(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】凍結プローブおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/02 20060101AFI20220128BHJP
【FI】
A61B18/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017218935
(22)【出願日】2017-11-14
【審査請求日】2020-05-26
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】ヨルグ・クロネンタラー
(72)【発明者】
【氏名】アヒム・ブロドベック
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・アドラー
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-539387(JP,A)
【文献】特表2011-520513(JP,A)
【文献】特表2013-505749(JP,A)
【文献】米国特許第06241722(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結プローブ(12)の製造方法であって、
プラスチック材料からなるチューブ素子(14)が提供され、前記チューブ素子は、少なくとも2つの経路(16、17)を含み、
一方のチューブ終端部(19)において一方の経路(16)にノズル(24)が挿入され、
前記チューブ終端部(19)には、少なくとも前記チューブ素子(14)の外径と同じ大きさの内径を有するスリーブ(20)が前記チューブ終端部(19)を収容し、前記チューブ終端部(19)を覆って遠位に突出するように設けられ、かつ、さらに、前記スリーブ(20)を圧入により前記チューブ終端部(19)に固定するために前記スリーブ(20)が径方向内方に変形され、または
、
前記スリーブ(20)の内径よりも大きい外径を有する前記チューブ終端部(19)がこのスリーブ(20)に軸方向に圧入され
た後に、前記スリーブ(20)が径方向内方に変形される、
方法。
【請求項2】
前記チューブ終端部(19)に取り付けられた前記スリーブ(20)は、遠位において閉止されていることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スリーブ(20)の遠位における閉止のために
、溶接シーム(22)による環状密封接続によって前記スリーブ(29)に液密に接続されるエンドキャップ(21)が使用されることを特徴とする、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
金属、セラミックまたはプラスチック材料からなる前記ノズル(24)を前記スリーブ内に挿入し、前記スリーブ(20)を前記チューブ終端部(19)上に摺動させるために組立ピン(25、41)を使用し、前記組立ピンは、前記スリーブ(20)のための座部(27、28)と、前記ノズル(24)の当接面(29)とを有し、前記ノズル(24)の遠位の端部と前記スリーブ(20)の遠位の端部との間の所望の軸方向距離に対応して配置される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ノズルが配置されていない前記経路(17)には、変形工程中に、前記経路(17)の端部に挿入された支持ピン(42)が配置されることを特徴とする、
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ノズルが配置されていない前記経路(17)は、変形のステップの間および前記ステップの後に前記経路(17)を囲む支持構造(39)によって半径方向に支持されることを特徴とする、
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ノズル軸(24a)を有するノズル(24)が遠位に配置された第1の経路(16)と、前記第1の経路(16)と少なくとも平行であって遠位に配置された第2の経路(17)とを有し、前記第2の経路(17)が前記ノズル(24)および/または前記第1の経路(16)の断面よりも大きいチューブ素子(14)と、
前記チューブ素子(14)の遠位のチューブ終端部(19)上に配置され、少なくとも完全に組み立てられた状態の
内径が前記チューブ素子(14)の外径よりも小さいスリーブ(20)と、
