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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 5/371 20150101AFI20220128BHJP
   H01Q 5/328 20150101ALI20220128BHJP
   H01Q 5/10 20150101ALI20220128BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
H01Q5/371
H01Q5/328
H01Q5/10
H01Q1/38
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017140975
(22)【出願日】2017-07-20
(65)【公開番号】P2019022144
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】行本 真介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勇二
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/306709(US,A1)
【文献】特開2016-063449(JP,A)
【文献】特開2016-134772(JP,A)
【文献】特開2017-092978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 5/371
H01Q 5/328
H01Q 5/10
H01Q 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形状で絶縁性の基板本体と、前記基板本体に金属箔でパターン形成されグランドに接続されるグランドパターンと、前記基板本体に金属箔でパターン形成され給電点と接続された第1エレメント及び第2エレメントとを備え、
前記グランドパターンが、前記給電点から離間して前記基板本体の一端側に形成されたグランド主面部と、
前記グランド主面部から前記基板本体の他端側に向けて延在し前記給電点の近傍まで配されたグランド接続部と
前記グランド接続部から前記基板本体の他端側に向けて延在した第1グランド延在部とを有し、
前記給電点が、前記基板本体の一端から他端に延在する両側辺のうち一方の側辺との間に前記第1グランド延在部を配して前記一方の側辺側に配され、
前記第1エレメントが、前記給電点から前記基板本体の他方の側辺に向けて延在する第1延在部と、
前記第1延在部の先端から前記基板本体の他端側に向けて延在する第2延在部とを有し、
前記第2エレメントが、前記第1延在部の先端から前記グランド主面部へ向けて前記グランド接続部に沿って延在する第3延在部を有していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記第2エレメントが、前記第3延在部の先端から前記グランド接続部へ向けて延在した第4延在部と、前記第4延在部の先端から前記基板本体の他端側に向けて前記グランド接続部に沿って延在した第5延在部とを有していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記グランド接続部が、前記第3延在部側に拡がって先端側よりも幅広な幅広部を基端側に有していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記グランドパターンが、前記グランド主面部から前記基板本体の他端側に向けて前記第3延在部と前記グランド接続部との間に突出する装荷容量調整グランド部を有していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記第2エレメントが、前記第3延在部の途中に受動素子を介して接続され前記第3延在部と前記グランド接続部との間に前記グランド接続部に沿って延在する第11延在部を有していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記基板本体に金属箔でパターン形成された第3エレメントを備え、
前記第3エレメントが、前記第2延在部の途中から前記第1延在部に沿って前記基板本体の一方の側辺に向けて延在する第7延在部と、
前記第7延在部の先端から前記基板本体の他端側に向けて延在する第8延在部とを有していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のアンテナ装置において、
前記第1エレメントが、前記第2延在部の先端から前記第1延在部に沿って延在した第9延在部と、
前記第9延在部の先端から前記基板本体の一端側に向けて第2延在部に沿って延在した第10延在部とを有していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のアンテナ装置において、
