(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】NRにおけるRLMに対する間隔共有
(51)【国際特許分類】
H04W 24/10 20090101AFI20220127BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20220127BHJP
【FI】
H04W24/10
H04W72/04 132
H04W72/04 136
(21)【出願番号】P 2020526960
(86)(22)【出願日】2017-11-17
(86)【国際出願番号】 CN2017111628
(87)【国際公開番号】W WO2019095277
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン リー
(72)【発明者】
【氏名】ダルスゴード ラーシュ
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】MediaTek Inc.,The needs of Measurement Gap in NR[online],3GPP TSG RAN WG4 #84Bis R4-1710670,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG4_Radio/TSGR4_84Bis/Docs/R4-1710670.zip>,2017年10月13日
【文献】Ericsson,On RSTD requirements for FeMTC[online],3GPP TSG RAN WG4 #83 R4-1705603,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG4_Radio/TSGR4_83/Docs/R4-1705603.zip>,2017年05月19日
【文献】Nokia, Nokia Shanghai Bell,Discussion on RLM evaluation period[online],3GPP TSG RAN WG4 #85 R4-1713105,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG4_Radio/TSGR4_85/Docs/R4-1713105.zip>,2017年12月01日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを有する少なくとも1つのメモリとを備え、前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記装置に少なくとも、
無線リンクモニタリング測定、イントラ周波数測定、およびインター周波数測定間で測定間隔を共有することによって測定間隔共有方式を提供することであって、前記提供することは、前記無線リンクモニタリング測定用の無線リンクモニタリング参照信号の構成と、前記イントラ周波数測定に使用される同期信号ブロックおよび/またはその他の参照信号の構成とに基づく、前記提供することと;
前記測定間隔共有方式に基づいて、前記無線リンクモニタリング測定、前記イントラ周波数測定、および前記インター周波数測定を含む測定を行うことと;
を遂行させるように構成され、
前記無線リンクモニタリング測定、前記イントラ周波数測定、前記およびインター周波数測定間の前記測定間隔共有方式は、サービングセルの無線リンク品質に基づいて変更される
、
装置。
【請求項2】
前記無線リンクモニタリング参照信号と、前記同期信号ブロックおよび
/または前記その他の参照信号
とが同じキャリア周波数にある場合、前記無線リンクモニタリング測定および前記イントラ周波数測定に同じ測定間隔が使用されるように前記測定間隔共有方式が生成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記無線リンクモニタリング参照信号と、前記同期信号ブロックおよび/または前記その他の参照信号
とが異なるキャリア周波数にある場合、前記無線リンクモニタリング測定および前記イントラ周波数測定が前記インター周波数測定に使用されていない測定間隔を
均等に共有するように前記測定間隔共有方式が生成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記無線リンクモニタリング測定および前記イントラ周波数測定によって共有される測定間隔が前記インター周波数測定においては使用されないように前記測定間隔共有方式が生成される、請求項1
から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記装置にさらに、
前記無線リンク品質が閾値より低い場合、前記無線リンクモニタリング測定に使用される間隔の数を増加させることと;
