(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】案内装置
(51)【国際特許分類】
F16G 13/16 20060101AFI20220127BHJP
F16L 3/26 20060101ALI20220127BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20220127BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
F16G13/16
F16L3/26
H02G3/04 075
H02G11/00
(21)【出願番号】P 2020517474
(86)(22)【出願日】2018-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2018075811
(87)【国際公開番号】W WO2019063485
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】202017105927.8
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】チロアレクサンダー ジャイケル
(72)【発明者】
【氏名】フランク ブレイズ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ホフマン
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/015942(WO,A3)
【文献】実開昭64-024711(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 13/16
F16L 3/26
H02G 3/04
H02G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインのための案内装置で、前記ラインが、該ラインの第1の走行部が該ラインの第2の走行部の上に配置され得、前記2つの走行部が弓状部分によって一体に連結されるような態様で、変位可能である、案内装置であり、前記第1および/または第2の走行部を案内する互いに対向する案内壁(2、3)を側面に有し、前記案内壁が、少なくともある領域に、プラスチックから一体に形成され、側面で互いに対向する壁要素(4、5)を備え、前記壁要素がそれぞれ、該壁要素(4、5)の長手方向に相互に反対向きの2つの端部(6、7)と、側面で互いに対向する前記壁要素(4、5)とは反対に向く外面(8)と、側面で互いに対向する前記壁要素(4、5)の方に向き、前記ライン用の案内領域を有する内面(9)と、前記外面および前記内面(8、9)より細い上面(10)および下面(11)とを備える、案内装置であって、少なくとも2つの直接隣接する壁要素(4、5)が、互いに向かい合う前端部領域に、一体成形された固定手段を有し、前記固定手段同士が
、2つの直接隣接する前記壁要素(4、5)を相互に固定するさらに別の固定手段を介在させて
、相互に協働
し、
前記固定手段の互いに向かい合う前端部領域に一体成形された前記固定手段同士が、さらに別の固定手段としての中間部材(15)を介して形状係止関係で一体に連結され、
直接隣接する前記壁要素(4、5)が、少なくとも該壁要素の互いに向かい合っている前端部領域において、下面の領域に、それぞれの横桁(14)を有し、
突起(18)が、直接隣接する前記壁要素(4)の方に向いた、前記横桁(14)の前記前端部に配置され、陥凹(16)が、前記突起(18)の周りの、前記内面(9)の方に面した側および前記壁要素(4、5)の前記端部(6)とは反対の側に延在し、前記陥凹内に、前記中間部材(15)の係合領域(17)が係合し、
直接隣接する前記壁要素(4、5)の前記突起同士が、前記中間部材(15)の下面に設けられた陥凹、または前記中間部材(15)の下面から上面まで延在する貫通開口(19)内に係合し、前記陥凹または貫通開口(19)の、前記壁要素(4、5)の長手方向での幅が、直接隣接する前記壁要素(4、5)同士が該壁要素の端部で相互に当接したときに2つの前記突起(18)によって占有される幅より大きく、
その結果、前記2つの壁要素(4、5)同士の長手方向の相対的な動きが所定の制限距離全体に亘って行われ得る、案内装置。
【請求項2】
前記突起(18)が、前記壁要素(4、5)の長手方向に対して垂直に、前記内面(9)に対して平行に配置される、請求項
1に記載の案内装置。
【請求項3】
