(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
F16L 13/02 20060101AFI20220128BHJP
B23K 9/00 20060101ALI20220128BHJP
B23K 9/235 20060101ALN20220128BHJP
B23K 9/23 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
F16L13/02
B23K9/00 501P
B23K9/235 Z
B23K9/23 K
(21)【出願番号】P 2017174691
(22)【出願日】2017-09-12
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2016-08-05
【審査請求日】2019-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390003687
【氏名又は名称】古林工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【氏名又は名称】塩田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佐野 義廣
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】実用新案登録第2542282(JP,Y2)
【文献】特開平06-235055(JP,A)
【文献】特開平05-079582(JP,A)
【文献】特開平06-248412(JP,A)
【文献】特開2006-214463(JP,A)
【文献】特開2006-009884(JP,A)
【文献】特開2006-233999(JP,A)
【文献】特開平07-100652(JP,A)
【文献】特開平11-291081(JP,A)
【文献】特開2000-202634(JP,A)
【文献】特開平04-220114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 13/02
B23K 9/00
B23K 9/235
B23K 9/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属
製の継手管本体を溶接により金属管に接続する管継手において、
管端面に続く管端部の管外周面に外周面取り部を形成していない炭素鋼管であって、当該炭素鋼管の管端面及び前記管端面に続く管外周面の全面を亜鉛めっき被膜で被覆した継手管本体を備え、
前記金属管は、不めっきの管端面、不めっきの管端面に続く不めっきの外周面取り部、及び不めっきの外周面取り面に続く不めっきの管端外周面部を有し、不めっきの外周面取り部及び不めっきの管端外周面部を除く管外周面の全面を亜鉛めっき被膜で被覆して形成され、
前記炭素鋼管の管端面及び前記管端面に続く管外周面の全面を亜鉛めっき皮膜で被覆した前記継手管本体は、
前記継手管本体の管端面から前記亜鉛めっき被膜を切削によって除去して形成され、前記金属管の不めっきの管端面に突き合わせる不めっき管端面と、
前記継手管本体の前記不めっき管端面に続く
前記継手管本体の管端部の管外周面から前記亜鉛めっき被膜を切削によって除去しつつ
前記継手管本体の前記不めっき管端面に続く
前記継手管本体の管端部の管外周面に切削によって形成され、
前記継手管本体の不めっき管端面に不めっきの管端面を突き合わせた前記金属管の前記不めっきの外周面取り部との間に開先部を形成する不めっき外周面取り部と、
前記継手管本体の前記不めっき外周面取り部に続く管端部の管外周面から前記亜鉛めっき被膜を除去して形成された
不めっき管端外周面部と、を有
し、
前記開先部に沿った溶接により前記金属管に接続される
ことを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記炭素鋼管の管端面及び前記管端面に続く管外周面の全面を亜鉛めっき皮膜で被覆した前記継手管本体は、