前記無線リンク品質が前記閾値より低い場合、前記イントラ周波数測定用に可能な最大間隔数まで、前記無線リンクモニタリング測定に使用される間隔の数を増加させることと;
前記無線リンク品質が前記閾値より低い場合、前記測定間隔の共有をキャンセルし、全間隔を前記無線リンクモニタリング測定に使用することと;
のいずれかを遂行させるように構成される、請求項
1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記装置にさらに、
ネットワークに対して、前記無線リンク品質が閾値より低いこと、および前記測定間隔共有方式が変更されたことを報告することを実施させるように構成される、
請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記装置にさらに,
低無線リンク品質であることから前記測定間隔方式が変更された後、前記無線リンク品質が回復したと検出されると、前記低無線リンク品質の検出前に適用されていた測定間隔方式に戻すことを実施させるように構成される、
請求項
1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
無線リンクモニタリング測定、イントラ周波数測定、およびインター周波数測定間で測定間隔を共有することによって測定間隔共有方式を提供することであって、前記提供することは、前記無線リンクモニタリング測定用の無線リンクモニタリング参照信号の構成と、前記イントラ周波数測定に使用される同期信号ブロックおよび/またはその他の参照信号の構成とに基づく、前記提供することと;
前記測定間隔共有方式に従って、前記無線リンクモニタリング測定、前記イントラ周波数測定、および前記インター周波数測定を含む測定を行うことと;
を含み、
前記無線リンクモニタリング測定、前記イントラ周波数測定、前記およびインター周波数測定間の前記測定間隔共有方式は、サービングセルの無線リンク品質に基づいて変更される
、
方法。
【請求項9】
前記無線リンクモニタリング参照信号と、前記同期信号ブロックおよび
/または前記その他の参照信号
とが同じキャリア周波数にある場合、前記無線リンクモニタリング測定および前記イントラ周波数測定に同じ測定間隔が使用されるように前記測定間隔共有方式が生成される、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記無線リンクモニタリング参照信号と、前記同期信号ブロックおよび/または前記その他の参照信号
とが異なるキャリア周波数にある場合、前記無線リンクモニタリング測定および前記イントラ周波数測定が前記インター周波数測定に使用されていない測定間隔を
均等に共有するように前記測定間隔共有方式が生成される、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記無線リンクモニタリング測定および前記イントラ周波数測定によって共有される測定間隔が前記インター周波数測定においては使用されないように前記測定間隔共有方式が生成される、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記無線リンク品質が閾値より低い場合、前記無線リンクモニタリング測定に使用される間隔の数を増加させることと;
前記無線リンク品質が前記閾値より低い場合、前記イントラ周波数測定用に可能な最大間隔数まで無線リンクモニタリング測定に使用される間隔の数を増加させることと;
前記無線リンク品質が前記閾値より低い場合、前記測定間隔の共有をキャンセルし、全間隔を前記無線リンクモニタリング測定に使用することと;
のいずれかをさらに含む、請求項
8から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
ネットワークに対して、前記無線リンク品質が閾値より低いこと、および前記測定間隔共有方式が変更されたことを報告することをさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
低無線リンク品質であることから前記測定間隔方式が変更された後、前記無線リンク品質が回復したと検出されると、前記低無線リンク品質の検出前に適用されていた測定間隔方式に戻すことをさらに含む、請求項
8から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
装置の処理手段に実行されると、前記装置に少なくとも、
無線リンクモニタリング測定、イントラ周波数測定、およびインター周波数測定間で測定間隔を共有することによって測定間隔共有方式を提供することであって、前記提供することは、前記無線リンクモニタリング測定用の無線リンクモニタリング参照信号の構成と、前記イントラ周波数測定に使用される同期信号ブロックおよび/またはその他の参照信号の構成とに基づく、前記提供することと;
