(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】缶底成形機アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B21D 51/26 20060101AFI20220127BHJP
B21D 22/28 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
B21D51/26 R
B21D22/28 L
(21)【出願番号】P 2019539823
(86)(22)【出願日】2018-01-12
(86)【国際出願番号】 US2018013522
(87)【国際公開番号】W WO2018136329
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2021-01-04
(32)【優先日】2017-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518070917
【氏名又は名称】プライド エンジニアリング リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】スウェードバーグ,リック
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-525196(JP,A)
【文献】米国特許第07124613(US,B1)
【文献】米国特許第05378010(US,A)
【文献】米国特許第05380028(US,A)
【文献】特開平05-161934(JP,A)
【文献】特表2010-540254(JP,A)
【文献】特開2009-078301(JP,A)
【文献】特開2016-104495(JP,A)
【文献】特開2003-136144(JP,A)
【文献】米国特許第04733550(US,A)
【文献】国際公開第2017/144981(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/26
B21D 22/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶底成形機のドーム設定力を調整するための装置であって:
外側エンドプレート;
外側エンドプレートに近接して移動可能に取り付けられた内側エンドプレート;
内側エンドプレートと可動のハウジングとの間に配置されたドーム設定ばね;及び
ばね力設定ねじであって、ばね力設定ねじが可動のハウジングの方へ内側エンドプレートに変位力を及ぼすように外側エンドプレートへねじ込まれる、前記ばね力設定ねじ
を含む、前記装置。
【請求項2】
ばね力設定ねじが力センサを介して内側エンドプレートに力を及ぼすように、外側エンドプレートと内側エンドプレートとの間に配置された力センサをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ばね力設定ねじは作動端にボールベアリングを含み、ボールベアリングは内側エンドプレートの向かい側に力センサの側面を接触させる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
ばね力設定ねじは内側エンドプレートに近接する作動端にボールベアリングを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
変位力がドーム設定ばねを圧縮する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
可動のハウジングとドーム設定ばねとの間に配置されたばねカバープレートをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
変位力が内側エンドプレートとばねカバープレートとの間のドーム設定ばねを圧縮する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
缶底成形機のドーム設定力を調整するための装置であって:
外側エンドプレート;
外側エンドプレートに近接して移動可能に取り付けられた内側エンドプレート;
内側エンドプレートと可動のハウジングとの間に配置されたドーム設定ばね;及び
可動のハウジングの方へ内側エンドプレートに変位力を及ぼすための調整手段
を含む、前記装置。
【請求項9】
調整手段が力センサを介して内側エンドプレートに力を及ぼすように、外側エンドプレートと内側エンドプレートとの間に配置された力センサをさらに含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
調整手段は作動端にボールベアリングを含み、ボールベアリングは内側エンドプレートの向かい側に力センサの側面を接触させる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
調整手段は内側エンドプレートに近接する作動端にボールベアリングを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
変位力がドーム設定ばねを圧縮する、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
可動のハウジングとドーム設定ばねとの間に配置されたばねカバープレートをさらに含む、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
変位力が内側エンドプレートとばねカバープレートとの間のドーム設定ばねを圧縮する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
底部成形機においてドーム設定ばねのドーム設定力を調整する方法であって:
ばね力設定ねじを最初に調整して、ドーム設定ばねのドーム設定力を低いレベルに低減すること;
ばね力設定ねじを調整することによってドーム設定力を増加させること;
