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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】搬送ベルト装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 61/28 20060101AFI20220128BHJP
【FI】
B65B61/28
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018157891
(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2020033022
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】和田 康弘
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-240709(JP,A)
【文献】特開2009-96484(JP,A)
【文献】特開2013-28395(JP,A)
【文献】特開2014-152795(JP,A)
【文献】特開2011-143986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 61/28
B65B 9/00-9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装フィルムを搬送方向に対して直交する方向にシール・カットするトップシール装置の下流側に配置されて搬送面を構成する下ベルト装置と、その下ベルト装置の上方に配置される上ベルト装置を備え、
前記上ベルト装置は、前記下ベルト装置の上を移動する搬送物を上方から抑える機能を備え、
前記下ベルト装置と前記上ベルト装置は、同一の駆動モータの出力を受けて回転駆動するように構成し、
前記上ベルト装置は、上下方向並びに前記搬送物の搬送方向に沿った前後方向に移動可能に構成し、
前記駆動モータの回転出力を前記上ベルト装置に伝える動力伝達機構は、前記上ベルト装置の前記上下方向並びに前記前後方向の移動を許容して動力伝達を行うようにし、
前記動力伝達機構は、1本のタイミングベルトと、そのタイミングベルトの移動軌跡を規定する複数のタイミングプーリと、昇降移動可能に配置する第一移動プレートと、前記第一移動プレートに、前記搬送方向に沿って前後進移動可能に取り付ける第二移動プレートを備え、
前記第一移動プレートには、前記複数のタイミングプーリの一部である第一移動タイミングプーリと、前記タイミングベルトの外側の面に接触する第一移動テンションプーリ並びに第三移動テンションプーリを、それぞれ軸受け支持するように取り付け、それら各プーリは前記第一移動プレートの昇降移動に伴い相対位置関係を維持しながら全体で昇降するように構成し、
前記第二移動プレートには、前記複数のタイミングプーリの一部である第二移動タイミングプーリと、前記タイミングベルトの外側の面に接触する第二移動テンションプーリと、前記上ベルト装置の駆動プーリの回転軸をそれぞれ軸受け支持するように取り付け、それら各プーリは前記第二移動プレートの前後進移動に伴い相対位置関係を維持しながら全体で前後するように構成し、
前記第一移動プレートの昇降移動および又は前記第二移動プレートの前後進移動に伴い前記移動軌跡を変更するように構成したことを特徴とする搬送ベルト装置。
【請求項2】
前記上ベルト装置は、前記搬送方向の前方側に配置される前記駆動プーリと、前記搬送方向の後方側に配置される従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリに掛け渡されるエンドレスベルトを備え、
前記駆動プーリは、前記動力伝達機構を介して前記駆動モータの出力を受けて回転し、前記エンドレスベルトを回転駆動するものであり、
前記従動プーリは前記エンドレスベルトの回転に追従して自転するものであり、
前記駆動プーリの回転軸が、前記動力伝達機構側に片持ち支持され、
その回転軸は、前記複数のタイミングプーリの一部の前記上下方向及び又は前後方向に移動と一体となって移動するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の搬送ベルト装置。
