(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】小物部品供給装置及びそれを用いた小物部品供給ユニット
(51)【国際特許分類】
B23P 19/00 20060101AFI20220128BHJP
B65G 11/00 20060101ALI20220128BHJP
B65G 47/90 20060101ALI20220128BHJP
B65G 47/88 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
B23P19/00 301L
B65G11/00 Z
B65G47/90 Z
B65G47/88 A
(21)【出願番号】P 2018073101
(22)【出願日】2018-04-05
【審査請求日】2020-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】593038000
【氏名又は名称】矢島技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】表 裕明
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-079900(JP,A)
【文献】特開平02-224933(JP,A)
【文献】特開2008-308256(JP,A)
【文献】特開2013-066917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00
B65G 11/00
B65G 47/90
B65G 47/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小物部品を
抵抗溶接機に供給する
とともに、前記抵抗溶接機の非可動部位に取り付けられる小物部品供給装置であって、
前記
抵抗溶接機の
可動電極の移動軌跡上に先端部が位置する可動シュートを備え、
前記可動シュートは一対の分割片で構成され、前記一対の分割片は互いに揺動して接近、離隔可能に構成され、
前記先端部は、
前記一対の分割片が互いに接近した状態にあるとき、上流側から送給されてきた前記小物部品を受け止め前記
抵抗溶接機への移し替えを可能にする部品受部を形成し、
かつ、
前記一対の分割片が互いに離隔した状態にあるとき、前記
可動電極と前記一対の分割片との干渉が生じない空間を形成するよう構成され、
前記一対の分割片には、前記一対の分割片が離隔するように付勢する付勢部材が配設され、
前記
抵抗溶接機の前記
可動電極には、前記一対の分割片にそれぞれ配設される当接部と当接可能な被当接部が配設され、
前記当接部と前記被当接部とが当接することにより前記一対の分割片の接近状態が維持され、前記当接部と前記被当接部との当接が解除されることにより前記一対の分割片が離隔状態とされることを特徴とする小物部品供給装置。
【請求項2】
前記
抵抗溶接機の前記
可動電極の移動により、前記一対の分割片が接近、離隔可能とされていることを特徴とする請求項1記載の小物部品供給装置。
【請求項3】
前記可動シュートを移動させる駆動源を備え、前記可動シュートの移動により、前記一対の分割片が接近、離隔可能とされていることを特徴とする請求項1記載の小物部品供給装置。
【請求項4】
作業装置の可動部に小物部品を供給する小物部品供給ユニットであって、
前記作業装置の前記可動部の移動軌跡上に先端部が位置する可動シュートを備え、
前記可動シュートは一対の分割片で構成され、前記一対の分割片は互いに揺動して接近、離隔可能に構成され、
前記先端部は、
前記一対の分割片が互いに接近した状態にあるとき、上流側から送給されてきた前記小物部品を受け止め前記作業装置への移し替えを可能にする部品受部を形成し、
かつ、
前記一対の分割片が互いに離隔した状態にあるとき、前記可動部と前記一対の分割片との干渉が生じない空間を形成するよう構成され、
前記一対の分割片には、前記一対の分割片が離隔するように付勢する付勢部材が配設され、
前記作業装置の前記可動部には、前記一対の分割片にそれぞれ配設される当接部と当接可能な被当接部が配設され、
前記当接部と前記被当接部とが当接することにより前記一対の分割片の接近状態が維持され、前記当接部と前記被当接部との当接が解除されることにより前記一対の分割片が離隔状態とされる、小物部品供給装置と、
前記作業装置の前記可動部に配される可動部側装置と、を備え、
前記可動部側装置は、
電極正圧手段と接続され空気を流通可能な正圧通路と、
前記正圧通路に配される、前記小物部品を挿入可能かつ磁性体を有する挿入凸部と、
