(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】単層PCBにおける広帯域導波管発射設計
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/10 20060101AFI20220127BHJP
H01P 3/12 20060101ALI20220127BHJP
H01P 5/107 20060101ALI20220127BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
H01Q13/10
H01P3/12 100
H01P5/107 A
H01Q13/08
(21)【出願番号】P 2019564963
(86)(22)【出願日】2018-05-03
(86)【国際出願番号】 US2018030914
(87)【国際公開番号】W WO2018217424
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-01-09
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】パン,ヘレン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,アダム
(72)【発明者】
【氏名】マクロスキー,エドワード
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2002/071533(WO,A1)
【文献】特開2008-141344(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0022742(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0258848(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02267841(EP,A1)
【文献】特開2010-141644(JP,A)
【文献】特表2011-517247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/00-13/28
H01P 3/00- 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁信号を伝搬するように構成された回路基板と、
前記電磁信号を伝搬するように構成された導波管と、
前記回路基板と前記導波管との間で前記電磁信号を結合するように構成された結合ポートであって、前記回路基板は前記結合ポートに近接する、結合ポートと、
前記回路基板上に配置され、前記回路基板と前記結合ポートとの間で電界を結合するように構成された電界結合部品および前記回路基板と前記結合ポートとの間で磁界を結合するように構成された磁界結合部品を備え、前記磁界結合部品は、前記電界結合部品から物理的に分離される、放射構造と
を備える装置。
【請求項2】
前記磁界結合部品はループを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電界結合部品はパッチを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記結合ポートは、双方向ポートとして構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記導波管は、前記導波管から電磁エネルギを放射し、および/または前記導波管に電磁エネルギを結合するように構成された1または複数の放射構造を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記導波管は第1の金属層および第2の金属層を備え、前記回路基板は前記第1の金属層に結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記結合ポートは、前記第1の金属層に位置する、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
導波管の結合ポートに近接する回路基板によって電磁エネルギを伝導することと、
前記回路基板上に配置された、電界結合部品および磁界結合部品を備える放射構造によって、前記電磁エネルギの少なくとも一部を放射電磁エネルギとして放射することと、
前記結合ポートを介して前記放射電磁エネルギの少なくとも一部を前記導波管に結合することであって、前記結合ポートを介して前記放射電磁エネルギの前記一部を前記導波管に結合することは、
前記電界結合部品によって前記回路基板から前記結合ポートへ電界を結合することと、
前記磁界結合部品によって前記回路基板から前記結合ポートへ磁界を結合することであって、前記磁界結合部品は、前記電界結合部品から物理的に分離されることと
を備えることと
を備える方法。
【請求項9】
前記磁界結合部品はループを備え、前記電界結合部品はパッチを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記導波管は第1の金属層および第2の金属層を備え、前記回路基板は前記第1の金属層に結合される、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記結合ポートは、前記第1の金属層に位置する、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
導波管によって電磁エネルギを伝搬することと、
前記導波管からの前記電磁エネルギの少なくとも一部を受信電磁エネルギとして結合ポート内に受け取ることと、
前記受信電磁エネルギの少なくとも一部を前記結合ポートから回路基板に結合することであって、前記受信電磁エネルギの前記一部を前記結合ポートから前記回路基板に結合することは、
前記回路基板上に配置された電界結合部品によって、前記結合ポートから前記回路基板へ電界を結合することと、
前記回路基板上に配置された磁界結合部品によって、前記結合ポートから前記回路基板へ磁界を結合することであって、前記磁界結合部品は、前記電界結合部品から物理的に分離されることと
を備えることと
を備える方法。
【請求項13】
前記磁界結合部品はループを備え、前記電界結合部品はパッチを備える、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記導波管は第1の金属層および第2の金属層を備え、前記回路基板は前記第1の金属層に結合され、前記結合ポートは前記第1の金属層に位置する、請求項
12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本出願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、2017年5月24日に出願された米国特許出願第15/603,978号への優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
[0002] 本明細書で特に示されない限り、このセクションに記載される事項は、本出願における特許請求の範囲に対する従来技術ではなく、このセクションに包含することにより従来技術として認められるものではない。
【0003】
[0003] 無線探知および測距(RADAR)システムは、無線信号を発信し、戻ってくる反射信号を検出することによって、環境特徴までの距離を能動的に推定するために用いられ得る。無線反射特徴までの距離は、送信と受信との間の時間遅延に従って決定され得る。レーダシステムは、たとえば時変周波数ランプを有する信号などの経時的に周波数が変化する信号を発信し、その後、発信信号と反射信号との間の周波数の差を距離推定に関連付けることができる。いくつかのシステムは、受信反射信号におけるドップラー周波数シフトに基づいて反射物体の相対運動も推定し得る。各距離推定をベアリングに関連付けるために信号の送信および/または受信のために指向性アンテナが用いられ得る。より一般的には、指向性アンテナは、所与の対象視野に放射エネルギを集束させるためにも用いられ得る。測定された距離および方向情報を結び付けることにより、周囲の環境特徴がマッピングされることが可能である。したがってレーダセンサは、たとえば、センサ情報によって示された障害物を回避するために自律車両制御システムによって用いられ得る。
【0004】
