(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】紙葉類格納装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/12 20190101AFI20220127BHJP
G07D 11/13 20190101ALI20220127BHJP
【FI】
G07D11/12
G07D11/13
(21)【出願番号】P 2020557049
(86)(22)【出願日】2018-11-19
(86)【国際出願番号】 JP2018042733
(87)【国際公開番号】W WO2020105100
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2020-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 宏
(72)【発明者】
【氏名】石井 信彦
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-026365(JP,A)
【文献】特開平10-208108(JP,A)
【文献】実開平7-029676(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00-13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項7】
前記載置台上の紙葉類を1枚ずつ分離して繰り出すための繰出しローラ及び分離ローラを更に備え、
前記第2昇降機構は、前記支持ベースを昇降させるための駆動ベルトを有し、
前記駆動ベルトは、前記支持ベースにおける前記繰出しローラ側に配置されている、
請求項1に記載の紙葉類格納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類格納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ATM(Automated Teller Machine)等の紙幣取扱装置は、入金された紙幣を格納する紙幣格納装置を備える。この種の紙幣格納装置としては、紙幣が格納される格納空間内で、紙幣が集積されて載置される載置台が、昇降機構によって昇降されるものが知られている。
【0003】
この紙幣格納装置では、格納空間内に紙幣が格納されるのに従って載置台が徐々に下降し、載置台が格納空間の下端である底面に移動したときに、格納空間内に格納された紙幣が満杯状態となる。また、格納空間の上方には、格納空間内に対して紙幣を出し入れするためのピックアップローラ、繰出しローラ及び分離ローラ等が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した紙幣格納装置では、格納空間内に格納可能な紙幣の格納量を増やすために、格納空間内に紙幣が集積される方向、すなわち、載置台の昇降方向に対して占める載置台の厚みを小さく形成することが考えられる。載置台の厚みを小さくした場合、載置台の厚みが小さくなることに伴って載置台の載置面の高さが低くなるので、昇降機構によって載置台が最も上方の位置まで移動されたときに、載置台上の紙幣を送るピックアップローラに、載置面上の紙幣を接触させることができなくなる。載置面上の紙幣をピックアップローラに接触させるために、昇降機構によって載置台を上昇させることが可能な高さ(最上方の位置)を上方へ延長した場合、昇降機構が繰出しローラ等と干渉してしまう。昇降機構と繰出しローラ等との干渉を避けるために昇降機構の位置を変更した場合、載置台の周囲において昇降機構が占めるスペースが増えるので、装置全体の大型化を招く問題がある。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、紙葉類格納装置全体を大型化することなく紙葉類の格納量を増やすことができる紙葉類格納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する紙葉類格納装置の一態様は、紙葉類が集積されて格納される格納空間と、前記格納空間内に設けられ、集積された前記紙葉類が載置される載置台と、前記載置台を支持する支持ベースと、前記支持ベースに対して前記載置台を上昇位置と下降位置とに昇降させる第1昇降機構と、前記格納空間内で前記支持ベースを昇降させる第2昇降