(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-26
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】量子化ループメモリセルシステム
(51)【国際特許分類】
G11C 11/44 20060101AFI20220127BHJP
【FI】
G11C11/44 ZAA
(21)【出願番号】P 2021510802
(86)(22)【出願日】2019-08-12
(86)【国際出願番号】 US2019046138
(87)【国際公開番号】W WO2020086140
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-02-26
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ネイアマン、オフェル
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、ドナルド エル.
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、ヘンリー ユー チン
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/044562(WO,A1)
【文献】特表2018-514893(JP,A)
【文献】特表2017-529642(JP,A)
【文献】国際公開第2017/091258(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルシステムであって、
前記メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第1状態の記憶に対応する第1方向に量子化電流を伝導するとともに、前記メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第2状態の記憶に対応した前記第1方向とは反対の第2方向に前記量子化電流を伝導するように構成された量子化ループと、
前記記憶メモリ状態の前記第1および第2状態の各々で前記量子化ループの実質一定の磁束バイアスを供給するように構成されたバイアス要素であって、前記実質一定の磁束バイアスと前記メモリセルシステムに供給される読み出し電流とに応答して前記記憶メモリ状態が前記メモリセルシステムから読み出される、前記バイアス要素と、
前記メモリセルシステムに供給される書き込み電流に応答して前記記憶メモリ状態を前記第1状態と前記第2状態との間で変更するためのチューナブルエネルギー要素と、
を備えるメモリセルシステム。
【請求項2】
前記バイアス要素は、実質的に常にπ状態で配置されたヒステリシス磁気ジョセフソン接合(HMJJ)として構成されている、請求項1に記載のメモリセルシステム。
【請求項3】
前記HMJJが2層合成反強磁性体(SAF)HMJJとして構成されており、前記チューナブルエネルギー要素が、前記書き込み電流に応答して前記2層SAF_HMJJに対して直交磁場を供給することにより前記2層SAF_HMJJを一時的にゼロ状態に設定して前記記憶メモリ状態を前記第1状態と前記第2状態との間で変更するように構成された磁場発生器として構成されて
おり、
前記書き込み電流が、前記磁場発生器に対するワード書き込み線に供給されるワード書き込み電流であり、前記メモリセルシステムがさらに、ビット書き込み電流を第1方向に伝導して前記記憶メモリ状態を前記第1状態に設定するとともに前記ビット書き込み電流を前記第1方向とは反対の第2方向に伝導して前記記憶メモリ状態を前記第2状態に設定するように構成されたビット書き込み線を備える、請求項2に記載のメモリセルシステム。
【請求項4】
前記バイアス要素が、前記量子化ループ内に直列に配置された変圧器の二次巻線として構成されており、バイアス電流を伝導するように構成された前記変圧器の一次巻線に誘導結合されている、請求項1に記載のメモリセルシステム。
【請求項5】
前記チューナブルエネルギー要素が、前記量子化ループ内の前記バイアス要素と直列に配置された超伝導量子干渉デバイス(SQUID)として構成されて
おり、
前記書き込み電流が、前記SQUIDに誘導結合されたワード書き込み線に供給されるワード書き込み電流であり、前記メモリセルシステムがさらに、ビット書き込み電流を第1方向に伝導して前記記憶メモリ状態を前記第1状態に設定するとともに前記ビット書き込み電流を前記第1方向とは反対の第2方向に伝導して前記記憶メモリ状態を前記第2状態に設定するように構成されたビット書き込み線を備える、請求項1に記載のメモリセルシステム。
【請求項6】
前記書き込み電流が、前記チューナブルエネルギー要素に誘導結合されたワード書き込み線に供給されるワード書き込み電流であり、前記メモリセルシステムがさらに、第1インダクタと第2インダクタとを含むビット書き込み線を備えており、前記第1インダクタと前記第2インダクタは、前記バイアス要素に結合されて前記読み出し電流が供給されるノードによって相互接続されており、前記第1インダクタは、前記量子化ループに誘導結合されており、前記ビット書き込み線は、ビット書き込み電流を伝導することで前記記憶メモリ状態を前記第1状態に設定するとともに前記ビット書き込み電流を伝導しないことで前記記憶メモリ状態を前記第2状態に設定するように構成されている、請求項1に記載のメモリセルシステム。
【請求項7】
少なくとも1つのジョセフソン接合をさらに備えており、前記量子化ループの前記第1方向に前記量子化電流が供給されるときに前記量子化電流により前記少なくとも1つのジョセフソン接合にバイアスが印加され、前記少なくとも1つのジョセフソン接合は、前記読み出し電流および前記第1方向の前記量子化電流に応答して電圧を供給するようにトリガされることで前記記憶メモリ状態の前記第1状態を示し、前記読み出し電流および前記第2方向の前記量子化電流に応答してトリガされないことで前記記憶メモリ状態の前記第2状態を示すように構成されている、請求項1に記載のメモリセルシステム。
【請求項8】
請求項1に記載の前記メモリセルシステムを含むメモリセルシステムのアレイを備えたメモリアレイであって、前記メモリセルシステムのアレイは行および列に配置されており、前記書き込み電流が、前記メモリセルシステムのアレイの各行に関連付けられたワード書き込み線に供給されるワード書き込み電流であり、前記メモリセルシステムのアレイの各列に関連付けられたビット書き込み線にはビット書き込み電流が供給され、前記読み出し電流が、前記各列に関連付けられたビット読み出し線に供給されるビット読み出し電流であり、ワード読み出し電流が前記各行に関連付けられている、メモリアレイ。
【請求項9】
メモリセルシステムを制御するための方法であって、
前記メモリセルシステムのビット書き込み線にビット書き込み電流を供給することであって、量子化ループに誘導結合された前記ビット書き込み線に前記ビット書き込み電流を供給すること、
前記メモリセルシステムのワード書き込み線にワード書き込み電流を供給することであって、前記ワード書き込み線は、前記量子化ループの2つの量子状態間のエネルギー障壁を低減して量子化電流を供給するためのチューナブルエネルギー要素に誘導結合されており、前記量子化電流は、メモリ書き込み動作で前記ビット書き込み電流に基づき前記量子化ループ内に第1方向および第2方向のうちの一方に供給され、前記量子化電流の前記第1方向が前記メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第1状態に対応し、前記量子化電流の第2方向が前記メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第2状態の記憶に対応する、前記ワード書き込み線に前記ワード書き込み電流を供給すること、
前記メモリセルシステムのワード読み出し線にワード読み出し電流を供給することであって、少なくとも1つのジョセフソン接合に誘導結合された前記ワード読み出し線に前記ワード読み出し電流を供給すること、
前記メモリセルシステムのビット読み出し線にビット読み出し電流を供給することであって、前記量子化電流の前記第1方向に応答して前記少なくとも1つのジョセフソン接合をトリガすることによりメモリ読み出し動作において前記第1状態を示し、前記量子化電流の前記第2方向に応答して前記少なくとも1つのジョセフソン接合をトリガしないことにより前記メモリ読み出し動作において前記第2状態を示すように前記ビット読み出し線に前記ビット読み出し電流を供給すること、
を備える方法。
【請求項10】
前記ビット読み出し電流を供給することは、前記記憶メモリ状態の前記第1および第2状態の各々で前記量子化ループの前記第1方向にバイアス要素から供給される実質一定のバイアスと組み合わせられた前記ビット読み出し電流を前記メモリセルシステムの前記ビット読み出し線に供給することを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記バイアス要素が、実質的に常にπ状態で配置されたヒステリシス磁気ジョセフソン接合(HMJJ)として構成されている、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記バイアス要素が、前記量子化ループ内に直列に配置されたインダクタの二次巻線として構成されており、バイアスを伝導するように構成された一次巻線に誘導結合されている、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
前記バイアス要素が前記ビット書き込み線に結合されており、前記ビット書き込み電流を供給することが、
前記書き込み動作中に前記第1方向に前記量子化電流を供給するために前記ビット書き込み線に前記ビット書き込み電流を供給すること、
前記書き込み動作中に前記第2方向に前記量子化電流を供給するために前記ビット書き込み電流の振幅を略ゼロに設定すること、
を含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項14】
