(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】座屈ループ回転モータ
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20220128BHJP
【FI】
H02N11/00 Z
(21)【出願番号】P 2019556197
(86)(22)【出願日】2018-04-28
(86)【国際出願番号】 US2018030059
(87)【国際公開番号】W WO2018212968
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-13
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519363867
【氏名又は名称】シャン,バオシャン
【氏名又は名称原語表記】SHAN,Baoxiang
【住所又は居所原語表記】627 Park Avenue,Hoboken,NJ 07030,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【氏名又は名称】安達 友和
(72)【発明者】
【氏名】シャン,バオシャン
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-346490(JP,A)
【文献】特開2007-252100(JP,A)
【文献】特表2013-537950(JP,A)
【文献】特開昭60-219973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 24/00-27/30
H02K 31/00-31/04
H02K 35/00-35/06
H02K 39/00
H02K 47/00-47/30
H02K 53/00
H02K 99/00
H02N 1/00- 1/12
H02N 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形断面を有する円筒状の内面(115)を有する剛性の固定子(110)と、
1つ又は複数の歪みを形成するように前記円筒状の内面内に制限された座屈ループ(120)と、
前記座屈ループ内で作動力を生成する手段であって、前記作動力が前記1つ又は複数の歪みの形状変化を生じさせることで、前記円筒状の内面の中心軸(146)と略同軸に配置された回転軸(145)を中心として前記剛性の固定子に対して前記座屈ループを回転させる作動力生成手段(144)と、
を備えることを特徴とする座屈ループ回転モータ(106)。
【請求項2】
前記座屈ループは、終端を有しない連続するリボン状であり、均一な厚さと均一な幅を有し、前記幅は前記厚さよりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の座屈ループ回転モータ。
【請求項3】
前記座屈ループの内面に部分的に合うサイズと形状を有するロータ(135)をさらに備え、
前記1つ又は複数の歪みの形状変化によりさらに、前記円筒状の内面の前記中心軸と略同軸に配置された前記回転軸を中心として前記剛性の固定子に対して前記ロータを回転させることを特徴とする、請求項1に記載の座屈ループ回転モータ。
【請求項4】
前記ロータに回転可能に取り付けられ、前記歪みの1つ又は複数の頂部の内面で前記座屈ループに接触するように配置された1つ又は複数のローラ(165)をさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載の座屈ループ回転モータ。
【請求項5】
前記座屈ループはベースバンド(123)と活性バンド(121)とを備え、
前記活性バンドは第1の活性材料を有し、
前記ベースバンドは第2の基材料を有し、
前記作動力に応じて、前記第1の活性材料の作動部分の長さが、前記第2の基材料よりも少なくとも0.1%大きく又は小さく変化することで、前記座屈ループの前記作動部分の曲率の変化を生じさせることを特徴とする、請求項1に記載の座屈ループ回転モータ。
【請求項6】
前記座屈ループはベースバンド(123)と活性バンド(121)とを備え、
前記活性バンドは第1の活性材料を有し、
前記ベースバンドは第2の基材料を有し、
前記作動力に応じて、前記第1の活性材料の作動部分の長さが、前記第2の基材料よりも少なくとも0.1%大きく又は小さく変化することで、前記座屈ループの前記作動部分の曲率の変化を生じさせることを特徴とする、請求項3に記載の座屈ループ回転モータ。
【請求項7】
前記座屈ループはベースバンド(123)と活性バンド(121)とを備え、
前記活性バンドは第1の活性材料を有し、
前記ベースバンドは第2の基材料を有し、
前記作動力に応じて、前記第1の活性材料の作動部分の長さが、前記第2の基材料よりも少なくとも0.1%大きく又は小さく変化することで、前記座屈ループの前記作動部分の曲率の変化を生じさせることを特徴とする、請求項4に記載の座屈ループ回転モータ。
【請求項8】
前記座屈ループは電気活性高分子を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の座屈ループ回転モータ。
【請求項9】
前記座屈ループは二方向形状記憶活性材料を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の座屈ループ回転モータ。
【請求項10】
前記座屈ループはニチノールを有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の座屈ループ回転モータ。
