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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】部品内蔵パッケージ構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20220127BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/46 Q
H05K3/46 N
H01L23/12 N
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019106961
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020061542
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2019-06-07
(31)【優先権主張番号】16/159,264
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505111188
【氏名又は名称】日月光半導体製造股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 建汎
(72)【発明者】
【氏名】王 建皓
【審査官】赤穂 州一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-223183(JP,A)
【文献】特開2009-200389(JP,A)
【文献】特開2014-239187(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0153493(US,A1)
【文献】特開2012-069863(JP,A)
【文献】特開2006-332094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアを用意し、第1面を有する半硬化の第1絶縁層を前記キャリア上に形成すること、
前記半硬化の第1絶縁層上に部品を供給し、前記部品の上部および下部から熱エネルギーをそれぞれ供給して前記半硬化の第1絶縁層を硬化させること、
前記第1絶縁層上に第2絶縁層を形成して前記部品を覆うこと、および
前記第2絶縁層上に、前記部品に電気的に接続されていてパターニングされている回路層を形成すること
を含み、
前記部品の前記上部から供給される前記熱エネルギーの温度が、前記部品の前記下部から供給される前記熱エネルギーの温度よりも高い、部品内蔵パッケージ構造の製造方法。
【請求項2】
キャリアを用意し、第1面を有する半硬化の第1絶縁層を前記キャリア上に形成すること、
前記半硬化の第1絶縁層上に部品を供給し、前記部品の上部および下部から熱エネルギーをそれぞれ供給して前記半硬化の第1絶縁層を硬化させること、
前記第1絶縁層上に第2絶縁層を形成して前記部品を覆うこと、および
前記第2絶縁層上に、前記部品に電気的に接続されていてパターニングされている回路層を形成すること
を含み、
前記部品の前記上部からの熱エネルギーは予熱吸着ヘッドによって供給され、前記部品は前記予熱吸着ヘッドによって吸着されて前記第1面上に置かれ、前記部品は前記熱エネルギーを前記第1面に伝達し、前記部品の下の前記第1絶縁層が前記熱エネルギーを吸収し、前記部品の側面が、加熱された前記第1絶縁層によって囲まれ且つ覆われる、部品内蔵パッケージ構造の製造方法。
【請求項3】
前記キャリアが回路基板である、請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
前記回路基板が導電性配線層を有し、前記第1絶縁層が前記導電性配線層を覆う、請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
前記部品は少なくとも1つのパッドを有しており、
前記第2絶縁層の形成後に、前記第2絶縁層を介して前記少なくとも1つのパッドを露出する開口を形成することをさらに含む請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
前記パターニングされている回路層が、前記開口内に伸びていて前記部品の前記パッドから前記第2絶縁層の上を覆う、請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
