(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】ハンドル付きケース
(51)【国際特許分類】
B65D 43/22 20060101AFI20220128BHJP
A45C 5/00 20060101ALI20220128BHJP
B65D 25/28 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
B65D43/22 100
A45C5/00 B
B65D25/28 107
(21)【出願番号】P 2018007394
(22)【出願日】2018-01-19
【審査請求日】2020-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】堀山 徹
(72)【発明者】
【氏名】久岡 弘和
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-007047(JP,A)
【文献】スイス国特許発明第00683585(CH,A5)
【文献】特開2011-131357(JP,A)
【文献】特表2011-512884(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第03807435(DE,A1)
【文献】米国特許第04263794(US,A)
【文献】特開2019-127303(JP,A)
【文献】実開昭52-123004(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/28
B65D 43/22
B65D 43/24
A45C 5/00
A45C 13/10
B25H 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケース部と、
前記第1ケース部にヒンジ連結され、前記第1ケース部の荷物収容口を開閉する第2ケース部と、
前記第2ケース部に対して前記第1ケース部の反対側から重なり、前記第1ケース部又は前記第2ケース部にヒンジ連結されて、前記第2ケース部の荷物収容口を開閉する蓋体と、
前記第1ケース部のうち前記第2ケース部とのヒンジ連結部分の反対側に設けられたハンドル支持部に回動可能に支持されるハンドルと、
前記蓋体から前記ハンドル支持部側に突出する蓋側係合部と、
前記ハンドルに設けられ、前記ハンドルが前記第1ケース部の前記荷物収容口から離れる側に倒れた不使用姿勢から起こされる過程で前記蓋側係合部に係合して前記蓋体の回動を規制するハンドル側係合部と、を備え
、
前記ハンドル側係合部と前記蓋側係合部との一方には、前記ハンドルの回動半径方向と交差する方向に貫通する係合孔が含まれる一方、他方には、前記回動半径方向と交差する方向に突出し、前記ハンドルが前記不使用姿勢から起こされる過程で前記係合孔を貫通して係合する係合突部が含まれているハンドル付きケース。
【請求項2】
前記ハンドルと別個に設けられた第1操作部の操作により、前記第2ケース部を前記第1ケース部に対する閉位置に固定する第1固定機構と、
前記ハンドル及び前記第1操作部と別個に設けられた第2操作部の操作により、前記蓋体を前記第2ケース部に対する閉位置に固定する第2固定機構と、を備える請求項1に記載のハンドル付きケース。
【請求項3】
前記第2ケース部及び前記蓋体が完全に閉じかつ前記係合突部と前記係合孔とが係合した状態で、前記係合突部と前記係合孔の内面との間に、前記第2ケース部又は前記蓋体の半開き位置までの回動を許容するクリアランスが形成される請求項2に記載のハンドル付きケース。
【請求項4】
前記ハンドルは、前記ハンドル支持部に回動可能に支持される円筒体を有し、
前記係合突部は、前記ハンドル側係合部に設けられて、前記円筒体の一部をその周方向に延びる突片状に切り離してなる請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載のハンドル付きケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルが回動可能に取り付けられたハンドル付きケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のハンドル付きケースとして、第1ケース部と第2ケース部と蓋体とをヒンジ連結してなり、第1ケース部の荷物収容口が第2ケース部にて閉じられ、第2ケース部の荷物収容口が蓋体にて閉じられるものが知られている。また、このハンドル付きケースのヒンジ連結部分の反対側の外側面には、蓋体及び第2ケース部を閉位置に固定するバックルとハンドルとが備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-100056号公報(