前記測定間隔共有方式に従って、前記無線リンクモニタリング測定、前記イントラ周波数測定、および前記インター周波数測定を含む測定を行うことと;
を遂行させる命令を含む、コンピュータプログラムであって、前記無線リンクモニタリング測定、前記イントラ周波数測定、前記およびインター周波数測定間の前記測定間隔共有方式は、サービングセルの無線リンク品質に基づいて変更される
、コンピュータプログラム。
【請求項16】
前記無線リンクモニタリング参照信号と、前記同期信号ブロックおよび
/または前記その他の参照信号
とが同じキャリア周波数にある場合、前記無線リンクモニタリング測定および前記イントラ周波数測定に同じ測定間隔が使用されるように前記測定間隔共有方式が生成される、請求項
15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記無線リンクモニタリング参照信号と、前記同期信号ブロックおよび/または前記その他の参照信号とが異なるキャリア周波数にある場合、前記無線リンクモニタリング測定および前記イントラ周波数測定が前記インター周波数測定に使用されていない測定間隔を均等に共有するように前記測定間隔共有方式が生成される、請求項15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記無線リンクモニタリング測定および前記イントラ周波数測定によって共有される測定間隔が前記インター周波数測定においては使用されないように前記測定間隔共有方式が生成される、請求項
15から17のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新無線(New Radio:NR)における無線リンクモニタリング(Radio Link Monitoring:RLM)に対する間隔共有が可能な装置、方法、およびコンピュータプログラム製品に関する。
【関連する背景技術】
【0002】
本明細書に使用される略語の意味を以下に示す。
3GPP(3rd Generation Partnership Project)第3世代パートナーシッププロジェクト
BW(BandWidth)帯域幅
BWP(BandWidth Part)帯域幅部分
CGI(Cell Global Identifier)セルグローバル識別子
CRS(Common Reference Signal)共通参照信号
CSI-RS(Channel State Information Reference Signal)チャネル状態情報参照信号
DRX(Discontinuous Reception)間欠受信
E-UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)進化型ユニバーサル地上無線アクセス
L1(Layer 1)レイヤ1
L3(Layer 3)レイヤ3
LTE(Long Term Evolution)ロングタームエボリューション(4G)
NR(New Radio)新無線
PBCH(Physical Broadcast CHannel)物理報知チャネル
Pセル(Primary Cell)プライマリセル
PSセル(Primary SCell)プライマリSセル
PSS(Primary Synchronization Signal)プライマリ同期信号
RLM(Radio Link Monitoring)無線リンクモニタリング
RRC(Radio Resource Control)無線リソース制御
RRM(Radio Resource Management)無線リソース管理
Sセル(Secondary Cell)セカンダリセル
SSB(Synchronization Signal Block)同期信号ブロック
SSS(Secondary Synchronization Signal)セカンダリ同期信号
UE(User Equipment)ユーザ機器
【0003】
本発明の実施形態は、新無線(NR)に関するが、それに限定されるものではない。現在、RAN4がNRについてのRLM要件を検討中である。RAN1で合意に達し、NRにおけるRLMはSSBまたはCSI-RSに基づくことが可能になる。本願においては、R15(リリース15)のEarly Drop仕様に準じたUE(すなわち、12月17日版のR15 NR仕様に基づいて実施されたUE)が、SSBに基づくRLMにのみ対応可能であるため、SSBに基づくRLMに注目する。
【0004】
RAN4#84bisにおいて、RAN4は、RLMを実行するのにUEに測定間隔が必要になり得るか、また、対応する要件を定義すべきかを議論した。UEは、RLM用のSSBを含まない可能性のある帯域幅部分(BWP)で動作するよう構成され得るため、所定のネットワーク条件下では間隔が必要であり、UE要件(例えば、UEがリンク品質変化を検出するための評価時間)が必要であるというのがRAN4の共通認識である。
