(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】スイッチングAC/DC電源供給システム
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20220128BHJP
【FI】
H02M3/00 W
(21)【出願番号】P 2020072368
(22)【出願日】2020-04-14
【審査請求日】2020-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】520131440
【氏名又は名称】洪▲祿▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hong Liu Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】林 睦鈞
【審査官】石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-151937(JP,A)
【文献】特開昭55-018134(JP,A)
【文献】特開2006-280092(JP,A)
【文献】特開2011-147269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00
H02M 3/00
H02M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10MHzタイムベースを有し、主機と一つ以上の従機と一つ以上の接続線とを備えるスイッチングAC/DC電源供給システムであって、
前記主機は、主機タイムベースジェネレータと、主機タイムベース処理回路と、主機ポートとを有し、
前記主機タイムベースジェネレータは、10MHzタイムベースを提供し、
前記主機タイムベース処理回路は、前記主機タイムベースジェネレータに接続され
、
前記主機ポートは、前記主機タイムベースジェネレータに接続され、
前記一つ以上の従機はそれぞれ、従機タイムベースジェネレータと、従機選択スイッチと、従機タイムベース処理回路と、従機ポートとを備え、
各前記従機タイムベースジェネレータはそれぞれ、10MHzタイムベースを提供し、
各前記従機選択スイッチは、前記従機選択スイッチの一端を、前記従機の前記従機タイムベースジェネレータと接続するかしないかを選択、切り替えできるものであり、
各前記従機タイムベース処理回路は、前記従機選択スイッチの別の一端と接続
し、
各前記従機ポートは、前記従機選択スイッチの切り替えによって、前記従機の前記従機タイムベース処理回路と接続し、前記従機の前記従機タイムベースジェネレータとは接続せず、
前記一つ以上の接続線は、前記主機の前記ポートと各前記従機の前記従機ポートにそれぞれ接続して、前記主機と各前記従機とを連結するものであり、
各前記従機は各前記接続線を介して前記主機と連結され、しかも前記従機の前記従機選択スイッチを切り替えて、前記従機の前記従機ポートと前記従機の前記従機タイムベース処理回路とを接続させる時、前記主機の前記タイムベースジェネレータから発生したタイムベースが各前記接続線を介して各前記従機の前記従機タイムベース処理回路に提供され、さらに、各前記従機と前記主機とに同期タイムベースを持たせることを特徴とするスイッチングAC/DC電源供給システム。
【請求項2】
前記従機の前記従機ポートはさらに、従機入力ポートと、従機出力ポートとを備え、
各前記従機選択スイッチはそれぞれさらに、従機第一接点と、従機第二接点と、従機第三接点とを有し、
各前記従機第一接点は、前記従機の前記従機タイムベースジェネレータと接続し、
各前記従機第二接点は、前記従機入力ポートと接続し、
各前記従機第三接点は、前記従機の前記従機タイムベース処理回路と前記従機出力ポートとを接続し、前記従機第二接点と接続して通路を形成するか、前記従機第一接点と接続して通路を形成するかを選択できることを特徴とする請求項1に記載のスイッチングAC/DC電源供給システム。
【請求項3】
各前記従機の前記従機選択スイッチは電子式スイッチであり、
各前記従機はそれぞれさらに従機検知回路を有し、
各前記従機の前記従機検知回路の一端は前記従機の前記従機ポートと電気的接続をし、
各前記従機の前記従機検知回路の別の一端は、前記従機の前記従機選択スイッチと電気的接続をすることを特徴とする請求項1に記載のスイッチングAC/DC電源供給システム。
【請求項4】
外部装置をさらに備え、
前記外部装置は10MHzタイムベースを提供し、且つ前記主機の前記主機ポートに連結され、
前記主機はさらに、主機選択スイッチを備え、
前記主機の前記主機選択スイッチの一端は、前記主機の前記主機タイムベースジェネレータと接続するか、前記外部装置と接続するかを選択、切り替えることができ、
前記主機の前記主機選択スイッチの別の一端は、前記主機の前記主機タイムベース処理回路と接続し、前記主機の前記主機タイムベースジェネレータは前記主機の前記主機選択スイッチを切り替えることによって、前記外部装置のタイムベースを取得することを特徴とする請求項1に記載のスイッチングAC/DC電源供給システム。
