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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】鋼材用孔あけテンプレート
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/18 20060101AFI20220128BHJP
【FI】
E04G21/18 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017253238
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019119993
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591150764
【氏名又は名称】安治川鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】望月 将裕
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 敏之
(72)【発明者】
【氏名】岸田 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】沖田 晃
(72)【発明者】
【氏名】柚木 克俊
(72)【発明者】
【氏名】藤原 稔久
(72)【発明者】
【氏名】井上 義文
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆生
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-156613(JP,A)
【文献】実開平07-027761(JP,U)
【文献】特開2006-138070(JP,A)
【文献】実開平01-114192(JP,U)
【文献】実開平02-002445(JP,U)
【文献】実開昭50-029612(JP,U)
【文献】実開平06-020769(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の鋼材の被孔あけ面に載置される板状の主板部と、該主板部の一端部から略垂直に延びて前記被孔あけ面の端部に当接される板状の当接板部と、を有するテンプレート本体を備え、
前記主板部に、基準標示部と前記被孔あけ面に孔あけ位置を標すためのマーキング孔とが設けられ、前記被孔あけ面に標された基準マークに前記基準標示部を合わせて前記被孔あけ面に前記主板部を載置し、前記当接板部を前記被孔あけ面の端部に当接させた状態で、前記基準マークから前記鋼材の長手方向に所定の距離で、かつ、前記被孔あけ面の端部から前記鋼材の長手方向に直交する方向に所定の距離に、前記マーキング孔が位置するように前記マーキング孔が設けられ
前記主板部の外郭が、前記被孔あけ面の塗装剥離を要するエリアの外郭と略同形状に形成されている、
ことを特徴とする鋼材用孔あけテンプレート。
【請求項2】
前記テンプレート本体に設けられ、前記テンプレート本体を前記鋼材に付着させる磁石を備える、
ことを特徴とする請求項に記載の鋼材用孔あけテンプレート。
【請求項3】
前記テンプレート本体に設けられ、前記テンプレート本体を吊るす紐状体を掛けるためのフックを備える、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の鋼材用孔あけテンプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄塔などの鋼材に孔あけ位置をマーキングするための鋼材用孔あけテンプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、既設の送電用鉄塔の腕金に新たな部材をボルトで取り付ける場合、従来、次のようにしてボルト孔を形成していた。すなわち、まず、物差しや巻き尺などを使って、新たな部材を取り付けるべき基準線を、腕金を構成する長尺状の鋼材・山形鋼に引く。例えば、腕金の先端から所定の位置に基準線を引く。次に、再び物差しや巻き尺などを使って、その基準線から所定の距離で、かつ、鋼材の端縁(基準線に直交する縁)から所定の距離に、ボルト孔の中心点をマーキングする。そして、このボルト孔に対してパンチャーなどでボルト孔を形成していた。