【0005】
NR RLMは、LTE RLMと同様の高レベルにある。特に、UEがL1においてリンク品質をモニタリングし、リンク品質が所定の閾値(Qout)未満であれば、L1はL3に非同期を示す。その後、L3(LTE T310)においてタイマが始動して、リンクが回復できるようにする。すなわち、タイマが切れる前に、UEによりリンク品質が別の閾値(Qin)を超えたことが観察されると、UEはリンクが回復したと見なして、通常モードに戻る。そうでなければ(タイマ切れとなると)、RLF(無線リンク障害)と見なして、例えば再構築のような予め定義された動作がトリガされる。
【0006】
RLMにおいて測定間隔を導入することは、NRにおける新規の課題である。LTEにおけるRLMは、セルBW全体にわたって送信されるCRSに基づくためである(したがって、UEはCRSモニタリングのために再調整しない)。この課題は、NRにおけるイントラ周波数RRM測定も、同じ理由で間隔に依存し得るという事実から、より複雑性を帯びる。例えば、UEはイントラ周波数測定用のSSBを含まない可能性のある帯域幅部分(BWP)で動作するように構成され得る。
【摘要】
【0007】
本発明の実施形態は、この状況に対応したもので、上記シナリオにおいてUEのRLM測定を可能にすることを目的とする。
【0008】
本発明の第1の態様によると装置が提供される。この装置は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを有する少なくとも1つのメモリと、を備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードによって、前記装置に少なくとも、無線リンクモニタリング用の無線リンクモニタリング参照信号の構成と、イントラ周波数測定に使用される同期信号ブロックおよび/またはその他の参照信号の構成とに基づいて、無線リンクモニタリング測定、イントラ周波数測定、およびインター周波数測定間で測定間隔を共有することによって測定間隔共有方式を生成することと、前記測定間隔共有方式に従って、前記無線リンクモニタリング測定、前記イントラ周波数測定、および前記インター周波数測定を含む測定を行うことと、サービングセルの無線リンク品質に基づいて、無線リンクモニタリング測定、イントラ周波数測定、およびインター周波数測定間の前記測定間隔共有方式を変更することと、を実施させるように構成される。
【0009】
本発明の第2の態様によると方法が提供される。この方法は、
無線リンクモニタリング用の無線リンクモニタリング参照信号の構成と、イントラ周波数測定に使用される同期信号ブロックおよび/またはその他の参照信号の構成とに基づいて、無線リンクモニタリング測定、イントラ周波数測定、およびインター周波数測定間で測定間隔を共有することによって測定間隔共有方式を生成することと、
前記測定間隔共有方式に従って、前記無線リンクモニタリング測定、前記イントラ周波数測定、および前記インター周波数測定を含む測定を行うことと、
サービングセルの無線リンク品質に基づいて、無線リンクモニタリング測定、イントラ周波数測定、およびインター周波数測定間の前記測定間隔共有方式を変更することと、
を含む。
【0010】
第1の態様および第2の態様は、以下のように変形してもよい。例えば、前記測定間隔共有方式は、前記無線リンクモニタリングおよび前記イントラ周波数測定によって共有される測定間隔が前記インター周波数測定においては使用されないように生成されてもよい。
【0011】
前記測定間隔共有方式は、前記無線リンクモニタリング用の前記無線リンクモニタリング参照信号およびイントラ周波数測定用の同期信号ブロックおよび/またはその他の参照信号が同じキャリア周波数にある場合、前記無線リンクモニタリング測定および前記イントラ周波数測定に同じ測定間隔が使用されるように生成されてもよい。
【0012】
さらに、同じ測定要件が前記無線リンクモニタリング測定および前記イントラ周波数測定の両方に適用されてもよい。
【0013】
前記測定間隔共有方式は、無線リンクモニタリング用の前記無線リンクモニタリング参照信号およびイントラ周波数測定用の同期信号ブロックおよび/またはその他の参照信号が異なるキャリア周波数にある場合、前記無線リンクモニタリング測定および前記イントラ周波数測定が前記インター周波数測定に使用されていない測定間隔を共有するように生成されてもよい。
【0014】
無線リンクモニタリング測定に使用される間隔の数は、前記リンク品質が十分でないと検出された場合、増加されてもよい。
【0015】
無線リンクモニタリング測定に使用される間隔の数は、前記リンク品質が十分でないと検出された場合、イントラ周波数測定用に可能な最大間隔数まで増加されてもよい。
【0016】