[0004] いくつかの自動車レーダシステム例は、ミリメートル(mm)電磁波長(たとえば、77GHzの場合、3.9mm)に対応する77ギガヘルツ(GHz)の電磁波周波数で動作するように構成され得る。これらのレーダシステムは、たとえば自律車両の周囲の環境などの環境をレーダシステムが高精度で測定することを可能にするために、放射エネルギを細い光線に集束させることができるアンテナを用いてよい。そのようなアンテナは、小型(一般に、たとえば高さ1.3インチ×幅2.5インチの長方形型因子を有する)、高効率(たとえば、わずか77GHzのエネルギしかアンテナ内の熱に対し損失せず、または送信器電子機器に戻り反射しない)、かつ製造費用が安価であってよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005] 本出願は、電磁装置に関する実施形態を開示する。1つの態様において、本発明の装置は、電磁信号を伝搬するように構成された回路基板を含む。また装置は、電磁信号を伝搬するように構成された導波管も含む。装置は更に、回路基板と導波管との間で電磁信号を結合するように構成された結合ポートを含む。回路基板は、結合ポートに近接する。加えて、装置は、回路基板上に配置された放射構造を含む。放射構造は、電界結合部品および磁界結合部品を含む。電界結合部品は、回路基板と結合ポートとの間で電界を結合するように構成され、磁界結合部品は、回路基板と結合ポートとの間で磁界を結合するように構成される。
【0006】
[0006] 他の態様において、本出願は、方法を説明する。この方法は、回路基板によって電磁エネルギを伝導することを伴う。回路基板は、導波管の結合ポートに近接する。方法は更に、回路基板上に配置された放射構造によって、電磁エネルギの少なくとも一部を放射電磁エネルギとして放射することを含む。放射構造は、電界結合部品および磁界結合部品を含む。また方法は、結合ポートを介して放射電磁エネルギの少なくとも一部を導波管に結合することも含む。結合ポートを介して放射電磁エネルギの一部を導波管に結合することは、電界結合部品によって回路基板から結合ポートへ電界を結合すること、および磁界結合部品によって回路基板から結合ポートへ磁界を結合することを含む。
【0007】
[0007] また他の態様において、本出願は、他の方法を説明する。方法は、導波管によって電磁エネルギを伝搬することを含んでよい。また方法は、導波管からの電磁エネルギの少なくとも一部を受信電磁エネルギとして結合ポート内に受け取ることも含む。加えて、方法は、受信電磁エネルギの少なくとも一部を結合ポートから回路基板に結合することを含む。結合ポートから回路基板に受信電磁エネルギの一部を結合することは、回路基板上に配置された電界結合部品によって結合ポートから回路基板へ電界を結合すること、および回路基板上に配置された磁界結合部品によって結合ポートから回路基板へ磁界を結合することを含む。
【0008】
[0008] また他の態様において、導波管によって電磁エネルギを伝搬するための手段を含むシステムが提供される。またシステムは、導波管からの電磁エネルギの少なくとも一部を受信電磁エネルギとして受信するための手段も含む。加えて、システムは、受信電磁エネルギの少なくとも一部を、受信するための手段から回路基板に結合するための手段を含む。受信するための手段から回路基板に受信電磁エネルギの一部を結合することは、電界を結合するための手段および磁界を結合するための手段を含む。
【0009】
[0009] また他の態様において、導波管によって電磁エネルギを伝搬するための手段を含むシステムが提供される。またシステムは、伝搬するための手段からの電磁エネルギの少なくとも一部を受信電磁エネルギとして受信するための手段も含む。加えて、システムは、受信電磁エネルギの少なくとも一部を、受信するための手段から回路基板に結合するための手段を含む。受信するための手段から回路基板に受信電磁エネルギの一部を結合することは、電界を結合するための手段および磁界を結合するための手段を含む。
【0010】
[0010] 上記概要は、例示にすぎず、いかなるようにも限定的であることは意図されない。上述した例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、更なる態様、実施形態、および特徴が、図面および以下の詳細な説明を参照することによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】[0011]電磁エネルギを回路基板から導波管に結合する方法例のフローチャートである。
【
図1B】[0012]電磁エネルギを導波管から回路基板に結合する方法例のフローチャートである。
【
図2A】[0013]実施形態例に係るアンテナ例の第1の層を示す。
【
図2B】[0014]実施形態例に係るアンテナ例の第2の層を示す。
【
図2C】[0015]実施形態例に係るアンテナ例の組立て図を示す。
【
図2D】[0016]実施形態例に係るアンテナ例の組立て図を示す。
【
図2E】[0017]実施形態例に係る組み立てられたアンテナ例の内部に形成された概念的な導波管チャネルを示す。
【
図3A】[0018]実施形態例に係るアンテナ例の分波チャネルのネットワークを示す。
【
図3B】[0019]実施形態例に係る
図3Aの分波チャネルのネットワークの別の図を示す。
【
図4A】[0020]PCBから導波管への遷移の例を示す。
【
図4B】[0021]実施形態例に係るPCB実装結合構造の全体図を示す。
【
図4C】[0022]実施形態例に係るPCB実装結合構造の全体図を示す。
【
図4D】[0023]実施形態例に係るPCB実装結合構造の全体図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0024] 以下の詳細な説明において、本明細書の一部を成す添付図面が参照される。図面において、類似の記号は一般に、文脈が特に指示しない限り、類似の構成要素を示す。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲において説明される例示的な実施形態は、限定的なものとして意図されない。本明細書に提示された主題事項の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が用いられてよく、他の変更がなされてよい。容易に理解されるように、本開示の態様は、本明細書で一般に説明され、図面に示されるように、幅広く様々な構成で配置、代用、結合、分離、および設計されてよく、それら全てが、本明細書において明確に意図されるものである。
【0013】
[0025] 以下の詳細な説明は、たとえば自律車両用レーダシステムのためのアンテナを含む装置、およびそのようなアンテナを動作させるための方法を開示する。いくつかの例において、アンテナは、「デュアル開口端導波管」(DOEWG)アンテナであってよい。「DOEWG」という用語は、短い断片の水平導波管チャネルおよび2つの部分に分かれる垂直チャネルを指してよく、垂直チャネルの2つの部分の各々は、アンテナへ入る電磁波の少なくとも一部を放射するように構成された出力ポートを含む。本開示は一般にDOEWGアーキテクチャを説明するが、本開示は、印刷回路基板(PCB)構造に結合された他のアンテナおよび導波管アーキテクチャにも適用され得る。
【0014】
[0026] また本開示は一般に、RADARシステムに関して説明されるが、本開示の設計はRADARシステムに限定されず、他の無線システムにも拡大され得る。たとえばこの設計は、たとえば第5世代(5G)ミリメートル波(mm波)通信およびミリメートル波バックホール設計などの無線通信システムにおいても用いられ得る。また本開示の設計は、77GHzの自動車RADAR、LMDS帯域(28GHz~31GHz)、V帯域60GHz、E帯域(71~76GHz/81~86GHz)、および5Gmm波(27GHz~28GHzおよび37GHz~39GHz)を含むがこれに限定されない多くの様々な周波数帯域において用いられ得る。
【0015】
[0027] DOEWGアンテナ例は、たとえば、コンピュータ数値制御(CNC)によって加工され、正確に位置合わせされ、互いに接合され得る2つの金属層(たとえばアルミニウム板)を備えてよい。第1の金属層は、入力導波管チャネルの第1の半分を含んでよく、第1の導波管チャネルの第1の半分は、第1の導波管チャネル内に電磁波を受け取るように構成され得る入力ポートを含む。第1の金属層は、複数の分波チャネルの第1の半分も含んでよい。複数の分波チャネルは、入力導波管チャネルから分岐し、入力導波管チャネルから電磁波を受け取り、電磁波を複数の電磁波部分に分割し(すなわち電力分割器)、それぞれの電磁波部分を複数の波放射チャネルの各波放射チャネルへ伝搬するように構成され得るチャネルのネットワークを備えてよい。またDOEWGは、電磁放射を導波管に注入し、導波管から電磁放射を除去するように構成されたPCB背面板も少なくとも含んでよい。