【0003】
一方、リフォーム等の工事を行う際に、既設の梁に建設部材の取付孔を容易かつ精度よく罫書ける、という取付孔位置出し装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置は、取付孔を罫書くための複数の貫通孔が設けられた上下一対のテンプレートと、梁を挟んでテンプレートを梁の所定位置に配置させる一対の当接部材と、梁にテンプレートを仮固定するための磁石と、を備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-169631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のように鋼材にボルト孔の位置をマーキングする場合、物差しや巻き尺などを使って位置を特定してマーキングしなければならず、時間と労力を要する。特に、高い鉄塔上で行う場合、多大な時間と労力を要し、作業者への負担も大きい。さらには、多くの鉄塔に新たな部材を取り付ける場合、同じマーキング作業を数多く行わなければならず、多大な時間と労力を要するばかりでなく、間違った位置にマーキングしたりボルト孔を形成したりするおそれがある。同様に、作業者のスキルや経験などによっても、間違った位置にマーキングしたりボルト孔を形成したりするおそれがある。
【0006】
そして、間違った位置にボルト孔を形成した場合、新たに正しい位置にボルト孔を形成することになるが、孔の大きさやずれの位置などによっては、鋼材の強度を低下させ、鉄塔の必要強度を満たさなくなるおそれがある。一方、特許文献1に記載の装置では、構成や操作が複雑で作業者への負担が大きく、特に、高い鉄塔上での作業には不向きである。
【0007】
そこでこの発明は、長尺状の鋼材に孔あけ位置を容易かつ適正にマーキングすることを可能にする、鋼材用孔あけテンプレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、長尺状の鋼材の被孔あけ面に載置される板状の主板部と、該主板部の一端部から略垂直に延びて前記被孔あけ面の端部に当接される板状の当接板部と、を有するテンプレート本体を備え、前記主板部に、基準標示部と前記被孔あけ面に孔あけ位置を標すためのマーキング孔とが設けられ、前記被孔あけ面に標された基準マークに前記基準標示部を合わせて前記被孔あけ面に前記主板部を載置し、前記当接板部を前記被孔あけ面の端部に当接させた状態で、前記基準マークから前記鋼材の長手方向に所定の距離で、かつ、前記被孔あけ面の端部から前記鋼材の長手方向に直交する方向に所定の距離に、前記マーキング孔が位置するように前記マーキング孔が設けられ、前記主板部の外郭が、前記被孔あけ面の塗装剥離を要するエリアの外郭と略同形状に形成されている、ことを特徴とする鋼材用孔あけテンプレートである。
【0009】
この発明によれば、被孔あけ面に標された基準マークに基準標示部を合わせて被孔あけ面に主板部を載置し、当接板部を被孔あけ面の端部に当接させることで、基準マークから鋼材の長手方向に所定の距離で、かつ、被孔あけ面の端部から鋼材の長手方向に直交する方向に所定の距離に、マーキング孔が位置される。そして、このマーキング孔に沿ってペンなどで被孔あけ面にマーキングすることで、被孔あけ面の所定の位置に孔あけ位置がマーキングされる。
【0011】
請求項の発明は、請求項に記載の鋼材用孔あけテンプレートにおいて、前記テンプレート本体に設けられ、前記テンプレート本体を前記鋼材に付着させる磁石を備える、ことを特徴とする。
【0012】
請求項の発明は、請求項1または2に記載の鋼材用孔あけテンプレートにおいて、前記テンプレート本体に設けられ、前記テンプレート本体を吊るす紐状体を掛けるためのフックを備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、被孔あけ面の基準マークに基準標示部を合わせて被孔あけ面に主板部を載置し、当接板部を被孔あけ面の端部に当接させるだけで、被孔あけ面の所定の位置に孔あけ位置を容易かつ迅速にマーキングすることができる。しかも、テンプレート本体を被孔あけ面に載せて被孔あけ面の端部に当接させさえすれば、所定の位置にマーキング孔が位置するため、誰でも容易かつ適正・正確に孔あけ位置をマーキングすることができる。
【0014】