を備えていることを特徴とする小物部品供給ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小物部品を作業装置に供給する小物部品供給装置及びそれを用いた小物部品供給ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の小物部品供給装置として、特許文献1に記載されるものがあった。これによれば、作業装置の可動部の移動軌跡上に先端部が位置する可動シュートを備え、可動シュートの先端部は一対の分割片で構成され、一対の分割片は互いに水平方向に接近又は当接及び離隔可能に構成されていた。一対の分割片の先端部は、一対の分割片が互いに接近又は当接した状態にあるとき、上流側から送給されてきた小物部品を受け止め作業装置への移し替えを可能にする部品受部を形成し、かつ、一対の分割片が互いに離隔した状態にあるとき、作業装置の可動部の移動時に可動部と一対の分割片との干渉が生じない空間を形成するよう構成されていた。
【0003】
そして、小物部品供給装置は、小物部品の移動方向に沿って往復動する往復移動体を備え、往復移動体の1往復動に連動して可動シュートが作動し、可動シュートは、各々の分割片から斜め上方へ延びる、平面視「く」字状の作動レバー部を有し、各作動レバー部は、屈曲部を軸として揺動可能とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の小物部品供給装置では、往復移動体を移動させる時には駆動源としてのエアシリンダを用いるうえ、往復移動体は、往復移動体の移動方向と直交する方向に所定間隔を置いて配置され、可動シュートの一対の作動レバー部の各外側の側面を押圧する一対の従動ローラを備えるので構造が複雑となっていた。
【0006】
本発明は、簡素な構造かつ低コストで、作業装置の可動部の移動を阻害しない空間を確保できる小物部品供給装置及びそれを用いた小物部品供給ユニットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載の発明では、
小物部品を抵抗溶接機に供給するとともに、前記抵抗溶接機の非可動部位に取り付けられる小物部品供給装置であって、
前記抵抗溶接機の可動電極の移動軌跡上に先端部が位置する可動シュートを備え、
前記可動シュートは一対の分割片で構成され、前記一対の分割片は互いに揺動して接近、離隔可能に構成され、
前記先端部は、
前記一対の分割片が互いに接近した状態にあるとき、上流側から送給されてきた前記小物部品を受け止め前記抵抗溶接機への移し替えを可能にする部品受部を形成し、
かつ、
前記一対の分割片が互いに離隔した状態にあるとき、前記可動電極と前記一対の分割片との干渉が生じない空間を形成するよう構成され、
前記一対の分割片には、前記一対の分割片が離隔するように付勢する付勢部材が配設され、
前記抵抗溶接機の前記可動電極には、前記一対の分割片にそれぞれ配設される当接部と当接可能な被当接部が配設され、
前記当接部と前記被当接部とが当接することにより前記一対の分割片の接近状態が維持され、前記当接部と前記被当接部との当接が解除されることにより前記一対の分割片が離隔状態とされる。
【0008】
これによれば、当接部と被当接部とが当接することにより、付勢部材に抗して一対の分割片の接近状態を維持し、当接部と被当接部との当接を解除し、一対の分割片を離隔させるときに付勢部材を用い、一対の分割片を接近、離隔可能に構成している。よって、簡素な構造かつ低コストで、抵抗溶接機の可動電極の移動を阻害しない空間を確保できる。
【0009】
前記抵抗溶接機の前記可動電極の移動により、前記一対の分割片が接近、離隔可能とされている。
【0010】
これによれば、抵抗溶接機の可動電極の動きを利用することで、可動シュートを移動させる駆動源をなくすことができるので、簡素な構造かつ低コストで、抵抗溶接機の可動電極の移動を阻害しない空間を確保できる。
【0011】
また、前記可動シュートを移動させる駆動源を備え、前記可動シュートの移動により、前記一対の分割片が接近、離隔可能とされている。
【0012】
これによれば、駆動源により可動シュートを移動させて一対の分割片を逃がすことにより、可動部と一対の分割片との干渉が生じない空間を大きくできるので、作業者が作業をし易くすることができる。
【0013】
請求項4記載の発明では、
作業装置の可動部に小物部品を供給する小物部品供給ユニットであって、
前記作業装置の前記可動部の移動軌跡上に先端部が位置する可動シュートを備え、
前記可動シュートは一対の分割片で構成され、前記一対の分割片は互いに揺動して接近、離隔可能に構成され、
前記先端部は、
前記一対の分割片が互いに接近した状態にあるとき、上流側から送給されてきた前記小物部品を受け止め前記作業装置への移し替えを可能にする部品受部を形成し、