【請求項11】
前記作動力生成手段は温度変化を生じさせる手段(139)を備え、前記手段(139)は前記1つ又は複数の歪みの変曲点(160)に隣接して前記ロータに配置されることを特徴とする、請求項3、4、6および7のいずれか一項に記載の座屈ループ回転モータ。
【請求項12】
前記作動力生成手段は、前記1つ又は複数の歪みの変曲点(160)に隣接して前記ロータに配置された発光ダイオード(LED)を備えることを特徴とする、請求項3、4、6および7のいずれか一項に記載の座屈ループ回転モータ。
【請求項13】
前記作動力生成手段は、前記1つ又は複数の歪みの変曲点(160)に隣接して前記ロータに配置されたペルチェ素子を備えることを特徴とする、請求項3、4、6および7のいずれか一項に記載の座屈ループ回転モータ。
【請求項14】
前記作動力生成手段は、1つ又は複数の電気接点(155)を介して電気的に作動されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の座屈ループ回転モータ。
【請求項15】
前記歪みの1つ又は複数の頂部(170)における1つ又は複数の接点が前記歪みの1つの変曲点の1つ又は複数において前記座屈ループを作動させるように形成されたスタガ型配線アレイ(180)をさらに備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の座屈ループ回転モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、バオシャン シャンにより2018年2月15日に出願された「座屈ループ回転モータ」という題名の米国特許出願番号15/897,334、バオシャン シャンにより2017年5月15日に出願された「ループ状の多重安定システム」という題名の米国特許出願番号62/506,199、バオシャン シャンにより2017年5月16日に出願された「フレキシブルアクチュエータおよびセンサ」という題名の米国特許出願番号62/506,828、バオシャン シャンにより2017年5月17日に出願された「フレキシブル運動システム」という題名の米国特許出願番号62/507,300、バオシャン シャンにより2017年5月20日に出願された「進行波ポンプ」という題名の米国特許出願番号62/509,102、およびバオシャン シャンにより2017年12月11日に出願された「運動用に構成された結合バンド装置」という題名の米国特許出願番号62/597,147の優先権を主張し、これらの全ての内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、座屈ループを形成するように制限された柔軟なバンドの作動を用いて回転運動を生成させるためのモータに関し、より詳細には、座屈ループの作動が該ループの局所部分の膨張又は収縮による該ループの部分の曲率の変化によるものであるような座屈ループ回転モータに関する。該ループは、活性材料と基材料を有してもよく、バイメタル式であってもよく、又は形状記憶合金(SMA)、バイモルフ圧電性高分子(PVDF)、電気活性高分子(EAP)、圧電材料、電歪材料、又は磁歪材料、又はこれらのうちの組み合わせである活性材料を有してもよい。
【背景技術】
【0003】
回転運動の生成における技術的課題は、回転運動が、例えば、物体を運ぶ、或いは、例えば機械制御弁であるがこれに限定されないような機構を作動させるために使用される際に、機械工学の技術分野において内在する。
【0004】
電流又は電圧によって直接的に又は間接的に駆動される回転運動は、機械装置の電子制御システムとの統合を容易にするので、機構を作動させるのに特に望ましい。
【0005】
例えば制御弁であるがこれに限定されないような機構を作動させるのに使用される場合に生じることの多い従来の電気モータの課題は、従来の電気モータが典型的には、最も効果的に弁を操作するために必要な回転速度に合わせるため減速歯車装置を必要とする回転速度で作動するということである。歯車機構は、そのようなシステムのコストを上昇させ複雑さを増加させるだけでなく、極端な加速を含むがこれに限定されないような過酷な又は不利な環境において不良が最も生じ易い装置の部品である傾向がある。
【0006】
そのため、例えば制御弁であるがこれに限定されないような機械機構を作動させるのに適した速度とトルクを生じさせることが可能なギアレス電気駆動回転モータを有することが非常に望ましい。また、そのようなギアレスモータは小型で組み立て易いことが望ましい。
【0007】
関連する従来技術には、例えば2017年8月16日にHamoucheらによってThe Proceedings of the Royal Society A:Mathematical,Physical and Engineering Sciencesで発表された“Multi-parameter actuation of a neutrally stable shell:a flexible gear-less motor”という題目の論文が含まれるが、これに限定されない。
【0008】
当該技術において様々な実施が公知であるが、本明細書に記載された発明によって解決される課題の全てには対処していない。本発明の実施形態は添付の図面において例示され、本明細書において以下より詳細に説明される。
【発明の概要】
【0009】
独創的な座屈ループ回転モータが開示される。
【0010】
