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7016009ビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置
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  • -ビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】ビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/24 20060101AFI20220128BHJP
【FI】
A01G9/24 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020195338
(22)【出願日】2020-11-25
(62)【分割の表示】P 2016137580の分割
【原出願日】2016-07-12
(65)【公開番号】P2021036905
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000221568
【氏名又は名称】東都興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090114
【弁理士】
【氏名又は名称】山名 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100174207
【弁理士】
【氏名又は名称】筬島 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】弘田 裕太
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-126996(JP,U)
【文献】特開平04-024387(JP,A)
【文献】特開2003-289728(JP,A)
【文献】特表2008-517853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニルハウスの被覆シートの上面又はビニルハウスの内部に設置された支持部材の上面に沿って設置され、遮光ロールスクリーンの展張又は巻き取り収納の操作が行われ、両端をブラケットに回転可能に支持された巻取軸の外周に巻き付けたコイルバネの一端が同巻取軸に固定され、同コイルバネの他端が前記巻取軸の外周に嵌めた巻取パイプに連接され、前記巻取軸の回転を通じて生じるコイルバネの蓄勢力により、巻取パイプに一端を固定した遮光ロールスクリーンが巻き取り又は展張自在に構成される遮光ロールスクリーン装置において、
前記巻取軸の先端部が、端部キャップを介して、前記ブラケットの挿通孔から突き出され、同突き出された巻取軸の先端部に水平歯車と垂直歯車を螺合させた傘歯車が取り付けられており、前記傘歯車の垂直歯車に設けられた垂直軸が回転操作し易い垂直向きに配置され、該垂直軸を外部動力で回転することにより、前記巻取軸に巻き付けたコイルバネの蓄勢力を調整して遮光ロールスクリーンの巻き取り又は展張が自在であり、且つ前記垂直軸の外周に嵌合自在なロック部材が前記垂直軸に嵌合されることにより、前記傘歯車がロックされる構成であること、
を特徴とする、ビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置。
【請求項2】
請求項1に記載した巻取軸の先端部には、ブラケットの外側又は内側でラチェットが取り付けられ、バネ調整後に当該巻取軸は前記ラチェットによってロックされることを特徴とする、ビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置。
【請求項3】
ビニルハウスの被覆シートの上面又はビニルハウスの内部に設置された支持部材の上面に沿って設置され、遮光ロールスクリーンの展張又は巻き取り収納の操作が行われ、両端をブラケットに回転可能に支持された巻取軸の外周に巻き付けたコイルバネの一端が同巻取軸に固定され、同コイルバネの他端が前記巻取軸の外周に嵌めた巻取パイプに連接され、前記巻取軸の回転を通じて生じるコイルバネの蓄勢力により、巻取パイプに一端を固定した遮光ロールスクリーンが巻き取り又は展張自在に構成される遮光ロールスクリーン装置において、
前記巻取軸の角形の先端部が、端部キャップを介して、前記ブラケットの挿通孔から突き出され、同突き出された巻取軸の角軸先端部に水平歯車と垂直歯車を螺合させた傘歯車が取り付けられており、前記傘歯車の垂直歯車に設けられた垂直軸が回転操作し易い垂直向きに配置され、該垂直軸を外部動力で回転することにより、前記巻取軸のコイルバネの蓄勢力を調整して遮光ロールスクリーンの巻き取り又は展張が自在であり、且つ前記巻取軸の角軸先端部に嵌合自在なロック部材が前記角軸先端部に嵌合されることにより、前記巻取軸がロックされる構成であること、
