(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】医療ツールを患者の身体に挿入する挿入デバイス及び挿入システム
(51)【国際特許分類】
A61M 25/08 20060101AFI20220128BHJP
【FI】
A61M25/08 500
(21)【出願番号】P 2017528175
(86)(22)【出願日】2015-11-28
(86)【国際出願番号】 IL2015051158
(87)【国際公開番号】W WO2016084092
(87)【国際公開日】2016-06-02
【審査請求日】2018-11-21
【審判番号】
【審判請求日】2020-10-16
(32)【優先日】2014-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516263568
【氏名又は名称】ザクト ロボティクス リミテッド
【住所又は居所原語表記】8 HaTochen Street Industry Park North PO Box 3097 3079861 Caesarea,ISRAEL
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ガリリ、 ベン
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド、 オファー
(72)【発明者】
【氏名】シャロン、 シモン
(72)【発明者】
【氏名】グロスマン、 ダニエル
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】平瀬 知明
【審判官】莊司 英史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0319387(US,A1)
【文献】国際公開第2007/096950(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療ツールを患者の身体に挿入する挿入デバイスであって、
長さの少なくとも一部に沿って接続された一対の可撓性ストリップであって、
前記一対の可撓性ストリップは、前記医療ツールが中に挿入されるように適合された中空の中心チャネルを間に有
し、それぞれが長さに沿って形成された複数の穴を含む一対の可撓性ストリップと、
前記一対の可撓性ストリップの両側に配置された一対の回転体であって、
それぞれが周囲に沿って配列された複数の突起を含む一対の回転体と
を含み、
前記複数の突起は、前記一対の可撓性ストリップの前記複数の穴に係合するように構成され、
前記医療ツールが前記中空の中心チャネル内に受容されると、前記一対の可撓性ストリップと前記医療ツールとが、前記一対の回転体から離れた端において一緒に固定され、前記回転体の適切な方向の逆方向回転により、前記一対の可撓性ストリップ及び前記医療ツールが前記患者の身体に向かって引っ張られる挿入デバイス。
【請求項2】
前記一対の可撓性ストリップと前記医療ツールとを一緒に固定するように構成された保持器部材をさらに含む請求項
1に記載の挿入デバイス。
【請求項3】
案内部材をさらに含み、
前記案内部材は、
前記一対の回転体を収容するように適合された一以上のキャビティと、
前記医療ツールの通過を許容するように適合された開口と
を含む請求項1
又は2に記載の挿入デバイス。
【請求項4】
前記開口はさらに、前記医療ツールの寸法に従って調整されるように構成された拘束機構を含み、
前記拘束機構の少なくとも一部分が前記開口の中に配置される請求項
3に記載の挿入デバイス。
【請求項5】
前記拘束機構は、互いに対向するように配置された少なくとも2つの部分を含み、
前記少なくとも2つの部分の少なくとも一方が、前記少なくとも2つの部分の他方へと動かされるように適合される請求項
4に記載の挿入デバイス。
【請求項6】
前記一対の可撓性ストリップの各可撓性ストリップが前記一対の回転体の一つの回転体のまわりに向けられるように適合される請求項1~
5のいずれか一項に記載の挿入デバイス。
【請求項7】
前記一対の可撓性ストリップの非接続遠位端がそれぞれ、前記一対の回転体の関連回転体まわりに巻き付けられる請求項
6に記載の挿入デバイス。
【請求項8】
前記一対の可撓性ストリップの各可撓性ストリップが、一対の構造エッジの一つの構造エッジによって、前記一つの構造エッジの近くに配置された前記一対の回転体の一つの回転体まわりに向けられる請求項
6に記載の挿入デバイス。
【請求項9】
前記中空の中心チャネルは、関連回転体まわりの前記一対の可撓性ストリップの各可撓性ストリップの巻き付けを容易にするべく、長さに沿った脆弱セクションを含む請求項1~
8のいずれか一項に記載の挿入デバイス。
【請求項10】
前記複数の突起の2つの隣接突起間の距離は、前記複数の穴の2つの隣接穴間の距離よりも大きい請求項
1~
9のいずれか一項に記載の挿入デバイス。
【請求項11】
前記医療ツールは先端を含み、
前記挿入デバイスはさらに、前記医療ツールが前記患者の身体の方向に進行されるときに前記先端が、前記中空の中心チャネルの内表面に接触するのを防止するように構成された保護要素を含む請求項1~
10のいずれか一項に記載の挿入デバイス。
【請求項12】
前記保護要素は前記中空の中心チャネルに挿入された中空管を含む請求項
11に記載の挿入デバイス。
【請求項13】
前記保護要素は、前記中空の中心チャネルの外部において前記挿入デバイスの少なくとも一部分に結合される請求項
11に記載の挿入デバイス。
【請求項14】
前記挿入デバイスは、互い同士で接続及び接続解除されるように適合された2つの別個のユニットを含み、
各ユニットは、
前記一対のストリップの一方のストリップと、
前記一対の回転体の一方の回転体と
を含む請求項1~
13のいずれか一項に記載の挿入デバイス。
【請求項15】
前記医療ツールの位置を決定するように構成されたエンコーダをさらに含む請求項1~
14のいずれか一項に記載の挿入デバイス。
【請求項16】
前記エンコーダは、(i)前記医療ツール上のマーキング、及び(ii)前記一対の可撓性ストリップの少なくとも一つの可撓性ストリップ上の特徴部、の一以上を検知することにより、前記医療ツールの位置を決定するように構成された光学式エンコーダである請求項
15に記載の挿入デバイス。
【請求項17】
前記医療ツールは、針、カニューレ、カテーテル、導入器、ポート、流体送達管又は電極ロッドの
中から選択される請求項1~
16のいずれか一項に記載の挿入デバイス。
【請求項18】
医療ツールを患者の身体に挿入する挿入システムであって、
請求項1~
17のいずれか一項に記載の挿入デバイスと、
前記挿入デバイスを受容するように構成されたハウジングと、
前記一対の回転体を回転させるように構成された作動機構と
を含
み、
前記作動機構は第1の部分及び第2の部分を含む挿入システム。
【請求項19】
前記作動機構の
前記第1の部分
は前記ハウジングに結合され
、
前記挿入デバイスは、前記作動機構の
前記第2の部分を含
み、
前記挿入デバイスが前記ハウジングによって受容されると前記作動機構は、前記作動機構の前記第2の部分が前記作動機構の前記第1の部分に結合することによって動作可能となる請求項
18に記載の挿入システム。
【請求項20】
前記挿入デバイスを前記ハウジングの中にロックするように構成されたロック機構をさらに含む請求項
18又は19に記載の挿入システム。
【請求項21】
前記ロック機構は、
前記挿入デバイスに結合された回転部材と、
前記ハウジングに形成された一以上のスリットと
を含み、
前記回転部材の回転により、前記回転部材の少なくとも一部分が前記一以上のスリットの少なくとも一つに入り込むようにして、前記挿入デバイスが前記ハウジングの中にロックされる請求項
20に記載の挿入システム。
【請求項22】
医療ツールを患者の身体に挿入する挿入デバイスであって、
長さの少なくとも一部に沿って接続された一対の可撓性ストリップであって、前記医療ツールが中に挿入されるように適合された中空の中心チャネルを間に有する一対の可撓性ストリップと、
前記一対の可撓性ストリップのいずれかの側に配置された一対の回転体と
を含み、
前記一対の回転体の外面と前記一対の可撓性ストリップの外面とが、これらの間の相互作用が摩擦によって達成されるように粗面化され、
前記医療ツールが前記中空の中心チャネル内に受容されると、前記一対の可撓性ストリップと前記医療ツールとが、前記一対の回転体から遠位の端において一緒に固定され、前記回転体の適切な方向の逆方向回転により、前記一対の可撓性ストリップ及び前記医療ツールが前記患者の身体に向かって引っ張られる挿入デバイス。
【請求項23】
(i)前記一対の可撓性ストリップ及び(ii)前記医療ツールの近位の領域を一緒に固定するように構成された保持器部材をさらに含む請求項22に記載の挿入デバイス。
【請求項24】
案内部材をさらに含み、
前記案内部材は、
前記一対の回転体を収容するように適合された一以上のキャビティと、
前記医療ツールの通過を許容するように適合された開口と
を含む請求項22又は23に記載の挿入デバイス。
【請求項25】
前記一対の可撓性ストリップの各可撓性ストリップが前記一対の回転体の一つの回転体のまわりに向けられるように適合される請求項22~24のいずれか一項に記載の挿入デバイス。
【請求項26】
前記挿入デバイスは、互い同士で接続及び接続解除されるように適合された2つの別個のユニットを含み、
各ユニットは、
前記一対のストリップの一方のストリップと、
前記一対の回転体の一方の回転体と
を含む請求項22~25のいずれか一項に記載の挿入デバイス。
【請求項27】
前記医療ツールは、針、カニューレ、カテーテル、導入器、ポート、流体送達管又は電極ロッドの中から選択される請求項22~26のいずれか一項に記載の挿入デバイス。
【請求項28】
医療ツールを患者の身体に挿入する挿入システムであって、
請求項22~27のいずれか一項に記載の挿入デバイスと、