機構と、を備え、前記支持ベース及び前記第1昇降機構は、前記第2昇降機構が前記支持ベースを昇降させる昇降方向に直交する平面上に前記載置台を投影した投影領域内に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する紙葉類格納装置の一態様によれば、紙葉類格納装置全体を大型化することなく紙葉類の格納量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例の紙幣取扱装置を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施例の紙幣格納装置を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施例の紙幣格納装置の第1昇降機構及び第2昇降機構を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施例の紙幣格納装置の第1昇降機構がステージを上昇位置に上昇させた状態を正面側から示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施例の紙幣格納装置の第1昇降機構がステージを上昇位置に上昇させた状態を背面側から示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施例の紙幣格納装置の第1昇降機構がステージを上昇位置に上昇させた状態を示す側面図である。
【
図7】
図7は、実施例の紙幣格納装置の第1昇降機構がステージを下降位置に下降させた状態を正面側から示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施例の紙幣格納装置の第1昇降機構がステージを下降位置に下降させた状態を背面側から示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施例の紙幣格納装置の第1昇降機構がステージを下降位置に下降させた状態を示す側面図である。
【
図10A】
図10Aは、実施例において、支持ベース及び第1昇降機構が、ステージを上昇位置に上昇させた状態と、ステージの投影領域とを示す平面図である。
【
図10B】
図10Bは、実施例において、支持ベース及び第1昇降機構が、ステージを下降位置に下降させた状態と、ステージの投影領域とを示す平面図である。
【
図11】
図11は、実施例の紙幣格納装置の搬送ローラ群を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、実施例の紙幣格納装置の搬送ローラ群を示す平面図である。
【
図13】
図13は、実施例の紙幣格納装置の搬送ローラ群を示す側面図である。
【
図14】
図14は、実施例の紙幣格納装置のステージ上の紙幣にピックアップローラが接する状態を示す背面図である。
【
図15】
図15は、実施例の紙幣格納装置の作動部材を説明するための平面図である。
【
図16】
図16は、実施例の紙幣格納装置の作動部材を説明するための側面図である。
【
図17】
図17は、実施例の紙幣格納装置において、作動部材によって回動レバーが回動される動作を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する紙葉類格納装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する紙葉類格納装置が限定されるものではない。
【実施例】
【0011】
(紙幣取扱装置の構成)
図1は、実施例の紙幣取扱装置を示す模式図である。
図1に示すように、実施例の紙幣取扱装置1は、紙幣6を入出金する入出金部11と、入出金部11から搬送された紙幣6を鑑別する鑑別部12と、鑑別部12から搬送された紙幣6を一時的に収容する複数の一時保留部13と、各一時保留部13から搬送された紙幣6を格納する複数の格納部14と、を備える。
【0012】
また、紙幣取扱装置1は、各部11、12、13、14の間で紙幣3を搬送路15aに沿って搬送する搬送機構15と、各部11、12、13、14をそれぞれ制御する制御部16と、を備える。搬送機構15は、図示しないが、紙幣6を搬送する搬送路15aを構成する搬送ベルト及び複数のローラを有しており、入出金部11、鑑別部12、各一時保留部13、及び各収容部14をそれぞれつなぐように配置されている。搬送機構15は、各格納部14に対して紙幣6を搬入及び搬出する双方向に搬送可能に構成されている。制御部16は、鑑別部12、各一時保留部13、各収容部14及び搬送機構15のそれぞれと電気的に接続されている。
