(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】アスファルト混合物の締固め施工プロセス中の機械的特性検知用装置
(51)【国際特許分類】
E01C 23/01 20060101AFI20220128BHJP
E01C 23/07 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
E01C23/01
E01C23/07
(21)【出願番号】P 2020119150
(22)【出願日】2020-07-10
【審査請求日】2020-07-10
(31)【優先権主張番号】201910884498.5
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520255595
【氏名又は名称】長沙理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】銭 国平
(72)【発明者】
【氏名】于 華南
(72)【発明者】
【氏名】史 長雲
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼ 湘兵
(72)【発明者】
【氏名】李 希
(72)【発明者】
【氏名】蔡 軍
(72)【発明者】
【氏名】呉 文超
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-110394(JP,A)
【文献】実開平05-003981(JP,U)
【文献】実開昭55-113706(JP,U)
【文献】実開平03-065712(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/01
E01C 23/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定フレーム(1)と検知システムを備え、前記検知システムには、ディスプレイ(2)、コントロールパネル(3)、テスト爪(4)、テスト爪(4)の回転を駆動するための電動モータ(5)、テスト爪(4)の上下移動を制御するためのリフトスイッチ(6)、トルクセンサー(7)及び温度センサー(8)が含まれ、前記コントロールパネル(3)には電動モータ(5)を制御するための電源スイッチ(31)と、テスト爪(4)の回転速度を制御するための回転速度調整器(32)が含まれ、前記電動モータ(5)の出力端はトルクセンサー(7)の入力端と接続され、前記トルクセンサー(7)の出力端はテスト爪(4)の入力端と接続され、前記テスト爪(4)の出力端には爪状のブレード(9)が設けられ、前記温度センサー(8)は爪状のブレード(9)の内部に取り付けられ
、
計測対象のアスファルト混合物に押し込まれて回転駆動するテスト爪(4)に備わる前記トルクセンサー(7)で測定されるトルク値Mに基づいて、リアルタイムに当該アスファルト混合物の締固め検知指数K/Kmin
(ここで、
K=1/G
Kmin=当該アスファルト混合物におけるKの最小値
ただし、
F=せん断強度、G=せん断剛性、γ=せん断ひずみ、ρ=半径、I
p
=極慣性モーメント)
を求め、
リアルタイムに得られる締固め検知指数K/Kminを、予め設定されたK/Kminの基準値と比較して、
得られた締固め検知指数K/Kminが、予め設定されたK/Kminの基準値より大きい場合は、締固め不足と評価し、予め設定されたK/Kminの基準値の範囲内の場合は、適度な締固めと評価し、予め設定されたK/Kminの基準値より小さい場合は、締固め過剰と評価する
ことを特徴とするアスファルト混合物の締固め施工プロセス中の機械的特性検知用装置。
【請求項2】
前記爪状ブレード(9)の爪の数が少なくとも3個である
請求項1に記載のアスファルト混合物の締固め施工プロセス中の機械的特性検知用装置。
【請求項3】
前記爪状ブレード(9)の爪の数が3~6個である
請求項2に記載のアスファルト混合物の締固め施工プロセス中の機械的特性検知用装置。
【請求項4】
前記爪状のブレードの底部が円錐形の先端である
請求項1ないし3のいずれかに記載のアスファルト混合物の締固め施工プロセス中の機械的特性検知用装置。
【請求項5】
