(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】携帯型電子機器
(51)【国際特許分類】
G04G 21/02 20100101AFI20220127BHJP
G04G 21/04 20130101ALI20220127BHJP
【FI】
G04G21/02 Z
G04G21/04
(21)【出願番号】P 2020194906
(22)【出願日】2020-11-25
(62)【分割の表示】P 2020004181の分割
【原出願日】2020-01-15
【審査請求日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2019035663
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】松王 大輔
(72)【発明者】
【氏名】植村 隆太郎
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-016578(JP,A)
【文献】特開2004-165755(JP,A)
【文献】特開2014-155030(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0162598(US,A1)
【文献】特開2018-155609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部と、
前記通信部とユーザが使用する外部機器との間のペアリングが実行された際の前記通信部と前記外部機器とのペアリング情報およびユーザのプロファイル情報を記憶する記憶部と、
物理量を検出するセンサと、
前記センサに対する電力供給を制御する制御部と、
を備え、
前記プロファイル情報は、ユーザの活動量を算出するためのユーザの身体情報であり、
ユーザによって前記ペアリング情報を消去する操作がなされると、前記ペアリング情報および前記プロファイル情報を前記記憶部から消去
し、かつ、次に少なくとも前記ペアリング情報が前記記憶部に記憶されるまで、前記センサに対する電力供給を禁止する
ことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
前記プロファイル情報は、前記通信部と前記外部機器との無線通信によって取得される
請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
前記センサは、加速度の大きさに応じた振幅の信号を出力する加速度センサであり、
前記制御部は、前記センサから出力される前記信号の振幅が所定値を下回っている状態が所定期間継続すると、前記センサに対する電力供給を停止させる
請求項
1または2に記載の携帯型電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、活動量を算出する測定端末がある。特許文献1には、使用者の体動を検出する体動検出部と、外部装置と通信して使用者の個人データを受信し、計測または算出されたデータを送信する通信部と、使用者の個人データと、計測または算出されたデータを記憶する記憶部と、上記体動検出部の検出結果および上記記憶部のデータを基に、所定の演算を行なう演算部を備える活動量測定端末が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、活動量を検出する携帯型電子機器において、消費電力を低減できることが望ましい。例えば、携帯型電子機器が出荷されてからユーザが携帯型電子機器の使用を開始するまでの期間において、活動量に関する物理量を検出するセンサの電力消費を抑制できることが好ましい。
【0005】
本発明の目的は、活動量に関する物理量を検出するセンサの電力消費を抑制できる携帯型電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯型電子機器は、通信部と、前記通信部とユーザが使用する外部機器との間のペアリングが実行された際の前記通信部と前記外部機器とのペアリング情報およびユーザのプロファイル情報を記憶する記憶部と、を備え、ユーザによって前記ペアリング情報を消去する操作がなされると、前記ペアリング情報および前記プロファイル情報を前記記憶部から消去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る携帯型電子機器は、通信部と、通信部とユーザが使用する外部機器との間のペアリングが実行された際の通信部と外部機器とのペアリング情報およびユーザのプロファイル情報を記憶する記憶部と、を備え、ユーザによってペアリング情報を消去する操作がなされると、ペアリング情報およびプロファイル情報を記憶部から消去する。