図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した従来のハンドル付きケースでは、例えば、荷物の出入後に蓋体は閉じてもバックルを締め忘れることがあり、ハンドルを把持して持ち上げられたときに蓋体が開いて荷物が脱落する事態が起こり得た。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、蓋体の固定し忘れによる荷物の脱落防止を図ることが可能なハンドル付きケースの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、第1ケース部と、前記第1ケース部にヒンジ連結され、前記第1ケース部の荷物収容口を開閉する第2ケース部と、前記第2ケース部に対して前記第1ケース部の反対側から重なり、前記第1ケース部又は前記第2ケース部にヒンジ連結されて、前記第2ケース部の荷物収容口を開閉する蓋体と、前記第1ケース部のうち前記第2ケース部とのヒンジ連結部分の反対側に設けられたハンドル支持部に回動可能に支持されるハンドルと、前記蓋体から前記ハンドル支持部側に突出する蓋側係合部と、前記ハンドルに設けられ、前記ハンドルが前記第1ケース部の前記荷物収容口から離れる側に倒れた不使用姿勢から起こされる過程で前記蓋側係合部に係合して前記蓋体の回動を規制するハンドル側係合部と、を備え、前記ハンドル側係合部と前記蓋側係合部との一方には、前記ハンドルの回動半径方向と交差する方向に貫通する係合孔が含まれる一方、他方には、前記回動半径方向と交差する方向に突出し、前記ハンドルが前記不使用姿勢から起こされる過程で前記係合孔を貫通して係合する係合突部が含まれているハンドル付きケースである。
【0007】
請求項2の発明は、前記ハンドルと別個に設けられた第1操作部の操作により、前記第2ケース部を前記第1ケース部に対する閉位置に固定する第1固定機構と、前記ハンドル及び前記第1操作部と別個に設けられた第2操作部の操作により、前記蓋体を前記第2ケース部に対する閉位置に固定する第2固定機構と、を備える請求項1に記載のハンドル付きケースである。
【0008】
請求項3の発明は、前記第2ケース部及び前記蓋体が完全に閉じかつ前記係合突部と前記係合孔とが係合した状態で、前記係合突部と前記係合孔の内面との間に、前記第2ケース部又は前記蓋体の半開き位置までの回動を許容するクリアランスが形成される請求項2に記載のハンドル付きケースである。
【0009】
請求項4の発明は、前記ハンドルは、前記ハンドル支持部に回動可能に支持される円筒体を有し、前記係合突部は、前記ハンドル側係合部に設けられて、前記円筒体の一部をその周方向に延びる突片状に切り離してなる請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載のハンドル付きケースである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1のハンドル付きケースでは、持ち上げられる際に、ハンドルが把持されて回動すると、それに伴ってハンドル側係合部と蓋側係合部とが係合し、蓋体が第1ケース部に固定され、それら第1ケース部と蓋体との間の第2ケース部も固定される。これにより、第2ケース部及び蓋体の固定し忘れに起因した荷物の脱落防止を図ることができる。つまり、本発明のハンドル付きケースによれば、第1ケース部と蓋体とを閉じさえすれば、ハンドルを把持して持ち上げられたときに、第1ケース部と蓋体とが閉位置に自動的に固定され、荷物の脱落防止を図ることができる。
【0011】
なお、ハンドル側係合部と蓋側係合部との係合以外に第1ケース部と蓋体とを閉位置に固定する固定機構を備えてもよいし、備えていなくてもよい。具体的には、請求項2の発明のように、第2ケース部用と蓋体用に第1と第2の固定機構を備えて、第2ケース部と蓋体とを別々に閉位置に固定できるようにしてもよいし、また、第2ケース部用又は蓋体用の何れか一方用の固定機構のみを備えてもよい。なお、固定機構を備えることで、第2ケース部又は蓋体の閉位置での固定強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るハンドル付きケースの上面側の斜視図
【