ドーム設定力を読み取ること;及び
ドーム設定力が望ましいレベルにあることを確認すること
を含む、前記方法。
【請求項16】
ドーム設定力を低減するために、ばね力設定ねじを最初に調整することが、底部成形機がボディ製造機に据え付けられる前に行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
力を増加させる工程及びその後に力を読み取る工程が、ドーム設定力が所望のレベルになるまで繰り返される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
ばね力設定ねじが手動で調整される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
ばね力設定ねじが回転型アクチュエータによって調整される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
ドーム設定力を読み取ることは、ばね力設定ねじとドーム設定ばねとの間に配置された力センサからの信号を読み取ることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
トルクにより作動されるアクチュエータアセンブリであって:
アンカー部材;及び
トルク端及び作動端を有する少なくとも1つのトーションロッドであって、少なくとも1つのトーションロッドがトルク端と作動端との間に少なくとも2つの屈曲部をさらに含み、作動端がアンカー部材に回動可能に接続される、前記少なくとも1つのトーションロッド;
を含み、
トルク端に近接する少なくとも1つのトーションロッドに適用されるトルクは、少なくとも1つのトーションロッドの作動端の一部分に並進成分を有する作動力を生成する、
前記アクチュエータアセンブリ。
【請求項22】
少なくとも1つのトーションロッドのトルク端は、位置的に固定されるが回転することができる、請求項
21に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項23】
トルクを適用するために、少なくとも1つのトーションロッドのトルク端に接続されるトーションロッドリンケージをさらに含む、請求項
22に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項24】
少なくとも2つの屈曲部は、作動端の回転の中心から作動端の一部分までの距離に起因する力の並進成分を生成するために構成される、請求項
23に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項25】
作動端の一部分は、作動部材に回転可能に接続され、かつ並進成分が作動部材を動かす、請求項
24に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項26】
少なくとも1つのトーションロッドは、少なくとも第1のトーションロッド及び第2のトーションロッドを含み、第1のトーションロッド及び第2のトーションロッドは、作動部材上に本質的に等しい並進力を生成するように構成される、請求項
25に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項27】
本質的に等しい並進力は、本質的に同一の方向である、請求項
26に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項28】
第1のトーションロッドによって生成される回転力成分は、第2のトーションロッドによって生成される回転力成分によって本質的に対抗される、請求項
27に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項29】
トルクが第1のトーションロッド及び第2のトーションロッドに反対方向に適用される、請求項
28に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項30】
少なくとも1つのトーションロッドは、少なくとも第1のトーションロッド及び第2のトーションロッドを含み、第1のトーションロッド及び第2のトーションロッドは、作動部材上に並進力を生成するように構成され、並進力は異なる方向を有する、請求項
25に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項31】
並進力は本質的に互いに垂直である、請求項
30に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項32】
少なくとも1つのトーションロッドは、トーションロッドの第1のペア及びトーションロッドの第2のペアを含み、かつトーションロッドの第1のペアは第1のトーションロッド及び第2のトーションロッドを含み、第1のトーションロッド及び第2のトーションロッドは本質的に同一の方向に、作動部材上に本質的に等しい並進力を生成するように構成され、かつトーションロッドの第2のペアは第3のトーションロッド及び第4のトーションロッドを含み、第3のトーションロッド及び第4のトーションロッドは本質的に同一の方向に、作動部材上に本質的に等しい並進力を生成するように構成される、請求項
25に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項33】
第1のトーションロッドによって生成される回転力成分は、第2のトーションロッドによって生成される回転力成分によって本質的に対抗され、かつ第3のトーションロッドによって生成される回転力成分は、第4のトーションロッドによって生成される回転力成分によって本質的に対抗され、1つ又は両方のトーションロッドのペアの結果として生じる並進力が作動部材を動かす、請求項
22に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項34】