好適な実施形態において、座屈ループ回転モータは、剛性の固定子とロータとしても機能可能である作動可能な座屈ループとを備える。固定子は、例えば、円形断面を有する円筒状の内面を有してもよい。座屈ループは、例えば、適切に弾力性を有するベースバンドと活性バンドとの組み合わせから成るのものであってもよい。該座屈ループは、1つ又は複数の歪みを形成するように剛性の固定子の円筒状の内面内に制限されてもよい。
【0011】
本発明のさらに好適な実施形態において、ロータは、座屈ループの内面に部分的に合うサイズと形状を有する別個の素子であってもよい。
【0012】
回転モータは、作動可能な座屈ループの部分を作動させる刺激又は力によって駆動されてもよい。この作動により、座屈ループの曲率の局所的な変化が生じる。この曲率の局所的な変化が座屈ループに沿って伝わり、固定子に対してロータを回転させる。回転方向は、座屈ループのどの部分が作動されるかによって選択されてもよく、回転方向は、好ましくは、固定子の円筒状の内面の中心軸と同軸に配置される。
【0013】
座屈ループは、好ましくは、終端を有しない連続するリボン状であり、均一な厚さと均一な幅を有し、前記幅は前記厚さよりも大きい。座屈ループの材料組成は、例えば、作動方法に依存してもよい。
【0014】
一実施形態において、座屈ループはベースバンドと活性バンドとを備えてもよく、活性バンドは第1の活性材料を有し、ベースバンドは第2の基材料を有してもよい。作動させる力又は刺激に応じて、第1の活性材料の部分の長さが、第2のベースバンド材料よりも大きくても良く、好ましくは、少なくとも0.1%大きく、さらに好適な実施形態では、少なくとも1%大きくなるように、材料が選択されてもよい。各々のバンドが接合されるので、結果として生じる応力により、座屈ループの作動部分の曲率の局所的な変化が生じてもよい。座屈ループは変形し、その全体エネルギーを最小にしようとするので、座屈のエネルギーがロータの回転に変換されてもよい。
【0015】
本発明のある好適な実施形態において、座屈ループは、バイメタル式のループであってもよく、活性バンドの材料は、ベースバンドの材料よりも高い線熱膨張係数を有してもよい。そのようなバイメタル式の座屈ループは、例えば温度変化を生じさせる手段であるような、局所的に電気制御される作動力生成手段によって作動されてもよい。この温度変化を生じさせる手段は、例えば電気抵抗器、電気ダイオード、発光ダイオード(LED)、又はペルチェダイオード、又はこれらのうちの組み合わせであるがこれらに限定されないような加熱素子であってもよいし、例えば冷媒、液体窒素スプレー、又はペルチェダイオード、又はこれらのうちの組み合わせであるがこれらに限定されないような冷却素子であってもよい。
【0016】
バイメタル式座屈ループの活性バンドの適切な材料は、チタン合金、ステンレス鋼合金、銅合金、アルミニウム合金、又はこれらのうちの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0017】
そのようなバイメタル式座屈ループ回転モータにおいて、歪みの変曲点で歪みを作動させるのが最もエネルギー効率が高い可能性がある。そのような装置において、温度変化を生じさせる手段は、座屈ループに形成された歪みの1つ又は複数の変曲点に隣接してロータに固定されてもよい。
【0018】
同じ変曲点で座屈ループを冷却および加熱することで、ロータを反対方向に回転させてもよいので、加熱素子および冷却素子が併用されて、例えば、歪みの一方の側の変曲点で加熱され、同じ歪みの反対側の対応する変曲点で冷却されてもよい。ペルチェ素子は冷却又は加熱のために駆動されてもよく、ペルチェ素子をアクチュエータ素子とすることで、加熱のための駆動か冷却のための駆動かを変化させることで、回転モータが、反対の回転方向に駆動されることが可能であってもよい。
【0019】
本発明の別の好適な実施形態において、座屈ループは、座屈ループ回転モータを作動させる電気活性高分子(EAP)であってもよい。そのようなモータでは、活性材料は、例えば変形可能なコンデンサとして機能して、加えられる電界に応じて厚さを変化させるアクリル系又はシリコーン系のEAPであるがこれに限定されないようなEAPであってもよい。そのような材料は、典型的には、従来の圧電セラミック材料の0.02J/cm3~0.13J/cm3の範囲をはるかに上回る弾性エネルギー密度を有する。EAP座屈ループは、例えば、EAP活性層および適切に弾力性を有する金属の基層を有してもよく、金属の基層は、例えばチタン合金、ステンレス鋼合金、銅合金、アルミニウム合金、又はこれらのうちの組み合わせであるがこれらに限定されないような、弾力を生じさせるために典型的に使用される金属を含んでもよい。EAP座屈ループの部分は、例えば、適切に配置された電気接点によって供給される電圧によって作動されてもよい。EAP座屈ループの作動される局所的な部分では、作動されたEAP材料は変形するが下層のベースのループの材料は変形せず、ループの曲率の局所的な変化を生じさせる局所的な応力が生じ、曲率の局所的な変化がループに沿って伝わると、ロータが回転運動を行ってもよい。
【0020】
別の実施形態において、ロータは、歪みの頂点で座屈ループと接触するローラを有してもよく、歪みの形状を維持するのに役立ってもよい。そのようなロータは、電気接点としても機能し、例えば電気活性高分子であるがこれに限定されないような電気活性材料を作動させてもよい。歪みの頂部における接点による歪みの変曲点での電気活性材料の作動は、例えば、以下で詳述する座屈ループにおけるスタガ型配線アレイを使用して達成されてもよい。
