(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】プログラム、ゲーム装置、及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/80 20140101AFI20220128BHJP
A63F 13/45 20140101ALI20220128BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20220128BHJP
【FI】
A63F13/80 A
A63F13/45
A63F13/55
(21)【出願番号】P 2017229073
(22)【出願日】2017-11-29
【審査請求日】2020-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】517248421
【氏名又は名称】合同会社DGホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】岡宮 道生
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-064041(JP,A)
【文献】マリオパーティ4,週刊ファミ通,株式会社エンターブレイン,2002年10月04日,第17巻 第40号 ,第243頁
【文献】ドラゴンクエスト&ファイナルファンタジー in いただきストリート ポータブル,電撃PSP,メディアワークス,2006年07月07日,第12巻 第21号 ,第68,69頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に配列された複数のマスによって構成されるルートをコマが進むゲームにおいて、前記コマの現在のマス、及び、予め定められた複数の移動量候補に基づいて、前記コマが次に移動する可能性のある複数の移動先候補マスを特定する移動先候補特定手段、及び、
前記複数の移動量候補の中から1の移動量を選出し、選出した移動量に応じて前記コマを次の移動先に進める移動量選出手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記移動量選出手段は、前記移動先候補特定手段が特定した複数の移動先候補マスに応じて、前記複数の移動量候補の中から1の移動量を選出する選出処理の内容を変化させる
プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記移動量選出手段は、前記複数の移動先候補マスのそれぞれに設定された属性情報に応じて、前記選出処理の内容を変化させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項2に記載のプログラムにおいて、
前記移動量選出手段は、前記複数の移動量候補のそれぞれに割り当てる選出確率を、前記複数の移動先候補マスのそれぞれに設定された属性情報に応じて決定し、割り当てられた選出確率にしたがって前記複数の移動量候補の中から1の移動量を選出する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項4】
請求項3に記載のプログラムにおいて、
前記移動量選出手段は、前記複数の移動量候補の中から1の移動量が選出される様子を示す選出映像を表示し、前記複数の移動量候補のそれぞれに割り当てられた選出確率に応じて、前記選出映像内における前記複数の移動量候補それぞれの表示量を決定する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のプログラムにおいて、
前記移動量選出手段は、前記複数の移動量候補のそれぞれに割り当てる選出確率を、前記複数の移動先候補マスのそれぞれに設定された属性情報と、プレイヤーについて設定されているパラメーターの値と、に応じて決定する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項3又は4に記載のプログラムにおいて、
前記移動量選出手段は、前記複数の移動量候補のそれぞれに割り当てる選出確率を、前記複数の移動先候補マスのそれぞれに設定された属性情報と、予め設定されたゲームのプレイ目的と、に応じて決定する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項3又は4に記載のプログラムにおいて、
前記移動量選出手段は、前記複数の移動量候補のそれぞれに割り当てる選出確率を、前記複数の移動先候補マスのそれぞれに設定された属性情報と、予め設定されたゲームの難易度と、に応じて決定する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項2から7のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記移動量選出手段は、前記複数の移動量候補の中から1の移動量が選出される様子を示す選出映像を表示し、前記複数の移動量候補のそれぞれに対応する移動先候補マスに設定された属性情報に応じて、前記選出映像内における前記複数の移動量候補の表示順序を決定する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
順に配列された複数のマスによって構成されるルートをコマが進むゲームにおいて、前記コマの現在のマス、及び、予め定められた複数の移動量候補に基づいて、前記コマが次に移動する可能性のある複数の移動先候補マスを特定する移動先候補特定手段と、
前記複数の移動量候補の中から1の移動量を選出し、選出した移動量に応じて前記コマを次の移動先に進める移動量選出手段と、
を含み、
前記移動量選出手段は、前記移動先候補特定手段が特定した複数の移動先候補マスに応じて、前記複数の移動量候補の中から1の移動量を選出する選出処理の内容を変化させる
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項10】
順に配列された複数のマスによって構成されるルートをコマが進むゲームにおいて、前記コマの現在のマス、及び、予め定められた複数の移動量候補に基づいて、前記コマが次に移動する可能性のある複数の移動先候補マスを特定する移動先候補特定ステップと、
前記複数の移動量候補の中から1の移動量を選出し、選出した移動量に応じて前記コマを次の移動先に進める移動量選出ステップと、
を含み、
前記移動量選出ステップでは、前記移動先候補特定ステップで特定された複数の移動先候補マスに応じて、前記複数の移動量候補の中から1の移動量を選出する選出処理の内容を変化させる