を特徴とする、ビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置。
【請求項4】
請求項3に記載したブラケットの外側面には、挿通孔を挟んだ上下位置に一対の案内溝片が形成され、略コ字状のロック凹部を有するロック部材が前記案内溝片間に側方から挿し込まれて巻取軸の角軸先端部がロックされることを特徴とする、ビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置に関し、さらに言えば、ビニルハウスの被覆シートや、ハウス内に設けた支持部材の上に設置され、当該ビニルハウス内への直射日光の入射を制御する遮光ロールスクリーンの初巻き等のバネ調整を、垂直方向から行なう張設装置に属する。
【背景技術】
【0002】
近年の地球温暖化の影響もあり、直射日光がビニルハウスを強く入射する時間が増え、ビニルハウス内の温度が上昇し過ぎると、ハウス内の野菜・花卉の栽培に影響が及び、ハウス内で作業する者の労力も消耗する。そのため、ビニルハウスの被覆シート自体を開閉したり、ビニルハウスの一部に換気装置を設置して温度を制御することが従来より行われている。
これに関し、ビニルハウス内の温度を制御する簡便な手段として、ロールスクリーンをビニルハウスの外側面又は内側に展張、被覆し、このロールスクリーンの展開位置(長さ)を調節することでハウス内への直射日光の入射をコントロールする点に本出願人は着目した。
【0003】
一般的なロールスクリーン関連の技術としては、例えば下記特許文献1に、調整装置を巻取パイプ内の一端に収容して当該調整装置を捩りコイルスプリングの端部に連結し、調整装置の外端位置を巻取パイプの一端面にほぼ一致させ、前記調整装置の外端に前記取付金具を取付けて巻取パイプの長さと一対の取付金具の間隔とをほぼ一致させ、巻取パイプの長さとスクリーンの幅とをほぼ一致させ、前記調整装置を操作する調節軸の基端を取付金具の側面に露出し、その基端に汎用工具を係合する係合部を設けたロールブラインドの昇降装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2のように、サイドプレートにロックされるクラッチドラムと、クラッチドラムの中心孔を抜けてサイドプレートに設けた開口から一端が露出されるようにして該サイドプレートに回転可能に取り付けられ、該開口から回転操作可能な調整ドラムと、調整ドラムの外周に取り付けられ、巻取パイプとサイドプレートとの間に配設される調整ダイヤルと、スプリングの一端に連結され調整ドラムの回転をスプリングに伝達する駆動ドラムと、調整ダイヤルの内周側且つクラッチドラムの外周側に設けられて、調整ドラムまたは調整ダイヤルの回転により緩んでその回転を駆動ドラムへ伝達すると共に、スプリング側からの回転によりクラッチドラムに締結して調整ドラム及び調整ダイヤルへの回転の伝達を阻止するクラッチバネと、を備えるロールスクリーンの調整装置が開発され公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実公平6-17995号公報
【文献】特許第3393047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ビニルハウス内への直射日光の入射を効率よく制御するには、ビニルハウスの屋根や側面等の外側面又は内側に、できるだけ隙間なく遮光ロールスクリーンを連続的に設置したい。そして、その遮光ロールスクリーンを設置した後は、初巻きや経年使用後にバネ調整を適宜行う必要がある(図1参照)。
【0007】
しかし、特許文献1のロールブラインドの昇降装置は、本願の図9の簡略図を用いて説明すると、調整装置を操作する調節軸cの基端dを取付金具fの側面に露出させ、同基端dに電動インパクトドライバーk等の汎用工具を係合する係合部gを設けた構成である。そのため、ロールスクリーンの巻上げ又は巻下しの調整をするに際しては、前記側面に露出した基端d(係止部g)を側面方向から同図9のW´で示した約35cmもの作業スペースを確保しなければならない。ビニルハウスにこのタイプのロールカーテンを採用する場合、隣り合う当該ロールスクリーン間は、約35cmのスペースを空けなればならず、ハウス内への直射日光の入射を制御できないスペースが部分的に広く生じてしまう。
【0008】
これに対し、特許文献2の調整装置は、サイドプレートの開口から回転操作可能な調整ドラムの露出面をドライバー等で調整する場合は、前記と同様に広い作業スペースを側面部に確保しなければならない。一方、巻取パイプとサイドプレート間に配設される調整ダイヤルを使って調整する場合は、前記の作業スペースを確保しなくて済む。しかし、この調整装置は、サイドプレート、調整ダイヤル、クラッチドラム、調整ドラム、駆動ドラム、クラッチバネといった部品点数が多く、組立てや調整が面倒である。
