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特許7015822メトキシフラボンを含むNOX阻害剤及びNFκB阻害剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】メトキシフラボンを含むNOX阻害剤及びNFκB阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/352 20060101AFI20220207BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220207BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220207BHJP
   A61K 36/906 20060101ALN20220207BHJP
【FI】
A61K31/352
A61P21/00
A61P43/00 107
A61P43/00 111
A61K36/906
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019228987
(22)【出願日】2019-12-19
(62)【分割の表示】P 2016517902の分割
【原出願日】2015-05-01
(65)【公開番号】P2020063283
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2020-01-09
(31)【優先権主張番号】P 2014097875
(32)【優先日】2014-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100196243
【弁理士】
【氏名又は名称】運 敬太
(72)【発明者】
【氏名】竹本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小野 佳子
(72)【発明者】
【氏名】浅見 純生
(72)【発明者】
【氏名】下吉 里実
【審査官】原口 美和
(56)【参考文献】
【文献】体育学研究,2006年,Vol. 51,pp. 399-408
【文献】日本補完代替医療学会誌,2009年,Vol. 6, No. 3,pp. 123-129
【文献】日本栄養・食糧学会誌,2015年,Vol. 68, No. 1,pp. 3-11
【文献】生化学,2016年,Vol. 88, No. 2,pp. 211-214
【文献】Journal of Ethnopharmacology,2011年,Vol. 137,pp. 184-191
【文献】Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine,2012年,Vol. 2012, Aeticle ID 732816,pp. 1-7
【文献】Fitoterapia,2004年,Vol. 75,pp. 89-92
【文献】Nutrition and Cancer,2013年,Vol. 65, No. 7,pp. 1014-1025
【文献】第68回日本栄養・食糧学会大会講演要旨集,2014年04月30日,p. 267, 3H-05p
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/352
A61P 21/00
A61P 43/00
A61K 36/906
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)
【化1】

(式中、Rは水素であり、R、及びRは、各々独立して水素又はメトキシ基であり、R及びRは、メトキシ基である)で表される構造を有する少なくとも1種のメトキシフラボンを含む、NOXに起因する疾患の予防又は治療剤であって、
前記少なくとも1種のメトキシフラボンが、5,7,3’,4’-テトラメトキシフラボンであり、
前記予防又は治療剤における、群Aのメトキシフラボンと群Bのメトキシフラボンとの総含有量に対する、群Aのメトキシフラボンの総含有量の割合(A/(A+B))が、重量基準で0.68以上であり、ここで群Aのメトキシフラボンが5,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン、3,5,7,3’,4’-ペンタメトキシフラボン、5,7-ジメトキシフラボン、及び5,7,4’-トリメトキシフラボンからなる群から選択され、群Bのメトキシフラボンが3,5,7-トリメトキシフラボン、3,5,7,4’-テトラメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-3,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-7-メトキシフラボン、5-ヒドロキシ-7,4’-ジメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-3,7-ジメトキシフラボン、及び5-ヒドロキシ-3,7,4’-トリメトキシフラボンからなる群から選択されるものであり、
前記疾患が、疲労、サルコぺニア(筋力低下)、及びミトコンドリア機能障害からなる群から選択される、前記予防又は治療剤。
【請求項2】
前記A/(A+B)が、重量基準で0.70以上である、請求項1に記載のNOXに起因する疾患の予防又は治療剤。
【請求項3】
3’,4’-ジメトキシフラボンを含む、NOXに起因する疾患の予防又は治療剤であって、
前記疾患が、疲労、サルコぺニア(筋力低下)、及びミトコンドリア機能障害からなる群から選択される、前記予防又は治療剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のメトキシフラボンを含むNOX阻害剤及びNFκB阻害剤、及びその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
NADPHオキシダーゼ(NOX)は、好中球などに存在し、O2-を生成することが知られている酵素である。従って、NOXの阻害は、生体内酸化に関連する種々の疾患の予防又は治療に有用であると考えられる。
【0003】
NFκBは、炎症促進性サイトカイン(例えばTNFα、IL-1β、IL-6)、ケモカイン(例えばIL-8、MIP1α)、誘導性エフェクター酵素(iNOSおよびCOX-2)等の分子をコードする遺伝子の転写を調節する転写因子であり、炎症反応において重要な役割を果たしている。NFκB経路の活性化は、種々の炎症性疾患につながり得ることが示されている。
【0004】
植物の抽出物に含まれているメトキシフラボンのいくつかは、抗酸化作用を有することが報告されている。そのようなメトキシフラボンの多くは、ヒドロキシ基を有する(非特許文献1~3)。
【0005】