前記第1面の上に前記部品を置いた後に、前記部品の底面が前記第1絶縁層に直接接続され、前記部品の前記底面が前記第1面よりも低い、請求項1または2記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して部品パッケージ構造およびその製造方法に、より詳しくは、部品内蔵パッケージ構造およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
システムレベルパッケージ構造において、半導体チップをパッケージ基板に埋め込む、基板への半導体内蔵技術は、製品のサイズの低減はもちろん、パッケージ製品のノイズ干渉の低減という利点を有し、従ってこの分野における製造者の研究開発の中心となっている。製造歩留まりを高めるためには、次の工程におけるパターニングされた導電回路と埋め込まれた部品との電気的接続を容易にするために、埋め込まれた部品をパッケージ基板内で固定する必要がある。従って、埋め込まれた部品がパッケージ基板内に固定されたままであるように、埋め込まれる部品についての接合およびパッケージング工程の信頼性を高めるソリューションに対するニーズがある。
【0003】
「部品内蔵デバイスおよびその製造方法」と題された米国特許第9,406,658号明細書には、電気的接点を含む電子部品、パターニングされた上層導電層、パターニングされた上層導電層と電子部品との間の絶縁層、第1電気的相互接続部、パターニングされた下層導電層、導電性ビアおよび第2電気的相互接続部を含む電子部品を備える部品内蔵デバイスが開示されている。絶縁層は、電気的接点を露出させる第1開口および、パターニングされた下層導電層からパターニングされた上層導電層に伸びる第2開口を有する。第1電気的相互接続部は、電気的接点からパターニングされた上層導電層まで伸び、第1開口を充填する。第2開口は、パターニングされた上層導電層を露出させる上部と、パターニングされた下層導電層を露出させる下部とを有する。導電性ビアは、第2開口の下部に配置される。第2電気的相互接続部は、第2開口の上部を充填する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、パッケージング工程の信頼性を高めることができる、部品内蔵パッケージ構造およびその製造方法に関する。
【0005】
本発明の一態様によれば、部品内蔵パッケージ構造の製造方法が提供される。方法は、以下の、キャリアを用意し、第1面を有する半硬化の第1絶縁層を前記キャリア上に形成すること、前記半硬化の第1絶縁層上に部品を供給し、前記部品の上部および下部から熱エネルギーをそれぞれ供給して前記半硬化の第1絶縁層を硬化させること、前記第1絶縁層上に第2絶縁層を形成して前記部品を覆うこと、および前記第2絶縁層上に、前記部品に電気的に接続されていてパターニングされている回路層を形成すること、という工程を含む。さらに、前記部品の前記上部から供給される前記熱エネルギーの温度が、前記部品の前記下部から供給される前記熱エネルギーの温度よりも高い。あるいは、前記部品の前記上部からの熱エネルギーは予熱吸着ヘッドによって供給され、前記部品は前記予熱吸着ヘッドによって吸着されて前記第1面上に置かれ、前記部品は前記熱エネルギーを前記第1面に伝達し、前記部品の下の前記第1絶縁層が前記熱エネルギーを吸収し、前記部品の側面が、加熱された前記第1絶縁層によって囲まれ且つ覆われる。
【0008】
本発明の上記および他の態様が、以下の好ましいが非限定的な実施形態の詳細な説明に関して、よりよく理解される。下記の説明は、添付の図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】部品内蔵パッケージ構造の製造方法の概略図である。
図2】部品内蔵パッケージ構造の製造方法の概略図である。
図3】本発明の一実施形態による部品内蔵パッケージ構造の概略図および拡大図である。
図4】本発明の一実施形態による部品内蔵パッケージ構造の製造方法の概略図である。
図5】本発明の一実施形態による部品内蔵パッケージ構造の製造方法の概略図である。
図6】本発明の一実施形態による部品内蔵パッケージ構造の製造方法の概略図である。
図7】本発明の一実施形態による部品内蔵パッケージ構造の製造方法の概略図である。
図8】本発明の一実施形態による部品内蔵パッケージ構造の製造方法の概略図である。