前記固定フレーム(1)の底部には移動自在のためのユニバーサルホイール(10)が設けられる
請求項4に記載のアスファルト混合物の締固め施工プロセス中の機械的特性検知用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト混合物の締固め検知用技術に関し、特にアスファルト混合物の、締固め施工プロセス中の機械的特性検知用装置に関し、アスファルト混合物の締固め品質を評価し、リアルタイム的検知結果に基づいて施工品質と施工プロセスを監視及びガイドするのに使用される。
【背景技術】
【0002】
締固めはアスファルト舗装成形の最後のステップであり、締固め施工を制御することは、アスファルト混合物の品質と物理的・機械的性質及び道路としての使用性能要件を満たすことを保証するための重要な手段である。中国のアスファルト舗装施工の技術仕様では、アスファルト舗装の締固め制御方法について規定が多く、且つ検知箇所、頻度、許容偏差について詳しい規制がある。従来の締固め検知用方法として、砂充填法、水袋法、リングナイフ法、ワックスシール法、核密度計などがある。
【0003】
しかし、これらの施工制御方法は、主に施工検収段階における検知であり、施工後検知に属し、検知結果が締固めプロセスよりも遅れているため、締固め過剰や締固め不足エリアを即時に発見できない。また、施工現場で締固め機器の組み合わせや締固め回数は、経験によって決められるのが一般的であり、検知結果に基づいて施工プロセスや施工品質を適切に調整及び制御することができず、対応する締固めプロセス中のアスファルト混合物の締固め状態を検知する装置や検知方法が欠如するため、品質管理や施工プロセスを制御するのは困難である。
【0004】
2002年Stephen N.Goodman及びYasser Hassanらは、せん断特性を、アスファルト-コンクリート混合物の永久変形を特徴づける可能な手段として提唱し、カールトン大学で開発された現場せん断剛性試験装置( insisst )により、混合物の特性、混合物の使用量、集計特性(タイプ、グレーディングなど)を含む、せん断特性に関連する混合物特性を分析したが、該研究は、交通に用いられた後の道路の施工後検知にしか適用できず、工事現場での検知に使用されにくい。
【0005】
2003年、Jagan M.Gudimettla及びL.Allen cooley、Jrらは、混合物の作業性(workability)試験機器へのテストをし、舗装前のアスファルト混合物に挿入した十字プローブのトルクによってアスファルト混合物の作業性(workability)を評価した。テスト結果では、要因によってアスファルト混合物の締固め性に大きく相違する影響を及ぼして、影響の大きさは、大からでは、アスファルト混合物の特性、混合物の温度、集計タイプ、集計の最大公称粒子サイズとの順番とあることが分かった。該装置はアスファルト混合物を混合するトルクしか測定できないことに制限され、また、従来の研究では、作業性(workability)とアスファルト混合物の締固め状態に直接的な相関関係があるかは示されていなく、施工プロセス中の締固め検知には適していない。
【0006】
2005年、中国の張争奇教授は、複数グループのアスファルト混合物を使用して屋内回転締固め解析を行い、締固め初期状態から予定の締固め回数を達成する段階までの締固め曲線の密度エネルギー指数を使用して、アスファルト路盤の締固め可能性を評価することを提案したが、境界問題のため、現場での施工における締固めエネルギーを測定することができず、施工を直接ガイドできない。
【0007】
2012年、湯文、孫立軍らは、さまざまな温度下でのアスファルト混合物のせん断抵抗性能移行を研究し、さまざまなせん断性能テストを実施することにより、さまざまなせん断評価指標の間に緊密な相関関係があると示し、研究では、温度はアスファルト混合物のせん断性能に大きな影響を与えるので、アスファルト混合物のせん断性能を評価する時には、その温度特性を十分に考慮する必要があると示した。
【0008】