ことを特徴とするゲーム装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のマスによって構成されるルートをコマが進んでいく処理を実行するプログラム、ゲーム装置、及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータゲームの一種として、双六のように、プレイヤーを表すコマが、複数のマスによって構成されるルートを進んでいくゲームが知られている(例えば特許文献1参照)。このようなゲームでは、1回のターンにコマが進むマスの数(移動量)は、複数の移動量候補(例えば1マス~6マス)の中から選出される。具体的には、サイコロのように複数の候補の中から完全にランダムで移動量が選出される場合もあれば、ルーレットのようにプレイヤーの操作タイミングなどに応じて移動量が選出される場合もある。そして、選出された移動量に応じてコマを進めると、進んだ先のマスに設定されたイベントが発生したりすることでゲームが進行していく。このようなゲームでは、毎回の移動量が複数の候補の中から選出されるので、プレイヤーはコマが次にどのマスに移動するかを事前に予測することが難しく、ゲームの展開に意外性が生まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例のゲームでは、複数の候補の中から移動量を選出する方法自体は、ゲームの状況にかかわらず常に変化しない。そのため、ゲーム展開の意外性は、もっぱら移動量の選出結果に依存しており、ゲームの進行状況等に合わせてゲームの演出や内容に変化を生じさせるといったゲーム展開の調整を行うことは難しかった。
【0005】
本発明は上記実情を考慮してなされたものであって、その目的の一つは、プレイヤーを表すコマが複数のマスによって構成されるルートを進んでいくゲームにおいて、比較的簡易な処理でゲームの展開を調整することのできるプログラム、ゲーム装置、及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプログラムは、順に配列された複数のマスによって構成されるルートをコマが進むゲームにおいて、前記コマの現在のマス、及び、予め定められた複数の移動量候補に基づいて、前記コマが次に移動する可能性のある複数の移動先候補マスを特定する移動先候補特定手段、及び、前記複数の移動量候補の中から1の移動量を選出し、選出した移動量に応じて前記コマを次の移動先に進める移動量選出手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記移動量選出手段は、前記移動先候補特定手段が特定した複数の移動先候補マスに応じて、前記複数の移動量候補の中から1の移動量を選出する選出処理の内容を変化させるプログラムである。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能で非一時的な情報記憶媒体に格納されて提供されてよい。
【0007】
本発明に係るゲーム装置は、順に配列された複数のマスによって構成されるルートをコマが進むゲームにおいて、前記コマの現在のマス、及び、予め定められた複数の移動量候補に基づいて、前記コマが次に移動する可能性のある複数の移動先候補マスを特定する移動先候補特定手段と、前記複数の移動量候補の中から1の移動量を選出し、選出した移動量に応じて前記コマを次の移動先に進める移動量選出手段と、を含み、前記移動量選出手段は、前記移動先候補特定手段が特定した複数の移動先候補マスに応じて、前記複数の移動量候補の中から1の移動量を選出する選出処理の内容を変化させることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るゲーム装置の制御方法は、順に配列された複数のマスによって構成されるルートをコマが進むゲームにおいて、前記コマの現在のマス、及び、予め定められた複数の移動量候補に基づいて、前記コマが次に移動する可能性のある複数の移動先候補マスを特定する移動先候補特定ステップと、前記複数の移動量候補の中から1の移動量を選出し、選出した移動量に応じて前記コマを次の移動先に進める移動量選出ステップと、を含み、前記移動量選出ステップでは、前記移動先候補特定ステップで特定された複数の移動先候補マスに応じて、前記複数の移動量候補の中から1の移動量を選出する選出処理の内容を変化させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係るゲーム装置の構成を示す構成ブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るゲーム装置の機能を示す機能ブロック図である。
【
図4】移動量候補の表示順序を変更する場合の選出映像の表示例を示す図である。
【
図5】移動量候補の表示順序を変更する場合の選出映像の別の表示例を示す図である。
【
図6】移動量候補の選出確率を変化させる場合の選出映像の表示例を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るゲーム装置が実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10の構成を示す構成ブロック図である。ゲーム装置10は、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、専用ゲーム機等の情報処理装置であって、
図1に示すように、制御部11と、記憶部12と、インタフェース部13と、を含んで構成されている。また、ゲーム装置10は、操作入力装置14、及び表示装置15と接続されている。本実施形態においてゲーム装置10は、ゲームのプレイヤーを表すコマが、順に配列された複数のマスによって構成されるルートを進んでいくタイプのゲームの処理を実行する。
【0012】
制御部11は、少なくとも一つのプロセッサーを含んで構成され、記憶部12に記憶されているプログラムに従って各種の情報処理を実行する。制御部11が実行する処理の具体例については、後述する。記憶部12は、RAM等のメモリデバイスを少なくとも一つ含み、制御部11が実行するプログラム、及び当該プログラムによる処理の対象となるデータを記憶する。
【0013】
インタフェース部13は、無線、又は有線で操作入力装置14、及び表示装置15と接続され、これらの装置との間で各種のデータを送受信する。具体的にインタフェース部13は、操作入力装置14に対してプレイヤーが実行した操作入力の内容を示す制御信号を、操作入力装置14から受信する。また、表示装置15に対して、プレイヤーに提示すべき映像の内容を示す映像信号を送信する。
【0014】
操作入力装置14は、例えばタッチセンサーや操作ボタンなどを含んで構成され、プレイヤーからの操作入力を受け付け、その内容を示す制御信号をゲーム装置10に送信する。表示装置15は、液晶パネル等であって、ゲーム装置10から受信した映像信号に応じた映像を表示画面上に表示して、プレイヤーに提示する。なお、操作入力装置14、及び表示装置15は、ゲーム装置10の筐体表面に配置されるなどして、ゲーム装置10と一体的に構成されてもよい。
【0015】
以下、ゲーム装置10が実現する機能について、
図2の機能ブロック図を用いて説明する。
図2に示すように、ゲーム装置10は、機能的に、ルート決定部21と、移動先候補特定部22と、移動量選出部23と、イベント処理部24と、を含んで構成されている。これらの機能は、制御部11が記憶部12に格納されているプログラムを実行することによって実現される。このプログラムは、インターネット等の通信ネットワークを介してゲーム装置10に提供されてもよいし、光ディスク等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されてゲーム装置10に提供されてもよい。
【0016】