前記グランドパターンが前記第1グランド延在部の先端から前記第1延在部と前記第7延在部との間に突出して延在した第2グランド延在部有していることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記第2延在部の途中に誘電体アンテナのアンテナ素子が接続されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記第2延在部及び前記第3延在部の基端又は途中に、それぞれ受動素子が接続されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項11】
請求項4に記載のアンテナ装置において、
前記装荷容量調整グランド部の基端又は途中に、受動素子が接続されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記基板本体が、帯状に延在する細板形状であり、
前記グランド主面部が、前記基板本体の一端側に帯状に延在していることを特徴とするアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数共振化が可能なアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信機器において、複共振化した各共振周波数のフレキシブルな調整が可能で、用途や機器毎に応じたアンテナ性能を安価かつ容易に確保できるアンテナ装置が開発されている(例えば、特許文献1)。これらのアンテナ装置は、基板本体の表面にそれぞれ金属箔でパターン形成されたグランドパターン及び複数のエレメントを備えているので、各エレメント間やグランドパターンとの間の各浮遊容量とを効果的に利用することで、複共振化させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-92978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術においても、以下の課題が残されている。
すなわち、上記従来のアンテナ装置では、アンテナエレメントに沿って対向配置された広いグランドパターンとの間に生じる浮遊容量を利用して設計を行っているが、広いグランドパターンがアンテナエレメントに沿って対向配置されていない場合には、共振周波数の調整や小型化が難しいという不都合があった。また、回路のメイン基板に設けられたアンテナ占有領域にアンテナパターンが形成されるため、アンテナ性能がメイン基板のグランドサイズに起因する部分が大きく、設計条件によっては良好な性能を実現し難くかった。さらに、回路のメイン基板とは別にアンテナ装置を設ける場合は、メイン基板のグランドを利用して設計することができなかった。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、広いグランドパターンがアンテナエレメントに沿って対向配置されていなくても共振周波数の調整や小型化が可能であると共に、回路のメイン基板とは別に設けても良好なアンテナ性能を実現することができるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るアンテナ装置は、長方形状で絶縁性の基板本体と、前記基板本体に金属箔でパターン形成されグランドに接続されるグランドパターンと、前記基板本体に金属箔でパターン形成され給電点と接続された第1エレメント及び第2エレメントとを備え、前記グランドパターンが、前記給電点から離間して前記基板本体の一端側に形成されたグランド主面部と、前記グランド主面部から前記基板本体の他端側に向けて延在し前記給電点の近傍まで配されたグランド接続部とを有し、前記給電点が、前記基板本体の一端から他端に延在する両側辺のうち一方の側辺に配され、前記第1エレメントが、前記給電点から前記基板本体の他方の側辺に向けて延在する第1延在部と、前記第1延在部の先端から前記基板本体の他端側に向けて延在する第2延在部とを有し、前記第2エレメントが、前記第1延在部の先端から前記グランド主面部へ向けて前記グランド接続部に沿って延在する第3延在部を有していることを特徴とする。
【0007】
このアンテナ装置では、グランドパターンと第1エレメントと第2エレメントとを備え、第2エレメントが、第1延在部の先端からグランド主面部へ向けてグランド接続部に沿って延在する第3延在部を有しているので、回路のメイン基板等の影響を抑えて良好なアンテナ性能を得ることができる。すなわち、メイン基板のグランドとは別にグランドパターンを有していることで、メイン基板のグランドサイズや位置に影響を受け難い。また、給電点を境に、グランド主面部とは反対側に延在した第1エレメントと、グランド主面部側に延在した第2エレメントとにより、それぞれ別の共振周波数が得られる。特に、グランド主面部側に向けて延在した第2エレメントでは、グランド主面部との間と、グランド接続部との間とに複合的に浮遊容量が生じることで、共振周波数の調整がし易くなると共に広帯域化を図ることができる。また、第1エレメントと第2エレメントとグランド主面部とを一方向に並べて配置することができ、細長い基板本体に設けることが可能になり、小型化が容易になる。
【0008】