円形板に形成され、板幅を不めっき幅と同一にした砥石を前記継手管本体の不めっき外周面取り部に連続する位置に配置し、及び回転する前記継手管本体の管外周面に前記砥石を圧接して、前記継手管本体の前記不めっき外周面取り部に続く
前記継手管本体の管端部の管外周面から前記亜鉛めっき被膜を除去して形成された
、前記不めっき幅を有する不めっき管端外周部を有する
ことを特徴とする
請求項1に記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛めっき皮膜で被覆した管継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、金属製(例えば、炭素鋼)の管継手が知られている。管継手は、亜鉛めっき皮膜で管全面を被覆して、耐食性を持たせている。管継手は、複数の金属管同士を連結するため、各金属管に溶接により接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
管継手を溶接により金属管に接続すると、溶接熱により亜鉛めっき皮膜が溶融して有毒ガス(亜鉛ガス)を発生させると共に、亜鉛めっき皮膜の溶け込みによる溶接欠陥を導く。
有毒ガス(亜鉛ガス)の発生を抑制し、並びに溶接欠陥を無くすため、配管現場(工事現場)では、溶接する前に、グラインダ等の研削具を用いて、管継手の溶接箇所(管端部)から亜鉛めっき皮膜を除去しており、作業性の悪化を来していた。
【0004】
本発明は、有毒ガス(亜鉛ガス)の発生と溶接欠陥を抑制でき、金属管に接続する際に、作業性を向上できる管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る請求項1は、金属製の継手管本体を溶接により金属管に接続する管継手において、管端面に続く管端部の管外周面に外周面取り部を形成していない炭素鋼管であって、当該炭素鋼管の管端面及び前記管端面に続く管外周面の全面を亜鉛めっき被膜で被覆した継手管本体を備え、前記金属管は、不めっきの管端面、不めっきの管端面に続く不めっきの外周面取り部、及び不めっきの外周面取り面に続く不めっきの管端外周面部を有し、不めっきの外周面取り部及び不めっきの管端外周面部を除く管外周面の全面を亜鉛めっき被膜で被覆して形成され、前記炭素鋼管の管端面及び前記管端面に続く管外周面の全面を亜鉛めっき皮膜で被覆した前記継手管本体は、前記継手管本体の管端面から前記亜鉛めっき被膜を切削によって除去して形成され、前記金属管の不めっきの管端面に突き合わせる不めっき管端面と、前記継手管本体の前記不めっき管端面に続く前記継手管本体の管端部の管外周面から前記亜鉛めっき被膜を切削によって除去しつつ前記継手管本体の前記不めっき管端面に続く前記継手管本体の管端部の管外周面に切削によって形成され、前記継手管本体の不めっき管端面に不めっきの管端面を突き合わせた前記金属管の前記不めっきの外周面取り部との間に開先部を形成する不めっき外周面取り部と、前記継手管本体の前記不めっき外周面取り部に続く管端部の管外周面から前記亜鉛めっき被膜を除去して形成された不めっき管端外周面部と、を有し、前記開先部に沿った溶接により前記金属管に接続されることを特徴とする管継手である。
請求項1では、管端面から亜鉛めっき皮膜、及び管端面に続く管端部の管外周面から亜鉛めっき被膜を切削(工作機械による切削加工)により除去しつつ(除去しながら)同時に、切削により管端面に続く管端部の管外周面に外周面取り部を形成し、外周面取り部に続く管端部の管外周面から亜鉛めっき皮膜を研削(研削機械の砥石による研削加工)により除去して管端外周面部を形成する構成も採用できる。
請求項1では、管端面から亜鉛めっき皮膜、及び管端面に続く管端部の管外周面から亜鉛めっき皮膜を除去して、管端面に続く管端部の管外周面に外周面取り部を形成する構成も採用できる。