【請求項5】
各前記従機の前記従機ポートは、入力出力共用ポートであり、
各前記従機選択スイッチはそれぞれさらに、従機第一接点、従機第二接点、従機第三接点、従機第四接点を有し、
各前記従機第一接点は、前記従機の前記従機タイムベースジェネレータと接続し、
各前記従機第三接点は、前記従機の前記従機タイムベース処理回路と接続し、
各前記従機第四接点は、前記従機の前記従機ポートと接続し、
そのうち、各前記従機第三接点と各前記従機第四接点とを各前記従機第一接点に同時に接続して通路を形成するか、各前記従機第三接点と各前記従機第四接点とを各前記従機第二接点に同時に接続して通路を形成するかを選択、切り替えできることを特徴とする請求項1記載のスイッチングAC/DC電源供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はAC/DC電源供給システムに関し、特に10MHzタイムベースを有するスイッチングAC/DC電源供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のAC/DC電源供給器は、その作業原理及び設計構造の違いによって、リニアAC/DC電源供給器(Linear AC/DC Power Supply)とスイッチングAC/DC電源供給器(Switching AC/DC Power Supply)に分けられる。
リニアAC/DC電源供給器の基本構造には、第一象限を直流とし、第一象限と第四象限を交流とするリニアアンプ及びバイポーラ直流電源供給器がある。仮に双方向直流であるならば、第一象限及び第二象限とする。リニアアンプは一般にはA、B、AB級等があり、パワーデバイスの線形領域を使う。
また、スイッチングAC/DC電源供給器の基本動作がおこなわれる象限はリニアAC/DC電源供給器と同じであるが、アンプはD級を主流とし、D級アンプをスイッチング動作モードとすることで高効率の優位性を保つ。並びに、ワイドバンドギャップ(WBG)の進展と、SiCパワーデバイス及びGaNパワーデバイスの普及に伴い、スイッチ動作はさらに完全なものになりつつある。
リニアアンプとスイッチアンプの最も大きな相違は、前者はパワーデバイスの線形領域を使い、後者は単純なスイッチ動作という点にある。リニアアンプがスイッチ操作に関わらないため、複数セット或いは複数台であるスイッチングアンプとはまったく異なるものとなる。
【0003】
スイッチアンプはスイッチ操作であり、必ず周波数に関わり、またパワーデバイスがスイッチ周波数の高低を決定するので、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)のスイッチ周波数は大部分が20KHz以下、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)のスイッチ周波数は約30KHz~100KHz、SiC-MOSFETのスイッチ周波数は100KHz以上となる。
ここから分かるように、前述の各種デバイスの動作周波数の差異は材料自体の特性に起因するもので、パワーデバイスの動作周波数は制限を受けるため、フェイズアウト(位相外れ)方式によって前述の問題を解決する。また、スイッチング動作は必ず周波数に関するものであり、複数セット或いは複数台のスイッチアンプを並列に接続した時、スイッチ周波数は位相関係を重視してこそ初めて完全な周波数領域及び時間領域の関係を構築することができる。また、スイッチ周波数を同期できるならば、EMIフィルタをよりよくコントロールできる。複数のスイッチング電源供給器が同電位で動作する時、同期化、或いは周波数増加及び逆位相関係もまた同じ目的である。
フェイズアウトした後、複数台を並列に接続することは、位相関係の構築に、より必然的である。顕著なことであるが、過去のリニア電源供給器の構造においては、タイムベース、タイミング、位相というものは必ず考慮されるものではなく、スイッチング電源供給器はその逆であった。前述のフェイズアウト技術は同等効果を有する動作周波数を向上させるという長所のほか、次のような長所を有する。即ち、
(1)低周波数を合成して高周波数効果を有する電源をつくり出す。
(2)同等効果を有する周波数が高く、その後に続いて起こるリップル周波数も向上する。
(3)反応がより早く、電流密度も向上する。
(4)前段階の脈動電流を低下させ、さらに前段階の耐久性を向上させる。
【0004】
AC/DC電源供給器はリニア構造及びスイッチ構造によって達成される。もし必要であるなら、スイッチ構造にリニア構造を加えて組成された混合式構造としてもよい。簡単に言えば、スイッチ動作を使った電源は必ずコモンタイムベース(Common time base)を使い、タイミング関係を与え、同期、周波数増加、逆位相、フェイズアウト等の機能を有するものである。
【0005】