前記リンク品質が十分でないと検出された場合、間隔共有はキャンセルされ、全間隔が無線リンクモニタリングに使用されてもよい。
【0017】
ネットワークに対して、前記リンク品質が十分でないと検出されたこと、および前記測定間隔共有方式が変更されたことが報告されてもよい。
【0018】
リンク品質がある閾値を下回るかどうかを判定することによって、前記リンク品質が十分でないと検出されてもよい。
【0019】
さらに、低無線リンク品質であることから前記測定間隔方式が変更された後、前記無線リンク品質が回復したと検出されると、前記低無線リンク品質の検出前に適用されていた測定間隔方式に戻してもよい。
【0020】
無線リンク品質を変更する際の前記間隔共有方式の変更は、ネットワーク構成可能であってもよい。
【0021】
本発明の第3の態様によるとコンピュータプログラム製品が提供される。このコンピュータプログラム製品は、処理手段またはモジュール上で動作すると、第2の態様および/またはその変形による方法を実施するコード手段を備える。前記コンピュータプログラム製品はコンピュータ可読媒体上に実施されてもよく、さらに/あるいは前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータの内部メモリ内に直接展開可能であってもよいし、さらに/あるいはアップロード、ダウンロード、およびプッシュ手順の少なくとも1つによってネットワークを介して送信可能であってもよい。
【0022】
本発明の第4の態様によると装置が提供される。この装置は、
無線リンクモニタリング用の無線リンクモニタリング参照信号の構成と、イントラ周波数測定に使用される同期信号ブロックおよび/またはその他の参照信号の構成とに基づいて、無線リンクモニタリング測定、イントラ周波数測定、およびインター周波数測定間で測定間隔を共有することによって測定間隔共有方式を生成する手段と、
前記測定間隔共有方式に従って、前記無線リンクモニタリング測定、前記イントラ周波数測定、および前記インター周波数測定を含む測定を行う手段と、
サービングセルの無線リンク品質に基づいて、無線リンクモニタリング測定、イントラ周波数測定、およびインター周波数測定間の前記測定間隔共有方式を変更する手段と、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0023】
これらや他の目的、特徴、詳細、利点は、添付の図面と合わせて本発明の実施形態の以下の詳細な説明からより明らかとなろう。
【
図2】本発明の実施形態に係るUEにより実施される手順のフローチャートを示す。
【実施形態の詳細説明】
【0024】
以下に、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の説明は単に例示のために供されるものであり、説明された実施形態は本発明をこれらに限定すると解されるものではない。
【0025】
実施形態を説明する前に、本願に関連する問題点をさらに詳細に説明する。
【0026】
上述のように、RLMにおいて測定間隔を導入することは、NRの新たな課題である。さらに、NRにおいてはイントラ周波数RRM測定も間隔に依存し得る。RAN4#84bisにおいては、すでにイントラおよびインター周波数測定間で測定間隔が共有されること、共有係数がネットワークにより構成可能であることが合意済みである。
【0027】
したがって、RLMも間隔に基づき、複数の目的(イントラ周波数、インター周波数測定、およびRLM測定)で限られた数の間隔を共有する必要がある場合に、如何に間隔を共有すべきかが解決すべき問題となる。
【0028】
LTEにおいて、無線リンク品質向上時にタイミングよく回復を実現可能とするためには、UEがDRX状態であったとしても、Qoutメッセージが上位レイヤ(RRC)に送信されると、RLM要件は常に非DRXに基づく(DRX状態におけるUEモニタリング要件は、非DR要件ほど厳しくないため、省電力が実現可能となる)。
【0029】
これは、TS 36.133(V15.0.0(2017-09))の7.6.2.2項から導かれる。例えば、以下のとおり。
(引用開始)7.6.2.2 DRX使用時の最低要件
【0030】
DRXが使用される場合、表7.6.2.2-1に規定のQout評価期間(TEvaluate_Qout_DRX)およびQin評価期間(TEvaluate_Qin_DRX)が使用される。
【0031】
より高位レイヤのシグナリングが、制限された無線リンクモニタリングに対して特定のサブフレームを示す場合、表7.6.2.2-2に規定のQout評価期間(TEvaluate_Qout_DRX)およびQin評価期間(TEvaluate_Qin_DRX)が使用される。
【0032】
eDRX_CONNサイクルが使用される場合、表7.6.2.2-3に規定のQout評価期間(TEvaluate_Qout_DRX)およびQin評価期間(TEvaluate_Qin_DRX)が使用される。