それぞれの前記横桁(14)上に形成された前記突起(18)の高さが、前記中間部材(15)の下面の前記陥凹の深さ、または前記中間部材(15)の下面から上面まで延在する前記貫通開口(19)の長さに一致し、前記横桁(14)の前記突起(18)の周りに延在する前記陥凹(16)の深さが、前記中間部材(15)の前記陥凹(16)の周りに延在する前記係合領域(17)の高さに一致し、前記突起(18)の上面と、前記係合領域(17)の上面と、任意選択的に前記横桁(14)のさらに別の領域の上面とが、前記ラインのために、実質的に連続する平坦な接触面を形成する、請求項
1又は2に記載の案内装置。
【請求項4】
前記横桁(14)の前記陥凹(16)が、少なくとも部分的に前記壁要素(4、5)の前記内面(9)の前記案内領域の下に延出し、前記中間部材(15)の前記係合領域(17)が、突起を用いて前記案内領域の下に係合する、請求項
1から
3のいずれか一項に記載の案内装置。
【請求項5】
前記突起が、ばね舌片(20)の形である、請求項
4に記載の案内装置。
【請求項6】
前記横桁(14)の前記前端部領域に配置された前記突起(18)が、前記壁要素(4、5)の前記内面(9)から遠い側に、突出部(21)を有し、前記中間部材(15)が隣接する前記突起(18)に固定されたとき、前記中間部材(15)の下面に設けられた前記陥凹または前記中間部材(15)に設けられた前記貫通開口(19)内に配置されたラッチ式突起(22)が、前記突出部(21)の下に係合する、請求項
1から
5のいずれか一項に記載の案内装置。
【請求項7】
前記中間部材(15)が、互いに対向する壁要素(4、5)同士を連結する一体横断部材(23)の端部領域の形である、請求項
1から
6のいずれか一項に記載の案内装置。
【請求項8】
追加の固定手段が、直接隣接する前記壁要素(4、5)の該当する互いに隣接する前記前端部領域に形成され、前記固定手段が、直接隣接する前記壁要素(4、5)の長手方向に相互に離れる動きが行われ得るように、形状係止関係で協働する、請求項1から
7のいずれか一項に記載の案内装置。
【請求項9】
前記追加の固定手段が、溝および舌片手段(25)を備える、請求項
8に記載の案内装置。
【請求項10】
所定の制限距離全体に亘って長手方向に変位可能に直接隣接する前記壁要素(4、5)同士を固定する固定手段が、第2の固定手段(13)を形成し、前記壁要素(4、5)の互いに離れた前記前端部領域には、一体成形された第1の固定手段(12)が設けられ、該第1の固定手段が、前記前端部に直接隣接する、壁要素(4、5)の第1の固定手段(12)に当接し遊隙無しに固定する働きをする、請求項1から
9のいずれか一項に記載の案内装置。
【請求項11】
前記第1の
固定手段(12)が、前記端部(7)、および前記壁要素(4、5)の前記内面(9)の、前記ラインを導く働きをする前記案内領域の側方外側に延在するように配置されている、請求項
10に記載の案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライン、具体的にはエナジー・ガイド・チェーンのための案内装置であり、ラインが、ラインの第1の走行部がラインの第2の走行部の上に配置され得、それら2つの走行部が弓状部分によって一体に連結されるような態様で、変位可能である、案内装置であって、第1および/または第2の走行部を案内する互いに対向する案内壁を側面に有し、その案内壁が、少なくともある領域に、プラスチックから一体に形成され、側面で互いに対向する壁要素を備え、それら壁要素がそれぞれ、壁要素の長手方向に相互に反対向きの2つの端部と、側面で互いに対向する壁要素とは反対に向く外面と、側面で互いに対向する壁要素の方に向き、ライン用の案内領域を有する内面と、外面および内面より細い上面および下面とを備える、案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
その種の案内装置は、特許文献1によって知られており、たとえば射出成型による簡単な製造、および壁要素を互いに嵌め合い固定することによる簡単な組立によって特色付けられる。しかし、より長いエナジー・ガイド・チェーンを案内するより長い案内装置の場合、その公報から知られるアセンブリは、そのアセンブリを使用することによる、温度起因の壁要要素の長さの変化および案内装置の長さの変化に最適な態様で適応しないことが判明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国実用新案第202014103562号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、案内装置の長さの変化および個々の壁要素の温度起因の変化を補償するような、この明細書の導入部分において言及された種類の案内装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この明細書の導入部分で言及された種類の案内装置において、その目的は、少なくとも2つの直接隣接する壁要素が、互いに向かい合う前端部領域に、一体成形された固定手段を有し、それら固定手段同士が、さらに別の固定手段を介在させずに、または2つの直接隣接する壁要素を相互に固定するさらに別の固定手段を介在させて、2つの直接隣接する壁要素同士の長手方向の相対的な動きが所定の制限距離全体に亘って行われ得るように、相互に協働することにより達成される。
