(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】折りたたみ式保護帽
(51)【国際特許分類】
A42B 3/32 20060101AFI20220127BHJP
A42B 3/14 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
A42B3/32
A42B3/14
(21)【出願番号】P 2018208839
(22)【出願日】2018-11-06
【審査請求日】2020-11-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年10月17日~19日、「緑十字展2018~働く人の安心づくりフェア~」パシフィコ横浜(展示ホールD)にて、子供用折りたたみヘルメットを展示し公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中山 文治
(72)【発明者】
【氏名】綿引 宏秋
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-089021(JP,A)
【文献】特開2014-025193(JP,A)
【文献】特開2017-048495(JP,A)
【文献】特開2017-206782(JP,A)
【文献】特表平11-500495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/32
A42B 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半球殻状をなす使用状態、及び扁平形状をなす収容状態に変化させることが可能な折りたたみ式保護帽であって、
ユーザが装着する際に左側となる左側帽体部、及び右側となる右側帽体部と、
前記左側帽体部と右側帽体部の内部に設けられ、前記使用状態においてユーザの頭部に当接するハンモック、及び前記ユーザの頭部の周囲を固定するヘッドバンドと、を有し、
前記左側帽体部及び右側帽体部は、互いに帽体ヒンジ部で連結された複数のセグメントを有し、前記帽体ヒンジ部を平坦として前記収容状態とし、前記帽体ヒンジ部を山折りとして前記使用状態とし、
前記ハンモックは、前記ヘッドバンドを連結するための第1連結具を備え、
前記ヘッドバンドは、前記第1連結具に対して摺動可能に連結される第2連結具を備え、
前記収容状態では、前記ヘッドバンドは前記左側帽体部と前記右側帽体部の内側に収容されており、前記収容状態から前記使用状態に変更する際には、前記第1連結具と前記第2連結具の相対的な摺動により、前記ヘッドバンドの後部が前記左側帽体部及び右側帽体部の下側外周の下方にスライド移動すること
を特徴とする折りたたみ式保護帽。
【請求項2】
請求項1に記載の折りたたみ式保護帽において、
前記左側帽体部及び右側帽体部に設けられる少なくとも一部の前記帽体ヒンジ部は、前記左側帽体部及び右側帽体部に位置する所定の部位から、前記左側帽体部及び右側帽体部の外周まで放射状に延びており、
前記セグメントのうち、前記左側帽体部の下辺を形成する一つのセグメント、及び右側帽体部の下辺を形成する一つのセグメントは、互いに離間と連結との切り替えが可能な第1の部材と第2の部材を有する開閉式のセグメントとされ、
前記第1の部材と第2の部材を離間して前記収容状態とし、前記第1の部材と第2の部材を連結して前記使用状態とし、
前記開閉式のセグメントは、前記第1の部材と第2の部材とを固定するロック部を備えたこと
を特徴とする折りたたみ式保護帽。
【請求項3】
請求項2に記載の折りたたみ式保護帽において、
前記ロック部は、
前記第1の部材に設けられ、前記左側帽体部及び右側帽体部の外側に向けて開口した開口部と、
前記第2の部材に設けられ、該第2の部材の厚さ方向に弾性変形して、前記左側帽体部及び右側帽体部の内側から外側に向けて前記開口部に係合する突起部を有する弾性アームと、を備え、
前記突起部が前記開口部に係合して、前記使用状態を維持すること
を特徴とする折りたたみ式保護帽。
【請求項4】
請求項3に記載の折りたたみ式保護帽において、
前記突起部の先端に、該突起部が前記開口部を乗り越えることを防止する爪部を形成したこと
を特徴とする折りたたみ式保護帽。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載の折りたたみ式保護帽において、
前記ロック部は、前記第1の部材と第2の部材との間の摺動をガイドするガイド部を備えたこと
を特徴とする折りたたみ式保護帽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折りたたみ式保護帽に係り、特に、装着性、収容性を高める技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているように、使用状態においては通常のヘルメットである略半球殻状を成してユーザがかぶることができ、使用しない収容状態では、偏平に折り畳むことで設置スペースを削減することが可能な折りたたみヘルメット(折りたたみ式保護帽)が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載された折りたたみ式保護帽は、収容状態にから使用状態に変化させる際には、ヘルメットの右側帽体部及び左側帽体部を構成する各セグメントを連結するヒンジ部を山折りとすることにより、右側帽体部及び左側帽体部を外側に向けて突起させて、全体を半球殻状に変化させる。そして、右側帽体部及び左側帽体部にそれぞれ設けられたロック部をロックさせて、使用状態を維持する。
【0004】