第2の発明に係るアンテナ装置は、第1の発明において、前記第2エレメントが、前記第3延在部の先端から前記グランド接続部へ向けて延在した第4延在部と、前記第4延在部の先端から前記基板本体の他端側に向けて前記グランド接続部に沿って延在した第5延在部とを有していることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、第2エレメントが、グランド接続部へ向けて延在した第4延在部と、グランド接続部に沿って延在した第5延在部とを有しているので、第4延在部とグランド主面部との間と、第5延在部とグランド接続部との間と、第3延在部と第5延在部との間とに、それぞれ浮遊容量を効果的に発生させることができる。
【0009】
第3の発明に係るアンテナ装置は、第1の発明において、前記グランド接続部が、前記第3延在部側に拡がって先端側よりも幅広な幅広部を基端側に有していることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、グランド接続部が、第3延在部側に拡がって先端側よりも幅広な幅広部を基端側に有しているので、幅広部が複合的な容量装荷発生部分となり、幅広部と第3延在部との間と、幅広部より先端側と第3延在部との間とに、それぞれ複合的に浮遊容量を発生させることができる。
【0010】
第4の発明に係るアンテナ装置は、第1の発明において、前記グランドパターンが、前記グランド主面部から前記基板本体の他端側に向けて前記第3延在部と前記グランド接続部との間に突出する装荷容量調整グランド部を有していることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、グランドパターンが、グランド主面部から基板本体の他端側に向けて第3延在部とグランド接続部との間に突出する装荷容量調整グランド部を有しているので、装荷容量調整グランド部と第3延在部との間と、装荷容量調整グランド部とグランド接続部との間とにも、それぞれ複合的に浮遊容量を発生させることができ、インピーダンスの異なる浮遊容量を利用することができる。また、装荷容量調整グランド部が、第3延在部とグランド接続部との間に介在し、両者を分断することで、第3延在部とグランド接続部とが同方向に高周波電流が流れても、互いの影響を抑制することができる。
【0011】
第5の発明に係るアンテナ装置は、第1の発明において、前記第2エレメントが、前記第3延在部の途中に受動素子を介して接続され前記第3延在部と前記グランド接続部との間に前記グランド接続部に沿って延在する第11延在部を有していることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、第2エレメントが、第3延在部の途中に受動素子を介して接続され第3延在部とグランド接続部との間にグランド接続部に沿って延在する第11延在部を有しているので、第11延在部と第3延在部との間と、第11延在部とグランド接続部との間とにも、それぞれ複合的に浮遊容量を発生させることができる。また、受動素子を介した第11延在部と第3延在部との接続位置に応じて、第3延在部と第11延在部とで異なる共振周波数を発生させたり、浮遊容量の調整を行ったりすることが可能になる。
【0012】
第6の発明に係るアンテナ装置は、第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記基板本体に金属箔でパターン形成された第3エレメントを備え、前記第3エレメントが、前記第2延在部の途中から前記第1延在部に沿って前記基板本体の一方の側辺に向けて延在する第7延在部と、前記第7延在部の先端から前記基板本体の他端側に向けて延在する第8延在部とを有していることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、第3エレメントが、第1延在部に沿って延在する第7延在部と、基板本体の他端側に向けて延在する第8延在部とを有しているので、開放端を有した第8延在部と第1エレメントとの間に浮遊容量が発生し、別の共振周波数を発生させることができる。
【0013】
第7の発明に係るアンテナ装置は、第6の発明において、前記第1エレメントが、前記第2延在部の先端から前記第1延在部に沿って延在した第9延在部と、前記第9延在部の先端から前記基板本体の一端側に向けて第2延在部に沿って延在した第10延在部とを有していることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、第1エレメントが、第1延在部に沿って延在した第9延在部と、第2延在部に沿って延在した第10延在部とを有しているので、少なくとも第2延在部と第10延在部との間に浮遊容量を発生させることができ、共振周波数の調整及び広帯域化を図ることができる。
【0014】
第8の発明に係るアンテナ装置は、第6又は第7の発明において、前記グランドパターンが、前記グランド接続部から前記基板本体の他端側に向けて前記第2延在部に沿って延在した第1グランド延在部と、前記第1グランド延在部の先端から前記第1延在部と前記第7延在部との間に突出して延在した第2グランド延在部とを有していることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、グランドパターンが、第2延在部に沿って延在した第1グランド延在部と、第1延在部と第7延在部との間に突出して延在した第2グランド延在部とを有しているので、給電点から第1延在部、第2延在部の基端側、第7延在部、第2グランド延在部及び第1グランド延在部に高周波電流がループ状に流れることで、別の共振周波数を発生させることができる。また、第2グランド延在部と、第1延在部、第2延在部の基端側及び第7延在部との間に浮遊容量が発生することで、共振周波数の調整及び広帯域化を図ることができる。