かつ、
前記一対の分割片が互いに離隔した状態にあるとき、前記可動部と前記一対の分割片との干渉が生じない空間を形成するよう構成され、
前記一対の分割片には、前記一対の分割片が離隔するように付勢する付勢部材が配設され、
前記作業装置の前記可動部には、前記一対の分割片にそれぞれ配設される当接部と当接可能な被当接部が配設され、
前記当接部と前記被当接部とが当接することにより前記一対の分割片の接近状態が維持され、前記当接部と前記被当接部との当接が解除されることにより前記一対の分割片が離隔状態とされる、小物部品供給装置と、
前記作業装置の前記可動部に配される可動部側装置と、を備え、
前記可動部側装置は、
電極正圧手段と接続され空気を流通可能な正圧通路と、
前記正圧通路に配される、前記小物部品を挿入可能かつ磁性体を有する挿入凸部と、
を備えている。
【0014】
これによれば、小物部品を挿入可能かつ磁性体を有する挿入凸部を備える可動部側装置と、上記の効果を奏する小物部品供給装置と組み合わせて、小物部品の作業装置への移し替えを円滑に行うことが可能となるので、簡素な構造かつ低コストで、作業装置の可動部の移動を阻害しない空間を確保できる小物部品供給ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の小物部品供給ユニットが取り付けられた抵抗溶接機の正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態の小物部品供給ユニットが取り付けられた抵抗溶接機の右側面図である。
【
図9】
図8のガイドプレートを取り外した状態の左側面図である。
【
図10】小物部品供給ユニットの待機位置にあるときの動作説明図である。
【
図11】小物部品供給ユニットの溶接加圧位置にあるときの動作説明図である。
【
図12】可動シュートが移動する場合の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明における抵抗溶接機の一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、各図面に記載される矢印の、Fを前、Bを後ろ、Rを右、Lを左、Uを上、Dを下、とする。
【0017】
本発明における小物部品供給ユニットの一実施形態を図面に基づいて説明する。小物部品供給ユニット200は、作業装置としての抵抗溶接機10に適用されるもので、概略的には、
図1、2に示すように、小物部品供給装置100が、ナットNを、抵抗溶接機10の上側の可動電極16(部品が保持される電極)の可動部側装置20に供給し、可動部側装置20がナットNを受け取り、保持して、下側の固定電極18上に配される平板状の図示しないワーク上に乗せ、ナットNとワークを可動電極16及び固定電極18で挟み、通電することで、ナットNをワークに溶接するものである。
【0018】
抵抗溶接機10は、
図1、2に示すように、上方側の可動電極16と下方側の固定電極18とを備えて構成され、可動電極16は、可動側ホーン15に保持され、固定電極18は固定側ホーン17に保持されている。可動側ホーン15は、上支持アーム12に保持されたエアシリンダ14の上下動するシリンダロッド14aに固定されており、エアシリンダ14の作動により、可動側ホーン15に保持された可動電極16が、固定電極18に向かって下降する。本体11は、上部で上支持アーム12を前方に延ばすように配設させ、下部で下支持アーム13を前方に延ばすように配設させて、下支持アーム13に固定側ホーン17が保持されている。
【0019】
小物部品供給ユニット200は、
図3~5に示すように、被当接部としての当接ピン210と、可動部側装置20と、小物部品供給装置100と、を有している。
【0020】
可動部としての可動電極16の下端部には、円柱状の当接ピン210が配設されている。
【0021】
当接ピン210は、円柱状に形成され、取付プレート211にボルト締めされて左右方向を軸線となるように取り付けられている。取付プレート211は、可動電極16に取り付けられたクランプ212(
図3では省略している)に取り付けられている。
【0022】
当接ピン210は、
図8、9に示すように、後述する、ガイド部材136Aの当接部136Aaと、ガイド部材136Bの当接部136Baとが、待機位置にあるときの間隔の長さと、略同一の径に形成されている。
【0023】
可動電極16の下端部には、ナットNを保持可能な可動部側装置20が配設されている。可動部側装置20は、
図3~7に示すように、電極チップ30と、シャンク31と、ホルダ32と、ピン部材33と、を有している。