黒ショウガ(Kaempferia parviflora)は、ショウガ科に属する植物の一種であり、日本では黒ウコンとも呼ばれている。黒ショウガはタイではクラチャダム(Kra chai dahm)とも呼ばれる伝統的なハーブの一種である。黒ショウガには、ヒドロキシ基を有するメトキシフラボンだけでなく、ヒドロキシ基を有さないメトキシフラボンも含まれていることが知られている(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Biochem Pharamacol.,2012,84(2),182-191
【文献】Free Radic Biol Med.,1999,27(1-2),95-99
【文献】Biochem Pharmacol.,1987,36(5),717-720
【文献】大阪市立大学生活科学研究科 東鋭明氏博士論文「ショウガ科植物Kaempferia parvifloraに含まれる成分の構造とα-グルコシダーゼ阻害活性および抗変異原性」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、優れた作用を有するNOX阻害剤及びNFκB阻害剤、及びNOXやNFκBに起因する疾患の予防又は治療剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、かかる課題について鋭意検討した結果、黒ショウガから得られる特定のメトキシフラボンが、優れたNOX阻害作用及び/又はNFκB阻害作用を有することを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は以下のものに関するが、これらに限定されない。
[1]以下の式(I)
【0010】
【化1】
(式中、R、R、及びRは、各々独立して水素又はメトキシ基であり、R及びRは、メトキシ基である)で表される構造を有する少なくとも1種のメトキシフラボンを含む、NOX阻害剤。
[2]前記少なくとも1種のメトキシフラボンが、5,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン、3,5,7,3’,4’-ペンタメトキシフラボン、5,7-ジメトキシフラボン、及び5,7,4’-トリメトキシフラボンからなる群Aから選択される、[1]に記載のNOX阻害剤。
[3]群Aのメトキシフラボンと、3,5,7-トリメトキシフラボン、3,5,7,4’-テトラメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-3,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-7-メトキシフラボン、5-ヒドロキシ-7,4’-ジメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-3,7-ジメトキシフラボン、及び5-ヒドロキシ-3,7,4’-トリメトキシフラボンからなる群Bのメトキシフラボンとの総含有量に対する、群Aのメトキシフラボンの総含有量の割合(A/(A+B))が、モル基準で0.65を超える、[2]に記載のNOX阻害剤。
[4]前記[1]又は[2]に記載された少なくとも1種のメトキシフラボンを含む、NOXに起因する疾患の予防又は治療剤。
[5]アレルギー疾患、パーキンソン病、脳梗塞、白内障、てんかん、脊髄損傷、動脈硬化、未熟児網膜症、腎障害、消化性潰瘍、膵炎、潰瘍性大腸炎、心筋梗塞、成人呼吸窮迫症候群、肺気腫、慢性関節リウマチなどの膠原病、血管炎、浮腫、糖尿病合併症、紫外線障害、高山病、ポルフィリン血症、熱傷、凍傷、接触性皮膚炎、ショック、多臓器不全、DIC、癌、老化、疲労、サルコぺニア(筋力低下)、ミトコンドリア機能障害、認知症、及びアルツハイマー病からなる群から選択される、[4]に記載の予防又は治療剤。
[6]前記[2]に記載の群Aのメトキシフラボンと、[3]に記載の群Bのメトキシフラボンとの総含有量に対する、群Aのメトキシフラボンの総含有量の割合(A/(A+B))が、モル基準で0.65を超える、[4]又は[5]に記載の予防又は治療剤。
[7]以下の式(I)
【0011】
【化2】
(式中、R、R、及びRは、各々独立して水素又はメトキシ基であり、R及びRは、メトキシ基である)で表される構造を有する少なくとも1種のメトキシフラボンを含む、NFκB阻害剤。
[8]前記少なくとも1種のメトキシフラボンが、5,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン、5,7-ジメトキシフラボン、及び5,7,4’-トリメトキシフラボンからなる群A’から選択される、[7]に記載のNFκB阻害剤。
[9]群A’のメトキシフラボンと、3,5,7,3’,4’-ペンタメトキシフラボン、3,5,7-トリメトキシフラボン、3,5,7,4’-テトラメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-3,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-7-メトキシフラボン、5-ヒドロキシ-7,4’-ジメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-3,7-ジメトキシフラボン、及び5-ヒドロキシ-3,7,4’-トリメトキシフラボンからなる群B’のメトキシフラボンとの総含有量に対する、群A’のメトキシフラボンの総含有量の割合(A’/(A’+B’))が、モル基準で0.48を超える、[8]に記載のNFκB阻害剤。
[10]前記[7]又は[8]に記載された少なくとも1種のメトキシフラボンを含む、NFκBに起因する疾患の予防又は治療剤。
[11]前記疾患が、関節リウマチ、炎症性大腸炎、変形性関節症、骨溶解症、腱炎、坐骨神経痛、椎間板ヘルニア、狭窄症、脊髄症、腰痛、椎間関節痛、手根管症候群、足根管症候群、腰椎術後疼痛症候群、エイズ、動脈硬化、喘息、関節炎、糖尿病、炎症性大腸炎、肝炎、脳卒中、認知症、筋消耗、ウイルス感染、光老化を含めた皮膚老化、がん、及び老化からなる群から選択される、[10]に記載の予防又は治療剤。
[12]前記[8]に記載の群A’のメトキシフラボンと、[9]に記載の群B’のメトキシフラボンとの総含有量に対する、群A’のメトキシフラボンの総含有量の割合(A’/(A’+B’))が、モル基準で0.48を超える、[10]又は[11]に記載の予防又は治療剤。
[13]3’,4’-ジメトキシフラボンを含む、NOX阻害剤。
[14]3’,4’-ジメトキシフラボンを含む、NOXに起因する疾患の予防又は治療剤。
[15]前記疾患が、アレルギー疾患、パーキンソン病、脳梗塞、白内障、てんかん、脊髄損傷、動脈硬化、未熟児網膜症、腎障害、消化性潰瘍、膵炎、潰瘍性大腸炎、心筋梗塞、成人呼吸窮迫症候群、肺気腫、慢性関節リウマチなどの膠原病、血管炎、浮腫、糖尿病合併症、紫外線障害、高山病、ポルフィリン血症、熱傷、凍傷、接触性皮膚炎、ショック、多臓器不全、DIC、癌、老化、疲労、サルコぺニア(筋力低下)、ミトコンドリア機能障害、認知症、及びアルツハイマー病からなる群から選択される、[14]に記載の予防又は治療剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、優れた作用を有するNOX阻害剤及びNFκB阻害剤を提供することができる。また、それを利用して、NOXやNFκBに起因する疾患の予防又は治療剤も提供することができる。