図5】第1ケース部の荷物収容口を開いた状態の斜視図
【
図6】第1ケース部のハンドル周辺部分を拡大した斜視図
【
図7】第2ケース部の荷物収容口を開いた状態の斜視図
【
図8】第1及び第2のケース部のハンドル周辺部分を拡大した斜視図
【
図9】第2ケース部及び蓋体の先端部の下面の斜視図
【
図16】ハンドルが不使用姿勢となったハンドル付きケースの一部破断の斜視図
【
図17】ハンドルが使用姿勢になったハンドル付きケースの一部破断の斜視図
【
図18】第2バックルが締められた状態の一部破断の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を
図1~
図18に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態のハンドル付きケース10(以下、単に「ケース10」という)は、第1ケース部21と第2ケース部22と蓋体23とを重ね合わせてなり、全体が、第1及び第2のケース部21,22等の重ね合わせ方向で偏平な略直方体状をなしている。また、その偏平の略直方体の第1と第2の主平面11A,11Bは略長方形をなし、一方の長辺側の側面である第1長側面12Aには、
図2に示すように、第1ケース部21と第2ケース部22と蓋体23とを回動可能に連結するヒンジ部14が備えられている。さらには、
図1に示すように、第1長側面12Aの反対側の第2長側面12Bには、第1ケース部21と第2ケース部22とを固定する第1バックル15(本発明の「第1操作部」に相当する)が備えられ、第1主平面11Aには、第2ケース部22と蓋体23とを固定する第2バックル16(本発明の「第2操作部」に相当する)が備えられている。そして、
図1に示すように、第1主平面11Aを上に向けかつ第2主平面11Bを下に向けた横倒姿勢で第1バックル15を外せば、
図5に示すように第1ケース部21に対して第2ケース部22を開くことができる。また、第2バックル16を外せば、
図7に示すように第2ケース部22に対して蓋体23を開くことができる。
【0016】
また、
図2に示すように、第1長側面12Aには、台座突部19が備えられる一方、
図1に示すように、第2長側面12Bには、ハンドル60が備えられている。そして、
図4に示すように、ケース10は、第2長側面12Bを上に向けかつ第1長側面12Aを下に向けた使用姿勢にして床面等の上に載置したり、ハンドル60を片手持ちして持ち運ぶことができる。また、
図1に示すように、1対の短側面13,13には、第1長側面12A寄り位置にそれぞれ手掛凹部18が備えられ、ケース10を横倒姿勢(
図1参照)にしたまま手掛凹部18,18に両手を掛けて運ぶこともできる。
【0017】
ケース10の各構成部の具体的な構造は、以下の通りである。なお、以下の説明において、短側面13,13の対向方向を「横方向」といい、第1及び第2の長側面12A,12Bの対向方向を「縦方向」という。また、特記しない限り、ケース10の横倒姿勢における「上」及び「下」を、単に「上」及び「下」ということとする。なお、ケース10の構成部品は、後述する金属製の連結ピン以外は、全て例えば樹脂の射出成形品である。
【0018】
図3に示すように、第1ケース部21は、ケース10全体の厚さ(上下方向)の半分以上を占める偏平の略直方体状をなし、前記第2主平面11Bを下面として備えている。その第2主平面11Bのうち枠形の外縁領域11Cの内側は、複数の横溝を備える溝付装飾部11Dになっている。また、溝付装飾部11Dと外縁領域11Cとの境界線のうち第2長側面12B側の一辺を除く3辺の境界線に沿って突条11Tが形成されている。また、外縁領域11Cにおける1対の短辺部分の略中央には、指掛凹部11S,11Sが形成されている。そして、ケース10を横倒姿勢にして持ち運ぶ際に、その下面に両手を回して指掛凹部11S,11Sに指先を掛けることができる。
【0019】
図5に示すように、第1ケース部21の上面は、全体が荷物収容口21Kとして開口している。また、荷物収容口21Kの開口縁の略全体から外側に補強突条21Lが突出している。さらには、
図6に示すように、補強突条21Lによって幅広になった第1ケース部21の上面の内縁部分から凸壁21Tが起立している。
【0020】
図2に示すように、第1ケース部21の第1長側面12Aには、その横方向の中央にヒンジ突部24Aが形成され、その両側に前述の台座突部19が設けられている。ヒンジ突部24Aは、補強突条21Lの外面に沿って横方向に延びる円筒の両端部の上側半分を除去してなる。また、台座突部19は、第1ケース部21の第1長側面12Aの上下方向に延びた筐体構造をなし、その上端部がヒンジ突部24Aと同一形状をなして補強突条21Lの外面に位置している。