タイムベース(Time Base)とは、アナログ及びデジタルデバイスが周波数やタイムドメインを演算する際の時間の基準となるもので、例えば無線送信機とレシーバ、高低周波信号ジェネレータ、周波数カウンタ、スペクトラムアナライザ、オシロスコープ、パワーアナライザ等、並びに前述したスイッチング電源供給器等はすべて、タイムベースを基準とする必要がある。仮にタイムベースの精確度が不十分であるならば、タイムベース誤差(Jitter)をつくる大きな原因となってしまう。
現在市場で販売されているタイムベースジェネレータの精確度の高さは、低い方から高い方へ順に、クオーツ、発振回路(OSC)、温度補償水晶発振器(TCXO)、恒温水晶発振器(OCXO)及びルビジウム・アトミック・クロック(Rubidium Atomic Clock)等、さらにはグローバル・ポジショニング・システム(GPS)が挙げられ、それらはすべて上述の各種デジタルデバイスが必要とするタイムベースを提供するものである。
現在、業界では、タイムベースジェネレータが生じさせる周波数の多くに10MHzを採用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、業界は大容量の産業設備や各種商品のテストの必要性に応じるため、大容量の電源供給システムが当然必要となる。
仮に、単一の電源供給器をもって大容量のニーズに応えようとするならば、そのコストは非常に高くなるゆえ、現在は複数台の電源供給器にフェイズアウトを加えた方式を採用することで、大容量及び高周波数というニーズを実現している。しかし、複数台の電源供給器を接続する場合、各電源供給器のタイムベースが同期できないならば、スイッチ周波数の誤差を生じさせることとなり、電磁妨害を生じさせ、共振等の問題を発生させることもある。
そこで、本発明人は前述の欠点に鑑み、従来の電源供給器にはさらなる改良が必要であることを感じ、本発明を創作することとなった。
【0007】
本発明の目的は、相互に接続した複数台のAC/DC電源供給器のタイムベースを完全に同期でき、電磁妨害等の問題を解決し、出力リップル率を低下させることにより、各AC/DC電源供給器間の周波数誤差を取り除き、さらには高品質のAC/DC電源を供給する10MHzタイムベースを有するスイッチングAC/DC電源供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の提供するスイッチングAC/DC電源供給システムは、10MHzタイムベースを有し、主機と一つ以上の従機と一つ以上の接続線を備える。
主機は、主機タイムベースジェネレータと、主機タイムベース処理回路と、主機ポートとを備える。
そのうち、主機タイムベースジェネレータは10MHzタイムベースを提供し、並びに主機タイムベース処理回路に接続される。
主機ポートは主機タイムベースジェネレータに接続する。
一つ以上の従機はそれぞれ、従機タイムベースジェネレータ、従機タイムベース処理回路、従機選択スイッチ、及び従機ポートを備える。
そのうち、各従機の従機タイムベースジェネレータはそれぞれ10MHzタイムベースを提供する。
各従機タイムベース処理回路は従機選択スイッチを介して従機の従機タイムベースジェネレータ或いは従機の従機ポートに接続される。
一つ以上の接続線は、主機の主機ポートと各従機の従機ポートにそれぞれ接続され、主機と各従機とを連結する。
【0009】
各従機は各接続線を介して主機と連結され、従機選択スイッチを主機ポートに切り替えると、主機の主機タイムベースジェネレータから発生したタイムベースが従機の従機ポートを経て従機の従機タイムベース処理回路にインプットされる。主機の主機タイムベースジェネレータが主機の主機タイムベース処理回路及び従機の従機タイムベース処理回路に接続されることにより、各従機と主機とに同期タイムベースを持たせ、さらに出力リップル率が低く、EMIノイズの少ない高品質AC/DC電源を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一実施形態を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第一実施形態によるポートの一部切り欠き立体図である。
【
図3】本発明の第二実施形態によるポートの一部切り欠き立体斜視図である。
【
図4】本発明の第三実施形態を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第四実施形態を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第五実施形態によるポートの一部切り欠き立体斜視図である。
【
図7】本発明の第五実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一実施形態)
図1に示す通り、本発明のスイッチングAC/DC電源供給システムは主機10を備える。
【0012】
主機10は、直流電圧を出力するか、さらに交流電圧に変換するかを選択して、AC/DC電源を供給する。