【請求項3】
前記上ベルト装置は、その全体が前記駆動プーリの回転中心として所定角度範囲内で正逆回転可能に構成され、前記エンドレスベルトの下側のベルト面が水平に位置する基本姿勢と、その基本姿勢から所定角度回転して跳ね上がった待機姿勢に変位可能な構成としたことを特徴とする請求項2に記載の搬送ベルト装置。
【請求項4】
前記駆動プーリの回転軸は、二重軸受け構造の軸受け部を貫通して前記動力伝達機構側に連携され、
前記軸受け部は、前記回転軸の回転を許容するように軸受け支持するとともに、その回転軸の軸周りに前記上ベルト装置ごとの正逆回転を許容すべく軸受け支持するように構成することを特徴とする請求項3に記載の搬送ベルト装置。
【請求項5】
前記上ベルト装置は、折り返しすることなく一周するエンドレスベルトを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の搬送ベルト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ベルト装置に関するもので、包装機のトップシール装置の下流側に配置され、トップシール装置を通過後の包装体等を抑えながら搬送する装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばピロー包装機は、原反ロールに巻き取られた帯状の包装フィルムを連続して製袋器に供給し、その製袋器を通過させる際に筒状に製袋する。そして、製袋器の下流側に配置されたセンターシール装置は、製袋器を通して筒状に製袋されて重ね合わされたフィルム重合端をシールする。このシールにより筒状フィルムが形成される。また、この製袋器の上流側には製品搬送供給装置を配置し、その製品搬送供給装置から所定間隔毎に搬送される製品が、製袋器内に供給される。これにより、製品が製袋器内を通過すると、筒状の包装フィルム内に所定間隔毎に収納されることになり、その製品は筒状に製袋された包装フィルムとともに搬送される。
【0003】
筒状に製袋された包装フィルムの先頭部分は、ピロー包装機の搬出側に配置されたトップシール装置内を通過し、そのトップシール装置の下流側に突出する。そして、トップシール装置は、その先頭部分に収納された製品と、後続の製品との間のフィルム部位を、包装フィルムの進行方向に対して直交する方向、つまり、横断する方向にシールすると共にカットする。これにより、包装フィルムの先頭部分は後続から分離され、包装体が製造される。包装体は、トップシール装置の下流側に配置される搬出コンベアにより搬送される。
【0004】
ところで、包装フィルムの先頭部分の内部に必要以上に空気が入り込んだ状態でシール・カットすると、包装体は膨れた状態になる。係る状態の発生を抑制するため、例えば、特許文献1に開示された発明のように、トップシール装置の下流側に突出した包装フィルムの先端部分内の空気を排出する脱気手段を備えたものがある。この特許文献1に開示されたトップシール装置(エンドシール装置)は、上下に配置したトップシーラが昇降移動するものである。そして、上側のトップシーラに脱気手段を取付け、その脱気手段は、トップシーラと一体となって昇降し、下降移動に伴い包装フィルムを上から抑え込み、搬出コンベア上にある包装フィルムの前端寄り又は後端寄りの製品が位置しない部分を上から押圧して包装フィルム内の空気を排出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4392525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された装置は、脱気手段がトップシーラと一体になって昇降するので、当該脱気装置がトップシール装置の下流側に大きく張り出した構造となり、トップシール装置の下流側部分における清掃・メンテナンスが行いづらく、衛生性・清掃性の観点で問題がある。さらに、包装体のサイズ替えに対応できないという課題もある。
【0007】
また、例えば、特許文献1のトップシール装置の上流側に配置される抑えブラシをトップシール装置の下流側に配置することを考えると、当該抑えブラシは、包装フィルム,包装体の上面に接触するのはブラシであり、その機能・目的は包装体の浮き上がりを防止する程度のものとなり、包装体をしっかり抑えて搬送することはできない。
【0008】