【0015】
第9の発明に係るアンテナ装置は、第1から第8の発明のいずれかにおいて、前記第2延在部の途中に誘電体アンテナのアンテナ素子が接続されていることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、第2延在部の途中に誘電体アンテナのアンテナ素子が接続されているので、所望の共振周波数に自己共振しないローディング素子のアンテナ素子によってエレメント長の短縮化及び高インピーダンス化と、浮遊容量の増大とが可能になり、複共振化の調整が容易になると共に小型化とアンテナ特性の向上とを図ることができる。
【0016】
第10の発明に係るアンテナ装置は、第1から第9の発明のいずれかにおいて、前記第2延在部及び前記第3延在部の基端又は途中に、それぞれ受動素子が接続されていることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、第2延在部及び第3延在部の基端又は途中にそれぞれ受動素子が接続されているので、各受動素子の選択によって、各共振周波数をフレキシブルに調整可能であり、設計条件に応じた複共振化が可能なアンテナ装置を得ることができる。このように、アンテナ構成上、各共振周波数をフレキシブルに調整できるため、共振周波数の入れ替えが可能になり、用途や機器に応じて受動素子等による調整箇所を変更可能になっている。
【0017】
第11の発明に係るアンテナ装置は、第4の発明において、前記装荷容量調整グランド部の基端又は途中に、受動素子が接続されていることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、装荷容量調整グランド部の基端又は途中に受動素子が接続されているので、受動素子の選択によって、さらにインピーダンスを調整することができる。
【0018】
第12の発明に係るアンテナ装置は、第1から第11の発明のいずれかにおいて、前記基板本体が、帯状に延在する細板形状であり、前記グランド主面部が、前記基板本体の一端側に帯状に延在していることを特徴とする。
すなわち、このアンテナ装置では、基板本体が帯状に延在する細板形状であり、グランド主面部が基板本体の一端側に帯状に延在しているので、全体を細長く小型にすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
本発明のアンテナ装置によれば、グランドパターンと第1エレメントと第2エレメントとを備え、第2エレメントが、第1延在部の先端からグランド主面部へ向けてグランド接続部に沿って延在する第3延在部を有しているので、アンテナエレメントに沿って広いグランドパターンが対向配置されていなくても共振周波数の調整や小型化を容易に図ることができる。また、回路のメイン基板等の影響を抑えて良好なアンテナ性能を得ることができる。
したがって、本発明のアンテナ装置は、多様な用途や機器に対応した複共振化が容易に可能になると共に、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るアンテナ装置の第1実施形態において、各エレメントの位置関係を示す平面図である。
図2】第1実施形態において、各共振周波数に寄与する主な領域を示す配線図である。
図3】第1実施形態において、アンテナ装置で生じる浮遊容量を示す配線図である。
図4】第1実施形態において、アンテナ素子を示す斜視図(a)、平面図(b)、正面図(c)及び底面図(d)である。
図5】第1実施形態において、VSWR特性(電圧定在波比)を示すグラフである。
図6】本発明に係るアンテナ装置の第2実施形態において、各エレメントの位置関係を示す配線図である。
図7】本発明に係るアンテナ装置の第3実施形態において、各エレメントの位置関係を示す配線図である。
図8】本発明に係るアンテナ装置の第4実施形態において、各エレメントの位置関係を示す配線図である。
図9】第4実施形態において、第3延在部と第11延在部との接続位置を変えた場合を示す要部の配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るアンテナ装置の第1実施形態を、図1から図5を参照しながら説明する。
【0022】
本実施形態におけるアンテナ装置1は、図1及び図2に示すように、長方形状で絶縁性の基板本体2と、基板本体2に銅箔等の金属箔でパターン形成されグランドGNDに接続されるグランドパターン3と、基板本体2に銅箔等の金属箔でパターン形成され給電点FPと接続された第1エレメント4及び第2エレメント5とを備えている。
【0023】
上記グランドパターン3は、給電点FPから離間して基板本体2の一端側に形成されたグランド主面部3aと、グランド主面部3aから基板本体2の他端側に向けて延在し給電点FPの近傍まで配されたグランド接続部3bとを有している。
上記給電点FPは、基板本体2の一端から他端に延在する両側辺のうち一方の側辺2aに配され、グランド接続部3bも、前記一方の側辺2aに沿って延在している。