【0021】
図5に示すように、第1ケース部21は、全体に対して第2長側面12Bを有する壁部が僅かに高くなっている。また、第1ケース部21の第2長側面12Bのうち横方向の一端寄り位置から他端寄り位置に亘る範囲は、段付き状に陥没した中央凹部25をなし、その中央凹部25の横方向の両端部に後に詳説する1対のハンドル支持部50,50が備えられてハンドル60が回動可能に支持されている。また、
図6に示すように、ハンドル支持部50,50の間には、前述の補強突条21Lが延び、その補強突条21Lと一方のハンドル支持部50との間のコーナー部にコーナー突片89が設けられて、そこに貫通孔89Aが形成されている。
【0022】
第1ケース部21の第2長側面12Bの横方向の両端部には、その上下方向の全体を外側に膨出させてコーナー膨出部26,26が形成されている。また、コーナー膨出部26から中央凹部25側にベルト取付部27が突出し、それらベルト取付部27に形成された貫通孔27Aに、図示しない肩掛け用のベルトの両端部のフックが係合可能になっている。
【0023】
左右のベルト取付部27とハンドル支持部50との間には、それぞれバックル支持突部28が備えられてそこに第1バックル15が取り付けられている。また、第1と第2のバックル15,16は、共に操作レバー30と係合レバー31とから構成されている。操作レバー30の一端部には支持ピン30J(
図18参照)が備えられ、第1バックル15においては前述のバックル支持突部28の両側面に開口する図示しない支持孔に操作レバー30の支持ピン30Jが回動可能に係合している。また、操作レバー30のうち回動中心から離れた位置には、支持ピン30Jと平行な支持ピン31J(
図18参照)が貫通していて、その支持ピン31Jの両端部に門形の係合レバー31の1対の脚部が回動可能に連結されている。なお、バックル支持突部28の上面には、支持孔の内面を成形するための型抜き孔28Aが開口している。
【0024】
第1ケース部21内の底面からは仕切壁80が起立している。この仕切壁80は、図示しない所定の工具の複数の部品を整理して収納するための形状をなしている。また、仕切壁80の一部は、断面異形の筒形支柱部81をなし、第1ケース部21の縦横両方向の略中央に配置されている。そして、次述する第2ケース部22の筒形支柱部82と筒形支柱部81とが当接して、ケース10内の支柱を構成する。
【0025】
図7に示すように、第2ケース部22は、第1ケース部21の上面に重なる枠形ベース部32の内側に、前述の工具の複数の部品を効率良く収納するための凹凸形状をなした底壁33を有する。枠形ベース部32は、第1ケース部21の補強突条21Lと略同一幅で面一の外側面を有する。また、底壁33の上面の外縁部から側壁34が突出し、その側壁34の上端部の内側が、第2ケース部22の荷物収容口22Kになっている。さらに、側壁34のうち縦方向に延びる両辺には、ヒンジ部14寄り位置を内側に屈曲させた内側屈曲部34A,34Aが設けられている。また、底壁33の上面のうち側壁34の内側部分から仕切壁83が突出し、底壁33の下面からは
図5に示すように前述した筒形支柱部82が突出している。
【0026】
図2に示すように、第2ケース部22の第1長側面12Aには、1対のヒンジ突部24B,24Bと1対の台座突部19,19とが設けられている。第2ケース部22の台座突部19は、第1ケース部21の台座突部19と略同一形状をなし、第2ケース部22のヒンジ突部24Bは、第1ケース部21のヒンジ突部24Aの一端部を切除した形状をなしている。また、蓋体23には、第2ケース部22のヒンジ突部24Bと略同形状のヒンジ突部24Cを先端に備えた複数のヒンジアーム41Bが備えられている。そして、これらヒンジ突部24A~24Cと台座突部19の先端部とが第1ケース部21の補強突条21Lに沿って並び、金属製の連結ピンにて相互に回動可能に連結されて、前述のヒンジ部14が構成されている。なお、蓋体23には、第2ケース部22の台座突部19,19が貫通する1対の矩形窓41Cが形成されている。
【0027】
図5に示すように、枠形ベース部32のうちヒンジ部14側を除く縦横の両辺には、枠形ベース部32の下面に溝部32M(詳細には、
図9参照)が形成されている。そして、
図16に示すように、第2ケース部22を第1ケース部21の上に重ねたときに第1ケース部21の凸壁21Tが溝部32Mに収まる。
