(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】リフト式フィンガーと止めフィンガーを備える計時器用キャリッジ止め
(51)【国際特許分類】
G04B 17/28 20060101AFI20220127BHJP
【FI】
G04B17/28
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020117504
(22)【出願日】2020-07-08
【審査請求日】2020-07-08
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・イザンベール
(72)【発明者】
【氏名】ベルナト・モンフェルレル
(72)【発明者】
【氏名】ティモテ・ジャンルノー
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-049235(JP,A)
【文献】特開2017-187483(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02871536(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 17/28
G04B 27/00-27/08
G04B 9/00- 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携行型時計(1000)のための計時器用制限デバイス(100)であって、
発振器(200)と、及び空間における前記携行型時計(1000)の異なる姿勢位置における前記発振器(200)のレートの変動を制限する手段とを備え、
当該制限デバイス(100)は、キャリッジ(4)を備える少なくとも1つのツールビヨン(300)又はカルーセルを備え、
前記キャリッジ(4)は
、キャリッジ軸(D)を中心に回転するように取り付けられ、
前記キャリッジ(4)は、前記発振器(200)を担持し、前記携行型時計(1000)又はムーブメント(800)のエネルギー源(400)によって駆動されるように構成しているキャリッジ車(6)を備え、
前記キャリッジ(4)は、前記発振器(200)と係合するように構成
され、かつテンプ、アンクルおよびガンギ車を備えるエスケープ
メント機構(700)を担持し、
前記デバイス(100)は、前記発振器(200)を止めることができ、かつ前記ツールビヨン(300)又は前記カルーセルの外側の制御メンバーと係合するように構成している制御ロッド(3)を備え、
前記制御メンバーを通じて前記制御ロッド(3)を動かすことによって、
リフト用フィンガー(10)を第1の弾性戻し手段(
10)に対抗して前記キャリッジ軸(D)の方向に
おける軸方向に押してアクティブなブロック位置にし、この第1の弾性戻し手段(
10)は、前記キャリッジ軸(D)の方向に
おける停滞位置へ前記リフト用フィンガー(9)を軸方向に
戻すための弾性力を発生し、前記停滞位置においては、前記リフト用フィンガー(9)が前記キャリッジ車(6)
の回転を止めるようにこれを
保持し、
前記リフト用フィンガー(9)には、第2の弾性戻し手段(12)に対抗して前記キャリッジ軸(D)を中心とする半径方向に止めフィンガー(11)を斥けるように構成しているランプ(99)があり、前記第2の弾性戻し手段(12
)は、前記止めフィンガー(11)を前記キャリッジ軸(D)から半径方向に離す
ための弾性力を発生し、
前記止めフィンガー(11)は、前記リフト用フィンガー(9)がその停滞位置にあるときに前記キャリッジ軸(D)から最も遠くに位置する半径方向の位置にあり、
前記止めフィンガー(11)は、前記リフト用フィンガー(9)をブロックしている前記アクティブ位置においては、前記発振器(200)の車セットと一体化された止めカム(14)と干渉し、前記止めカム(14)をブロックして前記発振器(200)の死点位置から離れた角位置にするように構成している
ことを特徴とする制限デバイス(100)。
【請求項2】
前記制限デバイス(100)は、前記制御メンバーを構成しており又は制御する針セット手段(500)を備え、
前記制御メンバーは、前記針セット手段(500)が停滞位置T1からアクティブ位置T2へと移行する際に前記制御ロッド(3)を第1の発動方向に動かし、また、前記針セット手段(500)が前記アクティブ位置T2から前記停滞位置T1へと移行する際に前記制御ロッド(3)を前記第1の方向とは反対の第2の方向に動かすように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の制限デバイス(100)。
【請求項3】
前記止めフィンガー(11)は、