2017年、北京建築大学の徐世法、師航祺らは、屋内せん断コンパクターを使用して混合物を成形させ、アスファルト混合物の締固め及びせん断特性について更に調査し、せん断コンパクターを使用する時の締固め作業の温度を得て、締固めのせん断応力を混合物の締固め性能の優劣を評価する指標とすることを提出し、せん断性能で混合物の締固め状態を評価する可能性を分析したが、装置が複雑であるため、現場で混合物の締固め検知に適用することは難しい。
【0009】
中国でも中国以外でも、アスファルト混合物の締固め検知は大きく発展したが、現在の研究はまだアスファルト混合物の施工後の締固め検知をめぐっていて、まだ作業中の検知が実現されず、検知結果に応じて施工プロセス及び施工品質を調整及び制御できず、アスファルト混合物に対して、リアルタイムに締固め品質を検知することや、評価指標及び評価基準については更なる研究が必要であり、現場で締固め工事中にアスファルト混合物の締固め状況を検知するための装置がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の欠点を考慮して、本発明は、アスファルト混合物の締固め施工プロセス中の機械的特性を検知する装置を開示することを目的とし、締固め施工プロセス中にアスファルト混合物の締固め検知指数を簡単、迅速且つ正確に検知でき、アスファルト混合物の締固め効果の優劣を正確に評価し、施工プロセス中のアスファルト混合物の締固め状態を確認し、テスト結果に基づいて施工プロセス及び施工品質をタイムリーに調整及び制御できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記技術的目的を達成するために、本発明は、固定フレームと検知システムを備え、上記検知システムには、ディスプレイ、コントロールパネル、テスト爪、テスト爪の回転を駆動するための電動モータ、テスト爪の上下移動を制御するためのリフトスイッチ、トルクセンサー及び温度センサーが含まれ、上記コントロールパネルには電動モータを制御するための電源スイッチと、テスト爪の回転速度を制御するための回転速度調整器が含まれ、上記電動モータの出力端はトルクセンサーの入力端と接続され、上記トルクセンサーの出力端はテスト爪の入力端と接続され、上記テスト爪の出力端には爪状のブレードが設けられ、上記温度センサーは爪状のブレードの内部に取り付けられている、アスファルト混合物の締固め施工プロセス中の機械的特性検知用装置を開示する。
【0012】
好ましくは、上記爪状ブレードの爪の数は少なくとも3個あり、好ましくは3~6個ある。
【0013】
好ましくは、爪状のブレードの底部は円錐状の先端であり、ある程度の締固めされたアスファルト混合物に押し込むことが容易である。
【0014】
好ましくは、自由な動きを容易にするために、固定フレームの底部にユニバーサルホイールが設けられる。
【0015】
現場での締固めプロセス中に、本発明の検知装置によって、施工現場で、ある程度締固めされた路面の締固め状況をリアルタイムに検知し、アスファルト混合物の締固め検知指数K/Kminを得て、リアルタイムのテストで得られた締固め検知指数K/Kminを基準表におけるK/Kminの基準セクションと比較して、アスファルト混合物の締固め状況を判断することにより、施工プロセスと施工品質を適時に調整および制御し、K/Kminの値が基準セクションの右のエンドポイントの値より大きい場合、当該道路区間が締固め不足であることを示し、締固め補足工事が適時に行われることができ、K/Kminの値が基準セクションの左エンドポイントの値より小さい場合、当該道路区間が締固め過剰であることを示し、締固め過剰改善工事が適時に行われることができ、K/Kminの値が基準セクションの範囲内にある場合、当該道路区間が締固め完了したことを示し、施工の次の段階に進むことができる。同時に、実際の検知プロセスでは、テスト爪ブレードの回転速度は遅く、高温でアスファルト混合物はある程度自己修復できるため、路面に押し込んで測定データを得るが、路面に対する破壊も比較的に小さいので、リアルタイムに検知データは後続の施工プロセスに工学的指導の意義があり、締固め不足、締固め過剰に対する改善及び防止ができ、アスファルト混合物の良好な締固め効果を保障する。
【0016】
本発明によって開示されるアスファルト混合物の締固め施工プロセス中の機械的特性検知用装置の使用方法は、具体的に、