【0009】
したがって、本発明の目的は、ビニルハウス内への直射日光の入射を抑制又は制限する遮光ロールスクリーンを、ビニルハウスの外側面や内側へ設置でき、設置後の初巻き等のバネ調整を、簡便な構造ながら、鉛直方向から楽に行なえ、確実にロックして安全なビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係るビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置は、ビニルハウスの被覆シートの上面又はビニルハウスの内部に設置された支持部材の上面に沿って設置され、遮光ロールスクリーンの展張又は巻き取り収納の操作が行われ、両端をブラケットに回転可能に支持された巻取軸の外周に巻き付けたコイルバネの一端が同巻取軸に固定され、同コイルバネの他端が前記巻取軸の外周に嵌めた巻取パイプに連接され、前記巻取軸の回転を通じて生じるコイルバネの蓄勢力により、巻取パイプに一端を固定した遮光ロールスクリーンが巻き取り又は展張自在に構成される遮光ロールスクリーン装置において、
前記巻取軸の先端部が、端部キャップを介して、前記ブラケットの挿通孔から突き出され、同突き出された巻取軸の先端部に水平歯車と垂直歯車を螺合させた傘歯車が取り付けられており、前記傘歯車の垂直歯車に設けられた垂直軸が回転操作し易い垂直向きに配置され、該垂直軸を外部動力で回転することにより、前記巻取軸に巻き付けたコイルバネの蓄勢力を調整して遮光ロールスクリーンの巻き取り又は展張が自在であり、且つ前記垂直軸の外周に嵌合自在なロック部材が前記垂直軸に嵌合されることにより、前記傘歯車がロックされる構成であることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載した発明に係るビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置は、前記巻取軸の先端部に、ブラケットの外側又は内側でラチェットが取り付けられ、バネ調整後に当該巻取軸は前記ラチェットによってロックされることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載した発明に係るビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置は、ビニルハウスの被覆シートの上面又はビニルハウスの内部に設置された支持部材の上面に沿って設置され、遮光ロールスクリーンの展張又は巻き取り収納の操作が行われ、両端をブラケットに回転可能に支持された巻取軸の外周に巻き付けたコイルバネの一端が同巻取軸に固定され、同コイルバネの他端が前記巻取軸の外周に嵌めた巻取パイプに連接され、前記巻取軸の回転を通じて生じるコイルバネの蓄勢力により、巻取パイプに一端を固定した遮光ロールスクリーンが巻き取り又は展張自在に構成される遮光ロールスクリーン装置において、
前記巻取軸の角形の先端部が、端部キャップを介して、前記ブラケットの挿通孔から突き出され、同突き出された巻取軸の角軸先端部に水平歯車と垂直歯車を螺合させた傘歯車が取り付けられており、前記傘歯車の垂直歯車に設けられた垂直軸が回転操作し易い垂直向きに配置され、該垂直軸を外部動力で回転することにより、前記巻取軸のコイルバネの蓄勢力を調整して遮光ロールスクリーンの巻き取り又は展張が自在であり、且つ前記巻取軸の角軸先端部に嵌合自在なロック部材が前記角軸先端部に嵌合されることにより、前記巻取軸がロックされる構成であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載した発明に係るビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置は、前記ブラケットの外側面に、挿通孔を挟んだ上下位置に一対の案内溝片が形成され、略コ字状のロック凹部を有するロック部材が前記案内溝片間に横方向から挿し込まれて巻取軸の角軸先端部がロックされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置は、巻取軸の先端部に傘歯車が取り付けられ、前記傘歯車の軸を、鉛直方向から回転操作できるので、制限を受けて狭隘な場所でも、コイルバネの蓄勢力を楽に調整でき、使い勝手がよい。
また、当該遮光ロールスクリーンの張設装置は、従来の1/7程(約5cmぐらい)の狭い隙間でも、ビニルハウスの被覆シート上又はハウス内の支持部材上に次々と設置でき、ビニルハウス内への日光の入射を可及的に制限又は抑制できる利便性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】A、Bは本発明のビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置を被覆シート上に設置した状態を示した斜視図と正面図である。