前記ビット書き込み線は、前記量子化ループ内に配置された超伝導量子干渉デバイス(SQUID)として構成された前記チューナブルエネルギー要素に誘導結合されている、請求項
9に記載の方法。
【請求項15】
前記ビット書き込み電流を供給することが、
前記書き込み動作中に前記第1方向に前記量子化電流を供給するために前記メモリセルシステムの前記ビット書き込み線に第1方向に前記ビット書き込み電流を供給すること、
前記書き込み動作中に前記第2方向に前記量子化電流を供給するために前記メモリセルシステムの前記ビット書き込み線に第2方向に前記ビット書き込み電流を供給すること、
を含む、請求項
9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、概して古典的および量子コンピューティングシステムに関し、具体的には量子化ループメモリセルシステムに関する。この出願は、2018年9月17日に出願された米国特許出願番号第16/133305の優先権を主張するものであり、その全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
超伝導デジタル技術は、これまでにない高速、低消費電力、および低動作温度の恩恵を受けるコンピューティングおよび/または通信リソースを供給するものとなっている。何十年もの間、超伝導デジタル技術は、論理回路に比べて十分な容量および速度を備えたランダムアクセスメモリ(RAM)を欠くものであった。これは、電気通信および信号インテリジェンスにおける超伝導技術の現在のアプリケーションの産業化に対する主な障害となっており、特にハイエンドの量子コンピューティングを妨げ得るものであった。超伝導メモリについて現在検討されているすべての概念は、超伝導誘導ループにおける磁束量子の量子化に基づくものとなっている。このようなメモリは、適切な歩留まりを有するファウンドリプロセス下で高速レジスタファイルに容易に適合可能となるが、基本的に誘導ループのサイズによって制限されるため相補型金属酸化膜半導体(CMOS)の集積密度を達成することはできない。1つのハイブリッドメモリソリューションとして、メモリコアがCMOS技術を実装してビット線検出がジョセフソンデバイスで行われるものが提案されている。しかしながら、このような構成では、標準のCMOSよりも名目上高い性能しか得られず、極低温環境では比較的高い電力損失が発生する。
【発明の概要】
【0003】
一実施例は、第1の記憶メモリ状態に対応する第1方向に量子化電流を伝導するとともに、第2の記憶メモリ状態に対応する第2方向に量子化電流を伝導する量子化ループを含んだメモリセルシステムを含む。また、システムは、記憶メモリ状態の第1および第2状態の各々で量子化ループの実質一定の磁束バイアスを供給するように構成されたバイアス要素を含む。記憶メモリ状態は、実質一定の磁束バイアスと、メモリセルシステムに供給される読み出し電流と、循環する量子化電流とに応答して、メモリセルシステムから読み出すことができる。システムはさらに、メモリセルシステムに供給される書き込み電流に応答して記憶メモリ状態を第1状態と第2状態との間で変更するためのチューナブルエネルギー要素を含む。
【0004】
別の実施例は、メモリセルシステムを制御するための方法を含む。方法は、メモリセルシステムのビット書き込み線にビット書き込み電流を供給することであって、量子化ループに誘導結合されたビット書き込み線にビット書き込み電流を供給することを含む。方法は、メモリセルシステムのワード書き込み線にワード書き込み電流を供給することを含む。ワード書き込み線は、量子化ループの2つの量子状態間のエネルギー障壁を低減して量子化電流を供給するためのチューナブルエネルギー要素に誘導結合され得る。量子化電流は、メモリ書き込み動作でビット書き込み電流に基づき量子化ループの第1方向および第2方向のうちの一方に供給される。量子化電流の第1方向は、メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第1状態に対応し、量子化電流の第2方向は、メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第2状態の記憶に対応し得る。また、方法は、メモリセルシステムのワード読み出し線にワード読み出し電流を供給することを含む。ワード読み出し線は、少なくとも1つのジョセフソン接合に誘導結合され得る。方法はさらに、メモリセルシステムのビット読み出し線にビット読み出し電流を供給して、量子化電流の第1方向に応答して少なくとも1つのジョセフソン接合をトリガすることによりメモリ読み出し動作において第1状態を示し、量子化電流の第2方向に応答して少なくとも1つのジョセフソン接合をトリガしないことによりメモリ読み出し動作において第2状態を示すことを含む。
【0005】
別の実施例は、行および列に配置されたメモリセルシステムのアレイを備えたメモリアレイを含む。各メモリセルシステムは、メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第1状態の記憶に対応する第1方向に量子化電流を伝導するとともに、メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第2状態の記憶に対応した第1方向とは反対の第2方向に量子化電流を伝導するように構成された量子化ループを含む。また、各メモリセルシステムは、対応する行の各メモリセルシステムに関連付けられたワード書き込み線に供給されるワード書き込み電流と、対応する列の各メモリセルシステムに関連付けられたビット書き込み線に供給されるビット書き込み電流とに応答して、記憶メモリ状態を第1状態と第2状態との間で変更するための量子化ループ内のチューナブルエネルギー要素を含む。各メモリセルシステムはさらに、記憶メモリ状態の第1および第2状態の各々において量子化ループの第1方向に量子化ループの実質一定の磁束バイアスを供給するように構成されたバイアス要素を含む。記憶メモリ状態は、実質一定の磁束バイアスと、対応する行の各メモリセルシステムに関連付けられたワード読み出し線に供給されるワード読み出し電流と、対応する列の各メモリセルシステムに関連付けられたビット読み出し線に供給されるビット読み出し電流とに応答して、メモリセルシステムから読み出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図13】メモリセルシステムを制御する方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
この開示は、概して古典的および量子コンピューティングシステムに関し、具体的には量子化ループメモリセルシステムに関する。メモリセルシステムは、記憶メモリ状態に対応する電流方向を有する量子化電流を伝導するように構成された量子化ループを含む。記憶メモリ状態は、第1状態(例えば、論理1状態)に対応する第1方向を有する量子化電流に対応し得るか、または第2状態(例えば、論理0状態)に対応した第1方向とは反対の第2方向を有する量子化電流に対応し得る。また、メモリセルシステムは、量子化ループの各部分であるバイアス要素とチューナブルエネルギー要素とを含み得る。バイアス要素は、量子化ループの第1方向に実質一定の磁束バイアスを供給するように構成されている。一例として、バイアス要素は、実質的に常にπ状態に配置されたヒステリシス磁気ジョセフソン接合(HMJJ)として構成されることにより、量子化ループの第1方向に超伝導相を提供し得る。別の例として、バイアス要素は、実質一定の磁束バイアスとして電流を誘導的に供給するように構成された変圧器の二次巻線として構成され得る。メモリセルシステムの記憶メモリ状態は、読み出し電流と実質一定の磁束バイアスとに応答してメモリセルシステムから読み出され得る。例えば、読み出し電流は、メモリアレイのメモリセルシステムの行に関連付けられたワード読み出し線に供給されるワード読み出し電流と、メモリアレイのメモリセルシステムの列に関連付けられたビット読み出し線に供給されるビット読み出し電流とを含み得る。
【0008】
チューナブルエネルギー要素は、書き込み電流に応答して量子化ループのエネルギーレベルに影響を及ぼすことにより記憶メモリ状態を第1状態と第2状態との間で設定し、これにより電流方向を第1方向と第2方向との間で設定するように構成されている。例えば、チューナブルエネルギー要素は、書き込み電流に応答して量子化ループの2つの量子状態間のエネルギー障壁を低減することで第1方向および第2方向のうちの一方に量子化電流を供給するチューナブル超伝導量子干渉デバイス(SQUID)として構成され得る。別の例として、チューナブルエネルギー要素は、2層合成反強磁性体(SAF)HMJJとして構成されたバイアス要素の磁気状態を設定可能な磁場発生器に対応し得る。これにより、バイアス要素の磁気状態を書き込み動作中に一時的に変更して量子化ループの状態を変更することができる。
【0009】
図1は、メモリセルシステム10の一例を示している。メモリセルシステム10は、データを記憶する古典的および/または量子コンピュータシステムなどの、種々の異なるアプリケーションのいずれかに実装され得る。例えば、メモリセルシステム10は、行および列に配置されたメモリセルのアレイのうちの1つのメモリセルとすることができ、アレイは、データの複数ワードを記憶するように構成することができる。
【0010】
メモリセルシステム10は、記憶メモリ状態に対応する電流方向を有する量子化電流を伝導するように構成された量子化ループ12を含む。記憶メモリ状態は、第1状態(例えば、論理1状態)に対応する第1方向を有する量子化電流に対応し得るか、または第2状態(例えば、論理0状態)に対応した第1方向とは反対の第2方向を有する量子化電流に対応し得る。また、メモリセルシステム10はバイアス要素14を含む。一例として、バイアス要素14は、量子化電流がバイアス要素14を流れるように量子化ループの一部を形成し得る。バイアス要素14は、量子化ループの第1方向に実質一定の磁束バイアスを供給するように構成されている。一例として、バイアス要素14は、実質的に常にπ状態に配置されたヒステリシス磁気ジョセフソン接合(HMJJ)として構成されることにより、量子化ループの第1方向に超伝導相を提供し得る。別の例として、バイアス要素14は、実質一定の磁束バイアスとして電流を誘導的に供給するように構成された変圧器の二次巻線として構成され得る。