前記スリーブ(20)の遠位に配置され前記スリーブを閉止するエンドキャップ(21)とを有する、
凍結プローブ(12)。
【請求項8】
前記スリーブ(20)が圧入によって前記チューブ終端部(19)に保持されていることを特徴とする、
請求項7に記載の凍結プローブ。
【請求項9】
前記スリーブ(20)と前記エンドキャップ(21)との間は
、環状の溶接シーム(22)
の接続により、互いに密封接続されていることを特徴とする、
請求項7または8に記載の凍結プローブ。
【請求項10】
スリーブ(20)とエンドキャップ(21)は、継ぎ目なく一体に形成されていることを特徴とする、
請求項7~9のいずれか1項に記載の凍結プローブ。
【請求項11】
前記ノズル(24)は前記チューブ終端部(19)から突出するように配置され、前記ノズル軸(24a)は経路(16)に挿入されていることを特徴とする、
請求項7~10のいずれか1項に記載の凍結プローブ。
【請求項12】
前記ノズル(24)には固定構造(36、37、38)が設けられていることを特徴とする、
請求項7~11のいずれか1項に記載の凍結プローブ。
【請求項13】
前記ノズル(24)は、前記スリーブ(20)またはその少なくとも1つの圧縮ゾーン(31、32)を通って延びるように配置されていることを特徴とする、
請求項7~12のいずれか1項に記載の凍結プローブ。
【請求項14】
前記第2の経路(17)には、支持構造(39)が設けられていることを特徴とする、
請求項7~13のいずれか1項に記載の凍結プローブ。
【請求項15】
前記スリーブ(20)は、前記チューブ終端部(19)を圧縮するために、少なくとも1つの圧縮ゾーン(31、32)において半径方向内向きに変形されていることを特徴とする、
請求項7~13のいずれか1項に記載の凍結プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結プローブおよび凍結プローブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医学において、凍結プローブは、生物学的組織上で冷環境で動作するように配置される。このような凍結プローブは、独国特許出願公開第102009018291号明細書から推論することができる。この凍結プローブは、先端部に、冷却剤を介して内部を冷却することができる、特定の用途のために特別に構成された金属ヘッドを有する可撓性のあるチューブを備えている。そうすることで、生体組織がヘッドに凍結され、例えば生検の目的で周囲組織から分離されて摘出されることが達成され得る。
【0003】
遠位に設けられたヘッドと可撓性チューブとの間の接続は、液密であり、引張強度を示さなければならない。さらに、患者の狭い内腔および血管内でプローブを前進させることができるようにするために、非常に小さい直径を有する凍結プローブがしばしば望ましい。
【0004】
さらに、凍結プローブを追加の滅菌処理なしで患者に使用できるように、滅菌形態の凍結プローブを提供することは、製造者側でしばしば望ましいことである。その目的は、使い捨て製品などの器具をコスト効率良く提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これを考慮して、本発明の目的は、凍結プローブを提供する方法を述べることであり、この方法は、プロセスの信頼性を伴った、凍結プローブの簡単な製造を可能にする。さらに、本発明の目的は、本発明による方法を用いて製造することができ、前述の必要条件の少なくともいくつかを満たす凍結プローブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
製造方法に関する目的の部分は、請求項1に記載の方法によって達成される。
【0007】
本発明によれば、この方法は、凍結プローブの製造が、少なくとも2つの経路を有するチューブ素子に基づいており、2つの経路の内の1つのチューブの一端には、好ましくは予め製造された別個の構成要素の形態のノズルが挿入されている。また、チューブ終端部には、チューブ終端部を収容し、チューブ終端部を越えて、チューブ終端部の表面側、好ましくは平坦な端面よりも遠位に突出するように、スリーブが外側に設けられる。その後、スリーブは、成形プロセスの間、圧接によってチューブ終端部に固定されるように内側に変形される。あるいは、スリーブは、組み立て前であっても、チューブの端部の外径よりも小さい内径を有し、このスリーブの内径は、このスリーブ内に軸方向に押し込まれる。両方の場合において、スリーブは、最後に完全に組み立てられた状態の内径を有し、チューブ素子の外径よりも小さい。その結果、チューブ終端部におけるスリーブの圧入が確実に行われる。
