(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】ガスケットの装着構造及びガスケット
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20220127BHJP
【FI】
F16J15/10 L
F16J15/10 T
(21)【出願番号】P 2018106393
(22)【出願日】2018-06-01
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】足立 智大
(72)【発明者】
【氏名】中野 篤
(72)【発明者】
【氏名】小池 智幸
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 一清
(72)【発明者】
【氏名】成尾 元彰
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-017124(JP,A)
【文献】特開2006-153179(JP,A)
【文献】特開2003-247679(JP,A)
【文献】特開昭55-115659(JP,A)
【文献】特開2004-019887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00-15/14
F16L 17/00-19/14
F16L 23/00-25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスケットが流体デバイスに装着されるガスケットの装着構造であって、
前記ガスケットは、第1傾斜部を軸方向一端部に有する筒状の装着部を備え、
前記流体デバイスは、前記第1傾斜部を受ける第2傾斜部を有する筒状の被装着部を備え、
前記第1傾斜部の少なくとも一部に、環状段部よりなる複数の圧接部を有し、前記第2傾斜部の少なくとも一部に、前記複数の圧接部に対応させた環状段部よりなる複数の被圧接部を
有し、
前記複数の圧接部及び前記複数の被圧接部のうち、前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部の傾斜方向において隣り合う圧接部と圧接部との間及び対応する被圧接部と被圧接部との間に、環状空間部が設けられている、
ガスケットの装着構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスケットの装着構造及びガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1のようなガスケットの装着構造が知られている。このガスケット装着構造は、ガスケットを流体デバイスとしての第1フランジ配管に、ガスケットとフランジ配管との間がシールされるように装着するためのものである。
【0003】
前記ガスケット装着構造においては、前記第1フランジ配管の第1接合端部の先端内周側に、先拡がりテーパ状のテーパ内周面が形成されている。一方、前記ガスケットの第2接合端部の先端部の外周面に、前記第1接合端部のテーパ内周面に当接するテーパ外周面が先窄まりテーパ状に形成される。
【0004】
そして、前記ガスケット装着構造は、前記第1フランジ配管への前記ガスケットの装着時に、前記第1フランジ配管側のテーパ内周面と、前記ガスケット側のテーパ外周面とを強く圧接させて、これらのテーパ内周面とテーパ外周面との間にシール部を形成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のようなガスケット装着構造は、流体デバイス(フランジ配管)側のテーパ内周面と、ガスケット側のテーパ外周面とをそれぞれ略平行な面(各々が断面視直線状に延びる面)に形成して、これらの面をシール部の形成のために圧接させるようになっている。
【0007】
したがって、前記ガスケット装着構造は、前記流体デバイスへの前記ガスケットの装着時に、前記ガスケット側のテーパ外周面を前記流体デバイス側のテーパ内周面に全体的に圧接することにより、外力を前記ガスケットに的確に加える必要があった。
【0008】
このとき、前記シール部を確実に形成するためには、前記流体デバイス側のテーパ内周面と前記ガスケット側のテーパ外周面とが強く圧接するように、前記ガスケットを前記流体デバイスに注意深く装着しなければならない。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、前記ガスケットと前記流体デバイスとの間を確実にかつ簡単にシールすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のうち、第1の発明は、
ガスケットが流体デバイスに装着されるガスケットの装着構造であって、
前記ガスケットは、第1傾斜部を軸方向一端部に有する筒状の装着部を備え、
前記流体デバイスは、前記第1傾斜部を受ける第2傾斜部を有する筒状の被装着部を備え、
前記第1傾斜部の少なくとも一部に、環状段部よりなる複数の圧接部を有し、前記第2傾斜部の少なくとも一部に、前記複数の圧接部に対応させた環状段部よりなる複数の被圧接部を有しているものである。
【0011】