図2】張設装置の巻取パイプ部分を分解して示した斜視図である。
図3】張設装置の異なる先端部分を分解して示した斜視図である。
図4図3の張設装置のラチェット機構部分を示した説明図である。
図5】張設装置の異なる先端部分を分解して示した斜視図である。
図6】A、Bは図5における張設装置のロック部材のロック要領と再バネ調整要領を示した側面図である。
図7】張設装置のビニルハウスへの取付け状態を示した斜視図である。
図8】A、Bは張設装置のハウス内での使用例を示した斜視図と正面図である。
図9】従来例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図示した本発明に係るビニルハウス用遮光ロールスクリーンの張設装置の実施形態を説明する。
本実施形態の遮光ロールスクリーン1を含む張設装置は、主として、図1図8に示したようなビニルハウスa内への直射日光の入射を抑制するために、ビニルハウスaの被覆シートbの上面に、屋根a3や側面a1、a2を覆う形で順次設置される。
すなわち、図1Aに例示した一般的なビニルハウスaは、ハウス骨組みを構成するアーチ状のパイプcを奥行き方向に多数起立し、このアーチパイプcに直交する横方向の水平パイプdを同アーチパイプcに接続している。前記ハウス骨組みに設置したシート止め材sを用いて、図示省略の被覆シートbが張設されている(図7参照)。前記ビニルハウスaの一側面a1の上部に設置されたシート止め材sに、当該遮光ロールスクリーン1の張設装置が、約5cm程の間隔をあけて複数設置されている。
【0017】
張設装置の遮光ロールスクリーン1は、例えば遮光率60%の樹脂シートで成り、幅が3m、長さが7~8mの長尺物に形成されている。図1Aのようにビニルハウスaの一側面a1の上部から、反対側の側面a2の上部に及ぶ屋根a3全体を覆う形で、展張と巻き取りが自在に構成されている。また、その半分の長さとして、前記ハウスaの一側面a1の上部から屋根a3の頂部に至るまでの長さ等、所望の長さに遮光ロールスクリーン1を形成して実施可能である(図示は省略)。張設装置(後述の巻取パイプ3)に一端が固定された当該遮光ロールスクリーン1の他端は、ビニルハウスaの反対側の側面a2で支持され、手動又は自動巻上げ装置(図8Aで示した符号k参照)により、遮光ロールスクリーン1は巻取パイプ3から引き上げられて展開し、又は巻取パイプ3に巻き取られて、直射日光の入射が制御される。そして、設置後の最初の初巻きと経年使用後のバネの再調整が、当該張設装置で以下のとおり行われる。
【0018】
図2図3により当該張設装置を説明する。両端をブラケット2、2に回転可能に支持された巻取軸5の外周に巻き付けたコイルバネ4の一端(図示例では右側)が同巻取軸5のバネ固定部材55の内端55´に固定されている。同コイルバネ4の他端は、巻取軸5に回動自在に取付けられた連結部材53の内端53´に連接されている。同連結部材53は、巻取軸5の外周に嵌めた巻取パイプ3の内側面に係止して共回り自在となっている。よって、前記巻取軸5の回転を通じて生じるコイルバネ4の蓄勢力により、巻取パイプ3に一端を固定した遮光ロールスクリーン1が巻き取り又は展張自在に構成されている。
【0019】
前記巻取軸5の先端部50が、端部キャップ6と軸受65を介して、前記ブラケット2の挿通孔20から突き出されている。軸受65の内側面には、突部60が円周方向に分割して突設され、巻取パイプ3の外端の円周方向に形成された複数の凹部30に、前記各突部60が嵌合される。一方、巻取軸5の基端部51は、図4に示したように、軸芯ブレ防止部材52が嵌められ、スペーサー54と端部キャップ69を介して他方のブラケット2に軸支されている。なお、前記ブラケット2、2を利用して、当該張設装置はシート止め材sに設置される(図7参照)。
【0020】
図3に示した張設装置について説明する。前記ブラケット2の挿通孔20から外方へ突き出された巻取軸5の先端部50に、コイルバネ4の蓄勢力を垂直方向から調整する手段として、傘歯車8の一対(80と81)が取り付けられている。
この張設装置のコイルバネ4に装着された巻取軸5の先端部は、端部キャップ6のほか、軸受65を介して、ブラケット2の挿通孔20に通して突き出されている。軸受65の外側面には、ブラケット2の挿通孔20に嵌合する大きさで環状の係止部66が形成され、この係止部66の外周に設けられた突部67が、挿通孔20に設けられた凹部21に係止される構成である(図5参照)。
【0021】
前記ブラケット2の挿通孔20から突き出された巻取軸5の先端部50に、傘歯車8が取り付けられている。傘歯車8は、水平配置の水平歯車80と、その水平歯車80に対し垂直配置に噛み合う垂直歯車81が前記水平歯車80に螺合されて成り、前記垂直歯車81に垂直方向の垂直軸82が回転操作し易い垂直向きに設けられている。なお、この傘歯車8と下記のラチェット25(図6)も、前記の着脱自在なケーシング75に収容し保護される(図示は省略)。