そして、包装体ひいては収納される製品をしっかり抑えるために、例えば、エンドレスベルトを備えたベルト装置をトップシール装置の下流側の搬送面の上方に配置し、エンドレスベルトのベルト面を包装体に接触させることを考えると、以下の課題が生じる。まず、包装体のサイズ替えにあわせてエンドレスベルトのベルト面の位置を移動させる必要がある。そのため、下側の搬送面を構成するベルト装置の駆動モータと、上側の抑えのためのベルト装置の駆動モータを別々に配置すると、例えば上側のベルト装置のエンドレスベルトを駆動モータごと移動することで対応できるが、係る構成では駆動モータがそれぞれ要するので大型化し、好ましくない。
【0009】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明の搬送ベルト装置は、(1)包装フィルムを搬送方向に対して直交する方向にシール・カットするトップシール装置の下流側に配置されて搬送面を構成する下ベルト装置と、その下ベルト装置の上方に配置される上ベルト装置を備え、前記上ベルト装置は、前記下ベルト装置の上を移動する搬送物を上方から抑える機能を備え、前記下ベルト装置と前記上ベルト装置は、同一の駆動モータの出力を受けて回転駆動するように構成し、前記上ベルト装置は、上下方向並びに前記搬送物の搬送方向に沿った前後方向に移動可能に構成し、前記駆動モータの回転出力を前記上ベルト装置に伝える動力伝達機構は、前記上ベルト装置の前記上下方向並びに前記前後方向の移動を許容して動力伝達を行うようにし、前記動力伝達機構は、1本のタイミングベルトと、そのタイミングベルトの移動軌跡を規定する複数のタイミングプーリと、昇降移動可能に配置する第一移動プレートと、前記第一移動プレートに、前記搬送方向に沿って前後進移動可能に取り付ける第二移動プレートを備え、前記第一移動プレートには、前記複数のタイミングプーリの一部である第一移動タイミングプーリと、前記タイミングベルトの外側の面に接触する第一移動テンションプーリ並びに第三移動テンションプーリを、それぞれ軸受け支持するように取り付け、それら各プーリは前記第一移動プレートの昇降移動に伴い相対位置関係を維持しながら全体で昇降するように構成し、前記第二移動プレートには、前記複数のタイミングプーリの一部である第二移動タイミングプーリと、前記タイミングベルトの外側の面に接触する第二移動テンションプーリと、前記上ベルト装置の駆動プーリの回転軸をそれぞれ軸受け支持するように取り付け、それら各プーリは前記第二移動プレートの前後進移動に伴い相対位置関係を維持しながら全体で前後するように構成し、前記第一移動プレートの昇降移動および又は前記第二移動プレートの前後進移動に伴い前記移動軌跡を変更するように構成した。
【0011】
このようにすると、一つの駆動モータの出力を用いて、上ベルト装置と下ベルト装置とを駆動させることができる。さらに、駆動モータの位置を移動させることなく上ベルト装置を上下・前後方向に移動することができ、例えば包装体のサイズ替えがあっても、上ベルト装置のベルト面を包装体等の上面に接触させて確実に抑えることができ、上ベルト装置と下ベルト装置とで包装体等を上下から挟み込んだ状態で安定して搬送することができる。よって、包装体等の寸法・種類・重量等に関係なく当該包装体等を所望の搬送姿勢のまま移動することができる。動力伝達機構が、上ベルト装置の上下方向並びに前後方向の移動を許容して動力伝達することができるので、搬送面側にある上ベルト装置をシンプルな構造にでき、清掃作業も容易となり、衛生面の観点からも好ましい。
【0012】
記動力伝達機構は、1本のタイミングベルトと、そのタイミングベルトの移動軌跡を規定する複数のタイミングプーリを有し、その複数のタイミングプーリの一部は、上下方向及び又は前後方向に移動可能に構成され、前記上ベルト装置の前記上下方向と前記前後方向の位置に応じて前記移動軌跡を変更するように構成すると、例えば、複数のタイミングベルトや、両歯ベルトを用いた機構に比べて、簡単な構成で実現でき、安価に構成できるので良い。
【0014】