ルート決定部21は、プレイヤーがゲームをプレイする毎に、そのゲームの舞台となるルートの内容を決定する。具体的にルート決定部21は、予め記憶媒体に格納された複数の候補ルートの中から1のルートを特定し、その内容を示すルートデータを読み出すことによって、ルートを決定してもよい。また、インターネット等の通信ネットワークを介して外部のサーバ装置からルートデータをダウンロードすることによって、ルートを決定してもよい。また、予め定められた方法によって、自動的にルートを生成してもよい。
【0017】
ルート決定部21によって決定されるルートは、順に配列された複数のマスによって構成されており、複数のマスのそれぞれには属性情報が設定されている。また、複数のマスのうちの一つは、ゲーム開始時のスタート地点に設定される。さらに、複数のマスのうちの一つが、ゲームのゴール地点(目的地)に設定されてよい。ただし、ゴール地点は必須ではなく、例えばルートは循環する部分を含むように構成されてもよい。この場合、予め定められた終了条件が満たされたタイミングでゲームが終了することとしてもよい。
【0018】
図3は、ルート決定部21によって決定されるルートの一例を示している。このルートは順に並んだ合計21個のマスによって構成されており、スタート地点からゴール地点まで一直線のルートになっている。以下では説明の便宜のため、この
図3に示すルートを例として用いて、ゲーム装置10が実現する機能について説明する。また、以下ではスタート地点のマスをマスCSと表記し、その他のマスはマスCSに近い順にマスC1からマスC20までの番号で表記する。この例ではマスC20がゴール地点となる。
【0019】
スタート地点のマスCSを除くマスC1~C20には、そのマスで発生するイベントの種類を示す情報が属性情報として関連づけられている。ここでは具体例として、後述する4種類のイベントのいずれかが各マスに設定されているものとする。
【0020】
以下、各マスで発生するイベントの種類について説明する。前提として、
図3のルートを用いたゲームでは、ルート上を進むコマは、プレイヤーの代理となるプレイヤーキャラクターであるものとする。このプレイヤーキャラクターはゲームのプレイ中に登場する敵と対戦することとし、対戦に使用される体力や攻撃力、強さを表すレベルなどのパラメーターが設定されているものとする。また、所持しているアイテムや所持金のパラメーターなども設定されるものとする。このような前提の下、各マスには、お金入手、アイテム入手、対戦、及び体力回復の4種類のイベントのいずれかが設定されている。
図3では、これらのイベントの種類が、各マス内におけるG、I、E、Hの記号で示されている。
【0021】
具体的に、Gの表記があるマスC1、マスC2などには、プレイヤーキャラクターの所持金が増加するお金入手イベントが設定されている。以下では、お金入手イベントが設定されたマスをGマスと表記する。このイベントによってプレイヤーキャラクターが入手する金額は、予め定められた固定の額であってもよいし、イベント発生時に予め定められた範囲で決定される額であってもよい。いずれの場合にも、そのGマスで入手できる金額や、金額の決定方法、金額の範囲などを特定する情報が、属性情報の一つとしてGマスのそれぞれに設定されてよい。
【0022】
Iの表記があるマスC3、マスC6などには、アイテム入手イベントが設定されている。以下では、アイテム入手イベントが設定されたマスをIマスと表記する。このイベントが発生すると、プレイヤーキャラクターは何らかのアイテムを入手する。入手可能なアイテムは予め決定されていてもよいし、複数の候補の中からイベント発生時に選択されてもよい。お金入手イベントの場合と同様、どんなアイテムを入手する可能性があるか、また実際に入手されるアイテムをどのように決定するか、などを特定する情報が、属性情報の一つとして各Iマスに設定されてもよい。
【0023】
Eの表記があるマスC5、マスC7などには、対戦イベントが設定されている。以下では、対戦イベントが設定されたマスをEマスと表記する。対戦イベントでは敵が出現し、プレイヤーキャラクターは出現した敵と対戦する。対戦の内容は、プレイヤーキャラクターに設定された各種のパラメーター等に基づいて決定されてよいし、プレイヤーの操作入力の内容によって左右されるものであってもよい。また、アイテム入手イベントで入手したアイテムを対戦で使用できることとしてもよい。ここでは、対戦が行われるとプレイヤーキャラクターはお金を獲得できるが、体力の値が低下するものとする。出現する敵の種類や強さなどは、属性情報の一つとして各Eマスに予め設定されていてもよいし、属性情報の内容に応じてイベント発生時に決定されてもよい。
【0024】
Hの表記があるマスC8、マスC19には、体力回復イベントが設定されている。以下では、体力回復イベントが設定されたマスをHマスと表記する。体力回復イベントでは、対戦イベントなどで低下したプレイヤーキャラクターの現在の体力の値が回復(上昇)する。このイベントにおける体力の回復量は、各Hマスに設定された属性情報に応じて決定されてよい。
【0025】
ルート決定部21によって以上説明したようなルートの内容が決定されると、そのルート上をコマ(ここではプレイヤーキャラクター)が進んでいくゲームの処理が開始する。具体的には、移動先候補特定部22、及び移動量選出部23によって、1回のターンでプレイヤーキャラクターが進む移動量が決定され、その移動量だけプレイヤーキャラクターがルート上を進む。そして、イベント処理部24が、プレイヤーキャラクターが移動した先のマスに設定されたイベントの処理を実行する。このようなターン毎の処理が繰り返されることで、ゲームが進行していく。以下では、1回のターンで移動先候補特定部22、移動量選出部23、及びイベント処理部24が実行する処理の内容について、説明する。
【0026】
ターンの開始時には、まず移動先候補特定部22が、プレイヤーキャラクターが現在いるマス(以下、現在位置という)、及び、予め定められた複数の移動量候補に基づいて、プレイヤーキャラクターが次に移動する可能性のある複数の移動先候補マスを特定する。プレイヤーキャラクターの現在位置は、第1ターンにおいてはスタート地点のマスCSであって、第2ターン以降においては、1つ前のターンでプレイヤーキャラクターが移動した先のマスになる。
【0027】
複数の移動量候補は、1回のターンでプレイヤーキャラクターが進むマスの数(移動量)の候補である。以下では具体例として、移動量候補は、サイコロの出目に相当する1、2、3、4、5、6の6個の整数値であることとする。ただし、移動量候補はこれに限らず、2個以上の任意の整数値の組み合わせであってよく、連続する数値ではなく離散的な数値の集合(例えば、1、2、4、6の4個の整数値)などであってもよい。また、移動量候補はターン毎に所与の条件によって変動してもよい。
【0028】
移動先候補マスは、プレイヤーキャラクターがそのターンに進む可能性のあるマスである。例えば移動量候補が1~6であってプレイヤーキャラクターの現在位置がマスCSの場合、移動先候補マスはマスC1~C6の6個のマスとなる。また、プレイヤーキャラクターの現在位置がマスC3の場合、移動先候補マスはマスC4~C9の6個のマスとなる。移動先候補特定部22が特定する複数の移動先候補マスは、それぞれ複数の移動量候補のいずれか一つと対応している。
【0029】