【0024】
電極チップ30は、円筒状に形成され、上下方向に貫通する貫通孔を有し、当該貫通孔は、電極チップ30の上面から下面に向かう大内径部30aと、大内径部30aより小径に形成された小内径部30bと、を有している。小内径部30b内には、後述するピン部材33の小径部33aが挿通可能とされている。
【0025】
シャンク31は、下小径部31aと、下小径部31aより大径に形成された大径部31bと、下小径部31aとほぼ同じ径に形成された上小径部31cと、を有している。シャンク31は、上下方向にそって円形に貫通する段付き貫通孔を有している。当該段付き貫通孔は、シャンク31の上面から下面に向かう大内径部31dと、大内径部31dより小径に形成された小内径部31eと、を有している。
【0026】
大内径部31dの小内径部31eとの境界部分近傍には、横方向に延びて大内径部31dと連通する横孔部31fが配設されている(
図5参照)。横孔部31fは、図示しない、通気配管、エアコンプレッサと接続されている。当該エアコンプレッサのエアーにより、大内径部30a、小内径部30b、大内径部31d、小内径部31e内の塵芥等をエアブロー可能とされている。
【0027】
大内径部31dには、ピン部材33の、後述する、小径部33a、中径部33b、フランジ部33cが、小内径部31eには、ピン部材33の小径部33aが、挿通可能とされている。
【0028】
ホルダ32は、大径部32aと、大径部32aより小さい径に形成された小径部32bと、を有して、段付き円柱状に形成され、小径部32bにおいて可動電極16に嵌め込まれている。
【0029】
ホルダ32は、大径部32aの下面から上側に向かう有底孔32cと、有底孔32cの上側の端面から上方に向かって延びる縦孔部32dと、縦孔部32dから横方向に延びる横孔部32e(
図5参照)と、を有している。横孔部32eには、図示しない通気配管が接続され、さらに電極正圧手段としてのエアコンプレッサに接続されている。
【0030】
挿入凸部としてのピン部材33は、小径部33aと、小径部33aより大径に形成された中径部33bと、中径部33bより大径に形成されたフランジ部33cと、を有して略段付き円柱状に形成されている。
【0031】
ピン部材33のフランジ部33cの上面に磁性体としての磁石34が取り付けられている。よって、挿入凸部としてのピン部材33に磁性体が配設されていることになる。
【0032】
さらに、ホルダ32の有底孔32cの底面と、シャンク31の上小径部31cの上面の間には、貫通孔を有して円環状に形成されたウレタンクッション35が取り付けられている。
【0033】
ピン部材33の中径部33bの下面と、シャンク31の大内径部31dの下側の端面とに、上下の端部を当接させたコイルスプリング36が配置されている。コイルスプリング36は、ピン部材33を上側に付勢している。
【0034】
ピン部材33の小径部33aと中径部33bの境界部分には、Oリング37が取り付けられている。
【0035】
電極チップ30の大内径部30aに、シャンク31の下小径部31aが嵌め込まれて結合され、シャンク31の上小径部31cと、ホルダ32の有底孔32cの内周面とがねじ結合等され、可動部側装置20が一体形成されている。
【0036】
本実施形態では、シャンク31の大内径部31dと、小内径部31e、及び、電極チップ30の大内径部30aと、小内径部30bの領域に、ピン部材33が配されている。
【0037】
シャンク31の大内径部31dと、ホルダ32の有底孔32cと、縦孔部32dと、横孔部32eとが連通することで、正圧通路21が形成される。
【0038】
正圧通路21は、電極正圧手段としての図示しないエアコンプレッサに接続され、挿入凸部としてのピン部材33が正圧通路21に配置されている。当該エアコンプレッサのエアーにより、フランジ部33c側が押されて、小径部33aが電極チップ30の下端から突出するように配置されている。当該エアコンプレッサのエアーが無い場合には、コイルスプリング36の付勢力により、小径部33aが電極チップ30内に戻される。
【0039】
小物部品供給装置100が、上支持アーム12に取付フレーム19を介して取り付けられている。
【0040】
小物部品供給装置100は、固定シュート110と、可動シュート120と、個別送りユニット150と、昇降ユニット160と、を有している。
【0041】
固定シュート110は、シュートホース111と、シュートブロック112と、を備えている。
【0042】
シュートホース111は、内部にナットNが通過可能なナット通路111aを有した筒状に形成され、長手方向における一端側(上端側)でナットフィーダーと接続された送給ホースと接続されている。
【0043】
