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  • 特許-通信システムの送信装置及び受信装置 図1
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  • 特許-通信システムの送信装置及び受信装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】通信システムの送信装置及び受信装置
(51)【国際特許分類】
   H03M 13/31 20060101AFI20220127BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20220127BHJP
   H03M 13/11 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
H03M13/31
H04L27/26 113
H03M13/11
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018164432
(22)【出願日】2018-09-03
(65)【公開番号】P2020039026
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2020-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】別府 翔平
(72)【発明者】
【氏名】釣谷 剛宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英憲
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0083716(US,A1)
【文献】特開2011-041264(JP,A)
【文献】特開2008-104193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 13/31
H04L 27/26
H03M 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビット列の変換を行う第1コードブックと、ビット列の変換を行う第2コードブックと、を保持する保持手段と、
第1期間においては送信するデータに対応するビット列を前記第1コードブックで変換し、第2期間においては送信するデータに対応するビット列を前記第2コードブックで変換し、それぞれ、変換後のビット列を出力する変換手段と、
前記変換手段が出力する前記変換後のビット列をシンボルにマッピングして送信する送信手段と、
を備え、
前記第1コードブックは、第1の値のシェイピング・パラメータに基づき、
前記第2コードブックは、前記第1の値より大きい第2の値のシェイピング・パラメータに基づき、
前記第1期間と前記第2期間の比率は、前記第1の値以上、かつ、前記第2の値以下である第3の値のシェイピング・パラメータに基づき決定されることを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記第3の値に基づき前記第1期間と前記第2期間の比率を決定する決定手段をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載の送信装置。
【請求項3】
前記保持手段は、シェイピング・パラメータと信号対雑音比との関係を示す判定情報をさらに保持しており、
入力される信号対雑音比と前記判定情報とに基づき前記第3の値を判定する判定手段をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載の送信装置。
【請求項4】
ビット列の変換を行う第1コードブックと、ビット列の変換を行う第2コードブックと、を保持する保持手段と、
1つ以上の第1キャリアそれぞれで送信するデータに対応するビット列を前記第1コードブックで変換し、1つ以上の第2キャリアそれぞれで送信するデータに対応するビット列を前記第2コードブックで変換し、前記1つ以上の第1キャリア及び前記1つ以上の第2キャリアそれぞれについて、変換後のビット列を出力する変換手段と、
前記変換手段が出力する前記1つ以上の第1キャリアそれぞれのビット列を、対応する第1キャリアのシンボルにマッピングし、前記変換手段が出力する前記1つ以上の第2キャリアそれぞれのビット列を、対応する第2キャリアのシンボルにマッピングして送信する送信手段と、
を備え、
前記第1コードブックは、第1の値のシェイピング・パラメータに基づき、
前記第2コードブックは、前記第1の値より大きい第2の値のシェイピング・パラメータに基づくことを特徴とする送信装置。
【請求項5】
前記1つ以上の第1キャリアの数と前記1つ以上の第2キャリアの数の比率は、第3の値のシェイピング・パラメータに基づき決定され、
前記第3の値は、前記第1の値以上、かつ、前記第2の値以下であることを特徴とする請求項に記載の送信装置。