(2)前記上ベルト装置は、前記搬送方向の前方側に配置される駆動プーリと、前記搬送方向の後方側に配置される従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリに掛け渡されるエンドレスベルトを備え、前記駆動プーリは、前記動力伝達機構を介して前記駆動モータの出力を受けて回転し、前記エンドレスベルトを回転駆動するものであり、前記従動プーリは前記エンドレスベルトの回転に追従して自転するものであり、前記駆動プーリの回転軸が、前記動力伝達機構側に片持ち支持され、その回転軸は、前記複数のタイミングプーリの一部の前記上下方向及び又は前後方向に移動と一体となって移動するように構成されると良い。このようにすると、第二移動プレートは、第一移動プレートの上下移動に伴い一体となって上下移動し、前後方向には単独で移動する。よって、上下移動のみさせるタイミングプーリ等は第一移動プレートに取り付け、上下移動と前後移動をさせたいタイミングプーリ等は第二移動プレートに取り付けることで、両プレートを適宜移動させることで、上ベルト装置を所望の場所に位置させ際のタイミングベルトの移動軌跡にすることができる。よって、動力伝達機構は、より簡単な構成・動作となる。
【0015】
(3)前記上ベルト装置は、その全体が前記駆動プーリの回転中心として所定角度範囲内で正逆回転可能に構成され、前記エンドレスベルトの下側のベルト面が水平に位置する基本姿勢と、その基本姿勢から所定角度回転して跳ね上がった待機姿勢に変位可能な構成としたとするとよい。このようにすると、例えばエンドレスベルトを跳ね上げて待機姿勢に変位させると、トップシール装置の下流側の空間が広がり、トップシール装置へのアクセスを容易にすることができる。
(4)前記駆動プーリの回転軸は、二重軸受け構造の軸受け部を貫通して前記動力伝達機構側に連携され、前記軸受け部は、前記回転軸の回転を許容するように軸受け支持するとともに、その回転軸の軸周りに前記上ベルト装置ごとの正逆回転を許容すべく軸受け支持するように構成するとよい。
【0016】
(5)前記上ベルト装置は、折り返しすることなく一周するエンドレスベルトを備えるとよい。このようにすると、上ベルト装置の構造がより簡略化され、衛生性・清掃性の観点からも好ましい。また、下ベルト装置の搬送面上部にスペースが確保され、トップシール装置の保守作業の作業性も向上する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、トップシール装置の下流側に、上下並び前後方向に移動可能に上ベルト装置が配置されるので、トップシール装置から搬出される包装体等を確実に抑え、所望の搬送姿勢のまま移動することができる。さらにトップシール装置の下流側の搬送面側を極力シンプルな構造で衛生性・清掃性の観点からも良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る搬送ベルト装置の好適な一実施形態を示す正面図である。
図2】その斜視図である。
図3】その背面図である。
図4】(a)は要部を示す背面側から見た斜視図で有り、(b),(c)はタイミングベルトの移動軌跡の変位の一例を示す図ある。
図5】(a)は搬送ベルト装置の一部を正面側から見た図であり、(b),(c)はタイミングベルトの移動軌跡の変位の一例を示す図ある。
図6】(a)は搬送ベルト装置の一部を背面側から見た図であり、(b),(c)はタイミングベルトの移動軌跡の変位の一例を示す図ある。
図7】ベルトユニット32の位置移動・姿勢変位の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0020】
本実施形態の搬送ベルト装置10は、包装機本体のトップシール装置1の下流側近傍に配置される。トップシール装置1は、包装フィルムの搬送ラインを挟んで上下に配置される上部回転軸2と、下部回転軸3を備え、上部回転軸2には等角度間隔で3本の上部トップシーラ4を取り付け、下部回転軸3には等角度間隔で3本の下部トップシーラ5を取り付ける。上部トップシーラ4と下部トップシーラ5は、ともにヒータを内蔵し、先端のシール面を所望の温度に加熱する。上部トップシーラ4は、その先端のシール面から突出可能なカッター刃を内蔵し、下部トップシーラ5は、その先端のシール面にカッター刃を受ける受け刃等を備える。上部回転軸2と下部回転軸3は、同期して回転し、120度ずつ回転する都度、対応する上部トップシーラ4と下部トップシーラ5のシール面同士が接触する。包装機本体の運転時は、上部トップシーラ4と下部トップシーラ5のシール面同士が、包装フィルム7を上下から所定の圧力で挟み込み、当該包装フィルム7を介して間接的に接触する。また、本形態では、下部回転軸3には、隣接する下部トップシーラ5間の空間に、円弧状のガイド面を備えたガイド部材6を備える。
