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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】車両検知装置及びその筐体
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20220128BHJP
   G01V 1/00 20060101ALI20220128BHJP
   G01S 7/52 20060101ALI20220128BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20220128BHJP
   G06M 7/00 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G01V1/00 A
G01S7/52 U
G08G1/04 J
G06M7/00 301N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017079689
(22)【出願日】2017-04-13
(65)【公開番号】P2018180940
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】510073268
【氏名又は名称】首都高電気メンテナンス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517131444
【氏名又は名称】三和電業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100105407
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】福井 裕人
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-155288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/01
G01V 1/00
G01S 7/52
G08G 1/04
G06M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路へ向けて送信波を送信するとともに前記道路を走行する車両からの前記送信波の反射波を受ける超音波ヘッドを用いて車両を検知する車両検知装置であって、
正面に形成された開口部と、側面に開閉自在に取り付けられた扉とを有し、前記扉の開状態において前記扉の内側を前記正面に向かう方向から視認可能な筐体と、
回路基板と、前記回路基板と一体に形成され、前記回路基板が前記開口部を通じて前記筐体内へ挿入された状態において前記開口部を塞ぐように前記筐体の正面に取り付けられる操作パネルとを有し、前記超音波ヘッドに前記送信波の信号を供給するとともに前記反射波の信号を受ける検知回路ユニットと、
表示面を有し、前記扉の内側に設けられた保持部によって、前記扉の開状態において前記表示面が視認可能な状態で前記扉の内側に保持され、前記検知回路ユニットと電気的に接続されて前記反射波の波形を前記表示面に表示するバッテリ駆動のオシロスコープと、
前記筐体内に収容され、少なくとも前記検知回路ユニットに電力を供給可能なバッテリと
を含む車両検知装置。
【請求項2】
前記扉の開状態において、前記表示面が前記操作パネルと略同一方向に向くように配置される
請求項1に記載の車両検知装置。
【請求項3】
前記扉の閉状態において、前記扉の外面と前記筐体の側面とが略面一な状態となる
請求項1又は2に記載の車両検知装置。
【請求項4】
道路へ向けて送信波を送信するとともに前記道路を走行する車両からの前記送信波の反射波を受ける超音波ヘッドを用いて車両を検知する車両検知装置の筐体であって、
前記筐体の正面に形成され、前記超音波ヘッドに前記送信波の信号を供給するとともに前記反射波の信号を受ける検知回路ユニットに含まれる回路基板が挿入される開口部と、
前記回路基板と一体に形成された前記検知回路ユニット中の操作パネルを、前記回路基
板が前記開口部を通じて前記筐体内に挿入された状態において前記開口部を塞ぐように前記筐体の正面に取り付けるための取付部と、
前記筐体の側面に開閉自在に取り付けられ、開状態においてその内側を前記筐体の正面に向かう方向から視認可能な扉と、
前記扉の内側に設けられた保持部であって、前記検知回路ユニットと電気的に接続されて前記反射波の波形を表示する表示面を有するバッテリ駆動のオシロスコープを、前記扉の開状態において前記表示面を視認可能な状態で前記扉の内側に保持する保持部と、
少なくとも前記検知回路ユニットに電力を供給可能なバッテリの収容スペースと、