前記挿入デバイスを受容するように構成されたハウジングと、
前記一対の回転体を回転させるように構成された作動機構と
を含み、
前記作動機構は第1の部分及び第2の部分を含む挿入システム。
【請求項29】
前記作動機構の前記第1の部分は前記ハウジングに結合され、
前記挿入デバイスは、前記作動機構の前記第2の部分を含み、
前記挿入デバイスが前記ハウジングによって受容されると前記作動機構は、前記作動機構の前記第2の部分が前記作動機構の前記第1の部分に結合することによって動作可能となる請求項28に記載の挿入システム。
【請求項30】
前記挿入デバイスを前記ハウジングの中にロックするように構成されたロック機構をさらに含む請求項28又は29に記載の挿入システム。
【請求項31】
前記ロック機構は、
前記挿入デバイスに結合された回転部材と、
前記ハウジングに形成された一以上のスリットと
を含み、
前記回転部材の回転により、前記回転部材の少なくとも一部分が前記一以上のスリットの少なくとも一つに入り込むようにして、前記挿入デバイスが前記ハウジングの中にロックされる請求項30に記載の挿入システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針又は他の細い医療器具の挿入の分野に関し、特には、当該医療ツールの挿入中の座屈を防止するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の臨床診療で用いられる多くの日常的処置には、生検、薬物送達、並びに他の診断及び治療の手順を目的とした針、カテーテル及び他の細い医療ツールの経皮挿入が含まれる。挿入手順の目的は、適切な医療器具の先端を、腫瘍、病変、器官又は血管であり得る標的領域に安全かつ正確に配置することにある。針又は他の類似の医療ツールの挿入を必要とする処置の例には、ワクチン接種、血液/液体サンプリング、局所麻酔、組織生検、カテーテル挿入、極低温アブレーション、電解アブレーション、小線源照射療法、神経外科手術、深部脳刺激及び様々な低侵襲手術が含まれる。
【0003】
そのような医療ツール(例えば針)は一般に薄壁であり、小径であり、大抵は非常に長い。これらの特性ゆえに、かつ、患者の皮膚に侵入させるのに必要な力(ほぼ10N)ゆえに、針を患者の皮膚に、当該力を受けた針の座屈なしに当該針の近位端から侵入させることは困難となり得る。針がその進行時に骨のような固い物体に遭遇した場合も、同じ問題が生じ得る。
【0004】
本願と共通する発明者を有する同時係属中の「シャフト操作による針操舵」との名称の国際特許出願第IL2014/050891号では、針を患者に挿入するためのデバイスが記載されている。その針は、近位端から離れるように保持され、摩擦に基づく機構を介して引っ張られる。そのようなデバイスは座屈を防止することができるが、構造が複雑であり、使い捨て滅菌針パックの使用が容易に許容されない。さらに、針を近位端から摩擦駆動により引っ張ることでは、上述した侵入させる力を克服するのに十分な力が得られない。
【0005】
摩擦駆動には一般に、針に対して径方向の力を適用する必要があるが、この力は針を降伏させかねない。これは有意な問題となり得る。生検針における傾向は、針の壁厚を低減させる方向にあるからである。
【0006】
「遠位斜角先端針制御デバイスとアルゴリズム」との名称のR.J.ウェブスターIII等による特許文献1には、外科用縫合針を患者の組織へと経皮的に操舵する方法が記載されている。一実施形態は、一対の駆動ホイールが、針をその遠位端から患者の皮膚へと引っ張ることを示すが、この実施形態は、国際特許出願第IL2014/050891号と同じ欠点を有する。第2の実施形態は伸縮自在案内器を使用するが、針を進行させるのに使用される送りねじゆえに、当該機構の高さが、その固定の全寸法に維持され、これにより、例えばCTシステムの限られたボア内でのその使用が妨げられるという欠点を有する。
【0007】
したがって、先行技術のデバイスの欠点を克服する新たな挿入デバイスの必要性が存在している。
【0008】
本明細書のこのセクションにおいて及び他のセクションにおいて言及された公報それぞれの開示は、それぞれの全体が参照によりここに組み入れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【0010】
本開示は、折りたたみ可能支持案内器を使用して可撓性針又は任意の他の細長い器具若しくは物体を軟質媒体(例えば組織)の中へ機械的に挿入する方法及び装置を記載する。折りたたみ可能支持案内器は、当該媒体に未だ侵入していない針の一部を支持して当該針の座屈を防止するが、連続的な挿入プロセスを妨げることがない。本開示に記載されるデバイスの異なる実装は以下を含む。
(i)その長さ方向に接続されて針を、その針長さの少なくとも一部に沿って封入する一対の可撓性ストリップのような、可撓性支持案内器の使用。ストリップは、針が挿入されるときに当該針から剥がれるように適合される。これにより、針を近位端から進行させることによって、侵入プロセスに対して適用される十分な力を確保するように挿入することができる。
(ii)伸縮自在支持管の使用。これは、針を支持し、当該針の支持部分が患者の皮膚の外側において座屈するのを防止する。さらには、CTシステムのボアのような限られた空間での使用がデバイスの高さによって妨げられないように、針が挿入されるときに伸縮自在に折りたたまれる。
【0011】
可撓性支持案内器を使用するここに記載の第1の実装(i)に対し、一定数の推進方法は、針支持案内器アセンブリを近位端により患者の身体の中へと押し込み又は引っ張るべく、以下のように使用することができる。
(a)案内器の近位端が、引張機構を介して、例えばケーブル又はストリップによって、引き下ろされる。
(b)案内器自体が穿孔され、アセンブリの下部にある2以上の回転体が、当該案内器の穿孔に係合して当該案内器自体を患者の身体に向けて遠位に引っ張る突起を有する。
(c)案内器は、長さの少なくとも一部にわたる歯付きラックのような形状とされ、その歯は、アセンブリの下部に位置決めされた対応歯車の歯と噛み合う。
(d)案内器が粗面の外表面を含む摩擦に基づく機構と一対の反対側に直面するプーリとが押圧し合う。プーリ自体もまた、粗面としてよい。
(e)一アレイの圧電駆動器が、針又は案内器の一以上の側に装着され、当該駆動要素はそれぞれが、当該針又は案内器に接触し、そのアクティブ化によって当該針又は案内器を遠位に推進させる。
【0012】
ここに記載の第2の実装(ii)に対し、好ましい推進方法は、伸縮自在アセンブリの近位端を、その中に収められた針とともに遠位に引っ張るケーブルを使用することによる。
【0013】
すなわち、本開示に記載のデバイスの一つの代表的実装によれば、ツールを挿入するデバイスは、
(i)当該ツールの通過を許容するように適合された開口を有する案内部材と、
(ii)当該開口を通して挿入部位の方向に当該ツールを進行させるように構成された推進機構と、
(iii)長さの少なくとも一部分に沿って当該ツールを支持するように構成される一方で当該挿入部位の方向に進行される座屈防止機構と
を含み、
当該デバイスは、当該ツールが当該挿入部位の方向に進行されるにつれて当該挿入部位に対する高さが減少するように構成される。
【0014】
そのようなデバイスはさらにヘッド要素を含み、ツールの近位領域が結合され得る。そのような場合、推進機構は当該座屈防止機構を含むとともに、
(i)長さの少なくとも一部に沿って接続された一対の可撓性ストリップであって、その間に当該ツールを受容かつ支持するように適合された中心チャネルを有し、当該ヘッド要素よりも近位の領域で結合される一対の可撓性ストリップと、
(ii)当該一対の可撓性ストリップの両側に配置された一対の回転体であって、当該一対の回転体の逆方向回転により当該一対の可撓性ストリップが当該一対の回転体の間で動かされるように相互作用をする一対の回転体と
を含み、
当該ツールが当該中心チャネル内に受容されると、当該一対の可撓性ストリップと当該ツールとが、当該ヘッド要素によって接続され、前記回転体の適切な方向の逆方向回転により、当該一対の可撓性ストリップ及び当該ツールが当該一対の回転体に向かって引っ張られる。このとき、一対の回転体の各回転体は、周囲に沿って配列された複数の突起を含んでよく、当該複数の突起は、当該一対の可撓性ストリップの各ストリップの長さに沿って形成された対応する複数の穴に係合するように適合される。一対の可撓性ストリップは、ツールを受容するように適合された中心チャネルの少なくとも一側に接続してよい。追加的に、当該ツールを受容するように適合された中心チャネルの領域に接続されてよい。回転体を備えたそのようなデバイスはさらに、一対の可撓性ストリップの各ストリップを一対の回転体の一方のまわりに向けるように適合された分離特徴部を含み得る。この分離特徴部は単に、一対の可撓性ストリップの非接続遠位端であってよく、各非接続遠位端は、一対の回転体の関連回転体まわりに巻き付けられる。一代替として、各回転体は、周囲に沿って配列された複数のリッジを含み、当該リッジは、一対の可撓性ストリップに形成された対応リッジに係合するように適合される。
【0015】
上記デバイスのいずれにおいても、一対の可撓性ストリップの各ストリップの、関連回転体まわりの巻き付けを容易にするべく、中心チャネルは、その長さに沿って脆弱セクションを含み得る。異なる実装によれば、挿入デバイスは、互い同士で接続及び接続解除されるように適合された2つの別個のユニットを含んでよく、各ユニットは、
(i)一対のストリップの一方のストリップと、
(ii)一対の回転体の一方の回転体と、
(iii)案内部材の少なくとも一部分と
を含む。
【0016】
