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特許7016232飲料を形成するのに適した植物性製品、特にコーヒー焙煎豆のための粉砕装置の粉砕チャンバー
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  • 特許-飲料を形成するのに適した植物性製品、特にコーヒー焙煎豆のための粉砕装置の粉砕チャンバー 図1
  • 特許-飲料を形成するのに適した植物性製品、特にコーヒー焙煎豆のための粉砕装置の粉砕チャンバー 図2
  • 特許-飲料を形成するのに適した植物性製品、特にコーヒー焙煎豆のための粉砕装置の粉砕チャンバー 図3
  • 特許-飲料を形成するのに適した植物性製品、特にコーヒー焙煎豆のための粉砕装置の粉砕チャンバー 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】飲料を形成するのに適した植物性製品、特にコーヒー焙煎豆のための粉砕装置の粉砕チャンバー
(51)【国際特許分類】
   A47J 42/20 20060101AFI20220128BHJP
   A47J 42/38 20060101ALI20220128BHJP
   A47J 31/42 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
A47J42/20
A47J42/38
A47J31/42
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017178683
(22)【出願日】2017-09-19
(65)【公開番号】P2018075359
(43)【公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-03-23
(31)【優先権主張番号】102016000093820
(32)【優先日】2016-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】506353563
【氏名又は名称】グルッポ チンバリ ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】ジャコモ・アッビアーティ
【審査官】比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第1999/049768(WO,A1)
【文献】米国特許第07874505(US,B1)
【文献】特表2001-514548(JP,A)
【文献】実開昭49-058884(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 42/20
A47J 42/38
A47J 31/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を作るのに適した植物性製品、特に焙煎されたコーヒー豆のための粉砕装置の粉砕チャンバー(1)であって、
前記粉砕チャンバー(1)は、互いに軸方向に重なる一対の粉砕機(9,11)であって、一方の粉砕機(9)は静止した他方の粉砕機(11)に対して回転可能である一対の粉砕機(9,11)と、少なくとも回転可能である前記粉砕機(9)のための粉砕機支持体(7)と、前記粉砕機支持体(7)に接続され、回転可能である前記粉砕機(9)を回転させるためのモータ部(5)と、を内部に備え、
前記粉砕チャンバー(1)は、前記支持体(7)の下方に隣接して回転可能な粉砕機の回転軸(X-X)に垂直な第1の底壁(3)と、少なくとも前記第1の底壁(3)の外周縁部で前記第1の壁に軸方向に接続される第2の円筒壁(2)と、によって形成され、
前記粉砕チャンバー(1)には、粉砕される製品を導入するための第1の開口(15)と、前記粉砕された製品を吐き出すための第2の開口(17)と、前第1の底壁(3)の外周縁部と回転可能である前記粉砕機(9)の前記支持体自身との間にラビリンス手段(18,21,22)と、が設けられ