図9】キャリア上に、パターニングされた回路層を形成する概略図である。
図10A】キャリア上に他のパターニングされた回路層を形成する概略図である。
図10B】キャリア上に他のパターニングされた回路層を形成する概略図である。
図11】本発明の他の実施形態による部品内蔵パッケージ構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
非限定的な実施形態が、以下に詳細に示される。実施形態は、例示的なものであって、本発明の請求される範囲の限定と解されるべきものではない。同一/類似の記号は、以下の記載において、同一/類似の構成要素を示すために用いられる。
【0011】
図1および図2を参照すると、部品120(たとえば、半導体チップ)をパッケージ構造に埋め込む前に、まず、部品120は、キャリア100の第1絶縁層110上に載置される。第1絶縁層110は、たとえば、半硬化のプリプレグである。キャリア100は、その下の支持プラットフォーム(図示せず)によって支持され、熱エネルギーが、第1絶縁層110を所定の温度に加熱するために加熱装置(図示せず)によって供給される。加熱装置によって供給される温度は、高温(約80℃)であるため、所定の這い広がる接着性および流動性を予熱された第1絶縁層110にもたらし、それは、部品120を第1絶縁層110上に固定するために部品120と第1絶縁層110とを接合するのに有益である。しかしながら、高温での第1絶縁層110の硬化速度は、結果として速くなる。図2に示すように、第1絶縁層110が充分に硬化されると、第2絶縁層130が、第1絶縁層110の上に形成される。第2絶縁層130は部品120の上部を覆う。
【0012】
上記のパッケージング工程において、吸着ヘッド10が部品120を吸着すると、部品120の内部応力によって反りが起こり、それにより、部品120の底面は第1絶縁層110にしっかりと接合され得ず(完全に接合されず)、部品120の接着力が不十分になる。また、次の硬化工程において、第1絶縁層110が、過度に高い温度(たとえば、80℃以上)のために高速で硬化することがある。結果として、第1絶縁層110は、部品120の表面(すなわち、側面)を有効に覆い且つ囲むことができないことがあり、部品120に対する第1絶縁層110の不十分な被覆効果を引き起こし、故に、次の第2絶縁層130の積層や配線パターニング工程がうまく行われ得ないような落下を起こし易い。
【0013】
上記の問題を解決するために、部品内蔵パッケージ構造が提供される。図3を参照すると、部品内蔵パッケージ構造200Aは、キャリア200、第1絶縁層210、部品220、第2絶縁層230、パターニングされている回路層240およびパターニングされている絶縁保護層260を備える。回路基板などのキャリア200は、導電性配線層202を有する。第1絶縁層210は、キャリア200の上に配置され、第1面212を有する。部品220は、第1絶縁層210の第1面212の上に配置され、部品220の底面Bは、第1面212よりも低く、それによって、半導体チップなどの部品220は、第1絶縁層210の上に安定して搭載され得る。第2絶縁層230は、第1絶縁層210の上に配置され、部品220を覆っている。パターニングされている回路層240は第2絶縁層230の上に配置され、パターニングされている回路層240は部品220と電気的に接続されている。パターニングされている絶縁保護層260は、パターニングされている回路層240を覆っている。
【0014】
一実施形態において、第1絶縁層210は部品220の側面S1を囲い且つ覆っており、第1絶縁層210は第1面212に対して3μmよりも大きい被覆高さH1を有し、それにより、半導体チップなどの部品220は第1絶縁層210の上に安定して搭載され得る。一実施形態において、部品220の底面Bと第1面212との間の高さの差H2は、好ましくは、たとえば3μmよりも大きい。一実施形態において、第1絶縁層210の被覆高さH1は、たとえば、5μmよりも大きいか、または5μmに等しく、部品220の厚さWよりも小さい。
【0015】
前述の問題を解決するために、部品内蔵パッケージ構造200Aの製造方法が一実施形態によって提供される。方法は、第1絶縁層を硬化させるために、埋め込まれる部品の上部および下部の両方から熱エネルギーを同時に供給することができる。さらに、埋め込まれる部品の吸着および加熱に使用される、予熱された吸着ヘッドは、反りの問題を改善し、埋め込まれる部品が第1絶縁層の上により密接に、またはいっそう全体的に接合されることを可能にし、埋め込まれる部品において第1絶縁層によって覆われる面積および高さを増加させ、故に埋め込まれる部品を落下しがちにならずにしっかりと固定されたまま維持する。