【0021】
搬送ベルト装置10は、上下に配置される下ベルト装置11と、上ベルト装置12を備え、それら下ベルト装置11と上ベルト装置12は、同一の駆動モータ13の出力を受けて同期して回転駆動する。
【0022】
下ベルト装置11は、トップシール装置1を通過して、その下流側に突出した包装フィルム7のカットされる前の先端部分並びに、カットして後続の包装フィルム7から分離製造された包装体8を搬送する搬送コンベアを構成する。この下ベルト装置11は、第一エンドレスベルト15を、搬送面の前後端に配置される一対のプーリ16、搬送面の下方空間の所定位置に配置される複数のプーリ17並びにそれらプーリ17よりも下方の所定位置に配置した駆動プーリ18に掛け渡して構成される。一対のプーリ16並びに複数のプーリ17は、図示省略する奥側に配置した機枠に片持ち支持の状態で軸受け支持させ、フリー状態で自転可能に構成する。駆動プーリ18は、その回転軸19を駆動モータ13の出力軸20に連結する。これにより、駆動モータ13が動作し、出力軸20が回転すると、一体となって駆動プーリ18も回転する。この駆動プーリ18の回転に伴い、第一エンドレスベルト15が回転し、その第一エンドレスベルト15の回転に追従して各プーリ16,17が自転し、第一エンドレスベルト15のスムーズな回転を促す。
【0023】
トップシール装置1の下流側に突出する包装フィルム7の先端部や、トップシール装置1の通過により製造された包装体8は、この第一エンドレスベルト15の上面に乗った状態で、第一エンドレスベルト15の回転に伴い前進移動する。
【0024】
上ベルト装置12は、包装体8の搬送方向の前方に配置される駆動プーリ21と、搬送方向の後方に配置された2つの従動プーリ22,23と、それら駆動プーリ21,従動プーリ22,23間に掛け渡すように配置される第二エンドレスベルト24を備える。従動プーリは、上下二箇所に配置され、下側の従動プーリ22は上側の従動プーリ23 よりも上流側に位置している。また、運転状態における上ベルト装置12の下側の従動プーリ22の側面の最下端位置と、駆動プーリ21の側面の最下端位置は、同じ高さ位置になるようにし、上ベルト装置12の上側の従動プーリ23の側面の最上端位置と、駆動プーリ21の側面の最上端位置は、同じ高さ位置になるように設定している。これにより、運転状態にある上ベルト装置12の第二エンドレスベルト24は、搬送方向に沿って移動する下側のベルト面と、上側のベルト面は、ともに搬送面と平行になり、上側の従動プーリ23から下側の従動プーリ22に掛けてのベルト面は傾斜面となる。このように、第二エンドレスベルト24の移動軌跡は、図1等から明らかなように、迂回経路や折り返し経路等をとらずに単純な経路で一周する形状としている。
【0025】
駆動プーリ21の回転軸25は、第二エンドレスベルト24の搬送方向の両側に配置する側壁部27に連結した軸受け部26に回転自在に軸受け支持させる。また、それぞれの側壁部27の外面の上流側の上端には、上流側に延びる帯板状の連結プレート28を取り付け、その連結プレート28の上流側先端に、水平平面内で回転自在に移動プレート29を取り付ける。移動プレート29は、略三角形状の板部材であり、その略三角形状の2つの頂点付近に軸受け部を備え、その軸受け部に2つの従動プーリ22,23を軸受け支持させる。そして、移動プレート29は、上側の従動プーリ23の回転軸を中心に所定角度正逆回転可能に構成され、例えば図1に示す基本姿勢と、その基本姿勢から反時計方向に所定角度回転した範囲内で正逆回転する。
【0026】