移動量選出部23は、複数の移動量候補(ここでは1~6)の中から1の移動量を選出する選出処理を実行し、選出した移動量に応じてプレイヤーキャラクターを次の移動先に進める。例えばプレイヤーキャラクターの現在位置がマスC3であって、移動量として移動量候補の中から4が選出された場合、移動量選出部23は、プレイヤーキャラクターを4マス分進めてマスC7に移動させる。次のターンでは、このマスC7がプレイヤーキャラクターの現在位置となる。
図3の例ではルートが分岐のない一本道なので、移動量選出部23が選出する移動量は、移動先のマスと一対一で対応している。すなわち、複数の移動量候補から1の移動量を選出する選出処理は、複数の移動先候補マスの中から移動先のマスを選出する処理にもなっている。
【0030】
ここで、例えば擬似乱数を用いてランダムに複数の移動量候補の中から1の移動量を選出することとすると、ターン毎に選出処理の結果は異なるものになるが、プレイヤーキャラクターの現在位置にかかわらず選出処理の内容自体は同じものになる。しかしながら本実施形態では、移動先候補特定部22が特定した移動先候補マスに応じて、選出処理の内容を変化させることとする。つまり、プレイヤーキャラクターが現在どのマスにいるかによって、次の移動先を決定するための選出処理の内容が変わることになる。
【0031】
具体的に、例えば移動量選出部23は、選出処理を実行する際に選出映像を表示することとし、その表示内容を移動先候補マスに応じて変更してもよい。ここで選出映像とは、複数の移動量候補の中から1の移動量が選出される様子を示す映像であって、プレイヤーに選出された移動量を提示するものである。また、移動量選出部23は、ランダムに移動量を選出する場合に各移動量候補が選出される選出確率を、移動先候補マスに応じて変化させてもよい。選出処理の内容を変化させる具体的な例については、後に詳しく説明する。
【0032】
イベント処理部24は、移動量選出部23によって選出された移動量に応じてプレイヤーキャラクターが次の移動先に進んだ際に、移動先のマスに対応するイベントを発生させるイベント処理を実行する。ここではイベント処理部24は、移動先のマスに設定されたイベント種類の属性情報に応じて、お金入手、アイテム入手、対戦、及び体力回復のいずれかのイベントを発生させる。これによりプレイヤーキャラクターは、ルート決定部21が決定したルート上を進んでいく過程で、お金やアイテムを獲得したり、敵と対戦したりといったイベントを体験することができる。
【0033】
以下、移動量選出部23が選出処理の内容を変化させる方法の具体例について、説明する。以下では、移動先候補特定部22が特定した複数の移動先候補マスのそれぞれに設定された属性情報(特にイベント種類の情報)に応じて、移動量選出部23が選出処理の内容を変化させる場合の具体例について、説明する。
【0034】
第1の例として、選出映像の表示内容を変化させる例について説明する。まず、この第1の例で表示される選出映像の具体例について、説明する。移動量選出部23は、選出映像として、複数の移動量候補が画面上に並んで配置され、配置された移動量候補の中から1の移動量が選出される様子を示す映像を表示する。より具体的に、ここでは移動量選出部23は、ルーレットが回転する様子を示す映像を選出映像として表示することとする。
【0035】
移動量選出部23は、選出映像の開始時には、円盤状のルーレットRと、ルーレットR内の位置を指し示すポインターPと、を含む画像を表示装置15の画面内に表示する。
図4は、このようなルーレットR及びポインターPを含む選出映像の表示例を示している。
【0036】
図4に示すように、ルーレットR内には、それぞれ移動量候補を表す6個の扇形形状の表示要素Dが、ルーレットRの中心の周りに環状に並んで配置されている。以下では、1~6までの移動量候補を表す6個の表示要素Dを表示要素D1~D6と表記する。ここでは6個の表示要素Dは互いに同じ形状、及び大きさを有しており、各表示要素D内に対応する移動量候補の数字が表示されている。
【0037】
選出映像は、6個の表示要素Dが配置されたルーレットRが回転し、その後に停止する様子を示す映像である。ルーレットRの停止時には、ポインターPが、移動量選出部23が選出した移動量を表す表示要素Dを指し示した状態になる。このようにして複数の移動量候補の中から1の移動量が選出される様子を示す選出映像を表示することにより、プレイヤーは実際に選出された移動量を把握することができる。
【0038】
なお、移動量選出部23は、予め擬似乱数を用いて1の移動量をランダムに選出し、選出した移動量に対応する表示要素D内の位置をポインターPが指し示すタイミングでルーレットRの回転が停止するように、選出映像の表示内容を調整してもよい。
【0039】
あるいは、移動量選出部23は、ルーレットRが回転する様子を表示している間にプレイヤーによる操作入力装置14に対する操作入力を受け付けて、その操作入力のタイミングに応じてルーレットRの回転を停止させ、停止時にポインターPが指し示している表示要素Dが表す移動量を選出対象としてもよい。この場合、どの移動量が選出されるかはプレイヤーの操作入力の内容に応じて変化することになる。しかしながら、実際にどの移動量が選出されるかはプレイヤーが操作入力を行うまで確定されないため、乱数により移動量が選出される場合と同様、プレイヤーが事前にそのターンの移動量を予測することは難しくなっている。
【0040】
このような選出映像を表示する場合において、移動量選出部23は、複数の移動量候補を表す表示要素Dの配置順を、移動先候補マスに設定された属性情報に応じて変化させる。すなわち、1~6の移動量候補をこの数値の順序でそのままルーレットR内に並べるのではなく、各移動先候補マスに設定された属性情報が何かに応じて、配置順を決定する。
【0041】
具体的に移動量選出部23は、各移動先候補マスに設定されたイベントの種類順に、移動量候補を表す表示要素Dを配列する。一例として、プレイヤーキャラクターの現在位置がマスCSの場合について説明する。この場合、移動先候補マスはマスC1~C6である。これらの移動先候補マスのうち、現在位置に最も近いマスC1はGマスであって、その他にマスC2、マスC4もマスC1と同じくお金入手イベントが設定されている。そこで移動量選出部23は、これらのGマスに対応する表示要素D1、D2、及びD4を並べて配置する。残るマスのうち、現在位置に最も近いマスC3はIマスであって、マスC6も同じくIマスである。そこで移動量選出部23は、表示要素D4に続いて、マスC3、及びマスC6に対応する表示要素D3、及びD6を並べて配置する。最後に、残るマスC5(Eマス)に対応する表示要素D5を表示要素D6の隣に配置する。すなわち、Gマス、Iマス、Eマスというイベント種類の順序に対応して、選出映像内において6個の移動量候補は1、2、4、3、6、5の順に並んで配置されることになる。
図4は、この場合の選出映像の表示例を示している。
【0042】
また、
図5は、プレイヤーキャラクターの現在位置がマスC3の場合に、