【0016】
[0028] また、第1の金属層は、複数の波放射チャネルの第1の半分を含んでよく、それぞれの波放射チャネルは、分波チャネルからそれぞれの電磁波部分を受け取るように構成されてよく、それぞれの波放射チャネルの第1の半分は、電磁波の小部分を他の金属層へ伝搬するように構成された少なくとも1つの導波部材を含む。ここでこの構造は、導波管の一部が導波管ブロックの2つの部分の各々にあるため、分割ブロック構造として知られ得る。
【0017】
[0029] また、第2の金属層は、入力導波管チャネル、複数の分波チャネル、および複数の波放射チャネルの第2の半分を含んでよい。それぞれの波放射チャネルの第2の半分は、少なくとも1つの導波部材と部分的に位置合わせされ、少なくとも1つの導波部材から伝搬される電磁波の小部分を第2の金属層外へ放射するように構成された少なくとも1つの出力ポートペアを含んでよい。より具体的には、対応する出力ポートペアを有する所与の導波部材の組み合わせは、上述したように、DOEWGの形式をとってよい(本明細書においてDOEWGと称され得る)。
【0018】
[0030] この特定の例において、アンテナは多数の分波チャネルおよび多数の波放射チャネルを含むが、他の例において、アンテナは、入力ポートによって受け取った電磁波全てを1または複数の波放射チャネルへ伝搬するように構成された単一のチャネルのみを含んでよい。たとえば、全ての電磁波が、単一のDOEWGによって第2の金属層外へ放射され得る。他の例も可能である。
【0019】
[0031] また、この特定の例ならびに本明細書で説明される他の例において、アンテナ装置は少なくとも2つの金属層からなり得るが、理解すべき点として、また他の例において、上述したチャネルの1または複数は、単一の金属層に、あるいはアンテナを構成する2より多い数の金属層に形成され得る。また更に、本明細書の例において、DOEWGアンテナの1つの層から別の層へ伝搬する電磁波(または電磁波部分/小部分)は、たとえば導波部材などのアンテナの特定の部品の機能を説明する目的で説明される。実際には、電磁波は、それらのアンテナを通る伝搬の特定の時点において、チャネルの任意の特定の「半分」に拘束されるわけではない。実際は、これらの特定の時点において、電磁波は、所与のチャネルの両半分が組み合わせられ所与のチャネルを形成する場合、それらを通って自由に伝搬してよい。
【0020】
[0032] 本明細書で説明されるいくつかの実施形態において、2つの金属層は、接着剤、誘電体、または他の材料を使用せず、また2つの金属層を接合するために用いられ得るたとえばはんだ付け、拡散接合などの方法を用いずに、直接接合され得る。たとえば2つの金属層は、層を結合するための任意の追加の手段なしで、2つの層を物理的に接触させることによって接合され得る。
【0021】
[0033] いくつかの例において、本開示は、導波管の内外へ電磁放射を発射または受信するPCB上の放射構造を含む。上述した放射導波管は、放射導波管入力において電磁信号を受信し、放射導波管の長さに沿って電磁信号を伝搬し、電磁信号の少なくとも一部を、結合された電磁信号を放射するように構成された少なくとも1つの放射構造に結合するように構成され得る。PCBおよび導波管が境界面を有する場合、電磁波は、PCBのトレースに沿った伝搬から導波管内の伝搬へ(またはその逆に)遷移してよい。PCBは、電磁信号を導波管内へ送信し、または導波管からの電磁信号を受信し得る少なくとも1つのアンテナを含む放射構造を含んでよい。
【0022】
[0034] たとえばアンテナなどの放射構造は、同様の方法で信号を送信するためにも受信するためにも機能し得るという点で、相互的特性を有し得る。したがって、この説明において、送信(または受信)に関して特性が説明され得る。ただし放射構造は、送信および受信の両方に関して同様に機能してよい。よって放射構造は、送信のみまたは受信のみに限定されるわけではない。
【0023】
[0035] 導波管の内外へ電磁信号を効率的に発射または受信するPCB上の放射構造を有することが望ましい。効率が低い場合、電磁エネルギの小さな割合しかPCBから導波管の内外に結合しないことがある。残りの電磁エネルギは、放射されず、導波管またはPCBに反射し、またはその内部に収容され得る。この電磁エネルギは、レーダシステムにおける不所望の効果を招き得る。したがって、高効率の放射構造を用いることが望ましい。
【0024】
[0036] 一例において、放射構造に関して広い帯域幅の動作を有することも望ましい。広い帯域幅は、放射構造が広範囲の周波数にわたり動作することを可能にし得る。対照的に、従来の放射構造は、狭い帯域幅の動作を有し得る。特に、従来の放射構造は、狭い範囲の周波数でしか導波管内に効率的に放射しない。したがって従来の放射構造は、その狭い動作帯域幅外では効率的に動作しないことがある。しかし、本開示の放射構造を用いることにより、動作帯域幅は増加され得る。
【0025】
[0037] 開示されるアンテナ装置は、導波管フィードとして機能するように構成された結合ポートを含んでよい。導波管フィードは、電磁波がアンテナ装置へ入ることを可能にする金属構造内の結合ポートであってよい。電磁波がアンテナ装置へ入ると、上述したように電磁波は分割され、放射され得る。
【0026】
[0038] アンテナ装置の各結合ポートは、関連するポートインピーダンスを有してよい。ポートインピーダンスは、そのポートがアンテナ装置の内外へ結合することができる電磁エネルギの割合に影響を及ぼし得る。したがって、エネルギが効率的にアンテナ装置へ出入りできるようにポートインピーダンスおよび/または放射構造のインピーダンスを最適化することが望ましい。ポートインピーダンスが最適化され得るいくつかの方法が存在し得る。また、放射構造は、導波管の結合ポートに放射構造をインピーダンス整合させるための幾何学または構造を含んでよい。たとえば結合ポートは、回路基板層を導波管層に結合する導波管ブロック内の穴であってよい。インピーダンス整合により、放射構造の効率が高められ得る。
【0027】
[0039] また更なる例において、結合ポートは、双方向ポートとして機能してよい。結合ポートは、導波管にフィード信号を提供してもよく、導波管から放射されない電磁エネルギを除去してもよい。
【0028】
[0040] ここで図面を参照すると、
図1Aは、電磁エネルギをガイドに結合するための方法例100のフローチャートである。また
図1Bは、ガイドからの電磁エネルギを結合するための方法例110のフローチャートである。理解すべき点として、本明細書で説明されない他の動作方法も可能である。
【0029】
[0041] また理解すべき点として、そのようなアンテナの所与の応用は、上述した2つの金属層の様々な加工部分に関する適切な寸法およびサイズ(たとえばチャネルサイズ、金属層厚さなど)および/または本明細書で説明されるアンテナの他の加工(または非加工)部分/部品に関する適切な寸法およびサイズを決定し得る。たとえば上述したように、いくつかのレーダシステム例は、ミリメートル電磁波長に対応する77GHzの電磁波周波数で動作するように構成され得る。この周波数において、方法100および方法110によって製造された装置のチャネル、ポートなどは、77GHzの周波数に適した所与の寸法であってよい。他のアンテナ例およびアンテナ応用も可能である。
【0030】
[0042] ブロックは連続的順序で例示されるが、これらのブロックは、並列して、および/または本明細書で説明される順序とは異なる順序で行われてもよい。また、様々なブロックが所望の実装に基づいて、より少ない数のブロックに結合され、更なるブロックに分割され、および/または除去されてもよい。
【0031】
[0043] なお、
図1Aの方法100および
図1Bの方法110は、
図2A~2F、
図3A、
図3B、および
図4A~4Dに関して説明されるデバイスによって実現され得る。
図1Bの方法110は、
図1Aの方法100と相互関係であってよい。
図1Aの方法100は、開示される構造を用いて信号を送信することに関し、方法110は、開示される構造を用いて信号を受信することに関する。
【0032】
