実施例5では、入力数が8に対して出力数が16であるため、入力光を分岐する必要が有り、各入力ポートIn1乃至In8とSU列5401に含まれる各SU510との間に、それぞれ分波比が1:1に設定された1×2スプリッタSPが設けられている。また、各SUにおける1×2スプリッタSPは、非対称スプリッタであり、SU列5401からSU列5407へと順番に、分波比が7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1と設定されている。
【0073】
図20に示すように、8×16MCSの場合であっても、本発明の原理を適用可能であり、従来の8×16MCSよりも小型な8×16MCSを実現することができる。