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特許7016248樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具および皮剥ぎ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具および皮剥ぎ方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 5/12 20060101AFI20220128BHJP
【FI】
B23B5/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017229909
(22)【出願日】2017-11-30
(65)【公開番号】P2019098441
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591126275
【氏名又は名称】今井金物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082832
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 邦章
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝裕
(72)【発明者】
【氏名】今井 正人
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-054988(JP,A)
【文献】特開2016-089949(JP,A)
【文献】特開昭58-049014(JP,A)
【文献】米国特許第03433106(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 5/12
B23D 79/12
B26B 27/00
H02G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス管や水道管等の樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具であって、
上記樹脂被覆管に挿脱可能に環状の工具本体を開閉可能に形成し、その環状の工具本体に外歯歯車を設けて、樹脂被覆管の樹脂被覆部を螺旋状に皮剥ぎできるように皮剥ぎ用刃の刃先部を所要の掬い刃としてその刃先部を工具本体に挿脱する樹脂被覆管の樹脂被覆部に当接自在に装着するようにし、
ラチェットを装着した操作ハンドルを上記工具本体に揺動自在形成するとともに、操作ハンドルにラチェット取付部を摺動自在に設けて、ラチェット取付部を工具本体から遠ざけたときに工具本体の環状部を拡げて所定の樹脂被覆管に挿脱可能とし、工具本体の環状部を所定の樹脂被覆管に装着したときにラチェット取付部を工具本体に近づけて工具本体の外歯歯車にラチェットを係合可能に配設し、
上記操作ハンドルを工具本体に装着したときに、工具本体の外歯歯車にラチェットを係合して操作ハンドルを揺動して皮剥ぎ用刃で工具本体の環状部に挿入した樹脂被覆管の樹脂被覆部を螺旋状に皮剥ぎするようにしたことを特徴とする樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具。
【請求項2】
工具本体の外周部の下端部に装着するために操作ハンドルの下端部コ字状断面の工具本体支持部を設け、この工具本体支持部に対向して環状の工具本体の外周上部側の外歯歯車に装着可能にラチェット取付部を設けて、操作ハンドルを工具本体に装脱可能としたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具。
【請求項3】