【0013】
図1に示すように、紙幣取扱装置1に組み込まれた格納部14が、実施例の紙幣格納装置に相当する。以下、格納部14を紙幣格納装置14に言い換えて説明する。説明の便宜上、
図1において紙幣取扱装置1を入出金部11側から見て、紙幣取扱装置1の幅方向をX方向、紙幣取扱装置1の前後方向をY方向、紙幣取扱装置1の上下方向をZ方向と称する。
図1以降の図面においても、
図1と同様にX、Y、Z方向をそれぞれ示す。また、本実施例では、紙葉類の一例として紙幣6を用いるが、紙幣6に限定するものではない。紙葉類には、例えば、手形、小切手、商品券、各種証券、株券等の有価証券も含まれる。
【0014】
(紙幣格納装置の構成)
図2は、実施例の紙幣格納装置14を示す模式図である。
図3は、実施例の紙幣格納装置14の第1昇降機構及び第2昇降機構を示す斜視図である。
【0015】
図2及び
図3に示すように、紙幣格納装置14は、紙幣6が格納される格納空間20と、格納空間20内に設けられて紙幣6が集積されて載置される載置台としてのステージ21と、ステージ21を支持する支持ベース22と、支持ベース22に対してステージ21を上昇位置P1と下降位置P2とにZ方向に昇降させる第1昇降機構23と、格納空間20内で支持ベース22をZ方向に昇降させる第2昇降機構24と、を備える。
【0016】
また、紙幣格納装置14は、第1昇降機構23を作動させる一対の回動レバー34と、ステージ21を上昇位置P1に上昇させるR1方向へ回動レバー34を付勢する付勢部材としてのトーションバネ35と、と備える。
【0017】
ステージ21は、紙幣3が載置される載置面21aを有しており、載置面21aがX-Y平面に平行な水平な姿勢で、上昇位置P1と下降位置P2とに平行移動する。ステージ21が下降位置P2に下降したとき、ステージ21は支持ベース22上に載置される。また、ステージ21の載置面21aは、水平な姿勢で格納空間20の上端と下端と間を上下方向(Z方向)に沿って移動する。ステージ21の載置面21a上には、
図3に示すように、紙幣6の長辺がX方向に沿う向きで載置される。
【0018】
また、
図2に示すように、格納空間20の上方には、ピックアップローラ25、繰出しローラ(フィードローラ)26、分離ローラ27、加速ローラ28等を有する搬送ローラ群が設けられている(
図11参照)。紙幣格納装置14は、搬送ローラ群によって、格納空間20内へ紙幣6を搬入すると共に、格納空間20内から紙幣6を搬出する。搬送ローラ群の詳細については後述する。
【0019】
なお、紙幣格納装置14の姿勢に関して、X、Y方向を水平方向に限定するものではなく、Z方向を上下方向に限定するものではない。また、本実施例では、格納空間20内に対して紙幣6を出し入れする側を、紙幣格納装置14の正面側と称し、正面側とは反対側を、紙幣格納装置14の背面側と称する。
【0020】
(第1昇降機構の構成)
図4は、実施例の紙幣格納装置14の第1昇降機構23がステージ21を上昇位置P1に上昇させた状態を正面側から示す斜視図である。
図5は、実施例の紙幣格納装置14の第1昇降機構23がステージ21を上昇位置P1に上昇させた状態を背面側から示す斜視図である。
図6は、実施例の紙幣格納装置14の第1昇降機構23がステージ21を上昇位置P1に上昇させた状態を示す側面図である。
【0021】
図7は、実施例の紙幣格納装置14の第1昇降機構23がステージ21を下降位置P2に下降させた状態を正面側から示す斜視図である。
図8は、実施例の紙幣格納装置14の第1昇降機構23がステージ21を下降位置P2に下降させた状態を背面側から示す斜視図である。
図9は、実施例の紙幣格納装置14の第1昇降機構23がステージ21を下降位置P2に下降させた状態を示す側面図である。
【0022】
図4~
図6、及び
図7~
図9に示すように、第1昇降機構23は、支持ベース22に設けられており、支持ベース22に対してステージ21をZ方向に移動させる一対のリンク部材31と、一対のリンク部材31を移動可能に支持する一対の正面側ガイド部材32A及び背面側ガイド部材32Bと、を有する。
【0023】
図4、
図5及び
図7、
