(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 33/10 20060101AFI20220128BHJP
【FI】
A01B33/10 C
(21)【出願番号】P 2017224510
(22)【出願日】2017-11-22
【審査請求日】2020-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】中谷 公紀
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健志
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 英彰
【審査官】佐藤 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-143219(JP,A)
【文献】特開2013-207597(JP,A)
【文献】特開平10-028403(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0245539(US,A1)
【文献】特開2013-013346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/00-33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部に装着され、回転軸となる爪軸と、前記爪軸の軸方向に配置された複数の装着部と、前記複数の装着部のそれぞれに対して前記回転軸の軸周りに配置される複数の耕耘爪と、を有する耕耘ロータを備えた農作業機であって、
前記複数の耕耘爪は、第1耕耘爪と、第2耕耘爪と、
前記爪軸の両端部に配置される第3耕耘爪と、を備え、
前記第1耕耘爪と、前記第2耕耘爪と、前記第3耕耘爪とは、互いに異なる色が付けられ、
前記互いに異なる色のうち、
前記第1耕耘爪に付けられる色及び前記第3耕耘爪に付けられる色は、色相環において略補色の関係にある、農作業機。
【請求項2】
前記複数の装着部のうち、第1装着部には前記第1耕耘爪と前記第2耕耘爪とが配置され、第2装着部には前記第3耕耘爪が配置され、
前記第2装着部は、前記爪軸の
前記両端部に配置され、
前記両端部の一方の第2装着部に配置された前記第3耕耘爪は、前記回転軸の軸方向一方側に横刃部が湾曲し、前記両端部の他方の第2装着部に配置された前記第3耕耘爪は、前記回転軸の軸方向他方側に横刃部が湾曲している、
請求項1に記載の農作業機。
【請求項3】
走行機体の後部に装着され、回転軸となる爪軸と、前記爪軸の軸方向に配置された複数の装着部と、前記複数の装着部のそれぞれに対して前記回転軸の軸周りに配置される複数の耕耘爪と、を有する耕耘ロータを備えた農作業機であって、
前記複数の耕耘爪は、第1耕耘爪と、第2耕耘爪と、
前記爪軸の両端部に配置される第3耕耘爪と、第4耕耘爪と、を備え、
前記第1耕耘爪と、前記第2耕耘爪と、前記第3耕耘爪と、前記第4耕耘爪とは、互いに異なる色が付けられ、
前記互いに異なる色のうち、
前記第1耕耘爪に付けられる色及び前記第3耕耘爪に付けられる色とは、色相環において略補色の関係にあり、前記第1耕耘爪に付けられる色及び前記第4耕耘爪に付けられる色とは、色相環において略補色の関係にあ
り、前記第3耕耘爪に付けられる色は、前記第4耕耘爪に付けられる色と異なる、農作業機。
【請求項4】
前記複数の装着部のうち、第1装着部には前記第1耕耘爪と前記第2耕耘爪とが配置され、第2装着部には前記第3耕耘爪が配置され、第3装着部には前記第4耕耘爪が配置され、
前記第2装着部は、前記爪軸の
前記両端部に配置され、
前記両端部の一方の第2装着部に配置された前記第3耕耘爪は、前記回転軸の軸方向一方側に横刃部が湾曲し、前記両端部の他方の第2装着部に配置された前記第3耕耘爪は、前記回転軸の軸方向他方側に横刃部が湾曲している、
請求項3に記載の農作業機。
【請求項5】
前記互いに異なる色において
、1つの色は、黒、白、または、灰色である、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の農作業機。