【0024】
上記第1エレメント4は、給電点FPから基板本体2の他方の側辺2bに向けて延在する第1延在部E1と、第1延在部E1の先端から基板本体2の他端側に向けて延在する第2延在部E2とを有している。すなわち、第1延在部E1は、給電点FPから基板本体2の他方の側辺2bに向けて延在し、第2延在部E2は、前記他方の側辺2bに沿って延在している。
【0025】
上記第2エレメント5は、第1延在部E1の先端からグランド主面部3aへ向けてグランド接続部3bに沿って延在する第3延在部E3を有している。
また、第2エレメント5は、第3延在部E3の先端からグランド接続部3bへ向けて延在した第4延在部E4と、第4延在部E4の先端から基板本体2の他端側に向けてグランド接続部3bに沿って延在した第5延在部E5とを有している。すなわち、第2エレメント5は、先端側がコ字状に形成されている。
【0026】
また、本実施形態のアンテナ装置1は、基板本体2に銅箔等で金属箔でパターン形成された第3エレメント6をさらに備えている。
上記第3エレメント6は、第2延在部E2の途中から第1延在部E1に沿って基板本体2の一方の側辺2aに向けて延在する第7延在部E7と、第7延在部E7の先端から基板本体2の他端側に向けて延在する第8延在部E8とを有している。すなわち、第7延在部E7は、基板本体2の一方の側辺2aに向けて延在し、第1延在部E1と第2延在部E2の基端側と第7延在部E7とで、コ字状のパターンが形成されている。
【0027】
また、上記第1エレメント4は、第2延在部E2の先端から第1延在部E1に沿って延在した第9延在部E9と、第9延在部E9の先端から基板本体2の一端側に向けて第2延在部E2に沿って延在した第10延在部E10とをさらに有している。すなわち、第1エレメント4は、先端側がコ字状に形成され、第9延在部E9が、基板本体2の他端近傍に配されている。
なお、第3エレメント6の開放端(第8延在部E8の先端)は、第1エレメント4の開放端(第10延在部E10の先端)に対向して配されている。
【0028】
上記グランドパターン3は、グランド接続部3bから基板本体2の他端側に向けて第2延在部E2に沿って延在した第1グランド延在部G1と、第1グランド延在部G1の先端から第1延在部E1と第7延在部E7との間に突出して延在した第2グランド延在部G2とを有している。
なお、グランドGNDとの接続点として、第1グランド延在部G1の基板本体2の一端側端部に第1接続点Gaが設けられ、第1グランド延在部G1の基板本体2の他端側端部に第2接続点Gbが設けられている。
【0029】
すなわち、上記グランド接続部3bは、先端側が第1グランド延在部G1側に屈曲して給電点FPの左側に配された第1接続点Gaに接続されている。
また、上記第2グランド延在部G2は、給電点FPの右側に配された第2接続点Gbから第2延在部E2の基端側に向けて延在している。
第2グランド延在部G2の先端部は、第1延在部E1側と第7延在部E7側とに拡がった幅広先端部G2aとされている。
上記第2延在部E2の基端側(第1延在部E1との接続部から第7延在部E7との接続部まで)は、先端側よりも幅広に形成された幅広基端部E2aとされている。
【0030】
上記第2延在部E2の途中には、誘電体アンテナのアンテナ素子ATが接続されている。このアンテナ素子ATは、第2延在部E2の第7延在部E7との接続部よりも先端側に接続されている。
また、第2延在部E2及び第3延在部E3の基端又は途中に、それぞれ受動素子が接続されている。本実施形態では、第2延在部E2の途中には、第1受動素子P1が接続され、第3延在部E3の基端には、第2受動素子P2が接続されている。
さらに、第1延在部E1の基端とグランド接続部3bの基端部とは、第3受動素子P3で接続され、第8延在部E8の基端には、第4受動素子P4が接続されている。なお、第3受動素子P3については未実装としても構わない。
【0031】
上記基板本体2は、帯状に延在する細板形状であり、グランド主面部3aが、基板本体2の一端側に帯状に延在している。基板本体2は、例えば厚さ0.8mmで11mm×141mmの長方形状である。
基板本体2は、一般的なプリント基板であって、本実施形態では、ガラスエポキシ樹脂等からなるプリント基板を採用している。
また、第1接続点Gaからグランド主面部3aの端部(基板本体2の一端)までの長さは、一番低い共振周波数(本発明の第1の共振周波数f1)の波長の1/4波長程度の長さであることが望ましく、本実施形態では第1接続点Gaからグランド主面部3aの端部の長さは90mmである。
なお、グランド主面部3aの領域には、回路部品等を実装しても構わない。
上記各受動素子は、例えばインダクタ、コンデンサ、抵抗又はジャンパー線が採用される。
【0032】
上記給電点FPは、同軸ケーブル等の給電手段を介して別のメイン基板等に設けられた高周波回路(図示略)の給電点に接続される。この給電手段としては、同軸ケーブル、レセプタクル等のコネクタ、接点が板バネ形状を有する接続構造、接点がピンプローブ形状またはピン形状を有する接続構造、ハンダ付け用のランドを用いた接続構造等の種々の構造が採用可能である。
例えば、給電手段として同軸ケーブルを採用する場合、第1グランド延在部G1に同軸ケーブルのグランド線が接続されると共に、同軸ケーブルの芯線が給電点FPに接続される。
