(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】変異免疫グロブリン結合ペプチド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/31 20060101AFI20220127BHJP
C07K 14/31 20060101ALI20220127BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20220127BHJP
C07K 17/00 20060101ALI20220127BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220127BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220127BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220127BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220127BHJP
C07K 1/22 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
C12N15/31 ZNA
C07K14/31
C07K16/00
C07K17/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K1/22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020107847
(22)【出願日】2020-06-23
(62)【分割の表示】P 2017525397の分割
【原出願日】2015-11-16
【審査請求日】2020-07-15
(32)【優先日】2014-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(32)【優先日】2015-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2015-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516105833
【氏名又は名称】サイティバ・バイオプロセス・アールアンドディ・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゴ,グスタフ
(72)【発明者】
【氏名】ビョルクマン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アンデル,マッツ
【審査官】原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/165544(WO,A1)
【文献】特開2010-081866(JP,A)
【文献】HOBER SOPHIA,PROTEIN A CHROMATOGRAPHY FOR ANTIBODY PURIFICATION,JOURNAL OF CHROMATOGRAPHY B: BIOMEDICAL SCIENCES & APPLICATION,NL,ELSEVIER,2007年03月12日,VOL:848, NR:1,PAGE(S):40 - 47,http://dx.doi.org/10.1016/j.jchromb.2006.09.030
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
A61K
MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のFc結合ポリペプチド
を含む多量体であって、
各ポリペプチドが、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、及び、配列番号48からなる群から選択される配列を含み、
前記多量体が少なくとも1つのリンカーを含み、ポリペプチドを接続する前記リンカーが、プロリン、アスパラギン、及び/又はグルタミンを含まない、
多量体。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、配列番号7で定義されるポリペプチドと比較して改善されたアルカリ安定性を有する、請求項
1に記載の
多量体。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の複数のポリペプチドを含
む多量体であって
、
a)ポリペプチドが、15残基以下のアミノ酸を含むリンカーで連結されている、及び/又は
b)多量体が、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体又は九量体である、
多量体。
【請求項4】
1以上のシステイン残基、複数のリジン残基及び複数のヒスチジン残基からなる群から選択される、C末端又はN末端の1以上の連結要素の1~5個のアミノ酸残基か又はその範囲内をさらに含む、請求項1から
3のいずれか1項に記載
の多量体。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか1項に記載
の多量体をコードする核酸又はベクター。
【請求項6】
請求項
5に記載の核酸又はベクターを含む、発現系。
【請求項7】
請求項1から
4のいずれか1項に記載の複数
の多量体が固相支持体に結合されている、分離マトリックス。
【請求項8】
免疫グロブリンを単離する方法であって、請求項
7に記載の分離マトリックスを使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アフィニティークロマトグラフィーの分野に関し、より具体的には、免疫グロブリンのアフィニティークロマトグラフィーにおいて有用なプロテインAの変異した免疫グロブリン結合ドメインに関する。また、本発明は変異ドメインの多量体に、さらに、変異ドメイン又は多量体を含む分離マトリックスにも関する。
【背景技術】
【0002】
免疫グロブリンは、世界中で製造又は開発のいずれにおいても最も普及しているバイオ医薬品を代表する。この特別な治療市場に対する商業的需要が高いことと、そのために価値が高いことにより、製薬会社は、付随するコストを制御する一方で各社のそれぞれのmAb製造プロセスの生産性を最大化することに充填を置いてきた。
【0003】
アフィニティークロマトグラフィーは、これらの免疫グロブリン分子、例えばモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体などの精製の重要なステップの1つとして、大部分の例で使用される。特に興味深い種類のアフィニティー試薬は、免疫グロブリン分子の不変部分と特異的結合することの可能なタンパク質であり、そのような相互作用は、抗体の抗原結合特異性とは独立している。そのような試薬は、限定されるものではないが血清又は血漿調製物又は細胞培養由来の供給原料などの異なる試料から、免疫グロブリンをアフィニティークロマトグラフィーによって回収するために広く使用されることができる。そのようなタンパク質の一例は、異なる種由来のIgG免疫グロブリンのFc部分及びFab部分と結合することのできるドメインを含む、ブドウ球菌のプロテインAである。これら
のドメインは、一般にE-、D-、A-、B-及びC-ドメインと表示される。
【0004】
ブドウ球菌プロテインA(SpA)に基づく試薬は、その高い親和性及び選択性に起因して、バイオテクノロジーの分野、特に抗体の捕捉及び精製のための、並びに検出又は定量化のためのアフィニティークロマトグラフィーにおいて広範な用途が見出されている。現在、SpAに基づくアフィニティー媒体は、おそらく、工業用の細胞培養上清を含む、異なる試料からモノクローナル抗体及びその断片を単離するための最も広く使用されるアフィニティー媒体である。したがって、プロテインA-リガンドを含む様々なマトリックスが、例えば、天然のプロテインA(例えば、プロテインA SEPHAROSE(商標)GE Healthcare(スウェーデン、ウプサラ))の形態で市販されており、組換えプロテインAからなるものもある(例えばrProtein A SEPHAROSE(商標)、GE Healthcare)。より具体的には、市販の組換えプロテインA製品で実施した遺伝子操作は、その担体との付着を促進し、リガンドの生産性を増加することを目的とする。
【0005】
これらの用途は、その他のアフィニティークロマトグラフィー用途のように、夾雑物を確実に除去することに総合的な注意を必要とする。そのような夾雑物は、例えば、クロマトグラフィー法において固定相又はマトリックスに吸着される、溶出しなかった分子、例えばタンパク質、炭水化物、脂質、細菌及びウイルスをはじめとする望ましくない生体分子又は微生物などであり得る。後の使用の前にマトリックスを再生するために、そのような夾雑物をマトリックスから除去することは、通常、目的生成物の最初の溶出の後に実施される。そのような除去は通常、固定相から夾雑物を溶出することのできる薬剤を使用する、定置洗浄(CIP)として公知の方法を伴う。多くの場合使用されるそのような薬剤の種類の1つは、固定相に通すアルカリ溶液である。現在最も広く使用される洗浄及び消毒剤はNaOHであり、その濃度は、汚染の程度及び性質に応じて0.1から例えば1Mまでの範囲であり得る。この戦略は、13を上回るpH値をもつ溶液にマトリックスを曝露することに関連する。タンパク質性アフィニティーリガンドを含有する多くのアフィニティークロマトグラフィーマトリックスに関して、そのようなアルカリ環境は非常に厳しい条件であり、結果的に、関与する高いpHに対するリガンドの不安定性による能力の低下をもたらす。
【0006】
そのため、大規模な研究がアルカリ性pH値に耐える能力の改善を示す、操作されたタンパク質リガンドの開発に着目してきした。例えば、Gulichら(Susanne Gulich,Martin Linhult,Per-Ake Nygren,Mathias Uhlen,Sophia Hober,Journal of Biotechnology 80(2000),169-178)は、アルカリ性環境での連鎖球菌アルブミン結合ドメイン(ABD)の安定性を改善するためにタンパク質工学を提案した。Gulichらは、4つ全てのアスパラギン残基がロイシン(1つの残基)、アスパラギン酸(2つの残基)及びリジン(1つの残基)に置き換えられている、ABDの変異体を製造した。さらに、Gulichらは、製造した変異体が天然のタンパク質に似た標的タンパク質結合挙動を示すこと、及び操作されたリガンドを含有するアフィニティーカラムが、アルカリ条件に繰り返し曝露した後に、操作されていない親リガンドを用いて調製したカラムよりも高い結合能を示すことを報告している。よって、4つ全てのアスパラギン残基は、構造及び機能に重大な影響を及ぼすことなく置き換えられることができることがその中で結論付けられる。
【0007】
最近の研究は、その変更をプロテインA(SpA)にもおこなって類似した性質をもたらすことができることを示す。参照によりその全文が本明細書に援用される、米国特許出願公開第2005/0143566号は、1以上のアスパラギン残基をグルタミン酸又はアスパラギン酸以外のアミノ酸に変異させると、その変異が、約13~14までのpH値