【0008】
原理的には、スリーブは、その遠位の端で閉じられてもよく、またはその後に閉じられてもよい。これは、環状封止接続部、例えば溶接シームによってスリーブの遠位を閉じるために封止様式でスリーブに接続されたエンドキャップによって達成されてもよい。好ましくは、スリーブがチューブの端部に取り付けられた後に溶接シームが施される。あるいは、チューブ終端部は、前述の方法のうちの1つに従って、例えば環状の溶接シームによってスリーブを適用する前に、スリーブに接続されてもよい。スリーブとエンドキャップとを一体に、すなわち、継ぎ目なく一体に構成し、同じ材料で構成することも可能である。
【0009】
金属圧着スリーブに代わるものとして、熱伝導性プラスチック材料のプローブチップとプラスチックコーティングを使用することも可能である。例えば、超音波溶接によって漏れ防止および圧縮強度が達成される。
【0010】
前記方法による凍結プローブの製造は、両側が開放されたスリーブを用いることが好ましい。次いで、スリーブは、スリーブが当接される堅固な当接面を有する組立ピンにはめ込まれ、組立中にスリーブをチューブ終端部に軸方向に位置決めするように配置される。組立ピンは、チューブ終端部の始端面からスリーブの終端面まで所望の距離が確保されるように、チューブ終端部の表側の境界に配置された環状当接面に突起を有してもよい。このようにして、簡単な接合プロセスの間に、スリーブがチューブの端部に対して所望の重なりを有することが確実に保証される。
【0011】
また、このプロセス工程の間、ノズルのチューブ終端部への挿入は、組立ピンの補助により行われてもよい。ピン内に収容されたまたは予めチューブ終端部に一方の端部が配置されたノズルを、組立ピンのノズル当接面によるスリーブとチューブの接合プロセスの間に、チューブ終端部に挿入することができ、その結果、ノズルは、所望の手段、特にチューブ終端部の端面の軸方向の正確な重なりにより、軸方向に正確にチューブ終端部の上に突出する。3つの別個の当接面(スリーブ、チューブ終端部およびノズル用)を有する組立ピンによるこの接合プロセスによって、スリーブ、ノズル、およびチューブ終端部のフェース面は、互いに対して所望の寸法関係に正確に位置決めされる。その結果、キャップによってスリーブを閉止した後、キャップによって画定された流れ状態が、このように設けられた拡張チャンバ内で生成され、簡単な方法で、凍結プローブの正確な熱機能を保証することが可能となる。特に、凍結プローブが均一にまたは所望の冷分布で確実に冷却され、したがって、その後の使用中に所望の外科的効果を生じることが保証され得る。
【0012】
所望であれば、このようにして製造される凍結プローブは、接着剤を用いて製造することができる。拡張チャンバとチューブとの間のシールは、チューブ自体のプラスチック材料によって達成され、シール自体のように機能する。キャップとスリーブとの間のシールは、例えば、溶接シームによって達成される。ノズルとチューブの経路の内壁との間のシールは、チューブ材料自体によって提供され、前記材料は、この程度のシールとしても機能する。
【0013】
必要に応じて、この製造方法は、製造中に液体シーリングおよび接着材料なしで使用することができ、クリーンルームでの使用に適している。これは、滅菌製品としての製造を容易にし、そのための経費を削減する。
【0014】
凍結プローブ素子は、2つ以上の経路を有する単一のチューブとして構成されてもよい。しかしながら、互いに接続された2つ以上のチューブを設けることも可能である。これを達成するために、例えば、それらは、スリーブを収容するように配置されたプラスチック本体内のチューブ終端部に保持される。上記または後に説明される残りの実施の形態は、2つ以上の経路を有する一体型チューブのようなチューブデバイスに提供される。
【0015】
ノズルは別個の構成要素であり、特にその円筒状の外周面にチューブ終端部に係合するための固定構造を設けることができる。例えば、固定構造は、例えば、三角形の断面を有し、例えば環状のリブが局所的にまたは周辺に延びるように設けられてもよい。また、固定構造は、微細な窪みまたは隆起、すなわち、周囲の外側の全表面または部分に形成された粗い領域またはローレットから構成されてもよい。
【0016】