【0013】
本発明において使用されるメトキシフラボンは、従来抗酸化作用等が見出されていたメトキシフラボンと異なり、ヒドロキシ基を有さないにも拘らず、優れたNOX阻害等の作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(メトキシフラボン)
本発明においては、以下の式(I)
【0015】
【化3】
(式中、R、R、及びRは、各々独立して水素又はメトキシ基であり、R及びRは、メトキシ基である)で表される構造を有する少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種、より好ましくは少なくとも3種、より好ましくは少なくとも4種、より好ましくは少なくとも5種、より好ましくは少なくとも6種、より好ましくは少なくとも7種、より好ましくは少なくとも8種のメトキシフラボンを用いる。
【0016】
本発明のNOX阻害、又はNOXに起因する疾患の治療又は予防においては、好ましくは、前記少なくとも1種のメトキシフラボンは、5,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン、3,5,7,3’,4’-ペンタメトキシフラボン、5,7-ジメトキシフラボン、及び5,7,4’-トリメトキシフラボンからなる群Aから選択される。NOX阻害剤、又はNOXに起因する疾患の治療又は予防剤は、群Aのメトキシフラボンだけでなく、他の化合物、例えば、黒ショウガ由来の、3,5,7-トリメトキシフラボン、3,5,7,4’-テトラメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-3,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-7-メトキシフラボン、5-ヒドロキシ-7,4’-ジメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-3,7-ジメトキシフラボン、及び5-ヒドロキシ-3,7,4’-トリメトキシフラボンからなる群Bから選択される少なくとも1種のメトキシフラボンを含んでもよい。しかしながら、群Aのメトキシフラボンは、群Bのメトキシフラボンよりも高いNOX阻害作用を示す。従って、群Aのメトキシフラボンの含有率は高い方が良い。例えば、群A及び群Bのメトキシフラボンの総含有量に対する、群Aのメトキシフラボンの総含有量の割合(A/(A+B))は、モル基準(又は重量基準)で好ましくは0.65を超え、より好ましくは0.66以上、より好ましくは0.67以上、より好ましくは0.68以上、より好ましくは0.69以上、より好ましくは0.70以上、より好ましくは0.71以上である。当該割合に上限値はなく、当該割合は1.00以下であってもよい。
【0017】
本発明のNFκB阻害、又はNFκBに起因する疾患の治療又は予防においては、好ましくは、前記少なくとも1種のメトキシフラボンは、5,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン、5,7-ジメトキシフラボン、及び5,7,4’-トリメトキシフラボンからなる群A’から選択される。NFκB阻害剤、又はNFκBに起因する治療又は予防剤は、群A’のメトキシフラボンだけでなく、他の化合物、例えば、黒ショウガ由来の、3,5,7,3’,4’-ペンタメトキシフラボン、3,5,7-トリメトキシフラボン、3,5,7,4’-テトラメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-3,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-7-メトキシフラボン、5-ヒドロキシ-7,4’-ジメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-3,7-ジメトキシフラボン、及び5-ヒドロキシ-3,7,4’-トリメトキシフラボンからなる群B’から選択される少なくとも1種のメトキシフラボンを含んでもよい。しかしながら、群A’のメトキシフラボンは、群B’のメトキシフラボンよりも高いNFκB阻害作用を示す。従って、群A’のメトキシフラボンの含有率は高い方が良い。例えば、群A’及び群B’のメトキシフラボンの総含有量に対する、群A’のメトキシフラボンの総含有量の割合(A’/(A’+B’))は、モル基準(又は重量基準)で好ましくは0.48を超え、より好ましくは0.49以上、より好ましくは0.50以上、より好ましくは0.51以上、より好ましくは0.52以上、より好ましくは0.53以上、より好ましくは0.54以上、より好ましくは0.55以上、より好ましくは0.60以上である。当該割合に上限値はなく、当該割合は1.00以下であってもよい。
【0018】
或いは、メトキシフラボンは、3’,4’-ジメトキシフラボンである。
【0019】
これらのメトキシフラボンの大部分は、例えば、非特許文献4に記載の方法に従って、黒ショウガ(Kaempferia parviflora)から得ることができる。或いは、例えば本明細書の実施例1に詳述された方法に従って得ることもできる。黒ショウガは、ショウガ科に属する植物の一種であり、東南アジアを中心に自生しているため、容易に入手できる。3’,4’-ジメトキシフラボンは、例えば、Lawsonia alba(ヘナ)のから溶媒を用いて抽出できることが知られている。例えば、Phytochemistry Letters,2011,4,454-458を参照されたい。
【0020】
前記阻害剤及び治療又は予防剤に含まれるメトキシフラボンの種類及び量は、必要に応じて公知の方法に基づいて調整することができる。例えば、特定のメトキシフラボンを公知の精製方法を使用して除去することもできるし、特定の精製されたメトキシフラボンを前記阻害剤、又は治療もしくは予防剤に添加することもできる。
【0021】
また、本発明においては、黒ショウガから、式(I)のメトキシフラボンを含む油脂抽出物を得て利用することもできる。当該油脂抽出物は、黒ショウガから油脂抽出を経て得られる抽出物である。当該抽出物は、メトキシフラボンを含有し、そして黒ショウガ抽出物に特有の黒紫色の強度が低減されている。当該抽出物は、さらに油脂、特に抽出に用いられた油脂を含んでもよい。
【0022】
当該油脂抽出物は、黒ショウガから得られていないものや、黒ショウガを原料としていても油脂抽出を経て得られていないものとは、含有される成分の種類及び比率等の点で異なると考えられる。例えば、黒ショウガ以外の植物から得られた抽出物もメトキシフラボンを含みうるが、その種類や比率は、当該油脂抽出物と異なると考えられる。また、黒ショウガが原料であっても、そこから、油脂抽出以外の方法、例えば、含水アルコール抽出により得られた抽出物中のメトキシフラボンの種類や比率は、当該油脂抽出物と異なる。一方で、油脂抽出は、黒ショウガに対して直接行われてもよいし、間接的に、例えば、黒ショウガから油脂以外の溶媒、例えば水、親水性溶媒、又はそれらの混合物を用いて得られた抽出液に対して行ってもよい。