また、請求項1の発明によれば、テンプレート本体の主板部の外郭が、被孔あけ面の塗装剥離を要するエリアの外郭と略同形状に形成されている。このため、被孔あけ面の塗装の剥離作業を要する場合に、主板部の外郭に沿ってペンなどで被孔あけ面にマーキングするだけで、塗装剥離を要するエリアを容易、迅速かつ適正にマーキングすることができる。
【0015】
請求項の発明によれば、テンプレート本体を鋼材に付着させる磁石を備えるため、テンプレート本体を磁石で鋼材に付着させた状態でマーキングなどを行うことができ、作業性、安全性が向上する。特に、鉄塔などの高所での作業では、両手を使える状態となり、作業者の負担を著しく軽減することが可能となる。
【0016】
請求項の発明によれば、テンプレート本体を吊るす紐状体を掛けるためのフックを備えるため、紐状体をフックに掛けて作業者の安全帯などに掛けることで、テンプレート本体が落下するのを防止することができ、安全性が向上する。

【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施の形態に係る鋼材用孔あけテンプレートを示す平面図(a)と、正面図(b)と、(a)の側面図(c)である。
図2図1の鋼材用孔あけテンプレートの使用方法を示す図であり、山形鋼に基準マークを標した状態を示す図である。
図3図2に続き、図1の鋼材用孔あけテンプレートを山形鋼に設置した状態を示す図である。
図4図3に続き、孔あけ位置などをマーキングした後に、図1の鋼材用孔あけテンプレートを山形鋼から外した状態を示す図である。
図5】この発明の実施の形態に係る鉄塔の腕金周辺と新規部材の取付位置を示す平面図(a)と、正面図(b)である。
図6図5の腕金と新規部材との位置関係を示す平面図(a)と、(a)の側面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0019】
図1図6は、この発明の実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係る鋼材用孔あけテンプレート1を示す平面図(a)と、正面図(b)と、(a)の側面図(c)である。この鋼材用孔あけテンプレート1は、長尺状の鋼材の被孔あけ面に孔あけ位置M1をマーキングする(罫書く)ための補助具であり、主として、テンプレート本体2と、フック3と、磁石4と、を備える。
【0020】
この実施の形態では、図5に示すように、既設の送電用鉄塔100の腕金101に新規部材110をボルトで取り付けるのに先立って、ボルトを挿入するボルト孔の孔あけ位置M1を腕金101にマーキングする場合について、以下に説明する。ここで、鉄塔100には塗装が施され、腕金101等は、断面が略L字状で長尺状の鋼材(以下、「山形鋼」という)102で構成されている。そして、腕金101の先端から所定の距離Lに、新規部材110を取り付けるものとする。
【0021】
また、新規部材110は、図6に示すように、略四角形の平板状で、山形鋼102の一方の平板部の上面である被孔あけ面102aに取り付けられるもので、新規部材110が重なる被孔あけ面102aのエリア(図6(a)中のハッチング部)が、取付エリアS1となる。また、新規部材110は、鉄塔100と電気的に導通されるべき部材であり、被孔あけ面102aの取付エリアS1の塗装を剥離して取り付ける必要があるものとする。さらに、新規部材110を取り付けるには2つのボルトを要し、従って、1つの新規部材110に対して2つの孔あけ位置M1を被孔あけ面102aにマーキングする必要があるものとする。
【0022】
テンプレート本体2は、図1に示すように、断面が略L字状の物差し状で、板状で略長方形の主板部21と、この主板部21の長手方向の一端部(一方の長辺部)から略垂直に延びる板状で略長方形の当接板部22と、を有する。テンプレート本体2の材質は、所定の強度、耐食性などを有すればよいが、例えば、ステンレス鋼で構成されている。
【0023】
主板部21は、山形鋼102の被孔あけ面102aに載置される平板部であり、その外郭が、被孔あけ面102aの塗装剥離を要するエリアS2の外郭M2と略同形状に形成されている。すなわち、主板部21の横長さD1および縦長さ(当接板部22の内面からの長さ)D2は、図4に示す塗装剥離を要するエリアS2(図4中のハッチング部)の横長さD1および縦長さD2と同寸法に設定されている。ここで、塗装剥離を要するエリアS2は、被孔あけ面102aの取付エリアS1よりもやや大きく設定され、塗装が剥離されたエリアS2に新規部材110が確実に取り付けられるようになっている。