特に、スリーブが内向きに、すなわち半径方向内向きの力を及ぼす成形ゾーン内で変形された領域では、スリーブは支持構造を備えていてもよい。この支持構造は、ノズル自体によって形成されてもよい。この結果、ノズルは経路内にしっかりと保持され、存在する場合にはその固定構造によって保持される。スリーブの半径方向内向きの変形のために、a)スリーブは、後に適用されるエンドキャップを有するチューブ上で軸方向に摺動不能となり、b)ノズルは、チューブの経路内で軸方向に摺動不能に固定される。
【0017】
さらに、支持構造は、自由経路、すなわちノズルを収容しない経路に配置することができる。適切な支持構造は、例えば、金属管部分、例えば、経路の中のらせん状のばねのワイヤ構造、または、チューブ材料の剛性よりも大きい剛性を示すプラスチック材料で構成された、問題の経路である。特に、堅いプラスチック材料で構成された経路の場合、支持構造はチューブの全長に沿って延在することができる。そのような単一経路または多経路のチューブは、例えば共押出物として提供される。
【0018】
スリーブの半径方向内向きの変形は、スリーブの円周周りに配置された2つ以上の締め具を含む成形工具によって達成することができ、締め具は、圧縮プロセスの間にスリーブを変形させ、これにより前記スリーブの内径が減少し、前記チューブの端部が所定の位置に締め付けられる。変形は、例えば、スリーブの円周に沿って配置された1つ以上のロールを回転させることによっても達成され得る。あるいは、変形は、電磁的な成形方法によって非接触で行われてもよい。そうするために、スリーブは、スリーブ内に渦電流を誘導する電流パルスが印加される磁気コイル内に配置されてもよい。渦電流は、ローレンツ力により交互にスプール電流と相互作用し、スリーブを少なくとも環状ゾーン内で半径方向内側に変形させる。
【0019】
あるいは、スリーブは、形状記憶材料、特に例えばニッケルチタン合金(ニチノール)等の形状記憶金属で形成されてもよい。次に、例えば、スリーブは、低温で内径がチューブの外径よりも大きくなるように広げられた状態で提供される。スリーブは、加熱されると再びチューブの内径が外径よりも小さい元の形状に戻る。
【0020】
請求項に示す主題または図面について実施の形態に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明に係る凍結プローブの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1に係る凍結プローブの断面の縦断面図である。
【
図3】
図3は、組立ピンを使用して、
図1および
図2に係る凍結プローブを提供するための製造工程の分解図である。
【
図4】
図4は、本方法を実施するための組立ピンの別の実施の形態を示す図である。
【
図5】
図5は、
図3による組立ピンおよび内部に配置された内部支持体を有するチューブを用いた、
図2による凍結プローブの製造中の断面図である。
【
図7】
図7は、凍結プローブを提供するためのチューブ素子の様々な実施の形態の斜視図である。
【
図8】
図8は、凍結プローブを提供するためのチューブ素子の様々な実施の形態の斜視図である。
【
図9】
図9は、凍結プローブ用のノズルの様々な実施の形態の縦断面図である。
【
図10】
図10は、凍結プローブ用のノズルの様々な実施の形態の縦断面図である。
【
図11】
図11は、スリーブ組立工程を説明するためのエンドキャップのない凍結プローブの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、例えば生体組織の低温治療のために使用することができる凍結プローブ12を示している。凍結プローブ12は、例えば、組織サンプルの摘出のために気管支鏡で使用することができる。これを行うために、凍結プローブ12は、例えば柔軟な気管支鏡を用いて、肺、例えばヘッド13が生体組織と接触する胸膜まで挿入される。膨張または蒸発する、すなわち例えばN
2またはCO
2などの気体または液体低温流体の使用により、ヘッド13の少なくとも一部は、それと接触する生物学的組織が凍結する程度まで冷却され、組織の摘出が望まれる場合には、ヘッド13に組織を付着させ、ヘッド13と共に胸膜から摘出することができる。
【0023】