現場でアスファルト混合物を上層、中層、下層に分けて舗装施工し、締固め機で下層に対して締固めした後、検知装置を選択した測定位置まで押し、ユニバーサルホイールを固定するステップ1と、
リフティングスイッチによって、テスト爪の出力端にある爪状のブレードを、ある程度の締固め度のアスファルト混合物に押し込むステップ2と、
電動モータの電源スイッチをオンにして、電動モータが攪拌シャフトをゆっくりと均一に回転させるように駆動させ、速度は毎分5度から毎分10度までの間で自由に選択でき、ディスプレイに表示されている温度値Tとトルク値Mを記録し、Tの単位が℃であり、Mの単位がN・mであるステップ3と、
ステップ3に記載のトルク値Mによってアスファルト混合物のせん断強度とせん断剛性を計算し、
【0017】
【0018】
ここで、Fはせん断強度、Gはせん断剛性、γはせん断ひずみ、ρは半径、即ち極慣性モーメントであるステップ4と、
ステップ4に記載のせん断強度及びせん断剛性に基づいて、アスファルト混合物の締固め検知指数K/Kminを算出して、Kをせん断剛性の逆数と定義し、
【0019】
【0020】
は対応する締固め度でのアスファルト混合物のKの最小値であり、リアルタイムに検知して得られた締固め検知指数K/Kminを基準表1のK/Kminの基準セクションと比較して、アスファルト混合物の締固め状態を判断して、施工プロセスと施工品質を適時に調整及び制御し、K/Kminの値が基準セクションの右エンドポイントの値より大きい場合、当該道路区間が締固め不足であることを示し、締固め補足工事を適時に行うことができ、K/Kminの値が基準セクションの左エンドポイントの値より小さい場合、当該道路区間が締固め過剰であることを示し、締固め過剰の改善工事を適時に行うことができ、K/Kminの値が基準セクションの範囲内にある場合、下層の締固めが完了したことを示し、1から5までのステップを繰り返して、中層及び上層の施工を行う。
【発明の効果】
【0021】
従来の技術に比べ、本発明の利点は次のとおりである。
1、本発明のテスト結果は正確で、実際の工事における締固めプロセスをリアルタイムに指導できる。施工プロセスにおけるアスファルト混合物の締固め検知指数の測定はリアルタイム的であり、その場で該締固め検知指数の大きさに基づいてアスファルト混合物の締固め状態の優劣を正確に判断でき、即ち、締固め検知指数が小さいほどアスファルト混合物の締固め状態が良好であることを示し、逆には状態が悪いことを示す。現場で得られた締固め検知指数の大きさによって、アスファルト混合物の締固め状況をリアルタイムに監視及び検知し、且つ適時に現場で施工を指導して、締固め不足や締固め過剰に応じて修復及び防止を行い、アスファルト混合物の良好な締固め効果を保障する。
【0022】
2、本発明は、簡単で迅速な操作と強力な実施可能性という利点があり、アスファルト混合物の施工プロセス中にリアルタイムに締固め制御できない現状を考慮して、本発明は施工現場に直接に使用でき、施工中検知を実現した。具体的な実施過程中、直接に検知装置を現場までに運び、舗装後及び後続締固め中のある程度締固め度を有するアスファルト混合物に対してテストを行うと、該アスファルト混合物の施工プロセス段階での締固め検知指数が得られる。
【0023】
3、本発明はアスファルト混合物に直接にテストでき、実際の使用では、テスト爪を均一な速度でゆっくりと回転させて、測定して得られたトルク値に基づいて、混合物の実際施工における締固め可能性が得られるが、低速回転を使用するので、アスファルト路盤に大きな損傷を与えず、得られたアスファルト混合物の締固め施工プロセス中のせん断強度とせん断剛性は、アスファルト混合物の施工プロセス中の機械的性質の優劣を直接に反映でき、また、本発明はさらに算出した締固め検知指数の大きさに基づいてアスファルト混合物の締固め状態を評価できる。
【0024】