上記デバイスのさらに他の実装において、座屈防止機構は伸縮自在管を含み得る。そのような伸縮自在管実装はさらに、ツールの近位領域が結合されたヘッド要素を含み、当該伸縮自在管は、ヘッド要素と案内部材との間に取り付けられる。そのような場合のいずれにおいても、デバイスはさらに、伸縮自在管に接続された少なくとも一つの把持部材を含み、当該少なくとも一つの把持部材は、挿入部位の方向に進行するときにツールを受容かつ支持するように構成される。ツールは、伸縮自在管内に封入されてよい。さらに、ヘッド要素は、当該ヘッド要素と案内部材との間に取り付けられたケーブルによって当該案内部材に向かって動いてよい。そのようなケーブルを、案内部材に取り付けられたプーリまわりに巻き付けることができる。
【0017】
ツールを挿入するそのようなデバイスにおいて、推進機構は、一以上の圧電アクチュエータを含んでよい。
【0018】
上記デバイスのいずれにおいても、開口はさらに、ツールの寸法に従って調整されるように構成された拘束機構を含んでよい。当該拘束機構の少なくとも一部分が当該開口内に配置される。そのような拘束機構は、互いに対向するように配置された少なくとも2つの部分を含み得るので、当該少なくとも2つの部分の少なくとも一つが、当該少なくとも2つの部分の他方へと動かされるように適合される。この場合、拘束機構はさらに、締め付けねじを含んでよい。
【0019】
上記デバイスのなおもさらなる実装は、ツールの位置を決定するように構成されたエンコーダをさらに含む。そのようなエンコーダは、ツール上の検知用マーキングと、座屈防止機構の一以上の部品上の検知用特徴部との一以上によって、当該ツールの位置を決定するように構成された光学式エンコーダでよい。
【0020】
上記デバイスの追加例は、互い同士で接続及び接続解除されるように適合された2つの別個のユニットを含んでよく、各ユニットは、
(i)案内部材の少なくとも一部分と、
(ii)推進機構の少なくとも一部分と、
(iii)座屈防止機構の少なくとも一部分と
を含む。
さらに、ツールは、針、カニューレ、カテーテル、導入器、ポート、流体送達管又は電極ロッドの一以上を含んでよい。
【0021】
さらに、本開示のデバイスの一つの代替実装に従って、ツールを挿入するアセンブリが与えられる。このアセンブリは、
(i)挿入モジュールであって、
(a)当該ツールの通過を許容するように適合された開口を有する案内部材と、
(b)当該ツールを当該開口を通して、挿入部位の方向に進行させるように構成された推進機構と、
(c)当該挿入部位の方向への進行中に当該ツールを、その長さの少なくとも一部分に沿って支持するように構成された座屈防止機構と
を含む挿入モジュールと、
(ii)当該挿入モジュールを受容するように構成されたハウジングと、
(iii)当該推進機構をアクティブにするように構成された作動機構と
を含む。
そのような挿入アセンブリにおいて、挿入モジュールは、ツールが挿入部位の方向に進行するにつれて当該挿入部位に対する高さが減少するように構成してよい。挿入モジュールはさらに、ツールの近位領域が結合されるヘッド要素を含んでよい。さらに、推進機構は、座屈防止機構を含むとともに、
(i)長さの少なくとも一部に沿って接続された一対の可撓性ストリップであって、その間に当該ツールを受容かつ支持するように適合された中心チャネルを有し、当該ヘッド要素よりも近位の領域で結合される一対の可撓性ストリップと、
(ii)当該一対の可撓性ストリップの両側に配置された一対の回転体であって、当該一対の回転体の逆方向回転により当該一対の可撓性ストリップが当該一対の回転体の間で動かされるように相互作用をする一対の回転体と
を含み、
当該ツールが当該中心チャネル内に受容されると、当該一対の可撓性ストリップと当該ツールとが、当該ヘッド要素によって接続され、前記回転体の適切な方向の逆方向回転により、当該一対の可撓性ストリップ及び当該ツールが当該一対の回転体に向かって引っ張られる。そのような状況において、一対の回転体の各回転体は、周囲に沿って配列された複数の突起を含んでよく、当該複数の突起は、当該一つの可撓性ストリップの各ストリップの長さに沿って形成された対応する複数の穴に係合するように適合される。さらに、一対の可撓性ストリップの遠位端は非接続でよく、各非接続遠位端は、一対の回転体の関連回転体まわりに巻き付けられる。
【0022】
異なる実装によれば、挿入モジュールは、互い同士で接続及び接続解除されるように適合された2つの別個のユニットを含んでよく、各ユニットは、
(i)一対のストリップの一方のストリップと、
(ii)一対の回転体の一方の回転体と、
(iii)案内部材の少なくとも一部分と
を含む。
【0023】
本開示のデバイスの複数の代替実装のいずれかの座屈防止機構は、伸縮自在管を含んでよく、この場合、当該座屈防止機構はさらに、当該伸縮自在管に接続された少なくとも一つの把持部材を含んでよい。把持部材は、挿入部位の方向に進行するときにツールを受容かつ支持するように構成される。これらの代替実装においてもまた、推進機構は一以上の圧電アクチュエータを含んでよい。追加的に、これらはさらに、ツールの位置を決定するように構成されたエンコーダを含んでよい。ツール自体は、針、カニューレ、カテーテル、導入器、ポート、流体送達管又は電極ロッドの一以上を含んでよい。さらに、作動機構の第1の部分はハウジングに結合されてよく、当該作動機構の第2の部分は、挿入モジュールの案内部材に結合されてよい。そのようなデバイスにおいて、ロック機構が、挿入モジュールをハウジングの中にロックするように構成されてよい。ロック機構は、
(i)挿入モジュールに結合された回転部材と、
(ii)ハウジングに形成された一以上のスリットと
を含んでよく、
当該回転部材の回転により、当該回転部材の少なくとも一部分が当該一以上のスリットの少なくとも一つに入り込むようにして当該挿入モジュールが当該ハウジングの中にロックされる。
【0024】
さらに、上記挿入アセンブリにおいて、ハウジングは、当該ハウジングを自動化された挿入デバイスに結合するように適合された一以上の結合要素を含み得る。自動化された挿入デバイスは、少なくとも制御器を含む。また、挿入モジュールは、互い同士で接続及び接続解除されるように適合された2つの別個のユニットを含んでよく、各ユニットは、
(i)案内部材の少なくとも一部分と、
(ii)推進機構の少なくとも一部分と、
(iii)座屈防止機構の少なくとも一部分と
を含む。
【0025】
本開示のデバイスの、なおもさらなる実装によれば、ツールを挿入するデバイスであって、
(i)長さの少なくとも一部に沿って接続されてその間に、当該ツールを受容するように適合された中心チャネルを有する一対の可撓性ストリップと、
(ii)当該一対の可撓性ストリップの両側に配置された一対の回転体であって、当該一対の回転体の逆方向回転により当該一対の可撓性ストリップが当該一対の回転体の間で動かされるように相互作用をする一対の回転体と
を含み、
当該ツールが当該中心チャネル内に受容されると、当該一対の可撓性ストリップと当該ツールとが当該一対の回転体から離れた端において一緒に固定され、前記回転体の適切な方向の逆方向回転により、当該一対の可撓性ストリップ及び当該ツールが当該一対の回転体に向かって引っ張られる。
【0026】
当該なおもさらなる実装において、一対の回転体の各回転体は、周囲に沿って配列された複数の突起を含んでよく、当該複数の突起は、一対の可撓性ストリップの各ストリップの長さに沿って形成された対応する複数の穴に係合するように適合される。一対の可撓性ストリップは、ツールを受容するように適合された中心チャネルの少なくとも一側に接続してよく、中心チャネルの一領域に接続しなくてもよい。そのようなデバイスはさらに、一対の可撓性ストリップとツールとを一緒に固定するように構成された保持器部材を含んでよい。当該デバイスはまた、案内部材を有してよく、当該案内部材は、
(i)一対の回転体を収容するように適合された一以上のキャビティと、
(ii)当該ツールの通過を許容するように適合された開口と
を含む。この場合、開口はさらに、ツールの寸法に従って調整されるように構成された拘束機構を含んでよく、当該拘束機構の少なくとも一部分が当該開口の中に配置される。このとき拘束機構は、互いに対向するように配置された少なくとも2つの部分を含んでよい。少なくとも2つの部分の少なくとも一つが、当該少なくとも2つの部分の他の一つに向かって動かされるように適合される。
【0027】
そのような、なおもさらなる実装はさらに、一対の可撓性ストリップの各ストリップを、一対の回転体の一方のまわりに向けるように適合された分離特徴部を含んでよい。そのような分離特徴部は、一対の可撓性ストリップの非接続遠位端を含んでよく、各非接続遠位端は、一対の回転体の関連回転体まわりに巻き付けられる。代替的に、関連回転体の十分近くにそれぞれが配置される一対の構造エッジを含んでもよく、各可撓性ストリップは、当該エッジの一方により、当該一方のエッジの近くに配置された回転体まわりに向けられる。代替的に、一対の回転体は、案内部材の中に配置されてよく、各構造エッジはこの場合、当該案内部材の部品のエッジとなる。
【0028】
そのような、おもさらなる実装のいずれかにおいて、中心チャネルは、各可撓性ストリップの、関連回転体まわりの巻き付けを容易にするべく、長さに沿った脆弱セクションを含んでよい。さらに、複数の突起の2つの隣接突起間の距離は、当該複数の穴の2つの隣接穴間の距離よりも大きくてよい。代替的に、一対の回転体の外表面と、一対の可撓性ストリップの外表面とは、これらの間の相互作用が摩擦によって達成されるように粗面化されてよい。ツールは先端を含んでよく、挿入デバイスはさらに、当該ツールが当該挿入部位の方向に進行されるときに先端が、中心チャネルの内表面に接触するのを防止するように構成された保護要素を含んでよい。保護要素は、中心チャネルの中に挿入されてよく、中空管を含んでよい。代替的にかつ追加的に、中心チャネルの外部において挿入デバイスの少なくとも一部分に結合されてよい。最後に、これらのなおもさらに実装のいずれかにおいて、挿入デバイスは、互い同士で接続及び接続解除されるように適合された2つの別個のユニットを含んでよく、各ユニットは、
(i)一対のストリップの一方のストリップと、
(ii)一対の回転体の一方の回転体と
を含む。
【0029】
