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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/72 20060101AFI20220127BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20220127BHJP
   C11D 1/74 20060101ALI20220127BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20220127BHJP
   C11D 3/12 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
B29C33/72
C11D3/37
C11D1/74
C11D1/68
C11D3/12
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019503106
(86)(22)【出願日】2018-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2018007748
(87)【国際公開番号】W WO2018159752
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】P 2017040700
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501041528
【氏名又は名称】ダイセルポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】荻原 剛之
(72)【発明者】
【氏名】中野 透
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-140214(JP,A)
【文献】特開2013-155220(JP,A)
【文献】特開2013-154484(JP,A)
【文献】国際公開第2012/090620(WO,A1)
【文献】特開2011-083972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00- 33/76
C11D 1/00- 19/00
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、ポリプロピレンホモポリマー、エチレンとプロピレンの共重合体、並びにエチレン及び/又はプロピレンとそれらの共重合できるモノマーとの共重合体から選ばれるオレフィン系樹脂、及び
(B)成分が(B1)成分であり、(B1)HLBが16~20であるノニオン界面活性剤を含有し、(B)成分を、(A)成分100質量部に対して0.5~5質量部含有する、成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
さらに(B)成分として、(B2)HLBが1~12であるノニオン界面活性剤を含有する、請求項1に記載の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
(B1)成分が、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルである、請求項1又は2載の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
(B2)成分が、グリセリン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上である、請求項2記載の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、(C)熱可塑性エラストマーを含有する、請求項1~4の何れか1項記載の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
(C)成分が、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック重合体(SIS)、水素化スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック重合体(SEBS)、水素化スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック重合体(SEPS)、エチレン-αオレフィン系重合体、エチレン-αオレフィン-ポリエン重合体、シリコーンゴム、アクリルゴム、及びブタジエン-(メタ)アクリル酸エステル重合体から選ばれる1種以上である、請求項記載の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
(C)成分を、(A)成分の合計100質量部に対して、0.5~20質量部含有する、請求項5又は6記載の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
さらに、(D)無機充填剤を含有する、請求項1~6の何れか1項記載の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
(D)成分が、タルク及びガラス繊維から選ばれる1種以上である、請求項記載の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
(D)成分を、(A)成分の合計100質量部に対して、0.1~10質量部含有する、請求項8又は9記載の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項記載の押出成形加工機又は射出成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出機、射出成形機等の成形加工機を洗浄するための成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物に関する。
背景技術
【0002】
熱可塑性樹脂の成形加工機用の洗浄剤として、ベース樹脂と他の成分を組み合わせたものが知られている。
特開2014-77049号公報、特開2013-154484号公報、特開2012-140481号公報、及び特開2011-46808号公報には、ベース樹脂とするポリオレフィン樹脂にその他成分を組み合わせた成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