【0033】
UEがE-UTRAイントラ周波数セルまたはE-UTRAインター周波数セルのCGI特定用の自律的間隔を生成し、より高位レイヤのシグナリングが、制限された無線リンクモニタリングに対して特定のサブフレームを示す場合も、UEは無線リンクモニタリングを実行する。この場合、表7.6.2.2-2に規定のQout評価期間(TEvaluate_Qout_DRX)およびQin評価期間(TEvaluate_Qin_DRX)が使用される注1(注1:このRLM要件は、テスト不要である)。
【0034】
直近のTEvaluate_Qout_DRX(複数可)期間にわたって推測されたPセルまたはPSセルのダウンリンク無線リンク品質が、閾値Qoutを下回ると、UEのレイヤ1は、TEvaluate_Qout_DRX(複数可)評価期間内に、PセルまたはPSセルについての非同期標示を、より高位のレイヤに送信する。TS 36.331に規定のように、レイヤ3フィルタが、この非同期標示に適用される。
【0035】
直近のTEvaluate_Qin_DRX(複数可)期間にわたって推定されたPセルまたはPSセルのダウンリンク無線リンク品質が、閾値Qinを超えると、UEのレイヤ1は、TEvaluate_Qin_DRX(複数可)評価期間内に、PセルまたはPSセルについての同期標示を、より高位のレイヤに送信する。TS 36.331に規定のように、レイヤ3フィルタが、この同期標示に適用される。
【0036】
PセルまたはPSセルの非同期および同期評価は、3GPP TS 36.213の節4.2.1に規定のとおりに実行される。DRXが使用される場合、レイヤ1からの2つの連続した標示は、少なくもmax(10m秒、DRX_cycle_length)だけ離間する。UEがデュアルコネクティビティで構成される場合、レイヤ1からの2つの連続した標示は、Pセルに関して少なくともmax(10m秒、MCG_DRX_cycle_length)だけ離間し、PSセルに関して少なくともmax(10m秒、SCG_DRX_cycle_length)だけ離間する。eDRX_CONNが使用される場合、レイヤ1からの2つの連続した標示は、少なくともmax(10m秒、eDRX_CONN_cycle_length)だけ離間する。
【0037】
TS 36.331の節5.3.11に規定のとおり、T310タイマまたはT313タイマが始動すると、UEは、T310タイマまたはT313タイマが切れる、または止まるまで、評価期間および非DRXモードに対応するレイヤ1標示インターバルを使用して、PセルまたはPSセルのリンクの回復をモニタリングする。
【0038】
UEの送信機電力は、T310タイマ切れの40m秒以内に停止する。PSセルが構成された場合、TS 36.331の節5.3.11に規定のとおり、その送信機電力はT313タイマ切れの40m秒以内に停止する。UEは、T310切れ後、FS3 SセルのいずれにもLBT手順を実行しない。(引用終了)
【0039】
本発明の実施形態の目的は、RLM測定に対して測定間隔を共有することである。
【0040】
以下に、
図1および2を参照して、本発明の実施形態の全体的概要を説明する。
【0041】
特に、
図1は、本実施形態に係る装置の例としてUE1を示す。UE1は、少なくとも1つのプロセッサ11と、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリ12とを備える。少なくとも1つのプロセッサ11は、少なくとも1つのメモリ12およびコンピュータプログラムコードによって、前記装置に少なくとも、無線リンクモニタリング用の無線リンクモニタリング参照信号の構成と、イントラ周波数測定に使用される同期信号ブロックおよび/またはその他の参照信号の構成とに基づいて、無線リンクモニタリング測定、イントラ周波数測定、およびインター周波数測定間で測定間隔を共有することによって測定間隔共有方式を生成することと、前記測定間隔共有方式に従って、前記無線リンクモニタリング測定、前記イントラ周波数測定、および前記インター周波数測定を含む測定を行うことと、を実施させるように構成される。
【0042】
すなわち、
図2に示すフローチャートを参照すると、ステップS1において、無線リンクモニタリング用の無線リンクモニタリング参照信号の構成と、イントラ周波数測定に使用される同期信号ブロックおよび/またはその他の参照信号の構成とに基づいて、無線リンクモニタリング測定、イントラ周波数測定、およびインター周波数測定間で測定間隔を共有することによって測定間隔共有方式が生成される。ステップS2において、前記測定間隔共有方式に従って、前記無線リンクモニタリング測定、前記イントラ周波数測定、および前記インター周波数測定を含む測定が行われる。
【0043】