追加的に、本開示のデバイスの一代替実装はさらに、ツールを挿入するアセンブリに関与し、
(i)挿入モジュールであって、
(a)長さの少なくとも一部に沿って接続されてその間に、当該ツールを受容するように適合された中心チャネルを有する一対の可撓性ストリップと、
(b)当該一対の可撓性ストリップの両側に配置された一対の回転体であって、当該一対の回転体の逆方向回転により当該一対の可撓性ストリップが当該一対の回転体の間で動かされるように相互作用をする一対の回転体と
を含み、当該ツールが当該中心チャネル内に受容されると、当該一対の可撓性ストリップと当該ツールとが当該一対の回転体から離れた端において一緒に固定され、前記回転体の適切な方向の逆方向回転により、当該一対の可撓性ストリップ及び当該ツールが当該一対の回転体に向かって引っ張られる挿入モジュールと、
(ii)当該挿入モジュールを受容するように構成されたハウジングと、
(iii)当該一対の回転体を回転させるように構成された作動機構と
を含む。そのようなアセンブリにおいて、当該作動機構の第1の部分が当該ハウジングに結合されてよい。また、挿入モジュールは、作動機構の第2の部分を含んでよい。そのようなアセンブリはいずれもさらに、挿入モジュールをハウジングの中にロックするように構成されたロック機構を含んでよい。そのような場合において、ロック機構は、
(i)挿入モジュールに結合された回転部材と、
(ii)ハウジングに形成された一以上のスリットと
を含んでよく、当該回転部材の回転により、当該回転部材の少なくとも一部分が当該一以上のスリットの少なくとも一つに入り込むようにして当該挿入モジュールが当該ハウジングの中にロックされる。
【0030】
上述のアセンブリはさらに、一対の可撓性ストリップの各ストリップを一対の回転体の一つのまわりに向けるように適合された分離特徴部を含んでよく、当該分離特徴部自体は、当該一対の可撓性ストリップの非接続遠位端を含んでよい。各非接続遠位端は、一対の回転体の関連回転体まわりに巻き付けられる。追加的に、そのようなアセンブリはさらに、
(i)挿入モジュールに結合された前縁要素と、
(ii)ハウジングに結合された後縁要素と
を含み、
前縁要素及び後縁要素は、その間に一対のストリップの非接続端の一方を、当該非接続端の一方が一対の回転体の関連回転体まわりに巻き付けられた後に受容するように構成される。
【0031】
そのようなアセンブリのさらなる実装によれば、ハウジングは、当該ハウジングを自動化された挿入デバイスに結合するように適合された一以上の結合要素を含んでよく、当該自動化された挿入デバイスは、少なくとも制御器を含む。さらに、挿入モジュールは、互い同士で接続及び接続解除されるように適合された2つの別個のユニットを含んでよく、各ユニットは、
(i)一対のストリップの一方のストリップと、
(ii)一対の回転体の一方の回転体と
を含む。
【0032】
最後に、本開示のデバイスのさらに他の実装によれば、ツールを挿入するデバイスであって、
(i)ツールが当該ツールの近位領域において取り付けられたヘッド要素と、
(ii)当該ツールが挿入部位へと送達されるように通される端案内要素と、
(iii)当該ヘッド要素と当該端案内要素との間に取り付けられた伸縮自在管と
を含み、
当該伸縮自在管が折りたたまれると、当該ヘッド要素は、当該端案内要素に向かって動かされ、当該ツールは当該挿入部位に向かって進行するデバイスが与えられる。そのようなデバイスにおいて、ヘッド要素が端案内要素に向かって動かされるのは、当該ヘッド要素と当該端案内要素との間に取り付けられたケーブルによってである。そのケーブルは、端案内要素に取り付けられたプーリまわりに巻き付けられてよい。これらの他の実装のいずれも、ツールが挿入部位の方向に進行するときに当該ツールを受容かつ支持するように構成された少なくとも一つの把持要素をさらに含む。ツールは、伸縮自在管の中に封入されてよい。
【0033】
理解されることだが、本開示において使用される近位及び遠位との用語は、臨床技術において通常の意味を有する。すなわち、近位とは、デバイス又は物体の、当該デバイス又は物体を挿入又は使用する人又は機械に最も近くかつ患者から離れた端を称する一方、遠位とは、デバイス又は物体の、患者に最も近くかつ当該デバイス又は物体を挿入又は使用する人又は機械から離れた端を称する。
【0034】
またも理解されることだが、本開示の全体で使用される例が、針を挿入するデバイスに関連するにもかかわらず、当該デバイスは、針を伴う使用に限られることを意味するわけではなく、なんらの支持手段なしには近位端から押し込まれ又は引っ張られると座屈を受ける医療又は他の任意の長い細いツールの挿入を含むと理解される。それは、針、ポート、導入器、カテーテル(例えばアブレーションカテーテル)、カニューレ、外科用ツール、流体送達ツール、又は任意の他のそのような挿入可能ツールを含む。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図面と併せて受け取ることにより、以下の詳細な説明から本発明が十分に理解されかつ認められる。
【0036】
【
図1】本開示の挿入デバイスの第1の代表的実装の模式的な断面図を示す。
【
図2】
図1の挿入デバイスの2つの案内ストリップ間に封入された針の軸方向断面図を示す。
【
図3】可撓性ストリップデバイスの一実装を模式的に示す等角図である。当該ストリップの長さ方向に穿孔が連なっている。
【
図4】可撓性ストリップデバイスの一実装を模式的に示す等角図である。ストリップの長さ方向にリッジが連なっている。
【
図5】
図5A及び5Bは、圧電モータによって針に動きが及ぼされる一実装を模式的に例示する。モータは、
図5Aにおいて可撓性ストリップ上で動作し、
図5Bにおいて直接、針上で動作する。
【
図6】
図6Aは、本開示の挿入デバイスのさらなる実装を模式的に例示する。ここで、針は、その各レベルに把持クランプを有する伸縮自在管によって座屈から支持される。
図6Bは、
図6Aのデバイスの針クランプの拡大図である。
【
図7】伸縮自在管支持デバイスの一つの代替例を示す。針ヘッドのためのワイヤ牽引アセンブリも示す。
【
図8A】
図3のストリップの長さ方向に穿孔が連なる可撓性ストリップデバイスの一代表的実装の斜視図を示す。
【
図10A】
図10A~10Bは、
図8Aの挿入デバイスの回転体及びストリップに係る2つの代表的配列の上面図である。
【
図10B】
図10A~10Bは、
図8Aの挿入デバイスの回転体及びストリップに係る2つの代表的配列の上面図である。
【
図11】
図8Aの挿入デバイスの回転体とストリップとの動作インタフェイスの断面図である。
【
図12】
図12A~12Cは、
図8Aの針挿入デバイスを使用した3つの針挿入段階を描く長手方向断面図である。
【
図13】ロボットエンドエフェクタに結合された
図8Aの挿入デバイスを含む代表的挿入アセンブリの斜視図を示す。
【
図15】
図15A~15Bは、挿入デバイスをロボットエンドエフェクタに固定する代表的機構の斜視図であり、
図15Aではロック機構が開状態にあり、
図15Bではロック機構が閉状態にある。
【
図16】ストリップの進行方向を制御する代表的前後案内器を示す。
【
図17】
図17A~17Bはそれぞれ、長手方向溝の長さに沿って脆弱セクションを有する代表的ストリップの斜視図及び長手方向断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
まず
図1を参照すると、本開示に記載される針挿入デバイスの第1の代表的実装の断面図が模式的に示される。
図1は挿入デバイス10を示す。針(又は任意の他の細い挿入可能要素)100が、支持媒体の一対の可撓性ストリップ110の間に保持される。2つのストリップは、接着、溶接、スナップ嵌め機構のような幾何学的ロック機構、又は任意の他の適切な付着手段によって適宜一緒に保持される。針100は、2つのストリップ110の間に、当該結合されたストリップ110の中心に沿って延びる細いチャネルを下るように保持される。挿入デバイス10の遠位端は、一対の回転体120が配置された保持器150を含む。保持器150はさらに、針100を患者の身体に向けて遠位に案内する開口152を含む。回転体120は、ストリップ110に接触するように保持器150の中に位置決めされる。2つの回転体120が逆方向に回転すると、二重ストリップ・針アセンブリが2つの回転体120の間を動く。回転体120は、保持器150の中に形成されたキャビティ内に位置決めされる。キャビティの内壁が回転体120の外面に密着するので、可撓性ストリップ・針アセンブリが2つの回転体120の間を通過すると、針100が開口152を通って回転体120を超えるように進行することができる一方、可撓性ストリップ110の各一つは、回転体120のいずれかの側において針100から剥がされる。その後、針は、可撓性ストリップの覆いが奪われた二重回転体アセンブリから抜け出て、患者の身体に挿入される準備が整う。いくつかの実装において、保持器要素の一つの「ナイフエッジ」(
図1には示さず)又は直線状の角を、可撓性ストリップ110が針100及び回転体まわりから剥がされるように位置決めすることができる。このアクションを支援するべく、ツインの可撓性ストリップ110の前方(すなわち遠位)端が、それぞれ自身の回転体120まわりから自由に剥がされるように未接続のままとなり得る。挿入デバイス10には、その回転体120まわりに部分的に巻き付けられたそれぞれが未接続のストリップ端が供給されてもよく、若しくはそれに取り付けられてもよく、又は単に、その回転体120の周囲における遠位箇所に向けられてもよい。その結果、回転体120の回転によりストリップ110が、「ナイフエッジ」等を必要とすることなく針100から剥がされてストリップ110が互いからかつ針100から分離される。
【0038】