第1のクロスリンケージシャトルによって反対方向に第1のトーションロッド及び第2のトーションロッドにトルクが適用され、かつ第2のクロスリンケージシャトルによって反対方向に第3のトーションロッド及び第4のトーションロッドにトルクが適用される、請求項
33に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項35】
第1のクロスリンケージシャトルは、第1のトーショナルリンケージにより第1のトーションロッド及び第2のトーションロッドに回転可能に接続され、かつ第2のクロスリンケージシャトルは、第2のトーショナルリンケージにより第3のトーションロッド及び第4のトーションロッドに回転可能に接続される、請求項
34に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項36】
第1のクロスリンケージシャトルは、第1のモーションアクチュエータによって動かされる結果としてトルクを適用し、かつ第2のクロスリンケージシャトルは、第2のモーションアクチュエータによって動かされる結果としてトルクを適用する、請求項
35に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項37】
第1のモーションアクチュエータ及び第2のモーションアクチュエータは、手動で操作される、請求項
36に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項38】
第1のモーションアクチュエータ及び第2のモーションアクチュエータは、電動で操作される、請求項
35に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項39】
作動部材上の力を測定するために構成される少なくとも1つの歪みセンサをさらに含み、少なくとも1つの歪みセンサからの信号が作動部材を適切な位置にするために使用される、請求項
35に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項40】
作動部材上の力を測定するために構成される少なくとも1つの歪みセンサをさらに含み、少なくとも1つの歪みセンサからの信号が作動部材を適切な位置にするためにフィードバックループにおいて使用される、請求項
35に記載のアクチュエータのアセンブリ。
【請求項41】
作動部材上の力を測定するために構成される一連の歪みセンサをさらに含み、一連の歪みセンサからの信号がモーションアクチュエータのうちの少なくとも1つで駆動することによって作動部材を適切な位置にするために使用される、請求項
38に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項42】
第1のモーションアクチュエータ及び第2のモーションアクチュエータは、電動的に駆動される、請求項
41に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項43】
第1のモーションアクチュエータ及び第2のモーションアクチュエータは、空気圧式である、請求項
41に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項44】
第1のモーションアクチュエータ及び第2のモーションアクチュエータは、油圧式である、請求項
41に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項45】
作動部材が支持管を含み、支持管の運動は、缶底成形機アセンブリのドームダイ及びクランプリングを適切な位置にするために使用される、請求項
41に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項46】
トルクによって作動されるアクチュエータアセンブリであって:
アンカー部材;及び
少なくとも4つのトーションロッドであって、各トーションロッドはトルク端及び作動端を有し、かつトルク端と作動端との間に少なくとも2つの屈曲部をさらに含み、少なくとも1つのトーションロッドのトルク端が位置的に固定されるが回転することができる、並びに作動端はアンカー部材に回転可能に接続され、トルク端で各トーションロッドに適用されるトルクは各トーションロッドの作動端の一部分に並進成分を有する作動力を生成する、前記少なくとも4つのトーションロッド;
を含み、並びに
少なくとも4つのトーションロッドはトーションロッドの第1のペア及びトーションロッドの第2のペアを含み、かつトーションロッドの第1のペアは第1のトーションロッド及び第2のトーションロッドを含み、第1のトーションロッド及び第2のトーションロッドは本質的に第1の方向に、作動部材上に本質的に等しい並進力を生成するように構成され、かつトーションロッドの第2のペアは第3のトーションロッド及び第4のトーションロッドを含み、第3のトーションロッド及び第4のトーションロッドは本質的に第2の方向に、作動部材上に本質的に等しい並進力を生成するように構成される、
前記アクチュエータアセンブリ。
【請求項47】
第1の方向及び第2の方向は本質的に互いに垂直である、請求項
46に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項48】
作動部材上の力を測定するために構成される一連の歪みセンサをさらに含み、一連の歪みセンサからの信号がトーションロッドを作動させることにより作動部材を適切な位置するために使用される、請求項
47に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項49】
作動部材が支持管を含み、支持管の運動が缶底成形機アセンブリのドームダイ及びクランプリングを適切な位置にするために使用される、請求項