【0016】
図4図9を参照すると、本発明の一実施形態による部品内蔵パッケージ構造200Bの製造方法は、以下の工程を含む。キャリア200が、まず用意され、半硬化の第1絶縁層210がキャリア200の上に形成され、半硬化の第1絶縁層210は、第1面212を有する。部品220が、半硬化の第1絶縁層210の上に供給され、第1絶縁層210を硬化させるために、熱エネルギーHaおよびHbが、部品220の上部および下部からそれぞれ同時に供給される。第2絶縁層230が、部品220を覆うために、第1絶縁層210の上に形成される。パターニングされている回路層240が、第2絶縁層230の上に形成され、パターニングされている回路層240は、部品220に電気的に接続される。上記の工程の詳細が、添付の図面と共に以下に示される。
【0017】
図4を参照すると、キャリア200は、たとえば、導電性配線層202を有する回路基板である。回路基板は、たとえば、銅張積層板(CCL)、メタルコアPCB(MCPBC)またはセラミック基板であってもよい。他の実施形態において、キャリア200は、たとえば、ガラス基板であって、一時的な支持のための基板としての役目を果たし、導電性配線を備えない。
【0018】
図5を参照すると、半硬化の第1絶縁層210がキャリア200の上に形成され、同時に、安定した熱エネルギーHaが、第1絶縁層210を所定の温度に保つように、キャリア200の下部で加熱装置(図示せず)によって供給される。この実施形態において、熱エネルギーHaの温度は、たとえば、80℃から50℃に下がり、それによって、第1絶縁層210の過度に高い硬化速度を防止し、故に、部品の側面を効果的に覆い損ねることが防がれる。一方、熱エネルギーHaの温度が下がった後、半硬化の第1絶縁層210の這い広がる接着性および流動性が、次の接合工程を容易にする或る一定の範囲内に保たれ得る。一般的に第1絶縁層210の材料は、ガラス繊維を含まない樹脂材料、たとえば、液晶ポリマー、ビスマレイミドトリアジン(BT)樹脂、半硬化のプリプレグ、味の素ビルドアップフィルム(ABF)、エポキシおよびポリイミドからなる群から選ばれる1つであってもよいが、本発明はこれらの例に限定されない
【0019】
図6Aおよび図6Bを参照すると、予熱された吸着ヘッド20により部品220が吸着され、他の熱エネルギーHbが吸着ヘッド20によって部品220の上部に供給される。熱エネルギーHbの温度は、100℃と150℃との間、たとえば130℃であって、これはキャリア200の下部から第1絶縁層210に伝達される熱エネルギーHaの温度よりも高い。図6Bに示されるように、予熱された吸着ヘッド20から伝達された熱エネルギーHbを部品220が吸収した後、次の第1絶縁層210上への部品220の接合を容易にするように、部品220の底面Bを平面として維持すべく、部品220の内部応力によって生成された反りが軽減され得る。
【0020】
図7を参照すると、部品220は、熱エネルギーHbを吸収した後に略反りが無く(すなわち平坦であり)、部品220の低面Bは、吸着ヘッド20によって下方に押され得て第1絶縁層210の上に直接且つ平坦に置かれるようになる。さらに、部品220は、熱エネルギーHbを第1面212に直接伝達することができ、それによって、部品220の下の第1絶縁層210は、熱エネルギーHbを吸収して溶融し、さらに、第1絶縁層210が部品220の側面S1を覆い且つ囲うのに有利な第1絶縁層210の流動性を増加させる。図6Cおよび図7を参照すると、部品220の下の第1絶縁層210が熱エネルギーHbを吸収した後、部品220の周囲の第1絶縁層210の温度が、所定の温度(たとえば、50℃)から略130℃まで上昇することができ、これにより、図6Cに示すように、第1絶縁層210の這い広がる接着性および流動性を増加させる。加熱された部品220が第1絶縁層210に接触する場合、第1絶縁層210の這い広がる接着剤の状態および粘着力は、加熱されていない部品120に第1絶縁層110が接触する場合よりも良好である。結果として、第1絶縁層210の被覆高さが相対的に増加する。
【0021】