【請求項6】
前記第1耕耘爪は、前記回転軸の軸方向一方側に横刃部が湾曲し、前記第2耕耘爪は、前記回転軸の軸方向他方側に横刃部が湾曲している、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農作業機に関する。特に、走行機体の後部に装着され、圃場を耕耘する耕耘ロータを備えた農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された農作業機は、トラクタの後部に連結される機体に回転可能に設けられ、トラクタ側から動力を受けて回転しながら耕耘作業をする耕耘ロータと、この耕耘ロータの後方で整地作業をする整地体とを備えている。農作業機は、トラクタの後部に連結された状態で、トラクタの走行により圃場を移動しながら耕耘し、圃場表面を平らに仕上げることができる。
【0003】
また、特許文献1に記載された農作業機の耕耘ロータは、機体に回転可能に設けられた回転軸と、この回転軸の外周面に突設され、第1耕耘爪取付部および第2耕耘爪取付部を有するフランジと、第1耕耘爪取付部に脱着可能に取り付けられた第1耕耘爪と、第2耕耘爪取付部に脱着可能に取り付けられ、第1耕耘爪とは異なる形状の第2耕耘爪とを有し、第1耕耘爪の色と第2耕耘爪の色とが互いに異なっている。第1耕耘爪の色と第2耕耘爪の色とが互いに異なっているため、例えば、耕耘爪の交換時や農作業機の製造時等において、耕耘爪の付け間違いを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、農作業機の耕耘ロータは、異なる形状の耕耘爪を備えるだけでなく、機能が異なる耕耘爪を備える試みもなされている。このとき、機能が異なる耕耘爪を容易に識別できるようにすること、が求められる。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、農作業機において、機能が異なる耕耘爪を容易に識別できるようにすることを課題の一つとする。また、機能が異なる耕耘爪を装着部に取り付けるときの取り付け間違いを防止することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による農作業機は、走行機体の後部に装着され、回転軸となる爪軸と、爪軸の軸方向に配置された複数の装着部と、複数の装着部のそれぞれに対して回転軸の軸周りに配置される複数の耕耘爪と、を有する耕耘ロータを備え、複数の耕耘爪は、第1耕耘爪と、第2耕耘爪と、第3耕耘爪と、を備え、第1耕耘爪と、第2耕耘爪と、第3耕耘爪とは、互いに異なる色が付けられ、互いに異なる色のうち、少なくとも2つの色は、色相環において略補色の関係にある。
【0008】
複数の装着部のうち、第1装着部には第1耕耘爪と第2耕耘爪とが配置され、第2装着部には第3耕耘爪が配置され、第2装着部は、爪軸の両端部に配置され、両端部の一方の第2装着部に配置された第3耕耘爪は、回転軸の軸方向一方側に横刃部が湾曲し、両端部の他方の第2装着部に配置された第3耕耘爪は、回転軸の軸方向他方側に横刃部が湾曲していてもよい。
【0009】
本発明の一実施形態による農作業機は、走行機体の後部に装着され、回転軸となる爪軸と、爪軸の軸方向に配置された複数の装着部と、複数の装着部のそれぞれに対して回転軸の軸周りに配置される複数の耕耘爪と、を有する耕耘ロータを備えた農作業機であって、複数の耕耘爪は、第1耕耘爪と、第2耕耘爪と、第3耕耘爪と、第4耕耘爪と、を備え、第1耕耘爪と、第2耕耘爪と、第3耕耘爪と、第4耕耘爪とは、互いに異なる色が付けられ、互いに異なる色のうち、少なくとも2つの色は、色相環において略補色の関係にある。
【0010】
複数の装着部のうち、第1装着部には第1耕耘爪と第2耕耘爪とが配置され、第2装着部には第3耕耘爪が配置され、第3装着部には第4耕耘爪が配置され、第2装着部は、爪軸の両端部に配置され、両端部の一方の第2装着部に配置された第3耕耘爪は、回転軸の軸方向一方側に横刃部が湾曲し、両端部の他方の第2装着部に配置された第3耕耘爪は、回転軸の軸方向他方側に横刃部が湾曲していてもよい。