48に記載のアクチュエータアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書にて記載され、かつ請求される実施形態は一般に缶製造のための底部成形の方法、システム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本実施形態は一般に金属製容器の製造に使用されるアセンブリに関する。底部の成形過程では、許容できる品質の缶を製造する際の品質と再現性に影響を与える重要な配列と重要な力が多数存在する。以前のシステムにおいて、底部成形装置の設定は装置を設定する熟練者及び経験者に大部分を依存していた。これを改善するために、セットアップ工程から当て推量を排除し、かつ不正確な測定、摩耗及び他の要因のため発生する有害な差異をなくす装置が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一態様では、本システムの実施形態は底部成形機のダイセット(die set)の位置的な調節を可能にする。缶成形パンチの中心からずれた打撃はセンサを使用して検出することができ、その結果、ダイセットはパンチ及び該ダイセットをより密接して配列した方向に自動的に又は手動的に移動され得る。
【0004】
別の態様では、実施形態は底部成形機のクランプリングの締め付け力を設定又は変更するために順番に使用される気圧の測定及び調節を可能にする。異なった缶の型、大きさ、底部形状などを補正するために圧力を自動又は手動で調整することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
さらなる別の態様では、例示的実施形態はドーム設定ばねにより適用される力が手動又は自動のいずれかで測定及び調節されることを可能にする。測定及び調整機能は缶製造過程において適用された設定の力を定量化する利点を提供する。以前のシステムでは、設定の力を測定しておらず、従って、摩耗や経年により底部成形機における変化は製造される缶の品質に悪影響を及ぼす可能性があった。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、パンチを有するダイセット検知調整アセンブリの断面図である。
【
図2】
図2は、正面から見た底部成形機の端面図である。
【
図3】
図3は、側面から見た底部成形機の断面図である。
【
図4】
図4は、パンチ付き底部成形機の側面図である。
【
図5】
図5は、側面から見た設定力検知調整アセンブリの断面図である。
【
図6】
図6は、背面から見た底部成形機の端面図である。
【
図7】
図7は、ダイ調整機構を示す底部成形機の断面図である。
【
図8】
図8は、トルクロッドの構成を示す底部成形機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
好ましい実施形態の詳細な説明
図はクランプリング4及びドームダイ5を含むダイセットを示す。それらは缶成形パンチ45と協働して一緒に作用しツーピースの缶の底部の構造を成形する。
図1は、ダイセット4及び5と、クランプリングの固定具3との間に成形される必要な間隙46を示す。この間隙は、上で参照した設計「浮動のクランプリング」の使用により成形される。間隙は小さく、通常0.005~0.015の間である。この間隙は、機構内で得られる潜在的なオフセット調整の量を決定する。この間隙は、エラストマーばね8及び摩耗リング9を使用することによって均一に維持される。
【0008】
図1をさらに参照すると、エラストマーばね8及び摩耗リング9はクランプリング4の円周経路内に取り付けられる。摩耗リング9は、先行技術の浮動クランプリング解決法で使用されるOリング界面材料よりも長い寿命を提供することを目的とした耐摩耗性材料で製造される。例えば、摩耗リング9は、ポリエーテルエーテルケトン熱可塑性樹脂(PEEK)、又は低摩耗性材料から構成され得る。エラストマーばね8は、好ましくは、可撓性の圧縮性材料から構成され、半径方向に圧縮するように構成及び配列される。例えば、エラストマーばね8はフルオロエラストマ材料又は高分子様材料から構成され得る。後者の材料組成物は高温条件下で機能するように配合される。エラストマーばね8は多面的な横断面構造を有し、クランプリング4の円周経路内に取り付けられることが示される。半径方向に圧縮することができることによって、エラストマーばね8は、位置ずれしたパンチによる接触がパンチ及び対応する缶本体との軸方向の配列を改善する方向にクランプリング4を動かすことができるように必要とされる可撓性を提供する。エラストマーばね8の通常の長方形又は多面体形状が
図1に示されており、Oリングとは対照的に、材料の寿命を延ばしそして材料のねじり破損を防止するので、協働摩耗リング9と共に利用される。さらに、エラストマーばね8は、磨耗リング9とより大きな表面積接触を提供し、それによってより高い初期抵抗力を提供してクランプリング4の垂れ下がり(それによりミスアライメントをもたらし得る)を減少させる。
【0009】
パンチ45が底部成形機ダイセット4及び5を中心軸に沿って完全に真っ直ぐに打つことを仮定すると、ダイセット4及び5は底部成形機へ真っ直ぐに戻るように動くであろう。この状態は、缶製造にとって理想的であるが、しかし、缶製造装置の摩損、初期設定の不正確さ、装置の速度変化及び他の変化のために実際には得ることができない。浮動ダイセット4及び5は、パンチ45が底部成形機ダイセット4及び5に係合するときに、パンチ45の位置に一致するように中心軸の周りに「浮動する」ように設計される。浮動クランプリングの設計のいくつかの実施形態では、クランプリング4とドームダイ5との間の嵌合はテーパであり得る。このようなテーパ嵌合は、アライメント機能を容易にするために、クランプリングが、固定されたドームダイ5上で揺動することを可能にする。
図1の実施形態で示すように、クランプリング4とドームダイ5との間の嵌合は真っ直ぐなきつい嵌合である。真っ直ぐな嵌合を使用することで、ドームダイ5は、この設計において、操作されるとクランプリングと共に動くことが可能である。これはショルダーボルト14を使用して実現される。ドームダイ5を通る穴はショルダーボルトの肩よりも大きく、中心をはずれて動くことを可能にする。このシステムは、パンチの移動軸に沿って、ドームダイ5上に一定の力を保つばねワッシャー15を使用して強化される。この力は、ドームダイ環境密閉33に対して圧縮を提供するためにも利用される。この密閉は、冷却剤及び潤滑剤が底部成形機のキャビティに入り込まないようにする。