長孔として構成されたオブロング穴構造(111)とピン(112)との係合によって、前記キャリッジ軸(D)を中心とする半径方向に、前記キャリッジ(4)に備えられる下側キャリッジブリッジ(7)上にてガイドされるフォーク(110)の遠位端を構成しており、
前記ピン(112)が前記下側キャリッジブリッジ(7)と一体化されており前記オブロング穴構造(111)が前記フォーク(110)と一体化されており、又は
前記オブロング穴構造(111)が前記下側キャリッジブリッジ(7)と一体化されており前記ピン(112)が前記フォーク(110)と一体化されている
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の制限デバイス(100)。
【請求項4】
前記止めフィンガー(11)には、その前記止めカム(14)との接触面に、先端部(113)又はテーパー面がある
ことを特徴とする請求項1
から3のいずれか一項に記載の制限デバイス(100)。
【請求項5】
前記止めカム(14)には、その前記止めフィンガー(11)との接触面に、先端部(143)又はテーパー面がある
ことを特徴とする請求項1
から3のいずれか一項に記載の制限デバイス(100)。
【請求項6】
前記発振器(200)は、ばね仕掛けバランスアセンブリーである
ことを特徴とする請求項1
から5のいずれか一項に記載の制限デバイス(100)。
【請求項7】
エネルギー格納手段(400)と、発振器(200)と、針セット手段(500)と、及び前記発振器(200)を備える請求項1
から6のいずれか一項に記載の制限デバイス(100)とを備える計時器用ムーブメント(800)を備える携行型時計(1000)であって、
前記ツールビヨン(300)又はカルーセルは、前記携行型時計(1000)の表示メンバーを構成しており、又は前記携行型時計(1000)の少なくとも1つの表示メンバーを駆動するように構成しており、
前記針セット手段(500)は、前記制御メンバーを構成しており又は制御する
ことを特徴とする携行型時計(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携行型時計(例、腕時計、懐中時計)のための計時器用調整デバイスであって、発振器を備え、空間における前記携行型時計の異なる姿勢位置における前記発振器のレートの変動を制限する手段を備えるものに関する。当該制限デバイスは、キャリッジを備える少なくとも1つのツールビヨン又はカルーセルを備え、前記キャリッジは、当該制限デバイスがツールビヨンを備える場合に固定車を担持する、プレートに対してキャリッジ軸を中心に回転するように取り付けられる。前記キャリッジは、前記発振器を担持し、前記携行型時計又はムーブメントのエネルギー源によってギヤ列を介して駆動されるように構成しているキャリッジ車を備える。前記キャリッジは、前記発振器と係合するように構成しておりエスケープピニオンを備えるエスケープ機構を担持する。このエスケープピニオンは、制限デバイスがツールビヨンを備える場合には固定車と噛み合い、制限デバイスがカルーセルを備える場合には前記ギヤ列に備えられる第3の車又は第4の車と噛み合う。
【0002】
本発明は、さらに、エネルギー格納手段、発振器、針セット手段及び前記制限デバイスを備える計時器用ムーブメントを備える携行型時計に関する。
【0003】
本発明は、クロノメーター的な正確さが高い機械式携行型時計の分野に関し、これは、ツールビヨン又はカルーセル、及び携行型時計の状態を正確に調整するように構成しているいわゆる秒止めないしキャリッジ止め機構を備える。
【背景技術】
【0004】
HEPTINSTALLによる英国特許BR674764は、バランスをブロックするためのばねフィンガーを開示している。
【0005】
MONTRES BREGUETによる欧州特許EP1617305B1は、バランスをブロックするためのパッドレバーをステムを介して手動で止めるための制御を開示している。
【0006】
CHOPARDによる欧州特許EP2787400B1は、キャリッジとともに回転するように一体化された止め要素を開示しており、この止め要素は、このキャリッジと同軸のディスクであり、バランスとの軸方向の摩擦のために軸方向に変位する。
【0007】
FREDERIC PIGUETによる欧州特許EP2085832B1は、クラッチばねの軸方向の影響の下で、駆動プレートの円筒面における星形アームの端部にクラッチ要素を半径方向に配置することによって動作する摩擦クラッチ機構を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、針をセットするときにツールビヨン又はカルーセルのキャリッジを止めて、携行型時計を最も近い秒に調整することを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、請求項1に記載された、携行型時計が備える発振器のレートの変動を制限するための計時器用制限デバイスに関する。