シュートブロック112は、メインシュート113と、プレート114とで構成されている。
【0044】
メインシュート113は、金属製で直方体状に形成され、右面から左面に向かう有底溝として形成され、かつ、上面から下面まで延びるナット通路形成溝113aを有している。
【0045】
プレート114は、金属製で直方体状に形成され、メインシュート113の右面を覆うように配置され、ボルト締めされて取り付けられている。
【0046】
ナット通路形成溝113aと、プレート114とで囲まれる領域が、ナットNが通過可能なナット通路112aとされる。
【0047】
プレート114には、プレート114の右面から左面まで貫通する貫通孔として形成された、後述する、第一エアシリンダ152の第一係止ピン152bが挿通される第一挿通孔114aと、第二エアシリンダ153の第二係止ピン153bが挿通される第二挿通孔114bと、が上下方向に沿って配設されている。
【0048】
第一挿通孔114aと第二挿通孔114bとは、ナット通路112aと連通するように形成されている。
【0049】
シュートブロック112は、ナット通路111aとナット通路112aとが連通するように、上端側において、シュートホース111の下端側と接続されている。
【0050】
可動シュート120は、前後方向において線対称な形状とされる、一対の分割片130A、130Bで構成されている。
【0051】
分割片130A、130Bは、通路形成部材131A、131Bと、レバー135A、135Bと、ガイド部材136A、136Bと、付勢部材としてのコイルスプリング140と、を備えている。
【0052】
通路形成部材131A、131Bは、金属製で、前後方向からみて、外形形状が左側に屈曲する角筒状にそれぞれ形成されている。
【0053】
通路形成部材131Aでは、前面から後面に向かう有底溝131Aaが形成され、通路形成部材131Bでは、後面から前面に向かう有底溝131Baが形成されている。有底溝131Aa、有底溝131Baは、前後方向からみて、それぞれ円弧状に形成されている。
【0054】
一対の分割片130A、130Bが接近した状態において、有底溝131Aaと、有底溝131Baと、一対の有底溝131Aa、有底溝131Baの間の空間部分、で形成される領域が、ナット通路121とされている。
【0055】
有底溝131Aaと、有底溝131Baの、左端部には、磁石ホルダ132A、132Bが、それぞれ取り付けられている。磁石ホルダ132A、132Bは、有底溝131Aaと、有底溝131Baの左端部を覆い可能とされ、左面から右面に向かう有底孔として形成された図示しないホルダ孔をそれぞれ有し、当該ホルダ孔内に磁石133A、133Bがそれぞれ嵌め込まれている。
【0056】
磁石ホルダ132A、132Bの左面には、磁石133A、133Bを覆い可能な磁石押さえ134A、134Bが取り付けられている。有底溝131Aaと、有底溝131Baの左端部と、磁石ホルダ132A、132Bとで、ナットNの部品受部122が構成される。つまり、可動シュート120の先端部に、ナットNの部品受部122が構成されることになる。
【0057】
部品受部122においてナットNは、一対の分割片130A、130Bが接近した状態のときに、磁石133A、133Bの磁力により移動を規制されて保持される。
【0058】
通路形成部材131A及び通路形成部材131Bの上部の左面には、レバー135A、135Bがそれぞれ上方に延びるように取り付けられている。レバー135A、135Bは、金属製で、上下方向に長い長尺状とされ、前後方向において線対称となるように形成されている。
【0059】
レバー135A及びレバー135Bの上端部の左面には、ガイド部材136A、136Bが取り付けられている。ガイド部材136Aでは前面が当接ピン210と当接する当接部136Aaとされ、ガイド部材136Bでは後面が、当接ピン210と当接する当接部136Baとされる。
【0060】
当接部136Aa、当接部136Baの下端部は、面取りされ当接ピン210を円滑に移動させることを可能としている。
【0061】
分割片130A、130Bは、レバー135A、135Bの上下方向における中央上付近において、ガイドプレート137A、137Bの右面と、シュートブロック112の左面とに挟まれて配置され、軸部材138A、138Bを用いて左右方向を軸として回動可能に軸支されている。
【0062】
付勢部材は、コイルスプリング140が用いられ、ガイド部材136A、136Bの上端部どうしを連結するように取り付けられている。コイルスプリング140は、一対の分割片130A、130Bの軸部材138A、138Bより下側の部分を離隔するように付勢している。