発明の概要
【0003】
本発明は、洗浄性能がより高められた成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【0004】
本発明は、(A)オレフィン系樹脂、及び
(B)(B1)HLBが13~20であるノニオン界面活性剤
を含有し、(B)成分を、(A)成分100質量部に対して、0.5~10質量部含有する、成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0005】
本発明の洗浄用の熱可塑性樹脂組成物によれば、成形加工機の内部を洗浄する際の洗浄性と作業性が良い。
発明を実施するための形態
【0006】
[洗浄用の熱可塑性樹脂組成物]
<(A)成分>
(A)成分はオレフィン系樹脂である。(A)成分のオレフィン系樹脂は、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、ポリプロピレンホモポリマー、エチレンとプロピレンの共重合体、並びにエチレン及び/又はプロピレンとそれらの共重合できるモノマーとの共重合体等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。(A)成分は、洗浄性能を高める観点から、HDPE、LDPE、LLDPE、及びポリプロピレンホモポリマーから選ばれる1種以上が好ましく、HDPE及びポリプロピレンホモポリマーから選ばれる1種以上がより好ましい。
【0007】
(A)成分のISO1133に準拠したメルトフローレイト(以下、MFRという)(10分間に流出する樹脂の重量(g/10min))は、190℃、荷重2.16kgの場合、0.01~6が好ましく、0.01~3がより好ましい。また前記(A)成分のMFR(g/10min)は、230℃、荷重2.16kgの場合、0.5~15が好ましく、0.5~10がより好ましい。
【0008】
<(B)成分>
(B)成分は、ノニオン界面活性剤である。
【0009】
(B1)成分は、HLBが13~20であるノニオン界面活性剤である。(B1)成分のHLBは、洗浄性能を高める観点から、好ましくは14~20であり、より好ましくは16~20である。
【0010】
なお本発明において、HLBとは、親水性疎水性バランス(Hydrophile Lipophile Balance)の略であって、化合物が親水性か親油性かを知る指標となるものであり、0~20の値をとる。HLB値が小さい程、親油性が強いことを示す。本発明において、HLB値は、下記に示すグリフィンの式で定義される。
【0011】
HLB値=20×Mw/M
(式中、Mはノニオン界面活性剤の分子量であり、Mwは該ノニオン界面活性剤の親水性部分の分子量である。)
【0012】
(B1)成分のノニオン界面活性剤は、前記HLBの範囲内で、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、ソルビタン型ノニオン界面活性剤、グリセリセライド型ノニオン界面活性剤(グリセリン(モノ、ジ)脂肪酸エステル類)、プロピレングリコ-ル脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリコシド型ノニオン界面活性剤(アルキルポリグリコシド、アルキルグルコシド)、脂肪族アルカノールアミド等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0013】
(B1)成分は、これらの中でも、洗浄性能を高める観点から、前記HLBの範囲内で、ポリオキシエチレン(モノ、ジ)脂肪酸エステルが好ましく、ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステルがより好ましい。また(B1)成分がポリオキシエチレン(モノ、ジ)脂肪酸エステルの場合、前記化合物の1つの脂肪酸部分の炭素数は、好ましくは8~22であり、より好ましくは12~18である。
【0014】
本発明の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物は、洗浄性能を高める観点から、さらに(B2)成分として、HLBが1~12であるノニオン界面活性剤を含有することが好ましい。即ち、本発明の洗浄用の熱可塑性樹脂組成物は、(B)成分として、(B1)成分と(B2)成分の両方を含有することが好ましい。
【0015】
(B2)成分のHLBは、洗浄性能を高める観点から、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~8であり、更に好ましくは1~5である。
【0016】
(B2)成分のノニオン界面活性剤は、前記HLBの範囲内で、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、ソルビタン型ノニオン界面活性剤、グリセリセライド型ノニオン界面活性剤(グリセリン(モノ、ジ)脂肪酸エステル類)、プロピレングリコ-ル脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリコシド型ノニオン界面活性剤(アルキルポリグリコシド、アルキルグルコシド)、脂肪族アルカノールアミド等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0017】
(B2)成分は、これらの中でも、洗浄性能を高める観点から、前記HLBの範囲内で、グリセリン(モノ、ジ)脂肪酸エステル、及びソルビタン(モノ、ジ、トリ)脂肪酸エステルから選ばれる1種以上が好ましく、グリセリンモノ脂肪酸エステル、及びソルビタントリ脂肪酸エステルから選ばれる1種以上がより好ましく、グリセリンモノ脂肪酸エステルが更に好ましい。また(B2)成分がグリセリン(モノ、ジ)脂肪酸エステルの場合、前記化合物の1つの脂肪酸部分の炭素数は、好ましくは8~22であり、より好ましくは16~22である。また(B2)成分がソルビタン(モノ、ジ、トリ)脂肪酸エステルの場合、前記化合物の1つの脂肪酸部分の炭素数は、好ましくは8~22であり、より好ましくは12~22である。
【0018】