この構成によれば、前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部との間には、前記複数の圧接部うちの少なくとも1つの圧接部と前記複数の被圧接部のうちの少なくとも1つの被圧接部とから形成された少なくとも1つのシール部を得ることが可能となる。つまり、前記流体デバイスへの前記ガスケットの装着時、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部との間に、シール作用を確実に発揮するシール部を容易に確保することができる。結果、前記ガスケットと前記流体デバイスとの間を確実にかつ簡単にシールすることができる。
【0012】
本発明に係る第1の発明の別の態様によれば、
前記複数の圧接部及び前記複数の被圧接部のうち、前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部の傾斜方向において隣り合う圧接部と圧接部との間及び対応する被圧接部と被圧接部との間に、環状空間部が設けられる。
【0013】
この構成によれば、前記ガスケット(前記装着部)及び前記流体デバイスの被装着部の少なくとも一方が樹脂製である場合に、前記第1傾斜部の圧接部と前記第2傾斜部の被圧接部とが圧接したとき、その圧接に伴い変形する前記圧接部の一部及び前記被圧接部の一部を前記環状空間部に逃がして、良好な圧接状態を確保することができる。
【0014】
本発明のうち、第2の発明は、
ガスケットが流体デバイスに装着されるガスケットの装着構造であって、
前記ガスケットは、第1傾斜部を軸方向一端部に有する筒状の装着部を備え、
前記流体デバイスは、前記第1傾斜部を受ける第2傾斜部を有する筒状の被装着部を備え、
前記第1傾斜部の少なくとも一部又は前記第2傾斜部の少なくとも一部に、複数の環状凸部よりなる複数の圧接部を有し、前記第2傾斜部の少なくとも一部又は前記第1傾斜部の少なくとも一部に、前記複数の圧接部に対応させた被圧接部を有しているものである。
【0015】
この構成によれば、前記第1傾斜部及び前記第2傾斜部との間には、前記複数の圧接部うちの少なくとも1つの圧接部と前記被圧接部とから形成された少なくとも1つのシール部を得ることが可能となる。つまり、前記流体デバイスへの前記ガスケットの装着時、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部との間に、確実に作用するシール部を少なくとも1つ容易に確保することができる。結果、前記ガスケットと前記流体デバイスとの間を確実にかつ簡単にシールすることができる。
【0016】
本発明に係る第2の発明の別の態様によれば、
前記被圧接部は、当該被圧接部を有する前記第1傾斜部又は前記第2傾斜部の傾斜面の一部をなす環状面である。
【0017】
本発明のうち、第3の発明は、
流体デバイスに装着されるガスケットであって、
前記流体デバイスにおける流体デバイス側傾斜部に受けられる傾斜部を軸方向一端部に有する筒状の装着部を備え、
前記傾斜部は、当該傾斜部と前記流体デバイス側傾斜部との間がシールされるように、当該傾斜部の少なくとも一部で前記流体デバイス側傾斜部と圧接可能に構成され、
前記傾斜部の少なくとも一部に、環状段部よりなる複数の圧接部を有し、
前記複数の圧接部が、前記流体デバイス側傾斜部に設けられた、環状段部よりなる複数の被圧接部に圧接するものである。
【0018】
本発明のうち、第4の発明は、
流体デバイスに装着されるガスケットであって、
前記流体デバイスにおける流体デバイス側傾斜部に受けられる傾斜部を軸方向一端部に有する筒状の装着部を備え、
前記傾斜部の少なくとも一部に、環状凸部よりなる複数の圧接部を有し、
前記複数の圧接部が、前記流体デバイス側傾斜部に設けられた被圧接部に圧接するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ガスケットと流体デバイスとの間を確実にかつ簡単にシールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るガスケットの装着構造を示す断面図である。
【
図2】
図1におけるガスケット装着状態の一部拡大図である。
【
図3】
図2におけるガスケット装着解除状態を示す図である。
【
図6】本発明の別の実施形態に係るガスケットの装着構造のガスケット装着解除状態を示す図である。
【
図7】本発明の別の実施形態に係るガスケットの装着構造のガスケット装着状態を示す図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るガスケットの装着構造のガスケット装着解除状態を示す図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係るガスケットの装着構造のガスケット装着状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1-
図4に示すように、本実施形態に係るガスケットの装着構造は、ガスケット1を流体デバイス3に装着するために用いられている。本実施形態におけるガスケットの装着構造は、ガスケット1を別の流体デバイス5に装着するためにも用いられている。
【0023】