ストリップ110は、紙に基づいてよく、若しくはプラスチックに基づいてよく、又は針100を、その長さに沿って支持可能な任意の他の材料から作られてよい。これにより、針の座屈が防止されるにもかかわらず、回転体120まわりに針100から離れるように曲がる程度に十分な可撓性となる。当該材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン(PU)又はゴム引き布であってよい。可撓性ストリップ110は、近位端が、針ヘッド102に、又は針ヘッド102を封入かつ把持する針ヘッド保持器160に取り付けられてよい。その結果、回転体120が逆方向に回転して二重ストリップ・針アセンブリが患者の皮膚に向けて動かされると、可撓性ストリップ110の近位端がそれによって、針ヘッド102、ひいては針100を、患者の皮膚における挿入箇所に向けて遠位に引っ張る。針100の近位端からの推進は、針100に対して、その挿入経路における任意の障害を、皮膚侵入箇所においても挿入プロセス中にさらに降ろされる場合であっても、克服できる十分な力を与える独特な特徴である。
【0039】
随意的に、ストリップ110に隣接するエンコーダを配置してよい。その結果、例えば、エンコーダの出力信号を受信する制御器又はプロセッサ(図示せず)により、ストリップの位置、ひいては針100の挿入を決定することができる。この手段により、医療従事者は、針100の挿入深さの進行を追跡することができる。エンコーダは、例えば、
図3及び4において以下に示されるストリップ駆動の穴又はリッジのようなストリップ110上の特徴部を計数するか、又は針自体上のマーキングを検出することができる光学式エンコーダとしてよい。
【0040】
挿入デバイス10は、独立型デバイスであってよく、又は挿入アセンブリ/システムの一部であってもよい。挿入デバイス10が独立型デバイスの場合、これはさらに、回転体120を回転させて針100を患者の身体に向けて(及びその中へと)動かす、例えばモータ及び歯車のような作動機構を含んでよい。挿入デバイスは、挿入アセンブリ/システムの一部である場合、外部作動機構に結合されるように構成してよい。
【0041】
ここで、
図1の挿入デバイスの2つのストリップ110と、その間に封入された針100との軸方向断面図である
図2を参照する。図示のように、2つの可撓性ストリップ110は、その中心線において針100を封入する領域を除き、幅に沿って一緒に結合される。各ストリップ110は、その中心線に沿って延びる溝114を有する。これにより、ストリップには「Ω状」の横断面が与えられる。2つのストリップ110が、例えば接着剤を使用して一緒に結合される場合、2つのストリップ110の長手方向の溝114は一緒になって、針100を受容かつ封入する中空管すなわちチャネルを形成する。ストリップ110は、針ヘッド102(
図2に図示しないが
図1では可視)に結合してよく、又は針ヘッド102と一緒に針保持器160(
図2に図示せず)に固定してよい。
【0042】
上述のように、患者の身体内へと針を遠位に推進させるべく、一定数の方法が利用可能である。ここで、可撓性テープデバイス30の第1の実装を模式的に示す等角図である
図3を参照する。この実装において、可撓性ストリップ310は、ストリップ310の長さの少なくとも一部分に沿ってかつ中心線に沿って針の位置のいずれかの側に連なる複数の穿孔312を有する。これらの穿孔312が、回転体320上の対応する突起(又は歯)322に係合するので、かつ、回転体320が適切な向きで逆方向に回転するので、二重ストリップ・針アセンブリは、遠位方向に力を受ける。2つのストリップ310の近位端が針ヘッド302に及び/又は針ヘッド保持器360に取り付けられるので、ストリップ310が患者の身体に向かって遠位に動くと、これらの近位端が針を患者に向かって引っ張る。詳しくは、回転体320の逆方向回転により、結合されたストリップ310が、回転体の突起とストリップの穴とからなる「タイミングベルト状」機構を介して下方に引っ張られる。このとき、ストリップの引張力が針ヘッド保持器360に作用して、針ヘッド保持器360は、針300を針ヘッド302から下方へと押し込む。この力は、回転体320が摩擦力によって針300自体を把持してその遠位端から下に引っ張る場合に得られる力よりも実質的に高くなり得る。上述のように、デバイス30全体は、独立型デバイスとしても、又は挿入システムの一部としてもよい。例えば、機械的に(例えばロボットにより)、針300を患者に対して整合させるように保持することができる。
【0043】
ここで
図4を参照すると、可撓性ストリップを移動させる一代替方法が模式的に例示される。この実装において、回転体420は歯車として構成され、ストリップ410は、その幅の少なくとも一部にわたって外側縁にリッジ415を有するように形成される。リッジ415は、ラック・ピニオン機構のように回転体/歯車420の歯425と噛み合う。2つの回転体/歯車420が逆方向に回転すると、二重ストリップ・針アセンブリが遠位方向に力を受ける。可撓性ストリップ410の近位端の取り付け方法は、
図3の実装に対して記載されたものと同じでよい。
【0044】
図3及び4に示される実装が、最適かつスリップなしの推進力が与えられた二重ストリップ・針アセンブリを示すにもかかわらず、当該アセンブリを推進するべく従来の摩擦力を使用することもできる。当該実装において、回転体の表面と可撓性ストリップの外表面とは、一方又は双方が粗面のような摩擦界面を有する。その結果、回転体の回転により、可撓性ストリップがそれに応じて動かされる。
【0045】
デバイスの滅菌動作を与えるべく、一定数のオプションが利用可能である。可撓性ストリップには、完全滅菌アセンブリとして搭載されて回転体アセンブリへと装着する準備ができた針が供給されてよい。代替的に、回転体アセンブリはまた、デバイス全体を使い捨て可能な一回使用デバイスとする供給されたデバイスの一部であってよい。さらなる実施形態において、挿入されるストリップにいずれの針も存在しない回転体アセンブリは、一回使用の使い捨てユニットとして与えられてよい。その結果、ユーザは、二重可撓性ストリップ案内器の中に搭載される針を選択することができる。そのような実施形態において、二重可撓性ストリップ案内器には、そのボアの下に、ユーザが中に針を挿入できる薄壁導入管が供給されてよい。それに引き続き、導入管が引き出されて針が可撓性ストリップ案内器に封入されたままとすることができる。これによりユーザは、可撓性ストリップの軟質材料を不意に引っかいたり刺したりして、さらには当該ストリップ材料の粒子が針の内部に残存して患者の身体に侵入する結果となり得ることなく、針を導入することができる。針がストリップの内表面を引っかくことを防止するもう一つの解決法は、例えば、当該ストリップ間のボア内に、円錐形ヘッドが当該ボアの頂部(近位)端に位置決めされた短い(すなわち当該ストリップ間のボア長よりも短い)ロッドを含むことであり得る。円錐形ヘッドの凹面側がボアの近位端に、ひいては入来する針にも直面する。その結果、針がボア内に導入されると、その先端が円錐形ロッドの凹面側の底部に遭遇する。針がボア内に挿入されるにつれて、当該針は、円錐形ロッドのヘッドを押し下げ、ひいては、当該ロッド全体を、当該ロッドがボアの底部(遠位)端から外に降りるまで下方に押し込み、当該針はそこにとどまる。なおもさらなる解決法は、デバイスに又は少なくとも二重ストリップ・針アセンブリに結合されて、これを直線状に保持し、針がボア内に挿入されているときに当該ストリップが折りたたまれるのを防止し、ひいては針がストリップの内表面を引っかいたり/刺したりするのを防止する外部安定化機構を使用することであり得る。ひとたび針が当該ストリップ間のボア内に適切に位置決めされると、外部安定化部材を取り除くことができる。当該機構は使い捨て可能であり、当該デバイスが設けられる。すなわち、事前組み付けがされて一回使用の後に廃棄され得る。
【0046】
ここで
図5A及び5Bを参照すると、圧電モータによって動きが針に及ぼされる一実装が模式的に例示される。
図5Aにおいて、圧電モータ530は、可撓性ストリップ510の両側に配置され、アクティブにされると、その駆動脚535が、中に収められた針500とともにストリップ510を患者の身体に向かって遠位に動かす。この実装において、回転体520は推進に参加する必要はなく、可撓性ストリップ510を案内して針500から剥がされるようにするためだけに機能することができる。
図5Bは、可撓性ストリップが使用されないことを除き類似する実装を示す。圧電モータ530は、針500に直接作用する。
【0047】
ここで
図6A~7を参照すると、本開示の挿入デバイスのさらなる実装が模式的に例示される。ここで、針は、座屈しないように伸縮自在管によって支持される。伸縮自在管は、針の長さに沿った支持を与える。しかしながら、先行技術の伸縮自在支持システムとは異なり、これらの実装により、CTシステムのボア内のような、限られた空間事情において便宜に使用されるように、デバイスの高さを、針が挿入されるにつれて低減させることができる。針は、近位端が保持器要素に取り付けられ、遠位端は、針の正しい挿入箇所に整合するように針案内器に取り付けられる。伸縮自在管アセンブリは、保持器要素と端部案内器との間に取り付けられ、保持器要素に及ぼされる力によって患者の中へと押し(又は引き)込まれるときの針への支持を与える。
【0048】
図6Aは、伸縮自在管610が複数のクランプ620によって針600に取り付けられた挿入デバイス60を示す。これにより、針は、クランプ620を通って摺動することができる。針が取り付けられた保持器要素660が、針600を患者の身体の中へと挿入させるべく遠位に押し(又は引き)込まれると、デバイスの保持器要素660と遠位端案内器640との間に接続された伸縮自在管610が折りたたまれ、針600が挿入されるときに保持器660が遠位端案内器640にアプローチすることができる。保持器要素660は、手動で押し下げられてよく、又は、
図7で以下に示されるプーリホイール及びケーブルのような様々な推進機構を使用して押し下げ若しくは引き上げられてよい。いくつかの実装において、針600は、伸縮自在管610に外側から取り付けられることなく、その中に封入される。