で親SpA、例えばSpAのBドメイン、又は、SpAのBドメインから誘導した合成構築物であるプロテインZ(米国特許第5143844号、参照によりその全文が援用される)などと比較して、増加した化学安定性を付与することを開示する。著者らは、これらの変異タンパク質をアフィニティーリガンドとして使用する場合、予想通り分離媒体がアルカリ化剤を用いる洗浄方法により良く耐えることができることを示す。アルカリ安定性を向上させる目的をもつプロテインAドメインのさらなる変異は、国際公開第2008/039141号、特開2006-304633号、欧州特許出願公開第1992692号、欧州特許出願公開第2202310号、国際公開第2010/110288号、国際公開第2012/086660号、国際公開第2012/083425号、国際公開第2012/087230号及び国際公開第2014/146350号にも公開されており、その全ては参照によりその全文が本明細書に援用される。しかし、現在利用可能な変異体はなおアルカリ性のpHに対して感受性があり洗浄中のNaOH濃度は通常0.1Mに制限され、これは完全な洗浄を実現することが困難であることを意味する。高いNaOH濃度は、洗浄を向上させるかもしれないが、容認できない能力の喪失を招く。
【0008】
よって、この分野では、アルカリ洗浄方法に対してさらに改善された安定性を有するタンパク質リガンドを含有する分離マトリックスを得る必要性がなおある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【0010】
本発明の一態様は、アルカリ安定性の改善されたポリペプチドを提供することである。これは、実施態様1に記載のポリペプチドによって実現される。
【0011】
1つの利点は、アルカリ安定性が親ポリペプチドよりも改善され、免疫グロブリン及びその他のFc含有タンパク質に対する選択性の高い結合が維持されていることである。
【0012】
本発明の第2の態様は、複数のポリペプチドを含む、アルカリ安定性の改善された多量体を提供することである。これは、特許請求の範囲に定義される多量体によって実現される。
【0013】
本発明の第3の態様は、アルカリ安定性の改善されたポリペプチド又は多量体をコードする核酸又はベクターを提供することである。これは、特許請求の範囲に定義される核酸又はベクターによって実現される。
【0014】
本発明の第4の態様は、アルカリ安定性の改善されたポリペプチド又は多量体を発現することのできる発現系を提供することである。これは、特許請求の範囲に定義される発現系によって実現される。
【0015】
本発明の第5の態様は、免疫グロブリン及びその他のFc含有タンパク質に選択的に結合し、改善されたアルカリ安定性を示すことのできる分離マトリックスを提供することである。これは、特許請求の範囲に定義される分離マトリックスによって実現される。
【0016】
本発明の第6の態様は、免疫グロブリン又はその他のFc含有タンパク質を単離する効率的かつ経済的な方法を提供することである。これは、特許請求の範囲に定義される方法によって実現される。
【0017】
本発明のさらに適した実施形態は、従属クレームに記載される。
【0018】
定義
用語「抗体」及び「免疫グロブリン」は本明細書において同義的に使用され、抗体のフラグメント、抗体又は抗体フラグメントを含む融合タンパク質及び抗体又は抗体フラグメントを含むコンジュゲートも含むと理解される。
【0019】
用語「Fc結合ポリペプチド」及び「Fc結合タンパク質」とは、抗体の結晶化可能部分(Fc)と結合することのできるポリペプチド又はタンパク質をそれぞれ意味し、それには、例えばプロテインA及びプロテインG、又は結合特性が維持されたその任意のフラグメント又は融合タンパク質が挙げられる。
【0020】
用語「リンカー」は、本明細書において、多量体の2つのポリペプチド単位、単量体又はドメインを互いに連結する要素を意味する。
【0021】
用語「スペーサー」は、本明細書において、ポリペプチド又はポリペプチド多量体を担体に結合する要素を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】配列番号1~7及び51~52で定義されるFc結合ドメインのアライメントを示す図である。
【
図2】SPRバイオセンサーチップと結合した親及び変異四量体Zvar(配列番号7)ポリペプチドバリアントのアルカリ安定性について実施例2から得た結果を示す図である。
【
図3】アガロースビーズと結合した親及び変異四量体Zvar(配列番号7)ポリペプチドバリアントのアルカリ安定性(0.5M NaOH)について実施例4から得た結果を示す図である。
【
図4】アガロースビーズと結合した親及び変異四量体Zvar(配列番号7)ポリペプチドバリアントのアルカリ安定性(1.0M NaOH)について実施例4から得た結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一態様では、本発明は、
図1に図示される配列番号1(Eドメイン)、配列番号2(Dドメイン)、配列番号3(Aドメイン)、配列番号22(バリアントAドメイン)、配列番号4(Bドメイン)、配列番号5(Cドメイン)、配列番号6(プロテインZ)、配列番号7(Zvar)、配列番号51(リンカー領域アミノ酸1~6を含まないZvar)又は配列番号52(リンカー領域アミノ酸1~6を含まないCドメイン)と90%以上、95%以上又は98%以上同一であることで定義されるか、又はそれを有する、ブドウ球菌プロテインA(SpA)のFc結合ドメインの変異体を含むか又はそれから本質的になり、配列番号4~7の11位に対応する位置*の少なくともアスパラギン(又は配列番号2の例ではセリン)残基が、グルタミン酸、リジン、チロシン、トレオニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、メチオニン、バリン、アラニン、ヒスチジン及びアルギニンからなる群から選択されるアミノ酸に変異している、Fc結合ポリペプチドを開示する。プロテインZ(配列番号6)は、米国特許第5143844号に開示されるように変異Bドメインであり、一方配列番号7は、変異N3A,N6D,N23Tを含む、本明細書においてZvarと呼ばれるプロテインZのさらに変異したバリアントを示す。配列番号22は、
図1の位置用語を用いる、A46S変異を有する黄色ブドウ球菌N315株由来のプロテインAのAドメインの天然バリアントである。これらのドメインのN11の変異は、免疫グロブリン結合性を損なうことなく親ドメイン/ポリペプチドと比較して改善されたアルカリ安定性を付与する。そのため、このポリペプチドは、Fc又は免疫グロブリン結合ポリペプチド、或いはFc又は免疫グロブリン結合ポリペプ
チド単位としても記載され得る。
【0024】
*この説明を通じて、
図1のアミノ酸残基位置番号付けの慣習が使用され、位置番号は、配列番号4~7の位置番号に対応するように指定される。
【0025】
換言すると、本発明は、配列番号53で定義されるか或いは90%以上、95%以上又は98%以上の同一性を有する配列を含む、Fc結合ポリペプチドを開示する。
【0026】
配列番号53
KEX1Q X2AFYEILX3LP NLTEEQRX4X5F IX6X7LKDX8PSX9 SX10X11X12LAEAKX13 X14NDAQA PK
式中、互いに独立に、
X1=A又はQ
X2=E、K、Y、T、F、L、W、I、M、V、A、H又はR
X3=H又はK
X4=A又はN
X5=A又はG
X6=Q又はE
X7=S又はK
X8=E又はD
X9=Q又はV
X10=K、R又はA
X11=A、E又はN
X12=I又はL
X13=K又はR
X14=L又はY
である。
【0027】
N11(X2)変異(例えばN11E又はN11K変異)は、唯一の変異であってよく、或いは、ポリペプチドは、さらなる変異、例えば配列番号4~7の3、6、9、10、15、18、23、28、29、32、33、36、37、40、42、43、44、47、50、51、55及び57位に対応する位置の少なくとも1つでの置換などを含んでもよい。これらの位置の1以上で、最初のアミノ酸残基は、例えばアスパラギン、プロリン又はシステインでないアミノ酸で置換されていてよい。最初のアミノ酸残基は、例えばアラニン、バリン、トレオニン、セリン、リジン、グルタミン酸又はアスパラギン酸で置換されていてよい。さらに、1以上のアミノ酸残基が、例えば1~6位及び/又は56~58位から欠失されていてよい。
【0028】
一部の実施形態では、配列番号4~7の9位に対応する位置のアミノ酸残基(X1)は、グルタミン、アスパラギン、プロリン又はシステイン以外のアミノ酸、例えばアラニンなどである。9位及び11位の変異の組合せは、例によって示されるように、特に良好なアルカリ安定性をもたらす。具体的な実施形態では、配列番号7において9位のアミノ酸残基はアラニンであり、11位のアミノ酸残基はリジン又はグルタミン酸、例えばリジンなどである。9位の変異は、参照によりその全文が本明細書に援用される同時係属出願PCT/SE2014/050872号においても考察されている。
【0029】
一部の実施形態では、配列番号4~7の50位に対応する位置のアミノ酸残基(X13)は、アルギニン又はグルタミン酸である。
【0030】
ある種の実施形態では、配列番号4~7の3位に対応する位置のアミノ酸残基は、アラ
ニンである、及び/又は配列番号4~7の6位に対応する位置のアミノ酸残基は、アスパラギン酸である。3位及び6位のアミノ酸残基の1つはアスパラギンであってよく、代替実施形態では、3位及び6位の両方のアミノ酸残基がアスパラギンであってよい。
【0031】
一部の実施形態では、配列番号4~7の43位に対応する位置のアミノ酸残基(X11)は、アラニン又はグルタミン酸、例えばアラニンなどである。具体的な実施形態では、配列番号7の9位及び11位のアミノ酸残基は、それぞれ、アラニン及びリジン/グルタミン酸であり、一方、43位のアミノ酸残基は、アラニン又はグルタミン酸である。
【0032】
ある種の実施形態では、配列番号4~7の28位に対応する位置のアミノ酸残基(X5)は、アラニン又はアスパラギン、例えばアラニンなどである。
【0033】
一部の実施形態では、配列番号4~7の40位に対応する位置のアミノ酸残基(X9)は、アスパラギン、アラニン、グルタミン酸及びバリンからなる群から、或いはグルタミン酸及びバリンからなる群から選択される。具体的な実施形態では、配列番号7の9位及び11位のアミノ酸残基は、それぞれ、アラニン及びグルタミン酸であり、一方、40位のアミノ酸残基は、バリンである。随意に、43位のアミノ酸残基は、アラニン又はグルタミン酸であってよい。
【0034】
ある種の実施形態では、配列番号4~7の42位に対応する位置のアミノ酸残基(X10)は、アラニン、リジン又はアルギニンである。
【0035】
一部の実施形態では、配列番号4~7の18位に対応する位置のアミノ酸残基(X3)は、リジン又はヒスチジン、例えばリジンなどである。
【0036】
ある種の実施形態では、配列番号4~7の33位に対応する位置のアミノ酸残基(X7)は、リジン又はセリン、例えばリジンなどである。
【0037】
一部の実施形態では、配列番号4~7の37位に対応する位置のアミノ酸残基(X8)は、グルタミン酸又はアスパラギン酸、例えばグルタミン酸などである。
【0038】
ある種の実施形態では、配列番号4~7の51位に対応する位置のアミノ酸残基(X14)は、チロシン又はロイシン、例えばチロシンなどである。
【0039】
一部の実施形態では、配列番号4~7の44位に対応する位置のアミノ酸残基(X12)は、ロイシン又はイソロイシンである。具体的な実施形態では、配列番号7の9位及び11位のアミノ酸残基は、それぞれ、アラニン及びリジン/グルタミン酸であり、一方、44位のアミノ酸残基はイソロイシンである。随意に、43位のアミノ酸残基は、アラニン又はグルタミン酸であってよい。
【0040】
一部の実施形態では、配列番号4~7の1、2、3及び4位、又は3、4、5及び6位に対応する位置のアミノ酸残基は欠失している。これらの実施形態の特定のバリアントでは、親ポリペプチドは、プロテインAのCドメイン(配列番号5)である。これらの欠失の天然のCドメインへの影響は、参照によりその全文が本明細書に援用される米国特許第9018305号及び米国特許第8329860号に記載されている。