【0033】
上記アンテナ素子ATは、所望の共振周波数に自己共振しないローディング素子であって、例えば図4に示すように、セラミックス等の誘電体121の表面にAg等の導体パターン122が形成されたチップアンテナである。
このアンテナ素子ATは、共振周波数等の設定に応じて、その長さ、幅、導体パターン等が異なる素子を選択しても構わない。また、所望の周波数によっては、アンテナ素子ATに使用している誘電体121を、磁性体、若しくは誘電体と磁性体とを混合した複合材料としても構わない。
【0034】
本実施形態のアンテナ装置1では、以下のように浮遊容量が発生する。
すなわち、図3に示すように、第2延在部E2の先端側(アンテナ素子ATよりも先端側)と第10延在部E10との間の浮遊容量Caと、アンテナ素子ATと第10延在部E10との間の浮遊容量Cbと、第2グランド延在部G2と第7延在部E7との間の浮遊容量Ccと、第2グランド延在部G2と第2延在部E2の基端側(幅広基端部E2a)との間の浮遊容量Cdと、第2グランド延在部G2と第1延在部E1との間の浮遊容量Ceと、第8延在部E8と第10延在部E10との間の浮遊容量Cfと、第4延在部E4とグランド主面部3aとの間の浮遊容量Cgと、第5延在部E5とグランド接続部3bとの間の浮遊容量Chと、第5延在部E5と第3延在部E3との間の浮遊容量Ciと、第5延在部E5と第1延在部E1との間の浮遊容量Cjと、第8延在部E8と第2延在部E2との間の浮遊容量Ckとが発生可能である。
【0035】
次に、本実施形態のアンテナ装置における各共振周波数について、図を参照して説明する。
【0036】
本実施形態のアンテナ装置1では、図5に示すように、周波数の低い方から、第1の共振周波数f1、第2の共振周波数f2、第3の共振周波数f3及び第4の共振周波数f4の順に4つの周波数帯に複共振化される。
なお、この測定においては、各受動素子は以下のものを用いた。
第1受動素子P1:L=4.7nHのインダクタ
第2受動素子P2:L=2.7nHのインダクタ
第3受動素子P3:未実装
第4受動素子P4:L=5.6nHのインダクタ
【0037】
「第1の共振周波数f1について」
上記第1の共振周波数f1の周波数は、第1エレメント4、アンテナ素子ATにより設定および調整することができる。
また、第1の共振周波数f1のインピーダンス調整は、浮遊容量Ca,Cb,Cc,Cd,Ce,Cfの各浮遊容量の設定で行うことができる。
さらに、最終的な周波数調整は、第1受動素子P1の選択によりフレキシブルに行うことが可能である。
このように第1の共振周波数f1は、主に図2中の一点鎖線A1の部分で調整される。
【0038】
「第2の共振周波数f2について」
上記第2の共振周波数f2の周波数は、第2エレメント5、第1延在部E1により設定および調整することができる。
また、第2の共振周波数f2のインピーダンス調整は、浮遊容量Cc,Cd,Ce,Cg,Ch,Ci,Cjの各浮遊容量の設定で行うことができる。
さらに、最終的な周波数調整は、第2受動素子P2の選択によりフレキシブルに行うことが可能である。
このように第2の共振周波数f2は、主に図2中の破線A2の部分で調整される。
【0039】
「第3の共振周波数f3について」
上記第3の共振周波数f3の周波数は、第3エレメント6、第1延在部E1及び第2延在部E2の基端側により設定および調整することができる。
また、第3の共振周波数f3のインピーダンス調整は、浮遊容量Cc,Cd,Ce,Cf,Ckの各浮遊容量の設定で行うことができる。
さらに、最終的な周波数調整は、第1受動素子P1の選択によりフレキシブルに行うことが可能である。
このように第3の共振周波数f3は、主に図2中の二点鎖線A3の部分で調整される。
【0040】
「第4の共振周波数f4について」
上記第4の共振周波数f4の周波数は、第1延在部E1、第2延在部E2の基端側、第7延在部E7、第1グランド延在部G1及び第2グランド延在部G2により設定および調整することができる。
また、第4の共振周波数f4のインピーダンス調整は、浮遊容量Cc,Cd,Ce,Cjの各浮遊容量の設定で行うことができる。
さらに、最終的な周波数調整は、浮遊容量Cdによりフレキシブルに行うことが可能である。
このように第4の共振周波数f4は、主に図2中の破線A4の部分で調整される。
【0041】
なお、各共振周波数f1,f2,f3及びf4における最終的なインピーダンス調整は、第3受動素子P3の選択によりグランドパターン3側に流れる高周波電流の流れをコントロールすることで、フレキシブルに行うことが可能である。
【0042】
このように本実施形態のアンテナ装置1では、グランドパターン3と第1エレメント4と第2エレメント5とを備え、第2エレメント5が、第1延在部E1の先端からグランド主面部3aへ向けてグランド接続部3bに沿って延在する第3延在部E3を有しているので、回路のメイン基板等の影響を抑えて良好なアンテナ性能を得ることができる。すなわち、メイン基板のグランドとは別にグランドパターン3を有していることで、メイン基板のグランドサイズや位置に影響を受け難い。
【0043】