本発明に係る携帯型電子機器によれば、センサの電力消費を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る携帯型電子機器を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る携帯型電子機器のブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態においてセンサに対する電力供給が許可されるまでの流れの第一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態においてセンサに対する電力供給が許可されるまでの流れの第二例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の第1変形例に係る加速度センサを示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態の第2変形例に係る携帯型電子機器のブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態の第2変形例に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る携帯型電子機器につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から
図4を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、携帯型電子機器に関する。
図1は、実施形態に係る携帯型電子機器を示す図、
図2は、実施形態に係る携帯型電子機器のブロック図、
図3は、実施形態においてセンサに対する電力供給が許可されるまでの流れの第一例を示す図、
図4は、実施形態においてセンサに対する電力供給が許可されるまでの流れの第二例を示す図である。
【0011】
図1に示す電子時計1は、実施形態に係る携帯型電子機器の一例である。電子時計1は、外部機器3との間で無線通信を行う機能、およびユーザの活動量を算出する機能を有する。電子時計1は、
図1に示すように、アナログ表示部26および外装ケース29を有する。外装ケース29は、ケース本体29eおよび四つのかん29a~29dを有する。ケース本体29eの形状は、環状であり、例えば、円筒形状である。かん29a~29dは、ケース本体29eの外周面から突出している。
【0012】
アナログ表示部26は、ケース本体29eの内部空間に収容されている。アナログ表示部26は、文字板26a、秒針26b、分針26c、時針26d、および日板26eを有する。ケース本体29eには、リューズ27が配置されている。リューズ27の端部は、ケース本体29eの側面から突出している。
【0013】
図2に示すように、電子時計1は、更に、通信部22、制御部23、電源部24、駆動機構25、および記憶部28を有する。通信部22は、アンテナ21、通信モジュール22a、および変換部22bを有する。アンテナ21は、近距離無線通信の電波を送受信する。アンテナ21は、通信モジュール22aと接続されている。通信モジュール22aは、外部機器3との間で近距離無線通信を行う通信制御モジュールである。通信モジュール22aは、例えば、Bluetooth(登録商標)のプロトコルによって外部機器3と通信する。変換部22bは、シリアル信号をパラレル信号に変換、あるいはパラレル信号をシリアル信号に変換する。
【0014】
制御部23は、電子時計1の各種の回路や機構を制御する。制御部23は、マイクロコントローラ23a、モータ駆動回路23b、不揮発性メモリ23c、およびRTC(Real Time Clock)23dを有する。マイクロコントローラ23aは、演算部23e、RAM(Random Access Memory)23f、およびROM(Read Only Memory)23gを有する。
【0015】
演算部23eは、ROM23gに格納されたプログラムに従って各種の情報処理を行う。演算部23eは、例えば、RTC23dから出力されるクロック信号に基づいて電子時計1の内部時刻を算出する。また、本実施形態の演算部23eは、後述するように、加速度センサ4の検出結果に基づいてユーザの活動量を算出する。RAM23fは、演算部23eのワークメモリとして機能する。RAM23fには、演算部23eの処理対象となる情報が書き込まれる。
【0016】
モータ駆動回路23bは、時計内部時刻に基づいて駆動機構25を制御する。不揮発性メモリ23cは、電源部24から制御部23に対して電力が供給されていない場合や、電子時計1を再起動する場合に情報を保持するメモリである。不揮発性メモリ23cには、例えば、演算部23eによって算出された活動量のデータが記録される。
【0017】
電源部24は、電子時計1の動力源である。電源部24は、通信部22、制御部23、駆動機構25等に対して電力を供給する。電源部24は、発電回路24a、バッテリ24b、および電圧検出回路24cを有する。発電回路24aは、ソーラーセル等の発電機構であり、発電した電力をバッテリ24bに蓄電する。バッテリ24bは、充放電可能な二次電池である。電圧検出回路24cは、バッテリ24bの電圧を検出する回路である。電圧検出回路24cの検出結果は、マイクロコントローラ23aに出力される。