を含む車両検知装置の筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両検知装置及びその筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路の交通量を計測するため、高速道路を走行する車両を検知し、車両の台数を計数する交通量計測システムがある。交通量計測システムは、例えば超音波ヘッドと検知回路ユニットとを含む。超音波ヘッドは、高速道路の道路脇(路肩など)に設置され、道路へ向けて超音波(送信波)を放射し、道路を走行する車両が反射した反射波を受ける。検知回路ユニットは、超音波ヘッドに送信波信号を供給するとともに、超音波ヘッドが受けた反射波の信号を検知することによって車両を検知する。
【0003】
高速道路には複数の交通量の測定箇所が決められており、超音波ヘッドは各測定箇所に設置される。一方、各超音波ヘッドに対応する検知回路ユニットは、超音波ヘッドから離れた建物内(例えば、「通信棟」などと呼ばれる)に配置され、一元的に管理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-15943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波ヘッドは樹脂製であり、道路からの飛び石などで破損することが少なくない。破損に至らない場合でも、飛び石などで超音波ヘッドの取付角度が変化し、車両の検知精度が低下する場合があり得る。超音波ヘッドの破損等が発生すると、作業員が現地へ赴き、超音波ヘッドの交換及び取付角度の調整を行う。超音波ヘッドの取付状態の適否は、送信波及び反射波の波形を観測することにより行う。
【0006】
このとき、超音波ヘッドに対する送信波及び反射波の送受並びにこれらの波形観測を通信棟に配置された検知回路ユニットを用いて行うと、現場の作業員が通信棟に所在する他の作業員に波形の適否等を問い合わせること等が必要となり、作業の手間や効率が低下する。このため、作業者は可搬性を有する検査用装備(検査用の機器や用具)を作業現場に持参し、検査を行っていた。
【0007】
検査用装備は、可搬性を有する検知回路ユニット、送信波及び反射波を観測するためのオシロスコープ、これらに電力を供給するガソリンエンジン式の発電機などの重量のある機器を含んでいた。さらに、検査用装備には、交換用の超音波ヘッド、水平器、角度調整器なども含まれ、持参する機器や用具の点数が少なくなかった。このため、検査用装備を現場に持参することは重労働であった。
【0008】
また、オシロスコープと検知回路ユニットとはケーブルを介して電気的に接続される別個の機器であったため、これらの作業現場における設置環境によっては、オシロスコープの波形を観測しながら検知回路ユニットを操作することが煩雑であったり困難であったりするおそれがあった。
【0009】
本発明は、検査用装備の搬送の負荷軽減及び操作性向上を図り、作業者の負担を軽減することのできる車両検知装置及びその筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、課題を解決するために、以下の構成を採用する。
すなわち、本発明の態様の一つは、道路へ向けて送信波を送信するとともに前記道路を走行する車両からの前記送信波の反射波を受ける超音波ヘッドを用いて車両を検知する車両検知装置である。この車両検知装置は、正面に開口部が形成されるとともに側面に扉が開閉自在に取り付けられ、前記扉の開状態において前記扉の内側を前記正面に向かう方向から視認可能な筐体と、前記開口部を通じて前記筐体内に挿入される回路基板と前記筐体の正面に取り付けられる操作パネルとを有し、前記超音波ヘッドに前記送信波の信号を供給するとともに前記反射波の信号を受ける検知回路ユニットと、表示面を有し、保持部によって前記表示面が視認可能な状態で前記扉の内側に保持され、前記検知回路ユニットと電気的に接続されて前記反射波の波形を前記表示面に表示するバッテリ駆動のオシロスコープと、前記筐体内に収容され、少なくとも前記検知回路ユニットに電力を供給可能なバッテリとを含む。
【0011】
車両検知装置は、前記扉の開状態において、前記表示面が前記操作パネルと略同一方向に向くように配置される構成としても良い。
【0012】
車両検知装置は、前記扉の閉状態において、前記扉の外面と前記筐体の側面とが略面一な状態となる構成としても良い。
【0013】
また、本発明の他の態様は、道路へ向けて送信波を送信するとともに前記道路を走行する車両からの前記送信波の反射波を受ける超音波ヘッドを用いて車両を検知する車両検知装置の筐体である。この筐体は、前記筐体の正面に形成され、前記超音波ヘッドに前記送信波の信号を供給するとともに前記反射波の信号を受ける検知回路ユニットに含まれる回路基板が挿入される開口部と、前記検知回路ユニットに含まれる操作パネルを前記筐体の正面に取り付けるための取付部と、前記筐体の側面に開閉自在に取り付けられ、開状態においてその内側を前記筐体の正面に向かう方向から視認可能な扉と、前記検知回路ユニットと電気的に接続されて前記反射波の波形を表示するバッテリ駆動のオシロスコープの表示面を視認可能な状態で前記扉の内側に保持する保持部と、少なくとも前記検知回路ユニットに電力を供給可能なバッテリの収容スペースとを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、検査用装備の搬送の負荷軽減及び操作性向上を図り、作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は車両検知装置の正面図である。