【0011】
メモリセルシステム10はさらに、チューナブルエネルギー要素16を含む。チューナブルエネルギー要素16は、少なくとも1つの書き込み電流に応答して量子化ループ12のエネルギーレベルに影響を及ぼすことにより第1方向と第2方向との間で電流方向を設定して、記憶メモリ状態を第1状態と第2状態との間で設定する。
図1の例では、書き込み電流はワード書き込み電流WLWおよびビット書き込み電流BLWとして示されている。一例として、ワード書き込み電流WLWは、関連するメモリアレイの行におけるすべてのメモリセルシステム10に関連付けられたワード書き込み線に供給され、ビット書き込み電流BLWは、関連するメモリアレイの列におけるすべてのメモリセルシステム10に関連付けられたビット書き込み線に供給され得る。
【0012】
一例として、チューナブルエネルギー要素16は、書き込み電流WLW,BLWに応答して量子化ループの2つの量子状態間のエネルギー障壁を低減することにより第1方向および第2方向のうちの一方に量子化電流を供給するチューナブル超伝導量子干渉デバイス(SQUID)として構成され得る。別の例として、チューナブルエネルギー要素16は、2層合成反強磁性体(SAF)HMJJとして構成されたバイアス要素14の磁気状態を設定可能な磁場発生器に対応し得る。したがって、2層SAF_HMJJとして配置されたバイアス要素14の磁気状態を変更する磁場発生器としてチューナブルエネルギー素子16が構成されている例では、書き込み動作中にバイアス要素14の磁気状態を一時的に変更して量子化ループ12の状態を変更することができる。
【0013】
メモリセルシステム10の記憶メモリ状態は、少なくとも1つの読み出し電流と、バイアス要素14によって供給される実質一定の磁束バイアスとに応答して、メモリセルシステム10から読み出され得る。
図1の例では、読み出し電流は、メモリアレイのメモリセルシステム10の行に関連付けられたワード読み出し線に供給されるワード読み出し電流WLR、およびメモリアレイのメモリセルシステム10の列に関連付けられたビット読み出し線に供給されるビット読み出し電流BLRとして示されている。一例として、実質一定の磁束バイアスは、量子化電流の電流方向と組み合わせられることで、ワード読み出し電流WLRとビット読み出し電流BLRとに基づいてメモリセルシステム10の記憶メモリ状態を示すことができる。
【0014】
例えば、実質一定の磁束バイアスと同じ電流方向にある量子化電流の第1電流方向において、量子化電流と実質一定の磁束バイアスとを加算的に組み合わせることで、メモリセルシステム10に関連付けられた少なくとも1つのジョセフソン接合にバイアスを印加することができる。これにより、少なくとも1つのジョセフソン接合がワード読み出し電流WLRとビット読み出し電流BLRに応答してトリガされて、その少なくとも1つのジョセフソン接合が電圧状態に入ることが、関連するメモリアレイに関連付けられたセンスレジスタによって検出されることなどに基づいて、メモリセルシステム10の記憶磁気状態の第1状態(例えば、論理1)を示すことができる。別の例として、実質一定の磁束バイアスと反対の電流方向にある量子化電流の第2電流方向において、量子化電流と実質一定の磁束バイアスとを減算的に組み合わせることで、メモリセルシステム10に関連付けられた少なくとも1つのジョセフソン接合のバイアスを減少させることができる。これにより、少なくとも1つのジョセフソン接合がワード読み出し電流WLRとビット読み出し電流BLRに応答してトリガされずに、その少なくとも1つのジョセフソン接合が電圧状態に入っていないことが、関連するメモリアレイに関連付けられたセンスレジスタによって検出されることなどに基づいて、メモリセルシステム10の記憶磁気状態の第2状態(例えば、論理0)を示すことができる。
【0015】
したがって、本明細書で説明されるように、メモリセルシステム10は、バイアス要素14を受動回路要素として、または、メモリ状態を記憶するためにラッチまたはラッチ解除されるヒステリシス磁気ジョセフソン接合デバイスなど(一般的なジョセフソン磁気ランダムアクセスメモリ(JMRAM)など)の他のメモリセルと比べて単純な方法でメモリ状態の記憶を容易にするフィールドチューナブル要素としてバイアス要素14を実装する。例えば、JMRAMなどの一般的なHMJJベースのメモリセルシステムでは、磁気スピンバルブはHMJJの障壁として実装され、メモリ状態はスピンバルブ層モーメントのラッチされた並列または逆並列配置で記憶される。このようなラッチは、HMJJにゼロまたはπ相シフトを供給するために磁性層厚さの慎重なかつ特定の調整を必要とし、HMJJの一方の層を低印加磁場で切り替え可能としつつ、HMJJの他方の相が固定されて磁場の影響を受けないことが必要とされる。このような要件は、JMRAMシステムのHMJJの最適化を複雑にし得る。しかしながら、バイアス要素14を受動回路要素またはフィールドチューナブル要素として実装することにより、磁気メモリセルシステム10は、メモリセルシステム10へのデータの書き込みおよびメモリセルシステム10からのデータの読み出しの望ましい動作マージンを維持しながら、はるかに単純な最適化基準で動作することができる。
【0016】
図2は、メモリセルシステム50の別の例を示している。メモリセルシステム50は、
図1の例のメモリセルシステム10に対応し得るものであり、行および列に配置されたメモリセルのアレイの1つのメモリセルであり得る。
【0017】
メモリセルシステム50は、第1変圧器T1および第2変圧器T2を含み、第1変圧器T1は一次巻線L1および二次巻線L2を含み、第2変圧器T2は一次巻線L3および二次巻線L4を含む。一次巻線L1,L3は、メモリセルシステム50にメモリ状態を記憶するための書き込み動作中に供給されるビット書き込み電流BLWを伝搬するように構成されている。ビット書き込み線がメモリアレイにおけるメモリセルシステム50の列内の各メモリセルシステム50に関連付けられることにより、ビット書き込み電流BLWが書き込み動作中にその列内の各メモリセルシステム50の一次インダクタL1,L3に同時に供給され得る。二次巻線L2,L4は、書き込み動作中にビット書き込み電流BLWに応答して電流を誘導的に伝導するように構成されている。
【0018】
また、メモリセルシステム50は、HMJJ_JJ
B1を含む。HMJJ_JJ
B1は、
図1の例のバイアス要素14に対応し得るものであり、
図2の例では、実質一定の磁束バイアスに相当し得る電流I
πを供給するものとして示されている。例えば、HMJJ_JJ
B1が一定のπ状態に設定されることにより、電流I
πに関連する実質一定の磁束バイアスが超伝導相に対応し得るものとなり実質的に常に供給される。本明細書に記載される「超伝導相」という用語は、HMJJ_JJ
B1が一定のπ状態に設定されることによりHMJJ_JJ
B1によって供給される自発的超電流に対応し、この超電流は、インダクタンス項で割った内部超伝導体磁束量子に基づく振幅を有する(例えば、振幅は、インダクタンス項で割った磁束量子の1/2とすることができる)。
【0019】
図2の例では、メモリセルシステム50はさらに、一対の並列なジョセフソン接合JJ
T1,JJ
T2によって形成されるとともにHMJJ_JJ
B1と直列に配置されたSQUID52を含む。SQUID52は、本明細書で詳細に説明されるように、
図1の例のチューナブルエネルギー要素16に対応し得る。
図2の例では、SQUID52およびHMJJ_JJ
B1の直列配置は変圧器T
1,T
2のそれぞれ二次巻線L
2,L
4と並列であり、記憶メモリ状態に対応した電流方向を有する量子化電流を伝導するように構成された量子化ループ54を形成する。量子化ループ54は、
図1の例の量子化ループ12に対応し得るものであり、第1状態(例えば、論理1状態)に対応する第1方向、または第2状態(例えば、論理0状態)に対応した第1方向とは反対の第2方向のいずれかを有し得る。
【0020】
SQUID52は、ワード書き込み電流WLWを伝搬するように構成されたワード書き込み線に誘導結合されるものとして示されている。
図2の例では、誘導結合は56で示されている。一例として、ワード書き込み線がメモリアレイにおけるメモリセルシステム50の行内の各メモリセルシステム50に関連付けられることにより、ワード書き込み電流WLWが書き込み動作中にその行内の各メモリセルシステム50のSQUID52に同時に誘導結合され得る。本明細書で詳細に説明されるように、ワード書き込み電流WLWは、SQUID52に電流を誘導して書き込み動作中に量子化ループ54のエネルギー障壁を低減するように構成され得る。ワード書き込み電流WLWに基づくエネルギー障壁の低減の結果として、ビット書き込み電流BLWの状態に応答して、量子化ループ54は、記憶メモリ状態の第1状態(例えば、論理1)に対応した第1方向、または記憶メモリ状態の第2状態(例えば、論理0)に対応した第2方向のいずれかに量子化電流I
Qを伝導するように構成され得る。
【0021】
メモリセルシステム50はさらに、バイアス要素14とHMJJ_JJ
B1との直列組み合わせとインダクタL
2,L
4の直列組み合わせとの並列組み合わせと直列に配置された一対のジョセフソン接合JJ
1,JJ
2を含む。ジョセフソン接合JJ
1,JJ
2は、メモリセルシステム50の記憶メモリ状態を示すために読み出し動作中にトリガされるまたはトリガされないように構成され得る。
図2の例では、ビット読み出し線は、変圧器T
1,T
2の二次巻線L
2,L
4間のノード58に設けられるとともに、ジョセフソン接合JJ
1,JJ