【0028】
図11に示すように、第2ケース部22の第2長側面12B側の端部は、第1ケース部21に対応して、全体より上方に位置している。また、第2ケース部22の第2長側面12Bの両端部には、第1ケース部21の1対のコーナー膨出部26,26(
図6参照)に重なる1対のコーナー突片35,35が備えられている。さらには、その第2長側面12Bにおける両端部を除いた全体は、枠形ベース部32と側壁34とが面一になったベース面12Cになっている。そして、そのベース面12Cの横方向の両端部から横長の長方形の台座部36,36が段付き状に突出し、それら台座部36,36の間が第1ケース部21の中央凹部25(
図6参照)に重なる。また、ベース面12Cのうち台座部36,36の間の中央部からは指掛突壁38が張り出している。
【0029】
各台座部36からは、第1ケース部21のバックル支持突部28(
図6参照)に重なるバックル係止突部37が突出し、その上面の先端縁から係止突条37Aが突出している。また、このバックル係止突部37と前述の第1バックル15とによって本発明の「第1の固定機構」が構成されている。そして、第1バックル15の係合レバー31を係止突条37Aに係止して第1バックル15の操作レバー30を押し倒すことで第1ケース部21と第2ケース部22とが重なった状態に固定される。
【0030】
図8に示すように、指掛突壁38は、第1ケース部21のハンドル支持部50,50の間に位置し、その指掛突壁38の一端部に形成された貫通孔38Aと第1ケース部21のコーナー突片89の貫通孔89A(
図6参照)とが重なる。そして、それら貫通孔38A,89Aに南京錠等を通して施錠することができる。なお、
図3に示すように、指掛突壁38は、第1ケース部21から突出した状態になるので、そこに指先を掛けることで、第1ケース部21に対して第2ケース部22を容易に開くことができる。
【0031】
図11に示すように、指掛突壁38の上面における横方向の中央からは角柱状のバックル係止突部39が突出している。バックル係止突部39は、側壁34の上端部と概ね同じ高さに位置し、そのバックル係止突部39の上端縁からはヒンジ部14から離れる側に向かって係止突条39Aが突出している。また、側壁34には、ベース面12C側における横方向の中央部分が除去されて中央開口34Bが形成され、その中央開口34Bの中央にバックル係止突部39が位置している。そして、中央開口34Bの両端部に仕切壁83が接続されて中央開口34Bと上面とが開口した凹部84が形成されている。
【0032】
図11に示すように、蓋体23は、前述の第1主平面11Aを上面に有する天井壁40の外縁部から側壁41が下方に突出した下面開放の扁平な略直方体状をなしている。そして、
図18に示すように、側壁41が第2ケース部22の側壁34の外側に嵌合し、その側壁41の下端部が第2ケース部22の枠形ベース部32の上面に当接し、さらに、第2ケース部22の側壁34及び仕切壁83の上端部が、天井壁40の下面に当接した状態になって、天井壁40にて第2ケース部22の荷物収容口22Kを閉塞する。
【0033】
図2に示すように、第1主平面11Aのうちヒンジ部14側とその両側の3辺の外縁領域11Eの内側は、前述の第2主平面11Bの溝付装飾部11Dと同様の溝付装飾部11Fをなし、外縁領域11Eの両側部には、前述の第2主平面11Bの指掛凹部11S,11Sと同様の1対の指掛凹部11G,11Gが形成され、それらの間は、指掛凹部11Gと面一の陥没面11Hになっている。また、溝付装飾部11Fと外縁領域11Eとの境界線には溝部11Mが形成されていて、複数のケース10を横倒姿勢にして段積すると、上段側のケース10の突条11Tが下段側のケース10の溝部11Mに嵌合する。
【0034】
図11に示すように、蓋体23の側壁41には、第2ケース部22の1対の内側屈曲部34A,34Aに対向する位置に1対の切欠41A,41Aが形成され、これら内側屈曲部34Aと切欠41Aとにより前述の手掛凹部18が構成されている。
【0035】
蓋体23における第2長側面12B側の下面は、第2ケース部22に対応して、全体より上方に位置している。また、蓋体23の第2長側面12Bの両端部には、第2ケース部22の1対のコーナー突片35,35に重なる1対のコーナー突部42,42が備えられ、第2長側面12Bの中央寄り位置の2箇所には、1対の延長突部43,43が備えられている。
【0036】