工具本体の半円環体の内面部に皮剥ぎ用刃の刃先部を所定量突き出せるように皮剥ぎ用刃を円弧板状の取付調整材に取着して工具本体の半円環体の側面部に取付調整材をそわせるようにして刃先部側の取付調整材の端部側を枢着し、その枢着部を中心として反刃先部側を旋回可能として工具本体に位置調整具で皮剥ぎ用刃の刃先部を後退位置、皮剥ぎ位置に設置できるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具を使用して、操作ハンドルを揺動して皮剥ぎ用刃で樹脂被覆管の端部や分岐用の中間接続用部の樹脂被覆部を螺旋状に皮剥ぎすることを特徴とする樹脂被覆管の表面皮剥ぎ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス管や水道管等の樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具および皮剥ぎ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ガス管や水道管には、表面に硬質樹脂を被覆した樹脂被覆管が利用されて、その配管施工にあっては当該樹脂被覆管の被膜樹脂を剥離して配管接続することが行われている。
【0003】
そして、既設のガス管や水道管等に対する配管施工にあっては、地中に埋設された施工個所を掘削し、この掘削した深くて狭い場所で配管接続工事をしなければならなかった。 従来、地上での配管作業をするにあっては、特開平10-109202号公報等のように旋盤やフライスを利用して外被覆管の被覆層を剥離することが知られているが、これらの被覆管の剥離にあっては、大型で、高価な装置を利用するもので、到底、掘削現場の掘削した穴部内で使用することができなく、能率のよい小型で、安価な工具が望まれていた。
【0004】
そのため、本発明者は、実用新案登録第3200797号公報のように簡単なラチェット式の表面皮剥ぎ用工具を開発したが、本工具は専ら樹脂被覆管の端部の表面皮剥ぎに適用できるものであった。
【0005】
しかし、当業界では、樹脂被覆管の端部の接続のみならず、中間部にT字管を介して分岐して配管接続することがかなりの需要で施工されて、樹脂被覆管の分岐用の中間接続用の表面皮剥ぎ用工具も要望されるものであった。
【0006】
従来、このような樹脂被覆管の中間接続用部の剥離について、特開2007-252837号公報のように一対の半円弧状分割部材を被覆樹脂管の所定位置に装着してカッター工具で周方向に切り込みを入れ、この所定の幅でそれぞれ切り込みを入れた切り込み部間にフックカッターで切り込んで切り込み間の被覆層を手で剥離するものであったが、被覆樹脂管の所定幅の2個所で切り込みを入れてその間の被覆層を手で剥離することは手間がかかるものであった。
【0007】
そこで、特開2016-89949号公報のように半分割して樹脂被覆管に装着する保持部材に切削刃を深度調整ネジで昇降させて、樹脂被覆管の中間接続用部の一部を剥離することが提案されている。しかし、切削刃を深度調整ネジで昇降させて調整することは容易でなく、かつ樹脂被覆層を螺旋状に剥離するために保持部材の内周部に螺旋状に延びる雄ねじ部を設けねばならず、樹脂被覆管が真円でないために雄ねじ部で樹脂被覆層の表面を傷つけたり、切削刃が引っ掛かって円滑に剥離することかできなくて実用的でなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平10-109202号公報
【文献】実用新案登録第3200797号公報
【文献】特開2007-252837号公報
【文献】特開2016-89949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのため、ガス管や水道管等の樹脂被覆管の表面皮剥ぎを、建物の外部や内部、埋設状態での掘削した狭い空間等でも、容易に樹脂被覆管の中間接続用部等の表面皮剥ぎができる実用的な表面皮剥ぎ工具の開発が課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記のような点に鑑みたもので、上記の課題を解決するために、ガス管や水道管等の樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具であって、上記樹脂被覆管に挿脱可能に環状の工具本体を開閉可能に形成し、その環状の工具本体に外歯歯車を設けて、樹脂被覆管の樹脂被覆部を螺旋状に皮剥ぎできるように皮剥ぎ用刃の刃先部を所要の掬い刃として刃先部を工具本体に挿脱する樹脂被覆管の樹脂被覆部に当接自在に装着するようにし、ラチェットを装着した操作ハンドルを上記工具本体に揺動自在形成するとともに、操作ハンドルにラチェット取付部を摺動自在に設けて、ラチェット取付部を工具本体から遠ざけたときに工具本体の環状部を拡げて所定の樹脂被覆管に挿脱可能とし、工具本体の環状部を所定の樹脂被覆管に装着したときにラチェット取付部を工具本体に近づけて工具本体の外歯歯車にラチェットを係合可能に配設し、ラチェットを装着した操作ハンドルを上記工具本体に揺動自在として装脱可能に形成するとともに、工具本体の外歯歯車にラチェットを係脱可能に配設し、上記操作ハンドルを工具本体に装着したときに、工具本体の外歯歯車にラチェットを係合して上記操作ハンドルを揺動して皮剥ぎ用刃で工具本体の環状部に挿入した樹脂被覆管の樹脂被覆部を皮剥ぎするようにしたことを特徴とする樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具を提供するものである。
【0011】
また、工具本体の外周部の下端部に装着するために操作ハンドルの下端部コ字状断面の工具本体支持部を設け、この工具本体支持部に対向して環状の工具本体の外周上部側の外歯歯車に装着可能にラチェット取付部を設けて、操作ハンドルを工具本体に装脱可能としたことを特徴とする樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具を提供するものである。
【0012】
さらに、工具本体の半円環体の内面部に皮剥ぎ用刃の刃先部を所定量突き出せるように皮剥ぎ用刃を円弧板状の取付調整材に取着して工具本体の半円環体の側面部に取付調整材をそわせるようにして刃先部側の取付調整材の端部側を枢着し、その枢着部を中心として反刃先部側を旋回可能として工具本体に位置調整具で皮剥ぎ用刃の刃先部を後退位置、皮剥ぎ位置に設置できるようにしたことを特徴とする樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具を提供するものである。
【0013】
さらにまた、上記の樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具を使用して、操作ハンドルを揺動して皮剥ぎ用刃で樹脂被覆管の端部や分岐用の中間接続用部の樹脂被覆部を皮剥ぎすることを特徴とする樹脂被覆管の表面皮剥ぎ方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具は、請求項1のように、ガス管や水道管等の樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具であって、上記樹脂被覆管に挿脱可能に環状の工具本体を開閉可能に形成し、その環状の工具本体に外歯歯車を設けて、樹脂被覆管の樹脂被覆部を螺旋状に皮剥ぎできるように皮剥ぎ用刃の刃先部を所要の掬い刃として刃先部を工具本体に挿脱する樹脂被覆管の樹脂被覆部に当接自在に装着するようにし、ラチェットを装着した操作ハンドルを上記工具本体に揺動自在形成するとともに、操作ハンドルにラチェット取付部を摺動自在に設けて、ラチェット取付部を工具本体から遠ざけたときに工具本体の環状部を拡げて所定の樹脂被覆管に挿脱可能とし、工具本体の環状部を所定の樹脂被覆管に装着したときにラチェット取付部を工具本体に近づけて工具本体の外歯歯車にラチェットを係合可能に配設し、ラチェットを装着した操作ハンドルを上記工具本体に揺動自在として装脱可能に形成するとともに、工具本体の外歯歯車にラチェットを係脱可能に配設し、上記操作ハンドルを工具本体に装着したときに、工具本体の外歯歯車にラチェットを係合して上記操作ハンドルを揺動して皮剥ぎ用刃で工具本体の環状部に挿入した樹脂被覆管の樹脂被覆部を螺旋状に皮剥ぎするように形成したことによって、操作ハンドルにラチェット取付部を摺動自在に工具本体に操作ハンドルを装できて、ガス管や水道管等の埋設施工現場等での施工する樹脂被覆管の分岐する中間接続用部等に表面皮剥ぎ用工具の工具本体を開いて挿着し、工具本体を閉じて装着状態とし、工具本体の外歯歯車にラチェットを係合して操作ハンドルを樹脂被覆管のまわりに揺動すると、樹脂被覆管の表面に当接した皮剥ぎ用刃の刃先部で樹脂被覆管の樹脂被覆部を螺旋状に剥ぎ取っていくことができる。そのため、施工現場の掘削した狭い場所等であっても、簡単かつ迅速に配管工事を行なうことができる。