本発明の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物中における(B)成分の含有割合は、洗浄性能を高める観点から、(A)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部であり、より好ましくは1~10質量部、更に好ましくは1~8質量部、より更に好ましくは3~7質量部である。
【0019】
本発明の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物中における(B1)成分の含有割合は、洗浄性能を高める観点から、(A)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.25~5質量部であり、より好ましくは0.5~5質量部、更に好ましくは0.5~4質量部、より更に好ましくは1.5~3.5質量部である。
【0020】
本発明の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物中における(B2)成分の含有割合は、洗浄性能を高める観点から、(A)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.25~5質量部であり、より好ましくは0.5~5質量部、更に好ましくは0.5~4質量部、より更に好ましくは1.5~3.5質量部である。
【0021】
本発明の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物において、(B1)成分と(B2)成分の合計量中における(B1)成分の含有割合は、洗浄性能を高める観点から、好ましくは10~90質量%、より好ましくは20~80質量%、更に好ましくは30~70質量%であり、より更に好ましくは40~60質量%であり、(B2)成分の含有割合は、洗浄性能を高める観点から、好ましくは90~10質量%、より好ましくは80~20質量%、更に好ましくは70~30質量%であり、より更に好ましくは60~40質量%である。
【0022】
本発明の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物は、洗浄性能を高める観点から、さらに(C)成分として、熱可塑性エラストマーを含有することが好ましい。
【0023】
(C)成分の熱可塑性エラストマーは、ウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミドエラストマー、スチレン系エラストマーなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0024】
具体的な(C)成分としては、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック重合体(SIS)、水素化スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック重合体(SEBS)、水素化スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック重合体(SEPS)、エチレン-αオレフィン系重合体、エチレン-αオレフィン-ポリエン重合体、シリコーンゴム、アクリルゴム、及びブタジエン-(メタ)アクリル酸エステル重合体から選ばれる1種以上が挙げられ、洗浄性能を高める観点から、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック重合体(SIS)、水素化スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック重合体(SEBS)、及び水素化スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック重合体(SEPS)から選ばれる1種以上が好ましく、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック重合体(SBS)、水素化スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック重合体(SEBS)、及び水素化スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック重合体(SEPS)から選ばれる1種以上がより好ましく、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック重合体、及び水素化スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック重合体(SEBS)から選ばれる1種以上が更に好ましく、水素化スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック重合体(SEBS)がより更に好ましい。
【0025】
本発明の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物中における(C)成分の含有割合は、洗浄性能を高める観点から、(A)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.5~20質量部であり、より好ましくは1~15質量部、更に好ましくは1~12質量部、更に好ましくは2~7質量部である。
【0026】
本発明の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物は、洗浄性能を高める観点から、さらに(D)成分として、無機充填剤を含有することが好ましい。
【0027】
(D)成分の無機充填材としては、粒状乃至粉状の充填材、繊維状の充填材を用いることができる。
【0028】
粒状乃至粉状の充填材としては、タルク、二酸化チタン、シリカ、マイカ、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム)、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、オキシサルフェート、酸化スズ、アルミナ、カオリン、炭化ケイ素、金属粉末、ガラスパウダー、ガラスフレーク、ガラスビーズ等を挙げることができ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0029】
粒状乃至粉状の充填材は、平均粒径が100μm以下のものが好ましく、50μm以下のものがより好ましく、10μm以下のものが更に好ましく、5μm以下のものが特に好ましい。平均粒径は、沈降天秤法によって測定し、50%粒度中央値で示したものである。