【0021】
座屈ループ回転モータの活性ループに含まれる活性材料として使用可能な他の材料は、例えば電歪材料、磁歪材料、圧電材料、形状記憶合金、又はこれらのうちの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0022】
そのため、本発明は、以下の、および、言及していない他の、望ましく有益な利点と目的を提供するのに成功する。
【0023】
本発明の目的は、小型で軽量な回転モータを提供することである。
【0024】
本発明の別の目的は、機械機構を作動させるのに適したギアレスで電気制御される回転モータを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】剛性の円筒内に制限された座屈ループを備える、歪みが1つの座屈ループ回転モータの概略側断面図と、作動前の該ループの活性化可能領域の拡大図を示す。
【
図1B】剛性の円筒内に制限された座屈ループを備える、歪みが1つの座屈ループ回転モータの概略側断面図と、作動後の該ループの活性化可能領域の拡大図を示す。
【
図2】本発明の一実施形態の座屈ループと分離したロータを備える歪みが1つの座屈ループ回転モータの概略側断面図を示す。
【
図3】本発明のさらなる実施形態の歪みが1つの座屈ループ回転モータの概略側断面図を示す。
【
図4】本発明の一実施形態の歪みが1つの座屈ループ回転モータの等角切断図を示す。
【
図5】本発明の一実施形態の歪みが複数の座屈ループ回転モータの概略側断面図を示す。
【
図6】本発明の一実施形態の歪みが複数でローラが固定された座屈ループ回転モータの概略側断面図を示す。
【
図7】本発明の別の実施形態の歪みが複数の座屈ループ回転モータの概略側断面図を示す。
【
図8】本発明のさらなる実施形態の歪みが複数でローラが固定された座屈ループ回転モータの概略側断面図を示す。
【
図9】本発明の一実施形態のスタガ型配線アレイの概略断面平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。異なる図面における同一の要素は同一の符号を用いて識別される。
【0027】
本発明の様々な実施形態を詳細に説明する。そのような実施形態は本発明を説明するために提供されたものであり、それらに限定することを意図しない。実際には、当業者は、本明細書を読み本図面を見ることで、様々な改良および変更がなされることが可能であることを理解できるであろう。
【0028】
図1Aは、剛性の円筒111内に制限された座屈ループ120を備える、歪みが1つのモータ106の概略側断面図と、作動前の該ループの作動可能領域の拡大
図128を示す。
【0029】
図示のように、座屈ループ120は2つの歪み/制限接触領域161を有してもよく、各領域で、該ループは、剛性の円筒111によって単に制限されたループの曲率よりも大きい正又は負の曲率を有してもよい。歪みが1つの座屈ループ120は、歪み頂部162および2つの変曲点160を有しても良く、各変曲点において該ループの曲率が0であってもよい。
【0030】
座屈ループ120の部分127が作動力126によって作動されてもよい。作動力126の性質は座屈ループ120の構成に依存してもよい。この状況を、作動前の作動部分の拡大
図128においてより詳細に見ることができる。この図では、作動される部分が歪みの変曲点にあり、ループは、少なくとも部分的に第1の活性材料から成る活性バンド121と少なくとも部分的に第2の基材料から成るベースバンド123から構成されてもよい。
図1Aに示すように、作動力126が変曲点に加えられる場合、作動力126を加える前には、ループの作動される部分127の曲率は0であるであろう。
【0031】
図1Bは、剛性の円筒111内に制限された座屈ループ120を備える、歪みが1つの座屈ループモータ106の概略側断面図と、作動後の該ループの活性化可能領域の拡大
図129を示す。
【0032】
図1Bに示すように、結果として、ループの作動部分は、例えば、活性バンド121が取り付けられる下層のベースバンド123よりも大きく外側面に沿って拡張した活性バンド121の湾曲を有する。この湾曲により、座屈ループ内にさらなる応力とエネルギーが生じてもよい。このとき、座屈ループは、ループの最小の全体エネルギーを担うため変形してもよい。そうすることで、座屈ループは回転移動されてもよく、これにより、座屈ループ回転モータ106のロータとして機能してもよい。
【0033】
下記の例では、どのように作動力の性質が活性バンドとベースバンドの材料組成に依存する可能性があるかが示される。座屈ループの回転方向が材料の選択と作動力の性質に依存することも示される。
【0034】
図2は、本発明の一実施形態の歪みが1つの座屈ループ回転モータの概略側断面図を示す。
【0035】
図2に示す歪みが1つの座屈ループ回転モータ106は剛性の固定子110、ロータ135、および座屈ループ120を備えてもよい。
【0036】
好適な実施形態において、剛性の固定子110は中心軸146を有する円形断面を有する円筒状の内面115を備えてもよい。
【0037】
座屈ループ120は、歪み125がループ内に形成されるように剛性の固定子110の円筒状の内面115内に制限されてもよい。座屈ループ120は、好ましくは、終端を有しない連続するリボン状であり、均一な厚さと均一な幅を有する。座屈ループ120の幅は、その厚さよりも大きくてもよく、典型的には少なくとも2倍であり、より好ましくは少なくとも5倍である。厚さに対する幅の比が大きい理由には、ループの面外曲げ又は座屈を最小にするためであることが含まれてもよい。