[0044] 実際に、方法100は、レーダ信号の送信中に行われる方法であってよい。ブロック102において、方法100は、回路基板によって電磁エネルギ(たとえば77GHzミリメートル電磁波)を伝導することを含む。様々な例において、電磁エネルギは、様々な実施形態に依存して異なるいくつかのモードの少なくとも1つにおいて伝搬してよい。1つの例において、電磁エネルギは、回路基板上の差動線対に沿って伝搬してよい。他の例において、電磁エネルギは、回路基板上の単線に沿って伝搬してよい。電磁エネルギは、アンテナおよび/またはレーダユニットによる送信のための信号であってよい。様々な例において、電磁エネルギを形成するために様々な種類のシグナリングが用いられ得る。実際に、方法100は、レーダ信号の送信中に行われる方法であってよい。
【0033】
[0045] ブロック104において、方法100は、回路基板上に配置された放射構造によって電磁エネルギの少なくとも一部を放射電磁エネルギとして放射することを含み、放射構造は、電界結合部品および磁界結合部品を備える。回路基板は、電磁エネルギを放射する少なくとも1つの部品を有してよい。いくつかの例において、この放射部品は、回路基板実装パッチアンテナと機能的に同様であってよい。様々なアンテナ、パッチ、スロット、または他の放射部品が、同様に本開示の文脈において用いられ得る。放射部品は、結合ポートから電磁エネルギを受信し得る部品として機能してもよい(すなわち、部品は、双方向に機能してよい)。
【0034】
[0046] 放射部品は、回路基板上で伝搬する電磁エネルギの少なくとも一部を放射電磁エネルギ(すなわち、回路基板の金属トレースまたは回路基板内に収容されない電磁エネルギ)に変換するように構成される。いくつかの例において、電磁信号は、回路基板の1または複数のトレースに沿って伝搬してよい。電磁信号が放射部品へ伝搬すると、放射部品は、電磁信号の全部または一部を電磁信号として放射部品から外へ放射してよい。
【0035】
[0047] 従来の回路基板から導波管への遷移において、放射部品は、回路基板から導波管の結合ポート内へ電磁エネルギを放射するように構成された正方形および/または長方形のパッチを含んでよい。しかしパッチアンテナは、限られた使用帯域幅を有し得る。加えて、パッチアンテナは、結合ポートのインピーダンスに良好に整合しないインピーダンスを有することもある。
【0036】
[0048] 本開示の装置は、電界結合部品および磁界結合部品の両方を含む放射構造を含む。電界結合部品および磁界結合部品は個別の部品として説明され得るが、いくつかの例において、それらは単一放射ユニットの異なる部分であってよい。加えて、電界結合部品および磁界結合部品は、それぞれの電界または磁界を結合するものとして説明され得るが、各部品が電界および磁界の両方を結合してよい。
【0037】
[0049] 電界放射部品および磁界放射部品という用語は、界放射の近接場特性および方法を説明する。たとえば、電界放射部品は主に、部品の近接場において電界を励起してよい。遠方場において、この電界は、伝搬電磁波(すなわち電界および磁界の両方)を誘発し得る。同様に、磁界放射部品は主に、部品の近接場において磁界を励起してよい。電界放射部品と同様、遠方場において、磁界は、伝搬電磁波(すなわち電界および磁界の両方)を誘発し得る。
【0038】
[0050] いくつかの例において、電界結合部品は、パッチの形式をとってよい。パッチは、正方形、長方形、および/または変形正方形または長方形の形状であってよい。パッチは、回路基板上で電磁信号を伝搬するトレース線に結合され得る。電界結合部品は、回路基板からの電界を導波管ユニットの結合ポートに結合してよい。たとえば電界結合部品は、遠方場電磁伝搬をもたらす近接場電界を誘発してよい。ダイポールアンテナは、電界結合部品の一例である。磁界結合部品は、回路基板からの電界を結合ポートに結合してよい。たとえば磁界結合部品は、遠方場電磁伝搬をもたらす近接場磁界を誘発してよい。ループアンテナは、磁界結合部品の一例である。
【0039】
[0051] 磁界結合部品は、電界結合部品の帯域幅および効率を向上させ得る。いくつかの例において、磁界結合部品は、電界結合部品および/または電磁信号を供給するトレースに物理的に接続され得る。他の例において、磁界結合部品は、電界結合部品および/または電磁信号を供給するトレースから物理的に分離され得る。磁界結合部品が電界結合部品および/またはトレースから分離される例において、磁界結合部品は、電界結合部品によって放射された電磁信号の一部に結合し、これを放射してよい。
【0040】
[0052] 上述したように、磁界結合部品は、ループアンテナの形式をとってよい。ループは、回路基板上の金属トレースであってよい。上述したように、ループは、電界結合部品に結合されるか、あるいは電界結合部品から分離され得る。ループは、電磁放射を結合ポートに発射する近接場磁界をもたらし得る。
【0041】
[0053] ブロック106において、方法100は、放射電磁エネルギの少なくとも一部を結合ポートによって導波管に結合することを含む。結合ポートは、導波管と回路基板との間の通路であってよい。この通路により、回路基板からの電磁エネルギが導波管へ入ることが可能である。いくつかの例において、結合ポートは、ポートの所望のインピーダンスに基づく寸法を有してよい。ポートのインピーダンスは、導波管に結合する回路基板からの電磁エネルギの割合に部分的に寄与し得る。ポートインピーダンスは、ポートがアンテナ装置の内外へ結合することができる電磁エネルギの割合に影響を及ぼし得るので、(i)エネルギが効率良くアンテナ装置を出入りし得るようにポートインピーダンスを最適化すること、あるいは(ii)エネルギ伝達を最適化するように回路基板の放射部品を設計することのいずれかが望ましい。ポートインピーダンスの最適化は、ポート寸法を調整することによって制御され得る。
【0042】
[0054] いくつかの例において、回路基板は、本システムのアンテナ(たとえばレーダ)ユニットを形成するブロックに結合され得る。たとえば、以下の図に関して説明するように、システムはブロック状に構成され得る。導波管および関連するビーム形成ネットワークは、ブロックの平面に作成され得る。様々な例において、回路基板は、底部ブロックの底に取り付けられてよく、結合ポートは、底部ブロックの底を通ってよい。他の例において、回路基板は、ブロックの側面に取り付けられ得る。この例において、結合ポートは、上部ブロックおよび底部ブロックの一方または両方の側面を通ってよい。
【0043】
[0055]
図1Bを参照すると、ブロック112において、方法110は、導波管によって電磁エネルギを伝搬することを含む。導波管内の電磁エネルギは、導波管の少なくとも1つのアンテナによってシステム外から受信されたものであってよい。実際に、方法110は、レーダ信号の受信中に行われる方法であってよい。導波管に結合されたアンテナ(複数も可)は、電磁エネルギを受信し、導波管に沿って電磁エネルギを伝搬してよい。
【0044】
[0056] ブロック114において、方法110は、結合ポートによって導波管からの放射電磁エネルギの少なくとも一部を受信電磁エネルギとして受信することを含む。上述したように、結合ポートは、導波管と回路基板との間の通路であってよい。方法110の一部として、通路は、導波管からの電磁エネルギが導波管を離れ、回路基板の部品に結合することを可能にする。
【0045】
[0057] 方法110の結合ポートは、方法100の結合ポートと同様に機能し得るが、反対の方向に動作する(たとえば、方法100は電磁エネルギを回路基板からガイドへ入るようにするが、方法110は電磁エネルギをガイドから回路基板の方へ離れるようにする)。方法100と同様、方法110の結合ポートは、ポートの所望のインピーダンスに基づく寸法を有してよい。ポートのインピーダンスは、導波管に結合する回路基板からの電磁エネルギの割合に部分的に寄与し得る。ポートインピーダンスは、ポートがアンテナ装置の内外へ結合することができる電磁エネルギの割合に影響を及ぼし得るので、(i)エネルギが効率良くアンテナ装置を出入りし得るようにポートインピーダンスを最適化すること、あるいは(ii)エネルギ伝達を最適化するように回路基板の放射部品を設計することのいずれかが望ましい。ポートインピーダンスの最適化は、ポート寸法を調整することによって制御され得る。
【0046】
[0058] ブロック116において、方法110は、回路基板の結合部品によって結合ポートから回路基板に受信電磁エネルギの少なくとも一部を結合することを含み、結合ポートを介して放射電磁エネルギの一部を導波管に結合することは、電界結合部品によって回路基板から結合ポートに電界を結合すること、および磁界結合部品によって回路基板から結合部品に磁界を結合することを含む。回路基板は、電磁エネルギを受信する放射部品を有してよい。ブロック116に関して説明される放射部品は、ブロック104に関して説明される放射部品と同様であってよい。ただし、ブロック116の放射部品は、結合ポートから回路基板に電磁信号を結合するために機能し得る。また放射部品は、電磁エネルギを結合ポートに放射し得る部品としても機能し得る(すなわちこの部品は、双方向に機能し得る)。上述したように、放射部品は、電界放射部品および磁界放射部品の両方を含む。