【0013】
主機10は、主機タイムベースジェネレータ11を内設し、主機タイムベースジェネレータ11は、10MHzタイムベースを提供する。本実施形態の主機タイムベースジェネレータ11は、温度補償水晶発振器(TCXO)である。
【0014】
主機選択スイッチ14は、手動式スイッチであり、その一端には主機第一接点141と、主機第二接点142とを有し、別の一端には主機第三接点143を有する。
主機第三接点143は、主機第一接点141に連結して通路を形成するか、主機第三接点143を主機第二接点142に連結して通路を形成するかを選択、切り替えできる。
主機第一接点141は、主機タイムベースジェネレータ11と接続し、主機第二接点142は、外部のポートに接続する。本発明の第一実施形態において、主機選択スイッチ14の主機第二接点142が外部と接続していない場合、主機第三接点143は、主機第一接点141と接続する状態が選択される。
【0015】
主機タイムベース処理回路13は、主機選択スイッチ14の主機第三接点143と接続し、主機タイムベースジェネレータ11のタイムベース或いは外部からのタイムベースを受信し、並びに周波数分離及び除去機能を実行し、さらに各電子デバイス或いはコントロール回路の必要とする周波数を提供する。
【0016】
主機ポート12は、主機選択スイッチ14と接続する。本発明の第一実施形態による主機10の主機ポート12は、主機入力ポート121と主機出力ポート122とを有し、主機入力ポート121は、主機選択スイッチ14の主機第二接点142に接続し、主機出力ポート122は、主機選択スイッチ14の主機第三接点143箇所に連結する。
図2に示す通り、主機入力ポート121と主機出力ポート122は、RJ45ポートである。しかし、これは一実施形態であり、本発明の実施形態を制限するものではない。主機入力ポート121と主機出力ポート122に、SMA、BNC、光ファイバー等の各種通信用ポートを選択することも可能である。
【0017】
本実施形態において、一つ以上の従機20は順に、第一従機201と、第二従機202とを含む。従機20は、出力直流電圧を出力するか、さらに交流電圧に変換することを選択可能であり、AC/DC電源を供給する。
【0018】
第一従機201は、10MHzタイムベースを提供する第一従機タイムベースジェネレータ211を含む。本実施形態の第一従機タイムベースジェネレータ211は、温度補償水晶発振器(TCXO)である。
【0019】
第一従機選択スイッチ241は、手動式スイッチであり、一端には第一従機第一接点2411と第一従機第二接点2412を有し、別の一端には第一従機第三接点2413を設ける。
第一従機第三接点2413は、第一従機第二接点2412と接続して通路を形成するか、第一従機第一接点2411と接続して通路を形成するかを選択、切り替えできる。第一従機選択スイッチ241の第一従機第一接点2411は、第一従機タイムベースジェネレータ211と接続することで、第一従機選択スイッチ241を切り替えて第一従機タイムベースジェネレータ211と接続するかしないかを選択することができる。本発明の第一実施形態において、第一従機選択スイッチ241は、手動方式によって、第一従機第二接点2412を第一従機第三接点2413に接続する状態に切り替える。
【0020】
第一従機タイムベース処理回路231は、第一従機選択スイッチ241の第一従機第三接点2413と接続して、第一従機第三接点2413を介して入力されたタイムベースを受信し、並びに周波数分離及び除去機能を実行し、さらに、各電子デバイス或いはコントロール回路が必要とする周波数を提供する。
【0021】
第一従機ポート221は、第一従機選択スイッチ241と接続する。本発明の第一実施形態において、第一従機201の第一従機ポート221は、第一従機入力ポート2211と第一従機出力ポート2212とを含み、第一従機入力ポート2211は第一従機選択スイッチ241の第一従機第二接点2412と接続し、第一従機出力ポート2212は第一従機選択スイッチ241の第一従機第三接点2413に接続し、並びに第一従機タイムベース処理回路231と接続して通路を形成する。すなわち、第一従機ポート221は、第一従機選択スイッチ241の切り替えによって、第一従機タイムベース処理回路231と第一従機ポート221が接続されると、第一従機タイムベースジェネレータ211とは接続されない状態となる。
また、
図2に示す通り、第一従機入力ポート2211と第一従機出力ポート2212はいずれもRJ45ポートである。
【0022】
第二従機202は、第一従機タイムベースジェネレータ212、選択スイッチ242、第二従機タイムベース処理回路232、第二従機ポート222、及び一つ以上の接続線30を含む。
【0023】
第一従機タイムベースジェネレータ212は、10MHzタイムベースを提供する。本実施形態の第一従機タイムベースジェネレータ212は、温度補償水晶発振器(TCXO)である。
【0024】