2間のノード60から延在している。ビット読み出し線は、例えば、実質的に常に供給され得るビット読み出し電流BLRを伝搬するように構成され得る。一例として、ビット読み出し線がメモリアレイにおけるメモリセルシステム50の列内の各メモリセルシステム50に関連付けられることにより、ビット読み出し電流BLRが読み出し動作中に各メモリセルシステム50に同時に供給され得る。
【0022】
また、ワード読み出し電流WLRを伝搬するワード読み出し線は、62で示されるようにノード60に誘導結合されている。したがって、ワード読み出し電流WLRは、読み出し動作中にジョセフソン接合JJ1,JJ2にバイアス電流を誘導的に供給し得る。一例として、ワード読み出し線がメモリアレイにおけるメモリセルシステム50の行内の各メモリセルシステム50に関連付けられることにより、ワード読み出し電流WLRが読み出し動作中にその行内の各メモリセルシステム50のジョセフソン接合JJ1,JJ2に対して同時にバイアス電流を誘導的に供給し得る。これにより、メモリセルシステム50の記憶メモリ状態が、ワード読み出し電流WLRとビット読み出し電流BLRとに応答して、HMJJ_JJB1によって供給される実質一定の磁束バイアスとSQUID52の状態とに基づいて、メモリセルシステム50から読み出され得る。
【0023】
図3は、メモリセル50の例示的な
図100を示している。したがって、以下の
図3の例の説明では、
図2の例を参照する。
図3の例では、量子化電流I
Qは、反時計回り方向で示される第1方向に量子化ループ54内を流れるものとして示されている。メモリセルシステム50は超伝導環境で動作することができるため、量子化電流I
Qは、ゼロ抵抗超伝導量子化ループ54内で絶えず流れる超伝導電流であり得る。
【0024】
図3の例では、量子化電流I
Qの反時計回りの電流方向は、実質一定の磁束バイアスI
πと同じ電流方向に供給される。したがって、量子化電流I
Qと実質一定の磁束バイアスI
πとが加算的に組み合せられることで、ジョセフソン接合JJ
1,JJ
2にバイアスを印加することができる。したがって、読み出し動作中に、ワード読み出し電流WLRは、SQUID52、HMJJ_JJ
B1、およびジョセフソン接合JJ
1,JJ
2によって形成されるループに電流を誘導することができる。例えば、ワード読み出し電流WLRによって誘導された電流は、SQUID52、HMJJ_JJ
B1、およびジョセフソン接合JJ
1,JJ
2によって形成されるループに時計回りの電流を供給することができる。したがって、ワード読み出し電流WLRによって誘導された電流が、ビット読み出し電流BLR、ならびに加算的に組み合わせられた量子化電流I
Qおよび実質一定の磁束バイアスI
πと組み合わせられたとき、ジョセフソン接合JJ
1,JJ
2がトリガされてそれらが電圧状態になる。この電圧状態がセンスレジスタなどによってビット読み出し線上で検出されることで、メモリセルシステム50の第1の記憶メモリ状態(例えば、論理1)を検出することができる。
【0025】
図4は、メモリセル50の例示的な
図150を示している。したがって、以下の
図4の例の説明では、
図2の例を参照する。
図4の例では、量子化電流I
Qは、時計回り方向で示される第2方向に量子化ループ54内を流れるものとして示されている。上記と同様に、量子化電流I
Qは、ゼロ抵抗超伝導量子化ループ54内で絶えず流れる超伝導電流であり得る。
【0026】
図4の例では、量子化電流I
Qの時計回りの電流方向は、実質一定の磁束バイアスI
πとは反対の電流方向に供給される。また、本明細書で詳細に説明されるように、ワード書き込み電流WLWとビット書き込み電流BLWの電流方向との適用に基づいて書き込み動作中の量子化電流I
Qの方向を設定することにより、SQUID52は、実質一定の磁束バイアスI
πに対して反対方向の磁束量子バイアスI
FQを有し得る。一例として、磁束量子バイアスI
FQと実質一定の磁束バイアスI
πとが互いにほぼ等しい反対の振幅を有することにより、量子化電流I
Qは、実質一定の磁束バイアスI
πの振幅の約2倍の振幅を有することができる。したがって、量子化電流I
Qと実質一定の磁束バイアスI
πとが減算的に組み合わせられることで、ジョセフソン接合JJ
1,JJ
2のバイアスを低減することができる。したがって、読み出し動作中に、ワード読み出し電流WLRは、SQUID52、HMJJ_JJ
B1、およびジョセフソン接合JJ
1,JJ
2によって形成されるループに電流を誘導することができる。例えば、ワード読み出し電流WLRによって誘導された電流は、SQUID52、HMJJ_JJ
B1、およびジョセフソン接合JJ
1,JJ
2によって形成されるループに時計回りの電流を供給することができる。したがって、ワード読み出し電流WLRによって誘導された電流が、ビット読み出し電流BLR、ならびに量子化電流I
Qと実質一定の磁束バイアスI
πとの組み合わせと組み合わせられたとき、ジョセフソン接合JJ
1,JJ
2はトリガされない。したがって、ジョセフソン接合JJ
1,JJ
2は電圧状態にならない。その結果、ほぼゼロの電圧がセンスレジスタなどによってビット読み出し線上で検出されることで、メモリセルシステム50の第2の記憶メモリ状態(例えば、論理0)を検出することができる。
【0027】
図5は、メモリ書き込み動作の例示的な
図200を示している。
図200は、X軸上の相Φの関数としてプロットされたY軸上のエネルギーEの一連のグラフを示している。一例として、
図200は、メモリセルシステム50が、記憶メモリ状態の第2状態(例えば、論理0)から記憶メモリ状態の第1状態(例えば、論理1)に変化するシーケンスを示している。
図200は、書き込み動作のシーケンスにおける第1ステップ202、第2ステップ204、第3ステップ206、第4ステップ208、および第5ステップ209の各々のグラフを示している。各ステップ202,204,206,208,209において、グラフは、相エネルギー曲線210を含む。
【0028】
第1ステップ202において、相エネルギー曲線210は、障壁216によって分離された第1ウェル212および第2ウェル214を含む。第1および第2ウェル212,214は各々ほぼ等しいエネルギーE
1を有しており、障壁216は、エネルギーE
1よりも大きいエネルギーE
2を有している。したがって、218で示される量子化ループ54のエネルギー状態は、
図4の例に示されるような量子化電流I
Qの時計回りの電流方向を表し得る相Φ
1で実質的に安定している。したがって、第1ステップ202は、相Φ
1で実質的に安定したエネルギー状態218、すなわちメモリセルシステム50の記憶メモリ状態の安定した第2状態を示している。
【0029】
第2ステップ204は、第1方向にビット書き込み電流BLWを印加したことによる量子化ループ54における誘導電流の効果を示し得る。
図5の例では、第2ステップ204は、相エネルギー曲線210が第1方向に「傾く」ことにより、第1ウェル212のエネルギーがエネルギーE
4に増加し、第2ウェル214のエネルギーがエネルギーE
4よりも小さいエネルギーE
5に減少することを示している。したがって、第1および第2ウェル212,214の相対エネルギーレベルは分離されている。しかしながら、第2ステップ204の間、量子化ループ54のエネルギー状態218は、第1および第2ウェル212,214間の障壁216のために相Φ
1のままである。相エネルギー曲線210の傾きは、ビット書き込み電流BLWが印加されている間維持され得る。
【0030】
第3ステップ206は、ワード書き込み電流WLWを印加したことによるチューナブルエネルギー要素(例えば、SQUID52)における誘導電流の効果を示し得る。
図5の例では、第3ステップ206は、相エネルギー曲線210の障壁216が減少することにより、障壁216がエネルギーE
6に減少することを示しており、このエネルギーE
6は、エネルギーE
4よりも小さくエネルギーE
5よりも大きなものとなり得る。その結果、障壁216は、第1および第2ウェル212,214を分離しないものとなる。したがって、量子化ループ54のエネルギー状態218は、矢印220によって示されるようにエネルギーE
4からエネルギーE
5に減少し、これにより、相が相Φ
1から相Φ
2に増加する。
【0031】
第4ステップ208は、ワード書き込み電流WLWの印加を停止したことによるチューナブルエネルギー要素(例えば、SQUID52)における誘導電流の停止を示し得る。
図5の例では、第4ステップ208は、相エネルギー曲線210の障壁216がほぼエネルギーE
3に増加して復帰する、すなわち、エネルギーレベルE
4,E
5よりも大きなエネルギーに増加することを示している。したがって、量子化ループ54のエネルギー状態218は、
図3の例に示されるような量子化電流I
Qの反時計回りの電流方向を表し得る相Φ
2で実質的に安定している。第5ステップ209は、ビット書き込み電流BLWの印加の停止を示し得る。相エネルギー曲線210は、第1ステップ202で示された公称安定状態に戻る。したがって、第5ステップ209は、相Φ
2で実質的に安定したエネルギー状態218、すなわちメモリセルシステム50の記憶メモリ状態の安定した第1状態を示している。
【0032】
図6は、メモリ書き込み動作の例示的な
図250を示している。
図5の例と同様に、
図250は、X軸上の相Φの関数としてプロットされたY軸上のエネルギーEの一連のグラフを示している。一例として、
図250は、メモリセルシステム50が、記憶メモリ状態の第1状態(例えば、論理1)から記憶メモリ状態の第2状態(例えば、論理0)に変化するシーケンスを示している。
図250は、書き込み動作のシーケンスにおける第1ステップ252、第2ステップ254、第3ステップ256、第4ステップ258、および第5ステップ259の各々のグラフを示している。各ステップ252,254,256,258,259において、グラフは相エネルギー曲線260を含む。
【0033】
第1ステップ252において、相エネルギー曲線260は、障壁266によって分離された第1ウェル262および第2ウェル264を含む。第1および第2ウェル262,264は各々ほぼ等しいエネルギーE