【0049】
ここで、
図6Aに示されるデバイスのクランプ620の拡大図である
図6Bを参照する。伸縮自在管アセンブリの領域650に示されるように、伸縮自在管610が折りたたまれるときに、針600がどのようにして、クランプ620の開口を通って摺動するのかが示される。
【0050】
ここで
図7を参照すると、
図6A及び6Bに示された伸縮自在管支持デバイスのさらなる代表的実装が示される。示される挿入デバイス70において、針700の動きは、針ヘッド保持器760に取り付けられ、伸縮自在管710の遠位端にあるプーリホイール730まわりを通されたケーブル720によって達成される。これは、手動で、又はモータ、液圧/気圧ピストン、若しくは任意の他の適切な作動/推進機構(図示せず)によって引っ張られる。そのような構成によれば、針の動きは、長さが伸縮自在支持案内器60とともに折りたたまれる機構によって得ることができる。これにより、限られた空間において針挿入をどのようにして行うべきかとの上記問題が克服される。例えば、上記特許文献1に記載されるような針ヘッドと当該遠位端との間に接続された従来型の送りねじ駆動機構の長さであれば、この目的が阻害されるであろう。
【0051】
ここで
図8A~11Cを参照すると、
図3に示された挿入デバイスの代表的実装が示される。すなわち、可撓性ストリップデバイスが、当該ストリップの長さに沿って連なる穿孔を有する。この実装において、挿入デバイス(「挿入モジュール」とも称される)は、自動化された挿入システム(例えばロボットシステム)に結合されるように構成された挿入アセンブリの一部として構成される。そのような自動化された挿入システムは、身体に装着されてよく、又は、その手順が画像により案内される場合には、患者のベッドに若しくは撮像デバイス(例えばCT、MRI)に接続された専用アームに結合されるように構成されてよい。
【0052】
図8Aは、一緒に結合された2つの可撓性ストリップ810a、810bによって形成されたチャネル内に封入された針(又は導入器、カテーテル等のような任意の他の挿入可能ツール)800を含む挿入モジュール80の斜視図を示す。いくつかの実装において、針800には、ともに挿入モジュール80が設けられ、すなわち挿入モジュールの統合部品として設けられるが、他の実装においては、挿入モジュールは、様々な異なる市販の針タイプを受容するように構成される。針は選択されて、挿入手順を開始する前に挿入モジュールの中に、ユーザ(例えば看護師、医師)によって導入される。
【0053】
可撓性ストリップ810a、810bは、その長さの少なくとも一部分に沿って連なる穿孔(又は穴)812と、その長手方向中心線に沿って延びる溝814a、814bとを有する。その結果、2つのストリップが互いに取り付けられると、その結合された溝814a、814bが一緒になって、針800を受容かつ封入するチャネルを形成する。いくつかの実装において、ストリップ810a、810bはそれぞれ、4列の穿孔812、例えば、
図8Aに示されるように、溝814a、814bのそれぞれの側に2列づつの穿孔を含み得る。他の実装において、ストリップ810a、810bはそれぞれ、2列の穿孔812、
図9Bで以下に示されるように、溝814a、814bのそれぞれの側に一列づつの穿孔を含み得る。理解できることだが、穿孔の配列は、2列又は4列に限られるわけではなく、ストリップは、任意数の穿孔列、又は任意の他の適用可能な穿孔配列を含んでよい。
【0054】
挿入モジュール80はさらに、突起822を有する2つの回転体820a、820bを含む。突起822がストリップ810a、810bの穿孔812に整合される結果、回転体820a、820bがそれぞれ回転すると、その突起822が、対応ストリップ810a、810bの穿孔812に係合し、ストリップ810a、810bが回転体820a、820bまわりに引き下ろされる。挿入モジュール80はさらに、当該回転体の一つ、この場合は回転体820a、と同じシャフト840aに装着された傘歯車830を含み得る。その結果、傘歯車830の回転が、回転体820aに同じ方向の回転を引き起こす。第2の回転体820bの逆方向回転が、
図8Bで以下に記載されるように、シャフト840a、840bの反対側の端に装着された2つの歯車を介して達成される。
【0055】
シャフト840a、840bと回転体820a、820bとは、保持器850内に封入され得る。保持器850は、シャフト(又は軸)保持器部分853、ストリップ案内器部分855及び針案内器部分857を含み得る。シャフト保持器部分853は、シャフト840a、840bの位置を保持かつ固定するように構成される。ストリップ案内器部分855は、回転体が回転し続けるにつれてストリップが当該回転体から離れるように導くように構成される。その壁は、回転体が回転するときの突起822の通過を許容するスリット8552を含み得る。針案内器部分857は、細長い「管状」開口(
図8Aには示さず)を含み得る。これは、遠位方向に引っ張られる(又は押される)針800を受容するように構成され、ストリップ810が針800から剥がされる。針案内器部分857はまた、針800を細長い開口に閉じ込めることにより、針800を所望の挿入方向に案内する。
【0056】
いくつかの実装において、挿入モジュール80を様々な針のタイプ及びサイズとともに使用するべく、細長い開口は、挿入モジュール80とともに使用されることが意図された最大直径(ゲージ)を備えた針と等しいか又はわずかに大きな直径を有し得る。他の実装において、細長い開口は、使用される針の直径に応じて調整することができる拘束機構を中に含み得る。当該機構の短手方向断面図である
図8Bには代表的拘束機構が示される。拘束機構は、静止部分8572及び可動部分8574を含み得る。静止部分8572は、保持器850の針案内器部分857の内表面8573に固定されるように接続される。可動部分8574は、ヘッドが針案内器部分857の外側に位置決めされてユーザにアクセス可能とされたねじ(又はボルト)8576に接続され得る。ボルト8578は静止ナット8578に結合され得るので、ボルト8576の回転により、可動部分8574の直線状の動きがもたらされる。いくつかの実装において、静止部分及び可動部分はそれぞれ、2つの三角エッジ8571、8575を備えたブロックを含み得る。2つの三角エッジ間にはV字溝8573、8577が形成され、可動部分8574が静止部分8572に向かって進行すると、
図8Bに示されるように、可動部分8574の三角エッジ8575が、静止部分8572のブロックの下に嵌まり込み、又はその逆に静止部分8572のブロックが可動部分8574の三角エッジ8575に嵌まり込む。他の実装において、静止部分及び可動部分はそれぞれ、そのようなブロックを複数含み、三角エッジ8571、8575は、可動部分8574が静止部分8572に向かって進行するにつれて相互に絡み合う。すなわち、針800が挿入モジュールの中に挿入された後、ユーザがボルト8576を、可動部分8574が静止部分8572に向かって進行するように適切な方向に回転させると最終的に、針800と2つのV字溝8573、8577とが接触し、針800は、単数の線8579(
図8Bに点線で示す)に沿って三角エッジ8571、8575のそれぞれに接するようになる。理解できることだが、拘束機構は、ボルト8576の代わりに、又は当該ボルトに加え、可動部分8574を静止部分8572に向かって動かす/押すのに適したばね(図示せず)又は任意の他の要素を含んでよい。
【0057】
軸保持器部分853、ストリップ案内器部分855及び針案内器部分857は、保持器850を形成するべく一緒に組み付けられる3つの別個の部品としてよく、又は単数のユニットとして製造してよい。いくつかの実装において3つの部分の2つ(例えばストリップ案内器部分及び針案内器部分)は、一つの部品として製造してよく、これは後に、第3部分(例えば軸保持器部分)に結合される。
【0058】
挿入モジュール80はさらに、針ヘッド802と、ストリップ810a、810bの近位端とを一緒に固定する針ヘッド保持器860を含み得る。いくつかの実装において、針ヘッド保持器860は、2つのストリップ810a、810b間のチャネルの中に針800が挿入された後に、例えば、ねじ、接着剤又はラッチ機構を使用して一緒に結合される2つの部分862からなる。いくつかの実装において、針ヘッド保持器860の2つの部分862は、その遠位端が一緒になるように確実に固定され、そこにストリップ810a、810bの近位端が取り付けられる。2つのストリップ間のチャネルの中に針800が挿入された後、2つの部分862の近位(頂部)端が針ヘッド802の上方で一緒になるように接合される。医療分野での使用が意図される場合、挿入モジュール80は、患者間の相互汚染を防止するべく使い捨て可能な一回使用のデバイスとする必要がある。すなわち、いくつかの実装において、挿入モジュール80が新たな針とともに再使用されないことを確保するべく、針ヘッド保持器860は、ひとたび針ヘッド802に締結されると針ヘッド802から取り外すことができないように構成してよく、又は針ヘッド保持器860を針ヘッド802から取り外すと、針ヘッド保持器860にその機能が失われるような永久的な損傷を引き起こすように構成してよい。
【0059】
図9は、挿入モジュール80の他の斜視図を示す。上述のように、挿入モジュール80は、この実装において回転体820aのシャフト840aに装着された傘歯車(