前記ラビリンス手段は、回転可能である前記粉砕機(9)の回転軸(X-X)に対して垂直な前記第1の底壁(3)の周囲に形成されて前記円筒壁(2)に近接する第1の環状溝(21)であって、前記第1の環状溝(21)の深さが前記第1の底壁(3)の内側に軸方向に延びる第1の環状溝(21)と、回転可能である前記粉砕機の前記支持体(7)の周辺縁部(18)であって、前記粉砕チャンバー(1)の前記第1の底壁(3)の平面(20)に向かって軸方向に延びて前記第1の環状溝(21)の内側に少なくとも部分的に収容される周辺縁部と、回転可能である前記粉砕機の前記支持体(7)の平面(19)の内側に形成されて前記支持体(7)の内側に軸方向に延びる第2の環状溝(23)と、前記第1の底壁(3)から軸方向に突出して前記粉砕チャンバー(1)を底部で区切る環状リリーフ(24)と、を有し、前記第2の環状溝(23)及び前記環状リリーフ(24)が前記第1の環状溝(21)と同心であることを特徴とする、粉砕チャンバー。
【請求項2】
回転可能である前記粉砕機(9)の前記支持体(7)の前記周辺縁部(18)は、前記第1の底壁(3)に向かって3mm以上7mm以下の範囲で前記支持体の前記平面(19)に対して軸方向に延び、軸方向および径方向において少なくとも部分的に前記第1の環状溝(21)に収容される、請求項1に記載の粉砕チャンバー。
【請求項3】
前記周辺縁部(18)と回転可能である前記粉砕機(9)の前記支持体(7)の前記平面(19)とを結合する区域(22)の曲率半径が0.5mm以上1.5mm以下の範囲にある、請求項1または2に記載の粉砕チャンバー。
【請求項4】
前記第1の環状溝(21)の軸方向深さ、及び横断面寸法は、回転可能である前記粉砕機(9)の前記支持体(7)の前記周辺縁部(18)を完全に収容可能である、請求項1からの何れか1項に記載の粉砕チャンバー。
【請求項5】
前記粉砕チャンバー(1)から粉砕された製品を吐き出す前記第2の開口(17)は、前記円筒壁(2)に形成されている、請求項1からの何れか1項に記載の粉砕チャンバー。
【請求項6】
前記一対の粉砕機(9,11)は、環状の粉砕機からなる、請求項1からの何れか1項に記載の粉砕チャンバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を作るのに適した植物性製品、特にコーヒー焙煎豆のための粉砕装置の粉砕チャンバーに関し、かかる粉砕チャンバーは、互いに軸方向に重なる一対の粉砕機であって、一方の粉砕機は静止した他方の粉砕機に対して回転可能である一対の粉砕機と、少なくとも回転可能である前記粉砕機のための粉砕機支持体と、前記粉砕機支持体に接続され、回転可能である前記粉砕機を回転させるためのモータ部と、を内部に備え、前記粉砕チャンバーは、前記支持体の下方に隣接して回転可能な前記粉砕機の回転軸に垂直な第1の底壁と、少なくとも周囲の境界で前記第1の壁に軸方向に接続される第2の円筒壁と、によって形成され、前記粉砕チャンバーは、粉砕される製品を導入するための第1の開口と、前記粉砕される製品を吐き出すための第2の開口と、が更に設けられている。
【背景技術】
【0002】
コーヒー飲料を作るとき、使用される原材料の品質、すなわち水と焙煎されたコーヒーの品質は、重要な役割を果たすことが知られている。
コーヒーに関して、飲料を作るために機械のフィルターホルダーに使用される粉末へと変換するための豆の粉砕作業は、得られる細かさの程度に関してだけではなく、粉砕された粉末によって起こされ得る変質に関しても関心が高いものであり、この変質は、粉砕装置の機械的構造および粉末作業が行われる頻度に依存して生じ、ヒトの感覚を刺激するものである。
【0003】
一般に、焙煎されたコーヒー豆は、重力によってホッパーを通って、互いに重なり合う2つの粉砕機が作動する粉砕チャンバーと呼ばれる円筒形のチャンバー内に到達する。2つの粉砕機の一方は通常固定され、他方は、粉砕機支持体の介在によってシャフトが取り付けられている電動モータの動作によって、円筒形のチャンバーの垂直軸回りに回転可能である。
【0004】
また、固定された、または静止した粉砕機は、専門的で自動のコーヒーマシンに特に必要とされるように、得られる粉砕レベルを選択するために、対応する粉砕機支持体に対して軸方向に調整可能な位置で取り付けられる。