前記ガスケットの装着構造は、流体デバイス3と流体デバイス5とを一方が流体の流れ方向上流側に位置しかつ他方が流体の流れ方向下流側に位置するように接続し、ガスケット1を流体デバイス3と別の流体デバイス5との間に介在させるようになっている。
【0024】
なお、ガスケット1が装着される流体デバイス3及び別の流体デバイス5の一例としては、それぞれ、集積パネル、バルブ、ポンプ、アキュムレータ、流体貯留容器、熱交換器、レギュレータ、圧力計、流量計、ヒーター又はフランジ配管等の流体に関係するものであるが、上記例に限定されるものではない。
【0025】
ガスケット1は、第1傾斜部11を軸方向一端部に有する筒状の装着部13を備えている。本実施形態において、ガスケット1は、略一定の内径を有する筒状体であり、当該ガスケット1の軸方向一方側に装着部13を備えるとともに、当該ガスケット1の軸方向他方側に装着部13を備えている。
【0026】
ガスケット1は、当該ガスケット1の軸心15を含む断面において、この軸心15に対して線対称となる断面形状を有している。ガスケット1のうちの筒孔を定義する環状部分は、略H状の断面形状を有している。そして、この略H状の断面形状に基づいて装着部13が形成されている。
【0027】
前記略H状の断面形状を有する前記環状部分は、
図3に示すように、ガスケット1の軸心15に沿って延びる第1仮想線17に対して線対称となるように形成されている。また、前記環状部分は、第1仮想線17と直交する方向に延びる第2仮想線19に対して線対称となるように形成されている。
【0028】
なお、ガスケット1は、前述の略H状の断面形状を有する前記環状部分を備える筒状体に代えて、少なくともガスケット1の軸方向一方側及び軸方向他方側の各々における内周側(後述のガスケット側流体流路61側)に装着部13が形成される環状部分を備える筒状体にしてもよい。
【0029】
一方、流体デバイス3は、第1傾斜部11を受ける第2傾斜部21を有する筒状の被装着部23を備えている。本実施形態においては、別の流体デバイス5も、第1傾斜部11を受ける第2傾斜部21を有する筒状の被装着部23を備えている。
【0030】
流体デバイス3の被装着部23は、別の流体デバイス5の被装着部23の下方に設けられ、互いに隣り合った状態である。流体デバイス3の被装着部23と別の流体デバイス5の被装着部23とは、ガスケット1を介して対向し得るように、略同軸上に配置されている。
【0031】
本実施形態においては、ガスケット1がその軸方向一方側(下方側)で流体デバイス3に装着される構造と、ガスケット1がその軸方向他方側(上方側)で別の流体デバイス5に装着される構造とが実質的に同じであるので、以下では主として流体デバイス3側について説明する。
【0032】
流体デバイス3は、その一端部(
図1の上端部)に被装着部23を備えている。流体デバイス3は、被装着部23に流体デバイス側流体流路31を有している。この流体デバイス側流体流路31は、断面円形状を有し、流体デバイス3におけるガスケット1の装着方向(上下方向)に延在している。
【0033】
流体デバイス側流体流路31は、筒状である被装着部23の筒孔(内部空間)から構成されている。流体デバイス側流体流路31は、ガスケット1側(上方側)に向かって開口している。ここで、流体デバイス側流体流路31の開口部分33は、被装着部23の端面(上端面)45よりも下方に設けられている。
【0034】
本実施形態において、被装着部23は、所定の熱可塑性樹脂から構成されている。被装着部23を構成する樹脂としては、例えば、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等を含むフッ素樹脂を挙げることができる。また、フッ素樹脂としては、PFAやPTFE以外にもPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)等であっても良い。さらに、使用分野(用途)に応じて、PP(ポリプロピレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、または、POM(ポリオキシメチレン)樹脂等の樹脂材料から構成することも可能である。
【0035】
被装着部23は、ガスケット1の装着時にその装着部13を受けることができるように、流体デバイス側流体流路31の開口部分33を囲む環状の内側凹部35と、内側凹部35を囲む環状の凸部37と、当該凸部37を囲む環状の外側凹部39とを備えている。
【0036】
内側凹部35、凸部37及び外側凹部39は、それぞれ、ガスケット1の装着方向である軸方向(上下方向)に延在している。内側凹部35、凸部37及び外側凹部39は、同軸上に配置されるとともに、それぞれ流体デバイス側流体流路31と略同軸上に配置されている。
【0037】
内側凹部35は、後述のガスケット1の内側突部63と嵌合可能な形状を有している。内側凹部35は、ガスケット1側(上方側)に開口し、流体デバイス側流体流路31の開口部分33の径方向外方において開口部分33に沿って被装着部23の周方向に延在している。
【0038】
凸部37は、後述のガスケット1の溝部65と嵌合可能な形状を有している。凸部37は、流体デバイス3の本体側部分41から別のガスケット1側(上方側)へ突出し、内側凹部35の径方向外方において内側凹部35に沿って被装着部23の周方向に延在している。
【0039】