第二従機選択スイッチ242は、電子式スイッチであり、一端には第二従機第一接点2421と第二従機第二接点2422を有し、別の一端には第二従機第三接点2423を有する。
第二従機第三接点2423は、第二従機第二接点2422に接続して通路を形成するか、第二従機第一接点2421に接続して通路を形成するかを選択、切り替えできる。第二従機選択スイッチ242の第二従機第一接点2421を第一従機タイムベースジェネレータ212と接続させ、第二従機選択スイッチ242を切り替えて第一従機タイムベースジェネレータ212と接続するかしないかを選択できる。本発明の第一実施形態において、第二従機選択スイッチ242は、手動で、第二従機第二接点2422を第二従機第三接点2423に接続する状態に切り替える。
【0025】
第二従機タイムベース処理回路232は、第二従機選択スイッチ242の第二従機第三接点2423と接続し、第二従機第三接点2423を経て入力されたタイムベースを受信し、並びに周波数分離及び除去機能を実行し、さらに各電子デバイス或いはコントロール回路の必要とする周波数を提供する。
【0026】
第二従機ポート222は、第二従機選択スイッチ242と接続する。本発明の第一実施形態において、第二従機202の第二従機ポート222は、第二従機入力ポート2221と、第二従機出力ポート2222とを有する。
第二従機入力ポート2221は、第二従機選択スイッチ242の第二従機第二接点2422と接続し、第二従機出力ポート2222は、第二従機選択スイッチ242の第二従機第三接点2423と接続し、並びに第二従機タイムベース処理回路232と連結して通路を形成する。すなわち、第二従機ポート222は、第二従機選択スイッチ242によって第二従機タイムベース処理回路232と第二従機ポート222とを接続し、第一従機タイムベースジェネレータ212と接続しない状態に切り替えられる。
図2に示す通り、第二従機入力ポート2221と第二従機出力ポート2222は、いずれもRJ45ポートである。
【0027】
本実施形態において、一つ以上の接続線30は、第一接続線301と、第二接続線302とを含む。
第一接続線301は、主機10の主機出力ポート122と第一従機201の第一従機入力ポート2211とにそれぞれ接続して、主機10と主機第一従機201を連結させる。第二接続線302は、第一従機201の第一従機出力ポート2212と第二従機202の第二従機入力ポート2221とにそれぞれ接続して、第一従機201と第二従機202を連結させる。
【0028】
本発明の構造の特徴、運用技術手段、及び達成が予期される効果について理解しやすくするために、さらに詳しい説明を下記に加える。これにより、本発明をさらに深く、具体的に理解できるであろう。
【0029】
各主機、従機をそれぞれ単独にし、連結しない場合、主機10の主機タイムベースジェネレータ11を通して提供されるタイムベースによって、主機10は直流電圧を出力するか、交流電圧に変換する。それと同時に、第一従機201と第二従機202はそれぞれ、それ自体の第一従機タイムベースジェネレータ211と第二従機タイムベースジェネレータ212の提供するタイムベースによって、同様に直流電圧を出力するか、交流電圧に変換する。
しかし、主機10及び従機201、従機202のタイムベースは、それぞれの主機タイムベースジェネレータ11、第一従機211、第二従機212が生じさせるタイムベースであるゆえ、タイムベースを同期できない。
【0030】
それぞれの主機、従機が互いに連結される状態は、
図1に示す通りであり、第一従機201が、第一接続線301を介して主機10と連結される場合、主機10の主機選択スイッチ14によって選択されて、主機第三接点143と主機第一接点141が接続される。
主機10の主機タイムベースジェネレータ11が、主機選択スイッチ14によって主機タイムベース処理回路13に接続されると、主機タイムベース処理回路13は主機10の主機タイムベースジェネレータ11のタイムベースを受信し、主機タイムベース処理回路13は周波数分離及び除去を実行し、さらに主機10の主機出力ポート122を介して主機10のタイムベースを出力する。
主機10のタイムベースは、主機第一接続線301を介して主機第一従機201の第一従機入力ポート2211と第一従機選択スイッチ241を経て、第一従機201の第一従機タイムベース処理回路231に入力される。しかも第一接続線301を第一従機201に連結した場合、第一従機201の第一従機選択スイッチ241を手動によって切り替えて、第一従機第三接点2413と第一従機第二接点2412とを接続することができるため、第一従機201の第一従機タイムベース処理回路231は、主機10の主機タイムベースジェネレータ11が生じさせるタイムベースに基づいて周波数分離及び除去を実行する。これにより、主機10の主機タイムベースジェネレータ11が生じさせるタイムベースが、主機10の主機タイムベース処理回路13と第一従機201の第一従機タイムベース処理回路231とに同期出力されることで、第一従機201と主機10に同期タイムベースを持たせることができる。
【0031】