図4と同様の方法で6個の表示要素Dをイベントの種類順に配置した場合の表示例を示している。現在位置がマスC3の場合、移動量候補1~6に対応する移動先候補マスはマスC4~C9となる。この例では、現在位置に最も近いマスC4(Gマス)に対応する移動量候補1(表示要素D1)が最初に配置される。移動先候補マスの中にマスC4以外のGマスは存在しないため、次はマスC4以外の移動先候補マスのうち現在位置に最も近いマスC5、及びこれとイベント種類が同じマスC7、マスC9の3個のEマスに対応する移動量候補2、4、6が順に並んで配置される。続いて、残るマスのうち現在位置に最も近いマスC6(Iマス)に対応する移動量候補3が配置される。さらに、残るマスC8(Hマス)に対応する移動量候補5が配置される。すなわち、Gマス、Eマス、Iマス、Hマスというイベント種類の順序に対応して、6個の移動量候補は選出映像内において1、2、4,6、3、5の順に配置される。
【0043】
同様に、例えば現在位置がマスC10の場合、移動先候補マスはマスC11~C16となり、現在位置に近い方から順にIマス、Eマス、Gマスが現れる。そこで、このイベント種類の順序に対応するように、選出映像内において6個の移動量候補は1、5、2、4、3、6の順に配置される。このように、イベントの種類順に移動量候補を並べて配置することとすると、プレイヤーキャラクターの現在位置が変化するにつれて移動先候補マスに設定されたイベント種類も変化するので、ルーレットR内における移動量候補の配置順序が変化していくことになる。
【0044】
プレイヤーが選出映像を閲覧する際には、選出される移動量の数値そのものよりも、移動先でどの種類のイベントが発生するのか、また特定の種類のイベントが発生するか否かなどに注目する場合があると想定される。以上説明したようにイベントの種類順に移動量候補を並べて配置することによって、選出映像を閲覧する際に、プレイヤーは移動先で発生するイベントの種類に注目しやすくなる。また、プレイヤーの操作入力の内容に応じて移動量が選出される場合、このような選出映像を表示することで、プレイヤーは特定の種類のイベントを狙いやすくなる。
【0045】
以上の説明では、イベント種類の配置順序を、現在位置により近いマスに設定されたイベントが優先されるような順序としたが、イベント種類の配置順序の決定方法は、このようなものに限られない。例えば移動量選出部23は、イベントの種類が予め定められた順序になるように複数の移動量候補を並べて配置してもよい。
【0046】
具体例として、イベント種類の順序が体力回復イベント(Hマス)、アイテム入手イベント(Iマス)、お金入手イベント(Gマス)、対戦イベント(Eマス)の順に予め定められているものとする。この場合、現在位置がマスCSであれば、移動先候補マスC1~C6の中にHマスはなく、マスC3、及びマスC6がIマスで、マスC1、マスC2、及びマスC4がGマスで、マスC5がEマスである。そのため、移動量候補を3、6、1、2、4、5の順に並べて配置したルーレットRを表示する。また、現在位置がマスC3であれば、マスC8がHマスで、マスC6がIマスで、マスC4がGマスで、マスC5、マスC7、及びマスC9がEマスになる。そこで、これらのマスに対応するように、移動量候補を5、3、1、2、4、6の順に配置する。
【0047】
また、イベント種類の配置順序は、そのイベント種類に該当する移動先候補マスの数に応じて決定されてもよい。例えば移動量選出部23は、同じイベント種類が設定された移動先候補マスの数が多いほど優先されるような順序で、移動量候補を選出映像内に配置してもよい。
【0048】
具体例として、プレイヤーキャラクターの現在位置がマスCSの場合、これまで説明したように、移動先候補マスC1~C6の中にHマスはなく、3個のGマス(マスC1、C2、及びC4)、2個のIマス(マスC3、及びC6)、並びに1個のEマス(マスC5)が含まれている。そこで、移動先候補マスの数が多いイベント種類の順、すなわちGマス、Iマス、Eマスの順序で並ぶように、6個の移動量候補を1、2、4、3、6、5の順に配置する。
【0049】
また、プレイヤーキャラクターの現在位置がマスC3の場合、移動先候補マスC4~C9は、3個のEマス(マスC5、C7、及びC9)、1個のGマス(マスC4)、1個のIマス(マスC6)、及び1個のHマス(マスC8)によって構成されている。そこで、移動先候補マスの数が多いイベント種類の順序になるように、6個の移動量候補を2、4、6、1、3、5の順に配置する。なお、ここでは移動先候補マスの数が同数になるイベント種類については、より小さな数の移動量を含むイベント種類が優先されるように配置順を決定している。しかしながらこれに限らず、より大きな数の移動量を含むイベント種類を優先してもよいし、予め定められた優先順位に従って配置してもよい。
【0050】
また、以上の説明では、選出映像は複数の移動量候補が環状に並んだルーレットRが回転する様子を示す映像であることとしたが、選出映像はこのようなものに限られない。例えば選出映像は、各移動量候補を環状ではなくその他の態様で順に並べて配置し、その中から1の移動量が選出される様子を示す映像であってもよい。また、選出映像は、スロットマシンなどのように複数の移動量候補が並んで配置されたリールが回転する様子を示す映像であってもよいし、それぞれ移動量候補の数値を表す画像を1つずつ順に切替えながら表示し、選出された移動量が表示されたタイミングで停止する映像などであってもよい。いずれの場合にも、選出映像は複数の移動量候補の中から1の移動量が選出される様子を示すために、複数の移動量候補を空間的に、又は時間的に一定の順序で配列して表示することになる。そこで、移動量候補の表示順序を移動先候補マスに設定されたイベントの種類に応じて決定することで、プレイヤーがイベントの種類に注目しやすい選出映像を表示することができる。
【0051】
次に、選出処理の内容を変化させる方法の第2の例について、説明する。第1の例では、複数の移動量候補のそれぞれが選出される機会は互いに同等であって、移動量選出部23は選出映像の表示内容だけを移動先候補マスに応じて変化させることとした。これに対して以降の例では、移動量選出部23は擬似乱数を用いてランダムに1の移動量を選出することとし、その際に各移動量候補に割り当てる選出確率を、移動先候補マスに設定されたイベント種類の情報に応じて変化させることとする。これにより、各移動量候補が選出される確率は、互いに異なることとなる。
【0052】
この第2の例では、各イベント種類に割り当てる確率をまず決定し、その確率内で、当該イベント種類が設定された移動先候補マスに対して割り当てる選出確率を決定する。具体例として、プレイヤーキャラクターの現在位置がマスCSの場合、移動先候補マスはHマスを含まず、それ以外の3種類のイベントが設定されたマスを含んでいる。そこで、移動量選出部23は、これらの3種類のイベントに互いに等しい確率(すなわち1/3)を割り当てることとする。そして、同じイベント種類が設定された移動先候補マスに対しては、互いに等しい選出確率を割り当てる。移動先候補マスには3個のGマスが含まれているので、これらのGマスに対応する移動量候補1、2、4のそれぞれには、
1/3×1/3=1/9
の選出確率が割り当てられることとなる。同様に、2個のIマスに対応する移動量候補3、6のそれぞれは、
1/3×1/2=1/6
の選出確率が割り当てられる。1個のEマスに対応する移動量候補5には、
1/3×1=1/3
の選出確率が割り当てられる。これにより、移動量候補5は移動量候補3、6の2倍選出されやすく、移動量候補1、2、4の3倍選出されやすくなる。
【0053】