また、給電点FPを境に、グランド主面部3aとは反対側に延在した第1エレメント4と、グランド主面部3a側に延在した第2エレメント5とにより、それぞれ別の共振周波数が得られる。特に、グランド主面部3a側に向けて延在した第2エレメント5では、グランド主面部3aとの間と、グランド接続部3bとの間とに複合的に浮遊容量が生じることで、共振周波数の調整がし易くなると共に広帯域化を図ることができる。
また、第1エレメント4と第2エレメント5とグランド主面部3aとを一方向に並べて配置することができ、細長い基板本体2に設けることが可能になり、小型化が容易になる。
【0044】
また、第2エレメント5が、グランド接続部3bへ向けて延在した第4延在部E4と、グランド接続部3bに沿って延在した第5延在部E5とを有しているので、第4延在部E4とグランド主面部3aとの間と、第5延在部E5とグランド接続部3bとの間と、第3延在部E3と第5延在部E5との間とに、それぞれ浮遊容量を効果的に発生させることができ、より広帯域化を図ることができる。
【0045】
また、第3エレメント6が、第1延在部E1に沿って延在する第7延在部E7と、基板本体2の他端側に向けて延在する第8延在部E8とを有しているので、開放端を有した第8延在部E8と第1エレメント4との間に浮遊容量が発生し、別の共振周波数を発生させることができる。
さらに、グランドパターン3が、第2延在部E2に沿って延在した第1グランド延在部G1と、第1延在部E1と第7延在部E7との間に突出して延在した第2グランド延在部G2とを有しているので、図1の二点鎖線Rに示すように、給電点FPから第1延在部E1、第2延在部E2の基端側、第7延在部E7、第2グランド延在部G2及び第1グランド延在部G1に高周波電流がループ状に流れることで、さらに別の共振周波数を発生させることができる。また、第2グランド延在部G2と、第1延在部E1、第2延在部E2の基端側及び第7延在部E7との間に浮遊容量が発生することで、共振周波数の調整及び広帯域化を図ることができる。
【0046】
また、第1エレメント4が、第1延在部E1に沿って延在した第9延在部E9と、第2延在部E2に沿って延在した第10延在部E10とを有しているので、少なくとも第2延在部E2と第10延在部E10との間に浮遊容量を発生させることができ、共振周波数の調整及び広帯域化を図ることができる。
【0047】
さらに、第2延在部E2の途中に誘電体アンテナのアンテナ素子ATが接続されているので、所望の共振周波数に自己共振しないローディング素子のアンテナ素子ATによってエレメント長の短縮化及び高インピーダンス化と、浮遊容量の増大とが可能になり、複共振化の調整が容易になると共に小型化とアンテナ特性の向上とを図ることができる。
また、第2延在部E2及び第3延在部E3の基端又は途中にそれぞれ受動素子が接続されているので、各受動素子の選択によって、各共振周波数をフレキシブルに調整可能であり、設計条件に応じた複共振化が可能なアンテナ装置を得ることができる。このように、アンテナ構成上、各共振周波数をフレキシブルに調整できるため、共振周波数の入れ替えが可能になり、用途や機器に応じて受動素子等による調整箇所を変更可能になっている。
【0048】
次に、本発明に係るアンテナ装置の第2から第4実施形態について、図6から図9を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0049】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、第2エレメント5がコ字状に延在しているのに対し、第2実施形態のアンテナ装置21では、図6に示すように、第2エレメント25が第3延在部E3のみの直線状であると共に、グランド接続部23bが幅広部23cを有している点である。
すなわち、第2実施形態では、グランドパターン23のグランド接続部23bが、第3延在部E3側に拡がって先端側よりも幅広な幅広部23cを基端側に有し、段差形状となっている。
【0050】
この第2実施形態では、第3延在部E3とグランド主面部3aとの間の浮遊容量Clと、幅広部23cと第3延在部E3との間の浮遊容量Cmと、グランド接続部23bの幅広部23cより先端側と第3延在部E3との間の浮遊容量Cnとが発生する。
このように第2実施形態のアンテナ装置21では、グランド接続部23bが、第3延在部E3側に拡がって先端側よりも幅広な幅広部23cを基端側に有しているので、幅広部23cと第3延在部E3との間と、幅広部23cが複合的な容量装荷発生部分となり、幅広部23cより先端側と第3延在部E3との間とに、それぞれ複合的に浮遊容量を発生させることができる。
【0051】
次に、第3実施形態と第2実施形態との異なる点は、第2実施形態では、グランド接続部23bに幅広部23cが形成されているのに対し、第3実施形態のアンテナ装置31では、図7に示すように、グランドパターン33が、グランド主面部3aから基板本体2の他端側に向けて第3延在部E3とグランド接続部3bとの間に突出する装荷容量調整グランド部33cを有している点である。
【0052】
また、第3実施形態では、装荷容量調整グランド部33cの基端又は途中に第5受動素子P5が接続されている。なお、図7では、装荷容量調整グランド部33cの基端に第5受動素子P5が接続されている。