【0038】
ロータ135は、剛性の固定子110の円筒状の内面115内に制限され歪んでいる場合、部分的に、座屈ループ120の内面に合う形状とサイズを有してもよい。
【0039】
歪みが1つの座屈ループ回転モータ106のバイメタル式の実施形態において、座屈ループ120は、ベースバンドの基材料よりも高い熱膨張係数を有するような第1の活性材料を有する活性バンドから成るものであってもよい。そのようなバイメタル式の実施形態では、作動力生成手段144が設けられてもよい。これは、例えば、加熱素子又は冷却素子であるがこれらに限定されないような温度変化を生じさせる手段であってもよい。
【0040】
そのようなバイメタル式の実施形態では、作動力に応じて、第1の活性材料の作動部分が第2の材料よりも、好ましくは少なくとも0.1%、更に好ましくは少なくとも1%長さを拡張し、これにより、座屈ループの作動部分の曲率の局所的な変化が生じる。
【0041】
活性バンドは、例えば、線熱膨張係数が5×10-6m/m/℃よりも大きい材料から成るものであってよく、該材料は、例えば、ファブリック強化シリコーン、ファブリック強化ポリウレタン、チタン合金、ステンレス鋼合金、銅合金、アルミニウム合金、又はこれらのうちの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。詳細には、適切な材料はチタン合金を含んでもよく、チタン合金は、例えば、いわゆるベータ型チタン合金、つまり、モリブデン、バナジウム、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、マンガン、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、銅のうち1つ又は複数と様々な量で合金化したチタンであってもよいが、これに限定されない。この種の合金は、18-8オーステナイト系ステンレス鋼の2倍近くの強度/弾性係数比を有してもよく、これにより、たわんでいる部分の弾性たわみが大きくなり、単位変位あたりの力が低減される。適切な合金は、「BETA III」(Ti-11.5 Mo-6.5 Zr-4.6 Sn)、Transage 129(Ti-2Al-11.5V-2Sn-11.3Zr)、Ti-6Al-4V、又はこれらのうちの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0042】
そのようなバイメタル式回転ローラにおける基材料は、活性材料よりも著しく小さい線熱膨張係数を有する任意の材料であってもよい。バイメタル式座屈ループの適切な基材料は、例えばインバー、NILO合金42、コバール、ディルバーP、又はこれらのうちの組み合わせであるがこれらに限定されないようなニッケル鉄合金を含む。
【0043】
座屈ループ120が、異なる線熱膨張係数を有する活性材料と基材料を含み、バイメタル式である場合、アクチュエータ素子は加熱素子であってもよい。加熱素子であるアクチュエータ素子140は、例えば、ロータ135に取り付けられ、供給する熱が座屈ループ120の歪み125に応力を加えるように配置され、これにより、局所領域の湾曲が生じてもよい。この局所的な湾曲により、座屈ループ内にさらなるエネルギーが生じてもよい。全体エネルギーを最小にするため、座屈ループは変形してもよい。座屈ループは、変形すると、回転軸145を中心とする第1回転方向150にロータ135を回転させてもよい。回転軸145は円筒状の内面115の中心軸146と同軸に配置されてもよい。
【0044】
適切な電気制御される加熱アクチュエータ素子140は、例えばタングステン、ニクロム、KanthalTM FeCrAl合金、白銅、二珪化モリブデンであるがこれらに限定されないような、高い電気抵抗と高い融点を有する材料から成る素子、又は例えば抵抗器、ダイオード、発光ダイオード(LED)であるがこれらに限定されないような、熱を発する素子、又はこれらのうちの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0045】
そのような加熱アクチュエータ素子140によって生成される熱の最適な使用として、加熱アクチュエータ素子140が、好ましくは歪み125の変曲点160に又はその近傍に配置される。何故なら、影響を受ける湾曲の変化によってモータの回転トルクに最大の影響を与えることができる箇所だからである。
【0046】
本発明のさらなる実施形態において、活性材料と基材料が異なる熱膨張係数を有するバイメタル式座屈ループ120を備える、歪みが1つの座屈ループ回転モータ106は、冷却素子であってもよい。そのような冷却素子は、例えば周知のペルチェ冷却半導体素子であるがこれに限定されないような、適切な熱電冷却素子であってもよい。他の冷却手段は、例えば液体窒素スプレー、冷却された水又は他の液体の供給、又はこれらのうちの組み合わせであってもよいがこれらに限定されないような冷媒を含む。
【0047】
歪み125の変曲点での冷却によって、歪みが1つの、バイメタル式座屈ループ回転モータ106が、変曲点が加熱された場合に回転するであろう方向とは反対の方向に回転させられる。そのため、加熱素子と冷却素子の組み合わせが、同じ歪みの対応する変曲点の各々に素子が配置されて、有益に使用されてもよい。1つのバイメタル式の歪みにそのような加熱素子と冷却素子の組み合わせが使用されることで、モータによって加えられるトルクが増加する。