【0011】
互いに異なる色において、少なくとも1つの色は、黒、白、または、灰色であってもよい。
【0012】
第1耕耘爪は、回転軸の軸方向一方側に横刃部が湾曲し、第2耕耘爪は、回転軸の軸方向他方側に横刃部が湾曲していてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、農作業機において、機能が異なる耕耘爪を容易に識別することができる。また、機能が異なる耕耘爪を装着部に取り付けるときの取り付け間違いを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態における農作業機を後方から見た概略図である。
【
図2】一実施形態における農作業機を後方から向かって左側の側面から見た概略図である。
【
図3】一実施形態における農作業機が有する耕耘ロータを後方から向かって左側の斜め上方から見た概略図である。
【
図4】一実施形態における農作業機が有する耕耘ロータのフランジ及び耕耘爪を後方から向かって左側の側面から見た図である。
【
図5】一実施形態における農作業機が有する耕耘ロータを後方から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の農作業機の実施形態について説明する。但し、本発明の農作業機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
また、説明の便宜上、上方(上部)又は下方(下部)という語句を用いて説明するが、上方(上部)は水平面から遠ざかる方向を示し、下方(下部)は水平面に向かって近づく方向を示す。同様に、前方(前側)又は後方(後側)という語句を用いて説明するが、前方(前側)は農作業機を基準として走行機体が位置する方向を示し、後方(後側)は前方とは180°反対の方向を示す。また、左方(左側)は農作業機を基準として走行機体が位置する方向に向かったときの左方(左側)を示し、右方(右側)は左方(左側)とは180°反対の方向を示す。
【0017】
本発明は、例えば、耕耘機や代掻き機のように、トラクタなどの走行機体の後部に連結され、耕耘爪が備えられた爪軸を回転させることで土壌を耕すまたは撹拌する農作業機全般に適用することができる。本明細書においては、農作業機の一例として耕耘機を用いて本発明の特徴を説明するが、これに限定されるものではない。
【0018】
1.第1実施形態
1-1.農作業機の構成
図1は、第1実施形態の農作業機100の構成を後方から見た概略図である。
図2は、第1実施形態の農作業機100の構成を後方から向かって左側の側面から見た概略図である。具体的には、
図2は、農作業機100のエプロン(整地体とも呼ばれる。)130を通常位置に下降させた状態を左側方から示している。
【0019】
本実施形態の農作業機100は、大別して、フレーム110、シールドカバー120、エプロン130、サイドプレート140、耕耘ロータ150等を含む。
【0020】
フレーム110は、トラクタ等の走行機体(図示せず)とトップマスト135及びロアリンク連結部136により接続される。フレーム110は、例えば円筒形であり、チェーンケース105に通じる内部には動力伝達軸(図示せず)を有する。この動力伝達軸は、トラクタ等の走行機体が有するPTO軸からPIC(Power Input Connection)シャフト137を経て伝達される回転動力の向きを、進行方向に対して左右方向へと切り替える役割を果たす。フレーム110内の動力伝達軸は、農作業機100の側部に配置されたチェーンケース105に接続され、このチェーンケース105内のチェーン伝達機構によって、耕耘ロータ150の回転軸となる爪軸630に動力が伝達される。
【0021】
耕耘ロータ150は、爪軸630と、この爪軸630に設けられた複数の耕耘爪154とで構成される。