図2図2は車両検知装置の背面図である。
図3図3は車両検知装置の左側面図である。
図4図4は車両検知装置の右側面図である。
図5図5は車両検知装置の斜視図である。
図6図6は筐体に対する操作パネル及び回路基板の取付状態、並びにバッテリの収容状態を説明する図である。
図7図7は道路に対する超音波ヘッドの設置状態とオシロスコープの波形との関係の説明図である。
図8図8は車両検知装置の回路構成を示す図である。
図9図9はオシロスコープの表示画面の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示
であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0017】
図1は車両検知装置の正面図であり、図2は車両検知装置の背面図であり、図3は車両検知装置の左側面図であり、図4は車両検知装置の右側面図であり、図5は車両検知装置の斜視図である。図6は、筐体に対する操作パネル及び回路基板の取付状態、並びにバッテリの収容状態を説明する図である。図7は、道路に対する超音波ヘッドの設置状態とオシロスコープの波形との関係の説明図である。図8は車両検知装置の回路構成を示す図であり、図9はオシロスコープの表示画面の例を示す。
【0018】
実施形態に係る車両検知装置10は、超音波ヘッド2を用いて道路を走行する車両を検知する。超音波ヘッド2は、例えば、図7に示すように、道路(高速道路)1の側方に設置され、道路1へ向けて超音波(送信波)を放射(送信)する。また、超音波ヘッド2は道路1を走行する車両3により反射される送信波の反射波を受ける。
【0019】
実施形態に係る車両検知装置10は、可搬性を有し、超音波ヘッド2の調整装置として使用される。例えば図5に示すように、車両検知装置10は奥行きを有する直方体状の筐体11を有している。
【0020】
車両検知装置10には、検知回路ユニット22Aが取り付けられる。検知回路ユニット22Aは操作パネル21と回路基板22とを含む。筐体11の正面の壁には操作パネル21が取り付けられる。筐体11の正面の壁は操作パネル21を取り付けるための取付部として使用される。操作パネル21の正面21Aには、ランプ群、スイッチ、端子などが配列されている(図1図5)。
【0021】
例えば、正面21Aには、ランプ群14として、送信波の送信時に点灯する「送信」ランプと、反射波が検知された場合に点灯する「検知」ランプと、故障が検出された場合に点灯する「故障」ランプとが設けられている。また、正面21Aには、調整部として、近ゲートの調整ダイヤル15及び遠ゲートの調整ダイヤル16が設けられている。さらに、正面21Aには、端子群として、「受信」端子17aと、「同期」端子17bと、「コモン(グラウンド)」端子17cと、パーソナルコンピュータとの接続用のコネクタ18が設けられている。
【0022】
図6に示すように、操作パネル21の背面21Bからは回路基板22が延出しており、操作パネル21及び回路基板22は連結(一体に形成)されている。回路基板22には、超音波ヘッド2へ送る送信波の信号を生成・出力する回路や、超音波ヘッド2で受けた反射波の信号の受信回路、オシロスコープ40へ供給する波形の生成回路などの電気・電子回路群が実装されている。
【0023】
筐体11の正面の壁には、回路基板22を挿抜可能な開口部12(スロット:図6参照)が形成されており、回路基板22は、操作パネル21の背面21Bが筐体11の正面の壁面と当接するまで開口部12に挿入されることで、筐体11の内部に収容される。操作パネル21には、正面21Aから背面21Bに抜ける貫通孔21a,21bが形成されており、操作パネル21は、ボルト23A及びボルト23Bを用いて筐体11の正面の壁(取付部)に固定される。なお、図6に示す例では、正面の壁にはボルト23A及びボルト23Bのボルト孔が形成されており、ボルト23Aは筐体11内のナット24Aと螺合し、ボルト23Bは筐体11内のナット24Bと螺合する。
【0024】
車両検知装置10は、ケーブル4(図5参照)を介して超音波ヘッド2と接続される。筐体11の背面(図2)には、ケーブル4と接続されるコネクタ13が設けられており、超音波ヘッド2はケーブル4及びコネクタ13を介して検知回路ユニット22Aと電気的
に接続される。
【0025】
筐体11の内部には、検知回路ユニット22Aの電源となるバッテリ27(図6)と、バッテリ27の直流電圧を検知回路ユニット22Aに応じた直流電圧に変換する電源回路28(図8)とを収容する収容スペースが設けられている。バッテリ27は、例えばリチウムイオン二次電池である。但し、所望の電力を供給できる限りにおいて他の種類の電池が適用されても良い。電源回路28は筐体11内において検知回路ユニット22Aと電気的に接続され、電源回路28からの電力を受けて動作する。
【0026】