【0018】
本実施形態の駆動機構25は、三つのステップモータ25a,25b,25cを有する。ステップモータ25aは、秒針26bを運針させるモータである。ステップモータ25bは、分針26cおよび時針26dを運針させるモータである。ステップモータ25cは、日板26eを回転させるモータである。ステップモータ25a,25b,25cは、モータ駆動回路23bから出力される駆動信号によって駆動される。
【0019】
記憶部28は、ペアリング情報やユーザのプロファイル情報を記憶する記憶装置である。ペアリング情報は、通信部22と外部機器3との間のペアリングに関する情報であり、例えば、ペアリング用のパスキーを含む。ユーザのプロファイル情報は、例えば、ユーザの身長および体重を含む。記憶部28は、例えば、フラッシュメモリやEEPROM等の不揮発性メモリである。
【0020】
本実施形態の電子時計1は、加速度センサ4および傾斜スイッチ5を有する。加速度センサ4は、電子時計1の加速度を検出するセンサである。加速度センサ4は、例えば、電子時計1の三次元の加速度を検出する。加速度センサ4は、検出した加速度の大きさに応じた振幅の信号を出力する。例えば、加速度センサ4が出力する信号の振幅は、検出した加速度の絶対値が大きいほど大きな振幅となる。
【0021】
傾斜スイッチ5は、電子時計1の姿勢の変化を検出するセンサである。傾斜スイッチ5は、電子時計1の傾斜角度の変化に応じてオン状態からオフ状態に、またはオフ状態からオン状態に切り替わる。加速度センサ4および傾斜スイッチ5の検出結果は、制御部23に出力される。加速度センサ4および傾斜スイッチ5は、電源部24から供給される電力によって動作する。
【0022】
図1に示す外部機器3は、電子時計1のユーザが所有する機器であり、ユーザによって使用される。外部機器3は、典型的には、スマートフォン等の携帯型の端末機器である。外部機器3は、近距離無線通信を実行する機能を有する。また、外部機器3は、インターネット網100を介して外部サーバ200と通信する機能を有する。外部機器3は、筐体31およびタッチパネル32を有する。タッチパネル32は、画像表示面に重畳されている。ユーザは、タッチパネル32に対する入力動作によって外部機器3を操作することができる。
【0023】
ユーザは、電子時計1と外部機器3との無線通信を初めて行う場合、電子時計1を外部機器3とペアリングさせる。ペアリングが実行された後は、電子時計1と外部機器3とが自動的に無線通信を開始することが可能となる。ユーザは、電子時計1を外部機器3とペアリングさせる場合、電子時計1に対してペアリング開始操作を行う。ペアリング開始操作は、例えば、リューズ27に対する所定の操作である。また、ユーザは、外部機器3に対してペアリング開始操作を行う。外部機器3に対するペアリング開始操作は、例えば、タッチパネル32を介して行われる。
【0024】
実施形態の外部機器3は、活動量管理アプリケーションを実行することができる。活動量管理アプリケーションは、電子時計1によって算出されたユーザの活動量を記憶して管理するためのアプリケーションである。外部機器3は、無線通信によって電子時計1からユーザの活動量データを取得する。外部機器3におけるペアリングは、活動量管理アプリケーションによって実行されてもよい。
【0025】
電子時計1の制御部23は、ユーザによってペアリング開始操作がなされると、通信部22にペアリング動作を実行させる。通信部22は、予め定められた手順に沿って外部機器3とペアリングを行う。通信部22は、例えば、認証コードを用いてペアリング認証動作を行い、外部機器3との間で通信リンクを確立させる。例えば、通信部22は、ペアリング認証の後に、共通コード(例えば、リンクキー)を形成して通信リンクを形成する。通信部22は、外部機器3との通信リンクが形成されると、ペアリングが完了した旨を制御部23に通知する。
【0026】
ペアリング完了の通知を受けた制御部23は、通信部22と外部機器3とのペアリング情報を通信部22から取得する。ペアリング情報には、例えば、外部機器3の識別情報およびリンクキーが含まれる。制御部23は、取得したペアリング情報を記憶部28に記録する。次回からの通信部22と外部機器3との通信リンクの形成は、記憶部28に記録されているペアリング情報に基づいてなされる。つまり、記憶部28にペアリング情報が記録されていれば、通信部22は外部機器3との間で通信リンクを形成して通信を開始することができる。制御部23は、通信部22と外部機器3との通信リンクが形成されていない場合、記憶部28に記録されているペアリング情報に基づいて、通信部22に外部機器3との通信リンクを形成させる。制御部23は、通信リンクの形成が成功しなかった場合、通信リンクの形成に成功するまで定期的に通信リンクの形成を試みる。
【0027】