請求項1は、金属製の継手管本体を備え、前記継手管本体の管端面を金属管の管端面に突き合わせて、前記継手管本体を溶接により前記金属管に接続する管継手において、前記継手管本体は、前記管端面に続く管端部の管外周面に形成された不めっきの管端外周面部と、前記外周面取り部に続く管端部の管外周面に形成された不めっきの管端外周面部と、前記外周面取り部及び前記管端外周部を除く管外周面、及び管内周面の全面を亜鉛めっき皮膜で被覆して形成された内外周面部と、を有する構成も採用できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る請求項1によれば、継手管本体の管端面、管端面に続く管端部(外周面取り部及び管端外周面部)は、亜鉛めっき皮膜で被覆されない不めっき領域であるので、継手管本体の管端面を金属管の管端面に突き合わせて、継手管本体を溶接により金属管に接続しても、亜鉛めっき皮膜の溶融による有毒ガス(亜鉛ガス)の発生と溶接欠陥が抑制できる。
本発明に係る請求項1によれば、管継手を工事現場(配管現場)に持ち込む前に、工作機械を用いて、切削により管端面から亜鉛めっき皮膜、及び管端面に続く管端部の管外周面から亜鉛めっき皮膜を除去しつつ管端面に続く管端部の管外周面に外周面取り部を形成でき、更に、研削機械を用いて、研削により外周面取り部に続く管端部の管外周面から亜鉛めっき皮膜を除去して管端外周面部を形成できることから、工事現場(配管現場)で亜鉛めっき皮膜を除去する必要がなく、作業性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】管継手(エルボ管継手)を示す斜視図である。
【
図2】管継手(エルボ管継手)を示す正面図である。
【
図3】管継手(エルボ管継手)を示す背面図である。
【
図4】管継手(エルボ管継手)を示す上面図である。
【
図5】(a)は、管継手(エルボ管継手)を示す側面図、(b)は、
図5(a)の一方の管端部を示す要部拡大図、(c)は、
図5(a)の他方の管端部を示す要部拡大図である。
【
図6】管継手(エルボ管継手)を示す底面図である。
【
図8】(a)は、管継手(エルボ管継手)であって、各管端面、管外周面及び管内周面の管全面を亜鉛めっき皮膜で被覆した継手管本体を示す側面図、(b)は、
図8(a)の断面図である。
【
図9】(a)は、管継手(エルボ管継手)であって、外周面取り部(不めっき面取り部)を形成した継手管本体を示す側面図、(b)は、
図9(a)の断面図である。
【
図10】(a)は、管継手(エルボ管継手)であって、管端外周面部(不めっき管端外周面部)を形成した継手管本体を示す側面図、(b)は、研削機械、及び継手管本体を示す側面図である。
【
図11】管継手(エルボ管継手)の継手管本体を溶接により金属管に接続した状態を示す側面図である。
【
図12】(a)は、管継手(エルボ管継手)を示す側面図、(b)は、
図12(a)の断面図である。
【
図13】(a)は、管継手(レジューサ管継手)を示す側面図、(b)は、
図13(a)の断面図である。
【
図14】(a)は、管継手(ティー管継手)を示す側面図、(b)は、
図14(a)の断面図である。
【
図15】(a)は、管継手(キャップ)を示す側面図、(b)は、
図15(a)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る管継手について、
図1乃至
図15を参照して説明する。
【0009】
図1乃至
図7において、管継手Xは、金属(例えば、炭素鋼)から円筒状に形成される。管継手Xは、例えば、エルボ管継手である(以下、「エルボ管継手X」という)。
管継手Xは、
図1乃至
図7に示すように、金属製(例えば、炭素鋼)の継手管本体1を備える。
【0010】
継手管本体1は、
図1乃至
図7に示すように、円筒状に形成される。継手管本体1は、例えば、炭素鋼管を角度:90度の円弧形に曲げて成形(マンドレル成形)される。
継手管本体1は、不めっきの両管端面1A,1B(不めっき管端面1A,1B)を有する。
なお、「不めっき」とは、亜鉛めっき皮膜Mで被覆されていないこと、即ち、金属表面が露出した状態のことである(以下、同様)。
【0011】
継手管本体1は、
図1乃至
図7に示すように、不めっきの外周面取り部3,3(不めっき外周面取り部3,3)、不めっきの管端外周面部4,4(不めっき管端外周面部4,4)、及びめっき内外周面部5を有する。
【0012】