この第3実施形態では、浮遊容量Cl,Cnの他に、装荷容量調整グランド部33cと第3延在部E3との間の浮遊容量Coと、装荷容量調整グランド部33cとグランド接続部3bとの間の浮遊容量Cpとが発生する。
【0053】
このように第3実施形態のアンテナ装置31では、グランドパターン33が、グランド主面部3aから基板本体2の他端側に向けて第3延在部E3とグランド接続部3bとの間に突出する装荷容量調整グランド部33cを有しているので、装荷容量調整グランド部33cと第3延在部E3との間と、装荷容量調整グランド部33cとグランド接続部3bとの間とにも、それぞれ複合的に浮遊容量を発生させることができ、インピーダンスの異なる浮遊容量を利用することができる。
【0054】
また、装荷容量調整グランド部33cが、第3延在部E3とグランド接続部3bとの間に介在し、両者を分断することで、第3延在部E3とグランド接続部3bとが同方向に高周波電流が流れても、互いの影響を抑制することができる。
さらに、装荷容量調整グランド部33cの基端又は途中に第5受動素子P5が接続されているので、第5受動素子P5の選択によって、さらにインピーダンスを調整することができる。
【0055】
次に、第4実施形態と第3実施形態との異なる点は、第3実施形態では、第3延在部E3とグランド接続部3bとの間に装荷容量調整グランド部33cが突出して延在しているのに対し、第4実施形態のアンテナ装置41では、図8に示すように、第2エレメント45が、第3延在部E3の途中に第6受動素子P6を介して接続され第3延在部E3とグランド接続部3bとの間にグランド接続部3bに沿って延在する第11延在部E11を有している点である。
【0056】
第4実施形態では、図9に示すように、第6受動素子P6の接続位置に応じて動作が異なる。すなわち、図9の(a)に示すように、第6受動素子P6が第11延在部E11のグランド主面部3a側端部に接続されている場合、第3延在部E3の開放端と第11延在部E11の開放端とは逆向きとなり、第3延在部E3を主として生じる共振周波数に比較的近い周波数で別の共振周波数が発生する。また、図9の(b)に示すように、第6受動素子P6が第11延在部E11の中間部に接続されている場合、第11延在部E11は、主に第3延在部E3とグランド接続部3bとの間の浮遊容量を調整する部分となる。さらに、図9の(c)に示すように、第6受動素子P6が第11延在部E11の給電点FP側の端部に接続されている場合、第3延在部E3の開放端と第11延在部E11の開放端とは同じ向きとなり、第3延在部E3を主として生じる共振周波数に比較的離れた周波数で別の共振周波数が発生する。
【0057】
このように第4実施形態のアンテナ装置41では、第2エレメント45が、第3延在部E3の途中に第6受動素子P6を介して接続され第3延在部E3とグランド接続部3bとの間にグランド接続部3bに沿って延在する第11延在部E11を有しているので、第11延在部E11と第3延在部E3との間と、第11延在部E11とグランド接続部3bとの間とにも、それぞれ複合的に浮遊容量を発生させることができる。また、第6受動素子P6を介した第11延在部E11と第3延在部E3との接続位置に応じて、第3延在部E3と第11延在部E11とで異なる共振周波数を発生させたり、浮遊容量の調整を行ったりすることが可能になる。
【0058】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、上記各実施形態では、第2延在部にアンテナ素子を設けているが、第10延在部や第3延在部にアンテナ素子を設けてエレメントの短縮化を行い、装置全体の小型化を図っても構わない。
【0059】
また、上述したようにアンテナ素子を接続してエレメントの一部とすることが好ましいが、アンテナ素子を接続せずに、銅箔等の金属箔のみで延在した第2延在部でも構わない。この際、高インピーダンス化するために、第2延在部の少なくとも一部を他の部分よりも幅狭の細いパターンにしたり、ジグザグに折り返しながら全体として一定方向に延在するミアンダパターンとしたりすることが好ましい。
さらに、基板サイズに余裕がある場合には、上記エレメントの一部を線状若しくは板状の金属を折り返した形状のパターンに置き換えても構わない。また、同一の基板本体の表裏面に対してスルーホールを用いて、螺旋状などの形状に旋回させたパターンにしても構わない。
【符号の説明】
【0060】
1,21,31,41…アンテナ装置、2…基板本体、2a…基板本体の一方の側辺、2b…基板本体の他方の側辺、3,23,33…グランドパターン、3a…グランド主面部、3b…グランド接続部、4…第1エレメント、5,25,45…第2エレメント、6…第3エレメント、23c…幅広部、33c…装荷容量調整グランド部、AT…アンテナ素子、E1…第1延在部、E2…第2延在部、E3…第3延在部、E4…第4延在部、E5…第5延在部、E7…第7延在部、E8…第8延在部、E9…第9延在部、E10…第10延在部、E11…第11延在部、GND…グランド、G1…第1グランド延在部、G2…第2グランド延在部、P1…第1受動素子、P2…第2受動素子、P3…第3受動素子、P4…第4受動素子、P5…第5受動素子、P6…第6受動素子、FP…給電点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9