【0041】
ある種の実施形態では、配列番号4~7中の、例えば配列番号7中の変異は、N11K;N11E;N11Y;N11T;N11F;N11L;N11W;N11I;N11M;N11V;N11A;N11H;N11R;N11E、Q32A;N11E、Q32E、Q40E;N11E、Q32E、K50R;Q9A、N11E、N43A;Q9A、N
11E、N28A、N43A;Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43E、L44I;Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43A、L44I;N11K、H18K、S33K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R、L51Y;Q9A、N11E、N28A、Q40V、A42K、N43A、L44I;Q9A、N11K、H18K、S33K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R、L51Y;N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I;Q9A、N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I;Q9A、N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R;Q9A、N11K、H18K、D37E、A42R;Q9A、N11E、D37E、Q40V、A42K、N43A、L44I及びQ9A、N11E、D37E、Q40V、A42R、N43A、L44Iからなる群から選択される。これらの変異は、特に高いアルカリ安定性をもたらす。配列番号4~7中の、例えば配列番号7中の変異は、N11K;N11Y;N11F;N11L;N11W;N11I;N11M;N11V;N11A;N11H;N11R;Q9A、N11E、N43A;Q9A、N11E、N28A、N43A;Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43E、L44I;Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43A、L44I;Q9A、N11E、N28A、Q40V、A42K、N43A、L44I;N11K、H18K、S33K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R、L51Y;Q9A、N11K、H18K、S33K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R、L51Y;N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I;Q9A、N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I及びQ9A、N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50Rからなる群からも選択されることができる。
【0042】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49及び配列番号50からなる群から選択される配列を含むか又はそれから本質的になる。それは、例えば、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号16、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28及び配列番号29からなる群から選択される配列を含むか又はそれから本質的になってよい。また、それは、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号16、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号27、配列番号28、配列番号38、配列番号40;配列番号41;配列番号42;配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47及び配列番号48からなる群から選択される配列を含むか又はそれから本質的になることができる。ポリペプチドは、例えば上記の群から、又はこれらの群の部分集合から選択される配列で定義されてよいが、それはまた、N及び/又はC末端にさらなるアミノ酸残基、例えばN末端のリーダー配列及び/又はC末端のテール配列を含んでもよい。
【0043】
配列番号8 Zvar(Q9A、N11E、N43A)
VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SAALLAEAKK LNDAQAPK
配列番号9 Zvar(Q9A、N11E、N28A、N43A)
VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRAAF IQSLKDDPSQ SAALLAEAKK LNDAQAPK
配列番号10 Zvar(Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43E、L44I)
VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSVSKEILAEAKKLNDAQAPK
配列番号11 Zvar(Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43A、L44I)
VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK
配列番号12 Zvar(N11E、Q32A)
VDAKFDKEQQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IASLKDDPSQ SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号13 Zvar(N11E)
VDAKFDKEQQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号14 Zvar(N11E、Q32E、Q40E)
VDAKFDKEQQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IESLKDDPSE SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号15 Zvar(N11E、Q32E、K50R)
VDAKFDKEQQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IESLKDDPSQ SANLLAEAKR LNDAQAPK
配列番号16 Zvar(N11K)
VDAKFDKEQQ KAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号23 Zvar(N11K、H18K、S33K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R、L51Y)
VDAKFDKEQQ KAFYEILKLP NLTEEQRNAF IQKLKDEPSQ SRAILAEAKR YNDAQAPK
配列番号24 Zvar(Q9A、N11E、N28A、Q40V、A42K、N43A、L44I)
VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRAAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK
配列番号25 Zvar(Q9A、N11K、H18K、S33K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R、L51Y)
VDAKFDKEAQ KAFYEILKLP NLTEEQRAAF IQKLKDEPSQ SRAILAEAKR YNDAQAPK
配列番号26 Zvar(N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I)
VDAKFDKEQQ KAFYEILKLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSQ SRAILAEAKK LNDAQAPK
配列番号27 Zvar(Q9A、N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I)
VDAKFDKEAQ KAFYEILKLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSQ SRAILAEAKK LNDAQAPK
配列番号28 Zvar(Q9A、N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R)
VDAKFDKEAQ KAFYEILKLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSQ SRAILAEAKR LNDAQAPK
配列番号29 Zvar(Q9A、N11K、H18K、D37E、A42R)
VDAKFDKEAQ KAFYEILKLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSQ SRNLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号36 B(Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43A、L44I)
ADNKFNKEAQ EAFYEILHLP NLNEEQRNGF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK
配列番号37 C(Q9A、N11E、E43A)
ADNKFNKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNGF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK
配列番号38 Zvar(N11Y)
VDAKFDKEQQ YAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号39 Zvar(N11T)
VDAKFDKEQQ TAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号40 Zvar(N11F)
VDAKFDKEQQ FAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号41 Zvar(N11L)
VDAKFDKEQQ LAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号42 Zvar(N11W)
VDAKFDKEQQ WAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号43 Zvar(N11I)
VDAKFDKEQQ IAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号44 Zvar(N11M)