図1に示されるように、農作業機100の後方から見た場合、複数の耕耘爪154は、第1耕耘爪154a、第2耕耘爪154b、および第3耕耘爪154cを含む。また、複数の耕耘爪154は、爪軸630の軸方向に所定の間隔で配置された装着部に取付けられる。ここで、第1耕耘爪154aは、左方向に湾曲した耕耘爪であり、第2耕耘爪154bは、右方向に湾曲した耕耘爪である。また、1つの装着部につき、複数の耕耘爪154が取付けられる。なお、
図1では、複数の耕耘爪154が一列に並んだ様子が模式的に図示されている。実際は後述の通り、爪軸630の軸方向の一方側から他方側へと螺旋状に配置されている。なお、説明の便宜上、以下の説明において、複数の耕耘爪154において、左方向に湾曲した爪を「L爪」と呼び、右方向に湾曲した爪を「R爪」と呼ぶことがある。
【0022】
図2に示されている2本のR爪である第3耕耘爪154cは、爪軸630の左側端部の装着部(第2フランジ640b)に装着されたものである。また図示はしないが、爪軸630の右側端部の装着部(第2フランジ640b)には、2本のL爪である第3耕耘爪154cが装着されている。また、
図4(A)に示す通り、爪軸630の両端部以外の装着部(第1フランジ640a)には、2本のL爪である第1耕耘爪154a、2本のR爪である第2耕耘爪154bがそれぞれ装着されている。なお、本実施形態では、1つの装着部に対して、2本のL爪および/または2本のR爪が装着されているが、装着される耕耘爪の種類や本数はこれに限られるものではない。なお、本実施形態の農作業機100においては、耕耘ロータ150は、矢印Rで示す方向に回転する。
【0023】
シールドカバー120は、耕耘ロータ150の上方を覆うように配置される。シールドカバー120の側面には、サイドプレート140が設けられる。サイドプレート140は、チェーンケースプレート、サイドフレーム、支持フレーム等と呼ばれる場合もある。
図2においては、サイドプレート140の図示が省略されている。
【0024】
エプロン130は、耕耘ロータ150の後方に配置され、シールドカバー120に対して接続部160を軸として回転可能となっている。エプロン130の重心は、接続部160よりも後方にあるため、エプロン130は自重により下降しようとする。エプロン130の先端にはステンレスの整地板132が取付けられている。整地板132はエプロン130の内側から外側に向かってループを描くように構成されている。この整地板132が耕耘ロータ150によって掘り起こされた圃場を平坦にする。
【0025】
また、整地板132の両端には可動式の延長整地板134が設けられている。延長整地板134を開くことによって整地板132とともに広い幅の範囲を整地することが可能になる。
【0026】
1-2.耕耘ロータ部の構成
次に、本実施形態の農作業機100が有する耕耘ロータ150の具体的な構成について、
図3及び
図4を用いて説明する。
【0027】
図3は、耕耘ロータ150を後方から向かって左側の斜め上方から見た概略図である。
図4は、耕耘ロータ150の第1フランジ640a、第2フランジ640bおよび複数の耕耘爪154を後方から向かって左側の側面から見た図である。
【0028】
本実施形態において、耕耘ロータ150は、第1耕耘爪154a、第2耕耘爪154b、第3耕耘爪154c、爪軸630、第1フランジ640aおよび第2フランジ640bを有する。なお、「第1フランジ640a」、「第2フランジ640b」および「第3耕耘爪154c」は、それぞれ「第1装着部」、「第2装着部」および「端爪」と呼ぶ場合がある。
【0029】
本発明の一実施形態においては、第1耕耘爪154a、第2耕耘爪154bおよび第3耕耘爪154cは、互いに異なる色が付けられている。そして、互いに異なる色のうち、少なくとも2つの色は、色相環において、略補色の関係にある。
【0030】
ここで、色相環とは、色を体系化する時に用いられる方法の一つであり、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫のように、人が光の波長の連続的な変化によって知覚することができる色(色相とも呼ぶ)を、円環状に連続的に配列したものである。色相環には、マンセル表色系、オストワルト表色系などがある。マンセル表色系は、例えば、赤、黄、緑、青、紫の5つの色相に、5つの色相の中間色相である黄赤、黄緑、青緑、青紫、赤紫を加えた10色相を、円環状に連続的に配列したものである。また、オストワルト表色系は、例えば、黄、橙、赤、紫、青、青緑、緑、黄緑の8つの色相環において、各色相をさらに三つに分けた24の色相からなる。