【0022】
したがって、巻取軸5の先端部50に傘歯車8が取り付けられた当該張設装置によれば、傘歯車8の垂直軸82を垂直方向の姿勢で所望数回転することにより、巻取パイプ3(遮光ロールスクリーン1)にかかるコイルバネ4の蓄勢力を調整することができる。上記のように当該張設装置がビニルハウスaの所定位置に設置された後に行われる遮光スクリーン1・・・の初巻き調整は、狭隘な場所であっても、垂直方向から電動インパクトドライバー等の工具(外部動力)kで簡単に行うことができる。爾後的に、コイルバネ4の蓄勢力を再度調整する際も、初巻き時と同様に、垂直方向からの作業で楽に行うことができる。
【0023】
前記傘歯車8の回転によるバネ調整後に傘歯車8をロックする手段としては、例えば、垂直軸8の外周にロック部材9を嵌合させて回転をロックする。または、図4に示したラチェット25を採用して回転をロックすることも実施可能である。その場合、ブラケット2から突き出た巻取軸5の先端部50にラチェット25が取り付けられ、ブラケット2の外周面22に取り付けた爪部25aが、前記ラチェット25の歯車に食い込んで制止する。なお、ラチェット25は、ブラケット2の内側で巻取軸5に取り付けて実施してもよい。いずれにしても、特には再度のバネ調整時に、巻取軸1が逆回転して緩むことがなく、巻取軸5は所望数回転して当該ラチェット25により確実にロックされる。
【0024】
次に、図5に示した張設装置について説明する。この張設装置における巻取軸5の先端部50は角形(本実施例では六角)に形成されているが、これ以外の基本的構造は前記図5の張設装置と略同じである。ロック部材9は、垂直軸82に対してではなく、角軸先端部50をロックする点が異なる。
すなわち、ブラケット2の外側面22には、挿通孔20を挟んだ上下位置に一対の案内溝片23、23が形成され、ロック部材9の移動と角軸先端部50の回転止め機能を発揮させる。本実施形態のロック部材9は、巻取軸5の六角の角軸先端部50を嵌合できるように、一側から六角形に凹んだロック凹部90を有する。よって、全体形状は略コ字状に形成され、ブラケット2の案内溝片23、23間に横方向から挿し込まれて巻取軸5の角軸先端部50に前記ロック凹部90が嵌合してロックが自在に構成されている。
【0025】
したがって、傘歯車8の垂直軸82を垂直方向から所望数回転して遮光ロールスクリーン1のコイルバネ4の蓄勢力を調整した後、図5図6Aに示したように、ブラケット2の案内溝片23、23間に横方向から当該ロック部材9を挿し込むと、巻取軸5の角軸先端部50がロック凹部90に嵌合し、巻取軸5は回転が制止してロックされる。
爾後的にバネを再調整する必要が生じた時には、図6Bのように、ブラケット2の案内溝片23、23間に挿し込まれているロック部材9を引き出し、再度垂直軸82を所望数回転してコイルバネ4の蓄勢力を調整し、調整が済んだら、また図6Aのように当該ロック部材9をブラケット2の案内溝片23、23間に横方向から挿し込んで巻取軸5をロックすればよい。
【0026】
[第2実施形態]
図8に示したように、ビニルハウスaの内部に支持部材eを設置し、その支持部材eの上面において、上記張設装置の遮光ロールスクリーン1の展張と巻き取りを行う形態でも実施される。
支持部材eとしては、同図8に示した山形状の内部パイプが好適である。この山形状の内部パイプeが、ハウス骨組みを構成する各アーチパイプc・・・の両側面a1、a2の各内側部に接続され、水平パイプdが前記複数の山形状の内部パイプe・・・の各頂部を接続されている。かくして、ビニルハウスaの内部に設置された内部パイプeの一基端部の上部に、当該張設装置が設置される。よって、遮光ロールスクリーン1は、ハウスa内の内部パイプeの上面で、所望位置まで展張し、巻き取り収納が自在である。
そして、図8Aに符号kで示した自動巻上げ装置が、ハウスaの骨組みに設置され、遮光ロールスクリーン1の先端に取り付けた紐10が、前記自動巻上げ装置に接続されている。したがって、この自動巻上げ装置kを作動させて、遮光ロールスクリーン1の展張と巻き取りを難なく行えると共に、初巻きや経年使用後のバネ調整をビニルハウスa内でスムーズに行うことができる。
【0027】
以上、実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0028】
a ビニルハウス
b 被覆シート
e 支持部材(内部パイプ)
1 遮光ロールスクリーン
2 ブラケット
20 挿通孔
23 案内溝片
25 ラチェット
3 巻取パイプ
4 コイルバネ
5 巻取軸
50 先端部
6 端部キャップ
8 傘歯車
82 垂直軸
9 ロック部材
90 ロック凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9