IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼネラル株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】インクジェットインク
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/38 20140101AFI20220214BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20220214BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220214BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220214BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220214BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20220214BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
C09D11/38
B41M5/00 120
B41J2/01 501
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/34
A61K47/36
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017222039
(22)【出願日】2017-11-17
(65)【公開番号】P2019094364
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】306029349
【氏名又は名称】ゼネラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】数野 輝
(72)【発明者】
【氏名】滝川 永一
【審査官】▲吉▼澤 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-331143(JP,A)
【文献】特開昭53-045965(JP,A)
【文献】特開2015-081315(JP,A)
【文献】特開平08-283633(JP,A)
【文献】特開昭63-199781(JP,A)
【文献】特開2005-320528(JP,A)
【文献】国際公開第98/031755(WO,A1)
【文献】特開2010-024287(JP,A)
【文献】特開2016-216625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
B41M 5/00
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤としての食用色素、界面活性剤、および水を含み、前記界面活性剤は、
(A) ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、および
(B) ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
の2種であり、固形の製剤の表面に直接に印字するために用いるインクジェットインク。
【請求項2】
さらに、水溶性有機溶剤、および結着剤としての多糖類を含む請求項1に記載のインクジェットインク。
【請求項3】
前記多糖類はデキストリンである請求項2に記載のインクジェットインク。
【請求項4】
前記(A)のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、式(1):
HO(C O) -(C O) -(C O) H (1)
で表され、式中のa+b+cが35以下のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とくに医薬品等として服用される、錠剤などの固形の製剤の表面に、直接に、たとえば、識別のための文字や記号等を印字するのに適したインクジェットインクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医薬品等として服用される錠剤、カプセル剤その他、固形の製剤の表面に、直接に、インクジェットインクを用いて印字をする技術が普及しつつある。
固形の製剤の表面に印字をするためのインクジェットインクとしては、通常、食用色素等の着色剤と、水とを含む水性のインクジェットインクが用いられる。また、上記水性のインクジェットインクに、表面張力や濡れ性等を調整するために、たとえば、ソルビタン脂肪酸エステルなどの、食品用等として使用可能な脂肪酸エステルを、界面活性剤として配合することも検討されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-169301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、発明者の検討によると、特許文献1に記載のインクジェットインクは、印字のデキャップタイムにインクジェットプリンタのノズルで目詰まり等して、印字の再開時にかすれ等を生じやすいという課題がある。