【0048】
さらに、作動力生成手段144が1つ又は複数のペルチェ素子である場合、ペルチェ素子は、流れの方向に応じて加熱又は冷却を行うことが可能であるので、電流がペルチェ素子を流れる方向に応じて、第1回転方向又は反対の回転方向にモータを駆動するためにペルチェ素子が使用されてもよい。そのため、作動力生成手段144をペルチェ作動素子とすることで、ギアレスで可逆的な歪みが1つのバイメタル式座屈ループ回転モータの実現が可能となる。
【0049】
図3は、本発明のさらなる実施形態の歪みが1つの座屈ループ回転モータの概略側断面図を示す。
【0050】
図3に示す歪みが1つの座屈ループ回転モータ106は、円形断面を有する円筒状の内面115を有する剛性の固定子110を備えてもよく、その内側で、座屈ループ120は、歪み125を形成するように制限され、ロータ135は、制限された座屈ループ120の内側形状に部分的に合う形状とサイズを有してもよい。
【0051】
しかし、
図3に示す実施形態において、座屈ループ120は、電気活性高分子(EAP)であり、例えば電流、電圧、又は帯電であるがこれらに限定されないような手段によって作動力が供給され又は作動される、第1の活性材料を有してもよい。電気力は、例えば1つ又は複数の電気接点155を介して提供されてもよい。
【0052】
電気活性高分子(EAP)は、好ましくは、常温測定で少なくとも2の誘電定数を有し、つまり、293K(20℃又は68°F)、1KHzである(注:絶対温度目盛りを用いる科学的な計算では、計算を簡単にするため、常温は300Kをとる場合があってもよい)。第1の活性材料は、また或いは代わりに、0.02J/cm3以上のエネルギー密度を有することが選択されてもよく、より好ましくは、0.4J/cm3以上のエネルギー密度を有することが選択されてもよい。
【0053】
詳細には、回転モータに使用するのに適した電気活性高分子は、例えばアクリル系又はシリコーン系又はこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。座屈ループ回転モータに使用するのに適した市販の電気活性高分子(EAP)の一例は、3M Company(ミネソタ、メープルウッド)によって供給されている3M(登録商標)VHB(超強力結合)テープである。
【0054】
EAP座屈ループ120において、基材料は、好ましくは、例えばファブリック強化シリコーン、ファブリック強化ポリウレタン、チタン合金、ステンレス鋼合金、銅合金、アルミニウム合金、又はこれらのうちの組み合わせであってもよいがこれらに限定されないような、適切に弾力性を有する材料である。さらなる実施形態において、高弾性材料であるような基材料が使用されてもよい。高弾性金属は、例えば、0.1%よりも大きい降伏歪み、より好ましくは、1%よりも大きい降伏歪みを有してもよい。
【0055】
そのような電気活性を有する、歪みが1つの座屈ループ回転モータ106の好適な実施形態において、ロータ135に位置する1つ又は複数の電気接点155が設けられてもよく、電気接点155により、必要な電圧および電流が歪み125の1つの変曲点160の近傍において座屈ループ120の領域に供給されてもよい。この電圧により、座屈ループ120の領域が応力を生じさせ、回転軸145を中心として第1回転方向150にロータ135を回転させるループに局所的な湾曲を呈してもよい。
【0056】
本発明のさらなる実施形態において、座屈ループ120の活性バンドは、例えば、全体として又は部分的に、電気活性材料である活性材料から成るものであってもよく、該電気活性材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又はヨウ素ドーピングしたポリアセチレン、又はこれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。
【0057】
本発明の別の実施形態では、代わりに、座屈ループ120の活性バンドは、全体として又は部分的に、磁歪性を有し、50マイクロストレインよりも大きい磁歪係数を有する活性材料から成るものであってもよい。そのような座屈ループ120の領域は、例えば、歪み125の変曲点160の1つを作動させるようにロータ135に配置された適切な磁気源によって作動されてもよい。
【0058】
50マイクロストレインよりも大きい磁歪係数を有する適切な磁歪材料は、例えば、Terfenol-D又はGalfenolであるが、これらに限定されない。(Terfenol-Dは、テルビウムのTer、鉄のFe、国防省海軍武器研究所のNOL、ジスプロシウムのDを表す。)それは、常温で2kOe(160kA/m)のフィールドにおいておよそ2000マイクロストレインを示す材料である。適切な磁束源は磁石であってもよく、磁石は、例えば、適切に強力な希土類永久磁石、又は電磁石、又はこれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。
【0059】
磁束源により、座屈ループ120の領域が局所的な応力をループに生じさせて、ループの局所的な曲がりを生じさせ、これにより、回転軸145を中心として第1回転方向150にロータ135を回転させてもよい。
【0060】
図4は、本発明の一実施形態の歪みが1つの座屈ループ回転モータの等角切断図を示す。
【0061】