VDAKFDKEQQ MAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号45 Zvar(N11V)
VDAKFDKEQQ VAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号46 Zvar(N11A)
VDAKFDKEQQ AAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号47 Zvar(N11H)
VDAKFDKEQQ HAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号48 Zvar(N11R)
VDAKFDKEQQ RAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SANLLAEAKK LNDAQAPK
配列番号49 Zvar(Q9A、N11E、D37E、Q40V、A42K、N43A、L44I)
VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK
配列番号50 Zvar(Q9A、N11E、D37E、Q40V、A42R、N43A、L44I)
VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSV SRAILAEAKK LNDAQAPK
第2の態様では、本発明は、上に開示されるいずれかの実施形態で定義される複数のポリペプチド単位を含むか、又はそれから本質的になる多量体を開示する。多量体は、例えば二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体又は九量体であり得る。それは、多量体中の全ての単位が同一であるホモ多量体であってもよいし、1以上の単位が他の単位と異なるヘテロ多量体であってもよい。有利には、多量体中の全ての単位は、例
えば上に開示される変異を含むことによって、アルカリ安定性である。ポリペプチドは、ポリペプチドのC末端とN末端との間のペプチド結合によって直接に互いと結合することができる。或いは、多量体中の2以上の単位は、オリゴマー種又はポリマー種、例えば最大15又は30アミノ酸、例えば1~5、1~10又は5~10アミノ酸などを含む要素などを含むリンカーによって結合することができる。これは特に配列番号51及び52の変異並びに配列番号53のポリペプチドの例であり、リンカーの具体例は、例えば、VDAKFD又はADNKFN、例えばVDAKFDなどであり得る。そのようなリンカーの性質は、好ましくはタンパク質単位の空間的立体構造を不安定化するべきではない。これは、例えばリンカー中にプロリンが存在しないようにすることによって達成することができる。さらに、リンカーはまた、好ましくは変異したタンパク質単位の性質を損なわないようにアルカリ環境で十分に安定しているべきでもある。この目的のため、リンカーがアスパラギンを含まない場合は有利である。リンカーがグルタミンを含まない場合はさらに有利であり得る。多量体はさらにN末端で複数のアミノ酸残基、例えばクローニングプロセスに由来するか、又は切断されるシグナル伝達配列由来の残基を構成するアミノ酸残基などを含むことがある。さらなるアミノ酸残基の数は、例えば15以下、例えば10以下又は5以下などであってよい。具体例として、多量体は、AQ配列をN末端に含むことがある。
【0044】
ある種の実施形態では、多量体は、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34及び配列番号35からなる群から選択される配列を含むか又はそれから本質的になってよい。これらの配列は下の表に記載され、親(変異)nと命名される。ここでnは多量体中の単量体単位の数である。
【0045】
配列番号17 Zvar(Q9A、N11E、N43A)4
AQGT VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SAALLAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SAALLAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SAALLAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSQ SAALLAEAKK LNDAQAPKC
配列番号18 Zvar(Q9A、N11E、N28A、N43A)4
AQGT VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRAAF IQSLKDDPSQ SAALLAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRAAF IQSLKDDPSQ SAALLAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRAAF IQSLKDDPSQ SAALLAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRAAF IQSLKDDPSQ SAALLAEAKK LNDAQAPKC
配列番号19 Zvar(Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43E、L44I)4
AQGT VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSV SKEILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSV SKEILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSV SKEILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSV SKEILAEAKK LNDAQAPKC
配列番号20 Zvar(Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43A、L44
I)4
AQGT VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPKC
配列番号30 Zvar(N11K、H18K、S33K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R、L51Y)4
AQGT VDAKFDKEQQ KAFYEILKLP NLTEEQRNAF IQKLKDEPSQ SRAILAEAKR YNDAQAPK VDAKFDKEQQ KAFYEILKLP NLTEEQRNAF IQKLKDEPSQ SRAILAEAKR YNDAQAPK VDAKFDKEQQ KAFYEILKLP NLTEEQRNAF IQKLKDEPSQ SRAILAEAKR YNDAQAPK VDAKFDKEQQ KAFYEILKLP NLTEEQRNAF IQKLKDEPSQ SRAILAEAKR YNDAQAPKC
配列番号31 Zvar(Q9A、N11K、H18K、D37E、A42R)4
AQGT VDAKFDKEAQ KAFYEILKLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSQ SRNLLAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ KAFYEILKLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSQ SRNLLAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ KAFYEILKLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSQ SRNLLAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ KAFYEILKLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSQ SRNLLAEAKK LNDAQAPKC
配列番号32 Zvar(Q9A、N11E、N28A、Q40V、A42K、N43A、L44I)4
AQGT VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRAAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRAAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRAAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRAAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPKC
配列番号33 Zvar(Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43A、L44I)6
AQGT VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDDPSV SKAILAEAKK LNDAQAPKC
配列番号34 Zvar(Q9A、N11E、D37E、Q40V、A42K、N43A、L44I)4
AQGT VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSVSKAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSV SKAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSV SKAILAEAKK LNDAQAPKC
配列番号35 Zvar(Q9A、N11E、D37E、Q40V、A42R、N43A、L44I)4
AQGT VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSV SRAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSV SRAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSV SRAILAEAKK LNDAQAPK VDAKFDKEAQ EAFYEILHLP NLTEEQRNAF IQSLKDEPSV SRAILAEAKK LNDAQAPKC
一部の実施形態では、上に開示されるポリペプチド及び/又は多量体は、C末端又はN末端に、1以上のシステイン残基、複数のリジン残基及び複数のヒスチジン残基からなる群から選択される、1以上の連結要素をさらに含む。1以上の連結要素はまた、C末端又はN末端から1~5アミノ酸残基の範囲内、例えば1~3又は1~2アミノ酸残基の範囲内に位置してもよい。連結要素は、例えばC末端の単一のシステインであることがある。1以上の連結要素は、C又はN末端に直接に結合してもよいし、或いは連結要素は、最大15アミノ酸、例えば1~5、1~10又は5~10アミノ酸を含むストレッチを介して結合してもよい。このストレッチもまた、好ましくは変異したタンパク質の性質を損なわないようにアルカリ環境で十分に安定しているべきである。この目的のため、ストレッチがアスパラギンを含まない場合は有利である。ストレッチがグルタミンを含まない場合はさらに有利であり得る。C末端システインを有する利点は、タンパク質のエンドポイントカップリングがシステインチオールと担体上の求電子基との反応を通じて達成され得ることである。このことは、結合能に重要である、結合したタンパク質の優れた移動度をもたらす。