【0006】
固定手段は、直接隣接する壁要素同士が、その長手方向に対して横方向に相対的に動くのを阻止するように設計することができる。
【0007】
固定手段は、形状係止関係で相互に協働することができ、その結果、2つの直接隣接する壁要素同士の長手方向の相対的な動きが、所定の制限距離全体に亘って可能になる。
【0008】
直接隣接する壁要素は、また、それら壁要素の互いに離れた前端部領域に一体成形された固定手段を有し得、それら固定手段が、さらに別の固定手段を介在させずに、またはさらに別の固定手段を介在させて、その端部に直接隣接する壁要素の固定手段と、壁要素同士の長手方向の相対的な動きが所定の制限距離全体に亘って行われ得るように、協働する。
【0009】
案内装置の該当する領域を形成する壁要素は、このように、同一の壁要素から形成することができる。
【0010】
固定手段の1つが、突起を有し得、固定手段の他の1つが、陥凹または開口を有し得、突起が、陥凹または開口内に係合し、陥凹または開口の、壁要素の長手方向における幅が、突起の幅より大きく、その結果、2つの直接隣接する壁要素同士の長手方向の相対的な動きが、所定の制限距離全体に亘って行われ得る。
【0011】
直接隣接する壁要素が、少なくとも直接向かい合っている端部領域において下面の領域に、突起または陥凹もしくは開口が配置されているそれぞれのリムまたは横桁を有し得る。
【0012】
突起は、壁要素の長手方向に対して垂直に、壁要素の内面に対して平行に延在し得る。
【0013】
さらに、横桁は、壁要素の内面から案内装置の内部へ、すなわち反対側に配設されている案内壁の方に向いている、壁要素の側面に配置することができる。
【0014】
固定手段の互いに向かい合う前端部に一体成形された固定手段同士は、さらに別の固定手段としての中間部材を介して形状係止関係で連結することができ、その結果、2つの直接隣接する壁要素同士の長手方向での相対的な動きが、所定の制限距離全体に亘って行われ得る。
【0015】
突起が、直接隣接する壁要素の方に向いた、横桁の前端部に配置され得、陥凹が、突起の周りの、内壁の方に向いた側および壁要素の端部とは反対の側に延在し、その陥凹内に、中間部材の係合領域が係合する。
【0016】
固定手段は、その固定要素によって連結された直接隣接する壁要素を相互に解放することができるような構成にすることができる。
【0017】
直接隣接する壁要素の互いに向かい合う前端部領域の突起同士が、中間部材の下面の陥凹内に係合することができる。その場合、陥凹の幅が、直接隣接する壁要素同士がそれらの端部で相互に当接するときに両突起が占有する幅より大きい。直接隣接する壁要素の互いに向かい合う端部が相互に当接するとき、突起も、やはり相互に当接することができる。
【0018】
それぞれの横桁上に形成された突起の高さが、好ましくは、中間部材の下面の陥凹の深さに一致し、横桁の突起の周りに延在する陥凹の深さが、好ましくは、中間部材の陥凹の周りに延在する係合領域の高さに一致し、突起の上面と、係合領域の上面と、可能な限り横桁のさらに別の領域の上面とが、ラインのために、平坦な接触面を形成する。
【0019】
中間部材の下面に設けられる陥凹は、中間部材の上面まで延在する貫通開口の形を取り得る。その構成では、突起は、中間部材の上面まで延在し得る。
【0020】
直接隣接する壁要素の横桁の互いに向かい合う前端部領域に中間部材を固定するために、横桁に設けられた陥凹が、最後に部分的に壁要素の内面の案内領域の下に延出することができ、中間部材の係合領域が、突起を用いて案内領域の下に係合することができる。
【0021】
その突起は、ばね舌片の形を取ることができる。
【0022】
横桁の該当する前端部領域に配置された突起が、壁要素の内面から遠い側に、突出部を有し得、中間部材が隣接する突起に固定されたとき、中間部材の下面に設けられた陥凹または中間部材に設けられた貫通開口内に配置されたラッチ式突起が、その突出部の下に係合する。その場合、中間部材を、直接隣接する壁要素の突起上に適切に傾斜した姿勢で導入して、ばね舌片の形の中間部材の突起を、壁要素の内面の下で、横桁に設けられた陥凹に入れることができ、次いで、中間部材を壁要素に対して垂直になるように枢動させることができ、それによって、ラッチ式突起は、2つの突起が、陥凹内で壁要素の長手方向の制限付きの運動遊隙を有するように、中間部材の貫通開口の陥凹に設けられたラッチ式突起の、突起に配置された突出部の下にラッチ係合する。