【0063】
そして、被当接部としての当接ピン210が、ガイド部材136Aの当接部136Aaと、ガイド部材136Bの当接部136Baと、に当接した状態においては、一対の分割片130A、130Bの軸部材138A、138Bより上側の部分が接近することを妨げられた状態となり、一対の分割片130A、130Bの軸部材138A、138Bより下側の部分が接近した状態となる。
【0064】
また、当接ピン210が、ガイド部材136Aの当接部136Aaと、ガイド部材136Bの当接部136Baと、に当接した状態が解除されると、一対の分割片130A、130Bの軸部材138A、138Bより下側の部分が、コイルスプリング140の付勢力により離隔する。
【0065】
個別送りユニット150は、
図4、5に示すように、シリンダブラケット151と、第一エアシリンダ152と、第二エアシリンダ153と、を備えている。
【0066】
シリンダブラケット151は、金属製で、上下方向からみて、後壁部151aと右壁部151bとを有した略L字状に形成され、後壁部151aの左端部においてプレート114に取り付けられている。
【0067】
シリンダブラケット151の右壁部151bには、第一エアシリンダ152と、第一エアシリンダ152より上側に位置する第二エアシリンダ153と、が左右方向に挿通させて取り付けられている。
【0068】
第一エアシリンダ152のピストンロッド152aには、第一係止ピン152bが配設され、第二エアシリンダ153のピストンロッド153aには、第二係止ピン153bが配設されている。
【0069】
第二エアシリンダ153は、第一エアシリンダ152より、ナットNの送り方向の上流側に配置されていることになる。
【0070】
第一係止ピン152bはプレート114の第一挿通孔114aに挿通され、第二係止ピン153bはプレート114の第二挿通孔114bに挿通され、ナット通路112a内と、ナット通路112a外とを出入り可能とされる。第一係止ピン152b、第二係止ピン153bは、ナット通路112a内のナットNを、係止させたり、係止を解除して送給可能としたりするものである。
【0071】
第一係止ピン152bと、第二係止ピン153bとは、ナットN一個分の間隔が設けられ、第一係止ピン152bがナット通路112a外に移動してナットNを送り出すときに、第二係止ピン153bがナット通路112a外からナット通路112a内に移動して並んでいる二個目以降のナットNを係止して、ナットNを一個ずつ送りだすこととされている。そして、ナットNを送り出したら、第一係止ピン152bはナット通路112a内に移動し、第二係止ピン153bは、ナット通路112a外に移動する。
【0072】
第一エアシリンダ152、第二エアシリンダ153は、図示しない制御回路、エアコンプレッサに接続されている。
【0073】
エアパイプ154は、図示しないエアコンプレッサに接続され、シリンダブラケット151に支持されて、ナット通路121に向けてエアーを噴射可能に配置されている。エアパイプ154は、ナット通路121を通過するナットNにエアブローしてナットNの移動をサポートするものである。
【0074】
昇降ユニット160は、ベースプレート161と、柱部材162と、シリンダ取付プレート163と、駆動シリンダ164と、連結プレート165、昇降ロッド166と、と、を備えている。
【0075】
ベースプレート161は、金属製で、左側中央部が矩形状に切り欠かれた凹形平板状に形成され、上支持アーム12に固着された取付フレーム19に取り付けられている。
【0076】
ベースプレート161の前後方向における両端部には、上面から下面まで円形状に貫通する貫通孔161aがそれぞれ形成されている。貫通孔161aは、後述する昇降ロッド166を挿通させるものである。ベースプレート161の切り欠き部分には、シュートホース111が、上下方向に沿って配置されている。
【0077】
ベースプレート161の、左右方向における中央付近、かつ、前後方向における両端部には、柱部材162が上方向に向かってそれぞれ立設されている。
【0078】
柱部材162の上端部間を架け渡すように、金属製で平板状のシリンダ取付プレート163が取り付けられている。
【0079】
シリンダ取付プレート163の上面には、駆動源としての駆動シリンダ164が取り付けられ、駆動ロッド164aが、シリンダ取付プレート163を挿通するように配置され上下方向への移動を許容されている。
【0080】
駆動ロッド164aの下端部には、金属製で前後方向に長い平板状の連結プレート165がとりつけられている。
【0081】
連結プレート165の前後方向における端部には、昇降ロッド166が、貫通孔161aを挿通して下方に延びるようにそれぞれ取り付けられている。