不めっき外周面取り部3,3(ベベルエンド)は、各管端面1A,1Bの夫々に続く管端部1a,1bの管外周面1Eに形成される。不めっき外周面取り部3,3は、各管端面1A,1Bから管外周面1E(継手管本体1の管外周面1C)に向けて傾斜して形成される。不めっき外周面取り部3,3は、例えば、各管端面1A,1Bに対して角度θ=32.5度を有して傾斜される。不めっき外周面取り部3,3は、継手管本体1の円周方向Pにわたって形成される。
【0013】
不めっき管端外周面部4,4は、
図1乃至
図7に示すように、不めっき外周面取り部3,3に続く管端部1a,1bの管外周面1Eに形成される。不めっき管端外周面部4,4は、継手管本体1の管中心線aに沿って形成される。不めっき管端外周面部4,4は、不めっき外周面取り部3,3から不めっき幅hを有して形成される。不めっき管端外周面部4,4は、例えば、不めっき幅h=5~20mmを有して形成する。
不めっき管端外周面部4,4は、継手管本体1の円周方向Pにわたって形成される。
【0014】
めっき内外周面部5は、
図1乃至
図7に示すように、不めっき外周面取り部3,3及び不めっき管端外周面部4,4を除く管外周面1C、及び管内周面1Dの全面を亜鉛めっき皮膜Mで被覆して形成される。
【0015】
次に、管継手Xの製作について、
図8乃至
図10を参照して説明する。
なお、
図8乃至
図10において、
図1乃至
図7と同一符号は、同一部材、同一構成であるので、その詳細な説明は省略する。
【0016】
図8において、管継手Xは、各管端面1A,1B、管外周面1C及び管内周面1Dの管全面を亜鉛めっき皮膜Mで被覆した金属製の継手管本体1を備える。
亜鉛めっき皮膜Mは、
図8に示すように、継手管本体1に溶融亜鉛めっき(溶融亜鉛めっき処理)を施すことで、各管端面1A,1B、管外周面1C及び管内周面1Dの全面に形成され、継手管本体1の管全面を被覆する。
【0017】
図9において、亜鉛めっき皮膜Mで管全面を被覆した継手管本体1は、各管端面1A,1Bから亜鉛めっき皮膜M、及び各管端面1A,1Bに続く管端部1a,1bの管外周面1Eから亜鉛めっき皮膜Mを除去しつつ、各管端面1A,1Bに続く各管端部1a,1bの管外周面1Eに形成した外周面取り部3,3(不めっき外周面取り部3,3)を有する。
外周面取り部3,3は、例えば、切削により各管端面1A,1Bから亜鉛めっき皮膜M、及び各管端面1A,1Bに続く管端部1a,1bの管外周面1Eから亜鉛めっき皮膜Mを除去しつつ(除去しながら)、亜鉛めっき皮膜Mの除去と同時に各管端部1a,1bの管外周面1Eに形成される。
なお、外周面取り部3,3の切削は、工作機械[旋盤、NC(数値制御)旋盤、フライス盤、マシニングセンタ等]を用いて加工できる。
【0018】
図10において、外周面取り部3,3を形成した継手管本体1は、外周面取り部3,3に続く管端部1a,1bの管外周面1Eから亜鉛めっき皮膜Mを除去して形成された管端外周面部4,4(不めっき管端外周面部4,4)を有する。
管端外周面部4,4は、例えば、研削により外周面取り部3,3に続く管端部1a,1bの管外周面1Eから亜鉛めっき皮膜Mを除去して形成される。
【0019】
管端外周面部4,4(不めっき管端外周面部4,4)は、
図10(b)に示すように、研削機械Y(研削装置)を用いて形成される。
研削機械Yは、
図10(b)に示すように、ワーク支持突部101を有するテーブル102、テーブル102を回転する電動モータ103、砥石104、及び砥石104をテーブル102側に付勢する付勢機構105(付勢装置)を備える。砥石104は、円形板に形成され、板厚h1を不めっき幅と同一(h1=h)にしている。付勢機構105は、例えば、バネ、又はエア(圧縮空気)により砥石104をテーブル102側に付勢する。
【0020】
図10(b)において、外周面取り部3,3を形成した継手管本体1は、一方の管端面1Bからテーブル102上に載置される。このとき、継手管本体1は、一方の管端面1Bからワーク支持突部101に外嵌され、管端面1Bをテーブル102に当接する。ワーク支持突部101は、一方の管端面1Bから継手管本体1の内部に挿入され、環状のリングゴム(図示しない)を管内周面21Dに圧入状態で当接する。これにより、ワーク支持突部101は、継手管本体1をテーブル102に対して回転不能に固定する。