1対の延長突部43,43は、横幅が縦幅より広い箱形構造をなして、側壁41から突出しかつ側壁41の上端部から側壁41より下方まで延びている。そして、
図4に示すように、延長突部43の下端部が第2ケース部22の台座部36と指掛突壁38との間に丁度嵌合するようになっている。また、コーナー突部42と延長突部43との間の側壁41は第2ケース部22の台座部36に上方から重なる。
【0037】
図11に示すように、延長突部43の上端部からは、第2ケース部22の中央開口34Bの開口縁まで側面突部44が延び、延長突部43と側面突部44とが合わさってL字形の蓋固定突部45になっている。また、
図9に示すように、第1ケース部21に対して蓋体23を閉じた状態で蓋固定突部45は、第2ケース部22の指掛突壁38より外側に突出した状態になると共に、蓋固定突部45の下面は、第2ケース部22の指掛突壁38の下面とが面一になる。
【0038】
図11に示すように、蓋体23の天井壁40のうち陥没面11Hより第2長側面12B側には、1対の側面突部44,44の間部分を段付き状に陥没させてバックル受容部46が形成されている。バックル受容部46の底壁46Aのうち縦方向の中間部からはバックル支持突部47が突出し、そこに第2バックル16の操作レバー30が回動可能に支持されている。また、底壁46Aには、バックル支持突部47より第2長側面12B側に切欠部46Bが形成されている。そして、
図18に示すように、第2ケース部22に対して蓋体23を閉じると、バックル受容部46が第2ケース部22の凹部84内に嵌合し、
図4に示すように、バックル係止突部39が切欠部46Bを通してバックル受容部46内に突入する。この状態で、第2バックル16の係合レバー31をバックル係止突部39の係止突条39Aに係止して操作レバー30を押し倒すことで第2ケース部22と蓋体23とを固定することができる。なお、これら第2バックル16とバックル係止突部39とから本発明に係る「第2固定機構」が構成されている。
【0039】
図10に示すように、延長突部43の下端部は、閉塞壁48にて閉塞されていて、その閉塞壁48から蓋側係合部49が突出している。蓋側係合部49は、突片の先端部に横長の係合孔49Aを備えた形状をなしている。また、蓋側係合部49の外縁部には、補強リブ49Lが形成されている。
【0040】
以下、前述の第1ケース部21のハンドル支持部50,50とハンドル60とについて詳説する。
図3に示すように、ハンドル支持部50は、第1ケース部21における第2長側面12Bの上端部から下端部まで延びる外側突部51と、第2長側面12Bの上端部から上下方向の途中位置まで延びる内側突部52とを横並びに備え、それらの上端部の間を連絡壁53にて連絡してなる。
【0041】
図6に示すように、外側突部51は、第1ケース部21の中央凹部25の段差面を外側から覆うように張り出す壁部から直角曲げされて中央凹部25から離れる側に起立する第1側面壁51Aと、第1側面壁51Aに対して間隔を開けて対向する第2側面壁51Bと、第1側面壁51Aと第2側面壁51Bの外縁部の間を連絡する正面壁51Cとからなる。また、
図12に示すように、第2側面壁51Bの上端縁は半円弧状に窪んでいる。
【0042】
図6に示すように、内側突部52は、中央凹部25内から起立する側壁52Aと、側壁52Aの先端縁から外側突部51に向かって直角曲げされ、外側突部51の正面壁51Cと面一に配置された正面壁52Bとからなる。そして、外側突部51の正面壁51Cの上端部と内側突部52の正面壁52Bの上端部との間を連絡壁53が連絡している。これにより、ハンドル支持部50の上端部には、略四角形の本発明に係る受容口50Kが形成されている。
【0043】
図12に示すように、内側突部52の内部には、正面壁52Bの内面の上端部と中央凹部25とを間を連絡する内側突部54が備えられている。また、内側突部54は、
図15に示すように、中央凹部25に接近するに従って下方に向かうように湾曲している。また、
図12に示すように、連絡壁53の内面には、内側突部54の一端部に連続して横方向に延びる補強リブ53Lが備えられている。
【0044】