【0047】
[0059]
図2A~Fの部品の配置は、本開示が用いられ得るシステムおよび構成の例として示される。他の形状、アライメント、位置、様式、および他の構成の導波管およびアンテナが、本明細書に開示されるPCB遷移結合ポートとともに用いられ得る。
【0048】
[0060]
図2A~2Fは、導波管に関する1つのレイアウト例を示す。
図2A~2Fに示す例は、開示される広帯域導波管発射設計が用いられ得る1つの特定の構成を表すことが意図される。
【0049】
[0061]
図2Aは、複数の導波管チャネル202の第1の半分を含む第1の金属層200の例を示す。これらの導波管チャネル202は、多数の細長セグメント204を備えてよい。各細長セグメント204の第1の端部206は、各々が他の導波部材と同様または異なるサイズを有する複数の共線状導波部材208であってよい。上述の説明に則り、細長セグメント204の第1の端部206は、本明細書において、波放射チャネルの第1の半分と称され得る。
【0050】
[0062] 第1の端部206に対向する、チャネル202の第2の端部210において、細長セグメント204の1つは、貫通穴212(すなわち結合ポート)を含んでよい。所与の電力量が、対応する量の電磁波(すなわちエネルギ)を装置へ供給するために用いられてよく、貫通穴212は、これらの波が装置へ供給される場所であってよい。上述の説明に則り、入力ポートを含む導波管チャネル202の単一チャネル/セグメントは、本明細書において、入力導波管チャネルと称され得る。またチャネル202の第2の端部210は、減衰部品(ここでは不図示)に結合され得る。
【0051】
[0063] 電磁波は、装置へ入ると一般に、図示するように、電力分割器のアレイ214(たとえば「ビーム形成ネットワーク」)へ向かって+x方向へ移動してよい。アレイ214は、電磁波を分割し、各細長セグメント204のそれぞれの第1の端部206へ波のそれぞれの部分を伝搬するために機能してよい。より具体的には、波は、アレイ214を離れた後、導波部材208へ向かって+x方向に伝搬し続けてよい。上述の説明に則り、導波管チャネルのアレイ214部は、本明細書において、分波チャネルと称され得る。
【0052】
[0064] 電磁波の一部が導波管チャネル202の各細長セグメント204の第1の端部206において導波部材208に到達すると、導波部材208は、電磁エネルギのそれぞれの小部分を導波管チャネルの第2の半分へ(たとえば図示するように+z方向に)伝搬してよい。たとえば電磁エネルギは最初、凹設された、または第1の金属層200の更に内部に加工された導波部材(たとえばポケット)に到達してよい。この凹設部材は、凹設部材ではなく隆起部材であり得る、第1の端部206の更に下方の後続部材の各々よりも小さい割合の電磁エネルギを伝搬するように構成され得る。
【0053】
[0065] また、各後続部材は、自身より前にある部材よりも、第1の端部206において特定の細長セグメント204を伝わる電磁波の大きい割合を伝搬するように構成され得る。よって、第1の端部206の遠位端にある部材は、最も高い割合の電磁波を伝搬するように構成され得る。各導波部材208は、様々な寸法を有する様々な形状であってよい。他の例において、複数の部材が凹設され(または凹設される部材がなく)てもよい。また他の例も可能である。加えて、可変量の細長セグメントが可能である。
【0054】
[0066] 第2の金属層は、1または複数の導波管チャネルの第2の半分を収容してよく、1または複数の導波管チャネルの第2の半分である各部分は、1または複数の導波管チャネルの第1の半分の細長セグメントと実質的に位置合わせされた細長セグメントを含み、細長セグメントの端部において、少なくとも1つの導波部材と部分的に位置合わせされ、少なくとも1つの導波部材から第2の金属層外へ伝搬される電磁波を放射するように構成された少なくとも1つの貫通穴ペアを含む。
【0055】
[0067] 例において、第2の半分の細長セグメントは、2つのセグメントが閾値距離内にある場合または2つのセグメントの中心が閾値距離内にある場合、第1の半分の細長セグメントと実質的に位置が合うとみなされ得る。たとえば2つのセグメントの中心が互いに約±0.051mmの範囲内にある場合、セグメントは実質的に位置が合うとみなされ得る。
【0056】
[0068] 他の例において、2つの半分が結合される場合(すなわち、2つの金属層が互いに接合された場合)、セグメントの縁部は、セグメントの第1の半分の縁部とセグメントの第2の半分の対応する縁部とが互いに約±0.051mmの範囲内にある場合、実質的に位置が合うとみなされ得る。
【0057】
[0069] また他の例において、2つの金属層を接合する場合、それらの側面が同一平面上にないように、一方の層は他方の層に対して角度を付けられ得る。そのような他の例において、2つの金属層およびそれに伴うセグメントの2つの半分は、この角度オフセットが約0.5度未満である場合、実質的に位置が合うとみなされ得る。
【0058】
[0070] いくつかの実施形態において、少なくとも1つの貫通穴ペアは、1または複数の導波管チャネルの第2の半分の細長セグメントに対して垂直であってよい。また、少なくとも1つの貫通穴ペアの各ペアは、第1の部分および第2の部分を含んでよい。よって所与の貫通穴ペアは、第1の部分において交わり、単一チャネルを形成してよい。この単一チャネルは、対応する導波部材によって伝搬された電磁波の少なくとも一部を受け取り、電磁波の少なくとも一部を第2の部分へ伝搬するように構成され得る。また更に、第2の部分は、ダブレットとして構成された2つの出力ポートを含んでよく、貫通穴ペアの第1の部分から電磁波の少なくとも一部を受け取り、電磁波の少なくとも一部を2つの出力ポート外へ伝搬するように構成され得る。
【0059】
[0071]
図2Bは、上述した第2の金属層220を示す。第2の金属層220は、
図2Aに示す第1の金属層200の複数の導波管チャネル202の第2の半分(すなわち、入力導波管チャネル、分波チャネル、および波放射チャネルの第2の半分)を含んでよい。図示するように、導波管チャネル202の第2の半分は、チャネルの2つの半分の適切な位置合わせを容易にするために、チャネルの第1の半分の概形であってよい。第2の半分の細長セグメント222は、電力分割器のアレイ224の第2の半分を含んでよい。上述したように、電磁波はアレイ224を通って伝わってよく、ここで電磁波は部分分割され、それらの部分は続いて細長セグメント222の第2の半分のそれぞれの端部226へ(すなわち図示するように+x方向に)移動する。
【0060】
[0072] また、所与の細長セグメントの端部226は、第1の金属層200の導波部材208と少なくとも部分的に位置合わせされ得る多数の貫通穴ペア228を含んでよい。より具体的には、各貫通穴ペアは、反射素子とも称される対応する導波部材と少なくとも部分的に位置合わせされてよく、それによって電磁波の所与の小部分が上述したように第1の金属層200から第2の金属層220へ伝搬されると、これらの小部分はその後、図示するように-z方向に貫通穴ペア(たとえば出力ポートペア)外へ放射される。ここでもまた、所与の導波部材および対応する出力ポートペアの組み合わせは、上述したようにDOEWGを形成してよい。
【0061】
[0073] また、全てのDOEWGの組み合わせは、本明細書において、DOEWGアレイと称され得る。アンテナ理論において、アンテナがより大きい放射開口部(たとえばアンテナが放射する表面積の大きさ、ここで表面積はDOEWGアレイを含む)を有する場合、そのアンテナはより高い利得およびより狭いビーム幅を有し得る。よって、いくつかの実施形態において、より高利得(dB)のアンテナは、より多くのチャネル(たとえば細長セグメント)を含み、チャネルごとにより多くのDOEWGを有し得る。
図2Aおよび
図2Bに示すアンテナ例(たとえばセグメントごとに5つのDOEWGを有する6つの細長セグメント)は自律車両の目的に適し得るが、他の実施形態も可能であってよく、そのような他の実施形態は、車載レーダを含むがそれに限定されない様々な応用のために設計/加工され得る。
【0062】