【0010】
本発明は、さらに、エネルギー格納手段、発振器、針セット手段及び前記制限デバイスを備える計時器用ムーブメントを備える携行型時計に関する。
【0011】
添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴及び利点を明確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】発振器のレートの変動を制限するための計時器用制限デバイスについての部分的な斜視図である。この発振器は、この場合はばね仕掛けバランス発振器であり、ツールビヨンのキャリッジによって担持され、このキャリッジは、これによって駆動されるキャリッジ車と一体化されている。発振器は、下側キャリッジブリッジと上側キャリッジブリッジの間で回転する。制限デバイスは、この場合は巻き及び設定ステムによって形成される、携行型時計の制御メンバーによって動かされる係合ロッドによって制御される止め機構を備える。この係合ロッドは、キャリッジ軸を中心として半径方向に押し機構を動かすように構成しており、この押し機構は、係合ロッドの経路に垂直な経路を動き第1のばねによって呼び出されるリフト式フィンガーを備える。これは、これに垂直な止めフィンガーを第2のばねに対抗して操作するように構成している。
図1は、ユーザーが通常見る側とは反対側の下側から見たアセンブリーを示している。係合ロッドは、止めフィンガーが発振器の動作を妨げない停滞位置にある。
【
図2】キャリッジブリッジ、バランスフェロー、バランスばね(図示せず)を備える
図1の機構についての部分的な上方から見た斜視図である。係合ロッド、リフト用フィンガーとその第1のばね、止めフィンガーとその第2のばね、及び止めカムと一体化されたバランスダブルローラーのみを示しており、この止めカムと止めフィンガーが係合して発振器をブロックする。
【
図3】制御ロッド、引き出し部品、係合ロッド、及びリフト用フィンガーの下端を担持している携行型時計のプレートを下から見た部分的な平面図である。
【
図4】停滞位置における前記押し機構全体のキャリッジ軸を通る断面の図である。
【
図5】停滞位置における同じ機構についての上側から見た部分的な斜視図であり、止めカムから離れて位置しており止めカムと干渉することがない止めフィンガーを示している。この位置は、
図4に示しているリフト用フィンガーの最も低い位置に対応するものである。
【
図6】アクティブ位置にある同じ機構についての
図4と同様な図であり、この一においては、リフト用フィンガーが持ち上げられ、その傾斜が止めフィンガーをキャリッジ軸の方へと斥けて、止めカムをブロックする。
【
図7】アクティブ位置にある制御ロッドを備える同じ機構についての
図5と同様な図であり、止めフィンガーが止めカムをブロックしている。
【
図8】停滞位置T1におけるリフト用フィンガーと止めフィンガーの係合の特徴を示している上から見た平面図である。
【
図9】アクティブ位置T2におけるリフト用フィンガーと止めフィンガーの係合の特徴を示している上から見た平面図である。
【
図10】エネルギー格納手段、発振器、針セット手段及び前記制限デバイスを備える計時器用ムーブメントを備える携行型時計を示しているブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、クロノメーター的性能レベルが高い機械式携行型時計の分野に関する。
【0014】
携行型時計1000の姿勢位置の影響を受けないようにすることを改善する既知の多くの方法は、発振器200を備える計時器用制限デバイス100を備えることを伴い、これは、空間における携行型時計1000の異なる姿勢位置において、この発振器200のレートの変動を制限する手段を備える。
【0015】
このデバイス100は、少なくとも1つのツールビヨン300又はカルーセルを備え、これはいずれの場合も、プレート900に対してキャリッジ軸Dのまわりを回転するように取り付けられるキャリッジ4を備える。
【0016】
このプレート900は、制限デバイス100がツールビヨン300を備える場合に固定車210を担持する。
【0017】
キャリッジ4は、発振器200を担持し、携行型時計1000又は携行型時計が備えるムーブメント800のエネルギー源400によってギヤ列を介して駆動されるように構成しているキャリッジ車6を備える。このエネルギー源400は、特に、少なくとも1つのバレル又は同様の要素を備えることができる。