デキャップタイムとは、オンデマンド型のインクジェットプリンタに複数設けられたノズルのうち、間欠印字時に、印字パターンに応じてインク滴が吐出されない待機状態とされたノズル内のインクジェットインクが、外気にさらされている時間を指す。
【0005】
インクジェットプリンタには、通常、その運転停止時に、ノズル内のインクジェットインクが外気にさらされることで乾燥して、目詰まり等を生じたりしないようにするために、ノズルを閉じる(キャップする)機能が付与されているのが一般的である。
しかし、印字時にはキャップは解除されているため、とくに、間欠印字時に待機状態となるノズルは、次にインク滴が吐出されるまでの間、ノズルが閉じられていない状態(デキャップの状態)が続く。そして、その間、ノズル内のインクジェットインクは外気にさらされ続けることになるため、上記時間、つまりデキャップタイムが長いほど、ノズルの目詰まり等を生じやすくなる傾向がある。
【0006】
デキャップタイムにノズルの目詰まり等を生じにくい特性を、以下では「間欠印字性」の良否として評価することとする。目詰まり等を生じないデキャップタイムが長ければ長いほど、インクジェットインクは、間欠印字性が良好であると評価することができる。
また、特許文献1に記載のインクジェットインクは、パドリングを生じやすいという課題もある。
【0007】
パドリングとは、ノズルを通してインク滴が吐出される際に、当該インク滴から分離してノズル側に残ったインクジェットインクが、ノズルが形成されたノズルプレートの、ノズルの出口の周囲に濡れ拡がってインク溜まり(パドル)を形成する現象である。
ノズルの出口の周囲にパドリングが発生すると、ノズルからのインク滴の吐出が妨げられて、吐出されたインク滴の軌道が変化したり、吐出されるべき所定の体積のインク滴が吐出されなかったり、インク滴が全く吐出されなかったりする吐出不良を生じやすい。そして、これらの吐出不良を生じる結果、良好な印字をすることができなくなる場合がある。
【0008】
印字を繰り返した際に、パドリングによるインク滴の吐出不良を生じにくい特性を、以下では「連続印字性」の良否として評価することとする。パドリングによる吐出不良を生じることなく、連続して印字し続けることができる印字回数が多ければ多いほど、インクジェットインクは、連続印字性が良好であると評価することができる。
本発明の目的は、とくに、固形の製剤の表面等への印字に用いることができ、しかも、従来のものに比べて間欠印字性、および連続印字性に優れたインクジェットインクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、着色剤としての食用色素、界面活性剤、および水を含み、前記界面活性剤は、
(A) ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、および
(B) ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
の2種であり、固形の製剤の表面に直接に印字するために用いるインクジェットインクである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、固形の製剤の表面等への印字に用いることができ、しかも、従来のものに比べて間欠印字性、および連続印字性に優れたインクジェットインクを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、上述したように着色剤としての食用色素、界面活性剤、および水を含み、前記界面活性剤は、
(A) ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(以下「界面活性剤A」と略記する場合がある。)、および
(B) ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(以下「界面活性剤B」と略記する場合がある。)
の2種であり、固形の製剤の表面に直接に印字するために用いるインクジェットインクである。
【0012】
上記(A)(B)の2種の界面活性剤は、いずれも、食品用等として使用可能な界面活性剤として知られているものである。
発明者の検討によると、このうち界面活性剤Bは、インクジェットインクの間欠印字性を向上する機能に優れている。
インク滴が吐出されない待機時に、インクジェットプリンタのノズル内では、インクジェットインクと外気との気液界面にメニスカスが形成されて、インクジェットインクは静止状態とされる。
【0013】
ところが、デキャップタイムが長くなると、乾燥によってインクジェットインクの濃度が上昇し、表面張力が変化して、ノズルの内面に対するインクジェットインクの濡れ性と、それに伴うメニスカスの接触角が変化する。その結果、ノズル内で安定したメニスカスを維持することができなくなる場合がある。また、濃度の上昇に伴って、インクジェットインクの粘度が上昇したり、析出物を生じたりしやすくなる場合もある。
【0014】
そして、これらのことが、デキャップタイムにノズルの目詰まり等を生じて、印字の再開時にかすれ等を生じる原因となる。
また、デキャップタイムにインクジェットインクの乾燥が進行し、ノズル内で、メニスカスが形成される位置が徐々に後退して、印字の再開時にインクジェットインクの吐出が遅れることも、かすれ等を生じる原因となる。