【0031】
色相環において、相対する位置にある二色を補色、あるいは、補色の関係にあるという。例えば、赤、青、緑の光の三原色は、三色を混ぜることで白色光を生じることから、加法混色であることが、一般的に知られている。赤、青、緑の光の三原色において、白色光から青を取り除くと黄となる。このとき、青と黄とは補色である。一方、例えば、シアン(青緑)、マゼンタ(赤紫)、イエロー(黄色)の色の三原色は、三色を混ぜることで黒色となることから、減法混色であることが一般的に知られている。シアン(青緑)、マゼンタ(赤紫)、イエロー(黄色)の色の三原色において、黒色から青を取り除くと、橙となる、このとき、青と橙とは補色である。略補色であるとは、例えば、赤に対しては緑または青緑、青に対しては橙または黄のことである。補色の関係である二色は、お互いの色を目立たせることができるため、補色の関係にある色が付けられている二つの耕耘爪は、人の注意を引き付けることができる。すなわち、人が、耕耘爪を識別しやすい。
【0032】
また、耕耘作業を行う田、畑、果樹園などの圃場において、土壌の色は茶色に近く、植物の作物の色は緑色に近い。すなわち、耕耘作業を行う環境の色(環境色とも呼ぶ)は、例えば、茶色や緑色が代表的な色といえる。農作業機100が有する複数の耕耘爪154は、作業環境に対して、人が識別しやすい色を付けられてもよい。例えば、耕耘作業を行う環境色である茶色に対して、茶色の補色に近い色である緑がかった青、あるいは藍の色を、複数の耕耘爪154の一部に色付けしてもよい。また、耕耘作業を行う環境色である緑色に対して、緑色の補色に近い色である赤を、複数の耕耘爪154の一部に色付けしてもよい。このとき、複数の耕耘爪154の他の一部は、複数の耕耘爪154の一部に色付けされた色に対して、略補色となる色、黒、白、または、灰色の色を付けるとよい。
【0033】
本実施形態においては、例えば、第1耕耘爪154aは赤が色付けされており、第2耕耘爪154bは黒が色付けされており、第3耕耘爪154cは緑が色付けされている。第1耕耘爪154aの色と、第3耕耘爪154cの色とが補色の関係にある。また、第1耕耘爪154aの色と、第2耕耘爪154bの色と、第3耕耘爪154cの色とを混ぜると黒となる。また、第1耕耘爪154aは赤を色付けし、第2耕耘爪154bは灰色を色付けし、第3耕耘爪154cは緑を色付けしてもよい。第1耕耘爪154aの色と、第3耕耘爪154cの色とが補色の関係にあり、第1耕耘爪154aの色と、第2耕耘爪154bの色と、第3耕耘爪154cの色とを混ぜると黒色あるいは灰色となる。さらに、第1耕耘爪154aは赤を色付けし、第2耕耘爪154bは白を色付けし、第3耕耘爪154cは緑を色付けしてもよい。第1耕耘爪154aの色と、第3耕耘爪154cの色とが補色の関係にある。なお、第1耕耘爪154aは黒を色付けし、第2耕耘爪154bは赤を色付けし、第3耕耘爪154cは緑を色付けしてもよい。
【0034】
爪軸630は、農作業機100において回転自在に軸支されており、農作業機100の左右方向(幅方向)に延在する。
【0035】
第2フランジ640bは、爪軸630の左右両端部に配置されている。複数の第1フランジ640aは、爪軸630の左右両端部に配置された第2フランジ640bの間に爪軸630の軸方向に所定の間隔で配置されている。
【0036】
第1耕耘爪154aおよび第2耕耘爪154bは、第1フランジ640aに対して、爪軸630の周方向に配置されている。第3耕耘爪154cは、第2フランジ640bに対して、爪軸630の周方向に配置されている。なお、
図3では、第1フランジ640aには、4本の耕耘爪が取り付けられる例を示している。ただし、耕耘爪を取り付ける数は、4本に限定されるものではない。
【0037】
第1耕耘爪154aおよび第2耕耘爪154bは、圃場の土を耕耘・放擲する機能を有する耕耘爪である。