図13に示すように、ハンドル60は、門形構造をなし、横方向の延びる断面異形の筒状をなした把持部61と、把持部61の両端部に直交する1対の脚部62,62とを有する。各脚部62は、隙間を空けて対向した1対の突片62A,62Aの先端間に回動軸部63を架け渡してなる。回動軸部63は、円筒体の一部を切り欠いてなり、その両端部は、1対の突片62A,62Aからそれぞれ突出している。そして、ハンドル60は、把持部61から脚部62,62が上方に延びた姿勢にされ、外側突部51,51と内側突部52,52との間に下方から押し込まれてハンドル支持部50,50に組み付けられる。その際、ハンドル支持部50,50の第2側面壁51B,51Bにハンドル60の回動軸部63,63が押し付けられて、回動軸部63,63同士が接近するように弾性変形する。そして、回動軸部63,63が第2側面壁51B,51Bより上方に移動したところで弾性復帰して、回動軸部63,63の一端部が第2側面壁51B,51Bの円弧状の上端部(
図12参照)に係合し、
図15に示すように回動軸部63,63の他端部が内側突部52内の内側突部54の湾曲面に宛われた状態になる。これにより、ハンドル60がハンドル支持部50,50に回動可能に支持される。
【0045】
図12に示すように、ハンドル60の回動軸部63における切り欠き63Aは、回動軸部63のうち把持部61から最も離れた部分において外側突部51側の端部から軸方向の中心部まで延び、そこから中央凹部25から離れる側に屈曲して延びた略L字形状をなしている。そして、この切り欠き63Aにより、回動軸部63における外側突部51側の一部が突片状に切り離されてハンドル側係合部64が形成されている。また、ハンドル側係合部64は、先端に向かって幅狭になっている。
【0046】
図1に示すように、ハンドル60が第1ケース部21の第2長側面12Bに重なった不使用姿勢になると、
図14及び
図15に示すように、回動軸部63の切り欠き63Aが受容口50Kを通して上方を向いた状態になる。そして、
図16に示すように、第1ケース部21に対して第2ケース部22が閉じ、さらに、第2ケース部22に対して蓋体23が閉じると、ハンドル支持部50の受容口50Kの大部分が蓋体23の閉塞壁48によって閉塞されると共に、受容口50Kのうち閉塞壁48にて覆われていない部分が延長突部43によって覆われる。この点において、本実施形態では、延長突部43と閉塞壁48とにより、本発明に係る「閉塞部」が構成されている。そして、閉塞壁48から張り出す蓋側係合部49が、回動軸部63の切り欠き63Aに突入した状態になる。
【0047】
そこから
図17に示すようにハンドル60を回動すると、ハンドル60の脚部62がハンドル支持部50の連絡壁53に当接し(
図17には、脚部62が連絡壁53に当接する前の状態が示されている)、ハンドル60が第2長側面12Bから略直立した使用姿勢になる。そして、このハンドル60が不使用姿勢から使用姿勢に移行する過程で、ハンドル側係合部64が蓋側係合部49の係合孔49Aに突入してハンドル側係合部64と蓋側係合部49とが係合する。詳細には、ハンドル側係合部64が、蓋側係合部49の係合孔49Aより先端側の係合バー49Bよりハンドル支持部50の受容口50K側に位置する。これにより、蓋側係合部49がハンドル支持部50から抜けないようになる。また、ハンドル60が使用姿勢になると、ハンドル60の脚部62がハンドル支持部50の外側突部51と内側突部52との間に挟まれて安定し、前述のハンドル側係合部64と蓋側係合部49との係合も安定する。
【0048】
また、図示しないが、第2ケース部22及び蓋体23が正規の閉位置に配置された状態では、ハンドル側係合部64が係合孔49Aに突入する際に、ハンドル側係合部64の内面と係合バー49Bの上面との間には第1クリアランスが形成される。これにより、第2ケース部22又は蓋体23が正規の閉位置より僅かに浮いた状態(即ち、半開き状態)でも、ハンドル側係合部64は係合孔49Aに突入して係合することができる。
【0049】
また、
図17に示すように、第2ケース部22及び蓋体23が正規の閉位置に配置された状態では、ハンドル60が第2長側面12Bに対して使用姿勢になったときに、ハンドル側係合部64の内面と係合バー49Bの上面との間には第2クリアランスC1が形成される。これにより、第1又は第2のバックル15,16を締め忘れた状態でケース10が持ち上げられたときに、第2ケース部22又は蓋体23が半開き状態になってバックル15,16の締め忘れを気づかせることができる。
【0050】
なお、前記第1クリアランスのみを有し、第2クリアランスC1を有しないように構成して、第2ケース部22又は蓋体23の半開き状態のハンドル60を使用姿勢まで回動させると、第2ケース部22及び蓋体23が完全に閉じるようにしてもよい。
【0051】
本実施形態のケース10の構成に関する説明は以上である。次に、このケース10の作用効果について説明する。ケース10の第1又は第2のケース部21,22に対して荷物を出し入れするには、