図8に示すように、一対のリンク部材31は、X方向に移動可能に支持ベース22上に支持されている。各リンク部材31の一端は、ステージ21におけるX方向の中央部に、支軸37を介して回動可能に連結されている。各リンク部材31の他端は、正面側ガイド部材32A及び背面側ガイド部材32Bに、支軸38を介してX方向にスライド可能に連結されている。正面側ガイド部材32A及び背面側ガイド部材32Bは、支持ベース22におけるY方向の両側に設けられている。正面側ガイド部材32A及び背面側ガイド部材32Bには、各リンク部材31の他端の支軸38をスライド可能に支持するガイドスリット39が、X方向に沿って形成されている。
【0024】
第1昇降機構23を作動させる回動レバー34は、支持ベース22におけるX方向の両側にそれぞれ配置されており、回動レバー34の長さ方向の中央部が、支持ベース22に回動軸41を介してR1、R2方向に回動可能に支持されている。回動レバー34の一端には、ローラ43が回転可能に設けられており、ローラ43を介して回動レバー34の一端がステージ21に連結されている。ステージ21には、回動レバー34の一端のローラ43が移動するガイド溝21bがY方向に沿って形成されている。
【0025】
ステージ21のガイド溝21bの一端には、ステージ21の載置面21aが、X-Y平面に平行な水平となる姿勢になったときに、回動レバー34の一端が接する規制壁21cが形成されている。R1方向へ回動する回動レバー34が、ステージ21を上昇位置P1に移動させたときに、規制壁21cが回動レバー34の回動を規制することで、ステージ21が上昇位置P1で停止する。このため、第1昇降機構23は、ステージ21の載置面21aを上昇位置P1と下降位置P2との間で安定的に平行移動させることができる。
【0026】
また、第1昇降機構23の正面側ガイド部材32Aには、X方向における両側に、ステージ21の載置面21aが、X-Y平面に平行な水平となる姿勢になったときに、回動レバー34の中央部近傍が接する規制部45が形成されている。回動レバー34がステージ21を上昇位置P1に移動させたときに、規制部45が回動レバー34の回動を規制することで、ステージ21が上昇位置P1で停止する。このため、第1昇降機構23は、上昇位置P1と下降位置P2との間でステージ21の載置面21aが平行移動する動作信頼性が高められる。
【0027】
このように回動レバー34が規制壁21c及び規制部45によって規制されることで、ステージ21が上昇位置P1に保たれているので、ステージ21上の紙幣6がピックアップローラ25に安定した力で押し付けられる。
【0028】
また、回動レバー34の他端には、ローラ44が回転可能に設けられており、格納空間20の下端側の底面20aに設けられた後述の作動部材55のガイド面56上に沿ってローラ44が転がる。
【0029】
回動レバー34の中央部を支持する回動軸41には、トーションバネ35が取り付けられている。トーションバネ35は、
図2に示すように、一端が支持ベース22に固定されており、他端が回動レバー34に固定されている。これにより、トーションバネ35は、回動レバー34を回動軸41まわりにR1方向へ回動させるように付勢する。したがって、ステージ21は、トーションバネ35の付勢力によって上昇位置P1に移動された状態が初期状態となっている。
【0030】
第1昇降機構23は、ステージ21が格納空間20の下端に近づいたときに、回動レバー34によってステージ21が上昇位置P1から下降位置P2へ移動することで、上昇位置P1と下降位置P2の高さの差分だけ、ステージ21上に紙幣6を更に集積することが可能になり、格納空間20内の紙幣6の格納量が増やされる。上昇位置P1と下降位置P2の高さの差分は、例えば、20mm程度に設定されており、200枚程度の紙幣6の格納量を増やすことができる。
【0031】
図10Aは、実施例において、支持ベース22及び第1昇降機構23が、ステージ21を上昇位置P1に上昇させた状態と、ステージ21の投影領域とを示す平面図である。
図10Bは、実施例において、支持ベース22及び第1昇降機構23が、ステージ21を下降位置P2に下降させた状態と、ステージ21の投影領域とを示す平面図である。
図10A及び
図10Bは、第2昇降機構24が支持ベース22を昇降させる昇降方向(Z方向)に直交する平面を示している。
【0032】
図10A及び