また、使用状態から収容状態に切り替える場合には、セグメントの内側(半球殻状の内側)に設けられた押しボタンを押してロック部を解除し、右側帽体部及び左側帽体部を扁平形状に変化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された折りたたみ式保護帽では、使用状態とした場合において、ユーザの頭部を固定するためのヘッドバンドが右側帽体部と左側帽体部とで囲まれる半球殻状の内部に収容されているため、ユーザが装着する際の装着性が悪いという問題がある。また、使用状態から収容状態に切り替えるための押しボタンが、半球殻状の内部に設けられているため、折りたたみ式保護帽に側面から衝撃が加えられた際に、押しボタンに力が作用してロック部が解除されるという問題が発生する。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、使用状態においてユーザがヘッドバンドを容易に装着することができ、その際の装着性を向上することができ、且つ、ロック部の不用意な解除を防止することが可能な折りたたみ式保護帽を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願の請求項1に記載の発明は、半球殻状をなす使用状態、及び扁平形状をなす収容状態に変化させることが可能な折りたたみ式保護帽であって、ユーザが装着する際に左側となる左側帽体部、及び右側となる右側帽体部と、前記左側帽体部と右側帽体部の内部に設けられ、前記使用状態においてユーザの頭部に当接するハンモック、及び前記ユーザの頭部の周囲を固定するヘッドバンドと、を有し、前記左側帽体部及び右側帽体部は、互いに帽体ヒンジ部で連結された複数のセグメントを有し、前記帽体ヒンジ部を平坦として前記収容状態とし、前記帽体ヒンジ部を山折りとして前記使用状態とし、前記ハンモックは、前記ヘッドバンドを連結するための第1連結具を備え、前記ヘッドバンドは、前記第1連結具に対して摺動可能に連結される第2連結具を備え、前記収容状態では、前記ヘッドバンドは前記左側帽体部と前記右側帽体部の内側に収容されており、前記収容状態から前記使用状態に変更する際には、前記第1連結具と前記第2連結具の相対的な摺動により、前記ヘッドバンドの後部が前記左側帽体部及び右側帽体部の下側外周の下方にスライド移動することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の折りたたみ式保護帽において、前記左側帽体部及び右側帽体部に設けられる少なくとも一部の前記帽体ヒンジ部は、前記左側帽体部及び右側帽体部に位置する所定の部位から、前記左側帽体部及び右側帽体部の外周まで放射状に延びており、前記セグメントのうち、前記左側帽体部の下辺を形成する一つのセグメント、及び右側帽体部の下辺を形成する一つのセグメントは、互いに離間と連結との切り替えが可能な第1の部材と第2の部材を有する開閉式のセグメントとされ、前記第1の部材と第2の部材を離間して前記収容状態とし、前記第1の部材と第2の部材を連結して前記使用状態とし、前記開閉式のセグメントは、前記第1の部材と第2の部材とを固定するロック部を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の折りたたみ式保護帽において、前記ロック部は、前記第1の部材に設けられ、前記左側帽体部及び右側帽体部の外側に向けて開口した開口部と、前記第2の部材に設けられ、該第2の部材の厚さ方向に弾性変形して、前記左側帽体部及び右側帽体部の内側から外側に向けて前記開口部に係合する突起部を有する弾性アームと、を備え、前記突起部が前記開口部に係合して、前記使用状態を維持することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の折りたたみ式保護帽において、前記突起部の先端に、該突起部が前記開口部を乗り越えることを防止する爪部を形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項2~4のいずれか1項に記載の折りたたみ式保護帽において、前記ロック部は、前記第1の部材と第2の部材との間の摺動をガイドするガイド部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザがヘッドバンドを容易に頭部に装着してかぶることができ、且つ、ロック部が不用意に解除されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る折りたたみ式保護帽を使用状態としたときの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る折りたたみ式保護帽を使用状態としたときの天頂図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る折りたたみ式保護帽を使用状態としたときの左側の側面図(
図2の「I」方向から見た図)である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る折りたたみ式保護帽を使用状態としたときの後面図(
図2の「II」方向から見た図)である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る折りたたみ式保護帽を収容状態としたときの斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る折りたたみ式保護帽を収容状態としたときの天頂図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る折りたたみ式保護帽を収容状態としたときの左側の側面図である。
【
図8】
図8は、ヒンジ部の断面図であり、(a)は平坦としたとき、(b)は折り曲げたときを示す。
【
図9】
図9は、
図2に示す「III-III」の断面図である。
【
図11】
図11は、ロック部の詳細な構成を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、保護帽を使用状態としたときの、内部の構成を示す説明図である。
【
図14】
図14は、使用状態において保護帽の内部を斜め方向から見た斜視図である。
【
図15】
図15は、使用状態において保護帽を側面に平行な平面で切断したときの様子を示す断面図である。
【
図16】
図16は、収容状態において保護帽の内部を斜め方向から見た斜視図である。
【
図17】