4を有しており、障壁266はエネルギーE
4よりも大きなエネルギーE
3を有している。したがって、268で示された量子化ループ54のエネルギー状態は、
図3の例に示されるような量子化電流I
Qの反時計回りの電流方向を表し得る相Φ
2で実質的に安定している。したがって、第1ステップ252は、相Φ
2で実質的に安定したエネルギー状態268、すなわちメモリセルシステム50の記憶メモリ状態の安定した第1状態を示している。
【0034】
第2ステップ254は、第1方向とは反対の第2方向へビット書き込み電流BLWを印加したことによる(
図5の例の第2ステップ204で提示されるように)量子化ループ54における誘導電流の効果を示し得る。
図6の例では、第2ステップ254は、相エネルギー曲線260が第1方向とは反対の第2方向に「傾く」ことにより(
図5の例における第2ステップ204で提示されるように)、第1ウェル262のエネルギーがエネルギーE
1に減少し、第2ウェル264のエネルギーがエネルギーE
1よりも大きなエネルギーE
2に増加する。したがって、第1および第2ウェル262,264の相対エネルギーレベルは分離されている。しかしながら、第2ステップ254の間、量子化ループ54のエネルギー状態268は、第1および第2ウェル262,264間の障壁266のために相Φ
2のままである。
【0035】
第3ステップ256は、ワード書き込み電流WLWを印加したことによるチューナブルエネルギー要素(例えば、SQUID52)における誘導電流の効果を示し得る。
図6の例では、第3ステップ256は、相エネルギー曲線260の障壁266が減少することにより、障壁266がエネルギーE
6に減少することを示しており、このエネルギーE
6は、エネルギーE
2よりも小さくエネルギーE
1よりも大きなものとなり得る。その結果、障壁266は、第1および第2ウェル262,264を分離しないものとなる。したがって、量子化ループ54のエネルギー状態268は、矢印270によって示されるようにエネルギーE
2からエネルギーE
1に減少し、これにより、相が相Φ
2から相Φ
1に減少する。
【0036】
第4ステップ258は、ワード書き込み電流WLWの印加を停止したことによるチューナブルエネルギー要素(例えば、SQUID52)における誘導電流の停止を示し得る。
図6の例では、第4ステップ258は、相エネルギー曲線260の障壁266がほぼエネルギーE
3に増加して復帰する、すなわち、エネルギーレベルE
1,E
2よりも大きなエネルギーに増加することを示している。したがって、量子化ループ54のエネルギー状態268は、
図4の例に示されるような量子化電流I
Qの時計回りの電流方向を表し得る相Φ
1で実質的に安定している。第5ステップ259は、ビット書き込み電流BLWの印加の停止を示し得る。相エネルギー曲線260は、第1ステップ252で示された公称安定状態に戻る。したがって、第5ステップ259は、相Φ
1で実質的に安定したエネルギー状態268、すなわちメモリセルシステム50の記憶メモリ状態の安定した第1状態を示している。
【0037】
図7は、メモリセルシステム300の別の例を示している。メモリセルシステム300は、
図1の例のメモリセルシステム10に対応し得るものであり、行および列に配置されたメモリセルのアレイの1つのメモリセルであり得る。
【0038】
メモリセルシステム300は、第1変圧器T1および第2変圧器T2を含み、第1変圧器T1は一次巻線L1および二次巻線L2を含み、第2変圧器T2は一次巻線L3および二次巻線L4を含む。一次巻線L1,L3は、メモリセルシステム300にメモリ状態を記憶するための書き込み動作中に供給されるビット書き込み電流BLWを伝搬するように構成されている。ビット書き込み線がメモリアレイにおけるメモリセルシステム300の列内の各メモリセルシステム300に関連付けられることにより、ビット書き込み電流BLWが書き込み動作中にその列内の各メモリセルシステム300の一次インダクタL1,L3に同時に供給され得る。二次巻線L2,L4は、書き込み動作中にビット書き込み電流BLWに応答して電流を誘導的に伝導するように構成されている。
【0039】
また、メモリセルシステム300は第3変圧器T
3を含み、この第3変圧器T
3は一次巻線L
5および二次巻線L
6を含む。一次巻線L
5は、実質的に常に供給されるバイアス電流I
BIASを伝搬するように構成されている。したがって、二次巻線L
6は実質的に常に誘導電流を供給する。二次巻線L
6は、
図1の例のバイアス要素14に対応し得るものであり、
図7の例では、実質一定の誘導電流が実質一定の磁束バイアスに対応し得る電流I
πとして示されている。したがって、メモリセルシステム300は、二次巻線L
6を介して実質一定の磁束バイアスを供給するためにHMJJ_JJ
B1が変圧器T
3に置き換えられていることを除いて、
図2~
図4の例のメモリセルシステム50と実質的に同じに構成され得る。メモリセルシステム300は、一対の並列なジョセフソン接合JJ
T1,JJ
T2によって形成されるとともに二次巻線L
6と直列に配置されたSQUID302を含む。したがって、変圧器T
1,T
2のそれぞれ二次巻線L
2,L
4と並列にあるSQUID302および二次巻線L
6の直列配置は、上記と同様に、量子化電流I
Qを伝導するように構成された量子化ループ304を形成する。
【0040】
SQUID302は、ワード書き込み電流WLWを伝搬するように構成されたワード書き込み線に誘導結合されるものとして示されている。
図7の例では、誘導結合が306で示されている。一例として、ワード書き込み線がメモリアレイにおけるメモリセルシステム300の行内の各メモリセルシステム300に関連付けられることにより、ワード書き込み電流WLWが書き込み動作中にその行内の各メモリセルシステム300のSQUID302に同時に誘導結合され得る。本明細書で詳細に説明されるように、ワード書き込み電流WLWは、SQUID302に電流を誘導して書き込み動作中に量子化ループ304のエネルギー障壁を低減するように構成され得る。ワード書き込み電流WLWに基づくエネルギー障壁の低減の結果として、ビット書き込み電流BLWの状態に応答して、量子化ループ304は、記憶メモリ状態の第1状態(例えば、論理1)に対応した第1方向、または記憶メモリ状態の第2状態(例えば、論理0)に対応した第2方向のいずれかに量子化電流I
Qを伝導するように構成され得る。
【0041】
メモリセルシステム300はさらに、バイアス要素14とHMJJ_JJ
B1との直列組み合わせとインダクタL
2,L
4の直列組み合わせとの並列組み合わせと直列に配置された一対のジョセフソン接合JJ
1,JJ
2を含む。ジョセフソン接合JJ
1,JJ
2は、メモリセルシステム300の記憶メモリ状態を示すために読み出し動作中にトリガされるまたはトリガされないように構成され得る。
図7の例では、ビット読み出し線は、変圧器T
1,T
2の二次巻線L
2,L
4間のノード308に設けられるとともに、ジョセフソン接合JJ
1,JJ
2間のノード310から延在している。ビット読み出し線は、例えば、実質的に常に供給され得るビット読み出し電流BLRを伝搬するように構成され得る。一例として、ビット読み出し線がメモリアレイにおけるメモリセルシステム300の列内の各メモリセルシステム300に関連付けられることにより、ビット読み出し電流BLRが読み出し動作中にその列内の各メモリセルシステム300に同時に供給され得る。
【0042】
また、ワード読み出し電流WLRを伝搬するワード読み出し線が312で示されるようにノード310に誘導結合されている。したがって、ワード読み出し電流WLRは、読み出し動作中にジョセフソン接合JJ1,JJ2にバイアス電流を誘導的に供給し得る。一例として、ワード読み出し線がメモリアレイにおけるメモリセルシステム300の行内の各メモリセルシステム300に関連付けられることにより、ワード読み出し電流WLRが読み出し動作中にその行内の各メモリセルシステム300のジョセフソン接合JJ1,JJ2に同時にバイアス電流を誘導的に供給し得る。したがって、メモリセルシステム300の記憶メモリ状態は、ワード読み出し電流WLRおよびビット読み出し電流BLRに応答して、二次巻線L6によって供給される実質一定の磁束バイアスに基づいてメモリセルシステム300から読み出すことができる。
【0043】
例えば、メモリセルシステム300の記憶メモリ状態は、
図3および
図4の例で上記したものと実質的に同様な方法で読み出し動作中に読み出すことができる。同様に、メモリセルシステム300の記憶メモリ状態は、
図5および
図6の例で上記したものと実質的に同様な方法で書き込み動作中に書き込むことができる。
【0044】
図8は、メモリセルシステム350の別の例を示している。メモリセルシステム350は、
図1の例のメモリセルシステム10に対応し得るものであり、行および列に配置されたメモリセルのアレイの1つのメモリセルであり得る。
【0045】
メモリセルシステム350は、第1変圧器T1および第2変圧器T2を含み、第1変圧器T1は一次巻線L1および二次巻線L2を含み、第2変圧器T2は一次巻線L3および二次巻線L4を含む。一次巻線L1,L3は、メモリセルシステム350にメモリ状態を記憶するための書き込み動作中に供給されるビット書き込み電流BLWを伝搬するように構成されている。ビット書き込み線がメモリアレイにおけるメモリセルシステム350の列内の各メモリセルシステム350に関連付けられることにより、ビット書き込み電流BLWが書き込み動作中にその列内の各メモリセルシステム350の一次インダクタL1,L3に同時に供給され得る。二次巻線L2,L4は、書き込み動作中にビット書き込み電流BLWに応答して電流を誘導的に伝導するように構成されている。
【0046】
また、メモリセルシステム350は、二次巻線L
2,L
4と並列に配置されたHMJJ_JJ
B2を含む。HMJJ_JJ
B2は、
図1の例のバイアス要素14に対応し得るものであり、
図8の例では、実質一定の磁束バイアスに対応し得る電流I
πを供給するものとして示されている。例えば、HMJJ_JJ