【0023】
当該油脂抽出物は、少なくとも1種の式(I)のメトキシフラボンを含有する。当該メトキシフラボンは、好ましくは、群Aから選択される。当該抽出物は、さらに、群Bから選択されるメトキシフラボンを含有してもよい。当該油脂抽出物は、好ましくは、群A及びBの11種のメトキシフラボンから選択される少なくとも1種、より好ましくは少なくとも2種、より好ましくは少なくとも3種、より好ましくは少なくとも4種、より好ましくは少なくとも5種、より好ましくは少なくとも6種、より好ましくは少なくとも7種、より好ましくは少なくとも8種、より好ましくは少なくとも9種、より好ましくは少なくとも10種、より好ましくは11種を含む。
【0024】
当該油脂抽出物の製造に用いられ得る、そして当該抽出物に含まれ得る油脂は、メトキシフラボンを溶解できる限り特に限定されない。典型的には、当該油脂は、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ジアシルグリセロール、ゴマサラダ油、オリーブ油、大豆油、ナタネ油、コーン油、米胚芽油、ヒマワリ種子油、シソ油、エゴマ油から選ばれる少なくとも1種である。中鎖脂肪酸トリグリセリドに関して用いられる「中鎖脂肪酸」とは、炭素数8~12の脂肪酸を意味する。当該トリグリセリドを構成する脂肪酸部分の内の少なくとも一つ、好ましくは二つが、より好ましくは三つが、中鎖脂肪酸である。
【0025】
当該油脂抽出物においては、黒紫色の強度が低減されている。このことを確認するために、当該抽出物の吸光度を測定することが有効である。
【0026】
具体的には、当該抽出物から、群A及びBの11種のメトキシフラボンの総含有量が5.0mg/mlである溶液を調製し、当該溶液の、波長660nmにおける吸光度を測定する。このようにして測定される吸光度は、当該油脂抽出物においては、0.10以下である。当該吸光度は、好ましくは0.07以下、より好ましくは0.05以下である。特に断りがない限り、本明細書における吸光度は、セル長(光路長)が10mmの場合の吸光度を意味する。測定に用いた装置のセル長が10mmでない場合には、得られた吸光度の値をセル長が10mmである場合の値に換算する。また、吸光度測定のためには、適切なブランクを使用する。
【0027】
以下に、当該油脂抽出物の製造方法を説明する。
【0028】
例えば、当該製造方法は、黒ショウガの植物体に油脂を接触させて1種以上のメトキシフラボンを抽出することを含む。この方法の典型例を以下に記載する。
【0029】
先ず、黒ショウガの植物体を準備する。当該植物体又はその部位を、必要に応じて、乾燥し、粉砕する。次いで、当該植物体又はその部位を油脂と接触させて、抽出を行う。抽出条件は、メトキシフラボンを抽出できる限り特に限定されない。典型的な抽出温度は、50~180℃、70~170℃、70~150℃、100~150℃、又は120~150℃である。抽出時間は、典型的には、1分~1日、10分~10時間、又は15分~5時間である。また、使用される油脂の容量は、典型的には、黒ショウガの重量の0.1~30倍、又は0.5~15倍である。用いられる油脂の例は、上記した通りである。
【0030】
理論に拘束されないが、この抽出中に、メトキシフラボンが油脂に移行するが、黒ショウガの黒紫色を生じる成分は、黒ショウガの植物体中に留まると考えられる。また、黒ショウガに特有の香味を生じる成分も、油脂に移行せずに当該植物体中に留まると考えられる。
【0031】
次いで、抽出を行った後には、必要に応じて、当該抽出により得られた油脂含有抽出物から濾過又は遠心分離により不溶性固形物を除く。
【0032】
或いは、油脂抽出物の製造は、黒ショウガの植物体に水、親水性溶媒、又はそれらの混合物を接触させて、1種以上のメトキシフラボンを抽出し、そして当該抽出により得られた中間抽出物に油脂を接触させて当該メトキシフラボンを抽出することを含む。この方法の典型例を以下に記載する。
【0033】
先ず、上記と同様にして黒ショウガの植物体を準備する。次いで、当該植物体又はその部位に、水、親水性溶媒、又はそれらの混合物を接触させて、抽出を行う。抽出条件は、メトキシフラボンを抽出できる限り特に限定されない。典型的な抽出温度は、室温~還流温度、40℃~還流温度、50℃~還流温度、還流温度であるが、50℃~還流温度、又は還流温度が好ましい。抽出時間は、典型的には、1分~1日、10分~10時間、又は15分~5時間である。また、使用される水、親水性溶媒又はそれらの混合物の容量は、典型的には、黒ショウガの重量の0.1~30倍、又は0.5~15倍である。用いられる親水性溶媒は、好ましくはC1-3アルコール及び/又はアセトンであり、より好ましくは、エタノールである。例えば、50~100v/v%エタノールを用いて抽出を行う。この抽出工程で得られる中間抽出物を、油脂抽出工程に付す。
【0034】
油脂抽出工程では、当該中間抽出物と油脂とを接触させて抽出を行う。抽出条件は、メトキシフラボンを抽出できる限り特に限定されない。抽出温度は特に限定されず、例えば、5℃以上、10℃以上、20℃以上、30℃以上、40℃、又は50℃以上で行われる。抽出温度の上限値は特に制限されず、水、親水性溶媒又はそれらの混合物の還流温度以下であればよい。抽出時間は、典型的には、1分~1日、10分~10時間、又は15分~5時間である。また、使用される油脂の容量は、典型的には、黒ショウガの重量の0.01~30倍、又は0.1~15倍である。用いられる油脂の例は、上記した通りである。
【0035】
さらに、場合により、当該中間抽出物に油脂を接触させる前に、及び/又はそれらが接触している間に、当該中間抽出物から水、親水性溶媒、又はそれらの混合物を蒸発させる。蒸発は、常圧下で行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。このように積極的な蒸発を行う場合には、抽出時間はあまり重要でない。蒸発が進み、水、親水性溶媒又はそれらの混合物の量が低下すれば、メトキシフラボンは油脂中に、場合によって当該親水性溶媒等と共に、移行すると考えられる。
【0036】
理論に拘束されないが、油脂抽出中に、メトキシフラボンが油脂に移行するが、黒ショウガの黒紫色を生じる成分は、油脂に移行しないと考えられる。
【0037】
次いで、抽出を行った後には、必要に応じて、当該抽出により得られた油脂含有抽出物から濾過又は遠心分離により不溶性固形物を除く。これは、中間抽出物についても同様である。
【0038】
前記の2つの方法によると、油脂含有抽出物を得ることができる。これは、さらなる精製をすることなく使用してもよいが、必要に応じて精製してもよい。例えば、当該油脂含有抽出物をさらなる抽出工程に付して、油脂を除去してもよい。具体的には、当該油脂含有抽出物に、水、親水性溶媒、又はそれらの混合物を接触させて、1種以上のメトキシフラボンを抽出する。この際、必要であれば、当該油脂含有抽出物に低極性の溶媒、例えば、n-ヘキサンのようなC1-8の炭化水素を加えてもよい。
【0039】