外側凹部39は、後述のガスケット1の外側突部67と嵌合可能な形状を有している。外側凹部39は、ガスケット1側(上方側)に開口し、凸部37の径方向外方において凸部37に沿って被装着部23の周方向に延在している。
【0040】
詳しくは、内側凹部35は、凸部37と突起43との間に設けられている。内側凹部35は、凸部37と突起43とによって形成されており、一部を除いて突起43の形状に対応して開口面積が内側凹部35の開口部分から底部側(上方側から下方側)へ向かうにつれて小さくなるように形成されている。
【0041】
突起43は、被装着部23の径方向において、流体デバイス側流体流路31の開口部分33と凸部37との間に設けられている。突起43の突出方向は、ガスケット1に向かう方向(上方向)である。突起43は、流体デバイス3の本体側部分41から前記突出方向へ突出している。
【0042】
突起43は、被装着部23の軸方向に延在した状態で、流体デバイス側流体流路31の開口部分33付近においてこの開口部分33に沿って被装着部23の周方向に延在している。突起43は、凸部37の径方向内方において凸部37に沿って被装着部23の周方向に延在している。
【0043】
突起43は、略一定の内径を有する環形状を有し、被装着部23の端面(上端面)45に向かって先細るようにテーパ状に形成されている。突起43において、第2傾斜部21を有する外周部は、断面視で凹形状(本実施形態においては階段形状)を有している。
【0044】
第2傾斜部21は、内側凹部35が突起43の外周部に応じた形状を有するように、突起43の突出端部47側(上方側)が凸部37に対して被装着部23の径方向に所定間隔を隔て、突起43の突出基部49側(下方側)が凸部37の突出基部51につながっている。
【0045】
第2傾斜部21は、突起43の突出端部47側(上方側)が突起43の突出基部49側(下方側)に比べて径方向内方に位置するように形成され、突起43の外周部に階段形状(凹凸形状)を備えた状態で、突出端部47側から突出基部49側に向かうにつれて径方向外方に位置するように傾斜している。
【0046】
また、第2傾斜部21は、複数の傾斜部分(後述の第1の圧接部95A及び第2の圧接部95B)から構成されている。これらの傾斜部分は、第2傾斜部21の傾斜方向に沿って並べられて、第2傾斜部21をなすべく全体的に連続するように設けられている。
【0047】
外側凹部39は、凸部37に対して内側凹部35と略対称に構成されている。外側凹部39は、内側凹部35が凸部37と第2傾斜部21を用いて画定されるのと同様に、凸部37と対応する第2傾斜部21を用いて画定されている。
【0048】
凸部37は、被装着部23の端面(上端面)45よりも上方には突出しないように、すなわち当該凸部37の突出端部53が被装着部23の軸方向において被装着部23の端面45よりも流体デバイス3の本体側部分41側(下方側)に位置するように設けられている。
【0049】
また、本実施形態において、ガスケット1(装着部13)は、所定の熱可塑性樹脂から構成されている。ガスケット1を構成する樹脂としては、例えば、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等を含むフッ素樹脂を挙げることができる。また、フッ素樹脂としては、PFAやPTFE以外にもPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)等であっても良い。さらに、使用分野(用途)に応じて、PP(ポリプロピレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、または、POM(ポリオキシメチレン)樹脂等の樹脂材料から構成することも可能である。
【0050】
ガスケット1は、ガスケット側流体流路61を有している。ガスケット側流体流路61は、筒状体であるガスケット1の軸方向に沿う貫通孔から形成されている。ガスケット側流体流路61は、軸方向から見たときに円形状を有し、ガスケット1の軸心方向(上下方向)に延在している。
【0051】
ガスケット側流体流路61は、略一定である直径(ガスケット1の内径に相当)であって、流体デバイス3における流体デバイス側流体流路31の直径(被装着部23の内径に相当)と略同じ直径を有している。ガスケット側流体流路61は、流体デバイス側流体流路31と略同軸上に配置されている。
【0052】
ガスケット側流体流路61は、ガスケット1(装着部13)の軸方向一方側の端部(下端部)において流体デバイス3側(下方側)に向かって開口し、その開口部分を介して流体デバイス3における流体デバイス側流体流路31と接続されている。
【0053】
ガスケット1の軸方向一方側の装着部13は、流体デバイス3の被装着部23への装着のために、ガスケット側流体流路61を囲む環状の内側突部63と、内側突部63を囲む環状の溝部65と、溝部65を囲む環状の外側突部67とを備えている。
【0054】
内側突部63、溝部65及び外側突部67は、それぞれ、ガスケット1の軸心方向(上下方向)に延在している。内側突部63、溝部65及び外側突部67は、同軸上に配置されるとともに、それぞれガスケット側流体流路61と略同軸上に配置されている。
【0055】