B2が一定のπ状態に設定されることにより、電流I
πに関連する実質一定の磁束バイアスが超伝導相に対応し得るものとなり実質的に常に供給される。一例として、HMJJ_JJ
B2は、2層合成反強磁性体(SAF)HMJJとして構成され得るものであり、本明細書で詳細に説明されるように、直交磁場に応答して変更可能な磁気状態を有し得るものである。HMJJ_JJ
B2と変圧器T
1,T
2の二次巻線L
2,L
4との並列配置は、上記と同様に量子化電流I
Qを伝導するように構成された量子化ループ352を形成する。
【0047】
また、メモリセルシステム350は、HMJJ_JJB2の近位に配置された磁場要素354を含む。磁場要素354は、ワード書き込み電流WLWを伝搬するように構成されたワード書き込み線に結合されるものとして示されている。一例として、磁場要素354は、ワード書き込み電流WLWに応答して磁場を供給するように構成されたインダクタとして構成され得るものであり、磁場は、HMJJ_JJB2の端子に対して直交して配向されるとともに量子化ループ352に対して面内に配向される。例えば、ワード書き込み線がメモリアレイにおけるメモリセルシステム350の行内の各メモリセルシステム350に関連付けられることにより、ワード書き込み電流WLWが書き込み動作中にその行内の各メモリセルシステム350の磁場要素354に同時に供給され得る。
【0048】
本明細書で詳細に説明されるように、ワード書き込み電流WLWは、磁場発生器352を作動させて、HMJJ_JJ
B2に対して直交して供給される磁場を生成することにより、書き込み動作中の量子化ループ352のエネルギー障壁(例えば、
図5および
図6の各例における障壁216,266)を低減するように構成され得る。ワード書き込み電流WLWに基づくエネルギー障壁の低減の結果として、ビット書き込み電流BLWの状態に応答して、量子化ループ352は、記憶メモリ状態の第1状態(例えば、論理1)に対応した第1方向、または記憶メモリ状態の第2状態(例えば、論理0)に対応した第2方向のいずれかに量子化電流I
Qを伝導するように構成され得る。したがって、メモリセルシステム350は、HMJJ_JJ
B1が2層SAF_HMJJとして配置されたHMJJ_JJ
B2により置き換えられて実質一定の磁束バイアスを供給することを除いて、
図2~
図4の例のメモリセルシステム50と実質的に同様に構成することができ、SQUID52は磁場発生器352により置き換えることができる。
【0049】
メモリセルシステム350は、バイアス要素14とHMJJ_JJ
B1との直列組み合わせとインダクタL
2,L
4の直列組み合わせとの並列組み合わせと直列に配置された一対のジョセフソン接合JJ
1,JJ
2を含む。ジョセフソン接合JJ
1,JJ
2は、メモリセルシステム350の記憶メモリ状態を示すために読み出し動作中にトリガされるまたはトリガされないように構成され得る。
図8の例では、ビット読み出し線は、変圧器T
1,T
2の二次巻線L
2,L
4間のノード358に設けられるとともに、ジョセフソン接合JJ
1,JJ
2間のノード360から延在している。ビット読み出し線は、例えば、実質的に常に供給され得るビット読み出し電流BLRを伝搬するように構成され得る。一例として、ビット読み出し線がメモリアレイにおけるメモリセルシステム350の列内の各メモリセルシステム350に関連付けられることにより、ビット読み出し電流BLRが読み出し動作中にその列内の各メモリセルシステム350に同時に供給され得る。
【0050】
また、ワード読み出し電流WLRを伝搬するワード読み出し線はノード360に誘導的に結合されている。したがって、ワード読み出し電流WLRは、読み出し動作中にジョセフソン接合JJ
1,JJ
2にバイアス電流を誘導的に供給し得る。一例として、ワード読み出し線がメモリアレイにおけるメモリセルシステム350の行内の各メモリセルシステム350に関連付けられることにより、ワード読み出し電流WLRが読み出し動作中にその行内の各メモリセルシステム350のジョセフソン接合JJ
1,JJ
2に同時にバイアス電流を誘導的に供給し得るものとなる。したがって、メモリセルシステム350の記憶メモリ状態は、ワード読み出し電流WLRおよびビット読み出し電流BLRに応答して、HMJJ_JJ
B2によって供給される実質一定の磁束バイアスに基づいてメモリセルシステム350から読み出すことができる。例えば、メモリセルシステム350の記憶メモリ状態は、
図3および
図4の例で上記したものと実質的に同様な方法で読み出し動作中に読み出すことができる。
【0051】
図9は、メモリセル350の別の例示的な
図400を示している。
図400は、メモリセルシステム350を示しており、したがって、
図9の例の以下の説明では、
図8の例を参照する。上記のように、HMJJ_JJ
B2が2層SAF_HMJJとして構成されることで、HMJJ_JJ
B2の2つの層は互いに反平行方向に強く磁気的に結合され得るものとなる。一例として、HMJJ_JJ
B2のSAF層の厚さは、HMJJ_JJ
B2を介して供給されるほぼゼロの磁場でHMJJ_JJ
B2がπ状態になるように設定され得る。したがって、
図9の例は、HMJJ_JJ
B2を402で示しており、HMJJ_JJ
B2は反平行磁気結合を有している。
【0052】
図10は、メモリセル350の別の例示的な
図450を示している。
図450は、メモリセルシステム350を示しており、したがって、
図10の例の以下の説明では、
図8および
図9の例を参照する。
図10の例では、磁場要素354は、
図9の例で供給されるように、HMJJ_JJ
B2の反平行磁気結合と直交する方向に、452で示される磁場を生成するものとして示されている。したがって、
図10の例に示されるように、印加磁場452は、HMJJ_JJ
B2の層の磁場を、印加磁場452と実質的に整列させる。HMJJ_JJ
B2の層の磁場の整列は、最初にHMJJ_JJ
B2の臨界電流を減少させ、最終的に、十分に高い振幅を有する印加磁場452に応答して、HMJJ_JJ
B2はゼロ相状態に遷移することができる。
【0053】
HMJJ_JJ
B2のゼロ相状態は、
図5および
図6の例の205,206に示されるものと同様に、量子化ループ352の左右の循環電流の状態間のエネルギー障壁を除去する。結果として、メモリセルシステム350は、
図5および
図6の例に示されるものと実質的に同様に書き込むことができ、磁場要素354は、ワード書き込み電流WLWに応答して磁場452を供給することにより量子化ループ352の状態間のエネルギー障壁を低減する。磁場452を非活性化すると、HMJJ_JJ
B2は反平行π相構成に戻り、これにより(例えば、
図5および
図6のそれぞれの例における210,260で説明したものと同様に)相エネルギー曲線の二重ウェルポテンシャルを再確立する。したがって、印加磁場がない場合、HMJJ_JJ
B2は、上記と同様に、記憶メモリ状態の読み出しを容易にするために実質一定の磁束バイアスI
πを供給する。
【0054】
図11は、メモリセルシステム500の別の例を示している。メモリセルシステム500は、
図1の例のメモリセルシステム10に対応し得るものであり、行および列に配置されたメモリセルのアレイの1つのメモリセルであり得る。
【0055】
メモリセルシステム500は第1変圧器T1を含み、この第1変圧器T1は、一次巻線L1および二次巻線L2と、インダクタL4とを含む。一次巻線L1は、メモリセルシステム500にメモリ状態を記憶するための書き込み動作中に供給されるビット書き込み電流BLWを伝搬するように構成されている。ビット書き込み線がメモリアレイにおけるメモリセルシステム500の列内の各メモリセルシステム500に関連付けられることにより、ビット書き込み電流BLWが書き込み動作中にその列内の各メモリセルシステム500の一次インダクタL1に同時に供給され得る。二次巻線L2は、書き込み動作中にビット書き込み電流BLWに応答して誘導電流を伝導するように構成されている。
【0056】
また、メモリセルシステム500は、二次巻線L
2と並列に配置されたHMJJ_JJ
B3を含む。HMJJ_JJ
B3は、
図1の例のバイアス要素14に対応し得るものであり、
図11の例では、実質一定の磁束バイアスに対応し得る電流I
πを供給するものとして示されている。例えば、HMJJ_JJ
B3が一定のπ状態に設定されることにより、電流I
πに関連する実質一定の磁束バイアスが超伝導相に対応し得るものとなり実質的に常に供給される。一例として、HMJJ_JJ
B3は、
図2の例で説明したものと同様なHMJJとして、または
図8の例で説明したものと同様な2層SAF_HMJJとして構成され得る。
図11の例では、HHMJ_JJ
B3は、変圧器T
1の二次巻線L
2とインダクタL
4との間に配置されたノード508に結合されている。
【0057】
また、メモリセルシステム300は、一対の並列なジョセフソン接合JJ
T1,JJ
T2によって形成されるとともにHMJJ_JJ
B3と直列に配置されたSQUID502を含む。したがって、変圧器T
1の二次巻線L
2と並列にあるSQUID502およびHMJJ_JJ
B3の直列配置は、上記と同様に、量子化電流I
Qを伝導するように構成された量子化ループ504を形成する。SQUID502は、ワード書き込み電流WLWを伝搬するように構成されたワード書き込み線に誘導結合されるものとして示されている。
図11の例では、誘導結合が506で示されている。一例として、ワード書き込み線がメモリアレイにおけるメモリセルシステム300の行内の各メモリセルシステム500に関連付けられることにより、ワード書き込み電流WLWが書き込み動作中にその行内の各メモリセルシステム300のSQUID502に同時に誘導的に結合され得る。本明細書で詳細に説明されるように、ワード書き込み電流WLWは、SQUID502に電流を誘導して書き込み動作中に量子化ループ504のエネルギー障壁を低減するように構成され得る。ワード書き込み電流WLWに基づくエネルギー障壁の低減の結果として、ビット書き込み電流BLWの状態に応答して、量子化ループ504は、記憶メモリ状態の第1状態(例えば、論理1)に対応した第1方向、または記憶メモリ状態の第2状態(例えば、論理0)に対応した第2方向のいずれかに量子化電流I