【0015】
これに対し、界面活性剤Bは、表面張力が低く、濡れ性が高いため、メニスカスを形成する気液界面で配向して、インクジェットインクの乾燥を抑制したり、インクジェットインクの濡れ性を安定化したりするために機能する。そのため、ノズル内で、所定の位置に安定したメニスカスを維持することができる。
しかも、界面活性剤Bは、食用色素等の着色剤や、インクジェットインクの吐出を繰り返した際に発生するヘッドカス等の、インクジェットインク中に含まれる固形分の周囲を囲んでミセルを形成して、これらの固形分がインクジェットインク中に析出するのを抑制する働きもする。
【0016】
したがって、界面活性剤として界面活性剤Bを用いることによって、インクジェットインクの間欠印字性を向上することができる。
しかし、界面活性剤Bは、上述したように濡れ性が高いため、これを単独で使用した場合には、インクジェットインクが、ノズルプレートの、ノズルの出口の周囲に濡れ拡がってパドリングを生じやすくなる。そして、インクジェットインクの連続印字性が低下する場合がある。
【0017】
一方、界面活性剤Aは、表面張力が高く、濡れ性が低いため、上述した間欠印字性を向上する機能は有しない。しかし、界面活性剤Aは、表面張力が高く、濡れ性が低いため、インク滴から分離してノズル側に残ったインクジェットインクがノズルプレートの表面で濡れ拡がってパドリングを生じるのを抑制する機能に優れている。
しかも、界面活性剤Aは、界面活性剤Bとの相溶性にも優れている。
【0018】
併用する2種の界面活性剤の相溶性が低いと、インクジェットインクの濃度上昇を生じたり、前述した固形分が析出したりしやすくなるため、インクジェットインクの間欠印字性が低下したり、貯蔵安定性が低下したりする場合がある。
しかし、上述したように、界面活性剤Aは、界面活性剤Bとの相溶性に優れている。そのため、この両者を界面活性剤として併用することにより、貯蔵安定性を低下させることなく、また良好な間欠印字性を維持しながら、濡れ性を適度の範囲に調整し、表面張力によるパドリングの拡がりを調整して、連続印字性を向上することができる。
【0019】
したがって、本発明によれば、固形の製剤の表面等への印字に用いることができ、しかも、従来のものに比べて間欠印字性、および連続印字性に優れたインクジェットインクを提供することができる。
また、界面活性剤Bは、起泡性が高く、泡立ちやすい。そのため、とくに、インクジェットインクを加熱して気泡を発生させることで、その体積増加分のインクジェットインクをノズルからインク滴として吐出させる、いわゆるサーマル方式のインクジェットプリンタに使用した際に、泡噛みによる吐出不良を生じやすい。これに対し、界面活性剤Aは消泡性を有しているため、界面活性剤Aを界面活性剤Bと併用することにより、泡噛みによる吐出不良が発生するのを抑制することもできる。
【0020】
〈界面活性剤A〉
界面活性剤Aとしては、たとえば、式(1):
HO(CO)-(CO)-(CO)H (1)
で表されるポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンの縮合物であって、前述した機能を有する種々の、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが挙げられる。
【0021】
中でも、インクジェットインクの連続印字性を向上する効果の点で、たとえば、15~25℃で液状を呈するポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが好ましい。
上記の温度範囲で液状を呈するポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、たとえば、
・ 式(1)中のa+cで表されるE.O.(エチレンオキサイド)の繰り返し単位数が3以上、200以下、とくに170以下で、かつ
・ 式(1)中のbで表されるP.O.(プロピレンオキサイド)の繰り返し単位数が15以上、70以下、とくに40以下、
である化合物が挙げられる。
【0022】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの具体例としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種化合物等の1種または2種以上が挙げられる。
三洋化成工業(株)製のニューポール(登録商標)PEシリーズのうちPE-61〔a+c=5、b=30、a+b+c=35、曇点(1質量%水希釈液):24℃〕、PE-62〔a+c=10、b=30、a+b+c=40、曇点(1質量%水希釈液):30℃〕、PE-71〔a+c=5、b=35、a+b+c=40、曇点(1質量%水希釈液):20℃〕、PE-74〔a+c=30、b=35、a+b+c=65、曇点(1質量%水希釈液):56℃〕、PE-75〔a+c=48、b=35、a+b+c=83、曇点(1質量%水希釈液):69℃〕。
【0023】
(株)ADEKA製のアデカ(登録商標)プルロニックLシリーズのうちL-31〔a+c=3、b=17、a+b+c=20、曇点:39℃〕、プルロニックFシリーズのうちF-68〔a+c=160、b=30、a+b+c=190、曇点:100℃超〕、F-87〔a+c=120、b=40、a+b+c=160、曇点:100℃超〕、F-127〔a+c=196、b=67、a+b+c=263、曇点:100℃超〕、プルロニックPシリーズのうちP-85〔a+c=54、b=39、a+b+c=93、曇点:75℃〕、P-123〔a+c=42、b=67、a+b+c=109〕。