4、本発明は、簡単で合理的な構造、広い適用範囲、さまざまな種類のアスファルト混合物に対する優れた検知性能という利点がある。アスファルト混合物を攪拌することで、アスファルト混合物の真の締固め粘性抵抗性を正確に反映し、トルク値の形式で表して、するとアスファルト混合物の締固めプロセス中のせん断強度及びせん断剛性が得られ、施工プロセス中のアスファルト混合物の機械的特性の優劣が直接に反映され、それによってタイムリーに締固め補足を行うか否かが判断できて、さまざまな比率のアスファルト混合物の締固め状態を正確かつ瞬時に検知できる。したがって、汎用でき、アスファルト舗装工事に更に適用拡大しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明のアスファルト混合物の締固め施工プロセス中の機械的特性検知用装置の構造を示す概略図である。
【
図3】アスファルト混合物の締固め施工プロセス中の機械的特性検知用装置の使用を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実現するための技術的手段、進歩的特徴、用途及び効果を理解し易くするために、本発明を特定の実施形態と組み合わせて以下にさらに説明する。
【0027】
図1~2を参照すると、本発明による、アスファルト混合物の締固め施工プロセス中に適用する機械的特性検知用装置は、固定フレーム1と検知システムを備え、上記固定フレーム1底部には、施工現場の検知に使用するための移動自在なユニバーサルホイール10が設けられ、上記検知システムにはディスプレイ2、コントロールパネル3、テスト爪4、テスト爪4の回転を駆動する電気モータ5、テスト爪4の上下移動を制御するためのリフトスイッチ6、トルクセンサー7及び温度センサー8が含まれ、上記コントロールパネル3には、電動モータ5を制御するための電源スイッチ31及び、テスト爪4の回転速度を制御するための回転速度調整器32が含まれ、電動モータ5の出力端はトルクセンサー7の入力端と接続され、上記トルクセンサー7の出力端はテスト爪4の入力端と接続され、前記テスト爪4の出力端には爪状のブレード9が設けられ、爪状のブレード9の爪の数が6個であり、ある程度で締固めされたアスファルト混合物に押し込まれやすいために、爪状のブレード9の底部の先端は円錐形であり、温度センサー8は爪状のブレード9に取り付けられている。
【0028】
図3を参照すると、具体的な検知プロセスは次のとおりである。
現場でアスファルト混合物を上層、中層、下層に分けて舗装施工し、締固め機で下層に対して締固めされた後、検知装置を、選択した測定位置まで押し、ユニバーサルホイールを固定するステップ1と、
リフティングスイッチによって、テスト爪の出力端にある爪状のブレードを、ある程度の締固め度を有するアスファルト混合物に押し込むステップ2と、
電動モータの電源スイッチをオンにして、攪拌シャフトを電動モータでゆっくりと均一に回転させるように駆動させ、速度は毎分5度から毎分10度までの中で自由に選択でき、ディスプレイに表示されている温度値Tとトルク値Mを記録し、Tの単位が℃であり、Mの単位がN・mであるステップ3と、
ステップ3に記載のトルク値Mに基づいてアスファルト混合物のせん断強度とせん断剛性を算出し、
【0029】
【0030】
ここで、Fはせん断強度、Gはせん断剛性、γはせん断ひずみ、ρは半径、Ipは極慣性モーメントであるステップ4と、
ステップ4に記載のせん断強度及びせん断剛性に基づいてアスファルト混合物の締固め検知指数K/Kminを算出し、Kをせん断剛性の逆数と定義し、
【0031】
【0032】
は対応する締固め度でのアスファルト混合物のKの最小値であり、次にリアルタイムに検知して得られた締固め検知指数K/Kminを基準表1のK/Kminの基準セクションと比較して、アスファルト混合物の締固め状態を判断して、施工プロセスと施工品質を適時に調整および制御し、K/Kminの値が基準セクションの右エンドポイントの値より大きい場合、当該道路区間が締固め不足であることを示し、締固め補足工事を適時に行うことができ、K/Kminの値が基準セクションの左エンドポイントの値より小さい場合、当該道路区間が締固め過剰であることを示し、締固め過剰改善工事を適時に行うことができ、K/Kminの値が基準セクションの範囲内にある場合、当該道路区間が締固め完了したことを示し、施工の次の段階に進むことができる。1から5までのステップを繰り返して、中層及び上層の施工を行う。
【0033】