[0074] たとえば、そのような他の実施形態において、アンテナは、最小限の単一DOEWGを含んでよい。この構成によると、出力ポートは、全方向に(たとえば低利得、広いビーム幅)エネルギを放射してよい。一般に、セグメント/DOEWGの上限は、第1および第2の金属層に用いられる金属の種類によって決定され得る。たとえば、高い抵抗性を有する金属は、電磁波が導波管チャネルを伝わる時に電磁波を減衰させ得る。よって、より大きく高抵抗のアンテナ(たとえばより多い数のチャネル、より多い数のセグメント、より多い数のDOEWGなど)が設計される場合、入力ポートを介してアンテナに注入されるエネルギは、アンテナ外へ放射されるエネルギが多くはない程度まで減衰され得る。したがって、より大きなアンテナを設計するために、より小さい抵抗率(かつ高い導電性)の金属が第1および第2の金属層のために用いられ得る。たとえば本明細書で説明される実施形態において、第1および第2の金属層の少なくとも1つは、アルミニウムであってよい。また他の実施形態において、第1および第2の金属層の少なくとも1つは、銅、銀、または他の導電性材料であってよい。なお、アルミニウム金属層は、アンテナ性能を高めるために、銅、銀、または他の低抵抗/高導電性材料でメッキされ得る。他の例も可能である。
【0063】
[0075] アンテナは、1または複数の導波管チャネルの第1の半分を1または複数の導波管チャネルの第2の半分と位置合わせして1または複数の導波管チャネルを形成する(たとえば、分割ブロックの複数の分波チャネルの第1の半分を分割ブロックの複数の分波チャネルの第2の半分と位置合わせし、複数の波放射チャネルの第1の半分を複数の波放射チャネルの第2の半分と位置合わせする)ために、第1の金属層を第2の金属層に接合するように構成された少なくとも1つの締結具を含んでよい。いくつかの実施形態においてこれを容易にするために、第1の金属層において、第1の複数の貫通穴(
図2Aには不図示)は、少なくとも1つの締結具を収容するように構成され得る。また、第2の金属層において、第2の複数の貫通穴(
図2Bには不図示)は、第1の複数の貫通穴と実質的に位置合わせされ、第2の金属層を第1の金属層に接合するための少なくとも1つの締結具を収容するように構成され得る。そのような実施形態において、少なくとも1つの締結具は、位置合わせされた第1および第2の複数の貫通穴内に提供され、2つの金属層が互いに接合されるように固定され得る。
【0064】
[0076] いくつかの例において、少なくとも1つの締結具は、多数の締結具であってよい。たとえばねじおよびアライメントピンなどの機械的締結具(および締結を容易にするために用いられる技術)が、2つの金属層を接合するために用いられ得る。またいくつかの例において、2つの金属層は、間に接着層を介さずに互いに直接接合され得る。また更に、2つの金属層は、接着、拡散接合、はんだ付け、ロウ付けなどとは異なる方法を用いて接合され得る。ただし、他の例において、金属層を接合するための既知または未知の任意の方法への追加または代替として、そのような方法が用いられ得ることが可能である。
【0065】
[0077] いくつかの実施形態において、第1および/または第2の金属層の複数の貫通穴への追加または代替として、第1の金属層および/または第2の金属層内に1または複数の止り穴が形成され得る。そのような実施形態において、1または複数の止り穴は、締結(たとえばねじまたはアライメントピンの収容)のために用いられ、あるいは他の目的で用いられ得る。
【0066】
[0078]
図2Cは、アンテナ例240の組立て図を示す。アンテナ例240は、第1の金属層200および第2の金属層220を含んでよい。第2の金属層220は、アライメントピン、ねじなどを収容するように構成された複数の穴242(貫通穴および/または止り穴)を含んでよい。第1の金属層200は、第2の金属層220の穴242と位置合わせされる複数の穴(不図示)を同様に含んでよい。
【0067】
[0079] また、
図2Cは、アンテナ240のDOEWGおよびチャネルの数に基づいて変動し得る所与の幅246および所与の長さ248のDOEWGアレイ244を示す。たとえば実施形態例において、DOEWGアレイは、約11.43mmの幅および約28.24mmの長さを有してよい。またそのような実施形態例において、これらの寸法は、アンテナ例240の他の寸法への追加または代替として、最大約0.51mmまでの誤差を許容し得る公差で加工され得るが、他の実施形態において、より大きいまたは小さい誤差が必要とされ得る。DOEWGアレイの他の寸法も可能である。また、いくつかの例において、放射構造のために他の形状の出力が用いられ得る。
図2Cには楕円形として示されるが、放射構造は任意の形状であってよく、この形状は本開示にとって重要ではない。いくつかの例において、放射構造は、正方形、円形、線形、z字形などであってよい。
【0068】
[0080] いくつかの実施形態において、第1および第2の金属層200、220は、アルミニウム板(たとえば約6.35mm素材)から加工され得る。そのような実施形態において、第1の金属層は、厚さ3mm以上(たとえば約5.84mm~6.86mm)であってよい。また、第2の金属層220は、6.35mm素材から約3.886mmの厚さに加工され得る。他の厚さも可能である。
【0069】
[0081] いくつかの実施形態において、2つの金属層200、220の接合の結果、2層の合わせ面の間に空気間隙または他の非連続性が生じ得る。そのような実施形態において、この間隙または連続性は、アンテナ装置の長さの中心付近に(あるいは可能な限り中心近くに)あってよく、約0.05mm以下のサイズを有し得る。
【0070】
[0082]
図2Dは、アンテナ例240の他の組立て図を示す。図示するように、第1の金属層200は、アライメントピン、ねじなどを収容するように構成された複数の穴250(貫通穴および/または止り穴)を含んでよい。複数の穴250の1または複数は、第2の金属層220の穴242と位置合わせされ得る。また
図2Dは、入力結合ポート212を示し、ここでアンテナ240は、1または複数の導波管チャネル202内に電磁波を受け取ってよい。加えて、
図2Dは、多数の結合ポート252を特徴とする。結合ポート252は、第1の金属層200内の導波管から、それぞれの結合ポートからの電磁エネルギを結合するPCB(
図2Dには不図示)上の部品に結合してよい。結合ポート212、252は、
図4Aの結合ポート404の形式をとってよい。
【0071】
[0083]
図2Eは、組み立てられたアンテナ例の内部に形成された概念的な導波管チャネル260を示す。より具体的には、導波管チャネル260は、
図2Aおよび
図2Bの導波管チャネル202の形式をとってよい。たとえばチャネル260は、入力導波管チャネル264への入力ポート262を含む。チャネル260は、分波チャネル266および複数の放射ダブレット268(たとえばDOEWGアレイ)も含む。上述したように、電磁波は、入力結合ポート262においてチャネル260へ入ると、入力導波管チャネル264を通って+x方向に伝わり、分波チャネル266によって(たとえば電力分割器によって)部分分割され得る。これらの電磁波部分はその後、それぞれの放射ダブレット268へ+x方向に伝わってよく、ここでこれらの部分の小部分が、たとえばペア270などの出力ポートペアを通って各DOEWG外へ放射される。
【0072】
[0084] 特定の波放射チャネルにおいて、電磁波の一部は最初に、上述したように、凹設導波部材272(たとえば逆段差、または「井戸」)を有する第1のDOEWGを通って伝搬され得る。この凹設導波部材272は、特定の波放射チャネルの全てのDOEWG部材うち最も小さい割合のエネルギを放射するように構成され得る。いくつかの例において、後続する導波部材274は、各後続のDOEWGが、残りのエネルギのうち、前にあるDOEWGよりも多い割合を放射することができるように形成(たとえば凹設ではなく隆起)され得る。言い換えると、各導波部材272、274は一般に、水平(+x方向)チャネル(たとえば波放射チャネル、または上述したような「細長セグメント」の「第1の端部」)内に「ステップカット」として形成され、放射されるエネルギ量対アンテナに沿って更に伝送されるエネルギ量を調整するためにアンテナによって用いられ得る。
【0073】
[0085] いくつかの実施形態において、所与のDOEWGは、閾値レベルを超えるエネルギを放射することはできず、閾値レベルを下回るエネルギを放射することもできない。これらの閾値レベルは、DOEWG部品(たとえば導波部材、水平チャネル、垂直チャネル、2つの出力ポート間のブリッジなど)の寸法に基づいて変化してよく、あるいはアンテナに関連する他の要因に基づいて変化してよい。
【0074】
[0086] いくつかの実施形態において、第1および第2の金属層は、導波管チャネル260の様々な側面が、たとえば縁部276、278、および280のように丸みを帯びた縁部を有するように加工され得る。