【0024】
BASFジャパン(株)製のコリフォールシリーズのうちP188〔a+c=160、b=30、a+b+c=190〕、P407〔a+c=196、b=67、a+b+c=263〕、ルトロールシリーズのうちF68〔a+c=160、b=30、a+b+c=190、曇点:100℃超〕、F127〔a+c=196、b=67、a+b+c=263〕。
【0025】
中でも、連続印字性を向上する効果の点で、式(1)中のa+b+cが40以下、とくに35以下である化合物が好ましい。
〈界面活性剤B〉
界面活性剤Bとしては、ソルビタンエステル・エチレンオキシド付加型の構造を有し、前述した機能を有する種々の、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを用いることができる。中でも、インクジェットインクの間欠印字性を向上する効果の点で、HLBが10以上、20以下であるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの具体例としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種化合物等の1種または2種以上が挙げられる。
【0026】
花王(株)製のエマゾール(登録商標)シリーズのうちL-120V〔ポリオキシエチレ
ンソルビタンモノラウレート、HLB:16.7〕、O-120V〔ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、HLB:15〕、S-120V〔ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、HLB:14.9〕。
日油(株)製のノニオン(商品名)シリーズのうちLT-221〔ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、HLB:16.7〕、LT-280〔ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、HLB:19.0〕、ST-221〔ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、HLB:15.7〕、OT-221〔ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、HLB:15.7〕、OT-521〔ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、HLB:10.8〕。
【0027】
日油(株)製のウィルサーフ(登録商標)シリーズのうちTF-20〔ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、HLB:16.7〕、TF-60〔ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、HLB:15.7〕、TF-80〔ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、HLB:15.7〕。
中でも、間欠印字性を向上する効果の点で、HLBが14以上、とくに15以上である化合物が好ましい。
【0028】
界面活性剤としては、上記界面活性剤Aおよび界面活性剤Bの2種のみ(それぞれの界面活性剤について、2種以上を併用する場合を含む)を用いる。
〈含有量、含有比率〉
界面活性剤Aの含有量は、インクジェットインクの総量の0.01質量%以上、とくに0.08質量%以上であるのが好ましく、2質量%以下、とくに1.6質量%以下であるのが好ましい。
【0029】
界面活性剤Aの含有量がこの範囲未満では、前述した、界面活性剤Bと併用することで、インクジェットインクの濡れ性を適度の範囲に調整して、連続印字性を向上する効果や、泡噛みによる吐出不良が発生するのを抑制する効果が十分に得られない場合がある。
一方、界面活性剤Aの含有量が上記の範囲を超える場合には、インクジェットインクの表面張力が高く、濡れ性が低くなりすぎるため、インクジェットインクがインクジェットプリンタのノズルにスムースに供給されなくなって、吐出不良を生じる場合がある。
【0030】
これに対し、界面活性剤Aの含有量を上記の範囲とすることにより、インクジェットインクの濡れ性を適度の範囲に調整して、供給不良や泡噛みによる吐出不良を生じることなしに、連続印字性を向上することができる。
界面活性剤Bの含有量は、インクジェットインクの総量の0.01質量%以上、とくに0.08質量%以上であるのが好ましく、2質量%以下、とくに1.6質量%以下であるのが好ましい。
【0031】
界面活性剤Bの含有量がこの範囲未満では、前述した、間欠印字性を向上する効果が十分に得られない場合がある。
一方、界面活性剤Bの含有量が上記の範囲を超える場合には、インクジェットインクの表面張力が低く、濡れ性が高くなりすぎて、前述したように連続印字性が低下する場合がある。また、ノズル内にメニスカスが形成されずに、インクジェットインクがノズルの先端から漏れたりする場合もある。さらに、泡噛みによる吐出不良を生じやすくなる場合もある。