図9に示さず)を含み得る。すなわち、傘歯車830の回転により、回転体820aには同じ方向の回転が引き起こされる。挿入モジュール80はさらに、回転体シャフト840a、840bそれぞれに装着された2つの歯車870a、870bを含む。歯車870aは、シャフト840aの、傘歯車が装着された端と反対側の端に装着される。その結果、傘歯車の回転により、傘歯車及び回転体820aと同じ方向の歯車870aの回転が引き起こされる。歯車870aの歯は、歯車870bの歯と噛み合い、歯車870bに対し、歯車870aとは反対の方向の回転が引き起こされる。回転体820bは、歯車870bと同じシャフト840bに装着されるので、歯車870bの回転により、歯車870bと同じ方向の、すなわち回転体820aとは反対方向の回転体820bの回転がもたらされる。回転体820a、820bが逆方向に回転すると、その突起822がストリップの穿孔812に係合する。その結果、ストリップ810a、810bは、封入された針800と一緒になって、患者の身体に向かって遠位方向に一緒に引っ張られる。ストリップ810a、810bはその後、互いから強制的に離され、対向方向かつ回転体820a、820bまわりに引っ張られる一方、針800は、その遠位方向の並進を続け、患者の身体の中に入る。
【0060】
いくつかの実装において、歯車870a、870bの少なくとも一方は、爪が設けられたラチェット歯車でよい。この歯車は、回転体8201、820bの回転に同期又は噛み合う間、一方向にのみ回転可能となり得る。ラチェット歯車の使用により、新たな針を伴う、一回使用の後にもはや滅菌されることがない挿入モジュール80の再使用が防止される。理解できることだが、挿入モジュール80は、上述のように、その再使用を防止するための、取り外し不可能な針ヘッド保持器のような、他の機構も含み得る。
【0061】
図10Aは、針及び針ヘッド保持器が存在しない挿入モジュール80の上面図である。これは、保持器850(
図10Aに示さず)内の回転体820a、820bの代表的配列を示す。この実装において、2つの回転体の突起822が、当該回転体が逆方向に回転するときに互いにぶつかり合って、挿入手順を妨害し又はストリップ若しくは針等に損傷さえも与え得るリスクを回避するべく、回転体820a、820bは、当該回転体の突起が他の回転体の突起と直面することがないように互いに反対の方向に位置決めされる。
【0062】
さらに、突起822は、各回転体820a、820bが突起822の2つの「リング」を含むように各回転体の周囲まわりに配置される。この実装において、そのような「リング」それぞれの反対側に、他方の回転体の環状溝824が存在する。これにより、回転体820a、820bが逆方向に回転するときに、妨害のない突起822の通過が許容される。突起822は互いに直面するわけではないので、ストリップ810には、この実装において、一つの列が4つの突起の「リング」に対応する4列の穿孔812が設けられる。
【0063】
いくつかの実装において、回転体820a、820bそれぞれはさらに、追加の環状溝826を含む。これは、環状溝824よりも広くかつ深くてよく、回転体の短手方向中心に配置されてよい。これにより、ストリップ810a、810bの長手方向中心に延びる溝814a、814bの凸面側が、当該ストリップが遠位方向にかつ回転体820a、820bまわりに動くときに妨害なく通ることが許容される。ストリップ810a、810bが互いに取り付けられると(例えば接着されると)、長手方向溝814a、814bは一緒になって、針を中に受容かつ収容するチャネル815を形成する。いくつかの実装において、それぞれが環状中心溝826を有する2つの回転体820a、820bを含む挿入モジュール80の代わりに、挿入モジュール80は、4つの回転体を含んでよい。各対の回転体が単数のシャフトに配置され、溝814a、814bの凸面側がその間を妨害なく通ることが許容されるように離間される。
【0064】
図10Bは、他の代表的挿入モジュール90の保持器(
図10Bに示さず)の中にある回転体920a、920bの代替配列を示す上面図である。この実装において、回転体920a、920bは、
図10Aの回転体820a、820bよりもさらにわずかに離間される。その結果、2つの回転体920a、920bの突起922を、2つの回転体920a、920bの突起が、当該回転体が逆方向に回転するときに互いにぶつかり合うことなく、互いに直面するように、当該回転体に配置することができる。したがって、この実装において、ストリップ910a、910bそれぞれは、環状溝914a、914bの各側に一列となる2列のみの穿孔912を有する。
【0065】
理解できることだが、
図10Aに示された実装と同様、この実装においても、挿入モジュール90は、それぞれが環状中心溝926を有する2つの回転体920a、920bの代わりに、シャフト940a、940bそれぞれに2つ装着された4つの回転体を含んでよい。
【0066】
図10Bにさらに示されるように、いくつかの実装において、その回転が回転体920a、920bの回転をもたらす傘歯車930は、シャフト940bに装着されてよい。
【0067】
ここで、ストリップ810bの穿孔812に係合するときの回転体820bの突起822を示す断面図である
図11を参照する。上述のように、いくつかの実装において、2つの回転体820a、820bの突起は、互いに直面しない。すなわち、互いに対してずらして配置される。したがって、
図11の断面図は、ストリップ810bの穿孔に係合するときの回転体820bの突起のみを描き、回転体820aの突起とストリップ810aの穿孔とのインタフェイスは見ることができない。しかしながら、回転体820bの突起とストリップ810bの穿孔とのインタフェイスに関する以下の記載が、回転体820aの突起とストリップ810aの穿孔とのインタフェイスにも同等に当てはまることが理解できる。
【0068】
いくつかの実装において、回転体820bのピッチは、ストリップ810bのピッチよりもわずかに大きくなり得る。すなわち、2つの隣接回転体突起間の距離が、2つの隣接ストリップ穿孔間の距離よりも大きくなり得る。その結果、ストリップの引張荷重は、当該ストリップが回転体820bから係合解除される前において、ストリップ810bに係合したままの最後の突起822aにかかる。これは、回転体820bが回転するときに最初の係合突起822bと最後の係合突起822aとの間のセクションにおいて、ストリップ810bが回転体820bにしっかりと結合されたままとなることが確保されるので有利となる。2つの隣接突起822間の距離が、2つの隣接穿孔812間の距離よりも小さければ、ストリップ810の引張荷重は、回転体820bが回転するときにストリップ810bに係合する最初の突起822bにかかることとなる。これは、回転の際にストリップ810が回転体822bから係合解除されて、保持器850の内表面上に落下することをもたらしかねない。この場合、ストリップ及び/又は回転体に高摩擦又は損傷さえも引き起こし、挿入手順が妨害されることとなり得る。さらに、ストリップ810bがその内表面に、第2のストリップ810への取り付けのための接着剤を含む場合、摩擦力が増加し得る。これは、接着剤の残留によりストリップ810bが、当該ストリップが互いに分離した後に保持器850の内表面に貼り付くことになり得るからである。
【0069】
ここで
図12A~12Cを参照すると、針挿入手順の3つの異なる段階を例示する挿入デバイス80の長手方向断面図が示される。
【0070】
図12Aは、最初の状態にある、すなわち挿入手順の開始前の、挿入デバイス80を示す。図示の実施形態において、デバイスには、回転体820a、820bまわりにすでに巻き付けられたストリップ810a、810bの遠位端が供給され、ストリップが互いから分離し、逆方向に回転する回転体820a、820bと一緒に外側へかつ互いから離れるようにロールすることが確保される。いくつかの実装において、挿入手順の開始前に、針800の先端は、保持器850の遠位(底部)端に実質的に整合される。他の実装において、針の先端は、保持器850の中にわずかに閉じ込められてよく、又は保持器850からわずかに突出してよい。
【0071】
図12Bは、針800が、患者の身体の中に部分的に挿入された後の挿入デバイス80を示す。ストリップ810a、810bが、針800からかつ回転体820a、820bまわりにさらに剥がされている。
【0072】
図12Cは、挿入プロセスの進行した段階における挿入デバイス80を示す。針ヘッド保持器860はここで保持器850に近づき、回転体820a、820bとストリップ810a、810bとがさらに、針800から剥がされて回転体820a、820bまわりに巻き付けられる。
【0073】
ここで
図13を参照すると、ロボットエンドエフェクタ1300に結合された挿入モジュール80を含む挿入アセンブリ5の斜視図が示される。エンドエフェクタ1300は、挿入モジュール80及びモータアセンブリ1320を受容かつ収容するフレーム(又はハウジング)1310を含む。モータアセンブリ1320は、歯車付きモータ1322の適切な機能を検証するエンコーダ(図示せず)が設けられた歯車付きモータ1322(すなわちモータ及び遊星歯車システム)と、傘歯車1324と、プリント回路基板(PCB)1326とを含む。挿入モジュール80は、エンドエフェクタ1300に結合された後、
図15A~15Bで以下に示される機構のような一以上のねじ1330、又は任意の他の適切な固定機構を使用してエンドエフェクタ1300に固定され得る。
【0074】
いくつかの実装において、挿入モジュール80は、使い捨て可能な一回使用のユニットであり、エンドエフェクタ1300は再使用可能である。すなわち、新たな使い捨て挿入モジュール80とともに繰り返して使用することができる。そのような場合、エンドエフェクタ1300は好ましくは、自動化された(例えばロボット)挿入デバイス(
図13に示さず)の統合ユニットである。他の実装において、エンドエフェクタ1300は、使い捨て可能であり、自動化された挿入デバイスとは別個にすることができる。そのような場合、エンドエフェクタ1300及び挿入モジュール80が一つのユニットとして製造され得る。
【0075】