バッテリ24bから加速度センサ4に対する電力供給は、制御部23によって制御される。制御部23は、更に、バッテリ24bから傾斜スイッチ5に対する電力供給を制御することができる。
【0028】
本実施形態の制御部23は、加速度センサ4の検出結果に基づいてユーザの活動量を算出する。ユーザの活動量には、例えば、ユーザの歩行歩数やユーザの消費カロリーが含まれる。活動量のうち、消費カロリーは、加速度センサ4の検出結果に加えてユーザのプロファイル情報に基づいて算出される。ユーザのプロファイル情報は、ユーザの身長および体重を含む。一方、ユーザの歩行歩数は、プロファイル情報を参照しなくても算出可能である。本実施形態の電子時計1は、外部機器3から無線通信によってユーザのプロファイル情報を取得するように構成されている。電子時計1は、取得したプロファイル情報を記憶部28に記録すると共に、取得したプロファイル情報に基づいてユーザの活動量を算出する。従って、電子時計1は、外部機器3からプロファイル情報を取得するまでの間は、プロファイル情報が必要な活動量を算出することができない。
【0029】
本実施形態の電子時計1は、以下に説明するように、所定の許可条件が成立している場合に加速度センサ4に対する電力供給を許可する。これにより、本実施形態の電子時計1は、加速度センサ4に対する不要な電力供給を抑制し、加速度センサ4による電力消費を低減することができる。
【0030】
本実施形態の許可条件には、外部機器3とのペアリング情報が記憶部28に記録されているという条件を含む。言い換えると、制御部23は、電子時計1と外部機器3とのペアリングが既になされていることを許可条件の一つとして加速度センサ4に対する電力供給を許可する。これにより、例えば、電子時計1が出荷されてからユーザが電子時計1の使用を開始するまでの間の加速度センサ4の電力消費が抑制される。
【0031】
また、本実施形態の許可条件は、ユーザのプロファイル情報が記憶部28に記録されていることを含む。すなわち、制御部23は、ユーザのプロファイル情報を取得済みであることを許可条件の一つとして加速度センサ4に対する電力供給を許可する。これにより、例えば、電子時計1が適切に活動量を算出できるようになるまでの間の加速度センサ4の電力消費が抑制される。
【0032】
図3を参照して、加速度センサ4に対する電力供給が許可されるまでの流れの一例について説明する。
(1)工場出荷状態における電子時計1は、ペアリング情報およびプロファイル情報を有していない。すなわち、工場出荷時には、記憶部28にペアリング情報およびユーザのプロファイル情報は記録されていない。
(2)ユーザは、外部機器3のアプリケーションにおいて、ユーザのプロファイル情報を入力する。
図3の例では、ペアリングが実行されるよりも前にプロファイル情報の入力がなされる。
(3)外部機器3のアプリケーションは、外部サーバ200にプロファイル情報を送信する。外部サーバ200は、受信したプロファイル情報を記憶装置等に格納する。
【0033】
(4)ユーザは、電子時計1を外部機器3と初めて通信させる場合、電子時計1および外部機器3のそれぞれに対してペアリング開始操作を行い、ペアリングを実行させる。
(5)制御部23は、ペアリング情報を記憶部28に記録する。
(6)制御部23は、ペアリング情報が記憶部28に記録されると、加速度センサ4に対する電力供給を許可する。加速度センサ4に対して電力が供給されることで、ユーザプロファイルが不要な活動量を算出可能となる。
(7)電子時計1は、ペアリング情報に基づいて外部機器3との通信リンクを形成すると、外部機器3に対してプロファイル情報を要求する。
(8)外部機器3は、電子時計1に対してプロファイル情報を送信する。
(9)電子時計1は、受信したプロファイル情報を記憶部28に記録する。プロファイル情報が取得されたことにより、ユーザプロファイルが必要な活動量を算出可能となる。
【0034】
本実施形態の電子時計1は、上記のような電力供給制御を行うことで、電子時計1における不要な電力消費を抑制することができる。例えば、工場出荷状態の電子時計1では、記憶部28にペアリング情報およびプロファイル情報の何れも記録されていない。従って、制御部23は、加速度センサ4に対する電力供給を許可しない。その結果、加速度センサ4による電力消費が抑えられ、電子時計1における消費電力が低減される。
【0035】
また、工場出荷状態において加速度センサ4が動作しないことで、無用な活動量データが算出されなくなる。例えば、電子時計1が出荷されてからユーザの手に渡るまでの間に加速度センサ4が動作していると、ユーザとは関係のない活動量データが生成され、電子時計1に蓄積されてしまう。更に、電子時計1と外部機器3とのペアリングがなされると、蓄積された無用な活動量データが外部機器3に送信されてしまう。これに対して、本実施形態の電子時計1では、無用な活動量データが生成されなくなる。
【0036】