【請求項6】
前記第3の値に基づき前記1つ以上の第1キャリアの数と前記1つ以上の第2キャリアの数の比率を決定する決定手段をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載の送信装置。
【請求項7】
前記保持手段は、シェイピング・パラメータと信号対雑音比との関係を示す判定情報をさらに保持しており、
入力される信号対雑音比と前記判定情報とに基づき前記第3の値を判定する判定手段をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載の送信装置。
【請求項8】
ビット列の変換を行う第1コードブックと、ビット列の変換を行う第2コードブックと、を保持する保持手段と、
シンボルを受信してビット列を出力する受信手段と、
第1期間においては前記受信手段が出力するビット列を前記第1コードブックで変換し、第2期間においては前記受信手段が出力するビット列を前記第2コードブックで変換し、それぞれ、変換後のビット列を出力する変換手段と、
を備え、
前記第1コードブックは、第1の値のシェイピング・パラメータに基づき、
前記第2コードブックは、前記第1の値より大きい第2の値のシェイピング・パラメータに基づき、
前記第1期間と前記第2期間の比率は、前記第1の値以上、かつ、前記第2の値以下である第3の値のシェイピング・パラメータに基づき決定されることを特徴とする受信装置。
【請求項9】
前記第3の値に基づき前記第1期間と前記第2期間の比率を決定する決定手段をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載の受信装置。
【請求項10】
前記保持手段は、シェイピング・パラメータと信号対雑音比との関係を示す判定情報をさらに保持しており、
入力される信号対雑音比と前記判定情報とに基づき前記第3の値を判定する判定手段をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載の受信装置。
【請求項11】
ビット列の変換を行う第1コードブックと、ビット列の変換を行う第2コードブックと、を保持する保持手段と、
1つ以上の第1キャリア及び1つ以上の第2キャリアのそれぞれのシンボルを受信してビット列を出力する受信手段と、
前記1つ以上の第1キャリアそれぞれのシンボルに基づき前記受信手段が出力するビット列を前記第1コードブックで変換し、前記1つ以上の第2キャリアそれぞれのシンボルに基づき前記受信手段が出力するビット列を前記第2コードブックで変換し、それぞれ、変換後のビット列を出力する変換手段と、
を備え、
前記第1コードブックは、第1の値のシェイピング・パラメータに基づき、
前記第2コードブックは、前記第1の値より大きい第2の値のシェイピング・パラメータに基づくことを特徴とする受信装置。
【請求項12】
前記1つ以上の第1キャリアの数と前記1つ以上の第2キャリアの数の比率は、第3の値のシェイピング・パラメータに基づき決定され、
前記第3の値は、前記第1の値以上、かつ、前記第2の値以下であることを特徴とする請求項11に記載の受信装置。
【請求項13】
前記第3の値に基づき前記1つ以上の第1キャリアの数と前記1つ以上の第2キャリアの数の比率を決定する決定手段をさらに備えていることを特徴とする請求項12に記載の受信装置。
【請求項14】
前記保持手段は、シェイピング・パラメータと信号対雑音比との関係を示す判定情報をさらに保持しており、
入力される信号対雑音比と前記判定情報とに基づき前記第3の値を判定する判定手段をさらに備えていることを特徴とする請求項13に記載の受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムの送信装置及び受信装置に関し、より詳しくは、確率シェイピング(PS:Probabilistic Shaping)を使用する通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
QAMの様な、少なくとも振幅を変調の対象とする変調方式において、振幅の大きなシンボルの送信には、振幅の小さいシンボルの送信より多くの電力を必要とする。したがって、非特許文献1及び2は、振幅の小さいシンボルの発生確率を、振幅の大きいシンボルの発生確率より高くすることで周波数利用効率を改善する確率シェイピング(PS:Probabilistic Shaping)を用いた通信システムを開示している。
【0003】
図1は、確率シェイピング(以下、PS)を用いた通信システムを示している。なお、パリティ処理部82及び92が行うパリティ処理はオプションであるため、まず、パリティ処理部82及び92を有さない場合について説明する。なお、以下の説明において、送信装置8と受信装置9は256QAMを使用して通信を行うものとする。つまり、送信装置8は1シンボルで8ビットを送信するものとする。
【0004】