【0038】
第3耕耘爪154cは、爪軸630の左右両端部に配置される第2フランジ640bに取り付けられる耕耘爪(端爪)である。第3耕耘爪154cは、爪軸630の左右両端部に位置するため、サイドプレート140に付着した土との接触により、爪軸630の左右両端部以外に位置する第1耕耘爪154aおよび第2耕耘爪154bと比べて、より早く摩耗してしまう場合がある。よって、第3耕耘爪154cは、耐摩耗性を向上させるための耐摩耗性部材が設けられている。この耐摩耗性部材は、サイドプレート140に付着した土と第3耕耘爪154cが接触する部分に設けられており、土との接触による第3耕耘爪154cの摩耗を抑制するものである。また、第3耕耘爪154cも、圃場の土を耕耘・放擲する機能を有する耕耘爪である。
【0039】
また、一般的に、耕耘爪は、取付け基部、縦刃部及び横刃部で構成されるが、このような構成の耕耘爪は公知であるため、本明細書中での詳細な説明は省略する。
【0040】
図3において、第1耕耘爪154aは、横刃部が、爪軸630の軸方向左方側(一方側)に湾曲する形状のL爪である。第2耕耘爪154bは、横刃部が、爪軸630の軸方向右方側(他方側)に湾曲する形状のR爪である。つまり、第1耕耘爪154aと第2耕耘爪154bは、横刃部の湾曲方向が互いに逆向きである耕耘爪である。
【0041】
また、第3耕耘爪154cは、爪軸630の左側の第2フランジ640bに取り付けられている場合、横刃部が、爪軸630の軸方向右方側(他方側)に湾曲する形状のR爪である。第3耕耘爪154cは、爪軸630の右側の第2フランジ640bに取り付けられている場合、横刃部が、爪軸630の軸方向左方側(一方側)に湾曲する形状のL爪である。つまり、第3耕耘爪154cは、爪軸630の左側の第2フランジ640bに取り付けられている場合と、爪軸630の右側の第2フランジ640bに取り付けられている場合とにおいて、横刃部の湾曲方向が互いに逆向きである耕耘爪(端爪)である。なお、爪軸630の右側の第2フランジ640bに取り付けられている第3耕耘爪154cと、爪軸630の左側の第2フランジ640bに取り付けられている第3耕耘爪154cとは、異なる色が付けられてもよい。例えば、爪軸630の右側の第2フランジ640bに取り付けられている第3耕耘爪154cは緑を色付けし、爪軸630の左側の第2フランジ640bに取り付けられている第3耕耘爪154cは黄緑を色付けしてもよい。
【0042】
第1耕耘爪154a、第2耕耘爪154b、および第3耕耘爪154cを含む複数の耕耘爪154は、それぞれが取り付けられるフランジ(装着部)に、例えば、ボルトとナットで固定されている。
【0043】
ここで、第1フランジ640aにおける耕耘爪の配置例を
図4(A)に示す。第2フランジ640bにおける耕耘爪の配置例を
図4(B)に示す。
図4(A)および
図4(B)は、爪軸630の軸方向左側(一方側)からみた様子を示している。
図4(A)に示されるように、第1フランジ640aには、2本の第1耕耘爪154aが互いに対向する位置に配置されている。また、第1フランジ640aには、2本の第2耕耘爪154bが互いに対向する位置に配置されている。さらに、第1耕耘爪154aと第2耕耘爪154bとが第1フランジ640aに爪軸630の周方向に、交互に配置されている。なお、本明細書中において、「互いに対向する位置」とは、爪軸630の周方向に位相を160度以上200度以下の範囲(代表的には180度)で、ずらした位置をいう。また、本明細書中において、各耕耘爪を配置する際の位置関係は、互いに対向する位置に限定されるものではなく、例えば、1つの装着部に3本の耕耘爪を配置する場合、隣接する耕耘爪が、爪軸630の周方向に位相を100度以上140度以下の範囲(代表的には120度)でずらした位置にあってもよい。
【0044】
また、
図4(B)に示されるように、第2フランジ640bには、2本の第3耕耘爪154cが互いに対向する位置に配置されている。
【0045】