【0023】
上記の固定によって、ばね舌片の形の突起は、壁要素の内壁の案内領域の下側に弾力的に当接することができる。
【0024】
好ましくは、中間部材は、互いに対向する壁要素同士を連結する一体横断部材の端部領域の形である。その場合、横断部材の両端部領域は、それぞれ、案内装置の対向して配設された案内壁の直接隣接する壁要素の固定手段同士を連結する中間部材として働くことができる。
【0025】
追加の固定手段が、直接隣接する壁要素の該当する互いに隣接する前端部領域に形成され、その固定手段が、直接隣接する壁要素の長手方向に相互に離れる動きが行われ得るように、形状係止関係で協働する。追加の固定要素は、壁要素の上側領域に配置され得、壁要素の下側領域に配置された上記の固定手段を補足する。それら追加の固定手段は、直接隣接する壁要素の内面の高さ全体の安定化に寄与し、その内面は互いに正確な位置合わせ関係にある。
【0026】
追加の固定手段は、溝および舌片手段の形を取り得、直接隣接する壁要素を長手方向に向けて移動させると、直接隣接する壁要素を、それらの前端部領域が互いに向かい合う状態に導く。
【0027】
所定の制限距離全体に亘って長手方向に変位可能に直接隣接する壁要素同士を固定する、直接隣接する壁要素の互いに向かい合う端部領域に形成された固定手段が、第2の固定手段を形成することができ、他方、壁要素の互いに離れた前端部領域に一体成形された第1の固定手段を設けることができ、その第1の固定手段は、その端部に直接隣接する壁要素の第1の固定手段に当接し遊隙無しに固定する働きをする。
【0028】
一方の前端部領域に第1の固定手段を有し、他方の前端部領域に第2の固定手段を有する、案内装置の該当する領域を形成する壁要素は、異なる2種類のみのそれぞれ同一の壁要素から形成することができ、その場合、異なる種類の壁要素同士が、対向して配設された案内壁において向かい合わせの関係で配設される。
【0029】
壁要素の他方の前端部領域の第1の固定手段は、その端部に直接隣接する壁要素に当接し遊隙無しに固定するように働き、上記の第2の固定手段と実質的に同様な構成を取り得る。ただし、その場合、中間部材の下面に設けられる陥凹、または中間部材を貫通して延在する貫通開口の幅は、互いに対向する前端部領域に設けられた2つの突起によって占有される幅に実質的に正確に一致する。その相違以外は、そこに配置された第2の固定手段は、他方の端部の領域に配置された第1の固定手段と同じであり得る。
【0030】
壁要素の他方の前端部領域に設けられ、上記の手段を備え得る第1の固定手段は、その端部に当接する壁要素を遊隙無しに固定する手段を、壁要素の下側領域を介して、そこに設けられた横桁の可能な限り上方に有し得る。その手段は、好ましくは、該当する直接隣接する壁要素同士が、長手方向、および長手方向に対して横方向に分離すること、ならびに壁要素相互間のあらゆる方向の枢動運動を防止する働きをする。
【0031】
その手段は、壁要素の外面に配置することができる。
【0032】
好ましい実施形態では、その手段は、外面で吐出した突起の形を取ることができ、直接隣接する壁要素の該当する前端部の領域において、上記突起を受け入れる受入領域の形を取ることができる。受入領域は、直接隣接する壁要素の突起がその中に係合する開口を有し得る。突起は、受入領域にラッチ式に挿入することができ、受入領域内に形状係止関係で配置することができる。
【0033】
各壁要素は、外面および内面の高さ全体に亘って、実質的に同一の壁厚であり得る。それら壁要素の端部は、平坦な表面の形であり得、すなわち突起が全く無く、その結果、第1の固定手段を有する前端部領域は、両端部において表面積全体に亘って相互に当接し、第2の固定手段を有する、壁要素の端部領域は、両端部においてやはり表面積全体に亘って相互に当接することができる。
【0034】
そのために、上記の手段を備え得る第1および/または第2の固定手段は、端部の側方外側、および壁要素の内面の、ラインを案内する働きをする案内領域の外側に延在するように配置される。
【0035】
本発明の実施形態が、図面を参照して、より詳細に以降に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図10】
図1に示された、案内装置の一部分の矢印Xに沿った上視平面図である。
【
図14】案内装置の
図1に示された一部分の、壁要素が部分的に分離された側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