上記表1での締固め検知指数K/Kmin及び締固め対応値は、設計段階で検知装置を使用して、本発明の検知方法によって設計用アスファルト混合物(本発明の場合AC-13Cアスファルト混合物)に対して繰り返して検知を行い、データの収集とキャリブレーション後に基準値が得られるが、説明すべきことは、基準表の値は実際のプロジェクトでさまざまな設計用アスファルト混合物に応じて変化できるが、使用する検知装置及び検知方法の本質は変わらない。
【0034】
【0035】
表1から、テスト装置によって算出され締固め検知指数K/Kminは締固め度に反比例し、締固め度が高いほど、混合物の締固めが悪くなり、締固め検知指数が小さくなることが分かる。現場で得られた締固め検知指数の大きさに基づいて、リアルタイムに混合物の状態を監視及び検知し、タイムリーに施工の調整を行い、締固め不足、締固め過剰の状況に応じて、修正及び防止を行い、締固め度など体積指標とともに施工を指導し、施工と締固め指標との二重制御を実現し、アスファルト混合物の締固め効果を確保する。
【実施例1】
【0036】
本実施形態では、上層のAC-13Cアスファルト混合物を例にとると、混合物は舗装された状態であり、例えば、ある道路区間を3種類のローラーで締固めし、ローリング方法は表2に示すようである。
【0037】
【0038】
初期締固めは、舗装機の直後に締固めするべきであり、スチール式ドラムローラーを使用して静転圧後、非核密度計でアスファルト混合物の締固め度を測定し、締固め及びせん断特性検知装置を使用してリアルタイムにアスファルト混合物の締固め検知指数K/Kmin及び混合物内部温度Tを測定する。そのうち、電動モータは攪拌軸がゆっくりと均一に回転するように駆動させ、速度は毎分5度から毎分10度までの中で自由に選択でき、締固め状態の検知指標を表3に示すようである。
【0039】
【0040】
初期締固めの目的は、混合物を水平にし、安定させることであり、同時に二次締固めの条件を作成することにある。初期締固めが完了した後、混合物の締固め度は80%以上に達することができ、そのうち初期締固め温度は110~130℃に維持され、正常の工事温度にあって、所定の締固め度で締固め検知指数K/Kminを表1の基準表の値に比べ、各道路区間のアスファルト混合物の締固め検知指数K/Kminが基準セクション範囲内にあり、混合物の初期締固め状態が良好であることを示す。
【0041】
二次締固めは初期締固めの直後に実行すべきであり、二次締固めは混合物の締固め、安定化、成形するための重要なプロセスであり、振動ローラーを使用して締固めした後、初期締固めの検知ステップと同じく、二次締固め後のアスファルト混合物に対して締固め性能検知を行い、締固め状態検知指数は表4に示すようである。
【0042】
【0043】
道路区間K2+060の場合、二次締固め後に締固め度が小さすぎて、混合物の締固め検知指数K/Kminが1.84であり、86%締固め度の正常値である1.70より大きく、該道路区間の締固めが不合格であると判断され、混合物の内部温度が90.4℃で、二次締固めの正常施工温度の95~115℃より低いため、修復施工を行うことができなく、この道路区間を取り外して舗装しなおすことを勧める。
【0044】
道路区間K2+080の場合、混合物の温度は要件を満たし、混合物の締固め検知指数K/Kminが1.24で、95%締固め度の正常値である1.20より大きいため、混合物の内部機械的特性は標準に達していなく、混合物の締固めは合格できず、次の方法を使用して混合物の機械的特性を改善できる。
1.振動ローラーをタイヤローラーに置き換えて、混合物に対するタイヤローラーの混練効果により、粒子間の摩擦を減らして、小さな粒子が大きな粒子間の隙間に入るように粒子の再配置を行う。
2.振動ローラーの締固め速度を遅くし、ローラーと混合物との接触時間を長くするか、または高周波、大振幅法によって大きな加振力を生成させる。
道路区間K2+100の場合は、混合物の内部温度、締固め度及びせん断特性指数のすべての要件を満たし、混合物の締固め状態が良いので、次の施工段階を実行できる。
【符号の説明】
【0045】
1 固定フレーム
2 ディスプレイ
3 コントロールパネル
31 電源スイッチ
32 回転速度調整器
4 テスト爪
5 電気モータ
6 リフトスイッチ
7 トルクセンサー
8 温度センサー
9 爪状のブレード
10 ユニバーサルホイール