【0046】
ポリペプチド又は多量体のアルカリ安定性は、例えばNHS-又はマレイミドカップリング化学を使用して、SPRチップ、例えば実施例に記載されるようなBiacore CM5センサーチップとそれをカップリングさせ、指定された温度、例えば22±2℃のアルカリ溶液中でのインキュベーションの前後に一般にポリクローナルヒトIgGを用いてチップの免疫グロブリン結合能を測定することによって評価することができる。インキュベーションは、例えば0.5M NaOH中で何回かの10分サイクル、例えば100、200又は300サイクルなどで実施することができる。22±2℃の0.5M NaOH中で100回の10分インキュベーションサイクルの後のマトリックスのIgG結合能は、インキュベーション前のIgG結合能の少なくとも55、例えば少なくとも60、少なくとも80又は90%以上などであり得る。或いは、上記のように測定される特定の変異体の100サイクル後の残存IgG結合能は、親ポリペプチド/多量体の残存IgG結合能と比較することができる。この例では、変異体の残存IgG結合能は、親ポリペプチド/多量体の少なくとも105%、例えば少なくとも110%、少なくとも125%、少なくとも150%又は少なくとも200%などであることがある。
【0047】
第3の態様では、本発明は、上に開示される任意の実施形態によるポリペプチド又は多量体をコードする核酸を開示する。よって、本発明は、ポリペプチド又は多量体をコードするRNA及びDNAなどの本発明の核酸配列の全ての形態を包含する。本発明は、ベクター、例えばプラスミドなどを包含し、ベクターは、コード配列に加えて本発明によるポリペプチド又は多量体の発現に必要なシグナル配列を含む。一実施形態では、ベクターは、本発明による多量体をコードする核酸を含み、この際、各々の単位をコードする別々の
核酸は、相同又は異種のDNA配列を有することがある。
【0048】
第4の態様では、本発明は発現系を開示し、発現系は上に開示されるような核酸又はベクターを含む。発現系は、例えばグラム陽性又はグラム陰性の原核生物宿主細胞系、例えば大腸菌(E.coli)又はバチルス属の種(Bacillus sp.)であってよく、本発明のポリペプチド又は多量体を発現するよう改変されている。代替実施形態では、発現系は、真核生物宿主細胞系、例えば酵母、例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris)又はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、又は哺乳動物細胞、例えばCHO細胞である。
【0049】
第5の態様では、本発明は、上に開示される任意の実施形態による複数のポリペプチド又は多量体が固相支持体に結合されている、分離マトリックスを開示する。そのようなマトリックスは、免疫グロブリン又はその他のFc含有タンパク質の分離に有用である。そして、ポリペプチド/多量体のアルカリ安定性が改善されたために、マトリックスは洗浄中の高アルカリ条件に耐え、それはバイオプロセス分離の状況において長期の反復使用に不可欠である。マトリックスのアルカリ安定性は、指定された温度、例えば22±2℃のアルカリ溶液中でのインキュベーションの前後に一般にポリクローナルヒトIgGを使用して、免疫グロブリン結合能を測定することによって評価することができる。インキュベーションは、例えば、0.5M又は1.0M NaOH中で何回かの15分サイクル、例えば25、50又は75時間の総インキュベーション時間に相当する100、200又は300サイクルなどで実施することができる。22±2℃の0.5M NaOH中で96~100回の15分インキュベーションサイクル或いは24又は25時間の総インキュベーション時間の後のマトリックスのIgG結合能は、インキュベーション前のIgG結合能の80%以上、例えば85%以上、90%以上又は95%以上などであり得る。22±2℃の1.0M NaOH中で合計24時間のインキュベーションの後のマトリックスの能力は、インキュベーション前のIgG結合能の70%以上、例えば80%以上又は90%以上などであり得る。
【0050】
当業者の理解するように、発現したポリペプチド又は多量体は、担体に固定される前に適切な程度まで精製されるべきである。そのような精製方法は当分野で周知であり、タンパク質に基づくリガンドの担体への固定は標準法を用いて容易に実行される。適した方法及び担体は、下でより詳細に考察される。
【0051】
本発明によるマトリックスの固相支持体は、任意の適した周知の種類の支持体であり得る。従来のアフィニティー分離マトリックスは多くの場合有機性であり、親水性表面を使用する水性媒体に露出する、すなわち、その外表面、そして存在する場合には内表面のヒドロキ基シ(-OH)、カルボキシ基(-COOH)、カルボキサミド基(-CONH2、おそらくN-置換形態)、アミノ基(-NH2、おそらく置換形態)、オリゴ基又はポリエチレンオキシ基を露出するポリマーに基づく。固相支持体は、適切には多孔性であり得る。固相支持体は、適切に多孔性であり得る。多孔度は、例えばGel Filtration Principles and Methods,Pharmacia LKB Biotechnology 1991,pp 6-13に記載される方法に従って、逆サイズ排除クロマトグラフィーによって測定されるKav又はKd値(特定のサイズのプローブ分子に対する利用可能な細孔容積の割合)として表すことができる。定義により、Kd値及びKav値の両方は常に0~1の範囲内にある。Kav値は、有利には、プローブ分子としてMw110kDaのデキストランを用いて測定して、0.6~0.95、例えば0.7~0.90又は0.6~0.8であり得る。この利点は、担体が、本発明のポリペプチド/多量体と、ポリペプチド/多量体との免疫グロブリンの結合の両方に対応し、結合部位への、及び結合部位からの免疫グロブリンの物質輸送をもたらすことの可能な、高い割合の細孔を有する点である。
【0052】
ポリペプチド又は多量体は、例えばリガンドに存在するチオール、アミノ及び/又はカルボキシ基を利用する従来のカップリング技法によって担体と結合させることができる。ビスエポキシド、エピクロロヒドリン、CNBr、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)等は周知のカップリング試薬である。担体とポリペプチド/多量体との間には、ポリペプチド/多量体の有効性を改善し、ポリペプチド/多量体と担体との化学カップリングを促進する、スペーサーとして公知の分子を導入することができる。ポリペプチド/多量体の性質及びカップリング条件に応じて、カップリングは、マルチポイントカップリング(例えば複数のリジンを介するもの)であってもよいし、シングルポイントカップリング(例えば単一のシステインを介するもの)であってもよい。或いは、ポリペプチド/多量体は、非共有結合、例えば物理的吸着又は生体分子特異的吸着などによって担体と結合させてよい。
【0053】
一部の実施形態では、マトリックスは、5~25、例えば5~20mg/ml、5~15mg/ml、5~11mg/ml又は6~11mg/mlの、担体と結合したポリペプチド又は多量体を含む。結合したポリペプチド/多量体の量は、カップリングプロセスで使用したポリペプチド/多量体の濃度、使用した活性化及びカップリング条件、及び/又は使用した担体の多孔構造によって制御することができる。概して、マトリックスの絶対結合能は、結合したポリペプチド/多量体の量とともに、少なくとも細孔が結合したポリペプチド/多量体によって著しく狭窄されるようになる時点まで増加する。結合したポリペプチド/多量体1mg当たりの相対結合能は、高いカップリングレベルで低下し、上に指定される範囲内で最適の費用便益をもたらす。
【0054】
ある種の実施形態ではポリペプチド又は多量体は、チオエーテル結合を介して担体と結合する。そのようなカップリングを実施するための方法は当技術分野で周知であり、標準的な技法及び設備を使用して当業者に容易に実施される。チオエーテル結合は、柔軟で安定しているので、通常アフィニティークロマトグラフィーでの使用に適している。特に、チオエーテル結合がポリペプチド又は多量体の末端又は末端に近いシステイン残基を介するものである場合、結合したポリペプチド/多量体の移動度が増強され、それは結合能及び結合速度を改善する。一部の実施形態では、ポリペプチド/多量体は、上記のようにタンパク質上にあるC末端システインを介して結合される。このことは、システインチオールと担体上の求電子基、例えばエポキシド基、ハロヒドリン基等との効率的なカップリングを可能にし、その結果チオエーテル架橋結合となる。
【0055】
ある種の実施形態では、担体はポリヒドロキシポリマー、例えば多糖などを含む。多糖の例としては、例えばデキストラン、デンプン、セルロース、プルラン、寒天、アガロース等が挙げられる。多糖は、非特異的相互作用の程度が低く本質的に親水性であり、反応性の(活性化可能な)ヒドロキシル基の含有量が高く、バイオプロセシングで使用されるアルカリ洗浄溶液に対して通常安定している。
【0056】
一部の実施形態では、担体は寒天又はアガロースを含む。一部の実施形態では、担体は寒天又はアガロースを含む。本発明で使用される担体は、標準法、例えば逆懸濁ゲル化(S Hjerten:Biochim Biophys Acta 79(2),393-398(1964)などに従って容易に調製することができる。或いは、ベースマトリックスは、市販の製品、例えばSEPHAROSE(商標)FF(GE Healthcare)の商品名で販売されている架橋アガロースビーズなどである。大規模分離に特に有利な一実施形態では、参照によりその全文が本明細書に援用される米国特許第6602990号又は米国特許第7396467号に記載の方法を用いて、担体を剛性が増加するように適合させているので、マトリックスは高流量により適したものになっている。
【0057】
ある種の実施形態では、担体、例えば多糖又はアガロース担体などは、例えばヒドロキシアルキルエーテル架橋によって架橋されている。そのような架橋を生成するクロスリンカー試薬は、例えばエピクロロヒドリンのようなエピハロヒドリン、ブタンジオールジグリシジルエーテルのようなジエポキシド、アリルハライド又はアリルグリシジルエーテルのようなアリル化試薬であり得る。架橋は、担体の剛性に有益であり、化学安定性を改善する。ヒドロキシアルキルエーテル架橋はアルカリ安定性であり、著しい非特異的吸着を引き起こさない。
【0058】
或いは、固相支持体は、合成ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド等に基づく。疎水性ポリマー、例えばジビニル及びモノビニル置換ベンゼンに基づくマトリックスの例では、マトリックスの表面は、多くの場合、親水化されて上記定義の親水基を周囲の水性液に露出する。そのようなポリマーは、標準法に従って容易に製造される、例えば「Styrene based polymer supports developed by suspension polymerization」(R Arshady:Chimica e L’Industria 70(9),70-75(1988))を参照されたい。或いは、市販製品、例えばSOURCE(商標)(GE Healthcare)が使用される。別の代替法では、本発明による固相支持体は、無機性、例えばシリカ、酸化ジルコニウム等の担体を含む。
【0059】
さらに別の実施形態では、固相支持体は、別の形態、例えば表面、チップ、毛細管、又はフィルタ(例えば膜又はデプスフィルタマトリックス)などである。
【0060】