【0032】
これに対し、界面活性剤Bの含有量を上記の範囲とすることにより、インクジェットインクの濡れ性を適度の範囲に調整して、泡噛みによる吐出不良や漏れを生じることなく、また連続印字性の低下を生じることなしに、間欠印字性を向上することができる。
界面活性剤Aと界面活性剤Bの含有比率は、質量比A/Bで表して0.05以上、とくに0.25以上であるのが好ましく、20.0以下、とくに4.00以下であるのが好ましい。また、後述するようにインクジェットインクが水溶性有機溶剤と結着剤とを含む場合に、間欠印字性をより一層向上することを考慮すると、質量比A/Bは、上記の範囲でも、さらに1.30以下であるのが好ましい。
【0033】
この範囲より界面活性剤Aが少ない場合には、界面活性剤Bと併用することで、インクジェットインクの濡れ性を適度の範囲に調整して、連続印字性を向上する効果や、泡噛みによる吐出不良が発生するのを抑制する効果が十分に得られない場合がある。
また、相対的に界面活性剤Bが多くなるため、インクジェットインクの表面張力が低く、濡れ性が高くなりすぎて、連続印字性が低下したり、ノズル内にメニスカスが形成されずに、インクジェットインクがノズルの先端から漏れたりする場合がある。また、泡噛みによる吐出不良を生じやすくなる場合もある。
【0034】
また、上記の範囲より界面活性剤Aが多い場合には、インクジェットインクの表面張力が高く、濡れ性が低くなりすぎるため、インクジェットインクがインクジェットプリンタのノズルにスムースに供給されなくなって、吐出不良を生じる場合がある。
また、相対的に界面活性剤Bが少なくなって、間欠印字性を向上する効果が十分に得られない場合もある。
【0035】
これに対し、界面活性剤Aと界面活性剤Bの質量比A/Bを上記の範囲とすることにより、インクジェットインクの濡れ性を適度の範囲に調整して、供給不良や泡噛みによる吐出不良や漏れ等を生じることなしに、連続印字性、間欠印字性を向上することができる。
界面活性剤Aと界面活性剤Bの合計の含有量A+Bは、インクジェットインクの総量の0.02質量%以上、とくに0.16質量%以上であるのが好ましく、4質量%以下、とくに3.2質量%以下であるのが好ましい。
【0036】
合計の含有量がこの範囲未満では、界面活性剤Aおよび界面活性剤Bを併用したことによる、インクジェットインクの濡れ性を適度の範囲に調整して、吐出不良や漏れ等を生じることなしに、連続印字性、間欠印字性を向上する効果が十分に得られない場合がある。
また、合計の含有量が上記の範囲を超える場合には、2種の界面活性剤の相溶性が低下して、インクジェットインクの濃度上昇を生じたり、固形分が析出したりしやすくなるため、インクジェットインクの連続印字性や間欠印字性が低下したり、貯蔵安定性が低下したりする場合がある。
【0037】
これに対し、界面活性剤Aと界面活性剤Bの合計の含有量を上記の範囲とすることにより、インクジェットインクの濡れ性を適度の範囲に調整して、供給不良や泡噛みによる吐出不良や漏れ等を生じることなしに、連続印字性、間欠印字性を向上することができる。
〈着色剤〉
着色剤としては、食品添加物もしくは医薬品添加物として使用が認められた各種の着色剤を用いることができる。着色剤としては、たとえば、合成あるいは天然の食用色素等の1種または2種以上が挙げられる。
【0038】
このうち、合成食用色素としては、たとえば、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色1号、食用青色1号、食用青色2号、食用赤色40号、食用赤色40号アルミニウムレーキ、食用赤色3号アルミニウムレーキ、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用青色1号アルミニウムレーキ、食用青色2号アルミニウムレーキ等が挙げられる。
【0039】
また、天然食用色素としては、たとえば、カラメル色素、トマト色素、ウコン色素、クチナシ色素、β‐カロテン色素、パーム油カロテン、マリーゴールド色素、ベニバナ色素、トウガラシ色素、モナスカス色素、アナトー色素、ラック色素、コチニール色素、ベニコウジ色素、ビートレッド色素、アカキャベツ色素、ムラサキイモ色素、アカダイコン色素、ブドウ果皮色素、アントシアニン色素、シソ色素、エルダーベリー色素、紫トウモロコシ色素、クチナシ色素、カカオ色素、カキ色素、コウリャン色素、スピルリナ色素、パプリカ色素、イカスミ色素、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、クロロフィル、銅クロロフィルおよびその金属塩(ナトリウム塩等)、鉄クロロフィルおよびその金属塩(ナトリウム塩等)等が挙げられる。
【0040】
着色剤の種類および含有量は、色味や色濃度等に応じて適宜設定することができる。
〈水溶性有機溶剤〉
溶剤として水のみを用いたインクジェットインクは、印字後に加熱等することにより、短時間で乾燥させることができる。したがって、本発明のインクジェットインクは、溶剤として水のみを用いて構成してもよい。
【0041】
しかし、溶剤として、水とともに水溶性有機溶剤を併用すると、インクジェットインクに速乾性を付与して、印字後の加熱等を省略することもできる。