また、現在位置がマスC3の場合には、4種類全てのイベントに対応するマスが移動先候補マスに含まれている。そのため移動量選出部23は、4種類のイベントのそれぞれに対して1/4の確率を割り当てることとする。移動先候補マスの中には3個のEマスが含まれるので、これらのEマスに対応する移動量候補2、4、6のそれぞれには、
1/4×1/3=1/12
の選出確率が割り当てられる。残るマスC4、C6、及びC8については、同じイベント種類が設定された移動先候補マスの数がいずれも1つだけなので、対応する移動量候補1、3、5の選出確率は、イベント種類の発生確率に等しく、いずれも
1/4×1=1/4
と計算される。
【0054】
以上説明した選出確率の計算方法を一般化すると、全移動先候補マスに含まれるイベント種類の数をx、自身と同じイベント種類が設定された移動先候補マスの数(自身を含む)をyとして、各移動量候補の選出確率は、1/(xy)と表される。このような計算方法によれば、各移動量候補の選出確率には相違が生じるものの、移動先で発生する可能性のあるイベントの種類については、その発生確率が互いに等しくなる。そのため、複数の移動先候補マスに設定されたイベント種類に偏りがある状況でも、どの種類のイベントが発生するのかプレイヤーが事前に予測しにくくなり、ゲーム展開の意外性を高めることができる。
【0055】
さらに移動量選出部23は、この第2の例においても、第1の例と同様に移動量が選出される様子を示す選出映像を表示してもよい。さらにこの場合において、各移動量候補の選出映像内における表示量(表示する要素の大きさや幅、又は表示時間など)を、各移動量候補に割り当てられた選出確率に応じて決定してもよい。
【0056】
例えば
図4、
図5で示したのと同様にルーレットRが回転する様子を示す選出映像を表示する場合、移動量選出部23は、各表示要素Dの表示範囲(扇形の中心角の大きさ)を、対応する移動量候補に割り当てられた選出確率に比例するように決定する。
図6は、現在位置がマスCSの場合におけるルーレットRの表示例を示している。この図においては、選出確率1/9が割り当てられた移動量候補1、2、4はそれぞれ中心角40°の表示要素Dによって表されており、選出確率1/6の移動量候補3、6はそれぞれ中心角60°、選出確率1/3の移動量候補5は中心角120°の表示要素Dによって表されている。このように各移動量候補の表示範囲を割り当てられた選出確率に応じて変化させることで、プレイヤーが各移動量候補の選出されやすさを直感的に把握できるようになる。
【0057】
なお、この図の例では移動量候補1~6の表示順序は移動量の数値順としたが、第1の例と同様に、各移動量候補に対応する移動先候補マスに設定されたイベント種類に応じて、移動量候補の表示順序を変化させてもよい。
【0058】
また、ここでは表示要素Dの中心角を対応する移動量候補の選出確率に比例するように決定することとした。これにより、各表示要素Dの面積も選出確率に比例することになる。しかしながら、各表示要素Dの面積は完全に選出確率に比例する必要はなく、割り当てられた選出確率が大きい順に表示要素Dの面積や幅などの表示量を大きくするだけでも、プレイヤーは選出確率に偏りが生じていることを把握できる。また、複数の移動量候補を時間とともに切替えて表示するような選出映像を表示する場合、移動量選出部23は、各移動量候補の映像内における表示時間を割り当てられた選出確率に応じて変化させてもよい。
【0059】
これまでの説明では、各イベント種類の発生確率を互いに等しくすることとしたが、計算方法はこのようなものに限られない。例えば各イベント種類の発生確率の比率が予め定められていることとし、移動量選出部23は、各イベント種類の発生確率がその比率に一致するように各移動量候補の選出確率を決定してもよい。一例として、対戦イベントを発生させやすくしたい場合、お金入手イベント、アイテム入手イベント、対戦イベント、及び体力回復イベントの4種類のイベントに割り当てる確率の比率が1:1:2:1になるようにする。こうすれば、他の種類のイベントと比較して、対戦イベントが設定されたマスに移動するような移動量候補が全体として他のイベントの2倍の確率で選出されることになる。
【0060】
また、イベント種類毎の発生確率の比率を固定にするのではなく、イベント種類毎の発生確率が互いに近い値になるように、所定の範囲で各移動量候補に割り当てる確率を補正することとしてもよい。例えば現在位置がマスCSの場合、何も補正せずに各移動量候補に均等な確率(1/6)を割り当てると、移動先でお金入手イベントが発生する確率が1/2、アイテム入手イベントの発生確率が1/3、対戦イベントの発生確率が1/6になる。この各イベントの発生確率が互いに近い値になるように、Gマスに対応する移動量候補1、2、4、に割り当てる確率を所定量だけ減少させ、減少させた量と釣り合うようにEマスに対応する移動量候補5に割り当てる確率を増加させる。このような補正によれば、各イベント種類の発生確率は完全に一致しないものの、イベント種類の発生確率の偏りが減少し、移動先でどのイベントが発生するかを予想しにくくなる。また、各イベント種類の発生確率を完全に一致させる前述の例と比較して、このような補正によれば各移動量候補に割り当てられる確率の差を抑えることができる。
【0061】
次に第3の例として、移動先候補マスに設定されるイベント種類の情報と、予め設定されたゲームのプレイ目的と、に応じて各移動量候補に割り当てる選出確率を決定する方法について、説明する。
【0062】
この例では、ゲームのプレイ目的が予め設定されるものとする。具体的にプレイ目的は、予め用意された「お金を稼ぐ」、「アイテムの獲得」、「レベルアップ」などの選択肢の中から、ゲームの開始前にプレイヤーが任意に選択することとしてもよい。あるいは、1回のゲームを開始する際に、開始時点でプレイヤーキャラクターに設定されているパラメーターの値に応じて、移動量選出部23によって決定されてもよい。具体例として、移動量選出部23は、ゲーム開始時のプレイヤーキャラクターのレベルや攻撃力などの強さを表すパラメーターの値が予め定められた目標値未満の場合に、そのパラメーターの値を向上させることをプレイ目的に設定してもよい。移動量選出部23は、このプレイ目的の達成に貢献するイベントほど発生しやすくなるように、各移動量候補に割り当てる選出確率を決定する。
【0063】
例えばプレイ目的が「お金を稼ぐ」である場合、この目的に最も貢献するのはお金入手イベントであり、次に貢献するのは対戦イベントである。一方、アイテム入手イベント、及び体力回復イベントは直接的にはこのプレイ目的に貢献しない。そこで移動量選出部23は、例えばお金入手、対戦、アイテム入手、及び体力回復の各イベントの発生確率の比率が3:2:1:1になるように、各移動量候補に割り当てる選出確率を決定する。
【0064】
一例として、現在位置がマスCSの場合、体力回復イベントが設定された移動先候補マスはないので、それ以外のお金入手、対戦、アイテム入手の各イベントの発生確率が3:2:1になるように、お金入手イベントに1/2、対戦イベントに1/3、アイテム入手イベントに1/6の発生確率を割り当てる。そして、第2の例と同様にして、各イベント種類が設定された移動候補マスのそれぞれに対して、均等に選出確率を割り当てる。これにより、3個のGマスに対応する移動量候補1、2、4のそれぞれには
1/2×1/3=1/6
の選出確率が割り当てられ、1個のEマスに対応する移動量候補5には
1/3×1=1/3
の選出確率が割り当てられ、