この移動プレート29は、リンク式のロック機構30を介して側壁部27に接続され、当該ロック機構30でロックした状態では、移動プレート29は、図示する基本姿勢を維持し、駆動プーリ21,従動プーリ22,23に掛け渡される第二エンドレスベルト24は、所定の張力がかかった状態となる。一方、操作レバー31を操作し、ロック機構30によるロックを解除すると、移動プレート29が側壁部27側(下流側)に引き寄せられ、それに伴い移動プレート29は反時計方向(図1等の正面側から見たのを基準)に回転し、下側の従動プーリ22が下流側に移動する。すると、第二エンドレスベルト24にかかっていた張力が解除され、第二エンドレスベルト24は弛んだ状態となる。そして、本実施形態では、第二エンドレスベルト24は、駆動プーリ21と従動プーリ22,23の3つのプーリに掛け渡されて、単純な経路を取っているので、例えば、その弛んだ状態から第二エンドレスベルト24を容易に取り外すことができる。さらに、後述するように、駆動プーリ21の回転軸25の奥側が取付板33や動力伝達機構40に連携された状態で、片持ち支持された状態であり、手前側に第二エンドレスベルト24の取り出しの邪魔になる機器・機構等がないので、第二エンドレスベルト24の脱着がより容易に行える。よって、清掃やベルトその他の部品の交換などのメンテナンスが容易に行える。
【0027】
上述したように、駆動プーリ21,従動プーリ22,23並びに第二エンドレスベルト24は、側壁部27,連結プレート28,移動プレート29,ロック機構30等ともに一体化されたベルトユニット32を構成する。そして、このベルトユニット32は、第二エンドレスベルト24の配置空間の奥側に配置された取付板33に回転可能に連携される。すなわち、駆動プーリ21の回転軸25は、奥側をそのまま延長して取付板33を貫通し、さらにその先端に第一歯車35を連結する。そして、取付板33の回転軸25が貫通する部位に、軸受け部36を設け、その軸受け部36を介してベルトユニット32を連携する。この軸受け部36は、二重軸受け構造となり、上述した回転軸25の回転を許容するように軸受け支持するとともに、その回転軸25の軸周りにベースユニットごとの正逆回転を許容すべく軸受け支持する。また、ベルトユニット32は、取付板33に対してのみ、軸受け部36を介して片持ち支持状態で連携される。
【0028】
そして、通常の運転時は、図1等に示すように第二エンドレスベルト24は、上下のベルト面が水平面内を移動可能とする基本姿勢をとり、その基本姿勢の状態で回転軸25ひいては駆動プーリ21が回転すると、それに追従して第二エンドレスベルト24が回転する。一方、この状態から回転軸25を回転中心としてベルトユニット32の上流側を跳ね上げるように回転させる方向に付勢すると、軸受け部36が当該回転を許容し、ベルトユニット32は軸受け部36すなわち回転軸25を回転中心として回転し、例えば図7(c)中、二点鎖線で示すように起立した待機姿勢に至る。上述したようにベルトユニット32も軸受け部36に片持ち支持されていて、他に支持を受けていないので、特に制約を受けることもなく基本姿勢と待機姿勢の二つ姿勢を容易に切り替えて構成することができる。そして、軸受け部36は二重軸受け構造を取っているので、ベルトユニット32を正逆回転させても、回転軸25は回転することがなく、駆動系・動力伝達系に支障を生じない。
【0029】
さらに、ベルトユニット32がこの待機姿勢をとることで、それまでベルトユニット32が存在していた空間が開放され、周囲の清掃や部品交換等のメンテナンスが容易に行える。
【0030】
さらに、本実施形態のベルトユニット32は、図7(a)に示すように、その全体が上下方向に昇降移動可能に構成され、さらに、図7(b)に示すように、その全体が搬送方向に沿って前後方向に前後進移動可能に構成される。これらの動きを適宜組み合わせることで、ベルトユニット32を、垂直平面内の二次平面内での任意の箇所に位置させ、その位置で固定配置させることができる。よって、例えば、第二エンドレスベルト24を、包装体に内包される製品の高さ等に応じて包装フィルム7を介して製品を抑えられる高さ位置に配置したり、包装体8の全長等に応じて第二エンドレスベルト24の上流側の先端位置を適宜の位置に調整したりすることができる。
【0031】
次に駆動モータ13の出力軸20の回転力を、上ベルト装置12の駆動プーリ21に伝達する動力伝達機構40について説明する。動力伝達機構40は、タイミングベルト41を、適宜位置に配置したタイミングプーリに掛け渡すとともに、タイミングベルト41の外側の平坦な面41aにテンションプーリを接触させ、所定のタイミングプーリの出力軸に連結した第二歯車42を、駆動プーリ21の回転軸25の先端に連結した第一歯車35と噛み合わせることで、駆動モータ13の出力を駆動プーリ21に伝達する。さらに、ベルトユニット32の前後・上下移動に伴い、所定のプーリを前後・上下移動するように構成し、ベルトユニットがどの位置にあっても、駆動モータ13の出力を、駆動プーリ21に伝達可能に構成している。具体的な構成・構造は、以下の通りである。