【0015】
また、工具本体の外周部の下端部に装着するために操作ハンドルの下端部コ字状断面の工具本体支持部を設け、この工具本体支持部に対向して環状の工具本体の外周上部側の外歯歯車に装着可能にラチェット取付部を設けて、操作ハンドルを工具本体に装脱可能としたことによって、施工する樹脂被覆管に表面皮剥ぎ用工具の工具本体を開いて挿着でき、上記のようにして操作ハンドルを樹脂被覆管まわりに揺動することで、樹脂被覆管の表面の樹脂被覆部に皮剥ぎ用刃によって切り込んでいくことができ、樹脂被覆管の樹脂被覆部を螺旋状に連続的に剥ぎ取っていくことができる。
【0016】
またさらに、請求項3のように、工具本体の半円環体の内面部に皮剥ぎ用刃の刃先部を所定量突き出せるように皮剥ぎ用刃を円弧板状の取付調整材に取着して工具本体の半円環体の側面部に取付調整材をそわせるようにして刃先部側の取付調整材の端部側を枢着し、その枢着部を中心として反刃先部側を旋回可能として工具本体に位置調整具で皮剥ぎ用刃の刃先部を後退位置、皮剥ぎ位置に設置できるようにしたことによって、刃先部側の取付調整材の端部の枢着部を中心として反刃先部側を旋回可能に工具本体の皮剥ぎ位置部に掛け外しできて、皮剥ぎ用刃の刃先部を所定位置に所定の掬い角で突き出して皮剥ぎすることができる。
【0017】
さらに、請求項4のように、上記樹脂被覆管の表面皮剥ぎ用工具を使用して、操作ハンドルを揺動して皮剥ぎ用刃で樹脂被覆管の端部や分岐用の中間接続用部の樹脂被覆部を螺旋状に皮剥ぎすることによって、上記のように樹脂被覆管に表面皮剥ぎ用工具の工具本体を開いて挿着し、工具本体を閉じて装着状態として、工具本体の外歯歯車にラチェットを係合して操作ハンドルを樹脂被覆管のまわりに揺動すると、樹脂被覆管の表面に当接した皮剥ぎ用刃の刃先部で樹脂被覆管の樹脂被覆部を螺旋状に剥ぎ取っていくことができ、簡単かつ迅速に配管工事を行なっていくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例の一部省略した正面図(a)と説明用側面図(b)、
図2】同上の工具本体部の正面図(a)と開けた状態の正面図(b)、
図3】同上の皮剥ぎ刃の拡大正面図(a)と拡大側面図(b)、
図4】同上の工具本体部への皮剥ぎ刃の取付説明の一部省略した正面図(a)とその位置調整の正面図(b)、挿脱位置調整具部の拡大断面図(c)、
図5】同上の操作ハンドルの正面図(a)と側面図(b)、
図6】同上のストッパー部の正面図(a)側面図(b)、
図7】同上の他の実施例の工具本体部の側面図、
図8】本発明の一使用例の一部省略した説明用側面図(a)、(b)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の表面皮剥ぎ用工具および皮剥ぎ方法は、ガス管や水道管等の樹脂被覆管2の表面皮剥ぎ用工具1であって、上記樹脂被覆管2に挿脱可能に環状の工具本体4を開閉可能に形成し、その環状の工具本体4に外歯歯車5を設けて、樹脂被覆管2の樹脂被覆部を螺旋状に皮剥ぎできるように皮剥ぎ用刃6の刃先部7を所要の掬い刃として刃先部7を工具本体4に挿脱する樹脂被覆管2の樹脂被覆部に当接自在に装着するようにし、ラチェット8を装着した操作ハンドル9を上記工具本体4に揺動自在形成するとともに、操作ハンドル9にラチェット取付部17を摺動自在に設けて、ラチェット取付部17を工具本体4から遠ざけたときに工具本体4の環状部を拡げて所定の樹脂被覆管2に挿脱可能とし、工具本体4の環状部を所定の樹脂被覆管2に装着したときにラチェット取付部17を工具本体4に近づけて工具本体4の外歯歯車5にラチェット8を係合可能に配設し、ラチェット8を装着した操作ハンドル9を上記工具本体4に揺動自在として装脱可能に形成するとともに、工具本体4の外歯歯車5にラチェット8を係脱可能に配設し、上記工具本体4の外歯歯車5にラチェット8を係合して操作ハンドル9を工具本体4に装着したときに、上記操作ハンドル9を揺動して皮剥ぎ用刃6で工具本体4の環状部に挿入した樹脂被覆管2の樹脂被覆部を螺旋状に皮剥ぎするようにしたことを特徴としている。
【0020】