2個のIマスに対応する移動量候補3、6のそれぞれには
1/6×1/2=1/12
の選出確率が割り当てられる。
【0065】
また、プレイ目的として「レベルアップ」が設定された場合、対戦イベントがその目的達成に最も貢献し、アイテム入手イベントが次に貢献し、お金入手イベント、及び体力回復イベントは直接的に貢献しない。なお、ここではレベルアップに貢献するアイテムがアイテム入手イベントによって入手可能であるものとしている。この場合、例えば移動量選出部23は、これらのイベントの発生確率が3:2:1:1になるように、各移動量候補に割り当てる選出確率を決定する。
【0066】
一例として、現在位置がマスC3の場合、対戦イベントに3/7、アイテム入手イベントに2/7、お金入手イベント、及び体力回復イベントのそれぞれに1/7の発生確率を割り当てる。これにより、3個のEマスのそれぞれには
3/7×1/3=1/7
の選出確率が割り当てられ、1個のIマスには2/7の選出確率が割り当てられ、Gマス、及びHマスのそれぞれには1/7の選出確率が割り当てられる。
【0067】
このような制御によれば、ルートの内容、各マスに設定された属性情報自体は同じであっても、設定されたプレイ目的に応じて、その目的を達成しやすくなるようにゲーム展開を調整することができる。これにより、プレイヤーが自分の希望する目的を達成できたり、あるいはプレイヤーキャラクターのパラメーターをゲーム内で設定された目標値に到達しやすくしたりすることができる。
【0068】
また、これまでの説明ではプレイ目的はゲーム開始時に決定され、その後、1回のゲームのプレイ中には変更されないこととした。しかしながら、プレイ目的はゲームのプレイ途中で変更されてもよい。例えば移動量選出部23は、ゲームの途中で、プレイヤーが設定したプレイ目的の変更指示を受け付け可能にしてもよい。また、プレイヤーキャラクターのパラメーターの値に応じてプレイ目的を設定する場合、移動量選出部23は、ゲーム途中のパラメーターの変動に応じてプレイ目的を変更してもよい。これにより、例えばプレイヤーキャラクターの体力が所定割合以上減少した場合には「体力回復」をプレイ目的に設定し、体力回復イベントを発生させやすくするなどの制御が可能となる。
【0069】
なお、このプレイ目的に応じた制御は、毎ターンの選出処理の内容を変化させるものであって、ルート内容や各マスに設定された属性情報の変更などを伴うものではない。そのため、1回のゲームの途中でプレイ目的を変更してもゲーム全体の内容への影響が少なく、比較的容易にプレイ目的の変更が可能になっている。また、プレイ目的の変更を行う前後でイベントの発生確率は変動したとしても、変更前には発生し得ないようなゲーム展開が発生するようになるわけではないので、ゲームバランスを損なうおそれが比較的少ない。
【0070】
また、移動量選出部23は、選出処理を実行する毎に、その時点でプレイヤーキャラクターに設定されているパラメーターの値に応じて、各移動量候補に割り当てる選出確率を決定してもよい。この場合、これまでの説明と異なり、複数のイベント種類のそれぞれに割り当てる発生確率は、毎ターン変化する可能性がある。
【0071】
さらに、プレイヤーキャラクターに設定されたパラメーターの値に応じて各イベント種類の発生確率を調整する場合、単一のプレイ目的に適合するように各移動量候補の選出確率を決定するのではなく、パラメーターの値の大きさに応じて個々のイベント種類の発生確率を決定してもよい。例えば移動量選出部23は、体力、所持金、所持アイテム数、レベルなどのパラメーターの値が、予め定められた目標値からどの程度離れているかに応じて、各イベント種類の発生確率を変化させてよい。
【0072】
一例として、プレイヤーキャラクターのレベル、及び所持金が目標値を下回っているが、所持アイテム数、及び体力は目標値を上回っている場合、移動量選出部23は、対戦イベント、及びお金入手イベントの発生確率がアイテム入手イベント、及び体力回復イベントよりも高くなるように、各イベント種類の発生確率を決定してもよい。また、体力が少なくなれば少なくなるほど、体力回復イベントの発生確率が高くなうように、各イベント種類の発生確率を決定してもよい。このような制御によれば、より柔軟にプレイヤーキャラクターの現在の状況に合わせたゲーム展開の調整が可能となる。
【0073】
第4の例として、各移動先候補マスに設定されたイベント種類の情報と、予め設定されたゲームの難易度と、に応じて各移動量候補に割り当てる選出確率を決定する例について、説明する。この例でも第3の例と同様に、ゲーム開始前の予め設定されたゲームの難易度に応じて、各イベント種類に割り当てる発生確率が決定される。そして、各イベント種類に割り当てられた発生確率に応じて、そのイベント種類が設定された移動先候補マスに割り当てる選出確率が決定される。
【0074】
具体的に移動量選出部23は、ゲームの難易度が低く設定された場合、ゲームの進行に有利にはたらくイベントの発生確率を高くし、不利にはたらくイベントの発生確率を低くする。一方、難易度が高く設定された場合には、ゲームの進行に不利にはたらくイベントの発生確率を高くし、有利にはたらくイベントの発生確率を低くする。一例として、難易度がイージー、ノーマル、ハードの3段階に設定される場合、ハードでは対戦イベントに割り当てる発生確率を他のイベントよりも高くし、イージーでは対戦イベントの発生確率を他のイベントよりも低くし、ノーマルでは各イベントが互いに等しい確率で発生するように設定してもよい。各イベント種類の発生確率が決定されれば、その後は第2、第3の例と同様の手順で、各移動量候補に割り当てる選出確率を決定することができる。
【0075】
このような制御によれば、プレイ目的に合わせてイベントの発生確率を変化させる例と同様に、ルートの内容や登場する敵の強さなどは変化させずに、ゲームプレイ時の難易度を調整することができる。
【0076】
この例におけるゲームの難易度は、ゲーム開始前にプレイヤーが選択することとしてもよいし、これまでのプレイ履歴等に応じて移動量選出部23が決定してもよい。具体例として、移動量選出部23は、あるルートをプレイヤーが過去にプレイしてクリアした履歴が存在する場合、同じルートをプレイヤーが再びプレイする場合に、前回よりもゲームの難易度を高く変更してもよい。あるいは、同じルートをプレイヤーが何度も繰り返しプレイする場合、繰返し回数が増加するにつれてゲームの難易度を高く変更してもよい。なお、このようにプレイ履歴に応じて難易度を変更した場合、何らかの条件が満たされたタイミングで、変更された難易度を元に戻すリセット制御を行ってもよい。この場合のリセット制御を行う条件としては、例えば所定の時間が経過したタイミングや、プレイヤーが別のゲーム(別のルートなど)を所定回数プレイしたタイミングなどが挙げられる。
【0077】
また、ゲームの難易度は、前述した第3の例と同じように、プレイヤーについて設定されたパラメーターの値に応じて変更されてもよい。例えば移動量選出部23は、プレイヤーキャラクターのレベルと、ルートに対して予め設定された想定レベルとを比較し、プレイヤーキャラクターのレベルが想定レベルを下回っている場合には難易度を低く設定したり、想定レベルを上回っている場合には難易度を高く設定したりしてもよい。さらにこの場合において、プレイヤーキャラクターのレベルが想定レベルと大きく乖離しているほど、難易度を大きく変更してもよい。これにより、プレイヤーキャラクターのレベルが低いほどゲームの進行に不利にはたらくイベントを発生させにくくしたりすることができる。