水溶性有機溶剤としては、たとえば、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等の炭素数3~4のアルコールや、2-エトキシエタノール(エチレングリコールモノエチルエーテル)、2-メトキシエタノール(エチレングリコールモノメチルエーテル)等のエチレングリコールエーテルなどの1種または2種以上が挙げられる。とくに、エタノールが好ましい。
【0042】
水溶性有機溶剤の含有量は、インクジェットインクの総量の10質量%以上であるのが好ましく、20質量%以下であるのが好ましい。
〈結着剤〉
水溶性有機溶剤を含むインクジェットインクは、速乾性が向上する分、インク滴が吐出されない待機時にも乾燥しやすくなって、間欠印字性が低下する場合がある。
【0043】
発明者の検討によると、水溶性有機溶剤を含むインクジェットインクの間欠印字性を向上するためには、食品用等として使用可能な結着剤を添加するのが好ましい。かかる結着剤としては、たとえば、多糖類、二糖類、単糖類等が挙げられ、とくに多糖類が好ましい。
多糖類は、水および水溶性有機溶剤の両方に対して、いずれも強すぎない適度の溶解性を有しており、最初から溶解性に余裕を持たせない状態で、インクジェットインク中に溶解している。
【0044】
この状態では、待機状態に入り、ノズル内のインクジェットインクが静止してメニスカスが形成されると、形成されたメニスカスの液面に多糖類が速やかに析出してごく薄い膜を形成する。これにより、インクジェットインクの乾燥が抑制され、膜の内側のインクジェットインクが、待機状態の間、吐出可能な低粘度の状態に維持される。
しかも、多糖類は、ほとんど造膜性のない硬脆い成分であるため、当該多糖類からなる薄い膜は、次の吐出時にノズル内のインクジェットインクに加わる吐出圧力によって簡単に破られる。そのため、待機状態の終了直後から、所定体積のインク滴を吐出させることができ、結果として、間欠印字性を向上することができる。
【0045】
多糖類としては、たとえば、デキストリン、デンプン、セルロース、ペクチン、カラギーナン等の1種または2種以上が挙げられ、とくにデキストリンが好ましい。また、デキストリンとしては、デンプンを加水分解して生成される広義のデキストリンのうち、デキストロース当量(DE)によって分類される狭義のデキストリン(DE≦10)、マルトデキストリン(10<DE<20)、および粉あめ(DE≧20)等の1種または2種以上を用いることができる。
【0046】
また、その他の結着剤としては、たとえば、マルトース、スクロース、トレハロース等の二糖類、マンニトール、グルコース、フルクトース、ガラクトース等の単糖類、あるいはマルトトリオースを主成分とする直鎖オリゴ糖であるオリゴトースなどが挙げられる。
多糖類等の結着剤の含有量は、インクジェットインクの総量の0.1質量%以上であるのが好ましく、1質量%以下であるのが好ましい。
【0047】
上記の各成分に、さらに水(たとえば、超純水)を加えて総量を100質量%とすることで、本発明のインクジェットインクが調製される。
上記各成分を含む本発明のインクジェットインクは、先述したオンデマンド型のインクジェットプリンタに、好適に使用することができる。とくに、オンデマンド型のサーマル方式のインクジェットプリンタに使用して、錠剤、カプセル剤その他、固形の製剤の表面に、直接に、印字をすることが可能である。
【実施例
【0048】
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて説明するが、本発明の構成は、必ずしもこれらの実施例、比較例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
下記の各成分を配合したのち、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過してインクジェットインクを調製した。
【0049】
【表1】
【0050】
表中の各成分は下記の通り。
着色剤:食用赤色102号
界面活性剤A:式(1)中のa+c=5、b=30、a+b+c=35であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール〔前出の、三洋化成工業(株)製のニューポールPE-61、曇点(1質量%水希釈液):24℃〕
界面活性剤B:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート〔前出の、花王(株)製のエマゾールL-120V、HLB:16.7〕
界面活性剤Aと界面活性剤Bの質量比A/B=1.0、合計の含有量A+B=0.2質量%であった。
【0051】
〈実施例2〉
インクジェットインクの総量中の界面活性剤Bの含有量を1.0質量%、超純水の含有量を96.9質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、インクジェットインクを調製した。界面活性剤Aと界面活性剤Bの質量比A/B=0.1、合計の含有量A+B=1.1質量%であった。
【0052】
〈実施例3〉
インクジェットインクの総量中の界面活性剤Aの含有量を1.5質量%、界面活性剤Bの含有量を1.5質量%、超純水の含有量を95.0質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、インクジェットインクを調製した。界面活性剤Aと界面活性剤Bの質量比A/B=1.0、合計の含有量A+B=3.0質量%であった。