【0018】
また、キャリッジ4は、さらに、発振器200と係合するように構成しておりエスケープピニオン201を備えるエスケープ機構700を担持している。
【0019】
キャリッジ4は、下側ブリッジ7と上側ブリッジ8を備える。上側キャリッジブリッジ8は、発振器200とエスケープ機構700と、本発明に係る機構の両方を保護する。
【0020】
このエスケープピニオン201は、制限デバイス100がツールビヨンを備える場合には固定車210と噛み合い、制限デバイス100がカルーセルを備える場合には第3の車又は第4の車と噛み合う。
【0021】
本発明に係る機構によって、針をセットするときにカルーセルまたはツールビヨンのキャリッジを止めることができる。
【0022】
本発明によれば、デバイス100は、発振器200を止めることができ、ツールビヨン300又はカルーセルの外側の制御メンバーと係合するように構成している制御ロッド3を備える。
【0023】
この制御ロッド3は、キャリッジ軸Dの方向にリフト用フィンガー9を軸方向に押してアクティブなブロック位置にするように構成している。制御ロッド3によって与えられるこの押し力は、第1の弾性戻し手段90に対抗してこのリフト用フィンガー9に加えられる。この第1の弾性戻し手段90には、リフト用フィンガー9を軸方向の停滞位置にキャリッジ軸Dの方向に軸方向に戻す傾向がある。この停滞位置においては、リフト用フィンガー9がキャリッジ車6を支持する。
【0024】
特に、第1の弾性戻し手段90は、スタンピング又は同様の技術によって切断された薄板プレートである。
【0025】
特に、制御ロッド3には、リフト用フィンガー部9と係合するように構成している押し面39があり、この押し面39は、キャリッジ軸Dに対して実質的に直交する面であり又は緩やかに傾斜している面であり、これによって、リフト用フィンガー9の下での挿入を容易にしている。特に、この押し面39と係合するリフト用フィンガー9の端部は、局所的に球の形になっており又は丸まっている。
【0026】
このリフト用フィンガー9には、第2の弾性戻し手段12に対抗してキャリッジ軸Dを中心とする半径方向に止めフィンガー11を斥けるように構成しているランプ99がある。この第2の弾性戻し手段12には、この止めフィンガー11をキャリッジ軸Dから半径方向に離す傾向がある。
【0027】
具体的には、第2の弾性戻し手段12は、下側キャリッジブリッジ7に固定され、実質的に円形の開いたばねであり、これによって、キャリッジ軸Dのまわりの軸方向の空間、特に、バランスピボット、バランスダブルローラー、バランス又は同様の要素を収容するための空間、を自由にする。
【0028】
この止めフィンガー11は、リフト用フィンガー9がその停滞位置にあるときにキャリッジ軸Dから最も遠くに位置する半径方向の位置にある。
【0029】
本発明によれば、リフト用フィンガー9をブロックするアクティブ位置において、止めフィンガー11は、発振器200の車セットと一体化された止めカム14と干渉し、そして、この止めカム14をブロックして発振器200の死点位置から離れた角位置にするように構成している。
【0030】
特に、止めフィンガー11は、オブロング穴構造111とピン112の係合によってキャリッジ軸Dを中心とする半径方向に下側キャリッジブリッジ7上にてガイドされるフォーク110の遠位端を構成しており、このオブロング穴構造111とピン112は、後者が下側ブリッジ7と一体化されていて前者がフォーク110と一体化されていたり、この逆となったりしている。
【0031】
特に、止めフィンガー11には、その止めカム14との接触面に、先端部113又はテーパー面がある。
【0032】
特に、止めカム14には、その止めフィンガー11との接触面に、先端部143又はテーパー面がある。
【0033】
特に、デバイス100は、制御メンバーを構成しており又は制御する針セット手段500を備え、この制御メンバーは、針セット手段500が停滞位置T1からアクティブ位置T2へと移行する際に係合ロッド3を第1の発動方向に動かし、また、針セット手段500がアクティブ位置T2から停滞位置T1へと移行する際に係合ロッド3を第1の方向とは反対の第2の方向に動かすように構成している。
【0034】
代替的な実施形態において、制御ロッド3は、さらに、外側の制御メンバーの影響下で、弾性細長材66をキャリッジ軸Dを中心とする実質的に半径方向に押すように構成している。この弾性細長材66は、制御メンバーが停滞位置からアクティブ位置へと移行するときにキャリッジ4を止めるようにキャリッジ車6に対して実質的に接線方向に支持し、また、制御メンバーが停滞位置にあるときにキャリッジ車6から離れているようにとどまるように構成している。