図17は、収容状態において、保護帽を側面に平行な平面で切断したときの様子を示す断面図である。
【
図18】
図18は、1つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽の、収容時における側面図である。
【
図19】
図19は、2つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽の、収容時における側面図である。
【
図20】
図20は、3つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽の、収容時における側面図である。
【
図21】
図21は、4つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽の、収容時における側面図である。
【
図22】
図22は、
図15に示す4つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽の、使用時における側面図である。
【
図23】
図23は、5つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽の、収容時における側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[本実施形態の構成の説明]
以下、本発明の一実施形態に係る折りたたみ式保護帽を、図面を参照して説明する。折りたたみ式保護帽は、例えば地震等の災害発生時に非常時用の保護帽として使用し、ユーザの頭部を保護するものであり、半球殻状をなす使用状態と、扁平状態をなす収容状態に変更可能である。即ち、
図1~
図4に示す使用状態(広げた状態)、或いは
図5~
図7示す収容状態(折りたたんだ状態)に変化させることにより、使用時にはユーザが装着することができ、使用しないときにはかさばることなく机の引き出しなどに収容することができる。
【0016】
図1は、本実施形態に係る折りたたみ式保護帽1(以下、「保護帽1」と略す」を使用状態としたときの斜視図、
図2は天頂図である。また、
図3は
図2において「I」方向から見た図(左側の側面図)、
図4は
図2において「II」方向から見た図(後面図)である。
【0017】
また、
図5は、保護帽1を収容状態としたときの斜視図、
図6は同天頂図である。また、
図7は
図6において「I」方向から見た図(左側の側面図)である。なお、本実施形態では、ユーザが保護帽1を装着したときの、ユーザ前方、後方、左方、右方をそれぞれ、保護帽1の前側、後側、左側、右側と定義する(
図2参照)。更に、ユーザが保護帽1を装着したときの、ユーザの上方、下方をそれぞれ保護帽1の上側、下側と定義する(
図3参照)。
【0018】
図2に示すように、保護帽1は、前後方向に向く中心平面PLの左側に位置する左側帽体部3と、右側に位置する右側帽体部5を有している。中心平面PLは、保護帽1の頂上部7(
図4参照)を含み左右方向に対して直交する平面である。
【0019】
左側帽体部3と右側帽体部5とは、薄肉の中央ヒンジ部9(
図2、後述する
図9、
図10参照)を介して接続されている。中央ヒンジ部9の直線状の曲げ線SLは、中心平面PLに対して平行になっている。
【0020】
また、保護帽1は、中心平面PLを中心として左右対称に形成されている。また、保護帽1は、例えば、前後方向の中心平面PL1(
図2、
図3参照)に対して、一部を除いて対称に形成されている。即ち、後述するセグメント11Fa、11Fbの形状を除いて、前後対称に形成されている。
【0021】
保護帽1を側面視(例えば、左側の側面)すると、
図3に示すように、左側帽体部3が、複数の平板状のセグメント11(11A~11F)を備えて構成されている。
【0022】
各セグメント11(11A~11F)は、複数のヒンジ部13(帽体ヒンジ部;13A~13D)、15(帽体ヒンジ部;15A、15B)と、1つの切り欠き(左側帽体切り欠き)17とによって区切られている。
図8はセグメント11Cと11Dとの間に形成されるヒンジ部13Cを詳細に示す断面図である。
図8(a)はセグメント11C、11Dが平坦とされている状態を示し、
図8(b)はセグメント11C、11Dが山折りとされた状態を示している。
図8(a)、(b)に示すように、薄肉のヒンジ部13は、直線状曲げ線SLを有しており、この曲げ線SLに沿って互いに隣接している厚肉のセグメント11Cと11Dが曲がるようになっている。即ち、ヒンジ部13Cで区切られているセグメント11Cとセグメント11Dとは、ヒンジ部13Cのところで、セグメント11Cに対してセグメント11Dが相対的に曲がるようになっている。なお、
図8で示す曲げ線SLは、図中の紙面に直交する方向に延びている。また、ヒンジ部15についても同様である。
【0023】
また、
図3に示すように、保護帽1を側面視すると、ヒンジ部15(15A、15B)を除く複数のヒンジ部13(13A~13D)のそれぞれは、左側帽体部3内に位置している所定の部位(例えば、中央部4或いは中心)から左側帽体部3の外周まで放射状に延びている。
【0024】
ヒンジ部15Aは保護帽1の前側で、セグメント11Aとセグメント11Bとを区切っており、ヒンジ部15Bは保護帽1の後側で、セグメント11Dとセグメント11Eとを区切っている。
【0025】
また、保護帽1を側面視すると、
図3、
図7等に示すように、左側帽体部3のセグメント11Fは、切り欠き17によって前側セグメント11Faと後側セグメント11Fbとに分割されている。
【0026】
また、保護帽1を側面視すると、切り欠き17の前側セグメント11Fa側の縁部17aと、後側セグメント11Fb側の縁部17bとは、互いを補完する形状になっている(
図3、
図7参照)。即ち、切り欠き17の縁部17aと縁部17bとを突き合わせると、縁部17aの全長と縁部17bの全長とが接触し、切り欠き17が閉じてほぼ消失するようになっている。つまり、前側セグメント11Faと後側セグメント11Fbが切り欠き17で突き合わされることにより、一体側のセグメント11Fが形成される。即ち、各帽体部3、5の下辺を形成する一つのセグメント(11F)は、離間と連結とを切り替え可能な開閉式のセグメントとされている。