内側突部63は、流体デバイス3における内側凹部35と嵌合可能な形状を有している。内側突部63は、ガスケット1の軸方向中央部69から軸方向一方(下方)へ突出し、ガスケット側流体流路61の径方向外方においてガスケット側流体流路61に沿って装着部13の周方向に延在している。
【0056】
溝部65は、流体デバイス3における凸部37と嵌合可能な形状を有している。溝部65は、ガスケット1の軸方向一方(下方)に開口し、内側突部63の径方向外方において内側突部63に沿って装着部13の周方向に延在している。
【0057】
詳しくは、溝部65は、内側突部63と外側突部67との間に設けられている。溝部65は、装着部13が被装着部23に装着された場合に当該溝部65が凸部37と嵌合したときに、当該溝部65の内周側で凸部37と圧接するように構成されている。
【0058】
溝部65は、内側突部63と、外側突部67と、ガスケット1の軸方向中央部69とによって、凸部37に対応するように画定されている。溝部65の開口部分71は、ガスケット1の軸方向において、内側突部63の突出端部73と外側突部67の突出端部75と略同じ位置に配置されている。
【0059】
外側突部67は、流体デバイス3における外側凹部39と嵌合可能な形状を有している。外側突部67は、ガスケット1の軸方向中央部69から軸方向一方(下方)へ突出し、溝部65の径方向外方において溝部65に沿って装着部13の周方向に延在している。
【0060】
内側突部63は、突出端部73側の部分(下側部分)が内側突部63の突出端面(下端面)81に向かって先細るように形成されている。内側突部63の突出端部73側の部分は、環状の第1傾斜部11を有する内周部と、溝部65に臨む外周部とを有している。
【0061】
第1傾斜部11においては、内側突部63の突出端部73側(下方側)の領域が、内側突部63の突出端部73に含まれる突出端面81につながっている。また、内側突部63の突出基部83側(上方側)の領域が、内側突部63の内周部に含まれる内周面85につながっている。
【0062】
第1傾斜部11は、被装着部23の軸心に対して傾斜する形状を有する環状の第2傾斜部21と全周にわたって接触(圧接)することができるように、ガスケット1の軸心15に対して傾斜する形状を有している。なお、被装着部23の軸心とガスケット1(装着部13)の軸心15とは略同一直線上にある。
【0063】
第1傾斜部11は、複数の傾斜部分(後述の第1の圧接部91A及び第2の圧接部91B)から構成されている。これらの傾斜部分は、第1傾斜部11の傾斜方向に沿って並べられて、第1傾斜部11をなすべく全体的に連続するように設けられている。
【0064】
ここでは、第1傾斜部11の傾斜方向は、内側突部63の突出基部83側から内側突部63の突出端部73側に向かうほど、第1傾斜部11の傾斜面が溝部65に近づくように設定されている
【0065】
内側突部63の突出端部73側の部分において、第1傾斜部11を有する外周部は、断面視で階段形状(凹凸形状)である。この外周部において、前記階段形状のうちの各段部分の形状が、第2傾斜部21に係る階段形状のうちの各段部分の形状に対応するように形成されている。
【0066】
そして、ガスケット1においては、第1傾斜部11及び第2傾斜部21が、第1傾斜部11と第2傾斜部21との間がシールされるように、第1傾斜部11の少なくとも一部と第2傾斜部21の少なくとも一部とを圧接させるようになっている。
【0067】
第1傾斜部11は、内側突部63の突出端部73側(下方側)の領域が内側突部63の突出基部83側(上方側)の領域に比べて径方向外方に位置するように形成されており、一部を除いて突出基部83側から突出端部73側に向かうにつれて径方向外方に位置するように傾斜している。
【0068】
すなわち、内側突部63の第1傾斜部11が設けられた突出端部73側の内周部は、一部を除いて内側突部63の突出基部83側(上方側)の内径に対し内側突部63の突出端部73側(下方側)ほど大きな内径を有するようになっている。
【0069】
第1傾斜部11は、ガスケット1(装着部13)の内周部の略全域にわたって延びる環形状を有している。第1傾斜部11は、その傾斜面における内側突部63の突出端部73側の領域を内側突部63の突出端面81に連続的に設け、内側突部63の突出基部83側を内側突部63の内周面85に連続的に設けている。
【0070】
そして、第1傾斜部11の少なくとも一部が、環状段部93よりなる複数の圧接部91を有している。一方、第2傾斜部21の少なくとも一部が、複数の圧接部91に対応する環状段部97よりなる複数の被圧接部95を有している。
【0071】
環状段部93は、第1傾斜部11の傾斜方向に延びかつ周方向の全周にわたって延びる段部が複数設けられた階段形状を有している。環状段部93は、前記段部に相当する箇所に、複数の圧接部91を備えている。
【0072】
本実施形態において、複数の圧接部91は、2段の階段形状を有する環状段部93から構成されている。複数の圧接部91は、第1の圧接部91Aと、第1の圧接部91Aに対して装着部13の径方向内方に位置する第2の圧接部91Bとを備えている。
【0073】
第1の圧接部91A及び第2の圧接部91Bは、環状段部93の段部分に位置するように設けられている。ここで、環状段部93は、2段の階段形状を有するものに限定するものではなく、圧接部の数を増加させるために3段以上の階段形状を有するものとしてもよい。