【0024】
当接板部22は、被孔あけ面102aの端部(山形鋼102の刃先)102bに当接される平板部であり、その高さHは、図1(c)に示すように、被孔あけ面102aの端部102bに確実かつ安定して当接できるように設定されている。
【0025】
また、主板部21の表面には、基準標示線(基準標示部)211が標されて(刻印等されて)いる。すなわち、主板部21の他方の長辺部(反当接板部22側の端部)の中央から、長手方向に直交する方向に当接板部22側に向って一直線状の基準標示線211が標されている。
【0026】
さらに、主板部21には、被孔あけ面102aに孔あけ位置M1を標すためのマーキング孔212が2つ形成されている。このマーキング孔212は、ペン先などが入る程度の小さな丸孔で、基準標示線211および当接板部22に対して所定の位置に形成されている。
【0027】
まず、腕金101を構成する山形鋼102の先端から所定の距離Lに、図2に示すような基準マークCが標されているものとする。この基準マークCは、山形鋼102の長手方向における新規部材110の取付位置を示す線状マークであり、山形鋼102の長手方向に直交する方向に延びて被孔あけ面102aに標されている。そして、山形鋼102の長手方向における新規部材110の中心が基準マークCと一致するように、新規部材110を山形鋼102に取り付けるものである。
【0028】
このような基準マークCに基準標示線211を合わせて被孔あけ面102aに主板部21を載置し、図3に示すように、当接板部22を被孔あけ面102aの端部102bに当接させた状態で、基準マークCから山形鋼102の長手方向(横方向)に所定の距離D3で、かつ、被孔あけ面102aの端部102bから山形鋼102の長手方向に直交する方向(縦方向)に所定の距離D4に、マーキング孔212が位置するようにマーキング孔212の位置が設定されている。
【0029】
すなわち、基準マークCから左右の横方向に所定の距離D3で、被孔あけ面102aの端部102bから縦方向に所定の距離D4にボルト孔を形成する場合に、その位置にマーキング孔212が位置する必要がある。このため、基準マークCと同位置に位置される基準標示線211から、左右の横方向(主板部21と当接板部22との角部が延びる方向)に所定の距離D3にマーキング孔212を設けることで、横方向の位置を規定する。さらに、被孔あけ面102aの端部102bと同位置に位置される当接板部22の内面から、縦方向(横方向に直交する方向)に所定の距離D4にマーキング孔212を設けることで、縦方向の位置を規定するものである。
【0030】
このようなテンプレート本体2の表面には、いくつかの使用方法、注意書きが標されて(刻印等されて)いる。すなわち、主板部21の表面の中央部には、「外縁で塗装剥離形状をマーキング 小穴で穴明け位置をマーキング」と標され、主板部21の表面の周縁には、「塗装剥離マーキング」と標されている。また、当接板部22の表面の中央部には、「山形鋼刃先にあてがう」と標されている。
【0031】
フック3は、テンプレート本体2を吊るす紐状体を掛けるための掛け具であり、この実施の形態では、テンプレート本体2に一体的に設けられている。すなわち、図1に示すように、テンプレート本体2の主板部21の長手方向の一方側において、主板部21が略U字状に切り欠かれ、さらに、切り欠きの内部にフック孔3aが形成されている。そして、切り欠きの内部が主板部21の表面から突出するように折り曲げられて、リング状のフック3が形成され、フック孔3aに紐などを通せるようになっている。
【0032】
磁石4は、テンプレート本体2を山形鋼102に付着させるマグネットであり、テンプレート本体2に2つ配設されている。すなわち、磁石4は、ボタン状で、ネジ41によってテンプレート本体2の主板部21の表面に取り付けられている。
【0033】
次に、このような構成の鋼材用孔あけテンプレート1の使用方法などについて説明する。ここで、作業前に、紐などをフック3に掛けて(通して)作業者の安全帯などに掛けることで、鋼材用孔あけテンプレート1が作業者から離脱しないようにする。
【0034】