以上のように、本実施形態の農作業機100において、機能が異なる耕耘爪に対して、互いに異なる色を付けることによって、人が、各耕耘爪を容易に識別することができる。また、機能が同じでも、横刃部の湾曲方向が異なる耕耘爪に対して、互いに異なる色を付けることによって、人が、各耕耘爪を容易に識別することができる。特に、各耕耘爪のうち、少なくとも2本の耕耘爪に付けられた色が補色の関係となることで、人が、各耕耘爪をより識別しやすくなる。
【0046】
したがって、機能が異なる耕耘爪において、人が、各耕耘爪を装着部に取り付けるとき、各耕耘爪を容易に識別することができるため、耕耘爪の取り付け間違いを防止することができる。
【0047】
2.第2実施形態
本実施形態では、耕耘ロータ150の別の構成について、
図5を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0048】
本実施形態に係る農作業機100が有する耕耘ロータ150の具体的な構成について説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る農作業機100が有する耕耘ロータ150を後方から見た概略図である。
【0049】
本実施形態に係る農作業機100が有する耕耘ロータ150は、第1実施形態の構成に加えて、第4耕耘爪154d、第5耕耘爪154e、および第3フランジ640cを有する。なお、「第3フランジ640c」を「第3装着部」と呼ぶ場合がある。
【0050】
第1実施形態と同様に、爪軸630は、農作業機100において回転自在に軸支されており、農作業機100の左右方向(幅方向)に延在する。
【0051】
図5では、第4耕耘爪154dおよび第5耕耘爪154eは、第3フランジ640cに対して、爪軸630の周方向に配置されている。なお、第3フランジ640cには、4本の耕耘爪が取り付けられる例を示している。ただし、耕耘爪を取り付ける数は、4本に限定されるものではない。
【0052】
なお、第4耕耘爪154dおよび第5耕耘爪154eは、走行機体の車輪40が通過する位置に対応した位置にある第3フランジ640cに配置されている。ここで、
図5に示した、第4耕耘爪154dおよび第5耕耘爪154eが配置された第3フランジ640cと、車輪40との位置関係は一例であって、この位置関係に限定されない。車輪40の位置は、走行機体および農作業機の大きさ、幅、用途などによって様々であり、走行機体の車輪の位置に合わせて、その車輪が通過する位置に対応した位置にある第3フランジ640cに第4耕耘爪154dおよび第5耕耘爪154eが配置されればよい。
【0053】
本実施形態の耕耘ロータ150に配置される複数の耕耘爪154は、第1実施形態において説明した、第1耕耘爪154aおよび第2耕耘爪154b、第3耕耘爪154c(端爪)に加えて、第4耕耘爪154dおよび第5耕耘爪154eを含む。第4耕耘爪154dおよび第5耕耘爪154eは、硬い土壌用の耕耘爪である。硬い土壌用の耕耘爪とは、例えば、圃場の土が走行機体の車輪によって押し固められたような、硬い土壌の耕耘に適した形状を有する耕耘爪である。具体的には、硬い土壌用の耕耘爪は、例えば、耕耘作業時に、硬い土壌におおよそ初めに接触する耕耘爪の刃の部分に、耐摩耗性部材が設けられている耕耘爪である。耕耘爪の刃の部分に耐摩耗性部材を設けることで、硬い土壌との接触による耕耘爪の摩耗を抑制することができる。また、硬い土壌用の耕耘爪は、硬い土を砕く機能を有し、砕土性に優れた耕耘爪である。
【0054】
図5において、第4耕耘爪154dは、横刃部が、爪軸630の軸方向左方側(一方側)に湾曲する形状のL爪である。第5耕耘爪154eは、横刃部が、爪軸630の軸方向右方側(他方側)に湾曲する形状のR爪である。つまり、第4耕耘爪154dと第5耕耘爪154eは、横刃部の湾曲方向が互いに逆向きである耕耘爪である。
【0055】
第1耕耘爪154a、第2耕耘爪154b、第3耕耘爪154c、第4耕耘爪154dおよび第5耕耘爪154eは、それぞれが取り付けられるフランジ(装着部)に、例えば、ボルトとナットで固定されている。
【0056】
なお、
図5では、複数の耕耘爪が爪軸630の軸方向の一方側から他方側へと螺旋状に配置された様子が図示されている。