送信装置8の変換部81には送信するデータに対応するビット列が入力される。変換部81は、コードブック84に従い入力ビット列を変換する。図4は、コードブック84の例を示している。コードブック84は、nビットのビット列と、mビットのビット列との関係を示している。ここで、m>nであり、mは、使用する変調方式の多値度に対応する数の整数倍の数である。本例では、256QAM、つまり、多値度は8であるためm=8×p(pは整数)である。また、nビットのビット列のパターンの数は2個であるため、コードブック84は、2個のnビットのパターンそれぞれについて、対応するmビットのパターンを示すものとなる。変換部81は、入力ビット列をnビット単位に区切り、各区間のnビットのパターンに対し、対応するmビットのパターンを出力する。マッピング部83は、変換部81が、あるnビットを変換してmビットのビット列を出力すると、当該mビットのビット列に基づきp個のシンボルを生成して出力する。
【0005】
ここで、コードブック84が示す2個のmビットのビット列(つまり、2個のp個のシンボル列)は、各振幅のシンボルが所定確率で出現する様に設定されている。なお、振幅の小さいシンボル程、出現確率は高くなる様に設定されている。よって、送信装置8が出力するシンボル列のシンボルは、振幅の小さいもの程、その数が多くなる。
【0006】
受信装置9のディマッピング部91は、送信装置8が送信するシンボル列を受信し、各シンボルをビット列、本例では、8ビットのビット列に変換する。変換部93は、8ビットのビット列をp個受信すると、m=8×pビットのビット列をコードブック94に従いnビットのビット列に変換する。なお、コードブック94は、コードブック84の入力側と出力側を入れ替えたものである。
【0007】
続いて、パリティ処理部82及び92がパリティ処理は行う場合について説明する。この場合、例えば、コードブック84は、各nビットのパターンを、m=(8-1)×pビットのパターンに変換するものとする。つまり、本例では、256QAMであるため、1シンボルは8ビットに対応するが、コードブック84では、1シンボル当たり7ビット分のパターンを出力する。そして、パリティ処理部82は、1シンボルに対応する7ビットに1ビットのパリティを付加し、8ビットにする。ここで、パリティとしては"0"又は"1"が付加されるが、このパリティにより複素平面上の象限が変わるが、振幅は変わらない様に、mビットのパターンとシンボルの複素平面上における座標を設定しておく。そうすることで、各シンボルの出現確率を、その振幅に応じた所定値とすることができる。受信装置9において、パリティ処理部92は、ディマッピング部91が出力する各シンボルに対応するビット列に基づきパリティ検査を行う。なお、図1では、オプションとして誤り検出符号(パリティ)を使用したが、誤り訂正符号を同様の考え方により使用することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】M.P.Yankovn,et al.,"Constellation Shaping for WDM Systems Using 256QAM/1024QAM With Probabilistic Optimization",JLT,Vol.34,No.22,2016年11月15日
【文献】G.Bocherer,et al.,"Bandwidth Efficient and Rate-Matched Low-Density Parity-Check Coded Modulation,IEEE TRANSACTIONS ON COMMUNICATIONS,Vol.63,NO.12,2015年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
PSにおいて、周波数利用効率は、シェイピング・パラメータv及びPSを適用する通信システムのSNRに応じて変化する。なお、シェイピング・パラメータvとは、振幅xのシンボルの送信確率P(x)を示すパラメータであり、例えば、P(x)は、
【0010】
【数1】
である。なお、実際のP(x)の値は、式(1)の右辺の値を全シンボルに渡り積算した値が1になる様に正規化される。式(1)より、シェイピング・パラメータvが0であると、総てのシンボルの出現確率が等しい通常の通信システムになる。また、シェイピング・パラメータvの値が大きくなる程、振幅の小さいシンボルの出現確率が大きくなる。なお、コードブックは、シェイピング・パラメータvに応じて異なるものとなる。
【0011】
したがって、周波数利用効率を最適にするには、適用する通信システムのSNRに応じてシェイピング・パラメータvを選択しなければならない。このため、例えば、多数のシェイピング・パラメータvそれぞれについてコードブックを作成して送信装置及び受信装置に格納しておき、SNRに応じて最適なコードブックを選択して使用することが考えられる。しかしながら、上述した様に、1つのコードブックは、2個のnビット列のパターンそれぞれについて、対応するmビット(m>n)のビット列を示すものであり、そのデータ量は膨大である。したがって、多数のコードブックを送信装置及び受信装置に格納することは、送信装置及び受信装置に必要なメモリ容量を増大させ、送信装置及び受信装置のコストを増大させる。