図7に示されるように、一実施形態において、第1面212に対する、部品220の側面S1における第1絶縁層210の被覆高さH1は、たとえば、3μmよりも大きいか、さらに5μmよりも大きいか、もしくは5μmに等しい。そのため、部品220は、第1絶縁層210の上にしっかりと固定され得る。一実施形態において、第1絶縁層210の被覆高さH1は、たとえば、部品220の厚さWよりも小さいが、本発明は、上記の例に限定されない。
【0022】
図3および図7を参照すると、図1および図2におけるパッケージング工程において、第1絶縁層110は片側加熱により加熱され、そして部品120の望ましくない反りが非加熱状況において生成され、それによって、第1絶縁層110は、部品120の側面を効果的に覆うことができない。さらに、第2絶縁層130が第1絶縁層110を覆うと、ボイドVOが部品120の周囲(第1絶縁層110によって覆われない、側面の下部近くの領域)に形成され易く、第2絶縁層130は、このボイドVOを完全に埋めることができない。そのため、部品120は、第1絶縁層110との接触のためには部品120の底面にしか頼ることができず、パッケージング工程後の部品120の不十分な信頼性を示す。逆に、図7中のパッケージング工程では、第1絶縁層210は両面加熱によって加熱される。すなわち、所定の温度(たとえば130℃)の熱エネルギーHbが、第1絶縁層210の加熱および溶融を部分的に補助するように第1絶縁層210の上部にさらに供給される。加えて、熱エネルギーHbは、部品220の反りが起こりがちでなくなるように、予熱のために部品220の上部に供給される。このため、第1絶縁層210は、部品220の側面S1を効果的に覆うことができ、被覆高さH1を所定の値よりも大きくなるように制御することができる。従って、部品220の側面S1は、より良好な接着剤の這い広がり状態または粘着状態を有する第1絶縁層210によってしっかりと覆われることが可能で、さらに、パッケージング工程後、部品220の信頼性を高める。なお、部品220は、第1絶縁層210に固定されると、第1絶縁層210を充分に硬化させるために、炉内に置かれ、(たとえば30分を超える)所定の期間、所定の温度(たとえば180℃)で加熱されてもよい。
【0023】
さらに、部品220が吸着ヘッド20によって予熱され、第1絶縁層210上に置かれると、部品220の底面Bは、第1面212と好ましくは面一にされてもよく、または、溶融した第1絶縁層210の増大した流動性のために第1面212よりも低くなるように沈められてもよい。一実施形態において、部品220の底面Bと第1面212との間の高さの差H2は、好ましくは、たとえば3μmよりも大きい。このように、本発明の製造方法において、部品220を収容するために確保される窪みまたは開口は、第1面212上に作られる必要が無く、そのため開口工程が省かれ、そして部品220を固定するための追加的な接着剤は部品220の底面Bに必要とされない。その一方、キャリア200の絶縁材料(すなわち第1絶縁層210)は、部品220の底面Bに直接接合され、それによって、パッケージング工程後の部品220の信頼性が相対的に高められ、部品220の位置が、位置合わせエラーを減らすべく正確に位置合わせされる。
【0024】
図8を参照すると、第2絶縁層230が、第1絶縁層210上に形成され、部品220を覆っている。より具体的には、第2絶縁層230は、第1絶縁層210を完全に覆い、部品220の側面を囲み得る。第2絶縁層230が充分に硬化されると、部品220が、第1絶縁層210と第2絶縁層230との間に埋め込まれ、部品内蔵パッケージ構造が形成される。埋め込まれた部品220は、能動素子(たとえば、トランジスタ、集積回路チップ、ロジック回路デバイス、または電力増幅器)および受動素子(たとえば、キャパシタ、インダクタ、または抵抗器)の少なくとも1つであってもよい。埋め込まれる部品の数は1つに限定されず、第1絶縁層210および第2絶縁層230は単層または多層構造であってもよく、第1絶縁層210および第2絶縁層230は同じ材料または異なる材料で作られた絶縁材であってもよく、本発明は上記の例に限定されない。
【0025】