【0057】
なお、図示は省略するが、
図4(A)と同様に、第3フランジ640cには、2本の第4耕耘爪154dが互いに対向する位置に配置され、2本の第5耕耘爪154eが互いに対向する位置に配置され、第4耕耘爪154dと第5耕耘爪154eとが第3フランジ640cに爪軸630の周方向に、交互に配置されている。
【0058】
図5においては、本実施形態の農作業機100における爪軸630の大部分の装着部は、第1フランジ640aと同様の構成となっている例を示している。第4耕耘爪154d及び第5耕耘爪154eは、
図5の例に限定されず、例えば、圃場全体が硬い土壌の場合、爪軸630の左右両端部以外の装着部に、第4耕耘爪154d及び第5耕耘爪154eが装着されてもよい。
【0059】
本実施形態に係る農作業機100は、例えば、走行機体の車輪40の位置に合わせて、その車輪が通過する位置に対応した位置にある第3フランジ640cに第4耕耘爪154d及び第5耕耘爪154eが配置される。
【0060】
これにより、農作業機100が、車輪40が通過して押し固められた圃場の土を、走行機体の進行方向前方から後方に向かって砕き、掬い上げ、放擲する、または、車輪40が通過して押し固められた圃場の土を、撹拌する、または移動させることが可能となり、車輪40が通過して押し固められた土壌を柔らかく、略平坦にすることができる。
【0061】
したがって、農作業機100は、走行機体の通過に伴う車輪通過跡を消しつつ、圃場の均一な仕上がりを実現することができる。
【0062】
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、例えば、第1耕耘爪154aは赤が色付けされており、第2耕耘爪154bは黒が色付けされており、第3耕耘爪154cは緑が色付けされている。また、第4耕耘爪154dおよび第5耕耘爪154eは青が色付けされている。ここで、第1耕耘爪154aの色と、第3耕耘爪154cの色とが補色の関係にある。なお、第4耕耘爪154dは橙が色付けされており、第5耕耘爪154eは青が色付けされていてもよい。この場合、第4耕耘爪154dと、第5耕耘爪154eとが補色の関係にある。第1耕耘爪154aの色と、第2耕耘爪154bの色と、第3耕耘爪154cの色と、第4耕耘爪154dの色と、第5耕耘爪154eの色とを混ぜると黒となる。また、第1耕耘爪154aは赤を色付けし、第2耕耘爪154bは白を色付けし、第3耕耘爪154cは緑を色付けし、第4耕耘爪154dおよび第5耕耘爪154eは青を色付けしてもよい。第1耕耘爪154aの色と、第3耕耘爪154cの色とが補色の関係にある。
【0063】
以上のように、本実施形態の農作業機100において、機能が異なる耕耘爪が増えたとしても、互いに異なる色を付けることによって、人が、各耕耘爪を容易に識別することができる。また、機能が同じあっても、横刃部の湾曲方向が異なる耕耘爪に対して、互いに異なる色を付けることによって、人が、各耕耘爪を容易に識別することができる。特に、各耕耘爪のうち、少なくとも2本の耕耘爪に付けられた色が補色の関係となることで、人が、各耕耘爪をより識別しやすくなる。
【0064】
したがって、本実施形態の農作業機100において、機能が異なる耕耘爪が増えたとしても、人が、各耕耘爪を装着部に取り付けるときに、各耕耘爪を容易に識別することができるため、耕耘爪の取り付け間違いを防止することができる。
【0065】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
40…車輪、100…農作業機、105…チェーンケース、110…フレーム、120…シールドカバー、130…エプロン、132…整地板、134…延長整地板、135…トップマスト、136…ロアリンク連結部、137…PICシャフト、140…サイドプレート、150…耕耘ロータ、154…複数の耕耘爪、154a…第1耕耘爪、154b…第2耕耘爪、154c…第3耕耘爪、154d…第4耕耘爪、154e…第5耕耘爪、630…爪軸、640a…第1フランジ、640b…第2フランジ、640c…第3フランジ