【0027】
そして、開閉式のセグメント11Fの前側セグメント11Faと、後側セグメント11Fbを離間させることによりヒンジ部13、15(帽体ヒンジ部)を平坦状態として各セグメント11で形成される左側帽体部3、右側帽体部5を扁平状態とする。また、前側セグメント11Faと、後側セグメント11Fbを連結させることにより、ヒンジ部13、15(帽体ヒンジ部)を山折り状態として、各セグメント11で形成される左側帽体部3、右側帽体部5をユーザが装着可能な状態である半球殻状とする。
【0028】
なお、縁部17a、17bは、直線状に形成されている必要は無く、一部が円弧状等の曲線状になっていてもよいし、全体が曲線状、折れ線状等の形状になっていてもよい。
【0029】
また、保護帽1の右側帽体部5についても左側帽体部3と同様に、複数の平板状のセグメント11(11A~11F(11Fa、11Fb))を備えて構成されている。これらのセグメント11(11A~11F)は、右側帽体部5内に位置している所定の部位(例えば、中央部4或いは中心)から右側帽体部5の外周まで放射状に延びる複数のヒンジ部13(帽体ヒンジ部;13A~13D)と、ヒンジ部15(帽体ヒンジ部;15A、15B)と、上記所定の部位から右側帽体部5の外周まで延びる1つの切り欠き17とによって区切られている。
【0030】
また、
図2、
図6等に示すように、保護帽1の左側帽体部3と右側帽体部5との間には、左右方向に一定の幅を備えた細長い板状の中央帽体部23が、保護帽1の前後方向に向けて設けられている。
【0031】
中央帽体部23は、前後方向における複数の中間部で、複数のセグメント(左側帽体部のセグメント11や右側帽体部のセグメント11とは別の剛体とみなせる中央セグメント)23A~23Eに分割されている。中央帽体部23を複数の中央セグメント23A~23Eに分割する分割線は複数存在しており、各分割線のそれぞれは、保護帽1の前後方向で互いが離れ、中央帽体部23の幅方向の全長にわたって延びている。
【0032】
図9は、
図2に示す「III-III」の断面図である。
図9に示すように、左側帽体部3と右側帽体部5とは、連結部43を介して連結されており、更に、連結部43の上方を覆うように、中央セグメント23Cが設けられている。また、中央セグメント23Cに設けられた爪48が連結部43の孔に係合することにより、中央セグメント23Cが連結部43に固定されている。
【0033】
図10は、
図4に示す「I-I」断面図であり、中央セグメント23C以外の中央セグメント23A、23B、23D、23Eの下側では、左側帽体部3の連結部45と右側帽体部5の連結部47とが上下に重なっており、中央セグメント23A、23B、23D、23Eによって重なりが保持されている。また、中央セグメント23Dに設けられた爪48が連結部47の孔に係合することにより、中央セグメント23Dが連結部47に固定されている。
【0034】
また、爪48の係合を解除することにより、分解が可能であり、分解することで、保護帽1は、左側帽体部3およびこれにつながっている右側帽体部5と、中央帽体部23の各中央セグメント23A、23B、23C、23D、23Eとの6つに分解されるようになっている。
【0035】
また、
図2、
図6に示すように、左側帽体部3及び右側帽体部5に設けられる各セグメント11の上側の縁には、左側中央ヒンジ部9(9AL~9EL)、右側中央ヒンジ部9(9AR~9ER)が設けられている。
【0036】
左側帽体部3の上側の外周部における各セグメント11A~11Eの縁19(19A~19E)のそれぞれが、各左側中央ヒンジ部9AL~9ELのそれぞれを介して、中央セグメント23A~23Eのそれぞれに連結されている。
【0037】
右側帽体部5の上側の外周部における各セグメント11A~11Eの縁19(19A~19E)のそれぞれが、各右側中央ヒンジ部9AR~9ERのそれぞれを介して、中央セグメント23A~23Eのそれぞれに連結されている。
【0038】
図6に示す収容状態では、保護帽1は、中央ヒンジ部9のところで、中央帽体部23に対して左側帽体部3がほぼ直角に曲がり、中央帽体部23に対して右側帽体部5がほぼ直角に曲がり、上述したように、左側帽体部3の厚さ方向と右側帽体部5の厚さ方向とがほぼ一致するようになっている。
【0039】
また、収容状態では、左右方向で(中央帽体部23の幅方向で)、中央帽体部23の幅寸法の値と、左側帽体部3と右側帽体部5とが互いに重なった厚さ寸法の値とほぼ一致しており、中央帽体部23の左端と左側帽体部3の左端面(外面)とがほぼ一致し、中央帽体部23の右端と右側帽体部5の右端面(外面)とがほぼ一致するように構成されている。即ち、
図5、
図6に示すように収容状態においては、保護帽1は扁平形状となる。
【0040】
一方、
図3に示すように、左側帽体部3の下側の外周部における各セグメント11A、11B、11D、11E、11Fの縁21(21A~21E)、及び右側帽体部5の下側の外周部における各セグメント11A、11B、11D、11E、11Fの縁21(21A~21E)のそれぞれは、ユーザが保護帽1を装着する際に、該保護帽1の下側の、頭部を入れる開口部になる。
【0041】
保護帽1を使用状態から折りたたんで収容状態に変化させる際には、
図7に示すように、セグメント11Fに形成された切り欠き17が前後方向に開くことで(縁部17aと縁部17bとの間隔が最大になることにより)、左側帽体部3と右側帽体部5とが平板状(扁平形状)になるように構成されている。即ち、左側帽体部3の厚さ方向と右側帽体部5の厚さ方向とが互いに一致し、この厚さ方向から見たときに左側帽体部3の全てと右側帽体部5の全てが互いが重なるように構成されている。
【0042】
また、使用状態とする際には、
図3に示すように保護帽1は、切り欠き17が閉じることにより、切り欠き17の縁部17aと縁部17bとが突き合わされて、左側帽体部3及び右側帽体部5に設けられる各ヒンジ部13、15にて各セグメント11(左側帽体セグメントおよび右側帽体セグメント)が山折りされて、左側帽体部3が左側に凸になり、右側帽体部5が右側に凸になることで、半球殻状(椀状)になるように構成されている。