図4に示す本発明の装置は、円形断面を有する円筒状の内面115を有する剛性の固定子110を備える。座屈ループ120は円筒状の内面115によって制限され、ロータ135に配置されたアクチュエータ素子140によって供給される作動力によって作動されるような歪み125を形成することが示されている。
【0062】
図4の実施形態では、座屈ループ120は、例えば二方向形状記憶活性材料であるがこれに限定されないような活性材料を有する一層ループであってもよい。そのような材料は、2つの異なる形状(より高い温度で示される形状とより低い温度で示される形状)を効果的に記憶する。二方向形状記憶を示す材料は、例えばニチノールのようなニッケルチタン合金を含むが、これに限定されない。
【0063】
二方向形状記憶活性材料は、例えば、加熱素子又は冷却素子又はこれらの組み合わせであるような1つ又は複数のアクチュエータ素子140のような作動力生成手段によって作動されてもよい。
【0064】
二方向形状記憶活性材料は、例えば、より低い温度でより大きい曲率を、より高い温度でより小さい曲率を有してもよく、つまり、例えば、冷たい時に曲がり、熱い時に真っ直ぐであってもよい。そのような材料について、加熱素子又は冷却素子であるアクチュエータ素子140の最も有利な配置は、歪み/制限接触領域161で又はその近傍であってもよい。
【0065】
適切な加熱素子は電気的に加熱される素子を含み、該素子は、例えば抵抗線、抵抗器、ダイオード、又は発光ダイオード、又はこれらのうちの組み合わせであるが、これらに限定されない。他に、加熱素子は、例えば燃えている蝋燭、又は可燃性ガスの点火されたノズル、又はこれらの組み合わせであるがこれらに限定されないような、点火可燃性材料を含む。さらに、加熱素子は、例えば焦点レーザ光、焦点太陽光、赤外線源からの焦点光、又はこれらのうちの組み合わせであるがこれらに限定されないような集光を含む。
【0066】
適切な冷却素子は、加熱素子としてもまた或いは代わりに使用されてもよいペルチェ素子を含むが、これに限定されない。他に、冷却素子は、冷却された冷媒の供給、冷却された液体の供給、又は液体窒素スプレー、又はこれらのうちの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0067】
図5は、本発明の一実施形態の歪みが複数の座屈ループ回転モータの概略側断面図を示す。
【0068】
歪みが複数の座屈ループ回転モータ107は、円形断面を有する円筒状の内面115を有する剛性の固定子110とロータ135とを備えてもよい。ロータ135と円筒状の内面115の間に、複数の歪みを形成するように制限された座屈ループ120が配置されてもよい。
図5の実施形態では、4つの歪み125を形成するように制限された座屈ループ120が示されている。
【0069】
歪みが複数の座屈ループ回転モータ107のバイメタル式の実施形態において、座座屈ループ120は、ベースバンドの基材料よりも高い熱膨張係数を有するような活性材料を有する活性バンドから成るものであってもよい。そのようなバイメタル式の実施形態では、加熱素子又は冷却素子であるアクチュエータ素子140が設けられてもよい。
【0070】
バイメタル式座屈ループ120は、例えば、線熱膨張係数が5×10-6m/m/℃よりも大きい活性材料を用いるものであってもよい。そのような材料は、例えば、ファブリック強化シリコーン、ファブリック強化ポリウレタン、チタン合金、ステンレス鋼合金、銅合金、アルミニウム合金、又はこれらのうちの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。詳細には、適切な活性材料はチタン合金を含んでもよく、チタン合金は、例えば、いわゆるベータ型チタン合金、つまり、モリブデン、バナジウム、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、マンガン、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、銅のうち1つ又は複数と様々な量で合金化したチタンであってもよいが、これに限定されない。この種の合金は、18-8オーステナイト系ステンレス鋼の2倍近くの強度/弾性係数比を有してもよく、これにより、たわんでいる部分の弾性たわみが大きくなり、単位変位あたりの力が低減される。適切な合金は、「BETA III」(Ti-11.5 Mo-6.5 Zr-4.6 Sn)、Transage 129(Ti-2Al-11.5V-2Sn-11.3Zr)、Ti-6Al-4V、又はこれらのうちの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0071】
そのような座屈ループ回転モータの熱活性型でバイメタル式の実施形態において、ループの局所領域を作動させるために使用される加熱素子又は冷却素子140が設けられてもよい。このような作動させるための加熱素子又は冷却素子は各々、好ましくは、ロータ135において、歪み125の1つの2つの変曲点160の1つと対向するように配置される。
【0072】
ロータ135において歪み125の第1変曲点と対向するように配置された加熱素子141は、加熱されると、座屈ループ120に応力を生じさせ、ループの曲率の局所的な変化を生じさせて、ロータの回転軸145を中心として第1回転方向150にロータ135を回転させる。
【0073】
同様に、ロータ135において同じ歪み125の隣接する第2変曲点と対向するように配置された冷却素子142は、冷却されると、座屈ループ120に応力を生じさせ、ループの曲率の局所的な変化を生じさせて、ロータの回転軸145を中心として同じ第1回転方向150にロータ135を回転させる。