【0005】
所定量の粉砕されたコーヒー粉末は、粉砕する間の遠心力によって、粉砕チャンバー自体の円筒壁に形成された半径方向または接線方向の開口を通って粉砕チャンバーの外部に吐き出される。それにより、開口から従来通りの管を通って飲料を作るための機械のフィルターホルダー内に向かう所定量の流れが引き起こされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際には、所定量の粉砕されたコーヒーを分配するとき、粉砕装置は、装置によって放出された実際の量に対して、わずかではあっても、大きな量の粉砕生成物を生成する。
【0007】
そのため、必然的に、一回分の粉砕および分配作業の終了時には、一定量の粉砕されたコーヒー粉末の堆積が粉砕チャンバー内に残ってしまう。
時間が経過すると、粉砕チャンバー内に停滞している一定量の粉砕されたコーヒーは、粉砕されたコーヒー粉末に含まれる脂の酸化による腐敗の現象を起こし、それは、さまざまな粉砕作業中に電動モータが粉砕機を作動することによって発生した熱の作用によっても顕著になる。
【0008】
粉砕チャンバー内に停滞している粉砕されたコーヒー粉末の腐敗は、飲料を製造するために分配されて使用される粉砕されたコーヒー粉末の品質を低下させ、その後その香りを劣化させる。
【0009】
所定量の悪臭のする粉砕されたコーヒーが粉砕チャンバーに存在することにより、分配中に、想定された量と共に、その一部が引きずられるという欠点も生じ、そのため、飲料を作るために使用されるフィルターホルダーに到達するコーヒー粉末の総量が増加する。
【0010】
これは、想定される用量に関連するものよりも濃い飲料の作成を引き起こし、所定量の悪臭のするコーヒーの存在によって、ヒトの感覚を刺激する質に関して質の悪い飲料を生じさせる。
【0011】
Wi-Fi(登録商標)またはBluetooth(登録商標)を介してコーヒーマシンと協働する専門的な粉砕装置の場合、飲料の平均流量の変化をもたらす上記の状況が製造装置によって検出される。5回又は6回の抽出作業の後に、装置自体に保存された理想的な基準と平均流速が一致しないような場合には、その後は、理想的なものへ対応する流量値を得ることができる粒の寸法が得られるように、粉砕機の間の距離を変化させることによってコーヒー豆の粉砕レベルを自動的に補正する。
【0012】
こうした場合、粉砕チャンバーにおける粉砕されたコーヒーの蓄積によって、粒の寸法、及びそれに応じた飲料の流量を正すために粉砕機への介入が引き起こされ、その結果、粉砕されたコーヒーをフィルターホルダーへ分配することの遅延も引き起こされる。
【0013】
本発明の目的は、上述した欠点を最小限に抑えることができ、特に、粉砕チャンバー内の多量の粉砕されたコーヒーの滞留に関連する、焙煎されたコーヒー豆を粉砕するための装置における粉砕チャンバーのための構造的解決法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下の説明においてより明らかになるこれらの及び他の目的は、飲料を作るのに適した植物性製品、特に焙煎されたコーヒー豆のための粉砕装置の粉砕チャンバーによって達成され、かかる粉砕チャンバーは、支持体(7)の下方に隣接する回転可能な粉砕機(9)の回転軸に垂直な壁(3)の周囲の境界と、回転可能な粉砕機の支持体自身との間に、ラビリンス手段(18,21,22,22a,22b)が設けられていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、植物製品、特に焙煎されたコーヒー豆のための粉砕装置の概略構造の分解図である。
図2図2は、実施形態による粉砕チャンバーを備えた焙煎されたコーヒー豆の粉砕装置の垂直断面図である。
図3図3は、図2の拡大部分を示している。
図4図4は、粉砕機支持体を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、添付した図面の非限定的な例によって与えられる実用的な実施形態を参照してより詳細に説明される。