さらに第二従機202に連結する場合、第二従機202の第二従機選択スイッチ242も切り替えられて、第二従機第三接点2423が第二従機第二接点2422に接続する。これにより、主機10のタイムベースはさらに第二接続線302によって第二従機202の第二従機入力ポート2221及び第二従機選択スイッチ242を経て、第二従機202の第二従機タイムベース処理回路232に入力される。
第二従機タイムベース処理回路232は、主機10の主機タイムベースジェネレータ11が生じさせたタイムベースを受信し、第二従機タイムベース処理回路232はさらに周波数分離及び除去を実行する。
第二接続線302が第二従機202に接続されると、第二従機202の第二従機選択スイッチ242も手動で切り替えられて、第一従機第三接点2413と第一従機第二接点2412が接続された状態となるため、第二従機202の第二従機タイムベース処理回路232も同様に、主機10の主機タイムベースジェネレータ11より生じたタイムベースに基づいて周波数分離及び除去が実行される。したがって、主機10のタイムベースは、さらに第二従機202の第二従機タイムベース処理回路232に同期出力される結果、第二従機202は、第一従機201及び主機10とともに同期したタイムベースを有することになり、主機10、第一従機201、第二従機202は、周波数と位相が一致させられて、完全に同期されたAC/DC電源を提供する。
【0032】
特記しておきたい点として、本発明は、第一接続線301と第二接続線302を用いることで、主機10、第一従機201、及び第二従機202は、直接、点対点で連結させ、遅延を防ぐことができる。これにより、最高の精確度と、最良の同期出力状態を提供する。
【0033】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態は、
図3に示す通りである。第二実施形態と第一実施形態で異なる箇所は、主機40の主機ポート42、第一従機501の第一従機ポート521、及び第二従機502の第二従機ポート522のいずれにも、BNCポートを相互の連結用ポートとして用いることにある。
【0034】
(第三実施形態)
図4は、本発明の第三実施形態を示した図である。第三実施形態と第一実施形態の相違箇所は次の通りである。
【0035】
第三実施形態はさらに、10MHzタイムベースを提供する、これには、例えばルビジウム周波数標準発振器(Rubidium Frequency Standard Oscillator)、型番SRSFS725等の外部装置80が含まれる。
外部装置80は、外部装置ポート81を有し、外部接続線308を、外部装置80の外部装置ポート81と主機10の主機入力ポート121にそれぞれに接続させ、主機10と外部装置80を連結させる。この時、主機選択スイッチ14を切り替えて、主機第二接点142を主機第三接点143に接続した状態にすると、主機10の主機タイムベース処理回路13は、外部装置80のタイムベースを受信するようになり、外部装置80の高周波数の精確度によって、主機10がさらに精密且つ正確なタイムベース周波数を提供することができる。したがって、主機10の時間精確度はさらに高くなり、より高いニーズに応えることができる。
【0036】
さらに詳しく言うならば、主機10を外部接続線308によって外部装置80と連結した時、主機10の主機選択スイッチ14を切り替えて、主機第三接点143と主機第二接点142とをつなぎ、主機10の主機タイムベースジェネレータ11と主機タイムベース処理回路13とは連結しない状態を選択する。これにより、主機10の主機タイムベース処理回路13は、外部装置80のタイムベースを受信し、周波数分離及び除去を実行することで、主機10が外部装置80のタイムベースを同期する。
【0037】
(第四実施形態)
図5は、第四実施形態を示した図である。第四実施形態と第一実施形態の相違箇所は次の通りである。
【0038】
主機10の主機選択スイッチ14、第一従機201の第一従機選択スイッチ241、第二従機202の第二従機選択スイッチ242は、いずれも電子式スイッチである。また、主機10、第一従機201、第二従機202はそれぞれさらに、主機検知回路15、第一従機検知回路251、第二従機検知回路252を備える。主機検知回路15の一端は、主機ポート12の主機入力ポート121と電気的接続し、別の一端は、主機選択スイッチ14と電気的接続する。検出回路251の一端は、第一従機ポート221の第一従機入力ポート2211と電気的接続し、別の一端は、第一従機選択スイッチ241と電気的接続する。検出回路252の一端は、第二従機ポート222の第二従機入力ポート2221と電気的接続し、別の一端は、第二従機選択スイッチ242と電気的接続する。
【0039】
第一従機201が、第一接続線301を介して主機10と連結される時、検出回路251は、外部から入力された第一従機入力ポート2211が有するタイムベース信号を自動検知し、第一従機選択スイッチ241の第一従機第三接点2413を、第一従機第二接点2412との接続に切り替える。これにより、第一従機201の第一従機タイムベース処理回路231は、主機10の主機タイムベースジェネレータ11の提供するタイムベースを受信するようになる。