用いる親水性溶媒や親水性溶媒と水との混合物の例は、上記した通りである。抽出温度は特に限定されず、例えば、5℃以上、10℃以上、20℃以上、30℃以上、40℃、又は50℃以上で行われる。抽出温度の上限値は特に制限されないが、水、親水性溶媒又はそれらの混合物の還流温度以下であればよい。抽出時間は、典型的には、1分~1日、10分~10時間、又は15分~5時間である。また、使用される水、親水性溶媒又はそれらの混合物の容量は、典型的には、油脂抽出物の重量の0.01~30倍、又は0.1~15倍である。
【0040】
さらに、メトキシフラボンの抽出中に、当該油脂含有抽出物由来の油脂相と、当該水、親水性溶媒、又はそれらの混合物由来の相との2相混合物が得られ、この混合物を液-液分離に付す。結果として、当該水、親水性溶媒、又はそれらの混合物の相(これは、メトキシフラボンと溶媒を含む抽出物である)を、油脂相から分離させることができる。液-液分離のためには、例えば、当該2相混合物を単に静置してもよいし、遠心分離に付してもよい。次いで、分離された抽出物を得る。
【0041】
分離された抽出物は、メトキシフラボンを含み、そして溶媒を含む液の形態にある。この液をそのまま利用してもよいし、溶媒(水、親水性溶媒、又はその混合物)を除去して、メトキシフラボンを含む粉末形態の抽出物を得てもよい。溶媒を除去する方法は特に限定されず、常圧又は減圧下での蒸留、凍結乾燥等が挙げられる。
【0042】
このようにして油脂が除去された抽出物は、黒ショウガに特有のメトキシフラボンを比較的高い濃度で含有する。この抽出物も、必要に応じてさらに精製してもよい。
【0043】
油脂抽出物においては、エタノール等の親水性溶媒を用いて得られた抽出物と比較して、上述したA/(A+B)及びA’/(A’+B’)の割合が比較的高い。油脂抽出物における当該割合の好ましい範囲は、上記した通りである。
【0044】
(NOX阻害剤)
本発明者は、式(I)のメトキシフラボンが、NADPHオキシダーゼ(NOX)阻害剤として有効であることを見出した。従って、本発明は、一つの側面では、式(I)のメトキシフラボンを少なくとも一種含む、NOX阻害剤、又はNOXを阻害するための組成物である(本明細書では、「NOX阻害剤」と「NOXを阻害するための組成物」は、相互交換的に用い、特に断りがない限り、一方を用いる場合には、他方をも意味するものとする)。この発明は、別の態様では、式(I)のメトキシフラボンの少なくとも一種を対象に投与することを含むNOXを阻害するための方法でもある。或いは、式(I)のメトキシフラボンの代わりに、又はそれに追加して、3’,4’-ジメトキシフラボンを用いることもできる。
【0045】
NOXの阻害は、NOXに起因する疾患の予防又は治療につながる。従って、本発明は、別の側面では、式(I)のメトキシフラボンの少なくとも1種を含む、NOXに起因する疾患の予防又は治療剤、又は当該予防若しくは治療のための組成物である(本明細書では、「NOXに起因する疾患の予防又は治療剤」と「NOXに起因する疾患の予防又は治療のための組成物」は、相互交換的に用い、特に断りがない限り、一方を用いる場合には、他方をも意味するものとする)。この発明は、別の態様では、当該メトキシフラボンの少なくとも1種を対象に投与することを含む、当該疾患の予防又は治療のための方法である。そのような疾患には、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(花粉症)、アレルギー性結膜炎、アレルギー性胃腸炎、気管支喘息、小児喘息、食物アレルギー、薬物アレルギー、蕁麻疹などのアレルギー疾患、パーキンソン病、脳梗塞、白内障、てんかん、脊髄損傷、動脈硬化、未熟児網膜症、腎障害、消化性潰瘍、膵炎、潰瘍性大腸炎、心筋梗塞、成人呼吸窮迫症候群、肺気腫、慢性関節リウマチなどの膠原病、血管炎、浮腫、糖尿病合併症、紫外線障害、高山病、ポルフィリン血症、熱傷、凍傷、接触性皮膚炎、ショック、多臓器不全、DIC、癌、老化、疲労、サルコぺニア(筋力低下)、ミトコンドリア機能障害、認知症、及びアルツハイマー病が含まれる。或いは、式(I)のメトキシフラボンの代わりに、又はそれに追加して、3’,4’-ジメトキシフラボンを用いることもできる。
【0046】
本発明は、別の側面では、式(I)のメトキシフラボンを少なくとも一種含む、抗酸化剤(より具体的には、生体内酸化防止、抑制又は低減剤)であるか、又は生体内酸化を防止、抑制又は低減するための組成物である(本明細書では、「抗酸化剤」、「生体内酸化防止、抑制又は低減剤」、「生体内酸化を防止、抑制又は低減するための組成物」は、相互交換的に用い、特に断りがない限り、これら三者の一つを記載する場合には、残りの二者をも意味するものとする)。この発明は、別の態様では、式(I)のメトキシフラボンの少なくとも一種を対象に投与することを含む、生体内酸化を防止、抑制又は低減するための方法である。本明細書においては、生体内酸化とは、生体内で活性酸素によって生じる種々の酸化反応を意味する。或いは、式(I)のメトキシフラボンの代わりに、又はそれに追加して、3’,4’-ジメトキシフラボンを用いることもできる。
【0047】
本発明のNOX阻害剤、NOXに起因する疾患の予防又は治療剤、抗酸化剤中の式(I)のメトキシフラボンの総含有量は、所望の効果が得られる限り特に限定されないが、好ましくは0.01~50w/w%、より好ましくは0.1~40w/w%、より好ましくは0.5~30w/w%である。
【0048】
NOX阻害作用、NOXに起因する疾患の予防又は治療、抗酸化等の前記の所望の効果を発揮するための成人1日当たりの式(I)のメトキシフラボンの総摂取量は、好ましくは1~500mgであり、より好ましくは3~200mgであり、さらに好ましくは5~100mgである。
【0049】
上記の量は、3’,4’-ジメトキシフラボンにも適用できる。
【0050】
(NFκB阻害剤)
本発明者は、式(I)のメトキシフラボンが、NFκB阻害剤として有効であることを見出した。従って、本発明は、別の側面では、式(I)のメトキシフラボンを少なくとも一種含む、NFκB阻害剤、又はNFκBを阻害するための組成物である(本明細書では、「NFκB阻害剤」と「NFκBを阻害するための組成物」は、相互交換的に用い、特に断りがない限り、一方を用いる場合には、他方をも意味するものとする)。この発明は、別の態様では、式(I)のメトキシフラボンの少なくとも一種を対象に投与することを含むNFκBを阻害するための方法である。或いは、式(I)のメトキシフラボンの代わりに、又はそれに追加して、3’,4’-ジメトキシフラボンを用いることもできる。
【0051】