【0010】
図1は浮動クランプリング4及びドームダイ5にアセンブルされた時のダイセット検知調節アセンブリ2を示す。センサ支持管31は、密閉32を用いてドームダイ5のキャビティ内に摩擦嵌合を有して、冷却剤及び潤滑剤が接合部に入り込んで汚染するのを防止する。摩擦嵌合により、いずれのオフセットパンチの打撃運動をセンサ支持管31の薄肉部分に伝達することが可能になり、曲げモーメントが生じる。この曲げモーメントは、該管31の壁に歪みを生じさせる。歪みは、管の直径の周りに戦略的に配置された一連の歪みセンサ38介して検出される。これらのセンサ38から発生された信号は、曲げモーメントの方向と振幅を示すように処理され得、それによりパンチ45と底部成形機ダイセット4及び5との間のオフセットパンチ打撃の位置を示す。
【0011】
歪みセンサ38からの処理された信号は、最初の装置のセットアップ中にオペレータによって底部成形機をパンチに整列させるために利用されることができる。データはまた、製缶工程中にアライメントを監視して工程及び機器の問題並びにメンテナンス要件を示すために利用することもできる。データは工程傾向分析にも利用できる。
【0012】
歪みセンサ38からの情報もまた、手動的又は自動的にフィードバックループにおいて、底部成形機自体の中で、ダイセットのオフセット打撃センタリング調整を行うために同様に利用することができる。例えば、センサ情報を使用して、缶製造工程中に底部成形機ダイセット4及び5の位置を動的に調整することができる。センサ38が、パンチ45が中心を外れて打撃していることを示す情報を提供し続ける限り、該情報を使用して(電気的、空気圧的、又は油圧的に)1つ以上のアクチュエータを駆動してパンチに対するダイセット4及び5のアライメントを改善することができる。
図7に示すように、一連のアクチュエータ44は、手工具(スクリュードライバ又は六角レンチなど)を使用して手動で操作することも、電気的、空気圧的又は油圧的な動力を使用して自動的に操作することもできる。ほんの一例にすぎないが、アクチュエータ44を、直線運動に変換されるねじ構成要素の手動又は電動の回転によって駆動することができる。調整作業中、歪みセンサ38は、1つ以上の中心からはずれた打撃の大きさ及び方向を監視する機器に電気信号を送ることができる。この情報は、アクチュエータ44に送信される信号に変換される。
【0013】
アクチュエータ44は、それらのリンケージ機構48を介して、パンチ45に対して底部成形機ダイセット4及び5を中心に置くために必要とされる方向及び距離に対応する、いずれかの方向において線形力を提供する。手動操作の場合、オフセット打撃の情報は、調整中に使用するためにオペレータに表示され得る。ドームダイ及びクランプリングのx-y位置の調整を達成するために、アクチュエータ44を回転させる、若しくは他を作動され得、リンケージ機構48の動きはクロスリンケージシャトル43に伝達される。例えば、
図7の上部アクチュエータが使用される場合、トーションバー35A及び35Cに関連した垂直クロスリンケージシャトル43は上下に動くであろう。
【0014】
クロスリンケージシャトル43は、共通のピンを介してトーションロッドリンケージ42を作動させる。トーションロッドリンケージ42が回転すると、ねじり力がトーションバー35に適用される。上述の例では、クロスリンケージシャトルが上昇すると、時計回りのねじりがバー35Aに適用され、一方反時計回りのねじりがトーションバー35Cに適用される。2つのトーションバーに一度にトルクを適用することができる単一の共通シャトル43が示されているが、他の構成も可能であることに留意されたい。例えば、各トーションバーにトルクを提供する単一のアクチュエータを含む構成が可能である。
【0015】
トーションバー35(示される実施形態では4つ)は、ダイセット検知調整アセンブリ2を通って缶成形ダイ4及び5の近くの位置まで延びる。トーションロッドリンケージ35の端部は、トーションロッドの屈曲部の近くで該ロッドが通る支持管の穴を経由してセンサ支持管31上に働くであろう線形力へそれらに加わるねじり力を変換する様式に成形されている。その線形力が、パンチ45に対してダイセット4及び5を順番に移動させる。
【0016】
トーションバーアンカーリング36は、トーションバー35によって生成される反対の線形力のためのアンカーポイントを提供する。トーションバーアンカーリング36は、リテーナリング34によってシリンダハウジング7内の適所に保持され(
図3参照)、シリンダハウジング7内の対応するキャビティ内に摩擦嵌合により半径方向への移動を防止するように固定される。アンカーリング36の回転は、ハウジング7の対応するスロットに嵌合する固定タブ49によって防止される。言い換えれば、アンカーリング36は、シリンダハウジング7内のあらゆる方向に適所に保持される。しかしながら、支持管31の外径とアンカーリング36の内径との間には隙間があり、それによって支持管31がアンカーリング36に対して動くことが可能になる。
【0017】
トーションバー35からの作動力は、センサ支持管31付近へ適用され、そして半径方向に運動を提供し、ダイセット4及び5へ適用される。
図1のトーションバーの詳細を参照すると、支持管31のx-y運動は次のように生成される:トルクは上述のように端部52に適用される。管35の端部50はアンカーリング36によって静止状態に保持される。したがって、面の内外への線形運動が屈曲部51の近くで生じる。51により示されるようなトルクロッドの屈曲はトーションバーが通過するセンサ支持管31の穴の近くの全てのトーションバーに存在するので、x-y力がドームダイ5及びクランプリング4を順次動かす支持管31へ適用されることが可能である。これは