継手管本体1をテーブル102に固定すると、電動モータ103を駆動して、テーブル102(ワーク支持突部101)及び継手管本体1を回転する。
継手管本体1を回転すると、砥石104を継手管本体1の一方の外周面取り部3に連続する位置に配置する。続いて、付勢機構105の付勢力(バネ力等)により砥石104を継手管本体1の管端部1bの管外周面1Eに圧接して、管端部1bの管外周面1Eの亜鉛めっき皮膜Mを除去する。
これにより、継手管本体1において、一方の外周面取り部3に続く管端部1bの管外周面1Eに管端外周面部4(不めっき管端外周面部4)を形成する。継手管本体1の管端部1bには、不めっき幅hを有する管端外周面部4が形成される[
図10(a)参照]。
【0021】
図10(b)において、管端部1bに管端外周面部4を形成すると、砥石104をテーブル102から退避し、及び電動モータ103の駆動を停止する。
続いて、継手管本体1をワーク支持突部101から抜いて、他方の管端面1Aから継手管本体1をワーク支持突部101に外嵌(圧入)することで、継手管本体1をテーブル102に対して回転不能に固定する。
一方の管端部1bと同様に、研削機械Y(砥石104)を用いて、他方の外周面取り部3に続く管端部1aの管外周面1Eから亜鉛めっき皮膜Mを除去する。
これにより、継手管本体1において、他方の外周面取り部3に続く管端部1aの管外周面1Eに管端外周面部4(不めっき管端外周面部4)を形成する。継手管本体1の管端部1aには、不めっき幅hを有する管端外周面部4が形成される[
図10(a)参照]。
また、外周面取り部3,3及び管端外周面部4,4を除く管外周面1Cと、管内周面1Dの全面は、亜鉛めっき皮膜Mで被覆されためっき内外周面部5となる。
【0022】
管継手X(エルボ管継手)は、
図11に示すように、継手管本体1を溶接により金属管Zに接続(連結)する。
金属管Zは、
図11に示すように、例えば、円筒状の炭素鋼管である。金属管Zは、管継手X(継手管本体1)と同様に、不めっきの管端面81A,不めっきの外周面取り部83、不めっきの管端外周面部84、及びめっき内外周面部85を有する。金属管Zにおいて、めっき内外周面部85は、外周面取り部83及び管端外周面部84を除く管外周面、及び管内周面の全面を亜鉛めっき皮膜Mで被覆して形成される。
【0023】
図11において、管継手X(エルボ管継手)は、継手管本体1の一方の管端面1A(不めっき管端面1A)を金属管Zの管端面81A(不めっき管端面81A)に突き合わせる。
これより、継手管本体1の外周面取り部3(不めっき外周面取り部3)と、金属管Zの外周面取り部83(不めっき外周面取り部83)の間に開先部Kが形成される。
続いて、開先部Kに沿って溶接することで、継手管本体1を金属管Zに接続(連結)する。
このとき、継手管本体1を溶接により金属管Zに接続しても、管継手X(エルボ管継手)の管端面1A,外周面取り部3、及び管端外周面部4は、亜鉛めっき皮膜Mで被覆されない領域であるので、亜鉛めっき皮膜Mの溶融による有毒ガス(亜鉛ガス/亜鉛ヒューム)の発生並びに溶接欠陥を抑制できる。
【0024】
管継手Xでは、エルボ管継手について説明したが、これに限定されるものでなく、
図12乃至
図15に示すように、各種の管継手であっても良い。なお、
図12乃至
図15において、
図1乃至
図11と同一符号は、同一部材、同一構成であるので、その詳細な説明は省略する。
【0025】
図12において、管継手Xは、エルボ管継手である。管継手Xは、金属製(例えば、炭素鋼)の継手管本体21を備える。
継手管本体21は、円筒状に形成される。継手管本体21は、例えば、角度90度の円弧形に成形され、一方の管端面21Aから他方の管端面21Bに向けて段々に拡径する。
継手管本体21は、
図1乃至
図7(継手管本体1)で説明したと同様に、不めっきの各管端面21A,21B、不めっきの外周面取り部3,3、不めっきの管端外周面部4,4、及びめっき内外周面部5を有する。めっき内外周面部5は、