図2は、凍結プローブ12の典型的な構成を示す。凍結プローブ12は、本実施の形態では、第1の経路16と第2の経路17とを有する可撓性のあるプラスチックチューブ15によって形成されるチューブ素子14を備える。2つの経路16、17は、異なる直径を有していてもよい。好ましくは、第2の経路17の断面は、第1の経路16の断面より1.1から2.5倍大きい方がよい。両方の経路16、17は、好ましくは、互いに平行に延び、プラスチックチューブ15の全体の長さと同じ長さを有し、両者は前記チューブの遠位の、好ましくは平坦な端面18で終端する。
【0024】
プラスチックチューブ15は、凍結プローブ12のヘッド13を支持するチューブ終端部19を有する。ヘッド13は、チューブ終端部19に保持され端面18以遠に延びるスリーブ20を備える。スリーブ20は、スリーブに液密に接続されたエンドキャップ21を保持する。これを達成するために、エンドキャップ21は、好ましくは、スリーブ20の遠位端に、例えば環状のレーザ溶接シームまたは別の溶接シームによってスリーブに溶接されている。したがって、エンドキャップ21は、第1の経路16を介して供給され、ノズル24を介して拡張チャンバ23に注入されるクライオ流体用の拡張チャンバ23を遠位に有している。ノズルは、金属、セラミックまたは プラスチック材料からなり、この場合、プラスチック材料は、好ましくは、プラスチックチューブの材料とは異なるプラスチック材料である。
【0025】
ノズル24のノズル軸24aは、端面18に隣接する第1の経路16の端部に保持、例えばクランプされる。端部側では、ノズル24は、端面18で終わっていてもよいし、好ましくは、
図2に示すように、経路16から拡張チャンバ23内にわずかに突出していてもよい。その際、ノズルの軸方向の位置は、拡張チャンバ23内の流動条件に影響を及ぼし、従って、正しい機能のために不可欠である。
【0026】
好ましくは、ノズル24は、ノズル24内の中心に配置された実質的に円形のノズルオリフィスを有し、したがって、ノズルが保持される経路に対して中心に位置する。これは、ノズルの位置合わせが経路16に挿入される前に必要でないので、製造を単純化する。しかし、非対称の配置も可能であり、これは潜在的に冷却分布に効果をもたらす。
【0027】
これまで説明した凍結プローブ12の製造は、少なくとも部分的には
図3に示されている。そうするために、プラスチックチューブ15は、先ず最初に、少なくとも経路16に十分に挿入されるノズル24に供給され、前記チューブ内に前記ノズルを少なくとも一時的に保持する。さらに、スリーブ20は、この目的のためにスリーブ受け26を含む組立ピン25にセットされる。組立ピン25は、突出部28の周りを延びる環状の好ましくは平らな圧縮表面27を含む。例えば、この突出部28は、スリーブ20の内径に対応する外径を有する円筒状の周面を有し、スリーブ20は、 突起28に差し込まれ、次いで該突起上に保持される。突出部および圧縮表面27は、共にスリーブ20のための台座を形成する。
【0028】
突起28は、その面側にオフセットを有することが好ましい。前記突出部は、ノズル24用の第1の当接面29と、第2の経路17の領域においてプラスチックチューブ15の端面18と接触する第2の当接面30とを備える。
【0029】
スリーブ20およびノズル24をプラスチックチューブ15のチューブの終端部19へ取り付ける方法は、
図5から推測することができる。ノズル24のノズル軸24aが部分的に挿入されるプラスチックチューブ15と、スリーブ20に設けられた組立ピン25は、まず、チューブの終端部19がスリーブ20内に移動し、第1の当接面29がノズル24の終端面に当接するように、互いに軸方向に移動する。次に、突起28の第2の当接面30がプラスチックチューブ15の遠位の端面18に接触するまで、軸方向移動が続けられる。この状態では、スリーブ20およびノズル24は、遠位の端面18に対して明確な軸方向位置を示し、それにより、後に示す凍結プローブ12の機能に不可欠な基礎構成を提供する。
【0030】
ここまで説明した結合プロセスは、スリーブ20がプラスチックチューブ15の外径よりも小さい直径を有する第1の実施の形態および第2の実施の形態において採用され得、スリーブ20の内径は、プラスチックチューブ15の外径と少なくとも同じ大きさである。
【0031】
最初に述べた実施の形態を参照すると、スリーブ20は、その近位端に、特に図示されていない挿入面取り部を有していてもよい。これに代えてまたは加えて、プラスチックチューブ15の端面18は、その半径方向の外縁部において、チューブ側の挿入面取り部を形成する円錐面に移行することができる。この結果、スリーブ20をチューブ終端部19に圧入し、ノズル24をチューブ終端部19に圧入することによりスリーブ20を固定することができる。既に述べた第2の実施の形態を参照すると、スリーブ20は、チューブ終端部19への適用に続いて、少なくとも部分的には半径方向内向きに変形されて収縮される。