図8にも示す。ここでの例では、作動によってペアのトーションバーに、かつ反対方向(各ペアに対して時計回り及び反時計回り)にトルクが加えられる場合、両方のロッドにかかるトルクは結果として一方向にのみ(
図8のイラスト上)結果として生じる力(したがって運動)をもたらす。
【0018】
トーションバー35を単独で又は組み合わせで利用して、休止中又は缶製造工程中にダイセット4及び5をパンチへ中心を置くために必要な所望の偏向距離及び方向を提供することができる。トーションバー35及びセンサ支持管は任意の動作位置にある間、機械的に偏向することが可能であるため、歪みセンサ38は機能し続け、そしてパンチ45から(中心からはずれた打撃からなど)それらに適用されたダイセット4及び5の位置変化を検知し続ける。トーションバーアンカーリング36は、その背後の機構への冷却剤及び潤滑剤の侵入の保護を提供するアンカーリング密閉37を含む。アンカーリング密閉37はまた、センサ支持管31が偏向することを可能にする。リンケージカバー6は、リンケージカバー6とセンサ支持管31との間のカバー密閉16を利用して機構を汚染物質から保護する。
【0019】
センサ支持管31は中空であり、ドームダイの冷却剤救援口29から冷却剤排出口30まで、缶製造工程で使用される封入された冷却剤及び潤滑剤の通過を可能にする。次いで、冷却剤及び潤滑剤は、シリンダハウジング排出口47(
図3)の開口部を通して底部成形機から排出される。
【0020】
底部成形機ダイセットのアライメントの監視及び調整
浮動ドームダイ29及び浮動クランプリング4の組み合わせにおけるダイセット検知調整アセンブリ2は、缶成形パンチ45、浮動クランプリング4及び浮動ドームダイ5の間のアライメントの調整を可能にする機構を生成する。このアライメントの変更は手動でも自動でも行うことが可能である。
【0021】
底部成形機をボディ製造機に初期設定する間は、標準の取り付け方法が使用されるであろう。これにより、缶成形パンチ45の中心線が浮動クランプリング4及び浮動ドームダイ5の中心線に整列する。このアライメントは適切な缶を作るために非常に重要である。このアライメントのずれはいずれも、ボディ製造機による缶の品質及び生産速度に悪影響を及ぼすであろう。缶製造工程の間に、このアライメントは装置における多くの変数のために動くことがある。缶生産速度の変動もまた、ミスアライメントの問題を引き起こす可能性がある。
【0022】
ダイセット検知調整アセンブリ2は、
図1に示すように、センサ支持管31の一部を囲む歪みセンサアレイ38を有する。このセンサアレイは、表示及び操作のために電気信号をコントローラに送る。これらの信号は方向力データ及び力振幅データに処理される。このデータは、缶成形パンチ45が底部成形機ダイセットに衝突している中心からの距離の方向及び振幅を決定するために使用される。初期設定及びアライメント工程の間に、使用者は缶成形パンチ45を底部成形機ダイセット4及び5内へ手動で前進させる。コントローラは画面にアライメント情報を表示するであろう。示されたミスアライメントはいずれも、アクチュエータリンケージ48を手動で調整するか、若しくはコントローラに一方又は両方のリンケージアクチュエータ44へ信号を送らせて底部成形機ダイセット4及び5をアライメントに移動させることによって修正することができる。コントローラは、手動又は自動のいずれかの調整の間にセンサを監視して、歪みセンサ38がオフセット方向のさらなる動きを示す信号をいつ送信し始めるかを測定する。このことは、適切な調整距離(x-y)が達成されていることを示す。コントローラ又は使用者は、過補償のための調整をわずかに元に戻すことを決定してもしなくてもよい。次いで歪みゲージ信号の値は、参照のためコントローラに保存され、そしてこれらの信号の値は、基本的なアライメントの位置としてさらなる計算に使用される。缶製造工程中、二次基準位置を使用して、動作の間の比較のために位置基準点を確立することができる。センサ支持管31の管状形状の性質及びトーションバー35のばねワイヤ構成により、あらゆるアライメントの移動動作の後に該機構が柔軟に動くことを可能にする。これにより歪みセンサ38は、アライメント調整中及びアライメント調整後にアライメントを監視し続けることができる。
【0023】
ボディ製造機が缶を製造し、そして底部成形機が底部形状を製造している間に、缶成形パンチ45の底部成形機ダイセット4及び5に対するアライメントをコントローラ上で監視し、かつ表示し得る。使用者がミスアライメントのオフセットの方向及び大きさを測定可能な様式などで、この情報をディスプレイに表示することができる。缶の製造中にミスアライメントが生じると、オペレータは1つ以上のアクチュエータリンケージ48を用いて手動でアライメントを調整することができる、若しくはコントローラは1つ以上の運動アクチュエータ44に信号を送ってアライメントを動的に調整することができる。この再アライメント工程は、缶成形パンチ45が底部成形機ダイセット4及び5と整列した状態にとどまらせることを可能にする。
【0024】
ボディ製造機を介して缶の生産速度が変化する場合、缶成形パンチ45と底部成形機ダイセット4及び5との間のアライメントは変化する傾向がある。アライメントを自動的に再調整すると、結果としてより高い缶生産率をもたらすことができる。さらに、部品を整列させた結果、適切な仕様の範囲内でより多い缶の生成をもたらす。収集されたアラインメントデータをより長期的な問題を測定するために保存し、そして傾向付けすることができる。これらの長期的な問題には、ボディ製造機の部品の磨耗、底部成形機の設定及び調整の問題、底部成形機の部品の磨耗、及び缶材料のばらつきを含み得る。缶形状の交換の間、データを使用するために保存及び複製することができ、かつボディ製造と缶工場との間で共有することができる。
【0025】
クランプリングの力の設定
底部成形工程中、パンチ45は缶材料がその周りに覆われた状態で、最初にクランプリング4に衝突する。