【0012】
本発明は、2つのコードブックにより、3つ以上のシェイピング・パラメータを使用できる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によると、送信装置は、ビット列の変換を行う第1コードブックと、ビット列の変換を行う第2コードブックと、を保持する保持手段と、第1期間においては送信するデータに対応するビット列を前記第1コードブックで変換し、第2期間においては送信するデータに対応するビット列を前記第2コードブックで変換し、それぞれ、変換後のビット列を出力する変換手段と、前記変換手段が出力する前記変換後のビット列をシンボルにマッピングして送信する送信手段と、を備え、前記第1コードブックは、第1の値のシェイピング・パラメータに基づき、前記第2コードブックは、前記第1の値より大きい第2の値のシェイピング・パラメータに基づき、前記第1期間と前記第2期間の比率は、前記第1の値以上、かつ、前記第2の値以下である第3の値のシェイピング・パラメータに基づき決定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、2つのコードブックにより、3つ以上のシェイピング・パラメータを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】PSを使用する通信システムの構成図。
図2】一実施形態による送信装置の構成図。
図3】一実施形態による受信装置の構成図。
図4】一実施形態によるコードブックを示す図。
図5】一実施形態による送信装置が送信する信号の説明図。
図6】一実施形態による送信装置が送信する信号の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明を実施形態の内容に限定するものではない。また、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。さらに、以下の説明では、256QAMを使用するものとする。
【0017】
<第一実施形態>
図2は、本実施形態による送信装置1の構成図である。なお、パリティ処理部12及びマッピング部13での処理は、図1のパリティ処理部82及びマッピング部83での処理と同じであるためその説明については省略する。本実施形態において、送信装置1の記憶部(保持部)は、2つのコードブック14及びコードブック15を有する。コードブック14及び15は、いずれも、図4に示す様に、nビットのビット列をmビットのビット列に変換するものである。しかしながら、コードブック14は、各振幅のシンボルが、シェイピング・パラメータvに対応する出現確率となる様に生成されており、コードブック15は、各振幅のシンボルが、シェイピング・パラメータvに対応する出現確率となる様に生成されている。なお、v>vとする。
【0018】
変換部11には送信するデータに対応するビット列が入力される。また、変換部11には、同期部16からフレームの開始を示す開始信号と、コードブックの切替を示す切替信号が入力される。変換部11は、入力ビット列をnビット単位に区切り、各区間のnビットのビット列を、同期部16からの通知に基づき、コードブック14及びコードブック15のいずれかを用いてmビットのビット列に変換する。図5は、変換部11における処理の説明図である。1フレームの時間をFとすると、変換部11は、同期部16からの開始信号を受信してから切替信号を受信するまでの間、コードブック14(シェイピング・パラメータv)を使用し、同期部16からの切替信号を受信してから開始信号を受信するまでの間、コードブック15(シェイピング・パラメータv)を使用する。
【0019】
ここで、開始信号から切替信号までの期間をF*Rとし、切替信号から開始信号までの期間をF*(1-R)とする。なお、Rは0以上かつ1以下の数である。図5から明らかな様に、R=1であると、シェイピング・パラメータvの通信システムになり、R=0であると、シェイピング・パラメータvの通信システムになり、それ以外のRにおいては、Rの値に応じて、シェイピング・パラメータvより大きく、シェイピング・パラメータvより小さいシェイピング・パラメータvの通信システムになる。つまり、Rの値により、シェイピング・パラメータvをvからvの範囲内のいずれかの値にすることができる。
【0020】
なお、Rの値と、当該Rで得られるシェイピング・パラメータvの値には以下の関係がある。
Hv=R*Hv+(1-R)*Hv (2)
ここで、Hv、Hv及びHvは、それぞれ、シェイピング・パラメータv、v及びvのエントロピーである。なお、シェイピング・パラメータvのエントロピーHvは、以下の式で求められる。