図12に示すように、不めっき外周面取り部3,3及び不めっき管端外周面部4,4を除く管外周面21C、及び管内周面21Dの全面を亜鉛めっき皮膜Mで被覆して形成される。
【0026】
図12の管継手Xは、
図8で説明したと同様に、管端面21A,21B、管外周面21C、及び管内周面21Dの管全面を亜鉛めっき皮膜Mで被覆した継手管本体21を備える。
亜鉛めっき皮膜Mで管全面を被覆した継手管本体21は、
図9で説明したと同様に、管端面21A,21Bから亜鉛めっき皮膜M、及び管端面21A,21Bに続く管端部21a,21bの管外周面21Eから亜鉛めっき皮膜Mを除去しつつ、各管端面21A,21Bに続く管端部21a,21bの管外周面21Eに形成された外周面取り部3,3を有する。外周面取り部3,3は、
図9で説明したと同様に、例えば、切削(工作機械)により形成される。
継手管本体21は、
図10で説明したと同様に、外周面取り部3,3に続く管端部21a,21bの管外周面21Eから亜鉛めっき皮膜Mを除去して形成された管端外周面部4,4を有する。管端外周面部4,4は、継手管本体21の管中心線aに沿って不めっき幅hを有し、
図10で説明したと同様に、例えば、研削(研削機械Y)により形成される。
図12の管継手Xは、
図11で説明したと同様に、継手管本体21の管端面21Aを金属管Zの管端面51Aに突き合わせて,継手管本体21を溶接により金属管Zに接続(連結)する。
【0027】
図13において、管継手Xは、レジューサ管継手である。管継手Xは、金属製(例えば、炭素鋼)の継手管本体31を備える。
継手管本体31は、円筒状に形成される。継手管本体31は、
図13に示すように、一方の管端面31Aから他方の管端面31Bに向けて段々に縮径する。
継手管本体31は、
図1乃至
図7(継手管本体1)で説明したと同様に、不めっきの各管端面31A,31B、不めっきの外周面取り部3,3、不めっきの管端外周面部4,4、及びめっき内外周面部5を有する。めっき内外周面部5は、
図13に示すように、不めっき外周面取り部3,3及び不めっき管端外周面部4,4を除く管外周面31C、及び管内周面31Dの全面を亜鉛めっき皮膜Mで被覆して形成される。
【0028】
図13の管継手Xは、
図8で説明したと同様に、管端面31A,31B、管外周面31C、及び管内周面31Dの管全面を亜鉛めっき皮膜Mで被覆した継手管本体31を備える。
亜鉛めっき皮膜Mで管全面を被覆した継手管本体31は、
図9で説明したと同様に、管端面31A,31Bから亜鉛めっき皮膜M、及び管端面31A,31Bに続く管端部31a,31bの管外周面31Eから亜鉛めっき皮膜Mを除去しつつ、各管端面31A,31Bに続く管端部31a,31bの管外周面31Eに形成された外周面取り部3,3を有する。外周面取り部3,3は、
図9で説明したと同様に、例えば、切削(工作機械)により形成される。
継手管本体31は、
図10で説明したと同様に、外周面取り部3,3に続く管端部31a,31bの管外周面31Eから亜鉛めっき皮膜Mを除去して形成された管端外周面部4,4を有する。管端外周面部4,4は、継手管本体31の管中心線aに沿って不めっき幅hを有し、
図10で説明したと同様に、例えば、研削(研削機械Y)により形成される。
図13の管継手Xは、
図11で説明したと同様に、継手管本体31の管端面31Aを金属管Zの管端面81Aに突き合わせて、継手管本体31を溶接により金属管Zに接続(連結)する。
【0029】
図14において、管継手Xは、ティー管継手である。管継手Xは、
図14に示すように、金属製(例えば、炭素鋼)の継手管本体41を備える。
継手管本体41は、円筒状の横管45、及び円筒状の縦管46を有し、横管45及び縦管46は直交して一体形成される。縦管46は、一方の管端を横管45内に開口して連通される。
継手管本体41は、
図1乃至
図7で説明したと同様に、不めっきの各管端面41A,41B,41C、不めっきの外周面取り部3,3,3、不めっきの管端外周面部4,4,4、及びめっき内外周面部5を有する。めっき内外周面部5は、不めっき外周面取り部3,3,3及び不めっき管端外周面部4,4,4を除く管外周面41D、及び管内周面41Eの全面を亜鉛めっき皮膜Mで被覆して形成される。