図1に示すように、ケース10を横倒姿勢にして第1又は第2のバックル15,16を外し、
図5又は
図7に示すように第2ケース部22又は蓋体23を開けばよい。
【0052】
荷物の出し入れを終え、第2ケース部22及び蓋体23を閉じて第1及び第2のバックル15,16を締めれば、ハンドル60を把持してケース10を持ち運ぶことができる。ところが、第2ケース部22及び蓋体23を閉じ、第1及び第2のバックル15,16の両方又は何れか一方を締め忘れた状態でハンドル60を把持してケース10が持ち上げられることがある。しかしながら、本実施形態のケース10では、持ち上げるためにハンドル60が把持されて回動すると、
図17に示すようにハンドル60のハンドル側係合部64と蓋側係合部49が係合し、蓋体23が第1ケース部21に固定され、それら第1ケース部21と蓋体23との間の第2ケース部22も固定される。
【0053】
これにより本実施形態のケース10では、第1又は第2のバックル15,16による第2ケース部22及び蓋体23の固定し忘れに起因した荷物の脱落防止を図ることができる。また、ハンドル60は、第2長側面12Bから直立する位置より僅かに回動したところで連絡壁53に当接して使用姿勢に保持されるので、
図4に示すように、ケース10を使用姿勢にして床面等に載置したときにハンドル60も使用姿勢に保持され、第2ケース部22及び蓋体23が第1ケース部21に固定された状態を保持することができる。
【0054】
また、ハンドル側係合部64及び蓋側係合部49がハンドル支持部50内に収容されて互いに係合するので、それらを他の部材との衝突から保護することができる。また、ハンドル側係合部64及び蓋側係合部49の煩雑な係合構造を隠して美観を高めることができる。さらにはハンドル支持部50のうち蓋側係合部49を受容する受容口50Kが、蓋体23に備えられた閉塞壁48にて閉塞されるので、この点においても美観を高めることができる。
【0055】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0056】
(1)前記実施形態のケース10では、1対のハンドル支持部50,50の両方に蓋側係合部49,49が突入してハンドル側係合部64,64と係合する構成になっていたが、一方のハンドル支持部50内でのみ蓋側係合部49とハンドル側係合部64とが係合する構成としてもよい。
【0057】
(2)また、ハンドル60の1対の脚部62,62の間に1つのハンドル支持部を備え、そのハンドル支持部に蓋側係合部が突入してハンドル側係合部と係合するようにしてもよい。
【0058】
(3)さらには、前記実施形態のケース10の第1及び第2のバックル15,16の一方又は両方を排除して、第1ケース部21と蓋体23との何れか一方又は両方が蓋側係合部49とハンドル側係合部64との係合のみで閉位置に固定されるようにしてもよい。その場合、例えば、ハンドル60を第1ケース部21に対して使用姿勢に保持する弾性係合部を第1ケース部21とハンドル60との間に設けてもよい。
【0059】
(4)前記実施形態では、蓋側係合部49の係合孔49Aにハンドル側係合部64が突入して蓋側係合部49とハンドル側係合部64とが係合する構成になっていたが、ハンドル側係合部64側に係合孔を設け、蓋側係合部49に備えた突部にハンドル側係合部64の係合孔が係合する構成としてもよい。
【0060】
(5)前記実施形態では、ハンドル支持部50の受容口50Kを閉塞する本発明に係る「閉塞部」が延長突部43と、その端部に備えた閉塞壁48とで構成されていたが、閉塞壁48を有しない延長突部43のみで本発明に係る「閉塞部」を構成してもよい。その場合、例えば、延長突部43の内側の上面又は側面から蓋側係合部49が突出した構成とすればよい。また、例えば、本発明に係る「閉塞部」が、ハンドル支持部50の受容口50Kの外側又は内側に嵌合される構造になっていてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 ハンドル付きケース
15 第1バックル(第1操作部、第1固定機構)
16 第2バックル(第2操作部、第2固定機構)
21 第1ケース部
21K,22K 荷物収容口
22 第2ケース部
23 蓋体
37 バックル係止突部(第1固定機構)
39 バックル係止突部(第2固定機構)
45 蓋固定突部
48 閉塞壁(閉塞部)
49 蓋側係合部
50 ハンドル支持部
50K 受容口
60 ハンドル
63 回動軸部
64 ハンドル側係合部