表面皮剥ぎ用工具1は、図1(a)、(b)のように樹脂被覆管2に対応して所定径の円環状等の環状の工具本体4を図2(a)、(b)のようにその下端部、上端部に開閉枢支具10、開閉締弛具11を取り付けて一対の半円環体12を開閉可能にして樹脂被覆管2に嵌脱できるように形成している。
【0021】
その工具本体4の一方の半円環体12の側面部には、図3(a)、(b)のような皮剥ぎ用刃6を取着してその刃先部7を突き出せるように図4(a)、(b)のように円弧板状の取付調整材13に取着し、刃先部側の取付調整材13の端部側を枢着して、その枢着部13aを中心として反刃先部側を旋回可能に工具本体4に掛け外しピン等の位置調整具14で後退位置13b、剥ぎ位置部13cに掛け外し自在に取付け、皮剥ぎ用刃6の刃先部7を後退位置、皮剥ぎ位置に設置できるようにしている。
【0022】
位置調整具14は、図4(c)のように所要弾性のコイルスプリンク等のばね14aを装着したプランジャー14bを操作して、取付調整材13の後退位置部13b、剥ぎ位置部13cの開口に挿脱可能に設け、簡単かつ確実に皮剥ぎ用刃6の刃先部7を後退位置、皮剥ぎ位置に固定状態に保持できるようにしている。

【0023】
上記皮剥ぎ用刃6は、所要の工具鋼で形成していて、図3(a)、(b)のように皮剥ぎ用刃6を数ミリ幅の円弧板状に形成し、その外周部を円環状の工具本体4の内周部にそわせ、その内周部を樹脂被覆管2の外周面にそうようにして、上記したように掛け外しレバーのように形成した取付調整材13の反刃先部側を旋回して位置調整具14で皮剥ぎ位置部13cに係止し、皮剥ぎ用刃6の鋭角状の刃先部7を所要量突き出して樹脂被覆管2の表面の樹脂被覆部を螺旋状に皮剥ぎできるようにしている。
【0024】
皮剥ぎ用刃6の刃先部7は、図3(a)、(b)のように背面を平坦面とした40~60度の所要の掬い角として上面の切削面を所要の曲率面の円弧状や楕円弧状等の円弧面とし、その前部側の側面部に逃げ角1~5度、好ましくは2~3度の逃がし7aを凹設するとともに、円弧面とした前方側をやや長く、後方側をやや短くして、樹脂被覆管2の樹脂被覆面を所定幅で円滑に螺旋状に連続的に皮剥ぎできるようにしている。
【0025】
上記環状5工具本体4の一側部には、図1(a)、(b)のように操作ハンドル9の工具本体4にそった半円弧状の操作ハンドル取付部15を下端部の工具本体支持部16と上方側のラチェット取付部17で保持するようにし、操作ハンドル9にラチェット取付部17をその軸方向にそって所要量摺動自在に設け、ラチェット取付部17を摺動して工具本体4から遠ざけたときに工具本体4の半円環体12を開けて所定の樹脂被覆管2の中間接続用部3等に挿脱可能とし、工具本体4の半円環体12を所定の樹脂被覆管2の中間接続用部3等に装着するときにラチェット取付部17を摺動して工具本体4に近づけて工具本体4の側面の平歯車や爪歯車等の外歯歯車5にラチェット8を係合して、操作ハンドル9を揺動して工具本体4を回転して皮剥ぎできるようにしている。17aはラチェット取付部用ストッパー、17bはラチェット取付部用締弛具である。
【0026】
上記ラチェット取付部17には、図5(a)、(b)のようにその内方側に山形状にラチェット8を左右に揺動可能に軸部18で軸支し、ラチェット8の山部19にボール20を所定の弾性力のスプリング21を介して押さえて、ラチェット8の一方のラチェット爪22を上記した外歯歯車5に係脱可能に当接するようにし、外歯歯車5を一方向に旋回できるようにしている。
【0027】
操作ハンドル9の下方部には、図5(a)、(b)のように半円弧状の操作ハンドル取付部15の中央下端部の断面コ字状の工具本体支持部16に工具本体4の下端部を装脱可能に挿入して保持するようにし、上記したようにラチェット取付部17を摺動して工具本体4に近づけてラチェット8の両側板のラチェット取付部17に工具本体4の上端部を挟着してラチェット取付部用締弛具17bをロック状態として保持するようにしている。
【0028】
23は皮剥ぎ用ストッパーで、図6(a) ,(b)のように枢支具24、蝶着具25で半円弧材26、27を開閉可能に形成していて、樹脂被覆管2の所要幅の剥離開始位置、終了位置に取り付けて、表面皮剥ぎ用工具1をストッパー23の剥離位置まで移動させて樹脂被覆管2の所定幅の皮剥ぎをできるようにしている。必要により、ストッパー23を数cmごとに移動させて、尺取り虫のように樹脂被覆管2の皮剥ぎすることもできる。