一部分1として図面に示されている案内装置の実施形態は、ライン(図示せず)、具体的にはエナジー・ガイド・チェーンを受け入れ案内するように設計され、そのラインは、その第1の走行部をその第2の走行部の上に配置することができ、2つの走行部が弓状部分によって一体に連結される態様で変位させられる。案内装置は、少なくとも図示の部分1において、第1および/または第2の走行部を案内するために、互いに対向する案内壁2および3を側面に有し、それら案内壁は、プラスチックから一体成形された互いに対向する壁要素4および5を側面に備える。壁要素4および5はそれぞれ、当該壁要素4、5の長手方向において互いに反対向きの2つの端部6および7と、側面で互いに対向する壁要素4および5それぞれとは反対向きの外面8と、それぞれ対向して配設された壁要素4および5の方に向いている内面9と、外面および内面8、9より細い上面および下面とを有する。さらに、一方の端部6の領域に、壁要素4および5は、一体成形された第1の固定手段12を有し、それによって、直接隣接する壁要素に当接し遊隙無しに固定される。
【0038】
他方の端部7の領域において、壁要素4および5は、一体成形された第2の固定手段13を有し、それによって直接隣接する壁要素に固定される。図面を参照して以下にさらに説明されるように、第2の固定手段13は、2つの直接隣接する壁要素4と5との長手方向での相対的移動を所定の制限範囲全体に亘って許容する。
【0039】
具体的に
図1、2および14から分かるように、案内装置の該当領域を形成する壁要素4および5は、異なる2種類のそれぞれ同一の壁要素、すなわち第1の種類の壁要素4および第2の種類の壁要素5から構成され、互いに対向する案内壁2および3において、異なる種類の壁要素同士がそれぞれ対向して配設されている。第1の種類の壁要素4は、端部7の領域に第1の固定手段12を、端部6の領域に第2の固定手段13を有する。第2の種類の壁要素5は、端部6の領域に、壁要素4の第2の固定手段13と協働する第2の固定手段13を有し、端部7の領域に、壁要素4の第1の固定手段12と協働する第1の固定手段12を有する。
【0040】
第2の固定手段13が設けられている少なくとも前端部の領域において、壁要素4および5は、下面の領域に横桁またはリム14を有し得、その横桁またはリムに第2の固定手段が配置される。
【0041】
具体的に
図10、11および13から分かるように、直接隣接する壁要素4および5の固定手段13は、中間部材15を介して協働して、2つの壁要素4および5の長手方向の相対的な移動が所定の制限範囲全体に亘って可能になるように、壁要素4および5を固定する。
【0042】
図5、6、8および11に示されるように、対向して配設された壁要素の方に向いている横桁14は、陥凹16を有し、その陥凹内に、中間部材15の係合領域17が係合する。陥凹16は、直接隣接する壁要素の方に向いている、横桁の前端部に配置された突起18の周りに延在する。その突起は、横桁14の前端部の領域の凹部の底に、上方に突出するように形成され、その凹部は、突起18の周りに延在して陥凹16を形成する。
【0043】
直接隣接する壁要素4および5の互いに向き合う前端部の領域の突起18は、中間部材15の下面から上面まで延在する、中間部材15の貫通開口19内に係合する。この場合、壁要素4および5の長手方向での貫通開口19の幅は、直接隣接する壁要素4と5とが両端部で互いに当接するとき、2つの突起18によって占有される幅より大きい。突起18は、直接隣接する壁要素4および5の互いに向き合う端部6および7が相互に当接するとき、やはり相互に当接する。
【0044】
それぞれの横桁14に形成される突起18の高さは、中間部材15の開口19の長さに一致し、横桁14の突起18の周りに延在する陥凹16の深さは、中間部材15の貫通開口19の周りに延在する係合領域17の高さに一致する。突起18の上面と、係合領域17の上面と、壁要素4、5の全長に亘って延在する横桁14のさらに別の領域の上面とは、ライン用に、実質的に連続する平坦な接触面を形成する。
【0045】
直接隣接する壁要素4および5の横桁14の互いに向かい合う前端部領域に中間部材15を固定するために、横桁14の陥凹16は、図8から分かるように、壁要素4および5の内面9の下の領域に部分的に入り込んでいる。中間部材15の係合領域17は、ばね舌片20の形の突起によってその領域内に係合する。
【0046】
ラッチ式連結が、壁要素4、5の内面9から遠い、突起18の面と、中間部材15の貫通開口19との間で行われる。そのために、