それと同時に、第二従機202が、第二接続線302を介して第一従機201と連結される時、検出回路252は、外部から入力された第二従機入力ポート2221の有するタイムベース信号を自動検知し、第二従機選択スイッチ242の第二従機第三接点2423を、第二従機第二接点2422との接続に切り替える。これにより、第二従機タイムベース処理回路232は、同様に、主機10の主機タイムベースジェネレータ11の提供するタイムベースを受信するようになる。
【0040】
(第五実施形態)
図6及び
図7は、本発明の第五実施形態を示した図である。第五実施形態と第一実施形態との相違箇所は次の通りである。
【0041】
主機60の主機ポート62は、入力出力共用ポートであり、主機ポート62はBNCポートである。ただし、これは一実施形態であり、本発明の実施形態を制限するものではなく、主機ポート62には、SMA、RJ45、光ファイバーポート等を選択することもできる。
また、主機選択スイッチ64は、主機第一接点641、主機第二接点642、主機第三接点643、主機第四接点644を有し、主機第一接点641を主機タイムベースジェネレータ61と接続させ、主機第三接点643を主機タイムベース処理回路63と接続させ、主機第四接点644を主機ポート62に接続させる。主機第三接点643と主機第四接点644を同時に主機第一接点641と接続して通路を形成させるか、主機第三接点643と主機第四接点644を同時に主機第二接点642と接続して通路を形成させるかを選択、切り替えできる。
主機選択スイッチ64は、主機第四接点644に外部入力がなく、主機第三接点643と主機第四接点644を主機第一接点641と接続する状態を選択すると、主機60の主機タイムベース処理回路63のタイムベースは、主機タイムベースジェネレータ61より提供される。
【0042】
第一従機701、第一従機ポート721もまた入力出力共用ポートであり、第一従機ポート721もまたBNCポートである。
また、第一従機選択スイッチ741は、第一従機第一接点7411、第一従機第二接点7412、第一従機第三接点7413、第一従機第四接点7414を含む。
第一従機第一接点7411は、第一従機タイムベースジェネレータ711と接続し、第一従機第三接点7413は第一従機タイムベース処理回路731と接続し、第一従機第四接点7414は第一従機ポート721に接続する。
第一従機第三接点7413と第一従機第四接点7414を同時に第一従機第一接点7411と接続して通路を形成するか、第一従機第三接点7413と第一従機第四接点7414を同時に第一従機第二接点7412と接続して通路を形成するかを選択、切り替えることができる。
【0043】
第二従機702の第二従機ポート722もまた入力出力共用ポートであり、第二従機ポート722もまたBNCポートである。また、第二従機選択スイッチ742は、第二従機第一接点7421、第二従機第二接点7422、第二従機第三接点7423、第二従機第四接点7424を含む。第二従機第一接点7421は同様に、第二従機タイムベースジェネレータ712と接続し、第二従機第三接点7423は第二従機タイムベース処理回路732と接続し、第二従機第四接点7424は第二従機ポート722と接続する。第二従機第三接点7423と第二従機第四接点7424を同時に第二従機第一接点7421と接続して通路を形成するか、第二従機第三接点7423と第二従機第四接点7424を同時に第二従機第二接点7422に接続して通路を形成するかを選択、切り替えできる。
【0044】
一つ以上の接続線30は、本実施形態において、第一接続線306、第二接続線307、三叉ジョイント31を含む。
三叉ジョイント31は第一従機701の第一従機ポート721に挿着すると、第一従機701の第一従機ポート721はそれぞれ、三叉ジョイント31の第一接続ヘッド311と第二接続ヘッド312を通して入力、出力を実行する。
第一接続線306の二端をそれぞれ、主機60の主機ポート62と、三叉ジョイント31の第一接続ヘッド311に接続して、主機60と主機第一従機701を連結させる。
第二接続線307の二端はそれぞれ、三叉ジョイント31の第二接続ヘッド312と、第二従機702の第二従機ポート722に接続して、第一従機701と第二従機702を連結させる。
【0045】
第一従機701と主機60を連結させる時、主機60のタイムベース処理回路63は、主機選択スイッチ64を介して、主機60の主機タイムベースジェネレータ61が生じさせるタイムベースを受信し、さらに、主機ポート62より主機60のタイムベースを出力する。