【0029】
なお、図7のように工具本体4の背面側に同心円状に樹脂被覆管2の搭載用ガイド28(3個)を水平状に突き出して設けて、工具本体4に樹脂被覆管2を垂直状に配置するようにしたり、この搭載用ガイド28の少なくとも1ケ所に所定弾性力の樹脂被覆管2の回転止め板29を樹脂被覆管2の表面に食い込み可能に当接状態に配設し、操作ハンドル9を揺動して皮剥ぎするときに樹脂被覆管2が共回りするのを防止することが好ましい。
【0030】
上記表面皮剥ぎ用工具1は、所要の樹脂被覆管2の口径に対応して25Aや32A、50A、100A等の適宜の口径用のものとすることができ、必要により所要径のアダプター等を装着して対処することもでき、さらに工具本体4に皮剥ぎ用刃6を複数個取り付けたり、交換可能に取り付けたりすることも可能で、本発明の趣旨にもとづいて適宜に実施態様を採択することができるものである。
【実施例
【0031】
図1以下は、本発明の実施例を示すものである。表面皮剥ぎ用工具1は、図1(a)、(b)のように所要径の樹脂被覆管2用に対応した円環状の工具本体4を図2(a)、(b)のように一対の半円環体12を開閉可能に形成し、外周部に所定ピッチの外歯歯車5を設け、この外歯歯車3に操作ハンドル9部のラチェット8を係脱可能に設けて操作ハンドル9を揺動して工具本体4を回転するようにしている。
【0032】
その工具本体4の一方の半円環体12の側面部には、図3(a)、(b)、図4(a)~(c)のように皮剥ぎ用刃6を円弧板状の取付調整材13に取り付け、刃先部側の取付調整材13の端部を枢着して枢着部13aを中心として反刃先部側を旋回可能に工具本体4に掛け外しピンの位置調整具14で皮剥ぎ位置部13cに掛け外し自在とし、皮剥ぎ用刃6の刃先部7を所定位置に所定の掬い角で突き出して皮剥ぎできるようにしている。
【0033】
皮剥ぎ用刃6の刃先部7は、図3(a)、(b)のように前方側をやや長く、後方側をやや短くして所要の掬い角の円弧面とし、その前部側の側面部に逃げ角3度程の逃がし7aを凹設し、樹脂被覆管2の樹脂被覆面を所定幅の円弧面で切削していって円滑に螺旋状に連続的に皮剥ぎできるようにしている。
【0034】
操作ハンドル9には、ラチェット取付部17をその軸方向にそって摺動自在に設け、ラチェット取付部17を摺動して工具本体4から遠ざけたときに工具本体4の半円環体12を開けて樹脂被覆管2の中間接続用部3に挿脱可能として、工具本体4の半円環体12を樹脂被覆管2の中間接続用部3に装着するようにし、ラチェット取付部17を摺動して工具本体4に近づけて工具本体4の外歯歯車5にラチェット8を係合してロックし、ラチェット8を外歯歯車5に一方向に旋回できるように係止して操作ハンドル9を揺動して外歯歯車5を旋回して皮剥ぎできるようにしている。
【0035】
上記操作ハンドル9の下方部には、図5(a)、(b)のように半円弧状の支持アーム15を設け、その中央下端部の断面コ字状の工具本体支持部16に工具本体4の下端部を挿入して保持するようにし、ラチェット8の両側板のラチェット取付部17に工具本体4の上端部を挟着するようにし、工具本体4を樹脂被覆管2に挿着したとき、工具本体4に操作ハンドル9を取着してその揺動操作によって工具本体4をラチェット8を介して旋回できるようにしている。
【0036】
たとえば、32A口径のガス管の樹脂被覆管2の分岐する中間接続用部3の樹脂被覆部を皮剥ぎするにあっては、図8(a)のように先ず樹脂被覆管2の皮剥ぎを開始する始点位置にストッパー23を取り付け、その皮剥ぎの始点側に表面皮剥ぎ用工具1の工具本体4の半円環体12を開けて装着し、図4(a)、(b)のように皮剥ぎ刃6の位置調整具14をばね14aに抗して抜き差しして円弧板状の取付調整材13を後退位置から皮剥ぎ位置に旋回して刃先部7を所定位置に突き出す。
【0037】
そして、操作ハンドル9部の支持アーム15の下端部の工具本体支持部16に工具本体4の下端部を挿入し、ラチェット取付部17を摺動して工具本体4に接近させて工具本体4の外歯歯車5にラチェット8を係合してラチェット取付部用締弛具17bでロック状態とし、ラチェット8を皮剥ぎ方向側に倒し、ラチェット爪22を外歯歯車5に係合し、操作ハンドル9を揺動して皮剥ぎ刃6によって樹脂被覆管2の中間接続用部3の始点位置の樹脂被覆部を円弧状に剥ぎ取る。