【0075】
[0087]
図2Eには更に、結合ポート282およびPCBベースの結合部品284の両方が示される。PCBベースの結合部品284は、結合ポート282に結合され得る。また結合ポート282は、分波チャネル266の細長セグメント222に結合され得る。PCBベースの結合部品284および結合ポート282の設計は、
図4A~4Dに関して更に説明される。
【0076】
[0088]
図3Aは、実施形態例に係るアンテナ例の分波チャネル300のネットワークを示す。
図3Bは、実施形態例に係る分波チャネル300のネットワークの別の図を示す。
【0077】
[0089] いくつかの実施形態において、分波チャネル300のネットワーク(たとえば上述したようなビーム形成ネットワーク)は、
図3Aに示すように、電力分割器ツリーの形式をとってよい。エネルギは、入力導波管チャネルを通ってアンテナへ入り、たとえば電力分割器302などの各電力分割器において小さなエネルギ部分に分割され(分けられ)、それぞれの量のエネルギ(図示するようなエネルギA~F)が波放射チャネルの各々に供給されるように、後続の電力分割器を介して複数回分割され得る。所与の電力分割器において分割されるエネルギの量は、電力分割比(すなわち、分割後に1つのチャネル304へ向かうエネルギの量対他のチャネル306へ向かうエネルギの量)によって制御され得る。所与の電力分割比は、対応する電力分割器の寸法に基づいて調整され得る。
【0078】
[0090] 例において、2つのチャネル304、306の間でエネルギを分割するための技術は、たとえば
図3Aの下側に示すようなチャネル構造(たとえば「4ポート分岐線カプラ」)を用いることであってよい。そのような技術および構造設計は、
図3Aおよび
図3Bに示すように、チャネルの端部にフィード310および結合ポート308を含んでよく、ここで結合ポート308の各々は、チャネルを通ってフィード310の1つへ向かって後方へ戻るエネルギを結合するように構成される。フィード310は、戻りエネルギを吸収するように構成され得る。フィード310および結合ポート308の設計は、
図4Bに関して更に説明される。
【0079】
[0091]
図4A~4Dは、開示される装置の様々な実施形態例を示す。開示される単層PCBにおける広帯域導波管発射設計は、PCBのトレースから放射部品へ信号を結合するフィードを用いてよい。いくつかの例において、トレースは、放射部品に物理的に接続される。他の例において、トレースは、放射部品においてフィールドを誘発し得るが、物理的な接触はもたらさない。
【0080】
[0092] いくつかの例において、放射部品は、波が発射される導波管の種類に対応するモードで波を発射するように設計され得る。たとえば、長方形導波管の場合、TE10モードを励起することが望ましく、円形導波管の場合、TE11モードを励起することが望ましくあり得る。また、高集積電磁モジュールを可能にするために、最小の面積ならびに最小数の金属層のPCBを用いる放射構造を設計することが望ましくあり得る。
【0081】
[0093] 本開示において提案される設計は、10%を上回る帯域幅を実現ながらもPCBのための単一金属層設計を用いる。従来のパッチアンテナフィードは、約5%の帯域幅を有する。一例において、この設計の新規性は、PCB上の放射構造による電界および磁界の相補的励起である。同様の帯域幅を実現しようと試みる過去の設計技術は、従来、4分の1波長背部短絡型導波管を有する2ピースの導波管を必要とし、またはたとえば近接パッチ発射または開口部パッチ発射などの多層PCB設計を必要とする。この設計は、デュアル励起放射構造を用いることによって、単層PCBにおいて高い帯域幅を実現する。
【0082】
[0094]
図4Aは、結合ポート404、フィード410、および放射部品408を備える導波管402終端の例を示す。フィード410は、PCB406に実装され得る(たとえばフィード410はPCB上の金属トレースであってよい)。PCBは、
図2Dに示すような分割ブロック導波管アンテナの底面に実装され得る。また
図4Aは、結合ポート404の1つの使用例を示す。結合ポート404は、本開示のアンテナ装置以外の例において用いられてもよい。たとえば結合ポート404は、電磁信号が導波管の内および/または外へ結合される任意の例において用いられ得る。また、本明細書に開示される結合ポート404は、導波管ビーム形成ネットワークを用いることなく、PCBからアンテナなどの放射構造に信号を効率的に結合するためにも用いられ得る。
【0083】
[0095]
図4Aは、単一端フィード410に結合された放射部品408を用いて示されるが、他の例において、放射部品408は、たとえば(
図4B~4Dに関して説明したような)単一パッチなどの異なる形状であってよい。加えて、放射部品408は、アンテナユニットによる送信のために電磁信号を結合ポートに供給すること、および導波管からフィードへ電磁信号を結合することの両方が可能であり得る双方向部品であってよい。また、
図4Aにおいて、放射部品408はパッチとして示される。ただし、
図4B~4Dは、電界および磁界放射部分の両方を含む放射部品408に関するいくつかの異なる形状を開示する。放射部品408は、放射部品408から導波管402へ信号を結合することに関する説明のために示される。
【0084】
[0096]
図4Aの導波管402は、たとえば
図2Aの細長セグメント204などの導波管細長セグメントの一部であってよい。より具体的には、
図4Aの導波管402は、フィードを含まない細長セグメントの1つであってよい。結合ポート404は、導波管402の平面の範囲外で、これと垂直に位置合わせされ得る。結合ポート404は、放射構造408によってPCB406上に位置するフィード410に電磁エネルギを結合するように構成され得る。フィード410は、無線ハードウェア電子機器に結合され得る。無線ハードウェア電子機器は、フィード410からの無線信号を送受信するように構成されたRADARトランシーバであってよい。
【0085】
[0097] たとえば
図4Aに示すようないくつかの例において、各結合ポート404は、放射構造408のインピーダンスに導波管のインピーダンスを整合(または概ね整合)させるような形状であってよい。インピーダンス整合により、導波管402から結合ポート404に結合される反射電磁エネルギの量は、最大化され得る。たとえば結合ポート404は、正しいインピーダンス整合を実現するために様々な寸法の部分を有してよい。また、アンテナユニットが多数の結合ポートを有する例において、各結合ポートは、それぞれの結合ポートに望ましいインピーダンス整合に基づく自身の寸法を有してよい。またいくつかの追加例において、放射構造408は、結合ポート404のインピーダンスに整合するインピーダンスを有するように設計され得る。いくつかの例において、放射構造408の電界および磁界結合部品は、放射構造408のインピーダンスを調整するために、異なる形状および/または配置を有してよい。
【0086】
[0098] 加えて、導波管の底部に結合する結合ポート404および放射構造408が示される。他の例において、結合ポート404、PCB406、および放射構造408のアライメントは、異なるアライメントを有してよい。たとえば、結合は、導波管の側面または端部への結合であってもよい。
【0087】
[0099] 結合ポート404を作成するために、結合ポート404は、結合ポート404の上面および結合ポート404の底面の両方から加工され得る。両面から加工することができる寸法を有する結合ポート404を設計することによって、インピーダンス整合機能を実現しながらも比較的製造が簡単な結合ポート404が作成され得る。結合ポートのより複雑なバージョンが設計されてもよいが、結合ポートの上面および底面の両方から加工され得るポートを有することで、加工の複雑性が低減され得る。
【0088】
[0100] 上述したように、放射構造408は、結合ポート404を通して導波管からフィード408へ電磁エネルギの少なくとも一部を結合するように構成される。このようにして、放射構造408は、受信した電磁エネルギの少なくとも一部を結合する時、基本的に受信アンテナとして機能し得る。放射構造408は、導波管からの受信電磁エネルギの少なくとも一部を受信し、結合ポートを通してこれを結合する。
【0089】