【0074】
第1の圧接部91Aは、
図4に示すように、断面視で直線状に延びる傾斜面(テーパ―形状の面)よりなる圧接面を有している。この圧接面は、第1傾斜部11の傾斜面(表面)の一部をなすものであり、第1の圧接部91Aにおいて装着部13の全周にわたって延びている。
【0075】
第2の圧接部91Bは、
図4に示すように、断面視で直線状に延びる傾斜面(テーパ―形状の面)よりなる圧接面を有している。この圧接面は、第1傾斜部11の傾斜面のその他の一部をなすものであり、第2の圧接部91Bにおいて装着部13の全周にわたって延びている。
【0076】
本実施形態においては、第1の圧接部91Aの圧接面と第2の圧接部91Bの圧接面とが、第1傾斜部11の傾斜面の略全部を形成している。第1の圧接部91Aの圧接面と第2の圧接部91Bの圧接面とは、略同じ傾斜勾配を有し、段差面99を介して設けられている。
【0077】
なお、第1の圧接部91Aの圧接面及び第2の圧接部91Bの圧接面は、互いに異なる傾斜勾配を有するものであってもよい。
【0078】
また第1の圧接部91Aの圧接面及び第2の圧接部91Bの圧接面は、後述する第1の被圧接部95Aの圧接面及び第2の被圧接部95Bの圧接面とほぼ同時に接触する構成であるが、第1の圧接部91A又は第2の圧接部91Bのいずれか一方を先に接触させる構成であってもよい。この場合、第1の圧接部91A側よりも第2の圧接部91B側を先に接触させる方がシール性能を向上させることができる。
【0079】
さらに、第1の圧接部91Aの圧接面と第1の被圧接部95Aの圧接面とは、略同一の傾斜勾配を有するものであってもよいし、互いに異なる傾斜勾配を有するものであってもよい。第1の圧接部91Bの圧接面と第2の被圧接部95Bの圧接面とは、略同一の傾斜勾配を有するものであってもよいし、互いに異なる傾斜勾配を有するものであってもよい。
【0080】
そして、複数の圧接部91の各々が、第2傾斜部21に設けられた、環状段部97よりなる複数の被圧接部95と圧接可能とされている。ここで、第2傾斜部21は、流体デバイス3の被装着部23の所定箇所で周方向の略全域にわたって延びる環形状を有している。
【0081】
環状段部97は、第2傾斜部21の傾斜方向に延びかつ周方向の全周にわたって延びる段部が複数設けられた階段形状を有している。環状段部97は、前記段部に相当する箇所に、複数の被圧接部95を備えている。
【0082】
本実施形態において、複数の被圧接部95は、2段の階段形状を有する環状段部97から構成されている。複数の被圧接部95は、第1の被圧接部95Aと、第1の被圧接部95Aに対して被装着部23の径方向内方に位置する第2の被圧接部95Bとを備えている。
【0083】
第1の被圧接部95A及び第2の被圧接部95Bは、環状段部97の段部分に位置するように設けられている。ここで、環状段部97は、2段の階段形状を有するものに限定するものではなく、被圧接部の数を増加させるために3段以上の階段形状を有するものとしてもよい。
【0084】
第1の被圧接部95Aは、
図4に示すように、断面視で直線状に延びる傾斜面(テーパ―形状の面)よりなる圧接面を有している。この圧接面は、第2傾斜部21の傾斜面(表面)の一部をなすものであり、第1の被圧接部95Aにおいて被装着部23の全周にわたって延びている。
【0085】
第2の被圧接部95Bは、
図4に示すように、断面視で直線状に延びる傾斜面(テーパ―形状の面)よりなる圧接面を有している。この圧接面は、第2傾斜部21の傾斜面(表面)の一部をなすものであり、第2の被圧接部95Bにおいて被装着部23の全周にわたって延びている。
【0086】
本実施形態においては、第1の被圧接部95Aの圧接面と第2の被圧接部95Bの圧接面とが、第2傾斜部21の傾斜面の略全部を形成している。第1の被圧接部95Aの圧接面と第2の被圧接部95Bの圧接面とは、略同じ傾斜勾配を有し、段差面101を介して設けられている。
【0087】
第1の被圧接部95Aの圧接面の傾斜勾配及び第2の被圧接部95Bの圧接面の傾斜勾配は、それぞれ、第1の圧接部91Aの圧接面の傾斜勾配及び第2の圧接部91Bの圧接面の傾斜勾配に応じて適宜設定され得る。
【0088】
なお、外側突部67は、溝部65に対して内側突部63と略対称に構成されている。すなわち、外側突部67は、第2仮想線19に対して線対称に形成されている。そのため、外側突部67については、内側突部63と実質的に同じ構成には同じ符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0089】
このような構成において、本実施形態に係るガスケットの装着構造を得るために、ガスケット1を、流体デバイス3に対して装着前の状態(
図3、
図4参照)から装着後の状態(
図1、
図2参照)に移行させる場合、ガスケット1の軸方向一方側(下方側)の装着部13を流体デバイス3の被装着部23に近づける。
【0090】
そして、装着部13の内側突部63を被装着部23の内側凹部35で受け、装着部13の溝部65を被装着部23の凸部37で受け、装着部13の外側突部67を被装着部23の外側凹部39で受ける。同様の作業を別の流体デバイス5についても行う。
【0091】