Qを伝導するように構成され得る。
【0058】
メモリセルシステム500はさらに、変圧器T
1の二次巻線L
2とおよびインダクタL
4とに結合された一対のジョセフソン接合JJ
1,JJ
2を含む。ジョセフソン接合JJ
1,JJ
2は、メモリセルシステム500の記憶メモリ状態を示すために読み出し動作中にトリガされるまたはトリガされないように構成され得る。
図11の例では、ビット読み出し線は、変圧器T
1の二次巻線L
2とインダクタL
4との間のノード508に設けられるとともに、ジョセフソン接合JJ
1,JJ
2間のノード510から延在している。ビット読み出し線は、例えば、実質的に常に供給され得るビット読み出し電流BLRを伝搬するように構成され得る。一例として、ビット読み出し線がメモリアレイにおけるメモリセルシステム500の列内の各メモリセルシステム500に関連付けられることにより、ビット読み出し電流BLRが読み出し動作中にその列内の各メモリセルシステム500に同時に供給され得る。また、ワード読み出し電流WLRを伝搬するワード読み出し線が、512で示されているようにノード510に誘導結合されている。したがって、ワード読み出し電流WLRは、読み出し動作中にジョセフソン接合JJ
1,JJ
2にバイアス電流を誘導的に供給し得る。例えば、メモリセルシステム500の記憶メモリ状態は、
図3および
図4の例で上記したものと実質的に同様な方法で読み出し動作中に読み出すことができる。
【0059】
また、HMJJ_JJ
B3のノード508への結合に基づいて、ビット読み出し電流BLRが実質的に常に供給され得るため、メモリセルシステム500のメモリ状態をビット書き込み電流BLWの単方向の印加に基づいて書き込むことができる。例えば、ビット読み出し電流BLRが実質的に常に供給され、かつインダクタL
4は量子化ループ506の一部ではないため、
図2、
図7、および
図8の例に示されているように二次巻線L
2とインダクタL
4を介して実質的に等しく反対に供給されるものとは対照的に、ビット読み出し電流BLRは、量子化ループ504において正の単方向の電流成分を供給する。したがって、メモリ状態を書き込んで量子化ループ504の電流方向を設定することにより、第1方向へのビット書き込み電流BLWの印加に基づいて第1状態を書き込み、ビット書き込み電流BLWのゼロ振幅に基づいて第2状態を書き込むことができる。言い換えれば、ビット読み出し電流BLRは、単方向ビット書き込み電流BLWの反対方向に適切なバイアスを供給して量子化電流I
Qの第2の電流方向をもたらすことで記憶メモリ状態の第2状態を書き込む。
【0060】
図12は、本発明の一態様によるメモリシステム550の一例を示している。JMRAMシステム550は、種々のコンピューティング用途におけるメモリ構造として実装され得る。
【0061】
メモリシステム550は、
図12の例ではメモリセル552のアレイとして配置されるものとして示されている。具体的に、メモリセル552は、WORD1~WORDYとして示されるように、各々がデータワードに対応する行554に配置されており、ここで、Yは0よりも大きい整数である。各行554は、行554にわたってX列556を形成するメモリセル552のセットを含み、WORD1のメモリセル552は、
図12の例ではC
1~C
Xとして示されており、ここで、Xは0よりも大きい整数である。したがって、メモリシステム550のアレイ内の各メモリセル552は、行554および列556によって個別にアドレス指定可能であり得る。
【0062】
図12の例では、各行554は、関連するワード書き込み線558および関連するワード読み出し線560を有するものとして、それぞれWLW
1~WLW
YおよびWLR
1~WLR
Yで示されている。ワード書き込み線558およびワード読み出し線560は、メモリシステム550の各行554における各メモリセル552に誘導的および/または磁気的に結合され得る。また、各メモリセル552は、関連するビット書き込み線562および関連するビット読み出し線564を有するものとして、それぞれBLW
1~BLW
XおよびBLR
1~BLR
Xで示されている。ビット書き込み線562およびビット読み出し線564がメモリシステム550の各行554における対応する番号の各メモリセル552に結合されることにより、各列556のメモリセル552は、ビット書き込み線562およびビット読み出し線564に対して直列に配置されている。
図12の例は、ワード書き込み線558およびワード読み出し線560、ならびにビット書き込み線562およびビット読み出し線564が、それぞれの行および列において他の隣接するメモリセルと直列に配置されることを示しているが、これに代えて、ワード書き込み線558およびワード読み出し線560、ならびにビット書き込み線562およびビット読み出し線564を、各メモリセル552に対して専用のものとすることができる。
【0063】
各メモリセル552は、単一ビットのデータを記憶するように構成されている。具体的に、各メモリセル552は、バイナリ論理1またはバイナリ論理0に対応するデジタル状態を記憶するように構成され得る少なくとも1つの相ヒステリシス磁気ジョセフソン接合を含み得る。デジタル状態は、それぞれのワード書き込み線558に供給されるワード書き込み電流、およびそれぞれのビット書き込み線562に供給されるビット書き込み電流に応答して設定され得る。同様に、各メモリセル552に記憶されているそれぞれのデジタル状態は、行554の所与の1つを選択するためにそれぞれのワード読み出し線560に供給されるワード読み出し電流と、それぞれのビット読み出し線564に供給されるビット読み出し電流とに基づいてメモリセル552から読み出され得る。具体的に、各列556のビット読み出し線564はセンスレジスタ566に結合されており、このセンスレジスタ566は、それぞれのビット読み出し線564を測定することにより、関連する行554の各メモリセル552のデジタル状態が、データ読み出し動作中のワード読み出し電流とビット読み出し電流とに応答してバイナリ論理1状態に対応するのかまたはバイナリ論理0状態に対応するのかを決定するように構成されている。一例として、センスレジスタ566は、本明細書で詳細に説明されるように、ビット読み出し線564に関連する電圧または電流を測定し得る。
【0064】
上記の構造的および機能的特徴を考慮して、本発明の種々の態様による方法は、
図13を参照してより理解され得る。説明を簡単にするために、
図13の方法は、連続して実行するものとして図示され説明されているが、本発明は図示された順序によって制限されるものではなく、いくつかの態様が、本発明に従って、図示され本明細書に説明されるものとは異なる順序で生じ得るおよび/または他の態様と同時に生じ得ることが理解され得る。また、本発明の一態様による方法を実施するために、図示されたすべての特徴が必要とされるわけではない。
【0065】
図13は、メモリセルシステム(例えば、メモリセルシステム10)を制御する方法600の一例を示している。602において、ビット書き込み電流(例えば、ビット書き込み電流BLW)がメモリセルシステムのビット書き込み線に供給される。ビット書き込み線は量子化ループ(例えば、量子化ループ12)に誘導結合され得る。604において、ワード書き込み電流(例えば、ワード書き込み電流WLW)がメモリセルシステムのワード書き込み線に供給される。ワード書き込み線は、量子化ループの2つの量子状態間のエネルギー障壁を低減してメモリ書き込み動作でビット書き込み電流に基づき量子化ループの第1方向および第2方向のうちの一方に量子化電流(例えば、量子化電流I
Q)を供給するためのチューナブルエネルギー要素(例えば、チューナブルエネルギー要素16)に誘導結合され得る。量子化電流の第1方向は、メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第1状態に対応し、量子化電流の第2方向は、メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第2状態の記憶に対応し得る。606において、供給される。ワード読み出し線は、少なくとも1つのジョセフソン接合(例えば、ジョセフソン接合JJ
1,JJ
2)に誘導結合され得る。608において、ビット読み出し電流(例えば、ビット読み出し電流BLR)がメモリセルシステムのビット読み出し線に供給され、量子化電流の第1方向に応答して少なくとも1つのジョセフソン接合をトリガすることによりメモリ読み出し動作で第1状態を示し、量子化電流の第2方向に応答して少なくとも1つのジョセフソン接合をトリガしないことによりメモリ読み出し動作で第2状態を示す。
【0066】
上記の説明は本開示の例である。本開示を説明する目的で構成要素または方法の考えられるすべての組み合わせを説明することはもちろん不可能であるが、当業者であれば、本開示のさらなる多くの組み合わせおよび順列も可能であることを認識し得る。したがって、本開示は、特許請求の範囲を含む本出願の範囲内にあるそのようなすべての代替、変更、および変形を包含することを意図している。
本開示に含まれる技術的思想を以下に記載する。
(付記1)
メモリセルシステムであって、
前記メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第1状態の記憶に対応する第1方向に量子化電流を伝導するとともに、前記メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第2状態の記憶に対応した前記第1方向とは反対の第2方向に前記量子化電流を伝導するように構成された量子化ループと、
前記記憶メモリ状態の前記第1および第2状態の各々で前記量子化ループの実質一定の磁束バイアスを供給するように構成されたバイアス要素であって、前記実質一定の磁束バイアスと前記メモリセルシステムに供給される読み出し電流とに応答して前記記憶メモリ状態が前記メモリセルシステムから読み出される、前記バイアス要素と、