なお、電子時計1が出荷される前には加速度センサ4について工場検査が行われる。工場検査では、以下に説明するように、加速度センサ4に対する電力供給が一時的に許可される。工場検査が実行される場合、電子時計1のモードがテストモードとされる。テストモードでは、ペアリング情報やプロファイル情報が記憶部28に記録されていなくても加速度センサ4に対する電力供給が許可される。加速度センサ4以外にユーザの活動量に関する物理量を検出するセンサが電子時計1に搭載されている場合、それらのセンサについても同様に電力供給が許可され、検査が可能となる。
【0037】
工場検査が行われる場合、検査用のペアリング情報やプロファイル情報が記憶部28に記録されてもよい。検査用のペアリング情報やプロファイル情報が記録されることで、加速度センサ4に対する電力供給が許可される。加速度センサ4以外にユーザの活動量に関する物理量を検出するセンサが電子時計1に搭載されている場合、それらのセンサについても同様に電力供給が許可され、検査が可能となる。工場検査が完了すると、検査用のペアリング情報やプロファイル情報が記憶部28から消去される。
【0038】
なお、
図3の例ではペアリングが実行される前にユーザプロファイルが入力されるが、必ずしもペアリングの実行前にプロファイル情報の入力がなされている必要はない。ユーザは、ユーザプロファイルが必要な活動量の算出を行う必要が生じた際に、ユーザプロファイルを登録し、電子時計1に格納する処理を行ってもよい。
【0039】
図4を参照して、加速度センサ4に対する電力供給が許可されるまでの流れの第二例について説明する。
図4に示す第二例において、
図3に示す第一例との違いは、例えば、ペアリングおよびプロファイル情報の両方が記録されてから加速度センサ4に対する電力供給を許可する点である。
【0040】
(11)工場出荷状態では、ペアリング情報およびプロファイル情報の何れも記録されていない。
(12)ユーザは、外部機器3のアプリケーションにおいて、ユーザのプロファイル情報を入力する。
図4の例でもペアリングが実行されるよりも前にプロファイル情報の入力がなされる。
(13)外部機器3は、外部サーバ200にプロファイル情報を送信する。
(14)ユーザによるペアリングがなされる。
(15)制御部23は、ペアリング情報を記憶部28に記録する。
(16)記憶部28には、ペアリング情報が記録されているものの、プロファイル情報は記録されていない。従って、制御部23は、加速度センサ4に対する電力供給を許可しない。
(17)電子時計1は、外部機器3に対してプロファイル情報を要求する。
(18)外部機器3は、電子時計1に対してプロファイル情報を送信する。
(19)電子時計1は、受信したプロファイル情報を記憶部28に記録する。
(20)電子時計1は、プロファイル情報が記憶部28に記録されると、加速度センサ4に対する電力供給を許可する。
【0041】
このように、ユーザのプロファイル情報を取得するまで加速度センサ4に対する電力供給が許可されないことで、電子時計1における消費電力が低減される。言い換えると、本実施形態の電子時計1は、プロファイル情報を使用した活動量データを算出できるようになってから加速度センサ4に対する電力供給を許可することで、消費電力を低減する。例えば、活動量データとしてユーザの消費カロリーを算出しようとする場合、身長や体重等のプロファイル情報が必要である。本実施形態によれば、活動量データの算出に必要な情報が不足したままで加速度センサ4を動作させてしまうことが抑制される。
【0042】
なお、本実施形態の電子時計1では、外部機器3とのペアリング情報を消去可能である。ペアリング情報の消去は、ユーザの操作によってなされる。ペアリング情報を消去させる操作は、例えば、リューズ27に対する所定の操作である。本実施形態の制御部23は、ユーザによってペアリング情報を消去させる操作がなされると、ペアリング情報と共にプロファイル情報を記憶部28から消去する。これにより、記憶部28は、ペアリング情報およびプロファイル情報の何れも記録されていない状態となる。制御部23は、記憶部28においてペアリング情報およびプロファイル情報が消去されると、次に少なくともペアリング情報が記憶部28に記録されるまで、加速度センサ4に対する電力供給を禁止する。制御部23は、ペアリング情報およびプロファイル情報の両方が記録されるまで加速度センサ4に対する電力供給を禁止してもよい。
【0043】
また、本実施形態の制御部23は、加速度センサ4から出力される信号の振幅が所定値を下回っている状態が所定期間継続すると、加速度センサ4に対する電力供給を停止させる。上記の所定値は、例えば、電子時計1が使用されていない場合に加速度センサ4が出力する信号の振幅の上限値に基づいて定められる。あるいは、上記の所定値は、電子時計1を装着しているユーザが静止している場合に加速度センサ4が出力する信号の振幅の上限値に基づいて定められる。つまり、制御部23は、電子時計1が使用されていない状態が所定期間継続した場合や、ユーザが実質的に静止している状態が所定期間継続した場合に加速度センサ4に対する電力供給を停止させる。これにより、制御部23は、電子時計1における消費電力を低減させることができる。