主機60のタイムベースは、第一接続線306を介して、第一従機701の第一従機ポート721及び第一従機選択スイッチ741より、第一従機701の第一従機タイムベース処理回路731に入力される。第一接続線306が第一従機701に接続された時、第一従機701の第一従機選択スイッチ741は手動で、第二従機第三接点7423と第二従機第四接点7424を第一従機第二接点7412に接続するよう切り替えられるため、第一従機701の第一従機タイムベース処理回路731は、主機60の主機タイムベースジェネレータ61が生じさせるタイムベースを受信することができる。
並びに、主機60の主機タイムベースジェネレータ61が生じさせるタイムベースに基づいて、周波数分離及び除去を実行し、第一従機701と主機60に同期タイムベースを持たせることができる。
【0046】
同様に、第二従機702をさらに第一従機701と連結させると、第二従機702の第二従機選択スイッチ742も、第二従機第三接点7423と第二従機第四接点7424を第二従機第二接点7422に接続するように切り替わる。これにより、第二従機タイムベース処理回路732も同様に、主機60の主機タイムベースジェネレータ61の提供するタイムベースを受信するように変わり、並びに、主機60の主機タイムベースジェネレータ61が生じさせるタイムベースに基づいて、周波数分離及び除去を実行する。
よって、第二従機702、第一従機701、主機60は、同期タイムベースを有し、さらに、主機60、第一従機701、第二従機702は、周波数と位相が一致し、完全に同期されたAC/DC電源を提供する。
【0047】
本発明の特徴、及びそれが達成する効果を、下記に記す。
【0048】
本発明のスイッチングAC/DC電源供給システムは、従機が接続線を介して主機と連結される。従機の選択スイッチを切り替えて、従機のポートと従機のタイムベース処理回路との接続を選択する時、主機のタイムベースジェネレータの生じさせるタイムベースが接続線を介して従機のタイムベース処理回路に提供され、さらに、従機と主機に同期タイムベースを持たせられる。並びに、タイムベースの同期によって、それぞれのPWM ICのスタートタイミング、PWMの位相、周波数等はコントロールを受ける。また、逆位相、フェイズアウト等の技術により、出力リップル率がより低下し、EMIノイズがより減少するため、高品質のAC/DC出力電源を得ることができる。
【0049】
前述したように、本発明は、同類の商品の中でも極めて実用的で、進歩性を有するものであり、この種の構造に関する国内外の技術資料を見回しても、同様の構造を有する従来技術はかつて見られなかった。そこで、特許要件に適合するものとして、特許法に基づいて、本発明の出願を行うことにした。
【0050】
ただし、前述の実施形態は、本発明が可能とする一実施形態にすぎず、本発明の明細書及び特許請求の範囲に記述された内容を応用して為された同等の効果を有する構造の変化形は、すべて本発明で保護される範囲であることを特記する。
【符号の説明】
【0051】
10 主機
11 主機タイムベースジェネレータ
12 主機ポート
121 主機入力ポート
122 主機出力ポート
13 主機タイムベース処理回路
14 主機選択スイッチ
141 第一接点
142 第二接点
143 第三接点
15 主機検知回路
20 従機
201 第一従機
202 第二従機
211 第一従機タイムベースジェネレータ
212 第二従機タイムベースジェネレータ
221 第一従機ポート
2211 第一従機入力ポート
2212 第一従機出力ポート
222 第二従機ポート
2221 第二従機入力ポート
2222 第二従機出力ポート
231 第一従機タイムベース処理回路
232 第二従機タイムベース処理回路
241 第一従機選択スイッチ
2411 第一従機第一接点
2412 第一従機第二接点
2413 第一従機第三接点
242 第二従機選択スイッチ
2421 第二従機第一接点
2422 第二従機第二接点
2423 第二従機第三接点
251 第一従機検知回路
252 第二従機検知回路
30 接続線
301 第一接続線
302 第二接続線
306 第一接続線
307 第二接続線
308 外部接続線
31 三叉ジョイント
311 第一接続ヘッド
312 第二接続ヘッド
40 主機
42 主機ポート
501 第一従機
502 第二従機
521 第一従機ポート
522 第二従機ポート
60 主機
61 主機タイムベースジェネレータ
62 主機ポート
63 主機タイムベース処理回路
64 主機選択スイッチ
641 主機第一接点
642 主機第二接点
643 主機第三接点
644 主機第四接点
701 主機第一従機
702 第二従機
711 第一従機タイムベースジェネレータ
712 第二従機タイムベースジェネレータ
721 第一従機ポート
722 第二従機ポート
731 第一従機タイムベース処理回路
732 第二従機タイムベース処理回路
741 第一従機選択スイッチ
7411 第一従機第一接点
7412 第一従機第二接点
7413 第一従機第三接点
7414 第一従機第四接点
742 第二従機選択スイッチ
7421 第二従機第一接点
7422 第二従機第二接点
7423 第二従機第三接点
7424 第二従機第四接点
80 外部装置
81 外部装置ポート