図10Bに示すように、支持ベース22及び第1昇降機構23は、第2昇降機構24が支持ベース22を昇降させる昇降方向(Z方向)に直交する平面上に、ステージ21を投影した投影領域S内に配置されている。したがって、支持ベース22の外形寸法は、ステージ21の外形寸法よりも小さく形成されており、ステージ21の投影領域S内に収まる大きさに形成されている。
【0033】
このように、紙幣6が載置されるステージ21が、格納空間20の上端と下端との間をZ方向に沿って下降するときに、ステージ21の投影領域S内に、支持ベース22及び第1昇降機構23が配置されているので、支持ベース22及び第1昇降機構23による紙幣格納装置14の大型化が避けられる。
【0034】
回動レバー34も、
図10Aに示すように、第1昇降機構23がステージ21を上昇位置P1に上昇させた状態で、投影領域S内に収まるように配置されている、また、
図10Bに示すように、回動レバー34は、ステージ21を下降位置P2に下降させた状態で、回動レバー34の端部の一部のみが投影領域Sの外側へ突出する程度に抑えられている。このような回動レバー34の配置により、回動レバー34による紙幣格納装置14の大型化が抑えられている。なお、ステージ21を下降位置P2に下降させた状態においても、回動レバー34全体がステージ21の投影領域S内に収まるように、回動レバー34の長さや形状が適宜調節されてもよい。
【0035】
(第2昇降機構の構成)
図2及び
図3に示すように、第2昇降機構24は、支持ベース22を昇降方向(Z方向)に沿って移動可能に案内する一対の昇降ガイド部材46と、支持ベース22を昇降方向(Z方向)に移動させる駆動ベルト47と、有する。また、第2昇降機構24は、駆動ベルト47が掛け渡されたプーリ48と、支持ベース22に連結されたベース支持部材49と、ベース支持部材49を駆動ベルト47に固定する固定部材50と、を有する。
【0036】
一対の昇降ガイド部材46は、X方向における支持ベース22の両側に配置されている。駆動ベルト47は、Z方向に沿って配置されており、長さ方向の一部に、固定部材50及びベース支持部材49を介して、ステージ21が連結されている。また、固定部材50には、
図2に示すように、後述する下端センサ52によって位置が検出される検出片50aが形成されている。第2昇降機構24は、上述した紙幣取扱装置1の制御部16によって駆動制御されている。
【0037】
また、第2昇降機構24の駆動ベルト47は、
図2に示すように、支持ベース22のY方向における繰出しローラ26側、すなわち、繰出しローラ26及び分離ローラ27によってステージ21から紙幣6が繰り出される側に配置されている。このように、紙幣格納装置14において、繰出しローラ26及び分離ローラ27等の搬送ローラ群の支持構造を配置するためのスペースの下方に生じる空きスペースに、駆動ベルト47が配置されることによって、第2昇降機構24をコンパクトに配置することが可能になり、紙幣格納装置14の小型化が図られている。
【0038】
紙幣格納装置14の格納空間20内には、
図2に示すように、ステージ21上に集積された紙幣6の上端を検出する上端センサ51と、紙幣6が集積されたステージ21が格納空間20の下端まで下降したことを検出する下端センサ52とがそれぞれ設けられている。
【0039】
上端センサ51は、格納空間20の上端に配置されており、検出光を発する発光部51aと、発光部51aが発した検出光を受光する受光部51bと、を有する。下端センサ52は、格納空間20の下端に配置されており、検出光を発する発光部52aと、発光部52aが発した検出光を受光する受光部52bと、を有する。上端センサ51及び下端センサ52は、制御部16に電気的に接続されており、制御部16が、上端センサ51及び下端センサ52の各検出結果に基づいて、第2昇降機構24を制御する。
【0040】
上端センサ51は、ステージ21上の紙幣6の上端(最も上に位置する紙幣6)によって検出光が遮られることにより、ステージ21上に載置された紙幣6が上端まで達したことが、制御部16によって検出される。制御部16は、上端センサ51がステージ21上の紙幣6を検知したとき、ステージ21を所定の高さだけ下降させるように第2昇降機構24を制御する。下端センサ52は、ステージ21に連結された固定部材50の検出片50aによって検出光が遮られることにより、ステージ21が、支持ベース22と共に格納空間20の下端まで下降されたことが、制御部16によって検出される。制御部16は、下端センサ52がステージ21の下降を検知したとき、格納空間20が紙幣6で満杯状態になったと判断し、第2昇降機構24及び搬送ローラ群の駆動を停止する。