【0082】
昇降ロッド166の下端部は、メインシュート113の上面において取り付けられている。
【0083】
駆動シリンダ164の駆動により、駆動ロッド164aが上下動し、それに伴って、固定シュート110、可動シュート120が上下動可能とされている。
【0084】
上記構成の小物部品供給装置100の機能、作用を説明する。可動シュート120が待機位置にある
図10の状態においては、可動シュート120は最下位位置にあり、当接ピン210は、ガイド部材136Aの当接部136Aaと、ガイド部材136Bの当接部136Baと、に当接した状態にあり、付勢部材としてのコイルスプリング140の付勢力に抗して、一対の分割片130A、130Bは、接近した状態にある。また、ピン部材33の小径部33aがナットNの孔内に少し進入している。
【0085】
可動電極16が下側に移動すると、当接ピン210が下側に移動し、ガイド部材136Aの当接部136Aaと、ガイド部材136Bの当接部136Baと、に当接した状態が解除される。すると、一対の分割片130A、130Bの軸部材138A、138Bより下側の部分が、コイルスプリング140の付勢力により離隔する。
【0086】
このとき、ピン部材33は、ナットNの孔部分を挿通するとともに、磁石34の磁性力が付与されているので、ナットNを落下させることなく保持された状態となる。
【0087】
そして、ナットNを、下側の固定電極18上に配される平板状のワーク上に乗せ、ナットNとワークを可動電極16及び固定電極18で挟み、通電することで、ナットNをワークに溶接される。
【0088】
なお、
図11では、駆動シリンダ164を駆動させ、駆動ロッド164aを上側に移動させ、固定シュート110、可動シュート120が上側に移動している。
【0089】
駆動シリンダ164により可動シュート120を移動させて一対の分割片130A、130Bを逃がすことにより、可動電極16と一対の分割片130A、130Bとの干渉が生じない空間を大きくして、ワークが一対の分割片130A、130Bと接触させる可能性を低くさせている。
【0090】
通電が終了すると、駆動シリンダ164を駆動させ、駆動ロッド164aを下側に移動させ、固定シュート110、可動シュート120のみを下側に移動させ
図10の状態とする。可動電極16は、上昇し、最上位置に戻るまでに、当接ピン210は、ガイド部材136Aの当接部136Aaと、ガイド部材136Bの当接部136Baと、に当接した状態になり、付勢部材としてのコイルスプリング140の付勢力に抗して、一対の分割片130A、130Bは、
図10に示す、接近した状態に戻る。
【0091】
可動電極16が最上位置に戻ると、センサにより信号が制御装置に送られ、所定時間経過後に、第一エアシリンダ152の第一係止ピン152bを、ナット通路112a外に移動させるとともにエアブローを行い、ナットNを部品受部122に送給する。
【0092】
上記構成の小物部品供給装置100では、小物部品としてのナットNを作業装置としての抵抗溶接機10に供給する小物部品供給装置であって、作業装置としての抵抗溶接機10の可動電極16の移動軌跡上に先端部が位置する可動シュート120を備え、可動シュート120は一対の分割片130A、130Bで構成され、一対の分割片130A、130Bは互いに揺動して接近、離隔可能に構成され、先端部は、一対の分割片130A、130Bが互いに接近した状態にあるとき、上流側から送給されてきたナットNを受け止め抵抗溶接機10への移し替えを可能にする部品受部122を形成し、かつ、一対の分割片130A、130Bが互いに離隔した状態にあるとき、可動電極16と一対の分割片130A、130Bとの干渉が生じない空間を形成するよう構成され、一対の分割片130A、130Bには、一対の分割片130A、130Bが離隔するように付勢する付勢部材としてのコイルスプリング140が配設され、抵抗溶接機10の可動電極16には、一対の分割片130A、130Bにそれぞれ配設される当接部136Aa、当接部136Baと当接可能な被当接部としての当接ピン210が配設され、当接部136Aa、当接部136Baと当接ピン210とが当接することにより一対の分割片130A、130Bの接近状態が維持され、当接部136Aa、当接部136Baと当接ピン210との当接が解除されることにより一対の分割片130A、130Bが離隔状態とされる。
【0093】