【0044】
実施形態の制御部23は、加速度センサ4に対する電力供給を停止している場合、傾斜スイッチ5を動作させておく。制御部23は、傾斜スイッチ5の検出結果に基づいて電子時計1の姿勢が変化したと判定した場合、加速度センサ4に対する電力供給を再開させる。加速度センサ4は、傾斜スイッチ5と比較して多くの電力を消費する。よって、本実施形態の電子時計1は、加速度センサ4に対する電力供給を必要最小限として電子時計1の消費電力を低減させることができる。
【0045】
以上説明したように、実施形態に係る電子時計1は、加速度センサ4と、通信部22と、制御部23と、記憶部28と、演算部23eと、を有する。電子時計1は、携帯型電子機器の一例である。加速度センサ4は、ユーザの活動量に関する物理量を検出するセンサの一例である。通信部22は、無線通信を行う回路である。制御部23は、加速度センサ4に対する電力供給を制御する制御回路である。記憶部28には、通信部22と外部機器3との間のペアリングが実行された場合に通信部22と外部機器3とのペアリング情報が記録される。演算部23eは、加速度センサ4の検出結果に基づいてユーザの活動量を算出する算出部の一例である。
【0046】
本実施形態の制御部23が加速度センサ4に対する電力供給を許可する許可条件には、ペアリング情報が記憶部28に記録されていることが含まれる。本実施形態の電子時計1によれば、ペアリング情報が記憶部28に記録されていないときに加速度センサ4に対する電力供給が許可されないことで、加速度センサ4の電力消費が抑制される。
【0047】
本実施形態の電子時計1では、通信部22と外部機器3との無線通信によってユーザのプロファイル情報が取得されると、プロファイル情報が記憶部28に記録される。加速度センサ4に対する電力供給が許可される許可条件には、プロファイル情報が記憶部28に記録されていることを含んでもよい。その場合は、プロファイル情報が記録されていないときに加速度センサ4に対する電力供給が許可されないことで、加速度センサ4の電力消費がさらに抑制される。
【0048】
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。
図5は、実施形態の第1変形例に係る加速度センサを示す図である。実施形態の第1変形例において、上記実施形態と異なる点は、例えば、加速度センサ4が温度検出部41を含む点である。
図5に示すように、実施形態の第1変形例に係る加速度センサ4は、温度検出部41および加速度検出部42を有する。温度検出部41は、温度を検出する回路である。加速度検出部42は、加速度を検出する回路であり、例えば、直交する三軸方向の加速度を検出する。温度検出部41および加速度検出部42の検出結果は、例えば、制御部23に出力される。
【0049】
加速度センサ4において、温度検出部41に対する電力供給線と、加速度センサ4に対する電力供給線とは共通である。すなわち、加速度センサ4は、温度検出部41に対して電力が供給される場合、加速度検出部42にも電力が供給されるように構成されている。加速度センサ4に対する電力供給は、制御IC43によって制御される。制御IC43は、制御部23からの指令に応じて動作する。
【0050】
実施形態の第1変形例に係る制御部23は、温度検出部41によるサンプリング間隔に基づいて加速度センサ4に対して電力を供給する。温度検出部41によるサンプリング間隔は、例えば、5分間隔である。この場合、制御部23は、5分ごとに加速度センサ4に対して電力を供給させ、温度検出部41によって温度を検出させる。制御部23は、加速度センサ4に電力供給がなされているときに、加速度検出部42による加速度の検出を行わせないようにしてもよい。制御部23は、温度検出部41から検出結果が出力されると、加速度センサ4に対する電力供給を停止させる。つまり、制御部23は、温度検出部41によって温度を検出させる期間を除く期間は、加速度センサ4に対する電力供給を禁止する。
【0051】
第1変形例によれば、温度検出に必要な期間に限定して加速度センサ4に対する電力供給が許可される。よって、加速度センサ4に対して電力を供給する期間を必要最小限として、電子時計1の消費電力を低減させることができる。
【0052】
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。
図6は、実施形態の第2変形例に係る携帯型電子機器のブロック図、
図7は、実施形態の第2変形例に係るフローチャートである。実施形態の第2変形例において、上記実施形態と異なる点は、例えば、ペアリング情報の有無やプロファイル情報の有無に応じて節電モードから復帰するか否かを決定する点である。
【0053】