したがって、本発明の実施形態によると、無線リンクモニタリング(RLM)測定およびイントラ周波数測定により測定間隔が共有される測定共有方式が実現される。すなわち、各測定間隔が無線リンクモニタリング測定およびイントラ周波数測定の両方に使用される。このようにして、多数の測定間隔が、同時に2種類の測定に利用可能である。したがって、利用可能な測定間隔が、効率的に使用可能となる。
【0044】
RLMおよびイントラ周波数測定により共有されない測定間隔は、インター周波数測定に使用されてもよい。言い換えると、測定間隔は、インター周波数測定に使用されない場合は、RLMおよびイントラ周波数測定により共有されるように構成されてもよい。
【0045】
さらに、サービングセルの無線リンク品質に基づいて、無線リンクモニタリング測定、イントラ周波数測定、およびインター周波数測定間の前記測定間隔共有方式を変更してもよい。
【0046】
UE1はさらに、プロセッサ11に接続される入出力(I/O)部または機能部(インタフェース)13をさらに有してもよい。特に、I/Oユニットまたは機能部13は、送受信部を有してもよい。
【0047】
なお、SSB(同期信号ブロック)は、プライマリ同期信号(PSS)と、セカンダリ同期信号(SSS)とを、物理報知チャネル(PBCH)とともに送信する。ブロックは、スロット毎に、一定のインターバルで、固定のスロット位置において送信される。
【0048】
イントラ周波数測定は、(1または複数の)サービングセルの、(1または複数の)ダウンリンクキャリア周波数で実行される。
【0049】
インター周波数測定は、(1または複数の)サービングセルの、(1または複数の)ダウンリンクキャリア周波数の内の任意のものと異なる周波数で実行される。
【0050】
さらに、RLM測定は、SSBまたはその他の参照信号として構成可能なRLM参照信号に対して実行される。したがって、本願の実施形態は、SSBに基づくRLMのみに限定されないことが理解されよう。イントラ周波数測定もSSBまたはその他の参照信号に基づいて構成可能であるが、RLMおよびイントラ周波数測定に使用される信号は個別に構成される。
【0051】
以下に、本発明のいくつかのさらに詳細な実施形態を説明する。
【0052】
詳細な実施形態では、イントラ周波数、インター周波数、およびRLMに対して妥当な測定性能を実現可能とする測定間隔共有方式が提案される。これは以下の原則を含む。
【0053】
まず、間隔共有の態様を説明する。
RLMとイントラ周波数測定とに対するSSBが同じであれば、または一方の目的に対するSSBが他方に対するSSBのサブセットであれば(すなわち、RLM測定およびイントラ周波数測定の一方に対するSSBまたは参照信号が、同一のキャリア周波数にあり、単一の測定間隔パターンで測定可能であれば)、同じ間隔が両目的に使用され、同じ測定要件が両方に適用される。
【0054】
RLMおよびイントラ周波数測定用のSSBが異なるキャリア周波数にあれば(しかし、RLMおよびイントラ周波数測定用のSSBの群が単一の間隔パターンで網羅できれば)、RLMおよびイントラ周波数測定が、インター周波数測定に使用されない間隔を均等に共有する。これは、測定性能が2倍向上することを意味する。
【0055】
言い換えると、共有された測定間隔がRLMおよびイントラ周波数測定の両方で使用可能であるので、2種類の測定で使用される間隔の数が低減される。
【0056】
L1が非同期検出を示すと(例えば、リンク品質が所定の閾値(Qout)未満であると検出されると)、以下が実行される。
【0057】
上記両方の場合において、UE L1が非同期を示し、非同期に対するL3タイマ(LTEにおいてT310を称される)が始動すると、イントラ周波数、インター周波数、およびRLM間の間隔共有が、RLMにより多くの間隔が使用されるように変更される。一例として、全ての間隔がRLM測定に使用される。別の例として、イントラ周波数測定に対して最大限可能な間隔共有が利用され、正確なネットワーク設定が無視される。
【0058】
一手法において、このような間隔共有の挙動は、ネットワーク構成可能であってもよく、別の手法では、固定UE挙動であってもよい。
【0059】
あるいは、L3タイマ始動前でも、非同期が検出されると、全ての間隔共有がキャンセルされる。このような代替構成でも、ネットワーク構成可能であってもよい。
【0060】
すなわち、言い換えると、非同期が検出されると、間隔共有が適用されず、RLM測定のみが全ての利用可能な間隔で実施される。
【0061】
一態様において、UEは、UE側で当該イベント(非同期検出および間隔共有ルール変更)が発生すると、ネットワークへの報告をトリガしてもよい。これにより、必要に応じて採り得る対応をネットワークが実行可能となる。
【0062】
さらなる実施形態によると、リンク品質が特定の閾値未満であることを判定することで、リンク品質が十分でないと検出してもよい。すなわち、例えばUE1がL1におけるリンク品質をモニタリングし、リンク品質が特定の閾値(例えばQout)であれば、L1が、L3に非同期を示す。