図3に示すように、クランプリング4はパンチ45が底部成形機内に移動するにつれて(
図3の左から右へ)缶の底部の外側リングに圧力を与える。この圧力は材料を支持し、パンチ45とクランプリング4との間に材料を固定し、次のドーム成形工程で材料を延伸して材料を所望の缶底形状に設定することを可能にする。クランプリング4にかかる力は、クランプリング圧力ピストン17によって発生され、ピストンプッシュロッド41を介してクランプリング4に伝達される。該力は、圧縮空気入口18を通して導入される圧縮空気の使用により発生する。クランプリング4にかかる力は、缶底の適切な形状を作り出すために重要である。
図5に示すように、設定力検知調整アセンブリ1内に配置されるシリンダ圧力センサ19は、クランプリング圧力ピストン17に作用する空気の圧力を検知する。シリンダ圧力センサ19によって生成される信号は、缶製造工程中に適切な力がクランプリング4に適用されていることを検証するために利用される。圧縮空気入口18に入る圧力に対する調整は、シリンダ圧力センサ19からの信号を利用して行うことができる。新しい型の缶底形状又は缶の製造速度、若しくは材料の変更を必要とする場合、誤った形の缶が検出される場合、又は他の要因が必要な場合、該圧力はシリンダ圧力センサ19の信号の使用し手動で若しくは自動で調節し、かつ検証することができ、並びに電気式、空気圧式、又は油圧式のアクチュエータを使用して自動又は手動のいずれかで調整することができる。シリンダ圧力センサ19の信号を監視することはまた、メンテナンスを通して対処される必要がある缶製造機器における課題を示すこともできる。
【0026】
クランプリング圧力制御
圧縮空気入口18に供給される空気圧力は手動又は自動のいずれかで設定することができる。空気圧は、必要に応じて手動で空気圧レギュレータから供給し、そして調整することができる。この構成では、缶の大きさ、缶底部の構成、又はボディ製造機の缶生産率に変更がある場合は、空気圧を手動で操作できる。これにより、製造中の缶のスタイルの変更又はボディ製造機の速度変更の後に、容認できない缶が作成される可能性が残こる。圧縮空気入口18に導入される空気圧を自動的に調整することによって、オペレータの介入なしに、缶の形状の変更又はボディ製造機の速度変更の間に浮動クランプリング4上の圧力を修正することができる。調整中、自動構成において、圧力はコントローラによって操作される。底部成形機に送られる圧力をプログラムされた参照テーブルを介して指定することも、コントローラのインターフェースを介してオペレータが操作して保存することもできる。コントローラは常に気圧を測定し、フィードバックループで調整することができる。コントローラの参照テーブルには、ボディ製造機の速度の違い及び缶の形状やスタイルの違いに対応する圧力データも保存されている。これらの圧力設定は、異なる缶形状と同様に動作中のボディ製造機の速度に従って圧力を調整するために使用することができる。これにより、缶製造中に浮動クランプリング4の力を動的に操作して、缶が仕様通りに作られることを確実にすることができる。圧力がプログラムされたトラレンスウィンドウ(tolerance window)から外れる場合は、コントローラにおいて欠陥を記録することができる。この欠陥信号を使用して、底部成形機又はボディ製造機などの他の機器のメンテナンスを行う必要があることをオペレータに知らせることができる。コントローラはまた、圧縮空気入口18を通って底部成形機に送られる空気の流れを監視することができる。気流が予めプログラムされたレベルよりも高く測定される場合、エラー状態が記録されて、潜在的なクランプリング圧力ピストン17の摩耗についてオペレータに警告することができる。
【0027】
ドーム設定の力の監視及び調整
再び
図3を参照すると、クランプリング4が底部成形機(左から右)に移動すると、ドームダイ5は缶成形パンチ45を利用してドーム形状を缶の底部へプレスして該形状を支持する。次にクランプリングがドームダイ5に衝突する。缶成形パンチ45、クランプリング3及びドームダイ5は、シリンダハウジング7に圧力を適用し、外側ハウジングベアリングスリーブ13によって支持されている間、それを短い距離だけ押し戻す。移動距離は一般にオーバートラベルと呼ばれる。このオーバートラベルは、ばねカバープレート28を介してドーム設定ばね10を圧縮する。ドーム設定ばね10によって適用される力は、設定力調整アセンブリ1内の内側エンドプレート26(
図5参照)によって対抗される。設定力調整アセンブリ1は、一連のテンションボルト40を介して外側ハウジング12にしっかりと固定される外側エンドプレート25を含む(
図6及び
図7参照)。
【0028】
オーバートラベル中にドーム設定ばね10(
図3及び
図4)によって生成される力は、缶の底部の形状を缶材料に設定するので、缶製造工程にとって重要である。通常、ドーム設定ばね10によって提供される初期の力は、異なる材料の使用及び設定距離の事前張力付与によって確定される。測定される力は動作中には通常未知である。
図5に最もよく示される設定力調整アセンブリ1は、アクチュエータを介して自動で又は手動でのいずれかでばね力設定ねじ20を調整することによって、オペレータがドーム設定ばね10の初期の力を設定することを可能にする。アクチュエータは、自動構成において、電気式、空気圧式、又は油圧式であり得、そして当業者に公知の任意の数の一般的な回転式アクチュエータのうちの1つであり得る。
【0029】
ドーム設定力に対する調整は手動で、力設定ねじジャムナット21を緩め、ばね力設定ねじ20を内側又は外側に回転させることによってドーム設定力を調整し、そして力設定ねじジャムナットを締め直して設定を固定することによってなすことができ、これは本明細書で論じるようにセンサ27によって測定することができる。ドーム設定力は、電気式、空気圧式の油圧アクチュエータを利用することによって自動的に操作することもできる。ドーム設置力は顧客の仕様に合わせて缶を作成するために重要である。この力は通常、設定値であり、導入中又は操作中に変更することはできない。初期設定中、又は缶形状変更中、又は缶製造作業中のいずれかにこの力を変更することができることは任意の生産速度でより良い缶を生産する能力を高める。