【0078】
なお、以上説明した第3の例、及び第4の例においても、第2の例と同様に、各移動量候補に割り当てられた選出確率に応じてその移動量候補の表示量が調整された選出映像を表示してもよい。さらに、この選出映像内における各移動量候補の表示順序も、第1の例と同様に各移動量候補に対応する移動先候補マスの属性情報に応じて決定されてよい。
【0079】
ここで、以上説明したようなゲーム装置10が実現する処理の流れの一例について、
図7のフロー図を用いて説明する。なお、ここでは移動量選出部23は、ゲーム開始前にプレイヤーキャラクターから予めプレイ目的の選択を受け付けており、このプレイ目的に応じて各移動量候補の選出確率を変化させるものとする。
【0080】
まずルート決定部21が、これからプレイヤーがプレイするゲームのルート内容を決定する(S1)。ここでは予め用意された複数のルートの中から、プレイヤーが選択したルートのデータをプレイ対象として読み出すものとする。ここで決定されるルート内容は、ルートを構成するマスのそれぞれに設定された属性情報(イベント種類の情報など)が含まれている。さらにルート決定部21は、ルートのスタート地点を、プレイヤーキャラクターの現在位置に設定する(S2)。
【0081】
これ以降、ターンごとの処理が繰り返し実行される。まず移動先候補特定部22が、S1で決定されたルート内容、及び現在位置に基づいて、移動先候補マスを特定する(S3)。続いて移動量選出部23が、S3で特定された移動先候補マスのそれぞれに設定されたイベント種類の情報と、予め設定されたプレイ目的と、に応じて、1~6までの各移動量候補に割り当てる選出確率を決定する(S4)。
【0082】
その後、移動量選出部23は、S4で決定した選出確率に基づいて、複数の移動量候補の中から疑似乱数を用いて1の移動量を選出する(S5)。そして、S5で選出した移動量が選出される様子を示す選出映像を表示装置15の画面に表示する(S6)。
【0083】
続いて移動量選出部23は、S5で選出した移動量に応じたマスの数だけプレイヤーキャラクターを移動させ、移動先を新たな現在位置に設定する(S7)。そして、イベント処理部24が、移動先のマスに設定された種類のイベントを発生させ、その内容に応じて対戦を実行したり、プレイヤーキャラクターのパラメーターを更新したりするイベント処理を実行する(S8)。
【0084】
その後、S7で設定された現在位置がルートのゴール地点か否か判定される(S9)。プレイヤーキャラクターがまだゴール地点に到達していなければ、S3に戻って次のターンの処理が実行される。一方、ゴール地点に到達していれば、その回のゲームは終了する。
【0085】
以上説明した本実施形態に係るゲーム装置10によれば、移動先候補マスに応じて、選出映像の内容を変化させたり、各移動量候補に割り当てる選出確率を変化させたりというように選出処理の内容を変化させることで、ゲームの進行状況に応じて演出内容やゲームの展開を調整することができる。しかも、選出処理の内容を変化させる制御自体は、ルートの構成や発生するイベントの内容などを変化させることなく実現できるので、全体のゲーム内容やバランスに対する影響をあまり生じさせずに、比較的簡易な処理でゲーム展開を調整することができる。
【0086】
なお、本発明の実施の形態は以上説明したものに限られない。例えば以上の説明では、4種類のイベントが各マスに設定されているものとしたが、これらのイベントは例示に過ぎず、以上説明した制御は各種のイベントが発生するゲームに適用可能である。また、選出映像の変更内容や選出確率の決定方法も例示に過ぎない。
【0087】
また、以上の説明では主として各マスに設定されたイベント種類の情報に応じて選出処理の内容を変化させることとしたが、これに限らず移動量選出部23は、各マスに設定された各種の属性情報に応じて同様の処理を実行してもよい。例えば移動量選出部23は、近い属性が設定された移動先候補マスに対応する移動量候補が並ぶように選出映像内における各移動量候補の表示順序を決定してもよい。また、お金入手イベントが設定された移動量先候補マスに対応する移動量候補を選出映像内において順に表示する場合に、入手可能な金額の期待値が高い順や低い順に各移動量候補を並べて表示するなどしてもよい。また、プレイ目的やゲームの難易度、プレイヤーについて設定された各種のパラメーターなどに応じて、特定の属性が設定されたマスを選出されやすくしたり、逆に選出されにくくしたりするように、各移動量候補の選出確率を決定してもよい。
【0088】
また、各マスに設定された属性情報に限らず、移動先候補マスに関するその他の情報に応じて選出処理の内容を変化させてもよい。一例として、複数のプレイヤーが同じルートで同時にゲームをプレイしている場合、移動先候補マスの中に他のプレイヤーが操作するキャラクターが止まっていることがある。このような場合に移動量選出部23は、他のキャラクターがいるマスに移動する選出確率を高くしたり、あるいは低くしたりする制御を実行してもよい。
【0089】
また、以上の説明では一直線のルートをプレイ対象としたが、ルートはプレイヤーの選択などに応じて途中で分岐する場合もある。このような場合、分岐先の双方にある移動先候補マスに設定された属性情報に応じて、選出処理の内容を変化させてもよい。この場合、同じ移動量で移動する分岐先の移動先候補マスのそれぞれを、分岐前の移動先候補マスと同様にカウントして選出確率を計算してもよいし、分岐先の数に応じて按分した量だけ選出確率に寄与するものとして全体のイベント種類に割り当てる発生確率を計算してもよい。
【0090】
また、移動先候補マスにゴール地点が含まれ、ゴール地点にちょうどプレイヤーキャラクターが止まらない場合には折り返すルールが採用される場合、折り返し後の移動先候補マスも考慮して選出処理の内容を決定してもよいし、折り返し後の移動先候補マスは考慮せずに選出確率の内容を決定してもよい。また、ゴール地点までの移動量を超える移動量が選出された場合にはそのままゴールとなるルールが採用される場合、ゴール地点までの移動量を超える移動量候補に対しては、ゴール地点のマスの属性情報が設定されているものとして、以上説明したような処理を適用してもよい。
【0091】
また、以上の説明では、プレイヤーの手元にあるゲーム装置10によってゲームの処理が実現されることとしたが、これに限らず、以上説明した処理の少なくとも一部は、プレイヤーの手元にある端末装置ではなく、通信ネットワークを介して端末装置と接続されたサーバ装置等によって実現されてもよい。特に、移動先候補特定部22、及び移動量選出部23によって実現される処理は、ルート情報を参照可能なサーバ装置によって実現されてよく、プレイヤーの手元にある端末装置は、サーバ装置から送信される指示に基づいてプレイヤーからの操作入力受付や画面表示、イベント処理の一部などを実行してもよい。この場合、サーバ装置が本発明の一実施形態に係るゲーム装置として機能することとなる。
【符号の説明】
【0092】
10 ゲーム装置、11 制御部、12 記憶部、13 インタフェース部、14 操作入力装置、15 表示装置、21 ルート決定部、22 移動先候補特定部、23 移動量選出部、24 イベント処理部。