【0043】
半球殻状とは、所定の半径の第1の球から、この第1の球の半径よりも僅かに小さい半径で前記第1の球と中心が一致する第2の球を取り除いた形状の立体を、前記各球の中心もしくはこの近傍を通る平面で2分割したときに形成される一方の立体である。
【0044】
使用するときの保護帽1は、およそ「半球殻状」に形成されているのであって、完全な「半球殻」形状に形成されているわけではない。即ち、使用するときの保護帽1は、着用者の頭部の形状に合うようにするために、左右方向の寸法よりも前後方向の寸法を大きくしている等の形状に形成されている。また、使用するときの保護帽1の頭部を入れる開口部(淵;下側の端)も、完全な円形ではなく、着用者の頭部の形状に合うようにするために、適宜形状を変化させている。
【0045】
収容するとき(収容状態)においても、使用するとき(使用状態)においても、更に収容状態と使用状態との間の中間状態においても、中央ヒンジ部9の曲げ線SLは、中心平面PLに常に平行なままであって、中心平面PLとの距離は一定になっている。
【0046】
ここで、保護帽1についてさらに詳しく説明する。左側帽体部3は、硬質の合成樹脂で構成されている。
【0047】
保護帽1の収容状態を側面視すると、
図7に示すように、各ヒンジ部13(13A~13D)のそれぞれは、左側帽体部3の中央部4(前後方向の中央であって上下方向の中央より僅かに下方)から放射状に延びている。また、ヒンジ部15Aは、左側帽体部3の前側で斜め上下方向に延びており、ヒンジ部15Bは、左側帽体部3の後側で斜め上下方向に延びている。
【0048】
これにより、
図7に示すように、中央ヒンジ部9Cとヒンジ部13Bとヒンジ部13Cとで囲まれた三角形状(二等辺三角形状)のセグメント11Cが、左側帽体部3の中央部4の上側に形成されている。
【0049】
また、中央ヒンジ部9Bとヒンジ部13Bとヒンジ部15Aとヒンジ部13Aと円弧形状の縁21Bとで囲まれたセグメント11Bが、左側帽体部3の前側でセグメント11Cに隣接して形成されている。
【0050】
また、中央ヒンジ部9Aとヒンジ部15Aと縁21Aとで囲まれた三角形状のセグメント11Aが、左側帽体部3の前側でセグメント11Bに隣接して形成されている。
【0051】
また、中央ヒンジ部9Dとヒンジ部13Cとヒンジ部15Bとヒンジ部13Dと円弧形状の縁21Dとで囲まれたセグメント11Dが、左側帽体部3の後側でセグメント11Cに隣接して形成されている。
【0052】
また、中央ヒンジ部9Eとヒンジ部15Bと縁21Eとで囲まれた三角形状のセグメント11Eが、左側帽体部3の後側でセグメント11Dに隣接して形成されている。
【0053】
更に、保護帽1の使用状態を側面視すると、
図3に示すように、ヒンジ部13Aとヒンジ部13Dと縁21Cとで囲まれた三角形状(二等辺三角形状)のセグメント11Fが、セグメント11Bとセグメント11Dとに隣接して、左側帽体部3の中央部4の下側に形成されている。なお、本実施形態では、各ヒンジ部13、15、各セグメント11は、前後方向で対称に形成されている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】
また、保護帽1の収容状態を側面視すると、
図7に示すように、切り欠き17は、セグメント11Fに形成されており、中央部4を頂点として概ね三角な形状に形成されている。切り欠き17によって、セグメント11Fは、概ね三角な形状に形成されている前側セグメント11Faと、概ね三角な形状に形成されている後側セグメント11Fbとに分割されている。更に、セグメント11Fには、前側セグメント11Faと後側セグメント11Fbとの固定、及び解除を切り替えるための、ロック部25が形成されている。
【0055】
[ロック部の説明]
以下、セグメント11Fに設けられるロック部25の構成について説明する。保護帽1には、使用状態における半球殻状の形状を維持するためのロック部25が設けられている。前述したように、保護帽1を使用状態とする場合には、
図3の側面図に示すように、前側セグメント11Faの縁部17aと後側セグメント11Fbの縁部17bを突き合わせた形状とする。ロック部25は、2つのセグメント11Fa、11Fbを突き合わせた状態を維持するために、設けられている機構である。
【0056】
図11は、ロック部25の詳細な構成を示す斜視図であり、以下、
図11及び
図7(側面図)を参照してロック部25の詳細について説明する。
図11に示すように、前側セグメント11Faと後側セグメント11Fbは、左側帽体部3の中央部4を中心として、回転可能な構造とされている。
【0057】
前側セグメント11Faは、表面部11Fa1と裏面部11Fa2が一定の間隔を開けて対向配置されて構成されている。そして、双方の隙間となる隙間部Q1が形成されている。後側セグメント11Fbは、この隙間部Q1に入出するロック部構成部材111を備えている。
【0058】
図7、
図11に示すように、ロック部構成部材111は、薄い板状で所定の幅を有する円弧状に形成されている。なお、
図7の紙面に直交する方向がロック部構成部材111の厚さ方向である。
【0059】
ロック部構成部材111のほぼ中央には、「コ」字状の切り欠き116が形成されている。これにより、ロック部構成部材111の中央には、該ロック部構成部材111の円弧の方向で、該ロック部構成部材111の厚さ方向に弾性変形する片持ち梁状の弾性アーム112が形成されている。
更に、ロック部構成部材111には、前側セグメント11Faの摺動をガイドするための摺動溝115が形成されている。
【0060】
弾性アーム112の先端部には、後側セグメント11Fbの厚さ方向の外側に突起する突起部113が形成されている。突起部113は、ユーザが指で間便に押すことができる程度の大きさとされている。また、突起部113の先端には、2つの爪部114が形成されている。爪部114は、突起部113が後述する開口部121を乗り越えることを防止するために設けられている。