図9を参照すると、パターニングされた回路層240が第2絶縁層230上に形成され、パターニングされた回路層240は部品220に電気的に接続され得る。一実施形態において、部品220は、ビアホールV1内に配置された少なくとも1つのパッド222を含み、パターニングされた回路層240が、部品220のパッド222から、ビアホールV1内へと、そして第2絶縁層230上へと伸びている。回路構造の作製方法の詳細が以下に説明される。最初に、第2絶縁層230の形成後に、部品220の少なくとも1つのパッド222を露出させるために、第2絶縁層230を通過するビアホールV1が、ウェットエッチングまたはドライエッチングによって形成される。次に、パターニングされた回路層240が第2絶縁層230上に形成され、パターニングされた回路層240は、ビアホールV1内のパッド222を経由して部品220に電気的に接続される。一実施形態において、パターニングされた回路層240は、部品内蔵パッケージ構造200Aを形成するために、第1絶縁層210および第2絶縁層230を通過する他のビアホールV2を経由して導電性配線層202に電気的に接続されてもよい。パターニングされた回路層240は、銅層またはアルミニウム層であってもよい。パターニングされた回路層240の上部を覆うために、(図10Bおよび図3に示されるように)たとえば、緑色の塗料またはその他の絶縁材料によって作られるパターニングされた絶縁保護層260が形成されてもよい。
【0026】
図10Aおよび図10Bを参照すると、上記のパターニングされた回路層240の完成後、両面に(上部および下部)導電性回路を有する部品内蔵パッケージ構造200Cが作製されるように、他のパターニングされた回路層250がキャリア200上に形成されてもよい。パターニングされたビアホールV3の作製方法は、ビアホールV1の作製方法と同様であり、ビアホールV3がキャリア200の導電性配線層202を露出させるためにキャリア200を通過する点においてのみ異なる。次に、パターニングされた回路層250がキャリア200の他の表面(すなわち底面)上に形成され、下部のパターニングされた回路層250はビアホールV3を経由して導電性配線層202に電気的に接続される。さらに、他の実施形態では、下部のパターニングされた回路層250は、層間導電性ビアを経由して、または垂直の導電性スルーホール(図示せず)を経由して直接的に、上部のパターニングされた回路層240に電気的に接続されてもよく、本発明は上記の例に限定されない。
【0027】
図10Bを参照すると、パターニングされた絶縁保護層260および270が、上部および下部において、パターニングされた回路層240および250の上にそれぞれ形成され、上部および下部の電気的接点242および252が露出される。部品220のパッド222は、これらの2つのパターニングされた回路層240および250を介して、上部および下部の電気的接点242および252に電気的に接続され得る。電気的接点242および252は、たとえば、外部の電子信号に電気的に接続するために設けられた、はんだ突部、リードレス突部、銅突部、または金突部であり、本発明は上記の例に限定されない。
【0028】
図9および図11を参照すると、一実施形態において、図9のキャリア200は、一時的な支持を提供する基板としてのみの役目を果たし、キャリア200は、図11に示されるように、部品内蔵パッケージ構造200Dの導電性配線層202を露出させるために取り外されるか、または分離されてもよい。図11において、導電性配線層202は、単層構造に限定されず、多層構造であってもよい。さらに、図10Bに示されるように、パターニングされた絶縁保護層270および電気的接点252が導電性配線層202の下部に形成されてもよく、本発明は上記の例に限定されない。
【0029】
本発明の実施形態によって開示される部品内蔵パッケージ構造において、積層され、積み重ねられる第1絶縁層210および第2絶縁層230は一例として示される。しかしながら、埋め込まれる部品は、2層に供給されることに代えて、積層され、積み重ねられる多数の絶縁層に供給されてもよい。さらに、埋め込まれる部品220は、積層され、積み重ねられる第1絶縁層210および第2絶縁層230内に配置されることに限定されず、複数の埋め込まれる部品220は、パッケージ要件に応じて、隣接して配置される任意の二つの絶縁層の間に設けられてもよい。
【0030】
本発明を例示により、また好ましい1以上の実施形態の観点で説明したが、本発明は、それらに限定されるものではないことが理解されるべきである。むしろ、各種の修正および同等の配列および手順を含むことが意図され、従って、添付の請求項の範囲には、かかる全ての修正ならびに同等の配列および手順を含むように最も広い解釈が与えられるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11