【0032】
駆動モータ13の出力軸20に連結する回転軸19に、駆動タイミングプーリ46を取り付け、この駆動タイミングプーリ46を、タイミングベルト41の移動軌跡の最下方位置で噛み合わせる。また、駆動タイミングプーリ46の斜め上(背面側から見た図3図4図6中、左斜め上)には、第一固定タイミングプーリ47を配置し、その第一固定タイミングプーリ47を、タイミングベルト41の内周面に噛み合わせる。一方、駆動タイミングプーリ46の第一固定タイミングプーリ47と反対側の斜め上(背面側から見た図3図4図6中、右斜め上)には、第一固定テンションプーリ48を配置し、その第一固定テンションプーリ48をタイミングベルト41の外側の平坦な面41aに接触させ、所定の張力をタイミングベルト41に与える。
【0033】
第一固定タイミングプーリ47の上方所定位置には、第二固定タイミングプーリ49を配置し、その第二固定タイミングプーリ49を、タイミングベルト41の内周面に噛み合わせる。第二固定タイミングプーリ49は、タイミングベルト41の移動軌跡の最上方位置に位置し、この第二固定タイミングプーリ49と第一固定タイミングプーリ47は、下流側所定位置の上下方向(垂直方向)の同一直線上に配置する。これら第一固定タイミングプーリ47と第二固定タイミングプーリ49間を移動するタイミングベルト41のベルト面は、垂直平面内に位置する。これら固定系の3つのプーリは、ベースプレート50その他の適宜位置に軸受け支持させ、フリー状態で回転する。
【0034】
一方、上流側所定位置の上下方向(垂直方向)の同一直線上に、第一移動タイミングプーリ51と第二移動タイミングプーリ52を配置し、両タイミングプーリは、それぞれタイミングベルト41の内周面の所定位置に噛み合うようにする。そして、下側の第二移動タイミングプーリ52の出力軸53が、動力伝達機構40の出力となり、その出力軸53に第二歯車42を連結する。
【0035】
また、第二固定タイミングプーリ49と第一移動タイミングプーリ51の間の所定位置には、第一移動テンションプーリ55を配置し、その第一移動テンションプーリ55を第二固定タイミングプーリ49と第一移動タイミングプーリ51間の経路に位置するタイミングベルト41の外面に接触させ、所定の張力をタイミングベルト41に与える。第一移動タイミングプーリ51と第二移動タイミングプーリ52の間の所定位置には、第二移動テンションプーリ56を配置し、その第二移動テンションプーリ56を第一移動タイミングプーリ51と第二移動タイミングプーリ52間の経路に位置するタイミングベルト41の外面に接触させ、所定の張力をタイミングベルト41に与える。さらに第二移動タイミングプーリ52と第一固定テンションプーリ48の間の所定位置には、第三移動テンションプーリ57を配置し、その第三移動テンションプーリ57を第二移動タイミングプーリ52と第一固定テンションプーリ48間の経路に位置するタイミングベルト41の外面に接触させ、所定の張力をタイミングベルト41に与える。
【0036】
第一移動タイミングプーリ51,第一移動テンションプーリ55並びに第三移動テンションプーリ57は、第一移動プレート61の所定位置に軸受け支持される。第一移動プレート61は、例えばボールネジ65の正逆回転に伴い昇降し、この第一移動プレート61の昇降に伴い、第一移動タイミングプーリ51,第一移動テンションプーリ55並びに第三移動テンションプーリ57は、相対位置関係を維持しながら全体で昇降する。
【0037】
この第一移動プレート61には、包装体8の搬送方向に沿って前後進移動する第二移動プレート62を取り付け、この第二移動プレート62に、第二移動タイミングプーリ52、第二移動テンションプーリ56、駆動プーリ21の回転軸25等を軸受け支持する。第二移動プレート62は、第一移動プレート61と一体になって昇降移動するとともに、所定の駆動源からの動力を受けて、搬送方向に沿って前後進移動する。第二移動プレート62の前後進移動の駆動は、例えば、LMガイド63を用いる。
【0038】