これによれば、当接部136Aa、当接部136Baと当接ピン210とが当接することにより、コイルスプリング140に抗して一対の分割片130A、130Bの接近状態を維持し、当接部136Aa、当接部136Baと当接ピン210との当接を解除し、一対の分割片130A、130Bを離隔させるときにコイルスプリング140を用い、一対の分割片130A、130Bを接近、離隔可能に構成している。よって、簡素な構造かつ低コストで、抵抗溶接機10の可動電極16の移動を阻害しない空間を確保できる。
【0094】
また、抵抗溶接機10の可動電極16の移動により、一対の分割片130A、130Bが接近、離隔可能とされている。
【0095】
これによれば、抵抗溶接機10の可動電極16の動きを利用することで、可動シュート120を移動させる駆動源をなくすことができるので、簡素な構造かつ低コストで、抵抗溶接機10の可動電極16の移動を阻害しない空間を確保できる。
【0096】
また、可動シュート120を移動させる駆動シリンダ164を備え、可動シュート120の移動により、一対の分割片130A、130Bが接近、離隔可能とされている。
【0097】
これによれば、駆動シリンダ164により可動シュート120を移動させて一対の分割片130A、130Bを逃がすことにより、可動電極16と一対の分割片130A、130Bとの干渉が生じない空間を大きくできるので、作業者が作業をし易くすることができる。
【0098】
また、抵抗溶接機10の可動電極16にナットNを供給する小物部品供給ユニット200であって、小物部品供給装置100と、抵抗溶接機10の可動電極16に配される可動部側装置20と、を備え、可動部側装置20は、
電極正圧手段としてのエアコンプレッサに接続され空気を流通可能な正圧通路21と、正圧通路21に配される、ナットNを挿入可能かつ磁性体を有する挿入凸部としてのピン部材33、を備えている。
【0099】
これによれば、ナットNを挿入可能かつ磁性体を有するピン部材33を備える可動部側装置20と、上記の効果を奏する小物部品供給装置100と組み合わせて、ナットNの作業装置への移し替えを円滑に行うことが可能となるので、簡素な構造かつ低コストで、抵抗溶接機10の可動電極16の移動を阻害しない空間を確保できる小物部品供給ユニットを提供することができる。
【0100】
本発明の部品供給装置及び小物部品供給ユニットは当該構成に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない限り各種の設計変更等が可能である。
【0101】
上記動作態様では、可動電極16の移動に伴って当接ピン210を移動させて、一対の分割片130A、130Bを接近、離隔させていたが、可動シュート120側を移動させることで、一対の分割片130A、130Bを接近、離隔させることも可能である。
【0102】
例えば、
図10の可動シュート120待機位置の状態から、
図12に示すように、駆動シリンダ164を駆動させ、駆動ロッド164aを上側に移動させると、それにともない、可動シュート120が上側に移動する。
【0103】
可動シュート120が上側に移動すると、当接ピン210と、ガイド部材136Aの当接部136Aaと、ガイド部材136Bの当接部136Baと、が当接した状態が解除される。すると、一対の分割片130A、130Bの軸部材138A、138Bより下側の部分が、コイルスプリング140の付勢力により離隔する。
【0104】
このとき、ピン部材33は、ナットNを落下させることなく保持された状態となることは上記動作態様と同様である。
【0105】
また、一対の分割片130A、130Bが離隔した状態から、可動シュート120が下側に移動すると、当接ピン210は、ガイド部材136Aの当接部136Aaと、ガイド部材136Bの当接部136Baと、に当接した状態になり、付勢部材としてのコイルスプリング140の付勢力に抗して、一対の分割片130A、130Bは、接近した状態に戻る。
【0106】
上記構成の小物部品供給ユニット200のような動作としても、駆動源としての駆動シリンダ164により可動シュート120を移動させて、一対の分割片130A、130Bを逃がすことにより、可動部としての可動電極16と一対の分割片130A、130Bとの干渉が生じない空間を大きくできるので、作業者が作業をし易くすることができる。
【0107】
また、当接ピン210は、当接部136Aa、当接部136Baと当接し、その状態を解除できるのであれば、楕円柱状、長円柱状、多角柱状等に形成することも可能である。
【符号の説明】
【0108】
10 抵抗溶接機
16 可動電極
20 可動部側装置
21 正圧通路
33 ピン部材
100 小物部品供給装置
120 可動シュート
122 部品受部
130A 分割片
130B 分割片
136Aa 当接部
136Ba 当接部
140 コイルスプリング
164 駆動シリンダ
200 小物部品供給ユニット
210 当接ピン
N ナット