【0053】
〈実施例4〉
界面活性剤Aとして、式(1)中のa+c=5、b=35、a+b+c=40であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール〔前出の、三洋化成工業(株)製のニューポールPE-71、曇点(1質量%水希釈液):20℃〕を配合したこと以外は実施例1と同様にして、インクジェットインクを調製した。界面活性剤Aの含有量は、インクジェットインクの総量中の0.1質量%とした。界面活性剤Aと界面活性剤Bの質量比A/B=1.0、合計の含有量A+B=0.2質量%であった。
【0054】
〈実施例5〉
界面活性剤Bとして、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート〔前出の、花王(株)製のエマゾールS-120V、HLB:14.9〕を配合したこと以外は実施例1と同様にして、インクジェットインクを調製した。界面活性剤Bの含有量は、インクジェットインクの総量中の0.1質量%とした。界面活性剤Aと界面活性剤Bの質量比A/B=1.0、合計の含有量A+B=0.2質量%であった。
【0055】
〈比較例1〉
インクジェットインクの総量中の界面活性剤Aの含有量を0.2質量%として、界面活性剤Bを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、インクジェットインクを調製した。
〈比較例2〉
界面活性剤Aを配合せず、インクジェットインクの総量中の界面活性剤Bの含有量を0.2質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、インクジェットインクを調製した。
【0056】
〈比較例3〉
界面活性剤Bに代えて、ソルビタン脂肪酸エステルであるソルビタンモノラウレート〔花王(株)製のエマゾールL-10V、HLB:8.6〕(以下、「界面活性剤C」とする)を配合したこと以外は実施例1と同様にして、インクジェットインクを調製した。界面活性剤Cの含有量は、インクジェットインクの総量中の0.1質量%とした。
【0057】
〈比較例4〉
界面活性剤Aおよび界面活性剤Bに代えて、比較例3で使用したのと同じ界面活性剤Cのみを配合したこと以外は実施例1と同様にして、インクジェットインクを調製した。界面活性剤Cの含有量は、インクジェットインクの総量中0.2質量%とした。このものは、特許文献1に記載の従来のインクジェットインクを再現したものに該当する。
【0058】
〈連続印字性試験〉
オンデマンド型のサーマル方式のインクジェットプリンタ〔ビデオジェット(株)製のPrint Mail Wide Array〕を使用して、実施例、比較例で調製したインクジェットインクにより、錠剤の表面に、2ポイントの半濁音「゜」を連続して印字した。
【0059】
そして、印字を目視にて観察して、インクジェットインクの吐出不良による印字の欠け、潰れ、飛び散り等を生じなかった印字回数を記録して、下記の基準で連続印字性を評価した。
○:100万回以上
△:40万回以上、100万回未満
×:40万回未満
〈間欠印字性試験〉
連続印字性評価で使用したのと同じインクジェットプリンタを使用して、実施例、比較例で調製したインクジェットインクにより、錠剤の表面に、2ポイントの半濁音「゜」を印字し、所定の時間、デキャップの状態で静置した後に再び印字した。そして、かすれ等のない明瞭な印字が可能であった静置時間を記録して、下記の基準で間欠印字性を評価した。
【0060】
◎:100分間以上
○:65分間以上、100分間未満
△:30分間以上、65分間未満
×:30分間未満
以上の結果を表2、表3に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
表2、表3の実施例1~5、比較例1~4の結果より、界面活性剤として、従来のソルビタン脂肪酸エステルに代えて、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(界面活性剤A)と、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(界面活性剤B)とを併用することにより、間欠印字性、および連続印字性に優れたインクジェットインクを提供できることが判った。
【0064】
実施例1~3の結果より、上記の特性を向上するためには、界面活性剤Aおよび界面活性剤Bの含有量は、いずれも、インクジェットインクの総量の0.01質量%以上、とくに0.08質量%以上であるのが好ましく、2質量%以下、とくに1.6質量%以下であるのが好ましいことが判った。また、界面活性剤Aおよび界面活性剤Bの合計の含有量は、インクジェットインクの総量の0.02質量%以上、とくに0.16質量%以上であるのが好ましく、4質量%以下、とくに3.2質量%以下であるのが好ましいことが判った。
【0065】
実施例1、4の結果より、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(界面活性剤A)としては、間欠印字性を向上する効果の点で、式(1)中のa+b+cが40以下、とくに35以下である化合物が好ましいことが判った。