図6に示すように、第2変形例に係る電子時計1は、プッシュボタン30および光センサ6を有する。プッシュボタン30は、例えば、リューズ27に隣接して配置される。電子時計1は、プッシュボタン30に対する操作に応じて各種の処理や設定を行なうように構成されている。プッシュボタン30に対する操作を示す信号は、制御部23に対して出力される。光センサ6は、例えば、文字板26aに対して背面側に配置されている。光センサ6は、例えば、受光した光量に応じた信号を出力する受光素子である。光センサ6の検出結果を示す信号は、制御部23に対して出力される。
【0054】
電子時計1は、節電モード(PS状態)を有する。節電モードは、電子時計1における消費電力を抑制するモードである。節電モードでは、秒針26b、分針26c、および時針26dのうち、少なくとも一つの指針の運針が停止される。節電モードでは、例えば、秒針26bの運針が停止され、かつ分針26cおよび時針26dの運針が実行される。制御部23は、節電モードへの移行判定および節電モードからの復帰判定を実行するように構成されている。
【0055】
制御部23は、例えば、予め定められた移行条件が成立した場合に電子時計1を節電モードに移行させる。移行条件は、例えば、光センサ6の受光量が下限値以下である。
【0056】
図7を参照して、節電モードへの移行および節電モードからの復帰について説明する。制御部23は、移行条件が成立すると、
図7に示すフローチャートに基づく制御を実行する。制御部23は、ステップS10において、モータ駆動回路23bに対して節電モードへの移行を指令する。モータ駆動回路23bは、節電モードへの移行指令に応じて、節電モードの運針制御を実行する。節電モードの運針制御では、例えば、秒針26bの運針が停止される。モータ駆動回路23bは、例えば、正時の位置で秒針26bを停止させる。モータ駆動回路23bは、節電モードの運針制御において、分針26cおよび時針26dを内部時刻に応じて運針させてもよく、分針26cおよび時針26dを停止させてもよい。ステップS10が実行されると、ステップS20に進む。
【0057】
制御部23は、ステップS20において、ユーザの操作があるか否かを判定する。制御部23は、例えば、リューズ27やプッシュボタン30に対する操作が検出されたか否かを判定する。ステップS20においてユーザの操作があったと肯定判定された場合にはステップS70に進み、否定判定された場合にはステップS30に進む。
【0058】
制御部23は、ステップS30において、光が検出されたか否かを判定する。制御部23は、光センサ6の検出結果に基づいてステップS30の判定を行なう。制御部23は、例えば、光センサ6の受光量が閾値以上である場合にステップS30で肯定判定する。閾値は、例えば、発電回路24aによる発電量が予め定められた下限値を上回るように定められる。ステップS30の判定の結果、光が検出されたと肯定判定された場合にはステップS70に進み、否定判定された場合にはステップS40に進む。
【0059】
制御部23は、ステップS40において、ペアリング情報が有るか否かを判定する。制御部23は、ペアリング情報が記憶部28に記録されている場合、ステップS40で肯定判定する。ステップS40の判定の結果、ペアリング情報が有ると肯定判定された場合にはステップS50に進み、否定判定された場合にはステップS20へ移行する。
【0060】
制御部23は、ステップS50において、プロファイル情報が有るか否かを判定する。制御部23は、プロファイル情報が記憶部28に記録されている場合、ステップS50で肯定判定する。ステップS50の判定の結果、プロファイル情報が有ると肯定判定された場合にはステップS60に進み、否定判定された場合にはステップS20へ移行する。
【0061】
制御部23は、ステップS60において、傾斜スイッチ5が動きを検出したか否かを判定する。制御部23は、例えば、傾斜スイッチ5の状態がオン状態からオフ状態へ切り替わった場合や、オフ状態からオン状態へ切り替わった場合にステップS60で肯定判定する。ステップS60の判定の結果、傾斜スイッチ5が動きを検出したと肯定判定された場合にはステップS70へ進み、否定判定された場合にはステップS20へ移行する。
【0062】
制御部23は、ステップS70において、電子時計1のPS状態を解除させる。制御部23は、モータ駆動回路23bに対して、節電モードから通常運針モードへの復帰を指令する。モータ駆動回路23bは、復帰指令に応じて、通常運針モードの運針制御を実行する。通常運針モードの運針制御において、モータ駆動回路23bは、秒針26b、分針26c、および時針26dの全てを内部時刻に応じて運針させる。ステップS70が実行されると、本制御フローは終了する。
【0063】
以上説明したように、実施形態の第2変形例に係る制御部23は、節電モードの実行中に復帰条件が成立した場合に節電モードからの復帰を許可する。復帰条件には、ペアリング情報が記憶部28に記録されていること(S40-Y)、および傾斜スイッチ5により傾斜角度の変化が検出されたこと(S60-Y)が含まれる。ペアリング情報が記憶部28に記録されていないときには節電モードからの復帰が許可されないことで、電子時計1における電力消費が抑制される。例えば、電子時計1が出荷されてからユーザが電子時計1でペアリングを実行するまでの間は、傾斜スイッチ5が電子時計1の動きを検出しても節電モードからの復帰が許可されない。つまり、搬送時に傾斜スイッチ5の状態が切り替わっても節電モードが維持され、電力消費が抑制される。