Hv=-Σ(p(x)*lоgp(x))
ここで、p(x)は、式(1)に関して説明した各シンボルの出現確率である。
【0021】
本実施形態において、送信装置1には、接続される伝送路のSNRが設定される。なお、伝送路のSNRは、測定装置等を用いて通信システムのオペレータが別途測定する。また、送信装置1の保持部には、SNRとシェイピング・パラメータvとの関係を示す判定情報を予め格納しておく。同期部16は、送信装置1に設定されたSNRと保持部に格納された判定情報に基づき、使用するシェイピング・パラメータvを決定し、式(2)に基づき、シェイピング・パラメータvに従う通信システムとするためのRを判定する。そして、同期部16は、フレームの開始タイミングに加えて、コードブックの切替を示す切替タイミングを切替信号により変換部11に通知する。なお、判定情報を予め格納する代わりに使用するシェイピング・パラメータvを、直接、同期部16に設定する構成であっても良い。
【0022】
図3は、本実施形態による受信装置2の構成図である。なお、ディマッピング部21及びパリティ処理部22での処理は、図1のディマッピング部91及びパリティ処理部92での処理と同じであるためその説明については省略する。本実施形態において、受信装置2の記憶部(保持部)は、2つのコードブック24及びコードブック25を有する。なお、コードブック24は、コードブック14の入力側と出力側を入れ替えたものであり、コードブック25は、コードブック15の入力側と出力側を入れ替えたものである。
【0023】
また、受信装置2の保持部には、送信装置1と同様に判定情報が格納されており、受信装置2には、送信装置1に入力したのと同じSNRが設定される。これにより、同期部26は、送信装置1と同じシェイピング・パラメータvを決定し、送信装置1と同じRを判定する。また、同期部26は、例えば、送信装置1が周期的に送信するフレーム同期信号に基づき各フレームの開始タイミングを認識する。そして、同期部26は、フレームの開始を示す開始信号と、コードブックの切替を示す切替信号を変換部23に出力する。変換部23は、開始信号から切替信号を受信するまではコードブック24によりビット列の変換を行い、切替信号から開始信号を受信するまではコードブック25によりビット列の変換を行う。
【0024】
以上の構成により、2つのシェイピング・パラメータに基づき生成された2つのコードブックを使用して、当該2つのシェイピング・パラメータの範囲の多数のシェイピング・パラメータの通信システムを実現することができる。
【0025】
なお、上記実施形態では、時間により使用するコードブックを切り替えたが、例えば、OFDM(直交周波数分割多重)の様な複数の周波数の信号を使用するシステムでは、周波数により使用するコードブックを切り替える構成とすることができる。例えば、図6に示す様に、N個のサブキャリアを使用する場合、例えば、周波数の低い側からN*R個のサブキャリアの各サブキャリアで搬送するデータに対応するビット列については、コードブック14を使用して変換を行い、残りのN*(1-R)個のサブキャリアの各サブキャリアで搬送するデータに対応するビット列については、コードブック15を使用して変換する構成とすることができる。なお、N個のサブキャリアは、同じ変調方式、例えば、256QAMを使用する。そして、マッピング部は、コードブック14により変換されたN*R個のビット列それぞれについて、対応するサブキャリアのシンボルにマッピングし、コードブック15により変換されたN*(1-R)個のビット列それぞれについて、対応するサブキャリアのシンボルにマッピングする。受信装置についても同様である。また、この場合においても、送信装置及び受信装置は、シェイピング・パラメータvに基づきRの値を判定する。
【0026】
なお、上記実施形態では、外乱の影響の少ない光通信システムを想定し、よって、振幅が小さいシンボル程、出現確率が大きくしていた。しかしながら、無線通信システム等、外乱の影響を受け易い通信システムに対しては、振幅が大きいシンボル程、出現確率が大きくする方が好ましい場合もあり得る。しかしながら、本実施形態は、PSの態様に制限されない。つまり、シンボルの振幅に応じて出現確率を異ならせる様に、コードブックを用いてビット列を変換する任意の通信システムに対して本発明を適用することができる。
【0027】
なお、本発明による送信装置1及び受信装置2は、1つ以上のプロセッサを有する装置と、当該1つ以上のプロセッサで実行されると、当該装置を上述した送信装置1や受信装置2として動作させるコンピュータプログラムにより実現することができる。これらコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。
【符号の説明】
【0028】
14、15、24、25:コードブック、11、23:変換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6