【0061】
一方、前側セグメント11Faの表面部11Fa1には、突起部113とほぼ同一形状の開口部121が開口されている。即ち、開口部121は、左側帽体部3及び右側帽体部5の外側に向けて開口している。開口部121の周囲は、表面部11Fa1よりも厚さ方向に若干突起した凸形状部122が形成されている。
図12は、
図7における「I-I」断面図であり、
図12に示すように、ロック部構成部材111に形成された突起部113は、表面部11Fa1よりも厚さ方向の若干外側(図中、上側)に突起している。更に、
図7、
図11に示すように、表面部11Fa1には、ロック部構成部材111が隙間部Q1内での摺動をガイドするための係合突起223が形成されている。
【0062】
上記のように構成されたロック部25は、前側セグメント11Faと後側セグメント11Fbが離間した収容状態(
図7、
図11に示す状態)から、連結した使用状態(
図3に示す状態)に変化させる際に、2つのセグメント11Faと11Fbを、
図11に示す矢印Y1に示す方向に押すと(11Faと11Fbの間隔を狭めると)、突起部113が隙間部Q1内に入り、開口部121と係合して固定される。即ち、2つのセグメント11Faと11Fbが接合した状態で維持される。この際、突起部113の先端には、2つの爪部114が形成されていることにより、突起部113が開口部121を乗り越えることを防止できる。
【0063】
即ち、左側帽体部3を形成する各セグメント11(11A~11F)を接続する各ヒンジ部(13、15)は、通常時において
図8(a)に示したように、各セグメント11を平坦にする方向に付勢されている。従って、ロック部25を設けなければ、2つのセグメント11Faと11Fbは互いに離間する方向に力が作用する。ロック部25を設けることにより、2つのセグメント11Faと11Fbが突き合わされた状態を維持することができる。
【0064】
一方、
図3に示した使用状態から、収容状態に変化させる場合には、
図3に示した状態において、突起部113を内側に向けて押すと、突起部113と開口部121との間の係合が解除される。従って、2つのセグメント11Faと11Fbの間には、
図11の矢印Y2に示す方向に力が作用し、ロック部構成部材111が隙間部Q1の外側に摺動して、2つのセグメント11Faと11Fbが離間する。更に、ロック部構成部材111が摺動する際に、係合突起223が摺動溝115内を移動することにより、ロック部構成部材111の摺動がガイドされる。このため、安定的にロック部構成部材111を隙間部Q1内へ出し入れすることができる。
【0065】
即ち、ロック部25は、セグメント11F(開閉式のセグメント)に設けられ、互いに摺動可能な後側セグメント11Fb(第1の部材)と、前側セグメント11Fa(第2の部材)を備えている。そして、後側セグメント11Fbのロック部構成部材111に形成された弾性アーム112と、前側セグメント11Faに設けられた表面部11Fa1に形成された開口部121とが係合することにより、前側セグメント11Faと後側セグメント11Fbとを固定することができる。
【0066】
また、ロック部25は、後側セグメント11Fb(第1の部材)と前側セグメント11Fa(第2の部材)との間の摺動をガイドする係合突起223、及び摺動溝115からなるガイド部を備えている。従って、後側セグメント11Fb(第1の部材)と前側セグメント11Fa(第2の部材)とを円滑に摺動させることができる。
【0067】
また、
図6、
図11に示すように、2つのセグメント11Fa、11Fbが離間した状態において、離間した領域のほぼ全体がロック部構成部材111により閉塞されているので、離間した隙間に人の指が入るなどの問題の発生を防止できる。また、特許文献1に開示された折りたたみ式保護帽では、ロック部が半球殻状の内部に設けられ、かつヘッドバンドがロック部の上に重なっているため、ロック部を見つけづらく操作もしずらかった。これに対し、本実施形態に係る保護帽ではロック部を半球殻状の外側に設置することでロック部を見つけ易く、更に操作もし易くなる。
【0068】
[保護帽1の内部構造の説明]
次に、保護帽1の内部の構造について説明する。
図13は保護帽1を使用状態としたときの、内部の構成を示す説明図である。即ち、
図1に示した保護帽1を、矢印Y3の方向から見た図である。また、
図14は保護帽1の内部を斜め方向から見た斜視図、
図15は保護帽1を側面に平行な平面で切断したときの様子を示す断面図である。また、
図16は保護帽1を収容状態としたときの、該保護帽1の内部を斜め方向から見た斜視図、
図17は保護帽1を側面に平行な平面で切断したときの様子を示す断面図である。
【0069】
図13、
図14に示すように、保護帽1の内面には、ユーザの頭部を覆って保護するためのハンモック51が設けられている。ハンモック51は、左側帽体部3及び右側帽体部5の内面側に固定され、例えば、合成樹脂などで構成され柔軟性を有している。そして、保護帽1の使用状態において、ユーザの頭部に当接して頭部を保護する。
図13に示すように、ハンモック51の中央には、発砲スチロールなどで構成される衝撃緩衝材56が設けられている。また、ハンモック51の左側及び右側には、それぞれユーザの頭部の周囲(特に、側面)を固定するためのヘッドバンド52、53が設けられている。ヘッドバンド52、53は、ハンモック51と一体に構成されていても良いし、別体として構成されていても良い。ヘッドバンド52、53は例えば柔軟性を有する合成樹脂で構成されている。
【0070】
ヘッドバンド52、53には、幅広の紐を挿通可能な開口部が形成され、この開口部に頭部紐54が挿通されている。頭部紐54は、ユーザが保護帽1を装着した際に、ユーザの頭部の周囲を固定して、保護帽1をユーザの頭部に固定する機能を有する。また、頭部紐54にはアジャスタ55が設けられており、ユーザの頭部の大きさに応じて頭部紐54の長さを調整することができる。更に、
図13、
図14では図示を省略しているが、ハンモック51には、