筐体11の左側面には、扉30が開閉自在に取り付けられている。図1図2図5は、扉30の開状態を図示し、図3は扉30の閉状態を示す。扉30は、接続部の一例であるヒンジ34(接続部の一例)を用いて筐体11に対して回動自在に取り付けられている。扉30は、筐体11の正面から背面に向かって回動することで開状態となり、筐体11の背面から正面へ向かって回動することで閉状態となる。すなわち、扉30の内面30bは、開状態において、筐体11の正面に向かう方向から視認可能となる。
【0027】
扉30は閉状態の位置から少なくとも90°回動可能となっており、扉30の内面30bが筐体11の正面を向くことが可能となっている。図1及び図2は、扉30が略90°回転した状態を例示する。なお、実施形態では、扉30は閉状態から180°近くまで回動可能である。
【0028】
また、閉状態において、扉30の外面30aは、筐体11の右側面と略面一となるように形成されている(図3)。これにより、搬送時における車両検知装置10のコンパクト化が図られる。筐体11には、留め具32が設けられ、留め具32を用いて扉30の閉状態が維持される。これにより、搬送時に扉30が開くのを回避できる。なお、図1では留め具32の図示が省略されている。
【0029】
扉30の内部は中空であり、薄型の(例えば、平板状、或いはカード状の)オシロスコープ40を収容可能な収容スペース(収容部)となっており、オシロスコープ40は扉30内の収容部に収容されることで保持される。扉30の上部はヒンジ31a及びヒンジ31bによって開閉する蓋33となっている。扉30の内部空間(収容部)はオシロスコープ40を保持する保持部として機能する。
【0030】
扉30の内面30bには、窓30cが形成されている。オシロスコープ40は表示パネル41(例えば液晶ディスプレイ)を含んでおり、オシロスコープ40の収容時において、表示パネル41の表示面(画面)は窓30cを介して外部から視認可能な状態とされる。扉30の開く角度は、扉30内で保持されるオシロスコープ40の表示パネル41の表示面がほぼ正面を向くことが可能な角度となっていれば良く、その限りにおいて90°以下の角度であっても良い。なお、扉30内にオシロスコープ40を収容する構成の代わりに、扉30の内面にホルダやバンドが設けられ、オシロスコープ40がホルダやバンドで保持されるようになっていても良い。
【0031】
図5に示すように、扉30が開くことによって、筐体11内部への開口35が形成される。開口35は、バッテリ27(図6)などの出し入れに使用される。また、筐体11内部には、オシロスコープ40と検知回路ユニット22Aとの結線用の2つのプローブが収容されている。各プローブはオシロスコープ40に接続されており、その一方は「受信」端子17aに接続され、他方は「コモン」端子17cに接続される。図5には、「受信」端子17aに接続されたプローブ36の様子が例示されており、他方のプローブの図示は省略されている。なお、オシロスコープ40と検知回路ユニット22Aとは、筐体11内で結線して、プローブを省略しても良い。
【0032】
なお、車両検知装置10が屋外で使用されるものであり、風雨に対する耐久性を考慮して、筐体11及び扉30はステンレスやアルミなどの金属製である。但し、樹脂などの金属以外の材料を適用する場合もあり得る。なお、オシロスコープは本体と表示パネル41を有する表示部とが別体となっており、本体と表示部とが有線又は無線で通信可能であり、本体及び表示部のうちの表示部が扉30の内側に保持され、本体は筐体内に収容される構成であっても良い。
【0033】
図8は、車両検知装置10の回路構成を示す。筐体11内に収容される回路基板22に実装された検知回路ユニット22Aは、超音波ヘッド2と接続されるとともに、オシロスコープ40に接続される。オシロスコープ40は、表示パネル41を有するとともに、内蔵バッテリ42を有しており、内蔵バッテリ42の電力を用いて駆動する。電源回路28は、バッテリ27の直流電圧を検知回路ユニット22A用の直流電圧に変換して検知回路ユニットに供給する。また、電源回路28からは、内蔵バッテリ42の充電用の電力が供給される。なお、電源回路28がオシロスコープ40の駆動用の直流電圧(電力)を生成し、オシロスコープ40に直接に供給するようにしても良い。
【0034】
以下、車両検知装置10を用いた検査について説明する。作業者は、車両検知装置10、ケーブル4及び超音波ヘッド2を含む検査用装備を用いて作業現場に赴き、超音波ヘッドを車両検知装置10に接続するとともに、適宜の位置(道路の側方)において、所定の取付角度で設置する。これにより、超音波ヘッド2から超音波が道路1へ向かって放射される状態となる。
【0035】
車両検知装置10及びオシロスコープ40の電源を投入し、プローブを用いて検知回路ユニット22Aとオシロスコープ40とを結線する。検知回路ユニット22Aは送信波の信号を超音波ヘッド2に送り、超音波ヘッド2から送信波の超音波が道路1へ向かって放射される。なお、送信波の送信時には検知回路ユニット22Aは「送信」ランプを点灯させる。道路1を車両3が走行し、送信波を反射すると、反射波が超音波ヘッド2にて受信され、反射波の信号がケーブル4及びコネクタ13を介して検知回路ユニット22Aに入力される。