【0063】
さらに、低無線リンク品質であることから測定間隔方式が変更された後、無線リンク品質の回復がしたと検出されると、UEは、低無線リンク品質の検出前に適用されていた測定間隔方式に戻してもよい。
【0064】
例えば、リンク品質が特定の閾値を下回ると判定された後に、無線リンク品質の回復が、リンク品質不十分を判定するための前記特定の閾値よりも高い別の閾値(例えばQin)を超えたことが検出されると、UEはリンクが回復したと見なしてもよい。その後、無線リンク品質の問題が検出される前に適用されていた元の測定間隔共有方式が再度適用可能である。この判定は、非同期がL1から受信された後にL3で始動するタイマを使用して実行されてもよい。
【0065】
さらに、本発明の一部の実施形態によると、無線リンク品質の変更に伴う間隔共有方式の変更は、ネットワーク構成可能であってもよい。
【0066】
したがって、提案された方式は、イントラ周波数、インター周波数、およびRLM測定に対して、単一の測定間隔パターンの共有を可能にする。RLMに特化した間隔となることが回避される。
【0067】
さらに、非同期タイマ始動時に、RLMにより多くの間隔が使用される間隔の再共有により、タイミングよくリンク回復が実現可能となる。そうでなければ、UEは測定の機会が不十分であることで、リンク回復をタイミングよく検出不能となり得る。
【0068】
本発明は、上述の特定の実施形態に限定されず、様々な変形が可能である。
【0069】
例えば、上述の実施形態では、NRに対する間隔共有方式が説明された。しかし、間隔共有方式が同期信号ブロックに基づいて構成可能であれば、同方式は、任意の無線技術に適用可能である。特に、同方式はLTEにも適用されてもよい。
【0070】
一般に、UEの様々な実施形態としては、これらに限定されるものではないが、移動局、携帯電話、無線通信能力を有する携帯用情報端末(Personal Digital Assistant:PDA)、無線通信能力を有するポータブルコンピュータ、無線通信能力を有するデジタルカメラ等の画像捕捉デバイス、無線通信能力を有するゲーム用デバイス、無線通信能力を有する音楽記憶再生機器、無線インターネットアクセスおよびブラウジングを可能にするインターネット機器、ならびにそのような機能の組合せを組み入れたポータブルユニットまたは端末を挙げることができる。
【0071】
メモリ12は、ローカルな技術的環境に適した任意の種類であってもよく、半導体型メモリデバイス、磁気メモリデバイスおよびシステム、光学メモリデバイスおよびシステム、固定式メモリ、着脱式メモリ等、任意の適切なデータ記憶技術により実現されてもよい。プロセッサ11は、ローカルな技術的環境に適した任意の種類であってもよく、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)、マルチコアプロセッサのアーキテクチャに基づくプロセッサの内の1つ以上を含んでもよいが、これらはあくまでも非限定的な例である。
【0072】
本願において使用される「回路(circuitry)」という用語は、次の全てを表す。
(a)ハードウェアのみの回路実装(アナログおよび/またはデジタル回路のみの実装等)、
(b)回路とソフトウェア(および/またはファームウェア)の組合せ、例えば(適用可能である場合)、(i)1つまたは複数のプロセッサの組合せ、または(ii)1つまたは複数のプロセッサ/ソフトウェア(デジタル信号プロセッサを含む)、ソフトウェア、1つまたは複数のメモリの一部(これらは協働して、携帯電話やサーバ等の装置に様々な機能を実行させる)、
(c)1つまたは複数のマイクロプロセッサやその一部等の回路であって、動作するためにソフトウェアやファームウェアを必要とする回路(ソフトウェアやファームウェアは物理的に存在しなくてもよい)。
【0073】
この「回路」の定義は、特許請求の範囲を含む本願において、この用語を使う全ての場合において適用される。さらなる例として、本願で使用される場合、「回路」という用語は、1つまたは複数のプロセッサのみの実装や、プロセッサの一部とこれに付随するソフトウェアおよび/またはファームウェアとによる実装も網羅する。「回路」という用語はまた、例えば、特許請求の範囲に記載される特定の要素に適用可能な場合、携帯電話のベースバンド集積回路やアプリケーション処理集積回路、またはサーバやセルラネットワークデバイス、その他のネットワークデバイスにおける同様の集積回路も網羅する。
【0074】
上述の説明は本発明を例示するものであり、本発明を限定するものと解釈されるべきでないことが理解されよう。添付の特許請求の範囲に定義された本発明の主旨および範囲を逸脱することなく、様々な変更や応用が可能であることが当業者には自明であろう。