NFκBの阻害は、NFκBに起因する疾患の予防又は治療につながる。従って、本発明は、別の側面では、式(I)のメトキシフラボンの少なくとも1種を含む、NFκBに起因する疾患の予防又は治療剤、又は当該予防又は治療のための組成物である(本明細書では、「NFκBに起因する疾患の予防又は治療剤」と「NFκBに起因する疾患の予防又は治療剤のための組成物」は、相互交換的に用い、特に断りがない限り、一方を用いる場合には、他方をも意味するものとする)。当該発明は、別の態様では、当該メトキシフラボンの少なくとも1種を対象に投与することを含む、当該疾患の予防又は治療のための方法に関する。そのような疾患には、関節リウマチ、炎症性大腸炎、変形性関節症、骨溶解症、腱炎、坐骨神経痛、椎間板ヘルニア、狭窄症、脊髄症、腰痛、椎間関節痛、手根管症候群、足根管症候群、腰椎術後疼痛症候群、エイズ、動脈硬化、喘息、関節炎、糖尿病、炎症性大腸炎、肝炎、脳卒中、認知症、筋消耗、ウイルス感染、光老化を含めた皮膚老化、がん、及び老化が含まれる。或いは、式(I)のメトキシフラボンの代わりに、又はそれに追加して、3’,4’-ジメトキシフラボンを用いることもできる。
【0052】
本発明のNFκB阻害剤、NFκBに起因する疾患の予防又は治療剤中の式(I)のメトキシフラボンの総含有量は、所望の効果が得られる限り特に限定されないが、好ましくは0.01~50w/w%、より好ましくは0.1~40w/w%、より好ましくは0.5~30w/w%である。
【0053】
NFκB阻害作用、NFκBに起因する疾患の予防又は治療等の前記の所望の効果を発揮するための成人1日当たりの式(I)のメトキシフラボンの総摂取量は、好ましくは1~500mgであり、より好ましくは3~200mgであり、さらに好ましくは5~100mgである。
【0054】
上記の量は、3’,4’-ジメトキシフラボンにも適用できる。
【0055】
(他の成分)
本発明のNOX又はNFκB阻害剤、NOX又はNFκBに起因する疾患の予防又は治療剤、抗酸化剤は、その効果を損なわない限り、式(I)のメトキシフラボンの他に、任意の成分を配合してもよい。例えば、ビタミンE、ビタミンC等のビタミン類、ミネラル類、ホルモン、栄養成分、香料などの生理活性成分のほか、製剤化において配合される乳化剤、緊張化剤(等張化剤)、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化剤等を適宜配合することができる。
【0056】
(適用)
本発明のNOX又はNFκB阻害剤、NOX又はNFκBに起因する疾患の予防又は治療剤、抗酸化剤は、飲食品(機能性食品、健康補助食品、栄養機能食品、特別用途食品、特定保健用食品、栄養補助食品、食事療法用食品、健康食品、サプリメント等)、医薬品、又は香粧品として、又はその原料として使用することができる。飲食品及び医薬品は、ペットの餌として加工したペットフードや動物飼料等、並びに動物用医薬品でもよい。
【0057】
当該飲食品の形態は、特に限定されないが、例えば、清涼飲料水(例えば、スポーツドリンク、炭酸飲料、果汁飲料)、菓子類(例えば、ケーキ、ビスケット、パン、飴)、麺類(例えば、うどん、そば、ラーメン、パスタ)、みそ、醤油、酢、サラダ油、ごま油、豆乳、牛乳である。或いは、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセルも含む)等の形態であってもよい。
【0058】
当該医薬品の形態は、特に限定されないが、例えば、外用剤(例えば、ローション、乳液剤、貼付剤、軟膏剤)、経口剤(錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセルも含む)、溶液剤、懸濁液剤)、注射剤、注入剤である。
【0059】
当該香粧品の形態は、特に限定されないが、例えば、化粧水、ジェル、ローション、クリーム、パック剤、乳液、ファンデーション、口紅、パウダー、洗顔料、ヘアートニックである。
【0060】
(数値範囲)
明確化のために記載すると、本明細書において下限値と上限値によって表されている数値範囲、即ち「下限値~上限値」は、それら下限値及び上限値を含む。例えば、「1~2」により表される範囲は、1及び2を含む。
【実施例
【0061】
[実施例1]
(メトキシフラボンの単離精製)
黒ショウガ150gに50%エタノール水溶液1500mlを加え、2時間加熱還流抽出を行った。冷後得られた抽出液をろ過し、減圧下にて濃縮し、凍結乾燥を行い、黒ショウガ抽出物25.7gを得た。得られた抽出物のうち9gをDia ion HP20(三菱化学株式会社製)を用いたカラムクロマトグラフィーに付し、4つの画分(30%エタノール溶出部、50%エタノール溶出部、70%エタノール溶出部、100%エタノール溶出部)へ分画した。このうち50%エタノール溶出部を高速液体クロマトグラフィーに付して、5,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン(64mg)、3,5,7,3’,4’-ペンタメトキシフラボン(464mg)、5,7-ジメトキシフラボン(145mg)、5,7,4’-トリメトキシフラボン(188mg)、3,5,7-トリメトキシフラボン(35mg)、3,5,7,4’-テトラメトキシフラボン(96mg)を単離した。続いて100%エタノール溶出部についても同様に液体クロマトグラフィーによる分離精製を行い5-ヒドロキシ-3,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン(15mg)、5-ヒドロキシ-7-メトキシフラボン(84mg)、5-ヒドロキシ-7,4’-ジメトキシフラボン(56mg)、5-ヒドロキシ-3,7-ジメトキシフラボン(100mg)、5-ヒドロキシ-3,7,4’-トリメトキシフラボン(110mg)を単離した。単離した化合物は、そのスペクトルデータを文献(大阪市立大学生活科学研究科 東鋭明氏博士論文「ショウガ科植物Kaempferia parvifloraに含まれる成分の構造とα-グルコシダーゼ阻害活性および抗変異原性」)に記載の各種スペクトルデータと比較の上、同定した。
【0062】
[実施例2]
(油脂抽出物の製造)
3g及び15gの黒ショウガに、それぞれオリーブオイル30mLを加え、120℃で30分間抽出を行った後、冷却してからろ過し、2つの淡黄色の黒ショウガ油脂抽出物を得た。以下の分析条件で、得られた2つの油脂抽出物中の実施例1に記載のメトキシフラボン11種の総含有量を定量したところ、その値は、6.2mg/mL(3gの黒ショウガより)、22.4mg/mL(15gの黒ショウガより)であった。尚、これらの抽出物は、いずれも、実施例1に記載のメトキシフラボン11種を全て含んでいた。
【0063】
(メトキシフラボンの分析定量)
黒ショウガ油脂抽出物1.0mLにn-ヘキサン1.0mLを加え希釈した後、2.0mLの80%メタノール水溶液にて3回メトキシフラボンの抽出を行った。得られた80%メタノール抽出液をMega Bond Elute C18(アジレントテクノロジー社製)に通した後、Mega Bond Elute C18に吸着したメトキシフラボンを洗い出す目的で、80%メタノール2.0mLを通した。得られた液をあわせた後、最終的に10mLへメスアップし、HPLC用の分析試料とした。
【0064】
(HPLC分析条件)
カラム:Develosil C30 UG5(4.6x150mm、5μm、野村化学株式会社製)
検出:280nm(PDAは200~600nm)
カラム温度:40℃
移動相A:0.05%トリフロロ酢酸水溶液
移動相B:90%アセトニトリル水溶液中のトリフロロ酢酸0.05%溶液