本発明によるマトリックスの形状に関して、一実施形態では、マトリックスは多孔質モノリスの形態である。代替実施形態では、マトリックスは、多孔質であっても非孔質であってもよいビーズ状又は粒子形態である。ビーズ状又は粒子形態のマトリックスは、充填層として、又は懸濁形態で使用されることができる。懸濁形態としては、粒子又はビーズが自由に移動する、発泡層及び純粋な懸濁液として公知の形態が含まれる。モノリス、充填層及び発泡層の例では、分離手順は一般に、濃度勾配をもつ従来のクロマトグラフィー従う。純粋な懸濁液の例では、バッチ式モードが使用される。
【0061】
第6の態様では、本発明は、上に開示されるような分離マトリックスを使用する、免疫グロブリンを単離する方法を開示する。
【0062】
ある種の実施形態では、この方法は、
a)免疫グロブリンを含む液体試料と上に開示される分離マトリックスとを接触させる工程、
b)分離マトリックスを洗浄液で洗浄する工程、
c)溶出液を用いて分離マトリックスから免疫グロブリンを溶出する工程、及び
d)分離マトリックスを清浄液(或いは定置洗浄(CIP)液と呼ぶこともできる)
で、例えば少なくとも10分の接触(インキュベーション)時間で清浄する工程
を含む。
【0063】
この方法はまた、工程a)の前に、上記の実施形態によるアフィニティー分離マトリックスを準備する工程と、免疫グロブリン及び液体試料として1以上のその他の物質を含む溶液を準備する工程と、工程c)の後に、溶出液を回収する工程と、適宜溶出液を、例えば陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、マルチモードクロマトグラフィー及び/又は疎水性相互作用クロマトグラフィーによる、さらなる分離工程に供する工程を含んでもよい。液体試料、洗浄液及び溶出液の適した組成、並びに分離を実施するための一般条件は、アフィニティークロマトグラフィーの技術分野、特にプロテインAクロマトグラ
フィーの技術分野で周知である。Fc含有タンパク質及び1以上のその他の物質を含む液体試料は、宿主細胞タンパク質(HCP)、例えばCHO細胞、大腸菌又は酵母タンパク質などを含んでよい。CHO細胞及び大腸菌タンパク質の内容物は、これらのタンパク質に対するイムノアッセイ、例えばCygnus Technologies製のCHO HCP又は大腸菌HCP ELISAキットによって簡便に求めることができる。宿主細胞タンパク質又はCHO細胞/大腸菌タンパク質は、工程b)の間に離脱させることができる。
【0064】
溶出は、プロテインA媒体からの溶出に使用される任意の適した溶液を使用することによって実施することができる。これは、例えばpH5以下、例えばpH2.5~5又は3~5などの溶液又は緩衝液であり得る。また、一部の例では、それはpH11以上、例えばpH11~14又はpH11~13などの溶液又は緩衝液であり得る。一部の実施形態では、溶出緩衝液又は溶出緩衝液勾配は、1以上の単官能性、二官能性又は酸官能性カルボン酸又はそのようなカルボン酸の塩を含む。ある種の実施形態では、溶出緩衝液又は溶出緩衝液勾配は、酢酸塩、クエン酸塩、グリシン、コハク酸塩、リン酸塩、及びギ酸塩からなる群から選択される1以上の陰イオン種を含む。
【0065】
一部の実施形態では、清浄液は、アルカリ性、例えばpHが13~14である。そのような溶液は、特に間隔の上端で、マトリックスの効率的な洗浄をもたらす。
【0066】
ある種の実施形態では、清浄液は0.1~2.0M NaOH又はKOH、例えば0.5~2.0又は0.5~1.0M NaOH又はKOHなどを含む。これらは効率的な洗浄溶液であり、特にNaOH又はKOH濃度が0.1M又は少なくとも0.5Mを上回る場合にそうである。本発明のポリペプチドの高い安定性は、そのような強アルカリ溶液の使用を可能にする。
【0067】
この方法はまた、消毒液でマトリックスを消毒する工程を含んでもよく、消毒液は例えば過酸化物、例えば過酸化水素及び/又は過酸、例えば過酢酸又は過ギ酸などを含んでよい。
【0068】
一部の実施形態では、工程a)~d)は10回以上、例えば50回以上、50~200、50~300又は50~500回繰り返される。このことは、マトリックスを何度も再使用することができるという点でプロセスの経済に重要である。
【0069】
工程a)~c)はまた、10回以上、例えば50回以上、50~200、50~300又は50~500回繰り返すことができ、工程d)は、工程c)を複数回行った後に実施され、その結果工程d)は10回以上、例えば50回以上実施される。工程d)は、例えば2~20回目の工程c)の例ごとに実施することができる。
【実施例】
【0070】
タンパク質の変異導入
部位特異的変異導入を、変異をコードするオリゴヌクレオチドを用いて2工程のPCRによって実施した。鋳型として、Z、B又はCのいずれかの単一のドメインを含有するプラスミドを使用した。PCR断片を大腸菌発現ベクターに連結した。DNA塩基配列決定法を使用して、挿入した断片の正しい配列を検証した。
【0071】
変異体の多量体を形成するために、アミノ酸VDに対応する、B、C又はZドメインの出発コドン(GTA GAC)に位置するAcc I部位を使用した。単量体ドメインのベクターをAcc Iで消化し、ホスファターゼ処理した。各々のバリアントに特異的なAcc I粘着末端プライマーを設計し、2つのオーバーラップPCR産物を各々の鋳型から製造した。PCR産物を精製し、2%アガロースゲル上でPCR産物を比較することによって濃度を推定した。等量の対のPCR産物をライゲーション緩衝液中でハイブリダイズした(45分で90℃→25℃)。結果として得られる産物は、Acc I部位(正しいPCR断片及び/又は消化ベクター)に連結される可能性の高い断片の約1/4からなる。ライゲーション及び形質転換の後、コロニーをPCRスクリーニングして所望の変異体を含む構築物を同定した。陽性クローンは、DNA塩基配列決定法により確認した。
【0072】
構築物の発現及び精製
構築物を、標準培地中の大腸菌K12の発酵によって細菌ペリプラズム内に発現させた。発酵後、細胞を熱処理してペリプラズムの内容物を培地に放出させた。培地に放出された構築物を、孔径0.2μmの膜を用いる精密濾過法によって回収した。
【0073】
各々の構築物(ここでは濾過工程からの透過液中にある)を、アフィニティーによって精製した。透過液を、固定化IgG(IgG Sepharose 6FF、GE Healthcare)を含有するクロマトグラフィー培地に添加した。添加した産物をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、pHを低下させることによって溶出した。
【0074】
溶出プールを中性pH(pH8)に調節し、ジチオトレイトールの添加によって還元した。次に、試料を陰イオン交換体に添加した。洗浄工程の後、構築物をNaCl勾配に溶出し、それを夾雑物から分離した。溶出プールを限外濾過によって40~50mg/mlに濃縮した。固定IgG培地での構築物のアフィニティー精製の成功は、問題の構築物がIgGに対して高い親和性を有することを意味することに留意する必要がある。
【0075】
精製したリガンドをRPC LC-MSで分析して、純度を求め、分子量が(アミノ酸配列に基づく)予測値と一致することを確かめた。
【0076】
実施例1
N末端のAQGTリーダー配列及びC末端のシステインをさらに含む、表1に記載の精製単量体リガンドを、BiacoreCM5センサーチップ(GE Healthcare、スウェーデン)上に固定化し、十分な量でGE Healthcareのアミンカップリングキット(チップ上のカルボキシメチル基のアミンのカルボジイミドカップリング用)を使用して、Biacore表面プラズモン共鳴(SPR)計測器(GE Healthcare、スウェーデン)で約200~1500RUのシグナル強度を得た。固定化表面のIgG結合能を追跡するため、1mg/mlヒトポリクローナルIgG(Gammanorm)をチップの上に流し、シグナル強度(結合量に比例)を記録した。次に、表面を定置洗浄した(CIP)、すなわち、室温で(22±2℃)10分間、500mM NaOHを流した。これを96~100サイクル繰り返し、固定化リガンドのアルカリ安定性を、各サイクルの後に残存IgG結合能(シグナル強度)として追跡した。結果は表1に示され、少なくともリガンドZvar(N11K)1、Zvar(N11E)1、Zvar(N11Y)1、Zvar(N11T)1、Zvar(N11F)1、Zvar(N11L)1、Zvar(N11W)1、Zvar(N11I)1、Zvar(N11M)1、Zvar(N11V)1、Zvar(N11A)1、Zvar(N11H1)、Zvar(N11R)1、Zvar(N11E、Q32A)1、Zvar(N11E、Q32E、Q40E)1及びZvar(N11E、Q32E、K50R)1、Zvar(Q9A、N11E、N43A)1、Zvar(Q9A、N11E、N28A、N43A)1、Zvar(Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43E、L44I)1、Zvar(Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43A、L44I)1、Zvar(Q9A、N11E、N28A、Q40V、A42K、N43A、L44I)1、Zvar(N11K、H18K、S33K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R、L51Y)1、Zvar(Q9A、N11K、H18K、S33K、D37E、A42R、N
43A、L44I、K50R、L51Y)1、Zvar(N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I)1、Zvar(Q9A、N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I)1及びZvar(Q9A、N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R)1が、基準として使用した親構造Zvar1と比較してアルカリ安定性が改善されたことを示す。さらに、リガンドB(Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43A、L44I)1及びC(Q9A、N11E、E43A)1は、基準として使用した親Bドメイン及びCドメインと比較して安定性が改善された。
【0077】
表1.Biacore(0.5M NaOH)で評価した単量体リガンド
【0078】
【表1】
実施例2
表2に記載の精製四量体及び六量体リガンドを、BiacoreCM5センサーチップ(GE Healthcare、スウェーデン)上に固定化し、十分な量でGE Healthcareのアミンカップリングキット(チップ上のカルボキシメチル基のアミンのカルボジイミドカップリング用)を使用して、Biacore計測器(GE Healthcare、スウェーデン)で約200~1500RUのシグナル強度を得た。固定化表面のIgG結合能を追跡するため、1mg/mlヒトポリクローナルIgG(Gammanorm)をチップの上に流し、シグナル強度(結合量に比例)を記録した。次に、表面を定置洗浄した(CIP)、すなわち、室温で(22±2℃)10分間、500mM NaOHを流した。これを300サイクル繰り返し、固定化リガンドのアルカリ安定性を、各サイクルの後に残存IgG結合能(シグナル強度)として追跡した。結果は表2及び