[0101] 他の例において、結合ポート404は、電磁エネルギを導波管に注入するために機能してよい。この例において、放射構造408は、PCB406上のフィードトレース410から結合ポート404を通して導波管402へ電磁エネルギの少なくとも一部を結合するように構成される。このようにして、放射構造408は、電磁エネルギの少なくとも一部を結合する時、基本的に送信アンテナとして機能し得る。放射構造408は、フィードトレースから電磁エネルギの少なくとも一部を送信し、結合ポートを通してこれを結合する。
【0090】
[0102] 異なる様々な例において、放射構造408は、様々な形式をとってよい。たとえば放射構造408は、
図4Aに示すように、金属パッチ形構造であってよい。放射構造408は、アンテナと同様に機能してよく、すなわち放射構造408は、電磁エネルギ(すなわち波)を送信または受信することができ得る。機能的に、一例において、放射構造408は、導波管からの導波を導波管外の導波に変換(たとえば波をフィードに結合)するように構成された部品であってよい。他の例において、放射構造408は、導波管外からの導波を導波管内の導波に変換するように構成された部品であってよい。
【0091】
[0103] 様々な例において、放射構造408は、様々な方法で、様々な材料および形状を用いて製作され得る。導波管内の波から導波管内にない波への波の変換をもたらすために機能し、(たとえば
図4Bの結合部品412などの)放射部品408に取って代わり得る多くの構造が存在する。
【0092】
[0104]
図4Bに示すように、放射構造408は、回路基板406上の金属トレース(またはパッチ)であってよい。しかし他の例において、結合部品は、PCBに取り付けられた個別の部品であってよい。たとえば結合部品は、金属で塗装、メッキ、または他の方法で被覆されたセラミックから形成され得る。また放射部品408は、打ち抜き金属、曲げ金属、または他の別の金属構造から形成されてもよい。いくつかの追加例において、放射部品408はそれ自体が、PCB406に表面実装され得る第2の回路基板上の金属ストリップまたは部品であってよい。
【0093】
[0105] いくつかの例において、放射構造408は、(i)導波管外から導波管内へ信号を結合すること、および(ii)導波管内から導波管外へ信号を結合することの両方のために機能する双方向カプラであってよい。
【0094】
[0106] いくつかの更なる例において、放射構造408は、差動モード信号を導波管外から導波管内に結合するように構成され得る。いくつかの追加例において、放射構造408は、導波管内部からの信号を差分モード信号として導波管外へ結合するように構成され得る。
【0095】
[0107] いくつかの追加例において、放射構造408は、単一モード信号を導波管外から導波管内に結合するように構成され得る。いくつかの追加例において、放射構造408は、導波管内部からの信号を単一モード信号として導波管外へ結合するように構成され得る。
【0096】
[0108] 様々な実施形態において、放射構造408は、放射構造408が入力と出力との間で結合する電磁エネルギの割合を最適化するインピーダンスを有するように設計され得る。
【0097】
[0109]
図4Bは、回路基板406に電界結合部品414および2つの磁界結合部品412の両方を含む放射構造の全体図を示す。上述したように、フィード410は、電界放射部品414へ信号を供給してよい。電界放射部品414によって放射された信号は、両方の磁界放射部品412に結合してよい。次に磁界放射部品412が信号を放射してよい。
図4Bに示すように、電界放射部品414は、変形長方形パッチである。このパッチは、フィード410の各側部における2つの切込みを特徴とする。パッチにおける切込みは、パッチの帯域幅を増加させることおよび何らかのインピーダンス整合をもたらすことの両方のために機能する。2つの磁界結合部品412は、回路基板406の表面に実装されたループであってよい。2つの磁界結合部品412は、放射部品に関する帯域幅ならびに何らかのインピーダンス整合を全体として更に増加させる。
【0098】
[0110]
図4Bにおいて、GNDと記された接地点が更に示される。接地点GNDは、PCB406に電気的アースをもたらすために用いられ得る。接地点GNDは、たとえば
図2Dに示す導波管ブロックの底部のように、導波管ブロックとの電気的接触を形成してよい。
【0099】
[0111] フィード410は、導波管ブロック構造の外側、または導波管ブロック構造の外側表面上に位置する回路基板406に配置される。導波管アンテナブロックがRADAR信号を受信するために機能している場合、フィード410は、放射構造408からの受信電磁エネルギの少なくとも一部を受信してよい。導波管アンテナブロックがRADAR信号を送信するために機能している場合、フィード410は、電磁エネルギを導波管に結合するために放射部品へ伝搬してよい。
【0100】
[0112]
図4Cは、回路基板406に電界結合部品422および磁界結合部品424の両方を含む放射部品の全体図を示す。電界結合部品422および磁界結合部品424は、上述したものと同様に機能してよい。
図4Cは、
図4Bに関して説明したものと同様の接地点GNDも含む。フィード410は、放射部品へ信号を供給してよい。フィード410は、電界結合部品422および磁界結合部品424の両方に直接供給してよい。
【0101】
[0113]
図4Cに示すように、電界放射部品422は、変形長方形パッチである。このパッチは、パッチの各側部における3つの切込みを特徴とする。パッチにおける切込みは、パッチの帯域幅を増加させることおよび何らかのインピーダンス整合をもたらすことの両方のために機能する。磁界放射部品424は、電界放射部品422のフィード410に結合されたループであってよい。磁界放射部品424は、放射部品に関する帯域幅ならびに何らかのインピーダンス整合を全体として更に増加させる。
【0102】
[0114]
図4Dは、回路基板406に電界結合部品442および磁界結合部品444の両方を含む放射部品の全体図を示す。電界放射部品442および磁界放射部品444は、上述したものと同様に機能してよい。
図4Dは、
図4Bに関して説明したものと同様の接地点GNDも含む。フィード446は、放射部品へ信号を供給してよい。
図4Dにおいて、フィード446は、差動フィードとして示され、すなわち、放射部品へ作動信号を供給する2つのラインを有する。所望の構成に基づいて、差動フィード446は、
図4A~4Cに示すような単一端フィードと置き換えられ得る。同様に、
図4A~4Cに示す例は、いくつかの例において差動フィードを用いてもよい。フィード446は、電界放射部品442および磁界放射部品444の両方に直接供給してよい。
【0103】
[0115] 差動フィード446が電界放射部品442へ信号を供給すると、電界放射部品442は、信号の少なくとも一部を放射してよい。電界放射部品442によって放射された信号は、磁界結合部品444に結合してよい。次に磁界放射部品444が信号を放射してよい。
【0104】
[0116]
図4Dに示すように、電界放射部品442は、変形長方形パッチである。このパッチは、パッチの各側部における3つの切込みを特徴とする。パッチにおける切込みは、パッチの帯域幅を増加させることおよび何らかのインピーダンス整合をもたらすことの両方のために機能する。磁界放射部品444は、電界放射部品442によって放射された信号に結合し、信号を放射するループであってよい。磁界放射部品444は、放射部品に関する帯域幅ならびに何らかのインピーダンス整合を全体として更に増加させる。
【0105】
[0117] 理解すべき点として、導波管チャネル、導波管チャネルの部分、導波管チャネルの側部、導波部材などの他の形状および寸法も可能である。いくつかの実施形態において、長方形状の導波管チャネルは製造の利便性が高いが、同等または更に高い利便性で導波管チャネルを製造するために他の既知または未知の方法が実行され得る。
【0106】
[0118] 理解すべき点として、本明細書で説明される構成は、例示目的にすぎない。よって当業者が理解するように、他の構成および他の要素(たとえば機械、装置、インタフェース、機能、順序、および機能のグループなど)が代わりに用いられてよく、いくつかの要素は所望の結果に従って完全に省かれてもよい。また、説明される要素の多くは、個別または分散構成要素として、または他の構成要素とともに、任意の適当な組み合わせおよび位置で実装され得る機能エンティティである。
【0107】
[0119] 様々な装置および実施形態が本明細書に開示されたが、他の態様および実施形態が当業者には明らかである。本明細書に開示される様々な態様および実施形態は例示を目的としており、限定的であることは意図されず、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって示される。