グラジェント:移動相B 50%-50%-70%-70%(0min-7.5min-20min-25min)
流速:1.0mL/min
試料注入量:10μL
【0065】
[実施例3]
(NOX阻害活性測定方法)
分化させたHL-60細胞の調製:
ヒト骨髄性白血病細胞HL-60細胞は未分化状態で増殖を繰り返すが、DMSO(dimethyl sulfoxide)やレチノイン酸などを添加することにより成熟顆粒球に分化し、増殖能を失うとともに、分化の指標ともなっているNOX(NADPH oxidase)が細胞内に発現することが知られており、そのNOXは、NOX阻害活性を評価するための酵素源として利用することができる。
【0066】
NOXを発現する顆粒球へと分化させるために、10% FBS含有RPMI1640培地で培養した未分化HL-60細胞を、1% DMSOを含有する10% FBS含有RPMI1640培地に5×10cells/mlとなるように懸濁させ、その懸濁液を内径10cmのシャーレに15mlずつ分注してCOインキュベータ(37℃)において3日間培養させた後、10mlの1%DMSOを含有する10%FBS含有RPMI1640培地を各シャーレに追加して、さらに3日間培養させることにより、NOXの発現した分化したHL-60細胞を得ることができた。以下に記すように、分化させたHL-60細胞の細胞破砕液あるいは生細胞をそのまま用いてNOX活性を測定した。
【0067】
細胞破砕液を用いたcell-free系によるNOX活性測定:
DMSO処理により分化させたHL-60細胞を遠心処理により集め、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で一回洗浄した後に、細胞破砕用の緩衝液(131mM NaClおよび340mM sucroseを含有する8mM リン酸緩衝液 pH7.0)を用いて1×10cells/mlとなるように懸濁させた。氷冷させた後に、超音波破砕機(Bioruptor UCD-250HSA、Cosmo Bio製)を用い、4℃以下の条件において「最大出力での破砕20秒/インターバル冷却30秒」のプロセスを3回繰り返すことにより細胞破砕液を得た。破砕液を1000g、4分間の遠心処理することによってdebrisを除去して得られた上清に、9倍容の反応用の緩衝液(1mM EGTA,10μM FADおよび170mM sucroseを含有する65mMリン酸緩衝液 pH7.0)を加え、NOX測定用の細胞破砕上清液(1×10cells/ml相当)を調製した。
【0068】
NOXの反応は、96wellのマイクロプレートにwellあたり50μlの上記細胞破砕液を注ぎ、さらにNOX活性化剤である0.5mM SDS溶液を25μl、基質である0.4mM NADPH溶液を25μl添加して25℃において30~90分間行った。NOX活性はNADPHの消費速度を蛍光測定(Ex:355nm/Em:460nm)することにより求めた。
【0069】
被験サンプルのNOX阻害活性は、サンプルのDMSO溶液(試薬の場合は通常10mM)を調製し、DMSOによって3倍希釈系列の溶液を調製し、これを上記の反応液に各々1μl/wellずつ添加して酵素反応を行い、得られた阻害活性をIC50値(μM、抽出物の場合はμg/ml)として示した。
【0070】
分化したHL-60生細胞を用いたNOX活性測定:
DMSO処理により分化させたHL-60細胞を遠心処理により集め、FBSおよびフェノールレッドを含まないD-MEM培地に5×10cells/mlとなるように懸濁させた。NOXの反応は、96wellのマイクロプレートにwellあたり25μlの上記細胞懸濁液を注ぎ、さらに上記のD-MEMを用いて調製した0.8mg/ml WST-1溶液、所定濃度に調製した被験サンプル溶解液(サンプルのDMSO溶液(試薬の場合は通常10mM)を調製し、ここからDMSOを用いて3倍希釈系列の溶液を調製し、これを上記のD-MEMに1v/v%以下になるように溶解させて、当該被験サンプル溶解液を調製した)をそれぞれ25μlずつ添加し攪拌させた後に、25μlの4μM PMA(Phorbol 12-Myristate 13-acetate、終濃度は1μM)D-MEM溶液を添加してNOXの活性化を行い、37℃、45分間の反応を行い、NOX酵素生成物であるスーパーオキシドと反応液中のWST-1が反応して生成する黄色フォルマザンを450nmの吸光度として測定した。なお、このNOX活性測定系では、PMAを添加しない限りNOXは活性化しないことが確認されている。
【0071】
得られた阻害活性をIC50値(μM、抽出物の場合はμg/ml)として示した。
【0072】
[実施例4]
(メトキシフラボノイドのNOX阻害活性の比較)
実施例3に従い、細胞破砕液を用いたcell-free系によるNOX活性測定によりいくつかのメトキシフラボノイドのNOX阻害活性を比較した。結果を表1に示す。
【0073】
表1に示されるように、ルテオリンのメトキシ体である5,7,3’,4’-テトラメトキシフラボンや、ケルセチンのメトキシ体である3,5,7,3’,4’-ペンタメトキシフラボンなどに強いNOX阻害活性が認められた。これらの5,7-ジメトキシフラボノイド類は黒ショウガなどに含まれている。他方、柑橘類に存在することが知られているノビレチンなどのヘキサメトキシフラボンには、強いNOX阻害活性は認められなかった。尚、NOX阻害剤であるVAS2870の、この細胞破砕液を用いたcell-free系におけるIC50値は、3.3μMであった。
【0074】
【表1】
【0075】
[実施例5]
(黒ショウガ由来化合物のNOX阻害活性)
実施例3に従い、細胞破砕液を用いたcell-free系によるNOX活性測定により黒ショウガから抽出・分画したメトキシフラボノイドのNOX阻害活性を比較した。黒ショウガから得られたフラボノイドはいずれもメトキシ基をもつという特徴を有する。このうち、A環の5位と7位にメトキシ基を有するフラボンに、強いNOX阻害活性が認められたが、5位にヒドロキシ基を有するフラボノイドにはNOX阻害活性が認められなかった。3位のメトキシ基は、致命的ではないが、活性を減弱させる傾向が見られた。従って、式(I)に表されるメトキシフラボンは、優れたNOX阻害活性を有すると考えられる。また、この系におけるVAS2870(NOX阻害剤)のIC50は6.3μMであった。
【0076】
【表2】
【0077】
[実施例6]
黒ショウガのロットによる油脂抽出物の組成の違いを確認するため2つの黒ショウガ200gを用意し、それぞれについてエタノール1000mLを加えて、1時間加熱還流抽出を行った。得られた液を冷却後、吸引ろ過して、残渣と抽出液に分けた。再度残渣にエタノール1000mLを加えて、1時間加熱還流抽出を行い、ろ過し、先に得られた抽出液とあわせた。続いて抽出液に中鎖脂肪酸トリグリセリド100mLを加え、減圧濃縮によりエタノールを留去したのち、析出した不溶物を吸引ろ過にて除去し、2つの黒ショウガ油脂抽出物を得た。実施例2に準じてそれらの抽出物中のメトキシフラボンの含有量を分析したところ、メトキシフラボン総量は、90.4mg/mL(以下、この抽出物を「抽出物A」と呼ぶ)、54.9mg/mL(以下、この抽出物を「抽出物B」と呼ぶ)であった。またこれら2つの抽出物中のメトキシフラボン総量を5mg/mlにオリーブオイルにて調節して2つの溶液を得て、その溶液の660nmにおける吸光度を測定したところ、それぞれ0.036(抽出物A)、0.030(抽出物B)であった(ブランクとしてメタノールを用いた)。尚、これらの抽出物は、いずれも、実施例1に記載の11種のメトキシフラボンを全て含んでいた。