【0041】
(搬送ローラ群の構成)
図11は、実施例の紙幣格納装置14の搬送ローラ群を示す斜視図である。
図12は、実施例の紙幣格納装置14の搬送ローラ群を示す平面図である。
図13は、実施例の紙幣格納装置14の搬送ローラ群を示す側面図である。
図14は、実施例の紙幣格納装置14のステージ21上の紙幣6にピックアップローラ25が接する状態を示す背面図である。
【0042】
図2及び
図11~
図14に示すように、格納空間20の上方には、ステージ21上の紙幣6を送り出すピックアップローラ25と、ピックアップローラ25によって送られた紙幣6を1枚ずつ分離して繰り出す繰出しローラ26及び分離ローラ27と、繰出しローラ26から繰り出された紙幣の搬送速度を加速して搬送するための加速ローラ28と、を有する搬送ローラ群が配置されている。
【0043】
ピックアップローラ25は、回転軸25aに支持されており、ステージ21の載置面21aに対向する位置に配置されている。繰出しローラ26は、回転軸26aに支持されており、ステージ21におけるY方向の一端側に配置されている。分離ローラ27は、回転軸27aに支持されており、繰出しローラ26の下方に配置されている。繰出しローラ26の回転軸26aには、アイドラローラ29が回転自在に支持されており、アイドラローラ29が繰出しローラ26に隣接して配置されている。また、繰出しローラ26の回転軸26aには、繰出しローラ26と間隔をあけてガイドローラ30が設けられている。繰出しローラ26の近傍には、複数の加速ローラ28が紙幣6の搬送方向に沿って配置されている。各加速ローラ28は、回転軸28aに支持されている。ピックアップローラ25、繰出しローラ26、ガイドローラ30、及び加速ローラ28は、図示しない駆動機構によって回転駆動される。
【0044】
図15は、実施例の紙幣格納装置14の作動部材55を説明するための平面図である。
図16は、実施例の紙幣格納装置14の作動部材55を説明するための側面図である。
【0045】
図3及び
図15、
図16に示すように、格納空間20内の下端側の底面20aには、第1昇降機構23の回動レバー34を作動させる一組の作動部材55が設けられている。作動部材55は、回動レバー34の端部のローラ44が転がるガイド面56を有する。ガイド面56は、ステージ21の昇降方向(Z方向)に直交する第1面56aと、第1面56aに対して傾斜されて第1面56aに連続する第2面56bと、を有する。
【0046】
作動部材55は、板材によって形成されており、格納空間20の底面20aに固定されている。ガイド面56の第1面56a及び第2面56bは、Y方向に沿って配置されている。第2面56bは、格納空間20内を支持ベース22と共に昇降する回動レバー34のローラ44に対向する位置に設けられている(
図17参照)。
【0047】
図17は、実施例の紙幣格納装置14において、作動部材55によって回動レバー34が回動される動作を説明するための側面図である。
図17に示すように、ステージ21が格納空間20の下端に向かって下降することで、支持ベース22と共に昇降する回動レバー34のローラ44が、作動部材55の第2面56bに近づく。ステージ21が格納空間20の下端に向かって更に下降することで、回動レバー34のローラ44が、作動部材55の第2面56bに接する。
【0048】
第2昇降機構24によってステージ21が格納空間20の下端に徐々に近づくにつれて、回動レバー34は、第2面56b上の傾斜に沿って転がり、第2面56bから第1面56aへスムーズに移動する。回動レバー34のローラ44が第2面56bから第1面56aへ移動することに伴って、回動レバー34は、トーションバネ35の付勢力に抗して回動軸41まわりにR2方向にスムーズに回動する。このように回動レバー34が作動部材55によってR2方向へ回動されることにより、ステージ21は、上昇位置P1から下降位置P2へスムーズに移動される。ステージ21が下降位置P2に移動したときに、支持ベース22と共に下降した検出片50aを下端センサ52が検出することで、制御部16は、第2昇降機構24による支持ベース22の下降動作を停止させる。
【0049】