図2は、スリーブ20の全周にわたって延び、前記スリーブの塑性変形によって達成された2つの軸方向に離間した、それぞれ環状の圧縮ゾーン31、32を有するそのようなスリーブ20を示す。塑性変形は、スリーブ20を収容する圧縮プロセス中に半径方向内方に移動する2つ以上の締め具によって達成されてもよい。締め具は、1つのロールまたは圧縮スリーブ20の周囲を1回以上回転する複数のローリングツールであってもよい。さらに、スリーブは、部分的にまたは完全に、パルス状磁場を用いて電磁成形によって、すなわち径方向内側に変形されて構成することができる。その際、原則として、ワークピースに対する機械的接触は必要ではないので、スリーブの表面汚染を排除することができる。この方法は、クリーンルーム条件下で使用することができる。
【0032】
これに加えて又はこれに代えて、前述の全ての実施の形態の場合には、チューブ終端部19に適切な接続手段、例えば接着剤でスリーブ20を固定することが可能である。これは、二成分系接着剤(ポリウレタン接着剤またはエポキシ接着剤)、高弾性シアノアクリレート、UV硬化性接着剤、好気性硬化性接着剤、嫌気硬化性接着剤または溶剤含有接着剤であってもよい。接着を促進するために、チューブ終端部19を予め調整することができる。これは、例えば、粗面化、プラズマ活性化、またはプライマーを用いて達成することができる。しかし、好ましくは、接着剤は省略される。
【0033】
また、ノズル24(すなわち、特にノズル軸24a)も圧入によって保持されることが好ましい。これを達成するために、ノズル24は、該ノズルが保持される第1の内腔16よりも僅かに大きい外径を有してもよい。これに加えてまたはこれに代えて、圧入は、少なくともいくつかの領域で、チューブ20からチューブ終端部19に向かって半径方向内側に圧力が加えられるように、チューブの内腔16を圧縮することによっても起こり得る。
【0034】
ノズル24およびスリーブ20をチューブ終端部19に取り付けた後、エンドキャップ21が取り付けられる。位置決めを容易にするために、前記エンドキャップは、1つの環状または複数の、例えば、 3つの、指形状の延長部、またはタブ形状の延長部を備え、スリーブ20の遠位の端面18上に突出する部分の上に延在する。また、延長部は、1つまたは複数の不連続部を示す環状延長部として構成することもできる。次いで、最初に取り付けられたエンドキャップ21は、適切な接合または溶接プロセス、例えばレーザ溶接によって、スリーブ20に液密に接合することができる。
【0035】
図11は、圧縮ゾーン32の領域を破線で示している。明らかなように、圧縮ゾーン32の深さは、スリーブ20の円周に沿って変化してもよい。例えば、経路16、17の直近の圧縮ゾーン32の深さは、経路16、17の変形、特に収縮を限度内に維持するために減少させることができる。また、第1の経路16に対する圧縮作用が、第1の経路16内のノズル24の確実な嵌合を促進するときに、第2の経路17の崩壊を防止するために、第2の経路17の領域における圧縮ゾーン32の深さを減少させることも可能である。
【0036】
さらに、ノズル24を経路16内に軸方向に追加的に固定することができる。
図9は、滑らかな壁を有するパイプセクション33を有するノズル24を示し、前記パイプセクションは、少なくとも1つのノズルオリフィス36を有する小さなノズルプレート34によって一端が閉止されている。ノズルプレート34は、例えばレーザ溶接によってパイプセクション33に溶接することができる。しかし、狭いノズルプレート34を使用する代わりに、成形プロセス中にパイプセクション33の遠位端部を収縮させて、狭められたノズルオリフィス35を形成することも可能である。パイプセクション33に対する狭窄部は、同軸 または偏心などの非対称であってもよいし、パイプセクション33の軸方向に対して斜めに配置された軸に沿って延びていてもよい。
【0037】
両方の場合において、チューブ内腔16内にノズルを軸方向に固定するための構造は、例えば、環状の歯状のリブ36、37、38など、1つ以上のらせん形のリブ、ナブ、例えば粗い領域またはローレット加工がされた不規則な構造により構成されていてもよい。
【0038】