【0074】
このように、加熱素子141と冷却素子142が共に使用されて、座屈ループ120に加えられる応力を著しく増大させ、座屈ループ回転モータのトルクを増加させてもよい。
【0075】
加熱素子141と冷却素子142の位置を入れ替えた場合、ロータ135は第1回転方向150と反対方向に回転されて、可逆的であるがギアレスなモータを容易にしてもよい。ペルチェ素子は、ペルチェ素子を流れる電流の方向に応じて、加熱素子又は冷却素子であってもよく、アクチュエータ素子140の切り替えが、アクチュエータ素子140を流れる電流の方向を切り替えることで電子的に達成されてもよい。
【0076】
図6は、本発明の一実施形態の歪みが複数でローラが固定された座屈ループ回転モータの概略側断面図を示す。
【0077】
図6に示す歪みが複数でローラが固定された座屈ループ回転モータ108は、円形断面を有する円筒状の内面115を有する剛性の固定子110、円筒状の内面115内に制限された座屈ループ120、および座屈ループ120内に制限されたロータ135に加え、1つ又は複数のローラ165が設けられてもよい。ローラ165は、ロータ135に回転可能に取り付けられ、例えば1つ又は複数の歪みの頂部170の内面で座屈ループに接触するように配置されることで、座屈ループ120を制限するのに役立ち、必要な歪み125を形成してもよい。
【0078】
バイメタル式の実施形態において、座屈ループ120は、熱活性型でバイメタル式座屈ループ回転モータの他の実施形態に関して詳細に上述したように、基材料よりも高い熱膨張係数を有する活性材料を有してもよい。
【0079】
同様に、熱活性型でバイメタル式ループに作動力を与えるアクチュエータ素子140は、加熱素子又は冷却素子であってもよい。熱活性型の座屈ループ回転モータの他の実施形態に関して詳細に上述したように、このような素子は各々、好ましくは、ロータ135において、歪み125の1つの2つの変曲点160の1つと対向するように設けられてもよい。
【0080】
図7は、本発明の別の実施形態の歪みが複数の座屈ループ回転モータの概略側断面図を示し、座屈ループ120は、固定子110の円形断面を有する円筒状の内面115内に制限され、ロータ135を取り囲む。
【0081】
図7に示す複数の歪みの座屈ループ回転モータ107は、電気活性座屈ループ120を有してもよい。そのような座屈ループ120は、例えば、電気活性高分子(EAP)である活性材料から成るものであってもよく、作動力は、例えば、電流、電圧、又は帯電、又はこれらのうちの組み合わせの形態で電気によって供給されてもよい。例えば、電気は、ロータ135の一部であるような1つ又は複数の電気接点155を介して供給されてもよい。上述の他の電気活性型の実施形態と同様に、アクチュエータ素子140は、好ましくは、歪みの変曲点にあるとき回転されて、座屈ループ120によって生じさせられた応力がロータ135をロータの回転軸145を中心として第1回転方法150に回転させるのにより効果的であってもよい。
【0082】
そのような電気活性座屈ループの第1の活性材料は、例えば、0.02J/cm3以上のエネルギー密度を有するものに選択され、より好ましくは、0.4J/cm3以上のエネルギー密度を有するものに選択されてもよい。
【0083】
図8は、本発明のさらなる実施形態の歪みが複数でローラが固定された座屈ループ回転モータの概略側断面図を示す。
【0084】
図8に示す歪みが複数でローラが固定された座屈ループ回転モータ108の電気活性型の実施形態において、ローラは電気接触ローラ175であってもよく、適切な電流、電荷、および/又は電圧を供給して座屈ループ120の適切な領域を作動させる手段であってもよい。
【0085】
歪み125の頂部170での電気接触ローラ175による接触により変曲点で活性化可能領域143を作動させるために、スタガ型配線アレイが座屈ループ120にプリントされ、或いは関連付けられるために必要であるかもしれない。このようなスタガ型配線アレイの一実施形態が、
図9に示される。
【0086】
図9は、本発明の一実施形態のスタガ型配線アレイの概略断面平面図を示す。
【0087】
スタガ型配線アレイ180は、例えば、座屈ループの一方の面に配置されたアクチュエータ素子140と、他方の面に配置された供給電気接点156とを備えてもよい。供給電気接点156は、適切な電気接触パス190を介してアクチュエータ電気接点157に接続され、アクチュエータ電気接点157は、座屈ループの窪みを通って延びて、ループの一方の面の配線が延設されて、ループの他の面に配置されたアクチュエータ素子140に接触してもよい。配線の適切な配置により、供給接点とアクチュエータ接点の対応185によって、歪みの頂部で接点に電圧が加えられ、該歪みの変曲点に配置されたアクチュエータ素子140を作動させることが可能であってもよい。
【0088】
本発明はある程度詳細に説明されたが、本開示は説明のためになされたものであり、部品の構造および配置の詳細において多くの変更が、本発明の主旨と範囲を逸脱することなくなされてもよいことが理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、電気制御される回転運動が望まれる又は必要とされる多くの産業において、利用可能性を有する。例えば、ロボット工学、化学処理、石油探索のような多様な産業において、本発明によって達成可能な、正確で、トルクが大きく、速度が遅い電気回転モータによって制御される弁において必要である。