一方、第2昇降機構24によってステージ21が格納空間20の下端から上昇したとき、回動レバー34のローラ44が、第1面56aから第2面56bへ移動し、第2面56bから離れることで、トーションバネ35の付勢力によって、回動レバー34が回動軸41まわりにR1方向に回動される。回動レバーがR1方向に回動することで、ステージ21が第1昇降機構23によって上昇位置P1へ上昇される。上述のように紙幣格納装置14では、回動レバー34を介して、第1昇降機構23の昇降動作を、第2昇降機構24の昇降動作と連動させることができる。
【0050】
このため、ステージ21が上昇位置P1と下降位置P2との間を平行移動する昇降動作は、第2昇降機構24が支持ベース22を下降及び上昇する動作を介して、制御部16によって制御することが可能である。すなわち、第1昇降機構23によるステージ21の昇降動作は、回動レバー34を介して、制御部16が第2昇降機構24を駆動制御することによって制御することが可能である。なお、制御部16は、第2昇降機構24がステージ21を間欠に下降させる動作と同様に、例えば、ステージ21を上昇位置P1と下降位置P2との間の、中間位置または複数の位置で一旦停止させて、ステージ21上に紙幣6を集積するように制御を行ってもよい。
【0051】
(紙幣の格納動作)
紙幣格納装置14において、格納空間20内に紙幣6が格納されていないとき、格納空間20の上端の近傍にステージ21が位置している。このとき、ステージ21は、第1昇降機構23によって上昇位置P1に上昇された状態となっている。繰出しローラ26等の搬送ローラ群によって紙幣6が格納空間20へ搬入されて、ステージ21上に紙幣6が集積されるのに伴い、上端センサ51の検出結果に基づいて、第2昇降機構24が、支持ベース22と共にステージ21を間欠的に下降させる。第2昇降機構24は、ステージ21上に集積された紙幣6の増加に伴って、ステージ21を徐々に下降させる。
【0052】
続いて、上述したようにステージ21が格納空間20の下端に近づいたときに、回動レバー34によってステージ21が上昇位置P1から下降位置P2へ下降される。このため、上昇位置P1と下降位置P2の高さの差分だけ、紙幣6をステージ21上に更に集積することが可能になる。そして、ステージ21が下降位置に移動したとき、下端センサ52が検出片50aを検出することにより、ステージ21の下降が停止する。
【0053】
一方、第2昇降機構24は、紙幣6が集積されたステージ21を、格納空間の下端から上昇させることで、トーションバネ35の付勢力により、支持ベース22に対してステージ21が上昇位置P1に上昇される。続いて、第2昇降機構24は、ステージ21上の紙幣6を搬送ローラ群によって送り出す動作と連動して、支持ベース22に対して上昇位置P1に上昇されたステージ21を、格納空間20の上端まで徐々に上昇させる。
【0054】
ステージ21が格納空間20の上端に移動されたとき、
図13及び14に示すように、ステージ21の載置面21a上の紙幣6がピックアップローラ25に適正に接して、ピックアップローラ25によって繰出しローラ26及び分離ローラ27側へ送られる。また、このとき、回動レバー34が規制壁21c及び規制部45によって規制されることで、ステージ21が上昇位置P1に保たれているので、ステージ21上の紙幣6をピックアップローラ25に安定した力で押し付けることができる。
【0055】
(実施例の効果)
実施例の紙幣格納装置14は、支持ベース22に対してステージ21を上昇位置P1と下降位置P2とに昇降させる第1昇降機構23と、格納空間20内で支持ベース22を昇降させる第2昇降機構24と、を備えており、支持ベース22及び第1昇降機構23が、ステージ21の投影領域S内に配置されている。これにより、支持ベース22及び第1昇降機構23を配置するスペースによって紙幣格納装置14全体を大型化することを抑えられる。加えて、ステージ21の上昇位置P1と下降位置P2との高さの差分に応じて、紙幣6をステージ21上に更に集積することが可能になり、格納空間20内における紙幣6の格納量を増やすことができる。
【0056】