【0030】
図14の管継手Xは、
図8で説明したと同様に、横管45の各管端面41A,41B、縦管46の管端面41C、管外周面41D及び各管45,46の管内周面41Eの管全面を亜鉛めっき皮膜Mで被覆した継手管本体41を有する。
亜鉛めっき皮膜Mで管全面を被覆した継手管本体41は、
図9で説明したと同様に、管端面41A,41B,41Cから亜鉛めっき皮膜M、及び各管端面41A,41B,41Cに続く管端部41a,41b,41cの管外周面41Fから亜鉛めっき皮膜Mを除去しつつ、各管端面41A,41B,41Cに続く管端部41a,41b,41cの管外周面41Fに形成された外周面取り部3,3,3を有する。外周面取り部3,3,3は、
図9で説明したと同様に、例えば、切削(工作機械)により形成される。
継手管本体41は、
図10で説明したと同様に、外周面取り部3,3,3に続く管端部41a,41b,41cの管外周面41Fから亜鉛めっき皮膜Mを除去して形成された管端外周面部4,4,4を有する。管端外周面部4,4,4は、継手管本体41の各管45,46の管中心線aに沿って不めっき幅hを有し、
図10で説明したと同様に、例えば、研削(研削機械Y)により形成される。
図14の管継手Xは、
図11で説明したと同様に、継手管本体41の管端面41Aを金属管Zの管端面81Aに突き合わせて、継手管本体41を溶接により金属管Zに接続(連結)する。
【0031】
図15において、管継手Xは、キャップである。管継手Xは、
図15に示すように、金属製(例えば、炭素鋼)の継手管本体51を備える。
継手管本体51は、一端開口で他端閉塞の半球形に形成される。継手管本体51は、
図1乃至
図7(継手管本体1)で説明したと同様に、不めっきの管端面51A,不めっきの外周面取り部3、不めっきの管端外周面部4、及びめっき内外周面部5を有する。めっき内外周面部5は、
図15に示すように、不めっき外周面取り部3及び不めっき管端外周面部4を除く管外周面51C、及び管内周面51Dの全面を亜鉛めっき皮膜Mで被覆して形成される。
【0032】
図15の管継手Xは、
図8で説明したと同様に、管端面51A、管外周面51C及び管内周面51Dの管全面を亜鉛めっき皮膜Mで被覆した継手管本体51を備える。
亜鉛めっき皮膜Mで管全面を被覆した継手管本体51は、
図9で説明したと同様に、管端面51Aから亜鉛めっき皮膜M、及び管端面51Aに続く管端部51aの管外周面51Eから亜鉛めっき皮膜Mを除去しつつ、管端面51Aに続く管端部51aの管外周面51Eに形成された外周面取り部3を有する。外周面取り部3は、
図9で説明したと同様に、例えば、切削(工作機械)により形成される。
継手管本体51は、
図10で説明したと同様に、外周面取り部3に続く管端部51aの管外周面51Eから亜鉛めっき皮膜Mを除去して形成された管端外周面部4を有する。管端外周面部4は、継手管本体51の管中心線aに沿って不めっき幅hを有し、
図10で説明したと同様に、研削により形成される。
図15の管継手Xは、
図11で説明したと同様に、継手管本体51の管端面51Aを金属管Zの管端面81Aに突き合わせて、継手管本体51を溶接により金属管Zに接続(連結)する。
【0033】
管継手Xは、
図1乃至
図15で説明した管継手の他に、ネック付エルボ管継手、径違いティー管継手、偏心レジューサ管継手、同径クロス管継手、炭素鋼製のエルボ形フラップジョイント管継手、炭素鋼製の直管形フラップジョイント管継手等であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、金属管を接続する管継手に最適である。
【符号の説明】
【0035】
X 管継手
Z 金属管
M 亜鉛めっき皮膜
1 継手管本体
1a,1b 管端部
1A,1B 管端面
1C 管外周面
1D 管内周面
1E 管端部の管外周面
3 外周面取り部(不めっきの外周面取り部)
4 管端外周面部(不めっきの管端外周面部)
5 めっき内外周面部
81A 管端面(金属管)