【0038】
次いで、ストッパー23を弛めて、図8(b)のように樹脂被覆管2の皮剥ぎを所定幅の最終位置にストッパー23を取り付け、操作ハンドル9を揺動していくと、皮剥ぎ刃6によって樹脂被覆管2の中間接続用部3の樹脂被覆部を所定幅で螺旋状に剥ぎ取っていくことができる。
【0039】
操作ハンドル9を樹脂被覆管2の側部で揺動することで、樹脂被覆管2の樹脂被覆部に皮剥ぎ用刃6の刃先部7によって螺旋状に切り込んで樹脂被覆管2の樹脂被覆部を螺旋状に連続的に剥ぎ取っていくことができ、ストッパー23に突き当たると、樹脂被覆部が螺旋状に剥ぎ取れ、樹脂被覆管2の分岐の中間接続用部3を奇麗に、迅速に皮剥ぎすることができる。
【0040】
このようにして、ガス管の埋設施工現場等での施工する樹脂被覆管2の分岐する中間接続用部3に表面皮剥ぎ用工具1の工具本体4を開いて挿着し、工具本体4を閉じて装着状態とし、操作ハンドル9部を工具本体4に取着して、ラチェット取付部17を摺動して工具本体4に接近させて工具本体4の外歯歯車5に工具本体4の外歯歯車5にラチェット8を係合して操作ハンドル9を樹脂被覆管2のまわりに揺動すると、樹脂被覆管2の表面に当接した皮剥ぎ用刃6の刃先部7で樹脂被覆管2の中間接続用部3の樹脂被覆部を剥ぎ取っていくことができ、施工現場の掘削した狭い場所等であっても、簡単かつ迅速に配管工事を行なうことができる。また、樹脂被覆管2が真円でなくても、円滑に剥離していくことができる。なお、工具本体4に操作ハンドル9が装脱可能とすることで、樹脂被覆管2への取り付けが容易で、工具の保管も省スペース化できる。
【0041】
特に、皮剥ぎ用刃6を図4(a)~(c)のように円弧板状の取付調整材13に取着し、刃先部側の取付調整材13の端部を枢着して、その枢着部13aを中心として反刃先部側を旋回可能に工具本体4に掛け外しピンの位置調整具14で後退位置13b、皮剥ぎ位置部13cに抜き差し自在に取付けるようにしているので、皮剥ぎ用刃6の刃先部7を後退位置、皮剥ぎ位置に迅速かつ容易に設置することができ、能率よく作業を行なうことができて好ましい。また、皮剥ぎ用刃6を後退位置に設置したときには、表面皮剥ぎ用工具1を樹脂被覆管2にそって自在に移動させることができて、所要位置に迅速に設置することができる。
【0042】
さらに、皮剥ぎ用刃6の刃先部7は、図3(a)、(b)のように背面を平坦面とした所要の掬い角として、その前方側の側面部に逃がし7aを凹設しているため、樹脂被覆管2の樹脂被覆面を所定幅で円滑に螺旋状に連続的に皮剥ぎができるものである。
【0043】
図7は、本発明の他の実施例で、工具本体4の背面側に同心円状に樹脂被覆管2の3個の搭載用ガイド28を水平状に突設し、この搭載用ガイド28に所定弾性力の樹脂被覆管2の回転止め板29を設けたものである。本実施例では、工具本体4に樹脂被覆管2を垂直に挿入でき、操作ハンドル9を揺動して皮剥ぎするときに樹脂被覆管2が共回りするのを防止することができる。
【0044】
上記では、ガス管について説明したが、水道管についても同様であり、さらに送油管、電線を内装した電線管等にも適用でき、皮剥ぎ用刃は上記の形状のものが好ましいが、本発明の趣旨にもとづいて適宜な形状のものも実施することができるものである。また、本発明は上記したように狭い施工個所での使用に限定することなく、また樹脂被覆管の中間接続用部以外に端部についても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、ガス管や水道管、LNG管、LPG管、送油管、電線を内装した電線管等の樹脂被覆管の中間接続用部や端部の表面皮剥ぎに利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1…表面皮剥ぎ用工具 2…樹脂被覆管 3…中間接続用部 4…工具本体
5…外歯歯車 6…皮剥ぎ用刃 7…刃先部 8…ラチェット 9…操作ハンドル 23…ストッパー
図1
図2
図3
図4
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図7
図8