前記メモリセルシステムに供給される書き込み電流に応答して前記記憶メモリ状態を前記第1状態と前記第2状態との間で変更するためのチューナブルエネルギー要素と、
を備えるメモリセルシステム。
(付記2)
前記バイアス要素は、実質的に常にπ状態で配置されたヒステリシス磁気ジョセフソン接合(HMJJ)として構成されている、付記1に記載のメモリセルシステム。
(付記3)
前記HMJJが2層合成反強磁性体(SAF)HMJJとして構成されており、前記チューナブルエネルギー要素が、前記書き込み電流に応答して前記2層SAF_HMJJに対して直交磁場を供給することにより前記2層SAF_HMJJを一時的にゼロ状態に設定して前記記憶メモリ状態を前記第1状態と前記第2状態との間で変更するように構成された磁場発生器として構成されている、付記2に記載のメモリセルシステム。
(付記4)
前記書き込み電流が、前記磁場発生器に対するワード書き込み線に供給されるワード書き込み電流であり、前記メモリセルシステムがさらに、ビット書き込み電流を第1方向に伝導して前記記憶メモリ状態を前記第1状態に設定するとともに前記ビット書き込み電流を前記第1方向とは反対の第2方向に伝導して前記記憶メモリ状態を前記第2状態に設定するように構成されたビット書き込み線を備える、付記3に記載のメモリセルシステム。
(付記5)
前記バイアス要素が、前記量子化ループ内に直列に配置された変圧器の二次巻線として構成されており、バイアス電流を伝導するように構成された前記変圧器の一次巻線に誘導結合されている、付記1に記載のメモリセルシステム。
(付記6)
前記チューナブルエネルギー要素が、前記量子化ループ内の前記バイアス要素と直列に配置された超伝導量子干渉デバイス(SQUID)として構成されている、付記1に記載のメモリセルシステム。
(付記7)
前記書き込み電流が、前記SQUIDに誘導結合されたワード書き込み線に供給されるワード書き込み電流であり、前記メモリセルシステムがさらに、ビット書き込み電流を第1方向に伝導して前記記憶メモリ状態を前記第1状態に設定するとともに前記ビット書き込み電流を前記第1方向とは反対の第2方向に伝導して前記記憶メモリ状態を前記第2状態に設定するように構成されたビット書き込み線を備える、付記6に記載のメモリセルシステム。
(付記8)
前記書き込み電流が、前記チューナブルエネルギー要素に誘導結合されたワード書き込み線に供給されるワード書き込み電流であり、前記メモリセルシステムがさらに、第1インダクタと第2インダクタとを含むビット書き込み線を備えており、前記第1インダクタと前記第2インダクタは、前記バイアス要素に結合されて前記読み出し電流が供給されるノードによって相互接続されており、前記第1インダクタは、前記量子化ループに誘導結合されており、前記ビット書き込み線は、ビット書き込み電流を伝導することで前記記憶メモリ状態を前記第1状態に設定するとともに前記ビット書き込み電流を伝導しないことで前記記憶メモリ状態を前記第2状態に設定するように構成されている、付記1に記載のメモリセルシステム。
(付記9)
少なくとも1つのジョセフソン接合をさらに備えており、前記量子化ループの前記第1方向に前記量子化電流が供給されるときに前記量子化電流により前記少なくとも1つのジョセフソン接合にバイアスが印加され、前記少なくとも1つのジョセフソン接合は、前記読み出し電流および前記第1方向の前記量子化電流に応答して電圧を供給するようにトリガされることで前記記憶メモリ状態の前記第1状態を示し、前記読み出し電流および前記第2方向の前記量子化電流に応答してトリガされないことで前記記憶メモリ状態の前記第2状態を示すように構成されている、付記1に記載のメモリセルシステム。
(付記10)
付記1に記載の前記メモリセルシステムを含むメモリセルシステムのアレイを備えたメモリアレイであって、前記メモリセルシステムのアレイは行および列に配置されており、前記書き込み電流が、前記メモリセルシステムのアレイの各行に関連付けられたワード書き込み線に供給されるワード書き込み電流であり、前記メモリセルシステムのアレイの各列に関連付けられたビット書き込み線にはビット書き込み電流が供給され、前記読み出し電流が、前記各列に関連付けられたビット読み出し線に供給されるビット読み出し電流であり、ワード読み出し電流が前記各行に関連付けられている、メモリアレイ。
(付記11)
メモリセルシステムを制御するための方法であって、
前記メモリセルシステムのビット書き込み線にビット書き込み電流を供給することであって、量子化ループに誘導結合された前記ビット書き込み線に前記ビット書き込み電流を供給すること、
前記メモリセルシステムのワード書き込み線にワード書き込み電流を供給することであって、前記ワード書き込み線は、前記量子化ループの2つの量子状態間のエネルギー障壁を低減して量子化電流を供給するためのチューナブルエネルギー要素に誘導結合されており、前記量子化電流は、メモリ書き込み動作で前記ビット書き込み電流に基づき前記量子化ループ内に第1方向および第2方向のうちの一方に供給され、前記量子化電流の前記第1方向が前記メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第1状態に対応し、前記量子化電流の第2方向が前記メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第2状態の記憶に対応する、前記ワード書き込み線に前記ワード書き込み電流を供給すること、
前記メモリセルシステムのワード読み出し線にワード読み出し電流を供給することであって、少なくとも1つのジョセフソン接合に誘導結合された前記ワード読み出し線に前記ワード読み出し電流を供給すること、
前記メモリセルシステムのビット読み出し線にビット読み出し電流を供給することであって、前記量子化電流の前記第1方向に応答して前記少なくとも1つのジョセフソン接合をトリガすることによりメモリ読み出し動作において前記第1状態を示し、前記量子化電流の前記第2方向に応答して前記少なくとも1つのジョセフソン接合をトリガしないことにより前記メモリ読み出し動作において前記第2状態を示すように前記ビット読み出し線に前記ビット読み出し電流を供給すること、
を備える方法。
(付記12)
前記ビット読み出し電流を供給することは、前記記憶メモリ状態の前記第1および第2状態の各々で前記量子化ループの前記第1方向にバイアス要素から供給される実質一定のバイアスと組み合わせられた前記ビット読み出し電流を前記メモリセルシステムの前記ビット読み出し線に供給することを含む、付記11に記載の方法。
(付記13)
前記バイアス要素が、実質的に常にπ状態で配置されたヒステリシス磁気ジョセフソン接合(HMJJ)として構成されている、付記12に記載の方法。
(付記14)
前記バイアス要素が、前記量子化ループ内に直列に配置されたインダクタの二次巻線として構成されており、バイアスを伝導するように構成された一次巻線に誘導結合されている、付記12に記載の方法。
(付記15)
前記バイアス要素が前記ビット書き込み線に結合されており、前記ビット書き込み電流を供給することが、
前記書き込み動作中に前記第1方向に前記量子化電流を供給するために前記ビット書き込み線に前記ビット書き込み電流を供給すること、
前記書き込み動作中に前記第2方向に前記量子化電流を供給するために前記ビット書き込み電流の振幅を略ゼロに設定すること、
を含む、付記12に記載の方法。
(付記16)
前記ビット書き込み線は、前記量子化ループ内に配置された超伝導量子干渉デバイス(SQUID)として構成された前記チューナブルエネルギー要素に誘導結合されている、付記11に記載の方法。
(付記17)
前記ビット書き込み電流を供給することが、
前記書き込み動作中に前記第1方向に前記量子化電流を供給するために前記メモリセルシステムの前記ビット書き込み線に第1方向に前記ビット書き込み電流を供給すること、
前記書き込み動作中に前記第2方向に前記量子化電流を供給するために前記メモリセルシステムの前記ビット書き込み線に第2方向に前記ビット書き込み電流を供給すること、
を含む、付記11に記載の方法。
(付記18)
行および列に配置されたメモリセルシステムのアレイを備えるメモリアレイであって、各メモリセルシステムが、
前記メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第1状態の記憶に対応する第1方向に量子化電流を伝導するとともに、前記メモリセルシステムの記憶メモリ状態の第2状態の記憶に対応した前記第1方向とは反対の第2方向に前記量子化電流を伝導するように構成された量子化ループと、
対応する行の前記各メモリセルシステムに関連付けられたワード書き込み線に供給されるワード書き込み電流と、対応する列の前記各メモリシステムに関連付けられたビット書き込み線に供給されるビット書き込み電流とに応答して、前記記憶メモリ状態を前記第1状態と前記第2状態との間で変更するための前記量子化ループ内のチューナブルエネルギー要素と、
前記記憶メモリ状態の前記第1および第2状態の各々で前記量子化ループの前記第1方向に前記量子化ループの実質一定の磁束バイアスを供給するように構成されたバイアス要素であって、前記実質一定の磁束バイアスと、前記対応する行の前記各メモリセルシステムに関連付けられたワード読み出し線に供給されるワード読み出し電流と、前記対応する列の前記各メモリセルシステムに関連付けられたビット読み出し線に供給されるビット読み出し電流とに応答して前記記憶メモリ状態が前記メモリセルシステムから読み出される前記バイアス要素と、
を備えるメモリアレイ。
(付記19)
前記バイアス要素が、実質的に常にπ状態で配置されたヒステリシス磁気ジョセフソン接合(HMJJ)として構成されている、付記18に記載のメモリアレイ。
(付記20)
前記チューナブルエネルギー要素が、前記量子化ループ内の前記バイアス要素と直列に配置された超伝導量子干渉デバイス(SQUID)として構成されている、付記18に記載のメモリアレイ。