【0030】
ドーム設定力を自動的に調整することによって、底部成形機にドームを設定するために生成される力は、オペレータの介入なしに、缶の形状の変更中又はボディ製造機の速度変更中に修正することができる。調整中、自動構成において、ドーム設定力はコントローラによって調整される。底部成形機に送られる力をプログラムされた参照テーブルにより指定することも、コントローラのインターフェースを介してオペレータが操作して保存することもできる。コントローラは、設定力調整アセンブリ1内に配置される力センサ27を利用して力を常に測定して、そしてフィードバックループで調整を行っている。コントローラの参照テーブルには、異なるボディ製造機の速度に対応する力データも保存されている。これらの力設定は、動作中のボディ製造機の速度に従って適用される力を調整するために使用することができる。これにより、缶製造中にドーム設定力を動的に操作して、缶が仕様通りに作られることを確実にすることができる。測定される力がプログラムされたトラレンスウィンドウから外れる場合はいつでも、コントローラにおいて欠陥が記録され得る。この欠陥信号を使用して、底部成形機又はボディ製造機などの他の機器のメンテナンスを行う必要があることをオペレータに知らせることができる。力センサ27からコントローラで受信されている信号は、その信号形状について分析することが可能である。この波形の形状は、材料の変化、機器の構成部品の磨耗、又は他の要因によって引き起こされる缶製造工程における欠陥を示すためにコントローラによって分析することができる。
【0031】
ばね力設定ねじ20が前進すると、力センサ27及び内側エンドプレート26を介してドーム設定ばね10に増大する圧力が適用される。該調整は、力設定ねじジャムナット21を用いて定位置に固定することができる。ボールベアリング22を使用して、調整中に力センサに適用されるトルクを制限してもよい。力センサ信号は、ドーム設定ばね10によって適用される力を表示するために使用することができ、若しくはオーバートラベルの事象を介して得られる力を示すために処理することができる。この情報を作動中に必要とされる自動調整のために設定力調整アセンブリ1にフィードバックすることができる。力調整アセンブリ1は、内側環境密閉23及び外側環境密閉24を利用する。これらの密閉は、冷却剤及び潤滑剤が力検知調整アセンブリ1に入るのを防ぎ、かつ機械的な半径方向の安定性も提供する。
【0032】
設定力調整アセンブリは、使用者がドーム設定ばね10によって適用されている力を調整することを可能にする。缶工場における初期の底部成形機の設定中に、使用者はばね力設定ねじ20を回転させることによって、缶製造工程中に缶材料に適用される設定力の量を調整することができる。バネ力設定ねじ20は力センサ27に力を与える。力センサ27は、力の測定値を表示する装置に信号を送る。次に使用者は、底部成形工程中に適用される設定力を増減することができる。これは、缶製造工程中に適用される設定力を定量化することができることで、使用者の利益となる。この知識は缶工場内のすべてのボディ製造機の装置に一貫して正確な缶を作成するのに有益である。データが複数の缶工場の間で共有される場合、情報は同様に、複数の缶工場に一貫性を持たせるために使用することができる。
【0033】
底部成形機の初期セットアップ中に使用する方法は、ばね設定力ねじ20がドーム設定ばね10に適用されている力がない点へ後退させることを最初に確保することである。これは、設定力ねじ20を後退させ、そして表示される力がゼロに近づくかゼロになるまでセンサ27からの表示データを監視することにより達成される。底部成形機を、次いで通常の様式でボディ製造機に取り付け、そして整列させる。缶成形パンチ45が底部成形機アセンブリから後退させていることを確保して、設定力に対する調整をすることができる。これらの調整は、ディスプレイ上の力の増加を監視しながら、ばね力調整ねじ20を設定力調整アセンブリ1へ回すことによって行われる。ディスプレイの力の読み取り値が目的のレベルに達すると、調整が完了する。ボディ製造機を変更して別の缶の形状を作成する場合、新しい缶の要件を満たすために初期設定力を変更することができる。
【0034】
缶製造工程中、設定力は高頻度で監視され、そして底部成形工程のオーバートラベル部分の間、缶が製造されるごとに、パルスとしてディスプレイユニットに表示されてもよい。初期の力、最大の力、及び力の存在は、ディスプレイユニットによって監視される。缶製造工程中に収集されるデータは、底部成形機の工程における異常を示すために利用できる。オーバートラベルしていないときに測定されるレベルで示されるような初期設定力の変化、及びドーム設定ばね10の摩耗などの異常が見られることがある。これにより、使用者は力をより高いレベルに調整するか、ドーム設定ばね10を変更するかできる。力のパルスのピークの測定で示されるような、最大の力の変化は、缶材料の厚さの変化、ボディ製造機の動力伝達装置の変化、又は工程で発生する他の変化などの異常を示すことがある。これらの長期的な問題には、ボディ製造機の部品の磨耗、底部成形機の設定及び調整の問題、底部成形機の部品の磨耗、及び缶材料のばらつきを含み得る。データを、缶形状の交換の間に使用するために保存及び複製することができ、かつボディ製造と缶工場との間で共有することができる。
【0035】
オーバートラベル距離は、オーバートラベル距離センサ11(
図3を参照)を使用して測定され、誘導センサ型又はLVDTセンサ型であり得る。LVDTセンサ型では、可動センサコアはセンサスタンドオフ39で所定の位置に保持される。誘導センサ型では、センサスタンドオフ39が検出面に使用される。センサ11からの位置信号を、センサ27と組み合わせて使用して、ばね10によって適用されるオーバートラベルの力をさらに分析又は把握することができる。