第二移動プレート62に取り付けられた第二移動タイミングプーリ52、第二移動テンションプーリ56並びに駆動プーリ21の回転軸25は、第一移動プレート61の昇降移動に伴い、第一移動タイミングプーリ51,第一移動テンションプーリ55並びに第三移動テンションプーリ57とともに昇降移動する。そして、第二移動タイミングプーリ52、第二移動テンションプーリ56並びに駆動プーリ21の回転軸25は、第二移動プレート62の前後進移動に伴い、第一移動タイミングプーリ51,第一移動テンションプーリ55並びに第三移動テンションプーリ57に対して相対的に前後進移動する。上述したように、駆動プーリ21の回転軸25は、第一移動プレート61の昇降移動に追従して昇降し、第二移動プレート62の前後進移動に追従して水平平面内を搬送方向に沿って前後進移動する。この回転軸25の移動に伴い、回転軸25に連結された駆動プーリ21ひいてはそれと一体となったベルトユニット32も同一方向に移動する。これにより、ベルトユニット32は、垂直平面内の所定範囲内で任意の場所に移動させることができる。
【0039】
すなわち、例えば、各図中実線で示すベルトユニット32は、基本姿勢の状態で、最下方位置及び最上流側位置の待機位置に位置した状態である。そして、各図中、実線で示す動力伝達機構40を構成する各プーリやタイミングベルト41は、ベルトユニット32がその待機位置にあるときの位置・姿態を示している。
【0040】
この状態から、例えば、油圧モータ64を駆動させ、第一移動プレート61を上昇移動させると、第二移動プレート62も上昇移動し、それら各移動プレートに取り付けた第一移動タイミングプーリ51,第一移動テンションプーリ55、第三移動テンションプーリ57、第二移動タイミングプーリ52並びに第二移動テンションプーリ56が上昇する。この上昇に伴い、それら各プーリに掛け渡されたタイミングベルト41の移動軌跡が、図4(c),図5(c),図6(c)中の二点鎖線で示すように変位する。また、第二移動プレート62の上昇に伴い、駆動プーリ21の回転軸25も上昇し、ベルトユニット32は、図7(a)中の二点鎖線で示すように上昇する。
【0041】
一方、上述した待機位置の状態から、例えば、LMガイド63を駆動させ、第二移動プレート62を搬送方向に沿って下流側に前進移動させると、その第二移動プレートに取り付けた第二移動タイミングプーリ52並びに第二移動テンションプーリ56が水平方向に前進移動する。この前進移動に伴い、それら各プーリに掛け渡されたタイミングベルト41の移動軌跡が、図4(b),図5(b),図6(b)中の二点鎖線で示すように変位する。また、第二移動プレート62の前進移動に伴い、駆動プーリ21の回転軸25も前進移動し、ベルトユニット32は、図7(b)中の二点鎖線で示すように前進移動する。
【0042】
そして、具体的な図示は省略するが、油圧モータ64とLMガイド63を適宜動作させることで、第一移動プレート61と第二移動プレート62を適宜の位置に移動させ、ベルトユニット32を垂直平面内の任意の位置に位置させることができる。
【0043】
また、ベルトユニット32がどの位置にあっても、基準姿勢のベルトユニット32を回転させて待機姿勢したり、待機姿勢から基準姿勢に戻したりするなど変位させること(図7(c)参照)ができる。
【0044】
以上、本発明の様々な側面を実施形態を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0045】
1 :トップシール装置
7 :包装フィルム
8 :包装体
10 :搬送ベルト装置
11 :下ベルト装置
12 :上ベルト装置
13 :駆動モータ
15 :第一エンドレスベルト
21 :駆動プーリ
22 :従動プーリ
23 :従動プーリ
24 :第二エンドレスベルト
25 :回転軸
32 :ベルトユニット
40 :動力伝達機構
41 :タイミングベルト
46 :駆動タイミングプーリ
47 :第一固定タイミングプーリ
48 :第一固定テンションプーリ
49 :第二固定タイミングプーリ
51 :第一移動タイミングプーリ
52 :第二移動タイミングプーリ
55 :第一移動テンションプーリ
56 :第二移動テンションプーリ
57 :第三移動テンションプーリ
61 :第一移動プレート
62 :第二移動プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7