上記の図面、特に図1を参照すると、粉砕装置、例えばフィルターホルダーに送って飲料を製造するために焙煎されたコーヒー豆を粉砕する粉砕装置は、円筒壁2と、装置の垂直軸X-Xに対して垂直な底壁3とによって囲われる粉砕チャンバー1を備えていることが注目に値する。底壁3は従来の方法で電動モータ5のカーカス4に結合されており、電動モータ5の駆動シャフト6は連結ねじ8によって粉砕機支持体7と軸方向に係合している。回転可能な粉砕機9は、ねじ10によって粉砕機支持体7に連結されている。
【0017】
この装置はまた、回転可能な粉砕機9と軸方向に対向している固定粉砕機11を備えている。固定粉砕機11は、管状の支持体12に取り付けられ、特に専門的な粉砕装置において、リングナット13に軸方向に順に取り付けられる。リングナットの周辺歯部14と係合するモータ機構(不図示)によって、粒の寸法を変化させるために、回転する粉砕機9に対する固定粉砕機11の軸方向位置が調整される。
【0018】
リングナット13、支持体12、及び粉砕機9、11は、軸方向にあいたダクト15を形成し、ホッパー16を介してコーヒー豆を充填すると共にコーヒー豆が重力によって粉砕チャンバー1へと落下することを許容する。粉砕チャンバー1では、上記したように、電動モータ5のシャフト6に固定された回転可能な粉砕機9が回転する状態にある。
【0019】
粉砕中に回転粉砕機9によって生じる遠心作用により、粉砕チャンバー1の円筒壁2に形成されたスライド17aを有する径方向の排出開口17を介して、粉砕室1から粉砕生成物が吐き出される。
【0020】
図2及び3を参照すると、実施形態によれば、粉砕室1は、電動モータ5の回転軸6の軸と一致する装置の垂直中心軸X-Xに垂直な第1の壁3と、境界が壁3に固定される第2の円筒壁2と、によって形成される。
【0021】
回転可能な粉砕機9の粉砕機支持体7は、粉砕チャンバー1内に配置され、その周縁部に隣接した支持体の平面19から壁3の平面20に向かって軸方向に突出する縁部18を有している。上記した縁部18は、少なくとも部分的に縁部18を収容するような寸法を有する、つまり、対向する壁の間に0.5mm以上1.5mm以下の間隙を有する、壁3に形成された環状溝21内に配置される。こうした値は、粉砕機支持体7の平面19に縁部18が結合される区域22の曲率半径にも対応する。
【0022】
一例として、粉砕機支持体7の平面19に対する縁部18の軸方向の長さは、約3-7mmであることが好ましい。
特に、区域22は、回転可能な粉砕機の支持体7内に軸方向に延びる第2の環状溝23を備える。壁3の平面20から軸方向に突出して粉砕室1を底部で制限する環状リリーフ24が、こうした第2の環状溝23に少なくとも部分的に挿入される。
【0023】
第2の環状溝23およびリリーフ24は、第1の溝21と同心であり、半径方向の内側に配置されている。
これにより、縁部18によって示されるラビリンス手段が、溝21、接続区域22、第2の溝23、及び溝23に挿入された環状リリーフ24によって、壁3の周囲の境界に形成され、円筒状の壁2の端部と回転可能な粉砕機9の支持体7とに接続している。
【0024】
こうしたラビリンス手段は、粉砕の間にチャンバー1から支持体7の平面19と壁3の平面20との隙間25へ自由に通過する粉砕生成物の量を制限し、そこで停滞して劣化し得る粉砕生成物の量を制限する。
【0025】
したがって、実施形態によれば、滞留が可能となる空間が制限されると共にこうした空間に到達するための蛇行路が形成されることによって、滞留するコーヒーの量が低減し、粉砕チャンバーに残っている粉砕されたコーヒーに起因する欠点が抑制される。
【0026】
実施形態の作動は、所定の投与量を分配する粉砕装置を参照して説明されているが、本発明は、粉砕後に可変量で分配されることを意図した粉砕生成物を貯蔵するタンクを有する粉砕装置にも適用することができる。
【0027】
実際に、本発明による技術的解決法では、粉砕チャンバーに滞留する過剰の砕けた生成物、及び分配されるのを待って蓄積された生成物が、悪臭を伴って悪化するのを回避することができる。
図1
図2
図3
図4