図8に示されるように、突起18は、壁要素4、5の内面9から遠い面に突出部21を有し、中間部材15を隣接する突起18に固定すると、貫通開口19に設けられたラッチ式突起22がその突出部の下にラッチ係合する。すなわち、中間部材15を、直接隣接する壁要素4および5の突起18上に適切に傾斜した姿勢で導入して、ばね舌片20の形の中間部材の突起を、壁要素4および5の内面9の下で、横桁14に設けられた陥凹に入れることができ、次いで、中間部材15を壁要素に対して垂直になるように枢動させ、それによって、貫通開口19に配置されたラッチ式突起22が、突起18の突出部21の下にラッチ係合する。
【0047】
図10~13から具体的に分かるように、中間部材15は、互いに対向する壁要素4と5とを連結する一体横断部材23の端部領域の形である。したがって、横断部材23の両端部領域が、案内装置の対向して配設された案内壁2および3の直接隣接する壁要素4および5の第2の固定手段13を連結する中間部材15として働く。
【0048】
壁要素4および5の他方の前端部領域の第1の固定手段12は、それら端部で相互に直接隣接する壁要素4と5とを当接させ遊隙無しに固定するように働き、上記の固定手段13と実質的に同様な構成である。ただし、
図5、7、9および12から具体的に分かるように、この場合、中間部材15に設けられた貫通開口19の、壁要素4および5の長手方向での幅は、互いに対向する前端部領域の2つの突起18によって占有される幅と実質的に正確に一致する。その相違以外は、そこに配置された第1の固定手段12は、他方の端部の領域に配置された第2の固定手段13と同じである。
【0049】
図1、3、14および16から具体的に分かるように、第2の固定手段13は、直接隣接する壁要素4および5の互いに隣接する該当前端部領域に、直接隣接する壁要素4および5がその長手方向に相互に離れることを許容する協働式溝および舌片手段25をさらに備える。溝および舌片手段25は、壁要素4および5の上部領域に配置され、壁要素4および5の横桁14に配設された上記の固定手段を補足する。
【0050】
溝および舌片手段25は、壁要素4の外面において、壁要素の長手方向に壁要素の端部6から突出する板形状要素の形で、および、壁要素5の外面において、壁要素の端部6の領域に配置され、壁要素5の長手方向に延在し、2つの壁要素4と5とが一体に嵌め合わされたとき壁要素4の板形状要素がその中に係合される溝の形で、設けられる。溝は、壁要素5の外面に形成され、壁要素5の下面11の方向に下に向かって壁要素5から張り出す部分に配置される。壁要素4上の板形状要素は、壁要素4の上面10の方に向いた上部領域に、壁要素5に配置された張出部分の溝内に舌片として係合する部分を有する。その部分の下に、板形状要素は、外方に突出する横桁を有し、その横桁の上に張出部分が、長手方向に変位可能な関係で載る。
【0051】
壁要素4および5の他方の前端部領域に設けられ、横桁14に配置された上記の手段を備える第1の固定手段12は、当該端部に当接する壁要素4、5を遊隙無しに固定するさらに別の手段を横桁の上方に有する。その端部領域の横桁14の領域に設けられた手段と同様に、その手段は、直接隣接する当該壁要素4および5が、それらの長手方向および長手方向に対して横方向に分離するのを防止し、壁要素同士が相対的にいずれの方向に枢動するのも防止するように働く。
図14および
15から分かるように、その手段は、壁要素4および5の外面8に配設されている。その手段は、端部7において突出し、ラッチ式領域27を有する突起26の形であり、直接隣接する壁要素の当該前端部の領域において、ラッチ式領域27を受け入れる受入領域28の形である。受入領域28は、窓状開口29を有し、その窓状開口の中に、直接隣接する壁要素4、5の突起26のラッチ式領域27が係合する。
【0052】
壁要素4および5は、外面および内面の高さ全体に亘って、実質的に同一の壁厚である。それら壁要素の端部6および7は、平坦な表面の形であり、その結果、第1の固定手段12を有する端部領域は、両端部7において表面積全体に亘って相互に当接し、第2の固定手段13を有する、壁要素4および5の端部領域は、第2の固定手段13の遊隙に基づいて、他方の両端部6においてやはり端部領域の表面積全体に亘って相互に当接することができる。
【0053】
上記の手段を備える第1の固定手段12および第2の固定手段13は、端部6および7、ならびにラインを案内するように働く壁要素4および5の内面および外面の側方外側に延在して配置される。
【符号の説明】
【0054】
1 案内装置の一部分
2 案内壁
3 案内壁
4 壁要素
5 壁要素
6 端部
7 端部
8 外面
9 内面
10 上面
11 下面
12 第1の固定手段
13 第2の固定手段
14 横桁
15 中間部材
16 陥凹
17 係合領域
18 突起
19 貫通開口
20 ばね舌片
21 突出部
22 ラッチ式突起
23 横断部材
25 溝および舌片手段
26 突起
27 ラッチ式領域
28 受入領域
29 開口