いくつかの実装において、モータアセンブリ1320は、エンドエフェクタ1300の統合部品である。他の実装において、モータアセンブリ1320は、エンドエフェクタ1300とは別個にしてよく、挿入モジュール80がエンドエフェクタ1300に結合される前又は後のいずれかにエンドエフェクタ1300に結合される。モータアセンブリ1320は、以下のように挿入機構を作動させる。すなわち、歯車付きモータ1322が傘歯車1324を回転させ、傘歯車1324が今度は、挿入モジュール80の傘歯車830を回転させる。今度は、挿入モジュール80の傘歯車830が、
図8A及び9に関して上述のように、挿入モジュール80の回転体(
図13に示さず)を回転させる。理解できることだが、モーメントをモータアセンブリ1320から挿入モジュール80へ遷移させる任意の他の適用可能な方法を実装することができる。結合された傘歯車830及び1324の使用は、単なる一つの代表的な方法である。
【0076】
モータアセンブリ1320がエンドエフェクタ1300の統合部である場合、モータアセンブリ1320は、フレーム1310に接続され得る。その結果、モータアセンブリ1320は、挿入モジュール80とエンドエフェクタ1300との適切な結合(及び結合解除)を許容するべく、脇に動かすことができる。例えば、モータアセンブリ1320とフレーム1310とのインタフェイスは、モータアセンブリ1320がその軸まわりに枢動できるようにヒンジの形態であってよい。挿入モジュール80がフレーム1310の中に導入されると、モータアセンブリ1320は、傘歯車1324が挿入モジュール80の傘歯車830に適切に結合されるその定位置に戻るように動かされる。モータアセンブリ1320は、手動又は自動のいずれかでその定位置まで戻るように動かされ得る。例えば、モータアセンブリ1320は、エンドエフェクタ1300のフレーム1310の中に挿入されているときに、挿入モジュール80によってプレスされた(または係合された)突出部(図示せず)を含み得る。挿入モジュール80をエンドエフェクタ1300に結合することにより、モータアセンブリ1320がその位置まで戻り、(例えば挿入モジュールの傘歯車830とモータアセンブリ1320の傘歯車1324との間の)挿入モジュール80との動作可能な結合が確立される。
【0077】
図14は、
図13の挿入アセンブリ5の分解図を示す。示されるのは、針ヘッド保持器860の2つの部分862を備えた挿入モジュール80である。これは、複数のねじ864によって接続されると、例えば、針ヘッド802と、ストリップ810a、810bの近位端とを一緒に固定する。またも示されるのは、エンドエフェクタフレーム1310及びモータアセンブリ1320を含むエンドエフェクタ1300である。前述のように、挿入モジュール80は、例えば、挿入モジュール80をエンドエフェクタフレーム1310の中に挿入し、2つのねじ1330によってロックすることによって、エンドエフェクタ1300に結合される。エンドエフェクタフレーム1310は、シャフト840aを受容する専用スロット1312を含み得る。その結果、挿入モジュール80がフレーム1310の中に挿入された後に、傘歯車830がフレーム1310の外側に残り、モータアセンブリ1320の傘歯車1324への結合が可能となる。
【0078】
図15A~15Bは、挿入モジュール80をエンドエフェクタ1300のフレーム1310の中にロックする一つの代替機構を示す。いくつかの実装において、挿入モジュールの保持器850、又は詳しくは保持器の針案内器部分857が、(単数の長いブレードとして製造され得る)2つのブレード8582と、ユーザが把持可能なノブ8584とを含む回転可能要素858を含み得る。エンドエフェクタフレーム1310は、互いに対向する2つのスリット1315を有し得る。これにより、回転可能要素858がノブ8584を介して回転されたときに、ブレード8582はスリット1315の中に入ることができる。回転可能要素858が鉛直位置にあるとき、すなわち、
図15Aに示されるようにブレード8582が針800に対して平行にあるとき、挿入モジュール80は、エンドエフェクタフレーム1310の中及び外で自由に動くことができる。回転可能要素858が実質的に平行位置へと回転するとき、すなわち、
図14Bに示されるように、右又は左に90度(又はこれよりわずかに小さい/大きい角度)になるとき、ブレード8582がスリット1315の中に入り、挿入モジュール80は、単に引っ張るだけではエンドエフェクタ1300から取り外すことができないように、フレーム1310内のその位置にロックされる。
【0079】
図16は、エンドエフェクタフレーム1310の中に挿入された挿入モジュール80を示す。上述のように、回転体820a、820bが逆方向に回転すると、当該回転体の突起がストリップの穿孔に係合し、これによりストリップ810a、810bが、針800から反対方向にかつ回転体820a、820bまわりに剥がされ、挿入モジュールの保持器850から出る。いくつかの実装において、挿入アセンブリ5と自動化された挿入デバイス(図示せず)とのインタフェイスは、ストリップ810a、810bが保持器850から出て当該ストリップの少なくとも一方、例えばストリップ810aが外側に折られ、エンドエフェクタを当該自動化された挿入デバイスに接続する継手(図示せず)のような当該自動化された挿入デバイスの他の部品に接触し得る。これが、その適切な機能を妨害し得る。すなわち、いくつかの実装において、エンドエフェクタ1300のフレーム1310は後案内器1318を含み、挿入モジュール80は、保持器850に結合された前案内器880を含み得る。これらは一緒になって、ストリップ810aをこれらの間の空間に拘束することにより、ストリップ810aが、自動化された挿入デバイスに向かって外側に折りたたまれることを防止する。いくつかの実装において、前案内器880なしに後案内器1318のみが与えられる。
【0080】
図17Aは、代表的ストリップ1710の斜視図を示す。前述のように、回転体が逆方向に回転すると、回転体の突起がストリップの穿孔に係合し、針が封入されているストリップが遠位方向に引っ張られる一方、当該ストリップは互いから分離されて反対方向にかつ回転体のまわりに針から剥がされるストリップ1710は平坦ではなく、その長さに沿って延びる溝1714を有するので、溝の凸面側が回転体に直面したまま、回転体によって引っ張られるときに当該ストリップが互いから分離されて外側に曲がるようにすることは、強力かつ相対的に大きな推進機構(例えばモータ及び歯車、ピストン等)によってのみ与えることができる著しいエネルギー量を必要とする。すなわち、ストリップを互いから分離して外側に曲げ、回転体まわりに巻き取ることに必要なエネルギー量を低減するべく、当該ストリップの溝1714は、その長さに沿って、ストリップ1710の強度を低下させることなしに当該ストリップを曲げる動作を容易にする脆弱セクション1716を含み得る。好ましくは、複数の脆弱セクション1716は、経験的に決定されるように、ストリップ1710の自然な塑性変形パターンに従って離間させる必要がある。
図17Bは、ストリップ1710の溝1714の長手方向断面図である。溝1714の波状の形状部が脆弱エリア1716、この場合は等間隔に離間された脆弱エリア1716を有することが示される。
【0081】
ひとたび医療ツール(例えば針)が、患者の身体内の所望位置へと挿入されると、医師/臨床医は、好みにより挿入デバイス/アセンブリ及び自動化された挿入システム全体(身体装着型挿入システムが用いられる場合)を患者の身体から取り除いて当該ツールのみをその場所に残すことができる。例えば、挿入デバイスを使用して導入器を患者の身体に挿入する生検時において、ひとたび当該導入器が定位置となれば、当該導入器のコアが当該導入器から取り外され、生検針が、当該導入器を通して標的(例えば腫瘍)に挿入される。そのような場合、挿入デバイス及び/又は自動化された挿入デバイスは、臨床医の視野又は動作の妨げとなり得るので、当該臨床医は、導入器以外のすべてのデバイス/部品を患者の身体から取り除くことが好ましいと思う。
【0082】
図18Aは、組み付けられた状態にある代表的モジュラー式挿入デバイス/モジュール180の等角図を示す。挿入モジュールは、長手方向軸に沿って接続された2つのパーツ182、184を含む。パーツ182、184はそれぞれ、保持器1852、1854の一つの部分、一つのストリップ1810a、1810b、一つの回転体(図示せず)、及び一つの歯車1872、1874を含む(それぞれすべての参照番号)。針を挿入する初期状態において、2つのパーツ182、184が接続され、回転体に供給される前の領域にあるストリップ1810a、1810bは、互いに貼り付けられ又は一緒に保持される。その結合された溝1814a、1814bが一緒になって、針1800を受容かつ封入するチャネルを形成する。
【0083】
図18Bは、分解された状態にある代表的モジュラー式挿入デバイス/モジュール180の等角図を示す。当該パーツの一つ、例えばパーツ182は、複数の突起1882を有し、第2のパーツ、例えばパーツ184は、2つのパーツ182、184が接続されたときに突起1882を受容する複数の対応スロット/間隙1884(ただ一つのスロット/間隙1884が
図18Bにおいて可視)を有し得る。理解できることだが、挿入モジュールの2つのパーツを接続する任意の他の適切な方法を実装することもできる。針1800は、ストリップ1810a、1810b間に形成されたチャネルの中に封入されるが、ストリップ1810、1810bに、又は挿入モジュール180の任意の他の部品に接続されないので、ひとたび針1800が標的に到達するれば、ユーザは、2つのパーツ182、184を互いから接続解除し、ひいてはストリップ1810a、1810bを互いから分離させ、針1800に対して定位置から動かし得る任意の大きな力を及ぼすことなしに針1800から離すことができる。
【0084】
当業者に理解されることだが、本発明は、上に特に示され及び説明されたものに限られない。本発明の範囲はむしろ、上述した様々な特徴のコンビネーション及びサブコンビネーションの双方を、上記記載を読む当業者に想起されるが先行技術にはないその様々な変更及び修正とともに含む。