図2に示され、少なくともリガンドZvar(Q9A、N11E、N43A)4、Zvar(Q9A、N11E、N28A、N43A)4、Zvar(Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43E、L44I)4及びZvar(Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43A、L44I)4、Zvar(Q9A、N11E、D37E、Q40V、A42K、N43A、L44I)4及びZvar(Q9A、N11E、D37E、Q40V、A42R、N43A、L44I)4が、基準として使用した親構造Zvar4と比較してアルカリ安定性が改善されたことを示す。六量体リガンドZvar(Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43A、L44I)6も、基準として使用した親構造Zvar6と比較してアルカリ安定性が改善されたことを示す。
【0079】
表2.Biacore(0.5M NaOH)で評価した四量体及び六量体リガンド
【0080】
【表2】
実施例3
実施例2のような500mMの代わりに1M NaOHを用いて、3つのリガンドの100回のCIPサイクルを用いて実施例2を繰り返した。結果は表3に示され、3つ全てのリガンドが、基準として使用した親構造Zvar4と比較して1M NaOH中でも安定性を改善したことを示す。
【0081】
表3.Biacore(1M NaOH)で評価した四量体リガンド
【0082】
【表3】
実施例4
表2の精製四量体リガンド(全てN末端にさらなるシステインを含む)を、下に記載される方法を用いてアガロースビーズに上に固定化し、能力及び安定性について評価した。結果を表4及び
図3に示す。
【0083】
表4.カラム(0.5M NaOH)で評価した、四量体リガンドを含むマトリックス。
【0084】
【表4】
活性化
使用したベースマトリックスは、米国特許第6602990号に記載の方法に従って調製し、Gel Filtration Principles and Methods,Pharmacia LKB Biotechnology 1991,pp 6-13に記載の方法に従う、Mw110kDaのデキストランの逆ゲル濾過クロマトグラフィーのKav値0.70に相当する孔径をもつ、85マイクロメートル(容積重量、d50V)の中位径の硬質架橋アガロースビーズであった。
【0085】
25mL(g)のドレインしたベースマトリックス、10.0mLの蒸留水及び2.02gのNaOHを、100mLフラスコ中25℃で10分間の機械撹拌によって混合した。4.0mLのエピクロロヒドリンを添加し、反応を2時間進行させた。活性化したゲルを10ゲル堆積量(GV)の水で洗浄した。
【0086】
カップリング
50ml Falconチューブ中20mLのリガンド溶液(50mg/mL)に、169mgのNaHCO3、21mgのNa2CO3、175mgのNaCl及び7mgのEDTAを添加した。Falconチューブをローラーテーブルの上に5~10分間載せた後、77mgのDTEを添加した。還元は45分超進行した。次に、Sephadex G-25を充填したPD10カラムでリガンド溶液を脱塩した。脱塩した溶液中のリガンド含有量を、276nmのUV吸収を測定することによって求めた。
【0087】
活性化したゲルを3~5GV{0.1Mリン酸塩/1mM EDTA pH8.6}で洗浄し、次に米国特許第6399750号に記載の方法に従ってリガンドを結合させた。この実験で使用した全ての緩衝液を、窒素ガスによって少なくとも5~10分間脱気した。ゲルのリガンド含有量は、リガンド溶液の量及び濃度を変化させることによって制御することができた。
【0088】
固定化の後、ゲルを3xGVの蒸留水で洗浄した。ゲル+1GV{0.1M リン酸塩/1mM EDTA/10%チオグリセロールpH8.6}を混合し、チューブを室温で一晩振動台に置いた。次に、ゲルを3xGV{0.1M TRIS/0.15M NaCl pH8.6}及び0.5M HAcで、その後8~10xGVの蒸留水で交互に洗浄した。ゲル試料をアミノ酸分析のために外部の試験所に送り、リガンド含有量(mg/m
lゲル)を全アミノ酸含有量から計算した。
【0089】
タンパク質
Gammanorm165mg/ml(Octapharma)、平衡化緩衝液中2mg/mlに希釈。
【0090】
平衡化緩衝液
PBSリン酸緩衝液10mM+0.14M NaCl+0.0027M KCl、pH7.4(Medicago)
吸着緩衝液
PBSリン酸緩衝液10mM+0.14M NaCl+0.0027M KCl、pH7.4(Medicago)
溶出緩衝液
100mM酢酸塩pH2.9
動的結合能
2mlの樹脂を、TRICORN(商標)5 100カラムに充填した。貫流容量を、AKTAExplorer10システムで滞留時間6分(流量0.33ml/分)で求めた。安定したベースラインが得られるまで平衡化緩衝液をバイパスカラムに流した。これは、オートゼロイングの前に行った。100%UVシグナルが得られるまで試料をカラムに加えた。その後、平衡緩衝液を再び安定したベースラインが得られるまで加えた。
【0091】
UVシグナルが最大吸光度の85%に達するまで試料をカラムに添加した。その後、流量0.5ml/分の5カラム容量(CV)の平衡緩衝液でカラムを洗浄した。タンパク質を5CVの溶出緩衝液で流量0.5ml/分で溶出した。次に、カラムを流量0.2ml/分の0.5M NaOHで洗浄し、平衡化緩衝液で再び平衡化させた。
【0092】
10%の貫流容量の計算には、下の式を使用した。それは、カラム流出液中のIgGの濃度が供給液中のIgG濃度の10%になるまでカラムに添加されるIgGの量である。
【0093】
【数1】
10%貫流での動的結合能(DBC)を計算した。動的結合能(DBC)は、10及び80%貫流について計算した。
【0094】
CIP-0.5M NaOH
10%貫流のDBC(Qb10)は、アルカリ洗浄溶液に繰り返し曝露する前と後に求めた。各々のサイクルには、0.5M NaOHを0.5/分の速度で20分間カラムに通してポンプ送達し、その後カラムを4時間静置するCIP工程が含まれた。曝露は室温(22±2℃)で行った。このインキュベーションの後、カラムを平衡緩衝液で流量0.5ml/分で20分間洗浄した。表4は、6回の4時間サイクル後の残存結合能(すなわち、0.5M NaOHへの累積曝露時間は24時間)を、絶対数で、そして初期能力と比較して表す。
【0095】
実施例5
実施例4を、表5に示される四量体リガンドを用いて、但しCIP工程で0.5Mの代わりに1.0M NaOHを使用して繰り返した。結果を表5及び
図4に示す。
【0096】
表5.カラム-1.0M NaOHで評価した、四量体リガンドを含むマトリックス。
【0097】
【表5】
本記載の説明は、本発明を開示するために、最良の形態を含む、また、当業者が本発明を実践することを可能にするために、装置又はシステムを製造及び使用し、組み込まれた方法を実行することを含む、例を使用している。本発明の特許適格性を有する範囲は、特許請求の範囲に規定され、それには当業者の念頭に浮かぶその他の例が含まれてよい。そのようなその他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの意味と異ならない構造要素を有する場合、又は、それらが特許請求の範囲の文字通りの意味との実質的な差異のない等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあることが意図される。本文で言及した全ての特許及び特許出願は、それらが個別に援用されるかのように、参照によりその全文が本明細書に援用される。
[実施態様1]
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号22、配列番号51又は配列番号52で定義されるか或いは90%以上、例えば95%以上又は98%以上の同一性を有するブドウ球菌プロテインA(SpA)のFc結合ドメインの変異体を含むFc結合ポリペプチドであって、配列番号4~7の11位に対応する位置の少なくともアスパラギン又はセリン残基が、グルタミン酸、リジン、チロシン、トレオニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、メチオニン、バリン、アラニン、ヒスチジン及びアルギニンからなる群から選択されるアミノ酸に変異している、Fc結合ポリペプチド。
[実施態様2]
配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号51又は配列番号52で定義されるか或いは90%以上、例えば95%以上又は98%以上の同一性を有するブドウ球菌プロテインA(SpA)の親Fc結合ドメインの変異体を含む、実施態様1に記載のポリペプチド。
[実施態様3]
配列番号4~7の11位に対応する位置のアミノ酸残基がグルタミン酸である、実施態様1又は2に記載のポリペプチド。
[実施態様4]
配列番号4~7の11位に対応する位置のアミノ酸残基がリジンである、実施態様1乃至3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様5]
配列番号4~7の9位に対応する位置のアミノ酸残基がアラニンである、実施態様1乃至4のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様6]
配列番号4~7の50位に対応する位置のアミノ酸残基がアルギニン又はグルタミン酸、例えばアルギニンなどである、実施態様1乃至5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様7]
配列番号4~7の3位に対応する位置のアミノ酸残基がアラニンである、及び/又は配列番号4~7の6位に対応する位置のアミノ酸残基がアスパラギン酸である、実施態様1乃至6のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様8]
配列番号4~7の3位及び6位に対応する位置のアミノ酸残基の少なくとも1つ、例えば両方がアスパラギンである、実施態様1乃至6のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様9]
配列番号4~7の43位に対応する位置のアミノ酸残基がアラニン又はグルタミン酸、例えばアラニンなどである、実施態様1乃至8のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様10]
配列番号4~7の28位に対応する位置のアミノ酸残基がアラニン又はアスパラギンである、実施態様1乃至9のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様11] 配列番号4~7の40位に対応する位置のアミノ酸残基が、アスパラギン、アラニン、グルタミン酸及びバリンからなる群から選択される、実施態様1乃至10のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様12]
配列番号4~7の42位に対応する位置のアミノ酸残基が、アラニン、リジン又はアルギニン、例えばアルギニンなどである、実施態様1乃至11のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様13]
配列番号4~7の44位に対応する位置のアミノ酸残基が、ロイシン又はイソロイシン、例えばイソロイシンなどである、実施態様1乃至12のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様14]
配列番号4~7の18位に対応する位置のアミノ酸残基が、リジン又はヒスチジン、例えばリジンなどである、実施態様1乃至13のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様15]