実施例1、5の結果より、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(界面活性剤B)としては、間欠印字性を向上する効果の点で、HLBが14以上、とくに15以上である化合物が好ましいことが判った。
【0066】
〈実施例6~9〉
インクジェットインクの総量中の界面活性剤Aおよび界面活性剤Bの含有量、および質量比A/Bを、それぞれ表4に示す値としたこと以外は実施例1と同様にして、インクジェットインクを調製した。界面活性剤Aと界面活性剤Bの合計の含有量A+Bは、いずれも0.2質量%であった。
【0067】
各実施例で調製したインクジェットインクについて、前述した連続印字性試験、間欠印字性試験をして、その特性を評価した。結果を、実施例1の結果と併せて表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】
表4の実施例1、6~9の結果より、界面活性剤Aと界面活性剤Bの質量比A/Bは、連続印字性、間欠印字性をともに向上することを考慮すると、0.05以上、とくに0.25以上であるのが好ましく、20.0以下、とくに4.00以下であるのが好ましいことが判った。
〈実施例10〉
下記の各成分を配合したのち、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過してインクジェットインクを調製した。
【0070】
【表5】
【0071】
表中の各成分は下記の通り。
着色剤:食用赤色102号
界面活性剤A:式(1)中のa+c=5、b=30、a+b+c=35であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール〔前出の、三洋化成工業(株)製のニューポールPE-61、曇点(1質量%水希釈液):24℃〕
界面活性剤B:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート〔前出の、花王(株)製のエマゾールL-120V、HLB:16.7〕
多糖類:粉あめ〔昭和産業(株)製のK-SPD(登録商標)、DE値:25~29〕
界面活性剤Aと界面活性剤Bの質量比A/B=1.0、合計の含有量A+B=0.2質量%であった。
【0072】
〈実施例11〉
インクジェットインクの総量中の多糖類の含有量を0.5質量%、超純水の含有量を79.3質量%としたこと以外は実施例10と同様にして、インクジェットインクを調製した。界面活性剤Aと界面活性剤Bの質量比A/B=1.0、合計の含有量A+B=0.2質量%であった。
【0073】
〈実施例12〉
インクジェットインクの総量中の多糖類の含有量を1.0質量%、超純水の含有量を78.8質量%としたこと以外は実施例10と同様にして、インクジェットインクを調製した。界面活性剤Aと界面活性剤Bの質量比A/B=1.0、合計の含有量A+B=0.2質量%であった。
【0074】
〈実施例13〉
インクジェットインクの総量中の界面活性剤Aの含有量を0.01質量%、界面活性剤Bの含有量を0.01質量%、超純水の含有量を79.48質量%としたこと以外は実施例11と同様にして、インクジェットインクを調製した。界面活性剤Aと界面活性剤Bの質量比A/B=1.0、合計の含有量A+B=0.02質量%であった。
【0075】
〈実施例14〉
インクジェットインクの総量中の界面活性剤Aの含有量を1.0質量%、界面活性剤Bの含有量を1.0質量%、超純水の含有量を77.5質量%としたこと以外は実施例11と同様にして、インクジェットインクを調製した。界面活性剤Aと界面活性剤Bの質量比A/B=1.0、合計の含有量A+B=2.0質量%であった。
【0076】
〈実施例15〉
インクジェットインクの総量中の界面活性剤Aの含有量を2.0質量%、界面活性剤Bの含有量を1.0質量%、超純水の含有量を76.5質量%としたこと以外は実施例11と同様にして、インクジェットインクを調製した。界面活性剤Aと界面活性剤Bの質量比A/B=2.0、合計の含有量A+B=3.0質量%であった。
【0077】
各実施例で調製したインクジェットインクについて、前述した連続印字性試験、間欠印字性試験をして、その特性を評価した。結果を表6に示す。
【0078】
【表6】
【0079】
表6の実施例10~12の結果より、水とともに、水溶性有機溶剤であるエタノールを含む系では、多糖類を配合することで、間欠印字性を向上できることが判った。また、多糖類の含有量は、インクジェットインクの総量の0.1質量%以上であるのが好ましく、1質量%以下であるのが好ましいことが判った。
【0080】
実施例11と実施例13~15の結果より、上記系においても、界面活性剤Aおよび界面活性剤Bの含有量は、いずれも、インクジェットインクの総量の0.01質量%以上、とくに0.08質量%以上であるのが好ましく、2質量%以下、とくに1.6質量%以下であるのが好ましいことが判った。また、界面活性剤Aおよび界面活性剤Bの合計の含有量は、インクジェットインクの総量の0.02質量%以上、とくに0.16質量%以上であるのが好ましく、4質量%以下、とくに3.2質量%以下であるのが好ましいことが判った。さらに界面活性剤Aと界面活性剤Bの質量比A/Bは、0.05以上、とくに0.25以上であるのが好ましく、20.0以下、中でも4.00以下、とくに1.30以下であるのが好ましいことが判った。