図1に示す耳紐59、及びあご紐60が取り付けられている。
【0071】
図13、
図14に示すように、ヘッドバンド52、53には、保護帽1の内側に向けて突起する突起部61が形成されており、該突起部61には、長孔57(第2連結具)が形成されている。更に、ハンモック51の、上記長孔57と重複する位置の適所には、左側帽体部3及び右側帽体部5に固定するピン58(第1連結具)が形成されている。ピン58は、長孔57に係合しており、長孔57に沿って符号q1(
図14参照)に示す位置と符号q2に示す位置との間で、摺動可能とされている。即ち、第2連結具(長孔57)は、第1連結具(ピン58)に対して摺動可能に連結されている。
【0072】
なお、本実施形態ではヘッドバンド52、53に長孔57を形成し、ハンモック51にピン58を形成する例について示しているが、本発明はこれに限定されず、第1の連結具と第2の連結具との相対的な摺動により、ヘッドバンド52、53の後部が左側帽体部3、及び右側帽体部5の下側外周の下方にスライド移動する構成であれば、その他の構成としても良い。
【0073】
図14、
図15に示すように、保護帽1が使用状態とされている場合には、ピン58は長孔57の符号q1の位置に移動する。このため、ヘッドバンド52、53の後部側は、保護帽1の下方に下げられ、頭部紐54の後部(即ち、アジャスタ55の付近)は、下方に下げられる。従って、
図15に示すように、ユーザP1が保護帽1を装着する際には、頭部紐54の後部を、ユーザP1の後頭部に容易に係合して装着することができる。
【0074】
一方、
図14、
図15に示した使用状態から、
図16、
図17に示す収容状態に変化させる場合には、左側帽体部3と右側帽体部5を中央に向けて押しつけることにより、ヘッドバンド52の後部が上方に向けて付勢される。ヘッドバンド53も同様である。このため、
図16に示すように、ヘッドバンド52(53)に設けられた長孔57は、ピン58に支持されて上方に移動する。即ち、ピン58は、長孔57の符号q1から符号q2の位置に移動する。このため、ヘッドバンド52の後部側は、保護帽1の上方に持ち上げられ、頭部紐54の後部(即ち、アジャスタ55の付近)は、左側帽体部3と右側帽体部5の内部に収容される。即ち、
図15と
図17を比較すると、
図17に示す収容状態では、保護帽1の後部側において、頭部紐54が上部に移動している。従って、保護帽1を収容状態とした場合には、ヘッドバンド52、53、及び頭部紐54が左側帽体部3と右側帽体部5の外側にはみ出すことがなく、収容性が高めることができる。
【0075】
本実施形態に係る保護帽1は、常態では、
図5に示す如くの収容状態で、カバン内や机の引き出し等の収容場所(保管場所)に保管しておく。災害等の使用時には、
図1に示す使用状態にしてかぶることで頭部を覆うことができる。
【0076】
[本実施形態の作用の説明]
次に、上述のように構成された保護帽1の作用について説明する。前述したように、保護帽1を収納状態としているときには、
図5~
図7に示したように、ロック部25が解除された状態であり、左側帽体部3及び右側帽体部5が扁平形状となって、収納しやすい状態となっている。従って、机の引き出しなどに容易に収容することが可能である。
【0077】
一方、災害発生時など保護帽1を使用する場合には、保護帽1の前側と後側を持って、前後を縮める方向に力を加える。すると、左側帽体部3及び右側帽体部5を構成する各セグメント11が各ヒンジ部13、15にてそれぞれ山折りに曲げられ、全体が半球殻状となる。更に、この際には、セグメント11Fを構成する前側セグメント11Faと後側セグメント11Fbの縁部17a、17bが突き合わされて、ロック部25がロックされる。即ち、前述した弾性アーム112が弾性変形して、突起部113が前側セグメント11Faに形成された開口部121内に係合して、2つのセグメント11Fa、11Fbが
図3に示した状態でロックされる。
【0078】
従って、保護帽1が半球殻状、即ち、ヘルメット形状とされる。従って、ユーザは保護帽1をかぶり、頭部を保護することが可能になる。この際、保護帽1の内部には、ハンモック51及び衝撃緩衝材56が設けられているので、保護帽1の外部より衝撃が加えられた際に、衝撃を緩和することができる。
【0079】
また、保護帽1を収容状態から使用状態に変化させることにより、頭部紐54の後部側が下方に移動するので、ユーザが装着する際には、頭部紐54を後頭部に容易に装着することができ、且つ、装着性を向上させることが可能となる。
【0080】
更に、保護帽1を使用状態から収容状態に変化させる際には、ロック部25に設けられた突起部113を押すことにより、容易に前側セグメント11Faと後側セグメント11Fbとの係合を解除して、収容状態に変化させることができる。
【0081】
[本実施形態の効果の説明]
このように、本実施形態に係る折りたたみ式保護帽1においては、以下に示す効果を達成することが可能となる。
(1)収容状態とする際には、1つの切り欠き17を開くだけで左側帽体部3と右側帽体部5とが扁平形状となるので、容易に使用状態から収容状態に変化させることが可能となる。保護帽1が扁平形状となることにより、かさばることが防止され、常時、カバンやバッグ内に入れて携帯することができ、また、職場や家庭での保管スペースを小さくすることができる。
【0082】
(2)地震等の非常時には、素早く簡単に使用状態とすることができ、例えば、出張の際にはカバンに入れて持ち運ぶことができる。
【0083】
(3)収容状態のときに、左側帽体部3の厚さ方向と右側帽体部5の厚さ方向とがほぼ一致し、左右方向で中央帽体部23の左端と左側帽体部3の左端面とがほぼ一致し、中央帽体部23の右端と右側帽体部5の右端面とがほぼ一致するように構成されている。これにより、収容状態のときに、折りたたみ式保護帽1が扁平形状となり、かさばらず取扱いがしやすくなる。
【0084】
(4)使用するときの形状を維持するためのロック部25を有し、左側帽体部3及び右側帽体部5の外側に設けられた突起部113を押すことにより、ロック部25のロック状態を解除できるので、解除操作を容易に行うことができる。また、解除するための突起部113が保護帽1の外面に設けられているので、内部からの衝撃により意図せずにロック部25が解除されることを防止できる。