次に、図示しない締結手段を用いて、流体デバイス3と別の流体デバイス5との締結を、これらが互いに引き寄せられる方向に締め付けられるように開始する。これにより、まず、第1傾斜部11における複数の圧接部91を、それぞれ、第2傾斜部21における複数の被圧接部95に接近させる。
【0092】
なお、前記締結手段は、特に限定するものではないが、例えば、流体デバイス3及び別の流体デバイス5の一方に設けられたボルト挿通孔と他方に設けられたナットと、前記ボルト挿通孔に挿通された状態で前記ナットに螺合されるボルトとを備えたものとすることが可能である。
【0093】
次に、前記締結手段による締め付けを続けて、第1傾斜部11における複数の圧接部91を、それぞれ、第2傾斜部21における複数の被圧接部95に圧接させようとする。これにより、
図5に示すように、第1傾斜部11と第2傾斜部21との間に、少なくとも1つの圧接箇所を得る。
【0094】
このとき、装着部13の内側突部63が被装着部23の内側凹部35と嵌合し、装着部13の溝部65が前述の圧接を行いつつ被装着部23の凸部37と嵌合し、装着部13の外側突部67が被装着部23の外側凹部39と嵌合して、装着部13が被装着部23に装着された状態となる。
【0095】
つまり、流体デバイス3及び別の流体デバイス5へのガスケット1の装着が完了することになる。そして、第1傾斜部11及び第2傾斜部21によって軸方向に作用するシール部を形成するとともに、凸部37及び溝部65によって径方向に作用するシール部を形成することができる。
【0096】
詳しくは、第1傾斜部11における複数の圧接部91と第2傾斜部21における複数の被圧接部95との圧接によって、第1傾斜部11及び第2傾斜部21との間に、シール部の形成のために少なくとも1つの環状圧接箇所を得ることになる。
【0097】
そのため、第1傾斜部11及び第2傾斜部21との間には、複数の圧接部91A,91Bのうちの少なくとも1つの圧接部91A,91Bと、複数の被圧接部95A,95Bのうちの少なくとも1つの被圧接部95A,95Bとから形成された少なくとも1つのシール部を得ることが可能となる。つまり、流体デバイス3へのガスケット1の装着時、第1傾斜部11と第2傾斜部21との間には、シール作用を確実に発揮するシール部を少なくとも1つ容易に確保することができる。結果、前記ガスケットと前記流体デバイスとの間を確実にかつ簡単にシールすることができる。
【0098】
また、本実施形態において、
図5に示すように、第1傾斜部11及び第2傾斜部21の傾斜方向において隣り合う第1の圧接部91Aと第2の圧接部91Bとの間及び対応する第1の被圧接部95Aと第2の被圧接部95Bとの間に、環状空間部103が設けられている。
【0099】
環状空間部103は、互いに対向する段差面99・101と、互いに対向する第2の圧接部91Bの一部及び第1の被圧接部95Aの一部とによって画定され、第1傾斜部11及び第2傾斜部21の傾斜方向において前記圧接箇所(圧接部91A,91B及び被圧接部95A,95B)の側方に設けられている。
【0100】
このような構成により、本実施形態のようにガスケット1(装着部13)及び流体デバイス3の被装着部23が樹脂製である場合に、第1傾斜部11の圧接部91と第2傾斜部21の被圧接部95とが圧接したとき、その圧接に伴い変形する圧接部91の一部及び被圧接部95の一部を環状空間部103に逃がして、良好な圧接状態を確保することができる。
【0101】
なお、第1傾斜部11の階段状の環状段部93及び第2傾斜部21の階段状の被圧接部95は、それぞれ、本実施形態のような階段状のものに限定するものではなく、例えば、
図6,7に示すような第1傾斜部11及び第2傾斜部21の傾斜方向において段部の並び順を逆に変えた階段状のものとしてもよい。
【0102】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0103】
本実施形態は、
図8、
図9に示すように、第1傾斜部11及び第2傾斜部21のうち、一方が複数の環状凸部173よりなる複数の圧接部171を有し、他方が複数の圧接部171に対応する被圧接部175を有する点で、第1実施形態と相違する。
【0104】
詳しくは、第1傾斜部11が、複数の環状凸部173よりなる複数の圧接部171を有している。複数の圧接部171のうちの各圧接部171は、第1傾斜部11の傾斜方向において隣り合う圧接部171と所定間隔隔てた位置に設けられている。
【0105】
複数の圧接部171は、本実施形態においては、第1の圧接部171Aと、第1の圧接部171Aに対して装着部13の径方向内方に位置する第2の圧接部171Bとを含んでいる。
【0106】
複数の圧接部171において、第1の圧接部171Aと第2の圧接部171Bとは第1傾斜部11の傾斜方向に所定間隔隔てて設けられている。ここで、複数の圧接部171の数は、本実施形態のように2つに限定するものではなく、3つ以上であってもよい。
【0107】
第1の圧接部171Aは、
図8に示すように、断面視で直線状に延びる第1傾斜部11の傾斜面に装着部13の径方向内方に向かって吐出するように設けられている。第1の圧接部171Aは、第1傾斜部11の傾斜面において、装着部13の全周にわたって延びている。
【0108】
第2の圧接部171Bは、