【0078】
[実施例7]
(NOX阻害活性測定のためのサンプル調製:黒ショウガエタノール抽出物の製造)
黒ショウガ乾燥物200gに50%エタノール水溶液1000mLを加えて、1時間加熱還流抽出を行った。得られた液を冷却後、吸引ろ過して、残渣と抽出液に分けた。再度残渣に50%エタノール水溶液1000mLを加えて、1時間加熱還流抽出を行い、ろ過し、先に得られた抽出液とあわせた。室温まで冷後、減圧濃縮したのち、凍結乾燥を行い黒ショウガエタノール抽出物-1を49g(収率24.5%)得た。黒ショウガのロット間による差を確認する目的で、上述と同様の方法にて操作を行ったところ、黒ショウガエタノール抽出物-2を23g(収率15.2%)得た。続いて、本抽出物中の11種のメトキシフラボン総含有量は実施例2の方法に準じて測定したところ、それぞれ264mg/g、267mg/gであった。黒ショウガエタノール抽出物-1中のメトキシフラボン総量を5mg/mlにメタノールにて調節して溶液を得て、その溶液の660nmにおける吸光度を測定したところ、0.95(ブランクはメタノール)であった。尚、これらの抽出物は、いずれも、実施例1に記載の11種のメトキシフラボンを全て含んでいた。
【0079】
[実施例8]
(NOX阻害活性測定のためのサンプル調製:黒ショウガ油脂抽出物の製造)
黒ショウガ10g、20g、30g、40gに、10倍量のエタノールをそれぞれ加えて、1時間加熱還流抽出を行った。得られた液を冷却後、吸引ろ過し、その抽出液に中鎖脂肪酸トリグリセリド15mLを加え、減圧濃縮によりエタノールを留去したのち、不溶物を除く目的で再度吸引ろ過を行い、それぞれの黒ショウガ油脂抽出物を得た。得られた4つの黒ショウガ油脂抽出物について、実施例2に準じて11種のメトキシフラボンの総含有量を分析したところ、その値は、それぞれ23.9mg/mL、46.3mg/mL、69.4mg/mL、78.1mg/mLであった。また、総メトキシフラボン量を46.3mg/mL以上を含む油脂抽出物は、室温で放置するとメトキシフラボン類の析出が確認された。尚、これらの抽出物は、いずれも、実施例1に記載の11種のメトキシフラボンを全て含んでいた。
【0080】
[実施例9]
(NOX阻害活性を指標にした黒ショウガ抽出法の比較)
実施例3に従い、総メトキシフラボン量22.4mg/mlの黒ショウガ油脂抽出物-1(実施例2で得られたもの)、総メトキシフラボン量69.4mg/mlの黒ショウガ油脂抽出物-2(実施例8で得られたもの)、エタノール抽出物(実施例7で得られた黒ショウガエタノール抽出物-1および2)のNOX阻害活性(分化したHL-60生細胞を用いたNOX阻害活性測定)を測定した。黒ショウガのロット間の活性の強さの違いを見るために2種の黒ショウガについて検討した。また油脂抽出物は、そのままでは活性を測定できなかったため、脱脂処理を行った。具体的には油脂抽出物0.5mLに同量のn-ヘキサン0.5mLを加え希釈した後、0.5mLの80%メタノール水溶液にて3回メトキシフラボンの抽出を行った。得られた抽出液をSep-Pak PLUS C8 125Å Catrtriges(ウォーターズ社製)に吸着させ、さらに80%メタノール3.0mLを通して油分を除いた。その後、Sep-Pak PLUS C8 125Å Catrtrigesを溶媒で洗浄して得られた液を減圧濃縮、凍結乾燥し、評価試料を調製した。測定されたIC50値を以下の表3に示す。
【0081】
以下に示すIC50値は、総メトキシフラボン量に基づくNOX阻害活性を示す。それらの値を比較したところ、いずれにおいても、エタノール抽出物より油脂抽出物の方が高い作用(低いIC50)を示した。このことから、本発明のように油脂で抽出することによって、NOXに対して阻害作用がより高いメトキシフラボンが効率的に抽出されていることが示唆された。
【0082】
【表3】
【0083】
[実施例10]
(NFκB阻害作用)
マクロファージ様のRAW264.7細胞をLPS(リポ多糖)によって刺激すると、NFκBが活性化され、それによってiNOS(誘導型NO合成酵素)の発現が亢進し、培養液中にiNOS酵素活性に起因する亜硝酸が蓄積することが知られており、培養液中の亜硝酸量を測定することによりNFκB活性化を評価することが可能である。
【0084】
RAW264.7細胞は10%FBS含有RPMI1640培養液において培養したものを用いた。得られた細胞を4×10 cells/mlとなるように上記培養液に懸濁させ、96wellのマイクロプレートにwellあたり100μlずつ分注し、あらかじめ(COインキュベーターにて)24hr培養した。これにwellあたり25μlの6μg/ml LPS含有培養液(LPSは大腸菌由来、終濃度は1μg/ml)および25μlの所定濃度の被験標品溶液をそれぞれ添加し、さらに24hr培養した後に、それぞれ75μlの細胞培養液を分取し、等量のGriess試薬(Fluka製)を添加することにより呈色反応を行い、亜硝酸の生成を540nmの吸光度に基づいて測定した。被験サンプルのNFκB阻害活性の測定は、サンプルのDMSO溶液を上記の培養液にDMSO濃度として1%以下になるように溶解させた3倍希釈系列の溶液を用いて行い、刺激剤であるLPS無添加/添加条件における吸光度を測定した。LPS刺激に起因した亜硝酸生成を50%阻害した濃度、すなわちIC50値(μM)を、表4に示した。表4に示されているように、式(I)のメトキシフラボンは、優れたNFκB阻害作用を示した。
【0085】
【表4】
【0086】
[実施例11]
(抽出方法と組成の関係)
実施例9の結果に鑑み、黒ショウガからの油脂抽出物と親水性溶媒抽出物の組成を比較した。具体的には、実施例2、6及び8に準じて、油脂抽出(油脂のみでの抽出、又はエタノール抽出とそれに続く油脂抽出)を行い、実施例7に準じてエタノール抽出を行った。油脂抽出においては、油脂として、オリーブオイル、又はオリーブオイルと中鎖脂肪酸グリセリド(本実施例では、中鎖脂肪酸トリグリセリドが用いられ、これを「MCT」とも示す)との混合物を用いた。得られた抽出物は、実施例2に記載の方法に基づいてHPLCで分析され、得られたHPLC面積値を以下に示す。以下の表では、便宜上、油脂を単に「Oil」とも示す。
【0087】
【表5A】
【0088】
【表5B】
【0089】
表5A及び5Bに示されているように、油脂抽出物における、NOX阻害活性やNFκB阻害活性の高いメトキシフラボンの割合、即ち、A/(A+B)及びA’/(A’+B’)は、エタノール抽出物よりも高かった。このような組成の違いは、NOX阻害活性やNFκB阻害活性に影響し得る。