【0036】
検知回路ユニット22Aは、反射波の信号を検知することで、車両3を検知することができる。車両3が検知された場合、検知回路ユニット22Aは「検知」ランプを点灯させる。検知回路ユニット22Aは、オシロスコープ40での観測用の信号を生成し、オシロスコープ40に供給する。
【0037】
図7を用いて、オシロスコープ40の表示パネル41の表示面に表示される波形について説明する。オシロスコープ40の波形は、左から右に時間が流れており、信号の立ち上がり時間(近ゲートと呼ぶ)と立ち下がり時間(遠ゲート)とが設定される。近ゲート及び遠ゲートは超音波ヘッド2から道路1までの距離(路肩)と、道路1の幅員の距離とを考慮し、道路1の幅員に合わせて設定される。近ゲートの位置は調整ダイヤル15の操作で調整でき、遠ゲートの位置は調整ダイヤル16の操作で調整できる。送信波を示す波形は、近ゲートの前で観測され、反射波を示す波形は近ゲートと遠ゲートとの間で観測される。
【0038】
図9は、表示パネル41の表示面に表示される波形の例を示す。図9(A)に示すように、車両3がない場合には、反射波は観測されない。これに対し、図9(B)に示すように、車両3が送信波の放射範囲を横切る(通過する)と、反射波が観測される。なお、車両検知装置10にパーソナルコンピュータ(図示せず)を接続し、車両3の検知数を計数することで、時間あたりの交通量を算出することができる。
【0039】
作業者は、波形を観測しながら、近ゲート及び遠ゲートの調整、或いは超音波ヘッドの設置状態の調整を行う。そして、適正な波形が観測された状態となった場合に、検査及び調整を終了し、超音波ヘッド2を通信棟の検知回路ユニットと結線する。
【0040】
実施形態によれば、車両検知装置10は、正面に開口部12が形成されるとともに側面に扉30が開閉自在に取り付けられ、扉30の開状態において扉30の内側を正面に向かう方向から視認可能な筐体11を含む。また、車両検知装置10は、開口部12を通じて筐体11内に挿入される回路基板22と回路基板22と連結され筐体11の正面に脱着自在に取り付けられる操作パネル21とを有し、超音波ヘッド2に送信波の信号を供給するとともに反射波の信号を受ける検知回路ユニット22Aを含む。
【0041】
さらに、車両検知装置10は、表示パネル41を有し、保持部によって表示パネル41が視認可能な状態で扉30の内側に保持され、検知回路ユニット22Aと電気的に接続されて反射波の波形を表示パネル41に表示するバッテリ駆動のオシロスコープ40を含む。そして、車両検知装置10は、筐体11内に収容され、少なくとも検知回路ユニット22Aに電力を供給可能なバッテリ27を含む。保持部は、例えば、扉30内に形成されたオシロスコープ40の収容部と、この収容部に収容されたオシロスコープ40の表示パネル41(表示面)を外部から視認するための窓30cとを含む。なお、実施形態では、窓30cが開口である例を示したが、窓30cをなす開口の少なくとも一部が透明又は半透明の部材で閉塞されていても良い。
【0042】
車両検知装置10によれば、筐体11に検知回路ユニット22A、オシロスコープ40、及びバッテリ27が装着乃至収容された一体型となっているので、従来のように、個別のガソリンエンジン式の発電機、検知回路ユニット、及びオシロスコープを現場へ持参する場合に比べて搬送する機器及び用具の数やかさ(体積)を減らすことができる。よって、作業現場への検査用設備の搬送作業が容易となる。また、発電機の代わりにバッテリを用いること等により、検査用設備の重量を減らすことができ、この点でも搬送作業を容易にすることができる。
【0043】
さらに、車両検知装置10によれば、扉30の回転角度(開き角度)の調整によって、表示パネル41の表示面を操作パネル21の正面と略同一方向を向くように配置できるので、オシロスコープ40の画面(波形)を見ながらゲート(近ゲート、遠ゲート)を調整する作業が好適となる。
【0044】
さらに、車両検知装置10によれば、閉状態の扉30の外面は筐体11の側面と略面一な状態となるように形成される。これによって、車両検知装置10のコンパクト化を図ることができ、車両検知装置10の搬送を容易にする。以上より、車両検知装置10によれば、超音波ヘッド2の交換乃至検査作業を容易にすることができる。すなわち、検査用装備の搬送の負荷軽減及び操作性向上を図り、作業者の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0045】
1・・・道路
2・・・超音波ヘッド
3・・・車両
10・・・車両検知装置
11・・・筐体
12・・・開口部
21・・・操作パネル
22・・・回路基板
22A・・・検知回路ユニット
27・・・バッテリ
28・・・電源回路
30・・・扉
30a・・・外面
30b・・・内面
30c・・・窓
34・・・ヒンジ(接続部)
35・・・開口
40・・・オシロスコープ
41・・・表示パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9