【0035】
特に、制御ロッド3は、第1のトラベルコースにて発振器の車セットをブロックし、次いで第2のトラベルコースにてキャリッジをブロックするように、又はこの逆に構成している。
【0036】
特に、弾性細長材66は、第1の弾性戻し手段90よりもフレキシブルであり、さらに、第2の弾性戻し手段12よりもフレキシブルである。
【0037】
特に、発振器200は、ばね仕掛けバランスアセンブリーである。
【0038】
本発明は、さらに、エネルギー格納手段400、発振器200、針セット手段500及び前記制限デバイス100を備える計時器用ムーブメント800を備える携行型時計1000に関する。
【0039】
特に、ツールビヨン300又はカルーセルは、携行型時計1000の表示メンバーを構成しており、又は携行型時計1000の少なくとも1つの表示メンバーを駆動するように構成しており、針セット手段500は、制御メンバーを構成しており又は制御する。
【0040】
図面に示している代替的な実施形態(これに限定されない)において、針セット手段500は、制御メンバーを構成しており又は制御し、伝統的な巻き及び設定ステム1を備え、機構は、特に、引き出し部品2、制御ロッド3、ツールビヨンキャリッジ4、ツールビヨンベアリング5、キャリッジ車6、下側ツールビヨンブリッジ7、上側ツールビヨンブリッジ8、リフト用フィンガー9、リフト用フィンガー薄板プレート10、止めフィンガー11、止めフィンガーばね12、ばね仕掛けバランス13、止めカム14、及びバランスのダブルローラー15を備える。
【0041】
動作原理は以下の通りである。
【0042】
- 位置T1において、機構は次のような状態にある。制御ロッド3は、引き出し部品2によって適切な位置に保持される。ツールビヨンでは、リフト用フィンガー9が停滞位置にあり、リフト用フィンガー薄板プレート10によってツービロンキャリッジ車6に押し付けられる。止めフィンガー11は、下側ツールビヨンブリッジ7上の停滞位置にあり、止めフィンガーばね12によってリフト用フィンガー9に押し付けられる。ばね仕掛けバランス13は、上側ツールビヨンブリッジ8と下側ツールビヨンブリッジ7の間で自由に振動する。
【0043】
- 位置T2において、機構は次のような状態にある。巻きステム1は引き出され、それとともに引き出し部品2を駆動する。引き出し部品2は、制御ロッド3を変位させ、これは、リフト用フィンガー9と接触し、リフト用フィンガー9を持ち上げる。リフト用フィンガー9は、ツールビヨンキャリッジ車6の内側でガイドされる。リフト用フィンガー9は、持ち上がるときに、下側ツールビヨンブリッジ7に当接するようにリフト用フィンガー薄板プレート10を圧縮し、止めフィンガー11を前方に押す。次に、この止めフィンガー11は、ばね仕掛けバランス13の円形軌道に入り、バランスと一体化された止めカム14を用いて、バランスの運動を止めてダブルローラー15の死点領域から外れた好ましい位置にする。このことによって、T2からT1へと移行するときに発振器200が再始動されることが確実になる。止めフィンガーばね12には、止めフィンガー11をリフト用フィンガー9に押し付ける傾向があり、このことによって、T2からT1へと移行するときに止めフィンガー12がその位置に戻ることを確実にする。
【0044】
このシステムは、針をセットするときにツールビヨン又はカルーセルを止めるように設計されている。
【0045】
このシステムは、キャリッジを止めるのに十分な圧力を与える細長材ばねを備えるキャリッジ車に対向するように配置される。
【0046】
概説すると、本発明は、以下を可能にする。
- ツールビヨン又はカルーセルのキャリッジを即座に止める。
- 時刻を最も近い秒に設定する。
- 時間を設定した後に発振器の再始動を確実にする。
【0047】
また、このシステムは、制御ロッドを除いて、実質的にツールビヨンキャリッジ内にて搭載され、このことによって、ムーブメント内に空間を作る。
【0048】
この機構はコンパクトであり、製造には伝統的な技術しか必要とせず、したがって、低コストである。
【符号の説明】
【0049】
3 制御ロッド
4 キャリッジ
6 キャリッジ車
7 下側キャリッジブリッジ
9 リフト用フィンガー
11 止めフィンガー
12 第2の弾性戻し手段
14 止めカム
90 第1の弾性戻し手段
99 ランプ
100 制限デバイス
110 フォーク
111 オブロング穴構造
112 ピン
113、143 先端部
200 発振器
201 中間エスケープピニオン
210 固定車
300 ツールビヨン
400 エネルギー源
500 針セット手段
700 エスケープ機構
800 ムーブメント
900 プレート
1000 携行型時計