まず、物差しや巻き尺などを使って、腕金101を構成する山形鋼102の先端から所定の距離Lに、図2に示すように、山形鋼102の長手方向に直交する方向に延びる線状の基準マークCを被孔あけ面102aに標す。次に、図3に示すように、基準マークCに基準標示線211を合わせて被孔あけ面102aに、鋼材用孔あけテンプレート1の主板部21を載置し、当接板部22を被孔あけ面102aの端部102bに当接させる。これにより、磁石4でテンプレート本体2が山形鋼102に付着して、鋼材用孔あけテンプレート1の設置状態が安定する。
【0035】
続いて、この状態で、2つのマーキング孔212にペンなどを挿入して、被孔あけ面102aに2つの孔あけ位置M1をマーキングする。さらに、主板部21の外郭に沿ってペンなどで被孔あけ面102aに標し、塗装剥離を要するエリアS2の外郭M2をマーキングする。そして、鋼材用孔あけテンプレート1を山形鋼102から外すと、図4に示すように、被孔あけ面102aに2つの孔あけ位置M1と、塗装剥離を要するエリアS2の外郭M2がマーキングされている。その後、パンチャーなどで2つの孔あけ位置M1にボルト孔を形成し、外郭M2内のエリアS2の塗装を剥離して、ボルトで新規部材110を山形鋼102に取り付けるものである。
【0036】
このように、この鋼材用孔あけテンプレート1によれば、被孔あけ面102aの基準マークCに基準標示線211を合わせて被孔あけ面102aに主板部21を載置し、当接板部22を被孔あけ面102aの端部102bに当接させるだけで、被孔あけ面102aの所定の位置に孔あけ位置M1を容易かつ迅速にマーキングすることができる。しかも、テンプレート本体2を被孔あけ面102aに載せて被孔あけ面102aの端部102bに当接させさえすれば、所定の位置にマーキング孔212が位置するため、誰でも容易かつ適正・正確に孔あけ位置M1をマーキングすることができる。さらに、1つの鋼材用孔あけテンプレート1を山形鋼102に一度設置するだけで、複数の孔あけ位置M1を容易かつ適正にマーキングすることができるため、作業者への負担を軽減して、時間と労力を著しく削減することが可能となる。
【0037】
また、テンプレート本体2の主板部21の外郭が、被孔あけ面102aの塗装剥離を要するエリアS2の外郭M2と略同形状に形成されている。このため、被孔あけ面102aの塗装の剥離作業を要する場合に、主板部21の外郭に沿ってペンなどで被孔あけ面102aにマーキングするだけで、塗装剥離を要するエリアS2を容易、迅速かつ適正にマーキングすることができる。この結果、塗装の剥離作業を適正かつ効率的に行うことが可能となる。
【0038】
一方、テンプレート本体2を山形鋼102に付着させる磁石4を備えるため、テンプレート本体2を磁石4で山形鋼102に付着させた状態でマーキングなどを行うことができ、作業性、安全性が向上する。特に、鉄塔100などの高所での作業では、両手を使える状態となり、作業者の負担を著しく軽減することが可能となる。
【0039】
また、テンプレート本体2を吊るす紐状体を掛けるためのフック3を備えるため、紐などをフック3に掛けて(通して)作業者の安全帯などに掛けることで、テンプレート本体2が落下するのを防止することができ、安全性が向上する。
【0040】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、基準標示部が一直線状の基準標示線211で構成されているが、主板部21の反当接板部22側の長辺部から突出するように基準標示部を構成したり、主板部21の単辺部を基準標示部としたりしてもよい。つまり、山形鋼102の長手方向におけるマーキング孔212の位置を特定できる基準になるものであれば、どこでも、どのようなものでもよい。
【0041】
また、フック3をテンプレート本体2に一体的に設けているが、別体のフック3をテンプレート本体2に取り付けてもよい。さらに、鋼材が山形鋼102の場合について説明したが、その他の鋼材であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 鋼材用孔あけテンプレート
2 テンプレート本体
21 主板部
211 基準標示線(基準標示部)
212 マーキング孔
22 当接板部
3 フック
4 磁石
S1 取付エリア
S2 塗装剥離を要するエリア
M1 孔あけ位置
M2 塗装剥離を要するエリアの外郭
100 鉄塔
101 腕金
102 山形鋼(鋼材)
102a 被孔あけ面
102b 被孔あけ面の端部
110 新規部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6