第1の経路16は、流体すなわち液体または気体の低温流体を有するノズル24の供給のために配置される。第2の経路17は、拡張チャンバ23から低温流体を排出するために配置されている。第2の経路17の狭窄部を特にスリーブの領域で最小化または防止するために、チューブ終端部19または経路17全体に沿って支持構造39を設けることが可能である。
図5は、そのような構造の概略図である。そこでは、支持構造39は、
図7から推測できるように、第2の経路17のプラスチック材料のライニングからなる。プラスチックチューブ15は、一般に、ポリアミド、ポリオレフィン、ペバックス、ポリウレタン、PEEK、PI、複合材料または他のプラスチック材料からなるが、比較的剛性の高いプラスチック材料または金属編組で構成することができる。支持構造体がチューブ終端部19に限定されている場合、前記構造体は金属パイプで構成されていてもよい。
【0039】
また、
図8に示すように、チューブ素子14は、同一かまたは異なる直径を有し、本体のヘッド、好ましくはプラスチック本体40に埋め込まれたいくつかの、例えば2つのプラスチックチューブ15、15bで構成されてもよい。これはチューブ終端部19を形成し、それ以外のところは上記の説明がそれに応じて適用される。
【0040】
製造、特にチューブ終端部19のノズル24およびスリーブ20への接合は、より洗練された実施の形態では、代わりに
図4および
図6に示すように組立ピン41を使用して行うこともできる。この場合、第2の当接面30に支持ピン42が配置され、この支持ピンは、第2の経路17の内径に実質的に対応するか、またはそれよりわずかに小さい外径を有する。この組立体を参照すると、支持ピン41は、第2の経路17内に移動し、また、特に、経路17内のスリーブ20の半径方向内向きに変形し、経路17内にとどまる。そうすることで、支持ピン42は、スリーブ40の内向きの変形の結果として経路17が崩壊または収縮されるのを抑制する。
【0041】
これまでに説明した製造方法をさらに変更してもよい。
【0042】
支持ピン42は、スリーブ20の半径方向内向きの変形中に第2の経路17が崩壊するのを防止するために、第2の当接面30のフェース側当接部に当接して接合工程中に第2の経路17に順に挿入される薄肉の小チューブを収容する。さらに、突出部28をオフセットなしに構成することが可能であり、この場合、当接面29は、当接面30の凹部に設けられる。底部が当接面29である凹部は、接合プロセス中に第1の内腔16に挿入されるノズル24の遠位端の収容のために配置される。次に、凹部の深さは、完全に組み立てられた状態でのノズル24の遠位の端面18を越える重なりを決定する。この実施の形態は、
図4および
図6に示した組立ピン41と同様、
図3に示した組立ピン25に適用することができる。凹部は、円筒形の回転対称ノズルを収容するために円形であってもよい。ノズルオリフィスが偏心または斜め方向に延びるように構成されているためにノズルが回転対称でない場合、ノズルはツイスト・プロテクション構造を有し、例えば、ラグまたは凹部などと一致していてもよく、別の適切な方法で非円形であってもよい。そして、凹部は対応して非円形の形状を有する。
【0043】
凍結プローブの本発明の製造方法は、凍結プローブのヘッド13の一部を形成するスリーブ20を受け入れるための組立ピン25を使用し、互いに軸方向にずれた3つの当接面27、29、30を備え、スリーブ20およびノズル24をチューブ終端部19に取り付けることに続いて、特にチューブ終端部19の遠位の端面18に対するノズル24およびスリーブ20の正確な軸方向の位置決めを確実に行う。その結果、スリーブ20が閉じられた後に形成された拡張チャンバ23内のノズル24の位置および凍結プローブの機能は、確保される。
【符号の説明】
【0044】
12 凍結プローブ
13 凍結プローブ12のヘッド
14 チューブ素子
15 2つの内腔のプラスチックチューブ
16 チューブ素子14の第1の経路
17 チューブ素子14の第2の経路
18 プラスチックチューブ15の遠位の端面
19 プラスチックチューブ15の終端部
20 スリーブ
21 エンドキャップ
22 レーザ溶接シーム
23 拡張チャンバ
24 ノズル
24a ノズル軸
25 組立ピン
26 スリーブ受容体
27 圧縮表面
28 突起/台座
29 突起28の第1の当接面
30 突起28の第2の当接面
31、32 圧縮ゾーン
33 滑らかな壁面のパイプセクション
34 ノズルプレート
35 ノズルオリフィス
36、37、38 歯列リブ
39 支持構造
40 プラスチックボディ
41 組立ピン
42 支持ピン