【0030】
繊維状の充填材としては、ウォラストナイト、ガラス繊維、ガラス繊維のミルドファイバー、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー、アタパルジャイト等を挙げることができ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0031】
(D)成分は、洗浄性能を高める観点から、タルク及びガラス繊維から選ばれる1種以上が好ましく、タルクがより好ましい。
【0032】
本発明の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物中における(D)成分の含有割合は、洗浄性能を高める観点から、(A)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは0.1~5質量部、更に好ましくは0.1~3質量部、更に好ましくは0.5~2質量部である。
【0033】
本発明の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物は、上記各成分を、ヘンシェルミキサー、タンブラーブレンダー、ニーダー等の混合機で予備混合した後、押出機で混練したり、加熱ロール、バンバリーミキサーで溶融混練したりすることによって製造することができる。
【0034】
本発明の成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物は、押出成形加工機又は射出成加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物として好適であり、押出成形加工機洗浄用の熱可塑性樹脂組成物としてより好適である。
実施例
【0035】
実施例及び比較例
表1、2に示す組成の各成分をタンブラーブレンダーで混合後、押出機にて溶融混練し、ペレット状の樹脂組成物を得た。これらの組成物を使用し、下記の方法で洗浄試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0036】
[押出成形加工機の洗浄性の評価]
押出成形機(GT-25A、株式会社プラスチック工学研究所製)に、スクリュー回転数100rpm、樹脂温度210℃の条件下で、先行使用樹脂としてHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)の黒色着色品(黒色色剤濃度1質量%)1kgを押出成形した。
【0037】
その後、表1の各組成物を押出成形機のホッパに投入して押し出し、先行使用樹脂の黒色が消えた時点を洗浄終了として、それまでの前記組成物の使用量(kg)により洗浄性を評価した。洗浄に用いた樹脂組成物の使用量が少ないほど、洗浄性に優れていることが言える。
【0038】
[射出成形加工機の洗浄性の評価]
射出成形機(α-S150iA、ファナック株式会社製)に、シリンダー温度230℃の条件下で、先行使用樹脂としてポリプロピレンの黒色着色品(黒色色剤濃度3質量%)1kgを射出成形した。
【0039】
その後、表2の各組成物を射出成形機に投入して射出成形し、先行使用樹脂の黒色が消えた時点を洗浄終了として、それまでの前記組成物の使用量(kg)により洗浄性を評価した。洗浄に用いた樹脂組成前物の使用量が少ないほど、洗浄性に優れていることが言える。
【0040】
また洗浄終了後、射出成成形機にHDPE樹脂(HI-ZEX5300B、株式会社プライムポリマー製)を投入して射出成形したときに、先行使用樹脂(ポリプロピレンの黒色着色品)の黒色が確認できるか否かで洗浄性(先行使用樹脂の残留の有無)を評価した。先行使用樹脂の黒色が確認できない場合、洗浄に用いた樹脂組成物が、洗浄性に優れていることが言える。
【0041】
(A)成分
A-1:HDPE(ニポロンハード 6900B、東ソー株式会社製、MFR 0.07)
A-2:HDPE(ニポロンハード 6000、東ソー株式会社製、MFR 0.15)
A-3:ポリプロピレン(サンアロマー PM472W、サンアロマー株式会社製、MFR2.7)
A-4:LLDPE(ニポロン-L T240F、東ソー株式会社製、MFR 1.6)
A-5:ポリプロピレン(サンアロマー PL400A、サンアロマー株式会社製、MFR2.0)
【0042】
なおA-1、A-2、及びA-4のMFR(g/10min)は、ISO1133に基づいて、温度190℃及び荷重2.16kgの条件で、A-3、及びA-5のMFR(g/10min)は、ISO1133に基づいて、温度230℃及び荷重2.16kgの条件で測定した値である。
【0043】
(B)成分
B1-1:ポリオキシエチレンジステアレート(花王株式会社製、HLB 18.9)
B2-1:ヒドロキシステアリン酸モノグリセリド(理研ビタミン株式会社製、HLB3.4)
B2-2:ソルビタントリベヘネート(理研ビタミン株式会社製、HLB2.5)
B2-3:ジグリセリンステアレート(理研ビタミン株式会社製、HLB 5.7)
【0044】
(B’)成分((B)成分の比較成分)
B’-1:αオレフィンスルホン酸ナトリウム(第一工業製薬株式会社製)
B’-2:ステアリン酸ナトリウム(株式会社ADEKA製)
B’-3:亜鉛ステアリルアシッドホスフェート(LBT-1830、堺化学工業株式会社製)
【0045】
(C)成分
C-1:SEBS(タフテック1043、旭化成ケミカルズ株式会社製、スチレン/エチレン・ブチレン(モル比)=67/33)
C-2:SEBS(タフテック1221、旭化成ケミカルズ株式会社製、スチレン/エチレン・ブチレン(モル比)=12/88)
C-3:SBS(アサプレン T-437、旭化成株式会社製、スチレン/ブタジエン(モル比)=30/70)
【0046】
(D)成分
D-1:タルク(PHSHタルク、竹原化学工業株式会社製)
【0047】
(E)成分(その他成分)
E-1:MS(セビアンMAS30、ダイセルポリマー株式会社製)
E-2:EMA(エルバロイAC 1820、三井・デュポン・ポリケミカル株式会社製)
【0048】
【表1】
【0049】
表1中、洗浄性の評価で、組成物の使用量(kg)が「0.4<」と記載されている比較例は、洗浄用の熱可塑性樹脂組成物の使用量が0.4kgを超える量であったことを示す。
【0050】
【表2】