【0085】
(5)保護帽1を収容状態とした際には、ヘッドバンド52、53が左側帽体部3と右側帽体部5の内部に収容されるので収容性がよい。また、保護帽1を使用状態とした際には、ヘッドバンド52、53の後部が、保護帽1の下方に移動するので、該ヘッドバンド52、53に係合する頭部紐54の後部が下方に移動する。このため、ユーザの後頭部に容易に頭部紐54を係合させて安定性よく装着することができる。
【0086】
(6)
図11に示すように、ロック部構成部材111に摺動溝115を形成し、前側セグメント11Faの表面部11Fa1には、ロック部構成部材111が隙間部Q1内での摺動をガイドするための係合突起223を形成しているので、前側セグメント11Fa(第1の部材)と後側セグメント11Fb(第2の部材)との摺動を円滑にすることができる。
【0087】
(7)
図11に示すように、弾性アーム112に設けられる突起部113の先端には、2つの爪部114が形成されているので、突起部113が開口部121を乗り越えることを防止することができる。
【0088】
(8)
図11に示すように、開口部121の周囲は、表面部11Fa1よりも厚さ方向に若干突起した凸形状部122が形成されているので、誤って突起部113が押されることを防止することができる。
【0089】
[変形例の説明]
次に、本実施形態の変形例について説明する。前述した実施形態では、
図3、
図7等に示しているように、左側帽体部3及び右側帽体部5を6個のセグメント11(11A~11F)を組み合わせて構成する例について説明した。本発明はこれに限定されるものではなく、セグメントの個数及びヒンジの位置は種々の変形が可能である。
【0090】
図18~
図23は、各種の変形例を模式的に示す説明図である。
図18で示す1つ目の変形例に係る保護帽1では、左側帽体部3(右側帽体部5)が、8つのセグメント11と7つのヒンジ部13、15で構成されている。これにより、図示しないが、中央帽体部23が6つのセグメントで構成されている。切り欠き17は、下方に設けられている。
【0091】
図19で示す2つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽1では、左側帽体部3(右側帽体部5)が、7つのセグメント11と6つのヒンジ部13、15で構成されている。これにより、図示しないが、中央帽体部23が5つのセグメントで構成されている。切り欠き17は、後方(前方でもよい)に設けられている。
【0092】
図20で示す3つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽1では、左側帽体部3(右側帽体部5)が、7つのセグメント11と6つのヒンジ部13、15で構成されている。これにより、図示しないが、中央帽体部23が5つのセグメントで構成されている。切り欠き17は、
図19で示す2つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽1とは別の箇所で後方(前方でもよい)に設けられている。
【0093】
図21や
図22で示す4つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽1では、左側帽体部3(右側帽体部5)が、6つのセグメント11と5つのヒンジ部13、15で構成されている。これにより、図示しないが、中央帽体部23が5つのセグメントで構成されている。切り欠き17は、下方に設けられている。ただし、各ヒンジ部13や切り欠き17が、線状(たとえば直線状)の中央部4から放射状に延びている。なお、
図21は折りたたみ式保護帽1の収容状態を示しており、
図22は折りたたみ式保護帽1の使用状態を示している。
【0094】
図23で示す5つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽1では、左側帽体部3(右側帽体部5)が、7つのセグメント11と6つのヒンジ部13、15で構成されている。これにより、図示しないが、中央帽体部23が5つのセグメントで構成されている。切り欠き17は、下方に設けられている。ただし、各ヒンジ部13や切り欠き17が、
図21や
図22で示すものとは異なる態様で、線状(たとえば直線状もしは三角形状と解してもよい)の中央部4から放射状に延びている。
図23は、折りたたみ式保護帽1の収容状態を示している。
【0095】
なお、折りたたみ式保護帽1において、中央帽体部23を無くし、左側帽体部3と右側帽体部5とをヒンジ部を介して直接連結してもよい。
【0096】
また、上記説明では、各セグメント11が平板状になっているが、各セグメント11を曲率半径の大きな球面の一部で構成してもよい。これにより、使用状態での折りたたみ式保護帽1の形状がより滑らかになり球殻状に近い形状になる。
【0097】
以上、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0098】
1 おりたたみ式保護帽(保護帽)
3 左側帽体部
4 中央部
5 右側帽体部
7 頂上部
9(9A~9E) 中央ヒンジ部
11(11A~11F) セグメント
11Fa 前側セグメント
11Fa1 表面部
11Fa2 裏面部
11Fb 後側セグメント
13(13A~13D) ヒンジ部
15(15A、15B) ヒンジ部
17a、17b 縁部
19(19A~19E) 縁
21(21A~21E) 縁
23 中央帽体部
23A~23E 中央セグメント
25 ロック部
43、45、47 連結部
48 爪
51 ハンモック
52、53 ヘッドバンド
54 頭部紐
55 アジャスタ
56 衝撃緩衝材
57 長孔
58 ピン
59 耳紐
60 あご紐
61 突起部
111 ロック部構成部材
112 弾性アーム
113 突起部
114 爪部
115 摺動溝
121 開口部
122 凸形状部
223 係合突起
P1 ユーザ
Q1 隙間部