紙幣格納装置において、格納空間内に格納可能な紙幣の格納量を増やすために、格納空間内に紙幣が集積される方向、すなわち、ステージの昇降方向に対して占めるステージの厚みを小さくした場合には、ステージの厚みが小さくなることに伴ってステージの載置面の高さ低くなる。このため、昇降機構によってステージが最も上方の位置まで移動されたときに、ステージ上の紙幣を送るピックアップローラに、載置面上の紙幣を接触させることができなくなる。載置面上の紙幣をピックアップローラに接触させるために、昇降機構によってステージを上昇させることが可能な高さを上方へ延長した場合、昇降機構の駆動ベルトが繰出しローラ等の搬送ローラ群と干渉してしまう。昇降機構の駆動ベルト等と繰出しローラ等との干渉を避けるために昇降機構の位置を変更した場合、ステージの周囲において昇降機構が占めるスペースが増えるので、紙幣格納装置全体の大型化を招く。このような課題に対して、本実施例の紙幣格納装置14は、ステージ21が格納空間20の下端に下降したときに、ステージ21を上昇位置P1から下降位置P2に下降させると共に、支持ベース22及び第1昇降機構23がステージ21の投影領域S内に配置される構造を採る。これにより、紙幣格納装置14全体を大型化することなく、格納空間20内における紙幣6の格納量を増やすことができる。
【0057】
また、実施例の紙幣格納装置14は、第1昇降機構23を作動させる回動レバー34を備えており、支持ベース22が格納空間20の下端に移動したときに回動レバー34が回動することによって、ステージ21を下降位置P2に下降させる。これにより、第1昇降機構23を簡素な構造で作動させることが可能になると共に、回動レバー34を介して、第1昇降機構23の昇降動作を第2昇降機構24の昇降動作と連動させることができる。
【0058】
また、実施例の紙幣格納装置14における回動レバー34は、第1昇降機構23がステージ21を上昇位置P1に上昇させた状態で、投影領域S内に配置されている。これにより、紙幣格納装置14全体の大型化を更に抑えることができる。
【0059】
また、実施例の紙幣格納装置14は、ステージ21を上昇位置P1に上昇させるR1方向へ回動レバー34を付勢するトーションバネ35を備える。これにより、第1昇降機構23を簡素な構造で作動させることができる。
【0060】
また、実施例の紙幣格納装置14の第1昇降機構23は、回動レバー34がステージ21を上昇位置P1に上昇させたときに回動レバー34の回動を規制する規制部45を有する。これにより、ステージ21を上昇位置P1に安定的に保つことが可能になり、ステージ21の昇降動作の信頼性を高めることができる。また、規制部45によってステージ21が上昇位置P1に保たれているので、ステージ21上の紙幣6をピックアップローラ25に安定した力で押し付けることができる。
【0061】
また、実施例の紙幣格納装置14は、回動レバー34を作動させる作動部材55を備えており、作動部材55において回動レバー34のローラ44が転がるガイド面56が、ステージ21の昇降方向(Z方向)に直交する第1面56aと、第1面56aに対して傾斜されて第1面56aに連続する第2面56bと、を有する。これにより、ステージ21の下降に伴ってローラ44がガイド面56上に沿って転がることにより、回動レバー34をスムーズに回動させることができる。このため、第1昇降機構23によってステージ21を上昇位置P1から下降位置P2へ下降させる動作の信頼性を高めることができる。
【0062】
また、実施例の紙幣格納装置14において、第2昇降機構24の駆動ベルト47は、支持ベース22における繰出しローラ26側に配置されている。これにより、紙幣格納装置14において、繰出しローラ26及び分離ローラ27等の搬送ローラ群の支持構造を配置するためのスペースの下方に生じる空きスペースを、駆動ベルト47を配置するスペースとして利用し、第2昇降機構24をコンパクトに配置することが可能になり、紙幣格納装置14の小型化を図ることができる。
【0063】
なお、本実施例の紙幣格納装置14は、紙幣取扱装置1の格納部14に適用されたが、格納部14としての適用に限定するものではない。本実施例は、紙幣が集積されて載置されるステージを昇降させる構成に利用可能であり、例えば、一時保留部13に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 紙幣取扱装置
6 紙幣(紙葉類)
14 紙幣格納装置(紙葉類格納装置)
20 格納空間
21 ステージ(載置台)
22 支持ベース
23 第1昇降機構
24 第2昇降機構
26 繰出しローラ
27 分離ローラ
34 回動レバー
35 トーションバネ(付勢部材)
44 ローラ
45 規制部
47 駆動ベルト
55 作動部材
56 ガイド面
56a 第1面
56b 第2面
P1 上昇位置
P2 下降位置
S 投影領域