配列番号4~7の33位に対応する位置のアミノ酸残基が、リジン又はセリン、例えばリジンなどである、実施態様1乃至14のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様16]
配列番号4~7の37位に対応する位置のアミノ酸残基が、グルタミン酸又はアスパラギン酸、例えばグルタミン酸などである、実施態様1乃至15のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様17]
配列番号4~7の51位に対応する位置のアミノ酸残基が、チロシン又はロイシン、例えばチロシンなどである、実施態様1乃至16のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様18]
配列番号4~7の1、2、3及び4位、又は3、4、5及び6位に対応する位置のアミ
ノ酸残基が欠失している、実施態様1乃至17のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様19]
配列番号7で定義されるZvarの変異体であるポリペプチドであって、9位のアミノ酸残基がアラニンであり、11位のアミノ酸残基がリジン又はグルタミン酸、例えばリジンなどである、実施態様1乃至18のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様20]
43位のアミノ酸残基がアラニン又はグルタミン酸である、実施態様19に記載のポリペプチド。
[実施態様21]
40位のアミノ酸残基がバリンである、実施態様19又は20に記載のポリペプチド。
[実施態様22]
44位のアミノ酸残基がイソロイシンである、実施態様19乃至21のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様23]
変異が、N11K;N11E;N11Y;N11T;N11F;N11L;N11W;N11I;N11M;N11V;N11A;N11H;N11R;N11E、Q32A;N11E、Q32E、Q40E;N11E、Q32E、K50R;Q9A、N11E、N43A;Q9A、N11E、N28A、N43A;Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43E、L44I;Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43A、L44I;N11K、H18K、S33K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R、L51Y;Q9A、N11E、N28A、Q40V、A42K、N43A、L44I;Q9A、N11K、H18K、S33K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R、L51Y;N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I;Q9A、N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I;Q9A、N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R;Q9A、N11K、H18K、D37E、A42R;Q9A、N11E、D37E、Q40V、A42K、N43A、L44I及びQ9A、N11E、D37E、Q40V、A42R、N43A、L44Iからなる群から選択される、実施態様1乃至22のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様24]
変異が、N11K;N11Y;N11F;N11L;N11W;N11I;N11M;N11V;N11A;N11H;N11R;Q9A、N11E、N43A;Q9A、N11E、N28A、N43A;Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43E、L44I;Q9A、N11E、Q40V、A42K、N43A、L44I;Q9A、N11E、N28A、Q40V、A42K、N43A、L44I;N11K、H18K、S33K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R、L51Y;Q9A、N11K、H18K、S33K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50R、L51Y;N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I;Q9A、N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I及びQ9A、N11K、H18K、D37E、A42R、N43A、L44I、K50Rからなる群から選択される、実施態様1乃至22のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様25]
配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49及び配列番号50からなる群から選択される配列を含むか又はそれから本質的になる、実施態様1乃至24のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様26]
配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号16、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28及び配列番号29からなる群から選択される配列を含むか又はそれから本質的になる、実施態様1乃至25のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様27]
配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号16、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号27、配列番号28、配列番号38、配列番号40;配列番号41;配列番号42;配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47及び配列番号48からなる群から選択される配列を含むか又はそれから本質的になる、実施態様1乃至26のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様28]
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6又は配列番号7によって、例えば配列番号7などで定義されるポリペプチドと比較して改善されたアルカリ安定性を有する、実施態様1乃至27のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様29]
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6又は配列番号7によって、例えば配列番号7などで定義される親ポリペプチドと比較して改善されたアルカリ安定性を有する、実施態様1乃至28のいずれか1項に記載のポリペプチド。
[実施態様30]
アルカリ安定性が、22±2℃の0.5M又は1.0M NaOH水溶液中、24又は25時間のインキュベーションの後に残存IgG結合能によって測定して改善されている、実施態様28又は29に記載のポリペプチド。
[実施態様31]
配列番号53で定義されるか或いは90%以上又は95%以上又は98%以上の同一性を有する配列を含むFc結合ポリペプチド。
【0098】
KEX1Q X2AFYEILX3LP NLTEEQRX4X5F IX6X7LKDX8PSX9 SX10X11X12LAEAKX13 X14NDAQAPK(配列番号53)
式中、互いに独立に、
X1=A又はQ
X2=E、K、Y、T、F、L、W、I、M、V、A、H又はR
X3=H又はK
X4=A又はN
X5=A又はG
X6=Q又はE
X7=S又はK
X8=E又はD
X9=Q又はV
X10=K、R又はA
X11=A、E又はN
X12=I又はL
X13=K又はR
X14=L又はY。
[実施態様32]
実施態様1乃至31のいずれか1項に記載の複数のポリペプチドを含むか又はそれから本質的になる多量体。
[実施態様33]
ポリペプチドが、15残基以下のアミノ酸を含むリンカーで連結されている、実施態様32に記載の多量体。
[実施態様34]
二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体又は九量体である、実施態様32又は33に記載の多量体。
[実施態様35]
配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34及び配列番号35で定義される配列の群から選択される配列を含むか又はそれから本質的になる、実施態様32乃至34のいずれか1項に記載の多量体。
[実施態様36]
1以上のシステイン残基、複数のリジン残基及び複数のヒスチジン残基からなる群から選択される、C末端又はN末端の1以上の連結要素の1~5個のアミノ酸残基か又はその範囲内をさらに含む、実施態様1乃至35のいずれか1項に記載のポリペプチド又は多量体。
[実施態様37]
実施態様1乃至36のいずれか1項に記載のポリペプチド又は多量体をコードする核酸又はベクター。
[実施態様38]
実施態様37に記載の核酸又はベクターを含む、発現系。
[実施態様39]
実施態様1乃至36のいずれか1項に記載の複数のポリペプチド又は多量体が固相支持体に結合されている、分離マトリックス。
[実施態様40]
ポリペプチド又は多量体が、チオエーテル結合によって固相支持体に結合されている、実施態様39に記載の分離マトリックス。
[実施態様41]
固相支持体が多糖である、実施態様39又は40に記載の分離マトリックス。
[実施態様42]
22±2℃の0.5M NaOH中での24時間のインキュベーションの後のマトリックスのIgG結合能が、インキュベーションの前のIgG結合能の80%以上、例えば85%以上、90%以上又は95%以上である、実施態様38乃至40のいずれか1項に記載の分離マトリックス。
[実施態様43]
22±2℃の1.0M NaOH中での24インキュベーションの後のマトリックスのIgG結合能が、インキュベーションの前のIgG結合能の70%以上、例えば80%以上又は90%以上である、実施態様39乃至42のいずれか1項に記載の分離マトリックス。
[実施態様44]
免疫グロブリンを単離する方法であって、実施態様39乃至43のいずれか1項に記載の分離マトリックスを使用する方法。
[実施態様45]
a)免疫グロブリンを含む液体試料と、実施態様39乃至43のいずれか1項に記載の分離マトリックスとを接触させる工程と、
b)分離マトリックスを洗浄液で洗浄する工程と、
c)溶出液を用いて分離マトリックスから免疫グロブリンを溶出する工程と、
d)分離マトリックスを清浄液で清浄する工程と
を含む、実施態様44に記載の方法。
[実施態様46]
清浄液がアルカリ性、例えばpHが13~14である、実施態様45に記載の方法。
[実施態様47]
清浄液が0.1~1.0M NaOH又はKOH、例えば0.5~1.0M NaOH又はKOHを含む、実施態様45又は46に記載の方法。
[実施態様48]
工程a)~d)を10回以上、例えば50回以上又は50~200回繰り返す、実施態様44乃至46のいずれか1項に記載の方法。
[実施態様49]
工程a)~c)を10回以上、例えば50回以上又は50~200回繰り返し、工程c)を複数回、例えば10回以上又は50回以上行った後に工程d)を実施する、実施態様44乃至48のいずれか1項に記載の方法。
【配列表】