【0064】
また、復帰条件には、プロファイル情報が記憶部28に記録されていることが含まれる。ペアリング情報が記憶部28に記録されていないときに節電モードからの復帰が許可されないことで、電子時計1の電力消費が抑制される。
【0065】
なお、
図7のフローチャートにおいて、ステップS40またはステップS50が省略されてもよい。例えば、ステップS40が省略される場合、ペアリング情報の有無にかかわらず、プロファイル情報が有り、かつ傾斜スイッチ5が電子時計1の動きを検出した場合、節電モードからの復帰が許可される。例えば、ステップS50が省略される場合、プロファイル情報の有無にかかわらず、ペアリング情報が有り、かつ傾斜スイッチ5が電子時計1の動きを検出した場合、節電モードからの復帰が許可される。
【0066】
[実施形態の第3変形例]
電子時計1がユーザのプロファイルを取得する手段は、外部機器3との通信には限定されない。例えば、電子時計1が有する操作部材に対する操作によって電子時計1に直接プロファイル情報が入力されてもよい。プロファイル情報を入力するための操作部材は、例えば、プッシュボタンであってもよい。電子時計1は、操作部材に対する操作でプロファイル情報が入力されると、プロファイル情報を記憶部28に記録する。この場合、電子時計1は、必要なプロファイル情報が記憶部28に記録された時点で加速度センサ4に対する電力供給を許可することができる。
【0067】
制御部23は、ユーザによってペアリング情報を消去する操作がなされた場合に、ペアリング情報を消去し、かつプロファイル情報を消去することなく残してもよい。このようにすれば、ユーザが外部機器3を機種変更した場合などに、プロファイル情報を記憶部28に残したままでペアリング情報を変更することが可能となる。
【0068】
許可条件は、プロファイル情報が記憶部28に記録されていることを含まなくてもよい。すなわち、制御部23は、プロファイル情報が記憶部28に記録されているか否かにかかわらず、記憶部28にペアリング情報が記録されていれば加速度センサ4に対する電力供給を許可してもよい。
【0069】
電子時計1は、加速度センサ4に対する電力供給をユーザが禁止できるように構成されてもよい。この場合、例えば、リューズ27やプッシュボタンに対するユーザの操作によって、加速度センサ4に対する電力供給が停止されてもよい。あるいは、外部機器3と電子時計1との無線通信によって、加速度センサ4に対する電力供給を停止させる指令が送られてもよい。この場合、ユーザは、例えば、外部機器3においてアプリケーションを操作することで加速度センサ4に対する電力供給を停止させる。これにより、ユーザが加速度センサ4からの情報を必要としない状況のときに、電子時計1における無駄な電力消費を削減することが可能となる。
【0070】
上記実施形態および変形例の携帯型電子機器は、例示した電子時計1には限定されない。例えば、携帯型電子機器は、指針によって時刻を表示するアナログ電子時計には限定されず、デジタル表示によって時刻を表示する電子時計であってもよい。携帯型電子機器は、所謂スマートウォッチであってもよい。携帯型電子機器は、腕時計型の装置であることが好ましいが、腕時計型以外の装置であってもよい。
【0071】
なお、ユーザの活動量を検出するセンサは、加速度センサ4には限定されず、例えば、心拍センサ等の人体情報を検出するセンサであってもよい。電子時計1は、GPS等の位置検出センサや周囲環境温度センサ等の周囲環境を検出するセンサを有していてもよい。制御部23は、位置検出センサや周囲環境を検出するセンサの検出結果を用いてユーザの活動量を算出してもよい。ユーザの活動量は、外部機器3において算出されてもよく、外部サーバ200によって算出されてもよい。
【0072】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 電子時計
3 外部機器
4 加速度センサ
5 傾斜スイッチ
6 光センサ
21 アンテナ
22 通信部
22a:通信モジュール、 22b:変換部
23 制御部
23a:マイクロコントローラ、 23b:モータ駆動回路、 23c:不揮発性メモリ、 23d:RTC、 23e:演算部、 23f:RAM、 23g:ROM
24 電源部
24a:発電回路、 24b:バッテリ、 24c: 電圧検出回路
25 駆動機構
25a~25c ステップモータ
26 アナログ表示部
26a:文字板、 26b:秒針、 26c:分針、 26d:時針、 26e:日板
27 リューズ
28 記憶部
29 外装ケース
29a~29d:かん、 29e:ケース本体
30 プッシュボタン
31 筐体
32 タッチパネル
41 温度検出部
42 加速度検出部