図8に示すように、第1傾斜部11の傾斜面に装着部13の径方向内方に向かって突出するように設けられている。第2の圧接部171Bは、第1傾斜部11の傾斜面において、装着部13の全周にわたって延びている。
【0109】
第1の圧接部171Aと第2の圧接部171Bとは、略同じ形状を有している。なお、第1の圧接部171Aおよび第2の圧接部171Bは、一方が他方の存在により妨げられることなく第2傾斜部21における後述の被圧接部175に圧接することができるものであればよく、異なる形状を有するものであってもよい。
【0110】
そして、第2傾斜部21が、複数の圧接部171の各々に対応(圧接)可能な被圧接部175を有している。本実施形態において、被圧接部175は、第2傾斜部21の傾斜面の一部をなす環状面である。ここで、第2傾斜部21の傾斜面は、断面視で直線状に延びる形状を有している。
【0111】
被圧接部175は、第2傾斜部21において、被装着部23の全周にわたって延びている。被圧接部175は、第2傾斜部21の傾斜方向において複数の環状凸部173よりなる複数の圧接部171の各々と対向可能に形成され、これらと圧接することができるようになっている。
【0112】
このような構成において、本実施形態に係るガスケットの装着構造を得るために、ガスケット1を、流体デバイス3に対して装着前の状態(
図8参照)から装着後の状態(
図9参照)に移行させる場合、ガスケット1の軸方向一方側の装着部13を流体デバイス3の被装着部23に近づける。
【0113】
そして、装着部13の内側突部63を被装着部23の内側凹部35で受け、装着部13の溝部65を被装着部23の凸部37で受け、装着部13の外側突部67を被装着部23の外側凹部39で受ける。同様の作業を別の流体デバイス5についても行う。
【0114】
次に、前述のような締結手段を用いて、流体デバイス3と別の流体デバイス5との締結を、これらが互いに引き寄せられる方向に締め付けられるように開始する。第1傾斜部11における複数の圧接部171を、第2傾斜部21における被圧接部175に接近させる。
【0115】
次に、前記締結手段による締め付けを続けて、第1傾斜部11における複数の圧接部171の少なくとも1つを、第2傾斜部21における被圧接部175に圧接ようとする。これにより、第1傾斜部11と第2傾斜部21との間に、少なくとも1つの圧接箇所を得る。
【0116】
この際には、
図9に示すように、被圧接部175に圧接された状態の圧接部171を元の凸部形状に比べて収縮する方向に変形させる。圧接部171を潰す程度に被圧接部175に強く押し当てた状態とする。こうして、被圧接部175に対する接触面圧を高める。
【0117】
このとき、装着部13の内側突部63が被装着部23の内側凹部35と嵌合し、装着部13の溝部65が前述の圧接を行いつつ被装着部23の凸部37と嵌合し、装着部13の外側突部67が被装着部23の外側凹部39と嵌合して、装着部13が被装着部23に装着された状態となる。
【0118】
つまり、流体デバイス3及び別の流体デバイス5へのガスケット1の装着が完了することになる。そして、第1傾斜部11及び第2傾斜部21によって軸方向に作用するシール部を形成するとともに、凸部37及び溝部65によって径方向に作用するシール部を形成することができる。
【0119】
詳しくは、第1傾斜部11における複数の圧接部171と第2傾斜部21における被圧接部175との圧接によって、第1傾斜部11及び第2傾斜部21との間に、シール部の形成のために、少なくとも1つの環状圧接箇所を得ることになる。なお、この環状圧接箇所は、前述のとおり接触面圧が高いものとなる。
【0120】
そのため、第1傾斜部11及び第2傾斜部21との間には、圧接部171A,171Bのうちの少なくとも1つの圧接部171A,171Bと、被圧接部175とから形成された少なくとも1つのシール部を得ることが可能となる。つまり、流体デバイス3へのガスケット1の装着時、第1傾斜部11と第2傾斜部21との間に、シール作用が確実に発揮されるシール部を少なくとも1つ容易に確保することができる。結果、前記ガスケットと前記流体デバイスとの間を確実にかつ簡単にシールすることができる。
【0121】
なお、第1傾斜部11及び第2傾斜部21は、本実施形態で説明した構成に代えて、第2傾斜部21が複数の環状凸部173よりなる複数の圧接部171を有し、第1傾斜部11が複数の圧接部171に対応する被圧接部175を備えるものとしてもよい。
【0122】
なお、本発明における傾斜部(上述の実施形態においては、第1傾斜部11及び第2傾斜部21)は、直線状に傾斜する傾斜部であってもよいし、湾曲状(円弧状)に傾斜する傾斜部あってもよい。
【0123】
上述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態及び変形形態をとり得ることは明らかである。したがって、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0124】
1 ガスケット
3 流体デバイス
5 別の流体デバイス
11 第1傾斜部
13 装着部
21 第2傾斜部
23 被装着部
91 圧接部
93 環状段部
95 被圧接部
97 環状段部
103 環状空間部
171 圧接部
173 環状凸部
175 被圧接部