(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】表面保護フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20220214BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220214BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20220214BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20220214BHJP
C09J 123/04 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B27/00 M
C09J7/29
C09J7/38
C09J123/04
(21)【出願番号】P 2018143178
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000222462
【氏名又は名称】東レフィルム加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186484
【氏名又は名称】福岡 満
(72)【発明者】
【氏名】田崎 竜幸
(72)【発明者】
【氏名】井上 則英
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/129426(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/122288(WO,A1)
【文献】特開2011-020299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも背面層、中間層、粘着層の積層構成からなり、背面層はポリプロピレン系樹脂からなり、背面層の算術平均粗さ(Ra)が0.35μm以上、十点平均粗さ(Rz)が3.0μm以上であり、中間層はポリプロピレン系樹脂からなり、ポリプロピレン系樹脂の引張弾性率が1450MPa以上であり、粘着層はポリオレフィン系エラストマー1~50重量%と低密度ポリエチレン50~99重量%からなり、ポリオレフィン系エラストマーの押針直後のショアA硬度が75以上であることを特徴とする表面保護フィルム。
【請求項2】
上記ポリオレフィン系エラストマーの押針直後のショアA硬度が80以上であり、押針15秒後のショアA硬度が75未満である請求項1に記載の表面保護フィルム。
【請求項3】
上記ポリオレフィン系エラストマーの押針直後のショアA硬度と、押針15秒後のショアA硬度の差が15以上である請求項1または2に記載の表面保護フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に光学製品の部材に使用される表面保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
表面保護フィルムは、光学フィルムまたはシート等の光学製品等を保護するために用いられる。かかる光学製品に用いられる表面保護フィルムは、被着体を汚染しないことに加え、光学フィルム等の被着体に貼り合わせた際、表面保護フィルム中のフィッシュアイ等表面保護フィルム由来の凸部欠点や環境由来の外来異物等の凸部が、貼り合わせた応力やロール状に巻き取り保管した際の巻締まりなどの応力により被着体に転写し凹みや変形などの打痕または転写欠点が生じる問題があり、これらの打痕または転写欠点を生じさせないことが厳しく要求される。
【0003】
また、表面保護フィルムはロール状に成形した際の巻ジワ、たるみ、表面凹凸等、その他外観性を求められることから剛性も必要されている。
【0004】
これらの要求は近年、益々厳しくなってきており、被着体に表面保護フィルムを被着体に貼り合わせた後、ロール状に巻き取り、巻重体として長期間保管した場合においても、凹みや変形等の打痕または転写欠点が生じ難い表面保護フィルムが強く望まれている。
【0005】
このことから、フィッシュアイ等の凸部欠点による被着体への凹み等(打痕または転写)を解消すべく、基材層にメタロセン系触媒を用い特定のクロス分別抽出割合を規定したポリエチレン系樹脂を用いる提案(特許文献1)或いはメタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン系樹脂を用いる提案(特許文献2)がなされているが、未だ微小フィッシュアイ等による被着体への打痕解消に対しては十分に満足されるレベルには至っていなかった。
【0006】
また、表面保護フィルムの巻き出し容易性を改善する方法として、粘着層を直鎖状低密度ポリエチレンまたはエチレン・酢酸ビニル共重合体とし、背面層をプロピレン系樹脂と低密度ポリエチレンで構成する提案(特許文献3)、或いは背面層に相当する基材層にフッ素系樹脂またはシリコーン樹脂とポリオレフィンで構成する提案(特許文献4)等がなされているが、いずれも、微小フィッシュアイ等による被着体への打痕解消に対しては十分に満足されるレベルまでには至っていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平9-111208号公報
【文献】特開2009-143215号公報
【文献】特開2008-030349号公報
【文献】特開2008-81589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のことから微小フィッシュアイ等による打痕解消と巻き出し容易性を改善と、いずれの特徴も両立する必要が求められている。
【0009】
本発明は、光学フィルムまたはシートの被着体に貼り合わせた際、特に微小なフィッシュアイ等の欠点や巻きジワにより被着体に凹みや変形等を生じさせないこと等の高度な品質要求される偏光板や位相差板等の光学用フィルムに対して、粘着力が増大することなく、かつ、被着体を汚染したり、被着体に凹みや変形等の打痕または転写欠点を生じさせたりすることがない表面保護フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の表面保護フィルムは、少なくとも背面層、中間層、粘着層の積層構成からなり、背面層はポリプロピレン系樹脂からなり、背面層の算術平均粗さ(Ra)が0.35μm以上、十点平均粗さ(Rz)が3.0μm以上であり、中間層はポリプロピレン系樹脂からなり、ポリプロピレン系樹脂の引張弾性率が1450MPa以上であり、粘着層はポリオレフィン系エラストマー1~50重量%と低密度ポリエチレン50~99重量%からなり、ポリオレフィン系エラストマーの押針直後のショアA硬度が75以上であることを特徴とする表面保護フィルムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、粘着層の応力緩和性により貼り合わせた応力により被着体へ転写し凹みを生じることなく打痕または転写を軽減でき、中間層の剛性により安定した外観性を保持した表面保護フィルムを再現性よく提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の表面保護フィルムは背面層と中間層と粘着層の少なくとも3層積層構成からなる。
【0013】
本発明の表面保護フィルムの背面層は、ポリプロピレン系樹脂からなるのが好ましい。背面層の表面粗さは、JIS B0601:1982で規定される算術平均粗さ(Ra)が0.35μm以上、十点平均粗さ(Rz)が3.0μm以上が好ましい。より好ましくは、Raが0.5~0.65μm、Rzが4.0~5.5μmの範囲である。算術表面粗さ(Ra)が0.35μm未満、または十点平均粗さ(Rz)が3.0μm未満であると、粘着層との滑り性が悪化し、フィルムロールとして巻き姿が悪くなることがあり、巻き取ることが困難となることがある。
【0014】
背面層に使用するポリプロピレン系樹脂としては前記Ra、Rzを満足するものであれば制限なく使用できるが、好ましい具体例としてはホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンを挙げることができる、より好ましくは、ブロックポリプロピレンを使用すると上記表面粗さを得やすい。また、上記表面粗さを得るため、無機系または有機系の粒子を添加することもできる。
【0015】
なお、背面層には本発明の効果を妨げない限り、ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂や添加剤が含有されていてもよい。
【0016】
本発明の表面保護フィルムの中間層はポリプロピレン系樹脂からなるのが好ましい。該ポリプロピレン系樹脂は、JIS K7161:1994およびJIS K7162:1994で規定される引張弾性率が1450MPa以上が好ましい。好ましくは引張弾性率が1450~2000MPa、より好ましくは1600~1950MPa、さらに好ましくは1700~1900MPaである。引張弾性率が1450MPa未満であると、応力吸収による転写性抑制効果が小さくなる。ポリプロピレン系樹脂としては前記引張弾性率を満足するものであれば制限なく使用できるが、好ましい具体例としてはホモポリプロピレンが例示される。
【0017】
なお、中間層には本発明の効果を妨げない限り、ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂や添加剤が含有されていてもよい。
【0018】
本発明の表面保護フィルムの粘着層は、ポリオレフィン系エラストマー1~50重量%と低密度ポリエチレン50~99重量%からなるのが好ましく、ポリオレフィン系エラストマーはJIS K7215:1986に規定される押針直後のショアA硬度75以上が好ましい。
【0019】
前記粘着層を構成するポリオレフィン系エラストマーは、押針直後のショアA硬度が75以上が好ましく、より好ましくは80以上である。さらには押針15秒後のショアA硬度が、好ましくは75以下である。さらに、押針直後のショアA硬度と、押針15秒後のショアA硬度の差が15以上が好ましく、さらに好ましくは20以上である。
【0020】
ポリオレフィン系エラストマーのガラス転移温度(Tg)としては、-10~70℃の範囲が好ましく、好ましくは0~50℃、より好ましくは5~40℃の範囲である。ショアA硬度、Tgがこのような範囲にあると、応力吸収性に優れ、本発明の表面保護フィルムにおいて打痕抑制効果に優れる。
【0021】
ポリオレフィン系エラストマーの好ましい具体例としては、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、4-メチル-1-ペンテン共重合体などを挙げることができる。好ましくは4-メチル-1-ペンテン共重合体である。
【0022】
本発明の表面保護フィルムの粘着層に用いられる低密度ポリエチレンの密度としては、0.890~0.940g/cm3が好ましく、より好ましくは0.900~0.930g/cm3が好ましい。
【0023】
このような密度をもつ低密度ポリエチレンとしては公知の高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などがある。そのうちLLDPEがより好ましい。
【0024】
LLDPEの具体例としては、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン・1-オクテン共重合体などを挙げることができる。
【0025】
本発明における粘着層は、より好ましくはポリオレフィン系エラストマー2~40重量%と低密度ポリエチレン60~98重量%である。ポリオレフィン系エラストマーが50重量%を超えると、被着体に貼り付け後の粘着力が上昇し、いわゆる粘着昂進が起こることで、剥離がしにくくなったり、剥離跡が残ったりすることがある。
【0026】
なお、粘着層には本発明の効果を妨げない限り、他の樹脂や添加剤が含有されていてもよい。
【0027】
本発明においては、上述のように背面層、中間層、粘着層を有する保護フィルムとすることで、被着体との貼合わせ時のフィルム巻き出し時に容易に巻き戻すことができ、被着体との貼り合わせ加工においても、取り扱い易く、加工性に優れる。特に、偏光板や位相差板等の光学フィルムで要求される、フィッシュアイやフィルムの各種シワ等が起因で被着体に凹みや変形等の打痕または転写や汚染などが生じることのない、表面保護フィルムを再現性よく提供することができる。
【0028】
本発明の表面保護フィルムは、背面層と中間層と粘着層の少なくとも3層積層構成からなる。
【0029】
背面層の厚さは0.3~30μm、好ましくは0.5~20μm、より好ましくは0.7~10μm、中間層の厚さは5~300μm、好ましくは10~200μm、より好ましくは15~100μm、粘着層の厚さは0.5~20μm、好ましくは1~30μm、より好ましくは1~20μmの範囲である。
【0030】
表面保護フィルムの厚さとしては、15~350μm、好ましくは20~250μm、より好ましくは20~150μmの範囲である。
【実施例】
【0031】
以下、実施例に基づいて、本発明の表面保護フィルムを説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下に示す方法で測定、評価した。
【0032】
(1)メルトフローレート
(株)東洋精機製作所製メルトインデックサを用い、JIS K7210:1999「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠した。ポリプロピレン系樹脂の場合は温度230℃、荷重2.16kgfで、ポリエチレン系樹脂の場合は温度190℃、荷重2.16kgfで測定した。単位はいずれもg/10分である。
【0033】
(2)表面粗さ
(株)小坂研究所製の全自動微細形状測定機(SURFCORDER ET4000A)を用い、JIS B0601:1982「製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-用語,定義及び表面性状パラメータ」に準拠し、フィルム横方向(フィルムの幅(TD)方向)に測定長さ4mmで、フィルムの長手方向(マシン方向)に10μmピッチで10回測定して3次元解析し、算術平均粗さ(Ra)及び、十点平均粗さ(Rz)をそれぞれ求めた(単位はμm)。なお、触針先端半径2.0μm、頂角60°のダイヤモンド針を使用、測定力100μN、カットオフ0.8mmで測定した。
【0034】
(3)引張り弾性率
JIS K7161:1994およびJIS K7162:1994「プラスチック-引張特性の求め方」に準拠し、引っ張り弾性率を測定した。ポリプロピレン系樹脂のチップを、常法によりTダイよりシート状に押出し、冷却ドラム上で冷却して、約100μm厚さのシートを作成し、長さ方向にダンベル状に打ち抜いて引っ張り試験用の試料とした。テンシロン型引張試験機を使用し、チャック間100mm、引張速度300mm/分の条件で測定した荷重-伸び曲線の接線による計算値から、ポリプロピレン系樹脂の引張弾性率を測定した。
【0035】
(4)打痕転写性評価
[PETフィルムへの貼合による打痕評価]
貼合するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムには、東レポリエステルフィルム“ルミラー”(登録商標)U483(厚さ50μm)を用いた。安田精機(株)製特殊圧着ロ-ラ-を用いて、線圧9.1kN/m 貼り込み速度3000mm/minで貼合し、100mm×100mmに切り出し平滑な板で挟み、60℃×24時間で保管したのちフィルムを剥離して、PETフィルムの表面に屋内の蛍光灯管を写し込んだ反射像で打痕による歪み(ゆがみ)を観測した。
判定基準:官能評価
LV1 歪みが確認できない
LV2 歪みが僅かに確認できる
LV3 歪みが明確に確認できる。
【0036】
(5)デュロメータ硬さ(ショアA)
ポリオレフィンエラストマーのチップを熱プレスにより平板状に成型し、厚さ6mmの試料を作成した。JIS K7215:1986「プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法」に準拠し、押針は円柱状の尖端形状は円錐角度35°のタイプAの圧子を用いて、押し付け荷重は約10Nでデュロメータの加圧基準面を試料表面に平行を保ちながら衝撃を伴うことなくできるだけ速やかに試料表面に押し付け、加圧基準面と試料とをよく密着させる方法で測定した。押針直後と、押針15秒後のデュロメータの目盛りを読み取った。
【0037】
(6)巻き姿
シワ発生なく、ロールへの巻取り可能;○
シワ発生し、ロールへの巻取り困難 ;×。
【0038】
<実施例1>
背面層樹脂として、密度0.900g/cm3、融点160℃、メルトフローレート(以下MFRと称することがある)9.0g/10分のブロックポリプロピレン(Hyosung社製J640F)、中間層樹脂として密度0.900g/cm3、融点164℃、温度230℃下でのMFR5.0g/10分、JIS K7161(1994)で規定される引張弾性率が1850MPaのホモポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製FL4)100重量%を使用した。粘着層として密度0.840g/cm3、230℃下でのMFR10.0g/10分、押針直後のショアA硬度が92、押針15秒後のショアA硬度が70、ガラス転移温度が30℃のオレフィン系エラストマー(三井化学(株)製“アブソートマー”(登録商標)EP1001)25重量%と密度が0.910g/cm3のメタロセン触媒で得られた直鎖状低密度ポリエチレン(エチレン・1-ヘキセン共重合体、日本ポリエチ(株)製KC573)75重量%を使用した。φ25mm(背面層用)とφ35mm(粘着層用)とφ45mm(中間層用)の3台の押出機を有する口金幅400mmのTダイ型複合製膜機を用い、上記準備した樹脂組成物をそれぞれの押出機に導入し、背面層厚さ割合を8.1%、粘着層厚さ割合を22.6%、中間層厚さ割合を69.3%となるよう各押出機の吐出量を調整し、複合Tダイから押出温度220℃にて押出し、キャストドラムの温度30℃にて急冷し、ロール状に巻き取り、フィルム厚さ30μmの3層積層フィルムを得た。(巻き姿○)
得られた保護フィルム背面の算術平均粗さ(Ra)は0.59μm、十点平均粗さ(Rz)は4.73μm、粘着面の算術平均粗さ(Ra)は0.11μm、十点平均粗さ(Rz)は0.64μmであった。
【0039】
PETフィルムへの貼合による打痕転写性評価結果はLV1であった。
【0040】
<実施例2>
粘着層として、実施例1で使用したオレフィン系エラストマー5重量%と、同直鎖状低密度ポリエチレン95重量%を使用したこと以外は実施例1と同様の方法でフィルム厚さ30μmの3層積層フィルムを得た。(巻き姿○)
得られた保護フィルム背面の算術平均粗さ(Ra)は0.57μm、十点平均粗さ(Rz)は4.71μm、粘着面の算術平均粗さ(Ra)は0.10μm、十点平均粗さ(Rz)は0.60μmであった。
【0041】
PETフィルムへの貼合による打痕転写性評価結果はLV1であった。
【0042】
<実施例3>
粘着層として、実施例1で使用したオレフィン系エラストマー30重量%と、同直鎖状低密度ポリエチレン70重量%を使用したこと以外は実施例1と同様の方法でフィルム厚さ30μmの3層積層フィルムを得た。(巻き姿○)
得られた保護フィルム背面の算術平均粗さ(Ra)は0.60μm、十点平均粗さ(Rz)は4.77μm、粘着面の算術平均粗さ(Ra)は0.11μm、十点平均粗さ(Rz)は0.64μmであった。
【0043】
PETフィルムへの貼合による打痕転写性評価結果はLV1であった。
【0044】
<比較例1>
中間層として、密度0.960g/cm3、融点134℃、温度190℃下でのメルトフローレート7.0g/10分の高密度ポリエチレン100重量%を使用した。
それ以外は実施例1と同様の方法でフィルム厚さ30μmの3層積層フィルムを得た。(巻き姿○)
得られた保護フィルム背面の算術平均粗さ(Ra)は0.60μm、十点平均粗さ(Rz)は4.68μmであった。
【0045】
中間層の剛性が不十分であり、PETフィルムへの貼合による打痕転写性評価結果はLV3であった。
【0046】
<比較例2>
中間層として、密度0.924g/cm3、融点116℃、温度190℃下でのメルトフローレート5.8g/10分の低密度ポリエチレン100重量%を使用した。
それ以外は実施例1と同様の方法でフィルム厚さ30μmの3層積層フィルムを得た。(巻き姿○)
得られた保護フィルム背面の算術平均粗さ(Ra)は0.59μm、十点平均粗さ(Rz)は4.75μmであった。
【0047】
中間層の剛性が不十分であり、PETフィルムへの貼合による打痕転写性評価結果はLV2であった。
【0048】
<比較例3>
背面層として、密度0.900g/cm3、融点163℃、温度230℃下でのメルトフローレート7.5g/10分のホモポリプロピレン100重量%を使用した
中間層として、密度0.960g/cm3、融点134℃、温度190℃下でのメルトフローレート7.0g/10分の高密度ポリエチレン100重量%を使用した。
【0049】
粘着層として密度0.922g/cm3、融点122℃、190℃下でのMFR5.0g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン(エチレン・1-ヘキセン 共重合体)100重量%使用した。
それ以外は実施例1と同様の方法でフィルム厚さ30μmの3層積層フィルムを得た。但し、背面層の表面粗さが小さく、フィルムロールにシワが入り、うまく巻き取ることができなかった。(巻き姿×)
得られた保護フィルム背面の算術平均粗さ(Ra)は0.10μm、かつ、十点平均粗さ(Rz)は1.66μmであった。
【0050】
応力吸収が不十分であり、PETフィルムへの貼合による打痕転写性評価結果はLV3であった。
【0051】
<比較例4>
中間層樹脂として密度0.900g/cm3、温度230℃下でのMFR6.5g/10分、JIS K7161(1994)で規定される引張弾性率が900MPaのランダムポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製FW4BT)100重量%を使用した。
それ以外は実施例1と同様の方法でフィルム厚さ30μmの3層積層フィルムを得た。(巻き姿○)
中間層のポリプロピレン系樹脂の剛性が不十分であり、PETフィルムへの貼合による